JP4133975B2 - 精密プレス成形用ガラスプリフォーム、光学素子およよびそれらの製造方法 - Google Patents

精密プレス成形用ガラスプリフォーム、光学素子およよびそれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、精密プレス成形用ガラスプリフォーム、光学素子およびそれらの製造方法に関する。本発明は、例えば、超精密非球面レンズや超精密球面レンズなどの光学素子の製造に好適に用いることができる。
近年、デジタルカメラ等の登場により光学系を使用する機器の高集積化、高機能化が急速に進められる中で、光学系に対する高精度化、軽量・小型化の要求もますます高まっており、この要求を実現するために、非球面レンズを使用した光学設計が主流となりつつある。
高屈折率・低分散または高屈折率・高分散といった特性を有する高機能性ガラスを使用した非球面レンズを低コストで大量に安定供給するために、精密プレス成形により直接光学面を形成し、研削・研磨工程を必要としないモールド成形技術が注目され、同時にモールド成形に適した高機能性光学ガラスに対する要望が年々高まっている。
精密プレス成形法では、所定形状のキャビティを有する成形型を用い、ガラス成形予備体(ガラスプリフォーム)を高温下で加圧成形することにより、最終製品形状またはそれに極めて近い形状および面精度を有するガラス成形体を得るが、精密プレス成形に使用される成形型も高温に曝され、かつ高圧が加えられるため、成形型自体や当該成形型の内側表面に設けられている離型膜の損傷を招く。かかる成形型または離型膜の損傷を抑制するという観点から、精密プレス成形用ガラスプリフォームを構成する光学ガラスは、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏点(Ts)をなるべく低くすることが望まれている。
従来、高屈折率低分散性を有し、ガラス転移温度及び屈伏点が低い光学ガラスとして、PbOなどを必須成分とする光学ガラスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−50138号公報
しかしながら、この光学ガラスにおいては、屈折率を増大させるために有害なPbOを導入しなければならないという課題がある。
本発明は、このような事情のもとで、PbOを使用せずに、高屈折率低分散性と低ガラス転移温度および低屈伏点を有し、精密プレス成形後に光学機能面に研削や研磨などの機械加工を必要としない光学素子の製造に好適な精密プレス成形用ガラスプリフォーム、該ガラスプリフォームから得られる光学素子およびそれらの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、PbOを使用せずに、必須成分として特定成分を特定量含み、高屈折率低分散性を有する新規な光学ガラスを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) モル%表示で、ガラス成分としてB 40〜60%(但し、40%を除く)、La 5〜25%、Gd 2〜22%、LiO 0.5〜15%、ZnO 5%以上(但し、LiOとZnOの合計含有量 27.05%以下)、SiO 0〜10%(但し、10%を除く)を含み、PbOを含まず、BとSiOの合計含有量に対するBの含有量の割合(B/(B+SiO))が0.85〜1.00、Gdと任意成分であるNbの合計含有量に対するGdの含有量の割合(Gd/(Gd+Nb))が0.91を超え1.00以下であって、屈折率(n)が1.80を超え2.00以下、アッベ数(ν)が40〜45(但し、45を除く)である光学ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(2)光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてTa 0.2〜10%を含む、(1)に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(3)光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてZrO 0.5〜10%を含む、(1)または(2)に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(4) 光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてLiO 0.5〜15%(但し、LiOと前記ZnOの合計含有量 10%以上)、ZrO 0.5〜10%、Ta 0.2〜10%、WO 0.5〜10%、Y 0〜4%、Yb 0〜0.5%、LaとGdを合計含有量で12%以上含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(5)光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてTa 1〜10%を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(6) 光学ガラスにおけるBとSiOの合計含有量に対するSiOの含有量の割合(SiO/(B+SiO))が0以上0.16未満、GdとNbの合計含有量に対するNbの含有量の割合(Nb/(Gd+Nb))が0以上0.09未満である、(1)〜(5)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(7) 光学ガラスのガラス転移温度が650℃以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(8) 光学ガラスの液相温度における粘度が4〜40dPa・sである、(1)〜(7)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(9) 全表面が熔融状態の光学ガラスが固化して形成された、(1)〜(8)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(10) 全表面が自由表面からなる、(1)〜(9)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム、
(11) 熔融ガラスから所定重量の熔融ガラス塊を分離、冷却して、該熔融ガラス塊と等しい重量を有する精密プレス成形用ガラスプリフォームを製造することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(12) 熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながら成形する、(11)に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法、
(13) (1)〜(10)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形してなることを特徴とする光学素子、
(14) (11)または(12)に記載の方法により製造された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形してなることを特徴とする光学素子、
(15) (1)〜(10)のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法、
(16) (11)または(12)に記載の方法により製造された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法、
(17) 精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入し、プレス成形型とともに精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形する、(15)または(16)に記載の光学素子の製造方法、および
(18) プレス成形型の温度よりも高温に予熱された精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入して加熱し、精密プレス成形する、(15)または(16)に記載の光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、PbOを使用せずに、高屈折率低分散性を有し、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏点(Ts)が低い光学ガラスからなる新規な精密プレス成形用ガラスプリフォームを提供することができ、かかる精密プレス成形用ガラスプリフォームを用いて精密プレス成形することにより、成形型や成形型表面の離型膜を損傷することなく、高屈折率、低分散性を有する光学素子を簡便に生産性良く製造することが可能となる。
先ず、本発明の精密プレス成形用ガラスプリフォーム(以下、適宜「本発明のガラスプリフォーム」と呼ぶ)について説明する。
本発明のガラスプリフォームは、特定成分を特定量含み、高屈折率、低分散性を有する光学ガラスから構成される。すなわち、本発明のガラスプリフォームは、モル%表示で、ガラス成分としてB 40〜60%(但し、40%を除く)、La 5〜25%、Gd 2〜22%、Li O 0.5〜15%、ZnO 5%以上(但し、Li OとZnOの合計含有量 27.05%以下)、SiO 0〜10%(但し、10%を除く)を含み、PbOを含まず、BとSiOの合計含有量に対するBの含有量の割合(B/(B+SiO))が0.85〜1.00、Gdと任意成分であるNbの合計含有量に対するGdの含有量の割合(Gd/(Gd+Nb))が0.91を超え1.00以下であって、屈折率(n)が1.80を超え2.00以下、アッベ数(ν)が40〜45(但し45を除く)である光学ガラスからなることを特徴とする。
なお、以下、特に言及のない場合は各成分の含有量や合計量はモル%で表示し、成分の含有量の比もモル比で表わすものとする。
は必須成分であり、網目形成酸化物の役割を果たす。La、Gdなどの高屈折率成分を多く導入する場合、ガラスの形成のためにBを主なネットワーク構成成分とする必要があるが、60%を超えて導入すると、ガラスの屈折率が低下し、高屈折率ガラスを得るという目的に適さなくなり、一方、40%以下では失透に対して十分な安定性を得られず、また溶融性が低下するため、その導入量は、40〜60%(但し、40%を除く。)とする。B導入の上記効果を高める上から41〜60%の導入が好ましく、45%を超え60%以下の導入がより好ましい。ここで、Bの含有量を重量%で表すと、15重量%を超え40重量%以下が好ましく、16〜35重量%がより好ましい。
Laも必須成分であり、ガラスの失透に対する安定性を低下させずに、または分散を高めずに、屈折率を高くし、化学的耐久性を向上させる。しかし、5%未満では十分の効果が得られず、一方、25%を超えると失透に対する安定性が著しく悪化するため、その導入量は5〜25%とする。上記効果をより高める上からLaの含有量を5〜23%とすることがより好ましく、7〜20%とすることがより好ましい。
ここで、Laの含有量を重量%で表すと、10〜45重量%が好ましく、12〜44重量%がより好ましい。
GdはLaと同様、ガラスの失透に対する安定性や低分散性を悪化させずにガラスの屈折率や化学耐久性を向上させる必須成分である。Gdは、22%を超えて導入すると失透に対する安定性が悪化し、ガラス転移温度が上昇して精密プレス成形性が悪化する傾向があり、2%未満では高屈折率を付与しつつ、化学的耐久性を高めるのが難しくなる。したがって、Gdは2〜22%導入する。より好ましい範囲は2〜20%、さらに好ましい範囲は2〜15%、より一層好ましい範囲は2〜10%である。ここで、Gdの含有量を重量%で表すと、9重量%を超え45重量%以下が好ましく、9.5〜40重量%がより好ましい。
屈折率(n)を1.80を超え2.00以下、アッベ数(ν)を40〜45(但し、40を除く。)にする上から、LaとGdの合計含有量は、12%以上が好ましく、12〜32%とするのがより好ましく、14〜27%とするのがさらに好ましい。
ZnOも必須成分であり、ガラスの溶融温度や液相温度及び転移温度を低下させ、屈折率の調整にも欠かせないが、5%未満では、上記の期待された効果が得られず、一方、45%を超えて導入すると、分散も大きくなり、失透に対する安定性も悪化し、化学的耐久性も低下するので、その導入量は5〜45%の範囲とする。好ましい範囲は10〜32%である。ここで、ZnOの含有量を重量%で表すと、3〜15重量%が好ましく、4〜14重量%がより好ましい。
Nbは、ガラスの安定性や屈折率を改善するために導入可能な任意成分であり、GdとNbの合計含有量に対するGdの含有量の割合(Gd/(Gd+Nb))が0.91を超え1.00以下となるように導入する。より好ましい前記割合は0.92〜1.00である。さらに、GdとNbの合計含有量に対するNbの含有量の割合(Nb/(Gd+Nb))が0以上0.09未満であることが好ましく、0〜0.08であることがより好ましい。また、Nbの含有量とGdの含有量との重量比(Nb含有量/Gd含有量)が0.1以下の範囲が好ましい。なお、Nb単独でその含有量を定める場合、モル%表示で0〜2%とするのが好ましく、重量%表示で0〜1重量%(但し、1重量%を除く)とするのがさらに好ましい。
SiOは任意成分であり、LaやGdを多量に含有するガラスに対して、ガラスの液相温度を低下させ、高温粘性を向上させ、さらにガラスの安定性を大きく向上させるが、過剰の導入により、ガラスの屈折率が下がることに加え、ガラス転移温度が高くなり精密プレス成形が困難になる。そのため、SiOの導入量は0〜10%(但し、10%を除く)の範囲で、BとSiOの合計含有量に対するBの含有量の割合(B/(B+SiO))が0.84を超え1.00以下となるように定められる。好ましくはB/(B+SiO)を0.85〜1.00とする。より好ましくはSiOの導入量を0〜9%、B/(B+SiO)を0.85〜1.00とし、さらに好ましくはSiOの導入量を0〜6%、B/(B+SiO)を0.85〜1.00とし、特に好ましくはSiOの導入量を0〜6%、B/(B+SiO)を0.88〜1.00とする。
さらに、上記の観点からBとSiOの合計含有量に対するSiOの含有量の割合(SiO/(B+SiO))を0以上0.16未満にすることが好ましく、0〜0.15にすることがより好ましい。
ここで、SiOの含有量を重量%で表すと、0〜6重量%(但し、6重量%を除く)が好ましく、0〜5重量%(但し、5重量%を除く)がより好ましく、0〜4.5重量%がさらに好ましい。
LiOは必須成分であ、他のアルカリ金属酸化物成分に比べ、大幅な屈折率の低下及び化学的耐久性の低下を伴うことがなく、ガラスの転移温度を大幅に低下させる成分である。特に少量で導入する場合、その効果が大きく、ガラスの熱的な物性を調整するための有効な成分である。しかし、15%より多くのLiOを導入すると、ガラスの失透に対する安定性が急激に低下し、液相温度も上昇するので、その導入量は0.5〜15%の範囲であり、0.5〜10%の範囲が好ましい。LiOは、重量%表示では0〜12重量%が好ましい。
LiOおよびZnOはいずれもガラス転移温度を低下させる成分であるため、LiOとZnOの合計含有量を10%以上とすることが好ましい。LiOは、15%以上とすることがさらに好ましく、15〜35%とすることがより一層好ましい。
ZrOは高屈折率・低分散の成分として使われる任意成分である。ZrOを導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果があるため、ZrOを導入することが望ましい。ZrOの添加効果を高める上から0.5%以上の導入が好ましいが、10%を超えて導入すると、液相温度が急激に上昇し、失透に対する安定性も悪化するので、その導入量は、0.5〜10%の範囲が好ましく、1〜10%の範囲が好ましい。ZrOは、重量%表示では0〜9重量%が好ましい。
Taは高屈折率・低分散の成分として使われる任意成分である。少量のTaを導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果があるため、Taを導入することが望ましい。Ta導入の効果を高める上から0.2%以上の導入が好ましく、液相温度の急激な上昇、分散の増大を避ける上から10%以下とすることが好ましい。したがって、その導入量は0.2〜10%が好ましく、1〜8%がより好ましい。Taは、重量%表示では0〜25重量%が好ましい。
WOは、ガラスの安定性、溶融性を改善し、屈折率を向上させるために適宜導入される成分であるが、その導入量が10%を超えると、分散が大きくなり、必要な低分散特性が得られなくなるため、その導入量は0〜10%が好ましく、0〜7%がより好ましく、0.5〜7%がさらに好ましい。WOは、重量%表示では0〜15重量%が好ましい。
、Ybは高屈折率・低分散の成分として使用される任意成分であり、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、過剰の導入によりガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、ガラス転移温度や屈伏点温度を上昇させる。そのため、Yの含有量は0〜4%が好ましく、0〜3%がより好ましく、重量%表示では0〜6重量%(但し、6重量%を除く)が望ましく、0〜5重量%がより望ましい。Ybの含有量は0〜0.5%が好ましく、重量%表示では0〜1重量%(但し、1重量%を除く)が望ましく、0〜0.9重量%がより望ましい。
なお、La、Gd、YおよびYbの合計含有量は12〜32%にすることが好ましい。また、これらの合計含有量を重量%表示にて50重量%未満にすることが望ましく、49重量%以下にすることがより望ましい。
TiOは光学恒数の調整のため導入可能な任意成分であるが、過剰の導入によって分散が大きくなり、目的とする光学恒数を得ることができなくなるため、含有量を0〜3%とすることが好ましく、導入しないことがより好ましい。なお、重量%表示による好ましい範囲は0〜2重量%(但し、2重量%を除く)であり、より好ましい範囲は0〜1.5重量である。
CaOは物性調整のため導入可能な任意成分であるが、過剰の導入によって光学恒数が低下し、所望の屈折率が得られなくなるため、含有量を0〜5%とすることが好ましく、導入しないことがより好ましい。なお、重量%表示による好ましい範囲は0〜3重量%(但し、3重量%を除く)であり、より好ましい範囲は0〜2.5重量である。
BaOは高屈折率・低分散の成分として使用され、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、8%より多く導入するとガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、転移温度や屈伏点温度を上昇させるため、その導入量を0〜8%とすることが好ましく、0〜1%とすることがより好ましい。なお、重量%表示による好ましい範囲は0〜10重量%である。
Sbは脱泡剤として添加されるが、各ガラス成分の合計含有量に対してSbの添加量が1重量%を超えると、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面が損傷を受けるおそれが生じるため、Sbは各
ガラス成分の合計含有量に対して0〜1重量%添加することが好ましい。
一方、本発明のガラスプリフォームを構成する光学ガラスに含まれない成分として、PbOが挙げられる。PbOは有害であるとともに、PbOを含むガラスからなるプリフォームを非酸化性雰囲気中で精密プレス成形すると成形品の表面に鉛が析出して光学素子としての透明性が損なわれたり、析出した鉛がプレス成形型に付着するといった問題が生じる。
またGeOは他の成分に比べて桁違いに高価であるため導入しないことが望ましい。ただし、高価である点を容認するのであれば、2%未満まで導入することもできる。
Luは、一般に光学ガラスの成分としては、他の成分に比べて使用頻度が少なく、また、希少価値が高く光学ガラス原料としては高価であるため、含まないことが好ましい。上記組成からなる光学ガラスは、Luを導入しなくても精密プレス成形に好適なプリフォームを実現できる。
カドミウム、テルルなどの環境上問題となる元素、トリウムなどの放射性元素、ヒ素などの有毒な元素も含まないことが望ましい。また、ガラス溶融時の揮発などの問題からフッ素も含まないことが望ましい。
本発明のガラスプリフォームを形成する光学ガラスとしては、上記各成分の好ましい導入量、より好ましい導入量を任意に組合せることにより、上記効果をより一層高めることができるが、その中でも好ましい組成として、以下に示す組成1〜組成6が挙げられる。
(組成1)
40〜60%(但し、40%を除く)、
La 5〜25%、
Gd 2〜22%、
ZnO 5〜45%、
Gd/(Gd+Nb
0.91を超え1.00以下を満たす量のNb
SiO 0〜10%(但し、10%を除く)、
/(B+SiO) 0.84を超え1.00以下、
LaとGdの合計含有量 12%以上、
LiO 0.5〜15%、
ZnOとLiOの合計含有量 10%以上、
ZrO 0.5〜10%、
Ta 0.2〜10%、
WO 0〜10%、
0〜4%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜8%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
(組成2)
41〜60%、
La 5〜25%、
Gd 2〜20%、
ZnO 5〜45%、
Gd/(Gd+Nb
0.92〜1を満たす量のNb
SiO 0〜9%、
/(B+SiO) 0.85〜1.00
LaとGdの合計含有量 12%以上、
LiO 0.5〜15%、
ZnOとLi2Oの合計含有量 10%以上、
ZrO 0.5〜10%、
Ta 0.2〜10%、
WO 0〜10%、
0〜3%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜8%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
(組成3)
41〜60%、
La 5〜23%、
Gd 2〜15%、
ZnO 5〜45%、
Gd/(Gd+Nb
0.92〜1.00を満たす量のNb
SiO 0〜9%、
/(B+SiO) 0.85〜1.00、
LaとGdの合計含有量 12〜32%、
LiO 0.5〜15%、
ZnOとLiOの合計含有量 15%以上、
ZrO 0.5〜10%、
Ta 0.2〜10%、
WO 0〜7%、
0〜3%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜1%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
(組成4)
45%を超え60%以下、
La 5〜23%、
Gd 2〜22%、
ZnO 10〜32%、
Nb 0〜2%、
Gd/(Gd+Nb) 0.91を超え1.00以下、
SiO 0〜6%、
/(B+SiO) 0.85〜1.00、
LaとGdの合計含有量 12〜32%、
LiO 0.5〜10%、
ZnOとLiOの合計含有量 15%以上、
ZrO 0.5〜10%、
Ta 0.2〜10%、
WO 0〜7%、
0〜3%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜1%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
(組成5)
45%を超え60%以下、
La 7〜20%、
Gd 2〜22%、
ZnO 10〜32%、
Nb 0〜2%、
Gd/(Gd+Nb) 0.91を超え1.00以下、
SiO 0〜6%、
/(B+SiO) 0.85〜1.00、
LaとGdの合計含有量 14〜27%、
LiO 0.5〜10%、
ZnOとLiOの合計含有量 15〜35%、
ZrO 1〜10%、
Ta 1〜8%、
WO 0〜7%、
0〜3%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜1%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
(組成6)
45%を超え60%以下、
La 7〜20%、
Gd 2〜10%、
ZnO 10〜32%、
Gd/(Gd+Nb
0.92〜1.00を満たす量のNb
SiO 0〜6%、
/(B+SiO) 0.85〜1.00、
LaとGdの合計含有量 14〜27%、
LiO 0.5〜10%、
ZnOとLiOの合計含有量 15〜35%、
ZrO 1〜10%、
Ta 1〜8%、
WO 0.5〜7%、
0〜3%、
Yb 0〜0.5%、
TiO 0〜3%、
CaO 0〜5%、
BaO 0〜1%、
を含み、上記各ガラス成分の総量に対して0〜1重量%のSbが添加された光学ガラス。
本発明のガラスプリフォームを構成する光学ガラスは、B、La、ZnO、Gd、LiO、ZrO、Ta、WO、SiOの合計含有量が95%を超えることが好ましく、98%を超えることがより好ましく、99%を超えることがさらに好ましい。
特に、B、La、ZnO、Gd、LiO、ZrO、Ta、WO、SiOの合計含有量が95%を超えかつ95重量%を超えることが好ましく、98%を超えかつ98重量%を超えることがより好ましく、100%であることがさらに好ましい。
さらに、上記組成4、組成5、組成6においてB/(B+SiO)が0.88〜1.00である光学ガラスがより好ましい。
本発明のガラスプリフォームを構成する光学ガラスは、屈折率(n)が1.80を超え2.00以下であり、好ましくは1.80〜1.90
である。また、アッベ数(ν)は40〜45(但し、45を除く)であり、好ましくは40〜44.5である。
本発明のガラスプリフォームを構成する光学ガラスは、例えば、常法により原料化合物を調合し、溶解、清澄、撹拌、均一化して得られた熔融ガラスを成形、冷却することにより得ることができる。
本発明のガラスプリフォームを精密プレス成形することにより、高い面精度、内部品質が要求される光学素子を高い生産性のもとに製造するため、ガラスプリフォームを構成する光学ガラスも比較的低い温度で塑性変形可能な状態になるものが好ましい。ガラス転移温度が高いガラスを用いると、精密プレス成形の際プレス成形型の成形面も高温に曝されることになり、前記成形面の消耗が激しくなったり、破損が生じることになる。精密プレス成形では、プレス成形型の成形面に生じる欠陥が微小であっても、その欠陥が最終製品である光学素子の光学機能面に転写され、光学素子としての性能が損なわれることになってしまう。そのため、本発明のガラスプリフォームを構成する光学ガラスは、精密プレス成形性を考慮した場合、ガラス転移温度(Tg)が650℃以下であることが好ましく、630℃以下であることがより好ましい。また屈伏点(Ts)が670℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のガラスプリフォームを熔融ガラスから製造する場合に、熔融ガラスの流出、成形を安定して行うため、光学ガラスの粘度が液相温度において4〜40dPa・sを示すことが好ましく、5〜30dPa・sを示すことがより好ましい。
本発明のガラスプリフォームは、全表面が熔融状態のガラスが固化して形成されたものであることが好ましく、全表面が溶融状態のガラスが固化して形成されたものであって、機械加工されていないものがより好ましい。全表面が熔融状態のガラスを固化してガラスプリフォームを形成することにより、滑らかな面(研削痕、研磨痕のない面)を得ることができる。
本発明のガラスプリフォームの全表面は自由表面からなることが望ましい。自由表面とは、熔融状態や軟化状態にあるガラスが冷却する過程で、固体と接して前記固体の表面が転写されずに形成された表面のことである。具体的には熔融状態または軟化状態のガラスを風圧を加えて浮上させたまま冷却することによって全表面が熔融状態のガラスが固化して形成されたガラスプリフォームや全表面が自由表面であるガラスプリフォームを製造することができる。全表面が自由表面で形成されていると、研磨工程が不要となるため、環境への影響が少なく、コストも低下し、さらに、研磨痕が精密プレス成形後に残留し表面品質が低下することを避けることができる。
本発明のガラスプリフォームの表面には、必要に応じて精密プレス成形時にプレス成形型との融着を防止し、ガラスが型内に広がりやすくするための膜を形成することもできる。そのような膜としては炭素含有膜、自己組織化膜などを例示できる。炭素含有膜としては水素化カーボン膜、炭素膜などが望ましい。
本発明においてガラスプリフォームとは、加熱することにより精密プレス成形に供されるガラス製の予備成形体を意味し、ガラスプリフォームの形状は、精密プレス成形品(光学素子)の形状に応じて定められる。本発明のガラスプリフォームから製造される精密プレス成形品(光学素子)は、レンズのように回転対称軸を有するものが多いため、ガラスプリフォームの形状も回転対称軸を有する形状が望ましい。具体例としては、球あるいは回転対称軸を一つ備えるものを示すことができる。回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものなどがあり、球を扁平にした形状(球の中心を通る軸を一つ定め、前記軸方向に寸法を縮めた形状)を挙げることもできる。
また、精密プレス成形の特質上、ガラスプリフォームの内部は勿論、表面にも脈理、割れ、くもり、失透などの欠陥があってはならない。また、ガラスプリフォームの表面が精密プレス成形品(光学素子)の表面として最終製品に残るため、ガラスプリフォーム表面は滑らかであることが望ましい。
次に、本発明のガラスプリフォームの製造方法について説明する。この方法は、熔融ガラスから所定重量の熔融ガラス塊を分離、冷却して、該熔融ガラス塊と等しい重量を有する精密プレス成形用ガラスプリフォームを製造することを特徴とする。
より具体的には、十分熔解、清澄、均質化された、1000〜1400℃程度の温度、0.1〜5dPa・s程度の粘度を示す熔融ガラスを用意し、3〜60dPa・s程度の粘度になるように温度調整しつつ、流出ノズルあるいは流出パイプから排出することにより、ガラスプリフォームを製造する。
温度調整の方法としては、流出ノズル、流出パイプの温度を制御する方法を例示できる。流出ノズル、流出パイプの材質としては白金または白金合金が望ましい。具体的な製造方法としては、(イ)熔融ガラスを流出ノズルから所望重量の溶融ガラス滴として滴下し、それを受け部材によって受けてガラスプリフォームを製造する方法、(ロ)同じく所望重量の溶融ガラス滴を前記流出ノズルより液体窒素などに滴下してガラスプリフォームを製造する方法、(ハ)白金または白金合金製の流出パイプより溶融ガラス流を流下させ、溶融ガラス流の先端部を受け部材で受け、溶融ガラス流のノズルと受け部材の間にくびれ部を形成した後、くびれ部にて溶融ガラス流を分離して受け部材に所望重量の溶融ガラス塊を受けてガラスプリフォームに成形する方法などがある。溶融ガラスを滴下する場合、ガラスの粘度としては3〜30dPa・sが好ましく、溶融ガラスを溶融ガラス流として流下する場合は、ガラスの粘度としては2〜60dPa・sが好ましい。
キズ、汚れ、表面の変質などがない滑らかな表面、例えば自由表面を有するガラスプリフォームを製造するためには、成形型などの上で溶融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながらガラスプリフォームに成形したり、液体窒素などの常温、常圧下では気体の物質を冷却して液体にした媒体中に溶融ガラス滴を入れてガラスプリフォームに成形する方法が用いられる。
熔融ガラス塊を浮上させながらガラスプリフォームに成形する場合、熔融ガラス塊にはガス(浮上ガスという)が吹きつけられ上向きの風圧が加えられることになる。このとき、溶融ガラス塊の粘度が低すぎると浮上ガスがガラス中に入り込み、ガラスプリフォーム中に泡となって残ってしまう。しかし、溶融ガラス塊の粘度を上記範囲にすることにより、浮上ガスがガラス中に入り込むことなく、ガラス塊を浮上させることができる。
ガラスプリフォームに浮上ガスが吹き付けられる際に用いられるガスとしては、空気、Nガス、Oガス、Arガス、Heガス、水蒸気等が挙げられる。また、風圧は、ガラスプリフォームが成形型表面等の固体と接することなく浮上できれば特に制限はない。
本発明のガラスプリフォームの製造方法において、ガラスプリフォームの重量は熔融ガラス塊の重量に精密に一致するように定められる。本発明のガラスプリフォームを精密プレス成形することにより各種の精密プレス成形体が得られるが、目的とする精密プレス成形体の重量を基準にしたとき、ガラスプリフォームの重量が小さすぎると精密プレス成形時にガラスがプレス成形型の成形面に充分充填されず、所望の面精度が得られなかったり、精密プレス成形体の厚みが所望の厚みよりも薄くなるなどの問題が生じる。また、ガラスプリフォームの重量が大きすぎると、余分なガラスがプレス成形型間の隙間に入り込んで成形バリを生じたり、成形体の厚みが所望の厚みより厚くなるなどの問題が生じる。このため、ガラスプリフォームの重量は、一般的なプレス成形用のガラスプリフォームよりも精密に管理する必要があり、かかる理由により、ガラスプリフォームの重量と熔融ガラス塊の重量も精密に一致するように定められる。
次に本発明の光学素子について説明する。本発明の光学素子は、上記の本発明のガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形してなることを特徴とする。
本発明の光学素子の表面には、必要に応じて反射防止膜、反射膜、一部の波長域の光を反射する部分反射膜、一部の波長域の光を吸収する膜などを有していてもよい。
本発明の光学素子は上記諸物性を備える本発明のガラスプリフォームを精密プレス成形して得られるものであるため、光学機能面に研削、研磨等の加工によって生じる微小な傷等の欠陥がない。また、PbOを含まず、好ましくはGeOやLuを含まない光学ガラスからなるため、環境やコスト面から非常に優れている。
本発明の光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズなどの各種のレンズ、回折格子、プリズム、レンズ付きプリズム、ポリゴンミラーなどを例示できる。
次に、本発明の光学素子の製造方法について説明する。本発明の光学素子は、本発明のガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする。
精密プレス成形では、予め成形面を所望の形状に高精度に加工されたプレス成形型を用いるが、成形面には、プレス時のガラスの融着を防止するため、離型膜を形成してもよい。離型膜としては、炭素含有膜や窒化物膜、貴金属膜が挙げられ、炭素含有膜としては水素化カーボン膜、炭素膜などが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法としては、精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入し、該精密プレス成形用ガラスプリフォームとプレス成形型とをともに加熱し、精密プレス成形して光学素子を製造する方法や、プレス成形型の温度よりも高温に予熱された精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入して加熱し、精密プレス成形する方法が挙げられる。
より具体的には、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間にガラスプリフォームを供給した後、光学ガラスの粘度で10〜10dPa・s相当の温度まで成形型とガラスプリフォームの両者を昇温加熱してガラスプリフォームを軟化し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスプリフォームに転写することができる。
また、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間に、予めガラス粘度で10〜10dPa・s相当の温度に昇温したガラスプリフォームを供給してこれを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスプリフォームに転写することができる。
成形時の雰囲気は、成形型表面やガラスプリフォーム表面に設けられた離型膜を保護するため、非酸化性とすることが好ましい。非酸化性雰囲気としては、アルゴン、窒素等の不活性ガス、水素等の還元性ガス又はその混合ガスを使用することができ、好ましくは窒素ガスまたは少量の水素ガスが混合された窒素ガスを使用することができる。
加圧時の圧力及び時間は、光学ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、プレス圧力は約5〜15MPa、プレス時間は10〜300秒とすることができる。プレス時間、プレス圧力などのプレス条件は成形品の形状、寸法に合わせて周知の範囲で適宜設定すればよい。
この後、成形型とガラス成形体を冷却し、好ましくは歪点以下の温度となったところで、離型し、成形されたガラス成形体を取出す。なお、光学特性を精密に所望の値に合わせ込むため、冷却時におけるガラス成形体のアニール条件、例えばアニール速度等を適宜調整してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、光学ガラスの諸特性は、以下に示す方法により測定した。
(1)屈折率(n)及びアッベ数(ν
日本光学硝子工業会規格の屈折率測定方法により、ガラス転移温度(Tg)−屈伏点(Ts)間の温度で保持した光学ガラスを、降温速度を−30℃/時間にして得られた光学ガラスについて、nとνを測定した(カルニュー光学社製GMR−1使用)。
(2)ガラス転移温度(Tg)及び屈伏点(Ts)
理学電機株式会社の熱機械分析装置TMA8510により昇温速度を4℃/分、荷重98mNとして測定した。
(3)液相温度(LT)及び液相温度におけるガラスの粘度
液相温度は、熔融ガラスを所定温度に冷却して2時間の保持により結晶が析出しない最低温度とした。ガラスの粘度は、JIS Z 8803に規定される測定方法により、共軸二重円筒形回転粘度計を用いて、各光学ガラスの液相温度におけるガラスの粘度を測定した(東京工業株式会社製 高温粘度測定装置 RHEOTRONIC使用)。
(4)比重
アルキメデス法により測定した(ミラージュ貿易株式会社製電子比重計MD−200S使用)。
(実施例1〜39)
表1−1〜表1−4に示すガラス組成になるように、原料としてそれぞれ相当する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物など、例えば、SiO、HBO、La、ZnO、ZnCO、ZrO、LiCOなどを用いて250〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを白金るつぼに入れ、1200〜1450℃に保持した電気炉中において、攪拌しながら空気中で2〜4時間ガラスの溶融を行った。溶融後、熔融ガラスを40×70×15mmのカーボン製の金型に流し、ガラスの転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニールした後、炉内で室温まで放冷し光学ガラスを得た。得られた光学ガラス中には、顕微鏡で観察できる結晶は析出しなかった。表1−1〜表1−4にモル%表示した場合の各光学ガラスの組成を示し、表1−5に重量%表示した場合の各光学ガラスの組成を示す。
Figure 0004133975
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これらの光学ガラスの諸特性を表2−1、表2−2に示す。表2−1、表2−2に示すように、各光学ガラスは、屈折率(n)1.81697〜1.82796、アッベ数(ν)41.77〜43.11、ガラス転移温度(Tg)586〜598℃、屈伏点(Ts)630〜647℃、液相温度(LT)990〜1030℃、液相温度における粘度5〜9dPa・s、比重4.868〜5.051の範囲の値を示した。
Figure 0004133975
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次に上記電気炉内で1050〜1450℃に保持された熔融ガラス(ガラス粘度で3〜0.05dPa・sに相当する)を、1050℃(ガラス粘度で4dPa・sに相当する)に温度調節した白金合金製パイプから一定流速で連続して流下し、ガラスプリフォーム成形型で熔融ガラス流の先端を受け、所定重量の熔融ガラス塊が前記先端から分離するタイミングで成形型を熔融ガラス流の流下速度よりも十分大きな速度で降下し、熔融ガラス塊を分離した。なお、熔融ガラス滴下時のガラス粘度は、7dPa・sであった。
分離した熔融ガラス塊を上記成形型上で風圧を加えて浮上させながら球状のガラスプリフォームに成形し、アニールした。ガラスプリフォームの重量は0.01〜5gの範囲で設定したが、各熔融ガラス塊とそれに対応する各ガラスプリフォームの重量は等しく、また、設定重量に対する得られたガラスプリフォームの重量精度は±1%以内であった。
このようにして作製されたガラスプリフォームの表面全体は熔融ガラスが固化することにより形成されたものであり、自由表面であった。また表面、内部に脈理、失透、割れ、泡などの欠陥は認められなかった。
(実施例40)
次に、成形面に炭素含有膜(ダイヤモンド様カーボン膜)が設けられたSiC製のプレス成形型に、上記実施例1〜24で作製した各ガラスプリフォームを導入し、ガラスの粘度が10〜109dPa・sとなる温度にまでガラスプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、窒素雰囲気中においてプレス圧力5〜15MPa、プレス時間10〜300秒でプレス成形型を用いてガラスプリフォームを精密プレス成形した。得られた精密プレス成形品をアニールして非球面レンズを得た。得られたレンズの屈折率(n)ならびにアッベ数(ν)は上記ガラスプリフォームを形成する光学ガラスにおける値と一致した。
上記方法により、プレス成形型の形状、ガラスプリフォームの重量を適宜定め、球面レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズなどの各種のレンズ、回折格子、プリズム、レンズ付きプリズム、ポリゴンミラーなどの光学素子を作製した。得られた光学素子の形状精度は十分高いものであり、内部および表面には欠陥は認められなかった。
(実施例41)
次に、実施例1〜39の各ガラスプリフォームをガラスの粘度が10〜108dPa・sの粘度を示す温度にまで予熱してから、該予熱温度よりも低い温度に予熱された、成形面に炭素含有膜(ダイヤモンド様カーボン膜)が設けられたSiC製のプレス成形型に導入し、窒素雰囲気中においてプレス圧力5〜15MPa、プレス時間10〜300秒でプレス成形型を用いてガラスプリフォームを精密プレス成形した。
得られた精密プレス成形体をアニールして非球面レンズを得た。得られたレンズの屈折率(n)ならびにアッベ数(ν)は上記ガラスプリフォームを形成する光学ガラスにおける値と一致する。
上記方法により、プレス成形型の形状、ガラスプリフォームの重量を適宜定め、球面レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズなどの各種のレンズ、回折格子、プリズム、レンズ付きプリズム、ポリゴンミラーなどの光学素子を作製した。得られた光学素子の形状精度は十分高いものであり、内部および表面には欠陥は認められなかった。
本発明の精密プレス成形用ガラスプリフォームを用いることにより、簡便かつ生産性よく高屈折率、低分散性を有する光学素子を製造することが可能となり、また、かかる光学素子は、デジタルカメラ等の高集積化・高機能化が進められる光学機器に好適に使用すること可能である。

Claims (18)

  1. モル%表示で、ガラス成分としてB 40〜60%(但し、40%を除く)、La 5〜25%、Gd 2〜22%、LiO 0.5〜15%、 ZnO 5%以上(但し、LiOとZnOとの合計含有量 27.05%以下)、SiO 0〜10%(但し、10%を除く)を含み、PbOを含まず、BとSiOの合計含有量に対するBの含有量の割合(B/(B+SiO))が0.85〜1.00、Gdと任意成分であるNbの合計含有量に対するGdの含有量の割合(Gd/(Gd+Nb))が0.91を超え1.00以下であって、屈折率(n)が1.80を超え2.00以下、アッベ数(ν)が40〜45(但し、45を除く)である光学ガラスからなることを特徴とする精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  2. 光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてTa 0.2〜10%を含む、請求項1に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  3. 光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてZrO 0.5〜10%を含む、請求項1または2に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  4. 光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてLiO 0.5〜15%(但し、LiOと前記ZnOの合計含有量 10%以上)、ZrO 0.5〜10%、Ta 0.2〜10%、WO 0.5〜10%、Y 0〜4%、Yb 0〜0.5%、LaとGdを合計含有量で12%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  5. 光学ガラスが、モル%表示で、ガラス成分としてTa 1〜10%を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  6. 光学ガラスにおけるBとSiOの合計含有量に対するSiOの含有量の割合(SiO/(B+SiO))が0以上0.16未満、GdとNbの合計含有量に対するNbの含有量の割合(Nb/(Gd+Nb))が0以上0.09未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  7. 光学ガラスのガラス転移温度が650℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  8. 光学ガラスの液相温度における粘度が4〜40dPa・sである、請求項1〜7のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  9. 全表面が熔融状態の光学ガラスが固化して形成された、請求項1〜8のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  10. 全表面が自由表面からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  11. 熔融ガラスから所定重量の熔融ガラス塊を分離、冷却して、該熔融ガラス塊と等しい重量を有する精密プレス成形用ガラスプリフォームを製造することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  12. 熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながら成形する、請求項11に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形してなることを特徴とする光学素子。
  14. 請求項11または12に記載の方法により製造された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形してなることを特徴とする光学素子。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
  16. 請求項11または12に記載の方法により製造された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
  17. 精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入し、プレス成形型とともに精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱し、精密プレス成形する、請求項15または16に記載の光学素子の製造方法。
  18. プレス成形型の温度よりも高温に予熱された精密プレス成形用ガラスプリフォームをプレス成形型に導入して加熱し、精密プレス成形する、請求項15または16に記載の光学素子の製造方法。
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