JP4855800B2 - ガラス光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス光学素子の製造方法に関する。
特許文献1(特開2003-300738号公報)には、プレス成形工程に供するガラス素材が熔解後にどのような熱履歴を受けたものであっても、所望の屈折率を有するガラス光学素子を一定の規則により簡便に精度よく製造できる方法が記載されている。
特許文献2(特開2000-34132号公報)には、有害物質であるPbを用いずに、光弾性定数、透過率等が所定の範囲内にあり、化学耐久性等に優れた、低光弾性定数ガラスが開示されている。
特開2003-300738号公報 特開2000-34132号公報
特許文献1に記載の方法によれば、プレス成形後のアニールを行わなくても、所望の屈折率を有するガラス光学素子が得られるため、高い生産効率でガラス光学素子を製造できる。しかしながら、プレス成形の際に適用する成形温度、及びその後の冷却速度等、ガラス光学素子の経た熱履歴によっては、得られたガラス成形体内部に応力が残留し、これが光学歪となって光学性能上の問題となる場合があり、その光学素子の大きさや形状、用途については制約が生じる。
特許文献2に記載によれば、ガラスを液晶プロジェクタの光変更制御素子に用いたときに、高出力のランプなどによって熱が与えられるとガラス内に熱応力が働き、これによって複屈折が大きくなる傾向があるのに対し、特許文献2のガラスを用いると複屈折を減らすことが可能であるとしている。
精密モールドプレスによる光学素子は、加熱によって軟化したガラス素材を成形型によってプレスし、冷却したものである。プレスによる加圧や、その後の冷却工程で生じる温度分布によって、得られた成形体内部には、応力が残留する。これは上記特許文献2のような、機器使用中の応力発生ではなく、製造過程で生じた応力が成形体に残留する現象である。そこで必要に応じて、残留応力を緩和するために、得られた成形体に対してアニール処理を施すことができる。ここで、アニールとは、プレス成形によって得られた光学素子を再加熱した上で、制御された冷却速度で冷却し、内部の応力を緩和することである。すなわち、光学素子が有する残留応力の大きさは、プレス成形工程及び/又はアニール工程で経た熱履歴の影響を受ける。
光学素子に残留する応力は、一般に光学歪として、複屈折を生じさせることにより、光学性能に悪影響を及ぼす。即ち、残留応力は、ガラス組成中の成分における、原子を構成する電子雲の分極の原因となるため、ガラスの複屈折を生じさせる。一般に、光学機器に搭載されるレンズは、充分な光学性能を出すために、許容される光学歪の大きさには制限があり、この許容量はレンズの用途によって異なる。例えば、光学機能面域内全域での光軸方向の複屈折は、20nm以下、高精度のものでは好ましくは10nm以下であることが好ましい。
一方、精密モールドプレスにより製造されたガラス光学素子は、プレス成形後、またはアニール時の冷却の過程で、冷却速度に対して、ガラス構造が追随できずに固化することに起因し、ガラス構造が緩いまま固定され、その結果、密度が低下する。冷却速度を大きくし、ガラス内外の温度差が生じる状況で製造したガラス光学素子では、この傾向がより強くなる。このため、精密モールドプレスにより製造されたガラス光学素子では、密度が低下に起因する屈折率の低下が生じることが多い。
光学歪の発生と、屈折率の低下は、上記したように原因は異なるが、いずれも、流動性をもつ状態のガラスを冷却固化させる過程での冷却速度及び内部と表面の温度差の影響を受ける。従って、ガラスの冷却に伴う内部構造の追随を可能にし、かつ内部と表面に温度差を生じさせないような、緩やかな冷却速度を適用してプレス成形後の冷却、又はアニール処理を行えばよい。しかしながら、そのようにすると、冷却工程に数時間〜数十時間を要し、著しく生産性を低下させる。
更に、冷却速度を抑えることは結果的に長時間ガラスを高温下に晒す事となり、ガラス表面で成分の一部が揮発したり、炉内に存在した不純物が揮発してガラス表面に吸着するなど、ガラス表面への変質層の形成を招く懸念がある。これは、光学素子の表面白濁などとなり、光学性能上不都合である。しかし、高屈折ガラスなど付加価値の高い硝材は転移点Tgが高いため、そうした硝材ほどこの傾向が顕著になる。
このように、精密モールドプレスによガラス光学素子の製造においては、長時間に及ぶ冷却および/またはアニール処理を経ることなく、光学歪の発生が抑制され、かつ屈折率低下のない、所望の屈折率を有するガラス光学素子を提供できる方法が必要である。そこで、発明の目的は、生産性を低下させずに、かつ光学性能を劣化させずに、光学歪の発生と屈折率低下を抑止することができる、ガラス光学素子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は以下のとおりである。
[1]
モル%表示で、B23 20〜60%、La23 5〜22%およびZnO 5〜30%を含有し、かつ屈折率ndが1.7以上である、所定形状に予備成形した光学ガラスからなるガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いて精密モールドプレス成形するプレス成形工程を含むガラス光学素子の製造方法において、
前記ガラス素材として、光弾性定数Bが2.00×10-12/Pa未満の光学ガラスからなるガラス素材を用いることにより、
該光学ガラスの転移点Tgで均一な温度になるように保持した後、5℃/時以下の冷却速度にて歪点より50℃より低い温度以下まで冷却したときの屈折率nd(nd(S)という。)に比べ、30×10-5以上低い屈折率nd(nd(L)という。)を有するガラス光学素子を作製するとともに、前記ガラス光学素子の光学有効径の全域にわたり、光軸方向の複屈折による光路差を抑制することを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
[2]
前記光路差を20nm以下に抑制する[1]に記載のガラス光学素子の製造方法。
[3]
モル%表示で、B23 20〜60%、La23 5〜22%およびZnO 5〜30%を含有し、かつ屈折率ndが1.7以上である、所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形してガラス光学素子を得るプレス成形工程を含むガラス光学素子の製造方法において、
前記ガラス素材は、光弾性定数Bが2.00×10-12/Pa未満の光学ガラスからなり、かつ、上記製造方法において得られる光学素子の屈折率nd(L)は、該光学素子を精密アニールに供して得られた光学素子の屈折率nd(S)に比べ、30×10-5以上低いことを特徴とする、ガラス光学素子の製造方法。
[4]
前記精密アニールは、光学素子を前記光学ガラスの転移点Tgまで加熱し、該光学素子の温度が均一になった後10分間以上保持した後、5℃/時以下の冷却速度にて歪点より50℃低い温度以下まで冷却することである[3]に記載のガラス光学素子の製造方法。
[5]
前記光学素子は、光学有効径の全域にわたり、光軸方向の複屈折による光路差が20nm以下であることを特徴とする、[3]または[4]に記載のガラス光学素子の製造方法。
[6]
前記光学ガラスは、B23、ZnO、La23およびZrO2を含む光学ガラスであって、モル%表示で、Li2Oを0〜0.5%未満含む(ゼロも含む)とともに、B23 20〜50%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0.5〜10%、Ta25 0〜15%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜15%、TiO2 0〜20%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%を含むものである(ガラスIa)ことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
[7]
前記光学ガラスは、B23、La23およびZnOを含む光学ガラスであって、モル%表示で、B23 20〜60%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0〜10%、Ta25 0〜10%、WO3 0〜10%、Nb25 0〜10%、TiO2 0〜10%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%、を含むものである、(ガラスIb)ことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
[8]
転移点Tgが550℃以上の光学ガラスからなるガラス素材を用いることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
[9]
前記ガラス素材は、第一組成のガラス素材を用いて前記プレス成形工程を経て得られるガラス光学素子の屈折率をnd2とし、前記第一所定組成のガラスを基準条件下で処理したときの基準屈折率をnd1とするとき、屈折率nd1と屈折率nd2の差分に相当する量を、屈折率nd(L)に加えた値の屈折率nd(L1)を基準条件下で処理したときに有するガラス素材である[1]〜[8]のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
[10]
屈折率nd(L1)を基準条件下で処理したときに有するガラス素材は、第一組成のガラス成分の少なくとも一種を減少、又は増加させることによって得られたガラスからなることを特徴とする、[9]に記載のガラス光学素子の製造方法。
本発明によれば、長時間に及ぶ冷却および/またはアニール処理を経ることなく、光学歪の発生が抑制され、かつ屈折率低下のない、所望の屈折率を有するガラス光学素子を提供できる、精密モールドプレスによるガラス光学素子の製造方法が提供される。本発明の方法は、生産性を低下させずに、かつ光学性能を劣化させずに、光学歪の発生と屈折率低下を抑止することができる、ガラス光学素子の製造方法である。
本発明のガラス光学素子の製造方法では、所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形する。そして、その際に使用する前記ガラス素材は、光弾性定数Bが2.00×10-12/Pa未満の光学ガラスからなる。さらに、本発明では、上記製造方法で得られる光学素子は、その屈折率nd(L)が、該光学素子を精密アニールに供して得られた光学素子の屈折率nd(S)に比べ、30×10-5以上低いものである。
光弾性定数Bについて説明する。
ガラス内に応力が発生しているとき、ガラス内は光学的に等方でなく複屈折を生じる。複屈折による光路差をδ(nm)とすると以下の関係が成り立つ。
δ=B×σ×d
上式においてσ(105Pa)はガラスの内部応力の、光の進行方向に対して直角な成分の大きさ、d(cm)は光路長、Bは光弾性定数(10-12 Pa)を示す。
この式は、光弾性定数Bが一定ならば内部応力σ、光路長dが大きくなると複屈折による光路差をδが大きくなることを示す。複屈折による光路差はB、σ、dの積のためσ、dを一定とすれば、σの増加に対して、Bを小さくすれば複屈折による光路差δを相対的に小さくすることができる。すなわち、プレス成形後、又は、アニールの過程で、軟化したガラスを固化させるときに適用する冷却速度が有る程度大きいために、ガラス表面と内部に温度差が生じてしまう条件であっても、それによって生じるσの増大は、Bの小さなガラス組成を用いることによって抑制できるのである。
一般に、精密モールドプレスレンズが適用される小型撮像機器(デジカメ等)、携帯端末機器内の撮像機器に搭載されるレンズの複屈折による光路差δの許容値としては、光学機能面全域にわたり20nm以下程度であり、また、光軸部分のレンズ厚は0.3〜8mm程度、光学機能面における最大厚は8mm程度である。本発明者らの検討によると、光弾性定数Bが2.0×10-12/Pa以下のガラス素材を用いれば、プレス成形後の冷却、又はアニール時の冷却速度を、50〜200℃/分としても、複屈折による光路差δが許容値以内となる光学素子(レンズ)が得られることが分かった。複屈折による光路差δより小さくするという観点からは、好ましくは、光弾性定数が1.95×10-12/Pa以下、更には1.85×10-12/Pa以下のガラス素材を用いることが好適である。
一方、dが大きいレンズでは、やはりσが大きくなってしまうが、dの増加を抑えるためには、光学素子の厚みを小さくすることが有効である。光路長を大きくせずに、レンズとしての所定の屈折力を得るためには、屈折率の大きなガラスを用いることが有効である。例えば、ndが1.7以上のもの(いわゆる高屈折硝材)、例えば1.7〜1.9のものが極めて有効である。
光弾性定数Bが2.0×10-12/Pa以下であり、屈折率ndが1.7以上である光学ガラスの組成については後述する。
以下、本発明に用いる光学ガラス素子の組成について説明する。
本発明のガラス素子として使用する光学ガラスは、光弾性定数Bが2.0×10-12/Pa以下を示すものであれば、その組成は特に限定されない。光弾性定数B以外については、所望の光学機器に適した光学恒数と、種々の物性を備えたものとすることができる。
本発明で使用する光学ガラスは、光弾性定数ガラスを構成する各成分に固有光弾性定数値を当てはめ、これらの固有光弾性定数値から計算した値に基づいて本発明の光弾性定数ガラス等を製造することができる。
具体的には、例えば、光弾性定数ガラスを構成する各成分の1mol当たりの固有光弾性定数値(単位は10-12Pa/mol)を、それぞれ、P25:0.029、BaO:−0.021、PbO:−0.036(不純物として含まれる場合の影響を計算するために利用する)、La23:−0.01、B23:0.05、Al23:0.01、Nb25:0.11、WO3:0.05、MgO:0.04、CaO:0.016、SrO:0.008、ZnO:0.037、TiO2:0.03、Li2O:0.015、Na2O:0.025、K2O:0.03、Cs2O:0.03、Sb23:0.04、Bi23:0.05とし、固有光弾性定数値×モル量の総和を計算し、この計算した値に基づいて光弾性定数ガラスを構成する成分及びその含有量を決定して、所望の光弾性定数を有する光弾性定数ガラスを得ることができる。
この際、光弾性定数値だけでなく、屈折率、透過率、液相温度、熔解性、化学的耐久性、着色等を考慮して成分及びその含有量を決定できる。
ガラス成分として、光弾性定数をマイナス側にシフトさせる作用のあるものとしては、BaO、La2O3、Tl2O、PbOが挙げられる。但し、人体、環境への有害性からTl、Pbは排除されるべきである。従って、本発明の光学ガラスには、BaO、La2O3のいずれかを含有させることが好ましい。BaO、La2O3のいずれかを含有させることがより好ましい。
尚、本発明は、光学素子を長時間アニールの高熱下におくと表面白濁の問題を生じやすいガラスに対して、そのような不都合が解消されるため極めて有利である。すなわち、内部残留応力を緩和する温度が高温、及び/又は長時間となりやすいものにつき、より効果が顕著である。例えば転移点Tgが550℃以上、特に580℃以上の高軟化点硝材には効果が顕著である。更には、転移点Tgが590℃以上の硝材には更に好適に適用される。こうした硝材には、高屈折、低分散の高付加価値ガラス(ガラスI)(例えば屈折率ndが1.7〜1.9、アッベ数νdが30〜57)が存在する。
具体的な光学ガラス(ガラスI)を例示する。
mol%表示で、
B2O3 15〜65%
ZnO 5〜45%
Li2O 0〜10%
La2O3 5〜25%
Gd2O3 0〜22%
La2O3+Gd2O3 10〜30%
ZrO2 0〜15%
Ta2O 5 0〜10%
WO3 0〜15%
Nb2O5 0〜10%
TiO2 0〜15%
Y2O3 0〜10%
Yb2O3 0〜10%
但し、上記組成を有するガラスの内、光学恒数(屈折率ndおよびアッベ数)が、図1に斜線の領域として示す範囲にあるものが好ましい。
ガラスIには、更に好ましいガラスとしてガラスIaがある。ガラスIaは、B23、ZnO、La23およびZrO2を含む光学ガラスであって、モル%表示で、
Li2Oを0〜0.5%未満含む(ゼロも含む)とともに、B23 20〜50%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0.5〜10%、Ta25 0〜15%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜15%、TiO2 0〜20%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%を含むものであることができ、更に、上記組成を有し、かつアッベ数(νd)が35以上40未満、より好ましくは、屈折率ndが1.86以上であるものであることができる。
ガラスIの他の例としては、更に好ましいガラスとしてガラスIbがある。ガラスIbは、B23、La23およびZnOを含む光学ガラスであって、モル%表示で、
23 20〜60%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0〜10%、Ta25 0〜10%、WO3 0〜10%、Nb25 0〜10%、TiO2 0〜10%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%、を含むものであることができ、更に上記組成を有するものであって、リチウムの含有量がLi2O換算で0.5モル%未満であるもの(ゼロの場合を含む)、更には、アッベ数(νd)が40以上である光学ガラスが挙げられる。また、上記光学ガラスであって、屈折率ndが1.79以上であるものが挙げられる。
本発明では、本発明の製造方法により得られる光学素子は、屈折率nd(L)が、この光学素子を精密アニールに供して得た光学素子の屈折率nd(S)に比べ、30×10-5以上低い。精密アニールに供して得た光学素子の屈折率ndを規定屈折率と呼ぶ。精密アニールとは、光学ガラスをその内部歪が実質的に解消される温度に加熱したのち、所定時間保持し、新たに実質的に歪を生じない冷却速度で冷却したとき(これを規定条件という)に得られる光学ガラスの屈折率nd(S)である。
規定屈折率は、例えば、光学ガラスを歪点以上、好ましくは、転移点Tgまで昇温し、ガラス表面と内部の温度差が実質的になくなる時間保持した後10分間以上保持した後、ガラス表面と内部の温度差が実質的に生じない程度の温度勾配にて冷却して(例えば、1〜10℃/以下、好ましくは、1〜5℃/以下の冷却速度)得られる光学ガラスがもつ屈折率ndである、とも定義できる。転移点Tgは、ガラス粘度でおよそ1013dPa・sに相当する。徐冷点(ガラスの内部応力が数分で実質的に解消する温度)と近いため、ここでは転移点Tgを用いる。尚、歪点は、ガラスの内部応力が数時間で実質的に解消する温度であり、ガラス粘度でおよそ1014.7dPa・sに相当する。
本発明では、好ましくは、光学素子をTg(転移点)まで加熱し、該光学素子の温度が均一になった後10分間以上保持した後、5℃/以下の冷却速度にて歪点−50℃以下まで冷却して得た光学素子の屈折率nd(S1)を規定屈折率として用いる。
尚、屈折率としては、もちろんd線以外の波長による屈折率でも良いが、ここでは、代表としてndを用いる。
一般に、屈折率に30×10-5以上の差がある2つの光学素子は、もはや同一の素子とは扱えず、光学設計上異なるものとされることが多い。本発明では、屈折率nd(L)を呈する光学素子を製造するのであるが、この光学素子は、プレス成形後、又はアニール後の冷却条件に起因し、規定条件下で冷却した光学素子の屈折率nd(S)とは異なる屈折率nd(L)を呈する。本発明では、nd(L)を、その用途に応じた設計値として有する光学素子を製造する。
光学素子の屈折率の調整について以下に説明する。本発明では、光学素子を搭載する光学機器の必要とする設計値として屈折率nd(L)を有する光学素子を製造する。このnd(L)は、この光学ガラスの規定屈折率nd(S)より30×10-5以上低い。好ましくは、nd(L)は、規定屈折率nd(S)より30×10-5〜300×10 -5低く、より好ましくは、50×10-5〜300×10-5低い。
本発明の第1の態様においては、屈折率nd(S)に比べて30×10-5以上低い屈折率nd(L)を有する光学素子は、以下のガラス素材を用いることで調製できる。即ち、第一組成のガラス素材を用いて前記プレス成形工程を経て得られるガラス光学素子の屈折率をnd2とし、前記第一所定組成のガラスを基準条件下で処理したときの基準屈折率をnd1とするとき、屈折率nd1と屈折率nd2の差分に相当する量を、屈折率nd(L)に加えた値の屈折率nd(L1)を基準条件下で処理したときに有するガラス素材を用い、これをプレス成形工程に供する。これにより、屈折率nd(S)に比べて30×10-5以上低い屈折率nd(L)を有する光学素子を得ることができる。
より具体的には、たとえば、屈折率nd(L)の光学素子を得るために、第一組成のガラス素材を用いて、プレス成形を行い、プレス成形工程の冷却後のガラス光学素子の屈折率をnd2とし、前記第一組成のガラスを基準条件下で処理したときの基準屈折率をnd1とするとき、nd1とnd2の差分に相当する量を、nd(L)に加えた値の屈折率nd(L1)を、前記基準条件下で処理したときに有する第二組成のガラス素材を用いて、ガラス光学素子を得ることができる。このとき、第一組成と第二組成のガラス素材に施すプレス成形工程は同じものとする。この方法では、プレス成形後のアニールを省略できる。
更に、プレス成形工程後にある程度のアニールを行うこともできる。このアニールは、精密アニールより短時間、及び/又は低温度とすることで、生産性を向上させることができる。その場合には、アニール後のガラス光学素子の屈折率をnd2とし、前記第一組成のガラスを基準条件下で処理したときの基準屈折率をnd1とするとき、nd1とnd2の差分に相当する量を、nd(L)に加えた値の屈折率nd(L1)を、前記基準条件下で処理したときに有する第二組成のガラス素材を用いて、ガラス光学素子を得ることができる。このとき、第一組成と第二組成のガラス素材に施すアニール工程は同じものとする。より好ましくは、第一組成と第二組成のガラス素材に施すプレス成形工程とアニール工程は同じものとする。
尚、ここで基準条件は、第一組成と第二組成に施す処理条件を等しく設定し、それを基準条件とすることができる。そしてその処理後のガラスの屈折率を基準屈折率とする。基準条件および基準屈折率は、上記nd(S)で用いた規定条件、規定屈折率と同一とすることもできる。
上記アニールの条件は、多数個のプレス成形体に対して同時に行うことができるため、成形サイクルタイムには影響せず、生産効率を殆ど低下させない。例えば、上記プレス成形工程によって得られた成形体を複数個(例えば100個〜1000個)、加熱炉に収容する。加熱炉内の雰囲気に特に制約は無いが、好ましくは酸素濃度0〜5vol%とすることにより、炉の構成物質の酸化や、それに起因するレンズの汚染が避けられる。
炉内での加熱に際しては、例えば成形体を導入した炉内を、60〜300℃/の昇温速度で加熱する。その後、(転移点Tg−70℃)〜(転移点Tg+20℃)、より好ましくは、(転移点Tg−60℃)〜(転移点Tg−20℃)、更に好ましくは、(転移点Tg−50℃)〜(転移点Tg−20℃)において、所定時間保持する。これにより成形体の形状精度が良好に維持される。保持時間は、0.5〜6時間とすることができる。アニール温度からの降温速度は、20℃〜150℃/、更には30〜100℃/が好ましい。
上述のように、生産効率を損なわない範囲で迅速に処理できるよう、プレス成形工程、その後アニールを行う場合にはアニール工程に適用する冷却速度を設定すると、光学素子の内外に温度差が生じ、このため、ガラス内部は密度が低下した状態で固定され、得られる光学素子の屈折率は、充分なアニールを行った場合の屈折率(例えば規定屈折率)より低くなる。しかし、このような屈折率低下があっても、得ようとする光学素子が所望の光学性能を呈するためには、第一組成のガラス組成に対し、上記のような屈折率調整を予め行って、第二組成のガラス素材を用意しておけばよい。第一組成のガラス成分の少なくとも一種の含有量を減少、又は増加させることで、屈折率を調整した第二組成のガラス素材を得ることができる。
所定量だけ基準屈折率が大きくなるような組成のガラスを得るためには、例えば、第一組成のガラスの成分中、屈折率を高くする成分を増加する、又は屈折率を低下させる成分を減少させることによって組成調整することが可能である。ここで、組成調整に際しては、屈折率を高くする成分、又は屈折率を低くする成分(屈折率調整成分とよぶ)の含有量を増加若しくは減少させるか、又は近似する基準屈折率をもつ硝材を適切な比率で混合することによって調整することができる。
屈折率調整成分としては、前述したB23、ZnO、La23およびZrO2を含む光学ガラスやB23、La23およびZnOを含む光学ガラスでは、例えば、B23、SiO2、La23の質量比で調整することができる。特に、La23とB23の質量比を調整することが好ましい。又はその他の公知の屈折率調整成分を用いてもよい。
もちろん、第一組成には含まれない他成分を加えることによって、第二組成を得ることも可能であることはいうまでもない。
このようにして得られた第二組成のガラス素材を用い、 前記プレス成形工程を施すと、屈折率がnd(L)である光学素子、すなわち、所望の光学素子を得ることができる。プレス成形工程は、第一組成のガラス素材に施したものと同じ条件とすることが好ましい。その工程については、後述する。
上記のnd1とnd2の差分は、100×10-5以下であることが好ましい。この数値は、nd(L)とnd(L1)の差にも等しい値となるが、一方が他方に対して過大に低いと光学素子の残留歪が大きくなり、屈折率の測定精度が下がる上、屈折率の調整幅が大きくなることでガラスの物性が変化しやすい。より好ましくは、30×10-5〜80×10-5の範囲内であることが好ましい。
本発明の製造方法で用いるガラス素材の調製方法について説明する。本発明に適用できるガラス素材は、光学ガラスを所定の体積、形状に予備成形して得たものであることができ、その製法には限定されない。
例えば、ブロック状の光学ガラスから切り出したものを、研削や研磨によって所定体積、所定形状に予備成形してガラス素材とすることができる(予備成形I)。又は、溶融状態のガラスをパイプから滴下、又は流下しつつ分離して所定量のガラス塊とし、このガラス塊の冷却中に予備成形してガラス素材とすることができる(予備成形II)。ここで、溶融状態のガラスを、底部からガスを噴出する受け型に受け、実質的に浮上させた状態で冷却しつつ予備成形する方法をとることができる。この方法は生産効率高く、表面の平滑なガラス素材を得られことから好ましい。尚、IIの方法は、ガラス塊の冷却中に予備成形した後、更に研磨等の機械加工を加えて、形状又は体積を微調整する場合も含み、該方法も本発明に好適に適用される。
上記ガラス塊の冷却方法、冷却速度には特に限定はない。ガラス素材は、それが熔解後の予備成形過程に経た熱履歴に関わらず本発明に適用できる。すなわち、如何なる熱履歴、及びそれに起因する屈折率を有するものでもよい。熔解ガラスから割れない程度に急冷されたものでも良く、生産効率上は好ましい。その場合、ガラスの屈折率が相対的に低下(例えば同組成のガラス素材の規定屈折率に対して、300×10-5以上低い屈折率ndを示すような場合)し、場合によっては歪が大きいために屈折率は測定不可能となる場合があるが、本発明の効果を奏する上では何ら支障は無い。例えば、少なくとも軟化点から歪点−50℃の温度の範囲で、300℃〜1500℃/分の冷却速度で冷却されることができる。
本発明の製造方法におけるプレス成形工程について説明する。
本発明のプレス成形工程においては、定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形してガラス光学素子を得る。具体的には、例えば、ガラス素材を、その粘度が105.5〜109dPa・sに相当する温度とし、ガラス素材が107〜1012 dPa・sの粘度を示す温度に予熱した成形型を用いて加圧成形することが適当である。上記の温度範囲を適用することにより、所望の光学素子の形状、肉厚精度が充分に得られる。この過程で、ガラス素材が有する熱履歴、またはその大部分を実質的に解消することができる。
具体的には、成形型外で所定温度に加熱し、軟化したガラス素材を、予熱した成形型内に供給し、加圧して、成形面形状をガラス素材に転写することができる(加圧成形I)。又は、ガラス素材を成形型内に供給し、ガラス素材と成形型を一緒に加熱し、ガラスが適度に軟化した状態で押圧しても良い(加圧成形II)。
加圧成形Iの場合、成形型外でのガラス素材の加熱温度は、成形型の予熱温度より高くし、ガラス素材を成形型に供給後直ちに加圧を開始することが好ましい。そのようにすることで、ガラス素材に充分な形状変化を与えることができ、必要な、面形状、肉厚を確実に得ることができる。
加圧成形Iの場合には、押圧開始時に、成形型の温度を、ガラス粘度で108〜1011dPa・s、ガラス素材の温度を、ガラス粘度で、106〜109dPa・sとすることが好ましい。また加圧成形IIの場合には、押圧開始時のガラス素材と成形型の温度をガラス粘度で、107〜109dPa・sの範囲とすることが好ましい。
加圧成形の後、または加圧成形開始と同時若しくは加圧成形開始後に、成形面と密着した状態のガラス素材(ガラス成形体)の冷却を行うことが好ましい。この冷却速度については、以下の点から決定することができる。生産効率上は、冷却速度が大きい方が好ましい。急冷するとガラス内部に歪が相当量残存するが、本発明ではこの後にアニールの工程で、必要な程度にまで歪を解消することができるため、支障は無い。冷却速度としては、例えば、10〜500℃/、好ましくは30〜300℃/の冷却速度で、転移点Tgまで行うことが好ましい。その後、成形型内から成形体を取り出す。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
比較例1
光学ガラスA(光弾性定数=2.92×10 -12 /Pa、基準屈折率nd(S)=1.80490、νd=24.70、転移点Tg=475℃、モル%表示で、B2O3 4%、P2O3 24%、Li2O 21%、Na2O 13%、K2O 2%、BaO 3%、ZnO 3%、TiO2 6%、Nb2O 5 18%、WO3 6%を含む。)を溶融状態から滴下し、底部から気流を噴出する受け型で受けつつ冷却し、両凸曲面形状のガラス素材を予備成形した。このガラス素材を、成形型内で、107.6ポアズ相当の温度に加熱し、上下型間で押圧し、上下型との密着を維持したまま、冷却速度200/分で転移点Tgまで冷却し、その後放冷した。このようにして得た凹メニスカス形状のレンズを100個、同時にアニール炉内に配置した。アニール炉温度を、Tg−20℃にして、2時間保持し、その後−50℃/で、歪点以下まで降温した。
得られたレンズは、複屈折による光路差が20nmを超えており、光学機器の仕様を充足しなかった。
実施例1
光学ガラスB(光弾性定数1.74×10 -12 /Pa、基準屈折率nd(S)=1.83000、νd=42.7、モル%表示で、SiO2 2%、B2O3 47%、Li2O 3%、ZnO 17%、La2O3 13%、Gd2O3 6.5 %、ZrO2 3%、Nb2O 5 3.5%、WO3 5%を含む。)を用い、上記と同様の凹メニスカスレンズを成形し、アニール工程も同様に行った。得られたレンズは、複屈折による光路差が20nm以下であった。このレンズは、屈折率ndが、1.82930だった。屈折率nd=1.82930で設計した光学機器の仕様を充足した。
一方、光学ガラスの基準屈折率nd(S)である1.83000を適用して光学設計した機器に用いるために、組成中のB2O3を0.10wt%だけLa2O3に置換することにより、基準屈折率nd(S)が1.83070の組成とした。この光学ガラスを使って上記と同様にレンズのプレス成形及びアニールしたところ、屈折率nd=1.83000(=nd(L))であり、かつ複屈折による光路差が20nm以下のレンズが得られた。このレンズは光学機器の仕様を満足した。尚、ここで、n1d=1.83000、nd2=1.82930、nd2-n1d=-0.00070、nd(L)=1.83000、nd(L1)=1.83070である。
本発明は、ガラス光学素子の製造分野に有用である。
ガラスIのについて好ましい光学恒数(屈折率ndおよびアッベ数)の範囲を示す。

Claims (10)

  1. モル%表示で、B23 20〜60%、La23 5〜22%およびZnO 5〜30%を含有し、かつ屈折率ndが1.7以上である、所定形状に予備成形した光学ガラスからなるガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いて精密モールドプレス成形するプレス成形工程を含むガラス光学素子の製造方法において、
    前記ガラス素材として、光弾性定数Bが2.00×10-12/Pa未満の光学ガラスからなるガラス素材を用いることにより、
    該光学ガラスの転移点Tgで均一な温度になるように保持した後、5℃/時以下の冷却速度にて歪点より50℃より低い温度以下まで冷却したときの屈折率nd(nd(S)という。)に比べ、30×10-5以上低い屈折率nd(nd(L)という。)を有するガラス光学素子を作製するとともに、前記ガラス光学素子の光学有効径の全域にわたり、光軸方向の複屈折による光路差を抑制することを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
  2. 前記光路差を20nm以下に抑制する請求項1に記載のガラス光学素子の製造方法。
  3. モル%表示で、B23 20〜60%、La23 5〜22%およびZnO 5〜30%を含有し、かつ屈折率ndが1.7以上である、所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形してガラス光学素子を得るプレス成形工程を含むガラス光学素子の製造方法において、
    前記ガラス素材は、光弾性定数Bが2.00×10-12/Pa未満の光学ガラスからなり、かつ、上記製造方法において得られる光学素子の屈折率nd(L)は、該光学素子を精密アニールに供して得られた光学素子の屈折率nd(S)に比べ、30×10-5以上低いことを特徴とする、ガラス光学素子の製造方法。
  4. 前記精密アニールは、光学素子を前記光学ガラスの転移点Tgまで加熱し、該光学素子の温度が均一になった後10分間以上保持した後、5℃/時以下の冷却速度にて歪点より50℃低い温度以下まで冷却することである請求項3に記載のガラス光学素子の製造方法。
  5. 前記光学素子は、光学有効径の全域にわたり、光軸方向の複屈折による光路差が20nm以下であることを特徴とする、請求項3または4に記載のガラス光学素子の製造方法。
  6. 前記光学ガラスは、B23、ZnO、La23およびZrO2を含む光学ガラスであって、モル%表示で、Li2Oを0〜0.5%未満含む(ゼロも含む)とともに、B23 20〜50%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0.5〜10%、Ta25 0〜15%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜15%、TiO2 0〜20%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%を含むものである(ガラスIa)ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  7. 前記光学ガラスは、B23、La23およびZnOを含む光学ガラスであって、モル%表示で、B23 20〜60%、SiO2 0〜20%、ZnO 22〜30%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%(ただし、La23とGd23の合計量が10〜24%)、ZrO2 0〜10%、Ta25 0〜10%、WO3 0〜10%、Nb25 0〜10%、TiO2 0〜10%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%およびYb23 0〜10%、を含むものである、(ガラスIb)ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  8. 転移点Tgが550℃以上の光学ガラスからなるガラス素材を用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  9. 前記ガラス素材は、第一組成のガラス素材を用いて前記プレス成形工程を経て得られるガラス光学素子の屈折率をnd2とし、前記第一所定組成のガラスを基準条件下で処理したときの基準屈折率をnd1とするとき、屈折率nd1と屈折率nd2の差分に相当する量を、屈折率nd(L)に加えた値の屈折率nd(L1)を基準条件下で処理したときに有するガラス素材である請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  10. 屈折率nd(L1)を基準条件下で処理したときに有するガラス素材は、第一組成のガラス成分の少なくとも一種を減少、又は増加させることによって得られたガラスからなることを特徴とする、請求項9に記載のガラス光学素子の製造方法。
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