JP2019151524A - 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる光学ガラスを提供する。【解決手段】質量%で、SiO2:30%以上50%以下、B2O3:25%以上38%以下、Al2O3:2%以上12%以下、Li2O:0%以上5%以下、Na2O:0%以上12%以下、K2O:0%以上10%以下、MgO:0%以上10%以下、CaO:0%以上10%以下、SrO:0%以上5%以下、BaO:0%以上5%以下、ZnO:0%以上15%以下、TiO2:0%以上5%以下、及びZrO2:0%以上5%以下を含む組成を有し、B2O3/(SiO2+Al2O3)で表される質量比が0.53以上0.72以下であり、且つ、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計の含有量が6%以上17%以下である、ことを特徴とする、光学ガラスである。【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子に関する。
屈折率(nd)1.48〜1.54、アッベ数(νd)58〜67付近の光学恒数を有する、いわゆるBKタイプに分類される光学ガラスは、古くより大量に生産され、現在においても、デジタルカメラなどの撮像用レンズ、光ピックアップレンズ、光通信用レンズなど、幅広い用途に使用されている。
ここで、光学ガラスは、しばしば、精密プレス成形用プリフォームの製造に用いられる。光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォームの製造としては、従来の研削及び研磨による方法と、ガラス融液を直接滴下し金型等で受けて得る方法(滴下法)とが挙げられる。中でも、滴下法は、研削及び研磨が不要のため、低コストで、且つ環境負荷低減の効果も期待できる、より優れた製造方法である。
但し、滴下法は、その原理上、ガラス融液の粘度(例えば、1300℃における粘度)が過度に高い場合には、実施が困難である。このような状況下、所望の光学恒数を有するとともに、滴下法を採用すべく融液の粘度が低い光学ガラスが求められている。
例えば、特許文献1は、SiO、B、RO(R:Li、Na、K)及びAlを特定の組成範囲にすることにより、高温域においてより低粘性となって、滴下法によりプリフォームを作製するのに適したBKタイプのホウケイ酸系ガラスを開示している。
特開2002−201037号公報
ところで、精密プレス成形においては、超硬金型が使用されることが多く、そのため、素材として用いる光学ガラスは、割れ及び欠け等の欠陥の発生を回避するために、超硬金型との膨張係数差が小さいこと、即ち、低膨張性を有することが好ましい。更に、このような低膨張性を有するガラスは、セラミックス及び金属合金のような低膨張材料と接着した場合においても、膨張係数差によって生じる破損のリスクが低いため、封止用材料及び鏡筒一体成形用レンズ材料などとして好ましく用いることができる。
なお、光学ガラスの分野において、「低膨張性」とは、一般的に、平均線膨張係数(α100−300℃)がおよそ80×10−7/℃以下であることを指す。
ところが、本発明者らが鋭意検討したところ、上記特許文献1に記載の従来の光学ガラスは、膨張係数が比較的大きいことが明らかとなり、精密プレス成形時に、膨張係数差に起因する割れ及び/又は欠けが生じる確率が比較的高いことが分かった。加えて、上記特許文献1に記載の従来の光学ガラスは、耐水性が不十分となる傾向にあることも分かった。かかる耐水性は、レンズのように大気に近い位置に配置されて使用される光学素子が多い点、及び、製造工程(研磨工程)で水が用いられる点などの観点から、極めて重要な品質の一つである。
そのため、上記従来の光学ガラスは、少なくとも低膨張性及び耐水性の向上の点で、改良の余地があった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる光学ガラス、並びに、当該光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ホウケイ酸系ガラスの、特にBを多く含む組成において、SiO及びAlを、Bに対して所定比で含ませ、更にLiO、NaO、及びKOの合計の含有量を適正範囲内とすることにより、融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる光学ガラスを作製することができることを見出した。
即ち、本発明の光学ガラスは、
質量%で、
SiO:30%以上50%以下、
:25%以上38%以下、
Al:2%以上12%以下、
LiO:0%以上5%以下、
NaO:0%以上12%以下、
O:0%以上10%以下、
MgO:0%以上10%以下、
CaO:0%以上10%以下、
SrO:0%以上5%以下、
BaO:0%以上5%以下、
ZnO:0%以上15%以下、
TiO:0%以上5%以下、及び
ZrO:0%以上5%以下
を含む組成を有し、
/(SiO+Al)で表される質量比が0.53以上0.72以下であり、且つ、
LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が6%以上17%以下である、ことを特徴とする。かかる光学ガラスは、融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる。
本発明の光学ガラスは、日本光学硝子工業会規格のJOGIS08−2003に準拠して測定される平均線膨張係数(α100−300℃)が80×10−7/℃以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、1300℃における粘度が20dPa・s以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、日本光学硝子工業会規格のJOGIS06−2009に準拠して測定される耐水性の級が1〜4であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.48以上1.54以下であり、アッベ数(νd)が58以上67以下であることが好ましい。
また、本発明の精密プレス成形用プリフォームは、上記光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。
更に、本発明の光学素子は、上記光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。
本発明によれば、融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる光学ガラス、並びに、当該光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子を提供することができる。
(光学ガラス)
以下、本発明の一実施形態の光学ガラス(以下、「本実施形態の光学ガラス」と称することがある。)を具体的に説明する。本実施形態の光学ガラスは、質量%で、
SiO:30%以上50%以下、
:25%以上38%以下、
Al:2%以上12%以下、
LiO:0%以上5%以下、
NaO:0%以上12%以下、
O:0%以上10%以下、
MgO:0%以上10%以下、
CaO:0%以上10%以下、
SrO:0%以上5%以下、
BaO:0%以上5%以下、
ZnO:0%以上15%以下、
TiO:0%以上5%以下、及び
ZrO:0%以上5%以下
を含む組成を有し、
/(SiO+Al)で表される質量比が0.53以上0.72以下であり、且つ、
LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が6%以上17%以下である、ことを特徴とする。
なお、本実施形態の光学ガラスは、上述した成分以外のその他の成分(後述)を含んでもよい。但し、本実施形態の光学ガラスは、融液の粘度の低減、並びに低膨張性及び耐彗星の向上をより確実に発現させる観点から、上述した成分のみからなる組成を有することが好ましい。
ここで、「上述した成分のみからなる」とは、当該成分以外の不純物成分が不可避的に混入する、具体的には、不純物成分の割合が0.2質量%以下である場合を包含することとする。
まず、本実施形態において、光学ガラスの組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り、質量%を意味するものとする。
<SiO
本実施形態の光学ガラスにおいて、SiOは、ガラスの網目構造を形成し、ガラスに製造可能な耐失透安定性を持たせるとともに、ガラスの低膨張性、及び耐水性を高めることができる有用成分である。しかしながら、その含有量が50%を超えると、ガラス融液の粘度が高くなり、一方、その含有量が30%未満であると、耐失透安定性、低膨張性、及び耐水性を向上させる効果が十分に得られない。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、SiOの含有量を30%以上50%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるSiOの含有量は、32.5%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、また、47.5%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。
<B
実施形態の光学ガラスにおいて、Bは、ガラスの網目構造を形成し、ガラスに製造可能な耐失透安定性を持たせるとともに、ガラス融液の粘度の低減、及び低膨張性の向上をもたらすことができる有用成分である。しかしながら、その含有量が38%を超えると、耐水性が低下し、一方、その含有量が25%未満であると、低膨張性を向上させる効果が得られない。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Bの含有量を25%以上38%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるBの含有量は、26%以上であることが好ましく、27%以上であることがより好ましく、また、37%以下であることが好ましく、36%以下であることがより好ましい。
<Al
本実施形態の光学ガラスにおいて、Alは、ガラスの分相を抑制し、ガラスに製造可能な耐失透安定性を持たせるとともに、ガラスの低膨張性、及び耐水性を高めることができる有用成分である。しかしながら、その含有量が12%を超えると、ガラス融液の粘度が高くなり、一方、その含有量が2%未満であると、耐失透安定性、低膨張性、及び耐水性を向上させる効果が十分に得られない。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Alの含有量を2%以上12%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるAlの含有量は、3%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、また、11%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
<SiO、B、及びAlの含有量の関係性>
ここで、本実施形態の光学ガラスは、B/(SiO+Al)で表される質量比が0.53以上0.72以下であることを要する。上記質量比が0.53未満であると、SiO、B及びAlの各含有量が上述した範囲内にあったとしても、低膨張性が悪化する上、ガラス融液の粘度が上昇する虞がある。また、上記質量比が0.72超であると、SiO、B及びAlの各含有量が上述した範囲内にあったとしても、耐水性が悪化する虞がある。そして、本実施形態の光学ガラスにおける上記質量比は、低膨張性をより効果的に向上させ、ガラス融液の粘度をより十分に低減する観点から、0.54以上であることが好ましく、また、耐水性をより効果的に向上させる観点から、0.68以下であることが好ましい。
<LiO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、LiOは、ガラス融液の粘度を低減させることができる成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、ガラスの低膨張性、及び耐水性が著しく低下し、また、原料コストも高くなってしまう(近年、価格が上昇傾向にある)。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、LiOの含有量を0%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるLiOの含有量は、3%以下であることが好ましく、3%未満であることがより好ましい。
<NaO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、NaOは、ガラス融液の粘度を低減させることができる成分である。しかしながら、その含有量が12%を超えると、ガラスの低膨張性、及び耐水性が低下する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、NaOの含有量を0%以上12%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるNaOの含有量は、11%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
<KO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、KOは、ガラス融液の粘度を低減させることができる成分である。しかしながら、その含有量が10%を超えると、ガラスの低膨張性、及び耐水性が低下する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、KOの含有量を0%以上10%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるKOの含有量は、9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
<LiO、NaO、及びKOの合計>
ここで、本実施形態の光学ガラスは、LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が、6%以上17%以下であることを要する。上記合計の含有量が17%を超えると、ガラスの低膨張性、及び耐水性が低下し、一方、6%未満であると、ガラス融液の粘度を低減させる効果が十分に得られない。なお、本実施形態の光学ガラスにおけるLiO、NaO、及びKOの合計の含有量は、ガラス融液の低粘度性をより高める観点から、7%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、また、ガラスの低膨張性、及び耐水性の低下をより十分に抑制する観点から、16%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
<MgO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、MgOは、ガラス融液の低粘度性を損なうことなく、耐水性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が10%を超えると、低膨張性が悪化する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、MgOの含有量を0%以上10%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるMgOの含有量は、9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
<CaO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、CaOは、ガラス融液の低粘度性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が10%を超えると、耐水性、及び低膨張性が悪化する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、CaOの含有量を0%以上10%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるCaOの含有量は、9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
<SrO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、SrOは、ガラス融液の低粘度性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、耐水性、及び低膨張性が悪化する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、SrOの含有量を0%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるSrOの含有量は、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。なお、本実施形態の光学ガラスは、SrOを含まなくてもよい。
<BaO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、BaOは、ガラス融液の低粘度性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、耐水性、及び低膨張性が悪化する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、BaOの含有量を0%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるBaOの含有量は、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。なお、本実施形態の光学ガラスは、BaOを含まなくてもよい。
<ZnO>
本実施形態の光学ガラスにおいて、ZnOは、ガラス融液の低粘度性を損なうことなく、耐水性、及び低膨張性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が15%を超えると、耐水性が低下し、また、屈折率(nd)が高まるため、目的の光学恒数を有した光学ガラスを製造することが困難になる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、ZnOの含有量を0%以上15%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるZnOの含有量は、12.5%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
<TiO
本実施形態の光学ガラスにおいて、TiOは、耐水性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、屈折率(nd)が高まるため、目的の光学恒数を有した光学ガラスを製造することが困難になる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、TiOの含有量を0%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるTiOの含有量は、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
<ZrO
本実施形態の光学ガラスにおいて、ZrOは、耐水性を高めることができる成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、屈折率(nd)が高まるため、目的の光学恒数を有した光学ガラスを製造することが困難になる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、ZrOの含有量を0%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるZrOの含有量は、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の光学ガラスには、目的を外れない限り、上述した成分以外のその他の成分、例えば、GeO、Nb、Ta、WO、Bi、Y、La、Gdなどを少量含有させることができる。
次に、本実施形態の光学ガラスの諸特性について説明する。
<屈折率(nd)及びアッベ数(νd)>
本実施形態の光学ガラスは、いわゆるBKタイプの光学恒数を有することができる。
具体的に、本実施形態の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.48以上1.54以下とすることが好ましい。また、本実施形態の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.485以上であることがより好ましく、1.49以上であることが更に好ましく、また、1.535以下であることがより好ましく、1.53以下であることが更に好ましい。
一方、本実施形態の光学ガラスのアッベ数(νd)は、58以上67以下とすることができる。また、本実施形態の光学ガラスのアッベ数(νd)は、59以上であることがより好ましく、60以上であることが更に好ましく、また、66以下であることがより好ましく、65以下であることが更に好ましい。
<平均線膨張係数(α100−300℃)>
本実施形態の光学ガラスは、上述した通り、低膨張性を有する。具体的に、本実施形態の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が、80×10−7/℃以下であることが好ましく、78×10−7/℃以下であることがより好ましく、76×10−7/℃以下であることが更に好ましい。
なお、上述の「平均線膨張係数(α100−300℃)」は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に準拠して測定される値を指す。
<融液の粘度>
本実施形態の光学ガラスは、上述した通り、融液の粘度が低い。具体的に、本実施形態の光学ガラスは、1300℃における粘度が、20dPa・s以下であることが好ましく、17.5dPa・s以下であることがより好ましく、15dPa・s以下であることが更に好ましい。
<耐水性>
本実施形態の光学ガラスは、上述した通り、耐水性に優れる。具体的に、本実施形態の光学ガラスは、日本光学硝子工業会規格のJOGIS06−2009「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」に準拠して測定される化学的耐久性(耐水性)の級が、1〜4であることが好ましい。
<光学ガラスの製造方法>
次に、本実施形態の光学ガラスの製造方法について説明する。
ここで、本実施形態の光学ガラスは、各成分の組成が上述した範囲を満足していればよく、その製造方法については特に限定されることなく、従来の製造方法に従って製造することができる。
例えば、まず、本実施形態の光学ガラスに含まれ得る各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを所定の割合で秤量し、十分混合したものをガラス調合原料とする。次いで、この原料を、ガラス原料等と反応性のない熔融容器(例えば貴金属坩堝)に投入して、電気炉にて1200〜1500℃に加熱して熔融し、適時撹拌する。次いで、電気炉で清澄、均質化してから、適当な温度に予熱した金型内に鋳込んだ後、電気炉内で徐冷して歪みを取り除くことで、本実施形態の光学ガラスを製造することができる。なお、ガラスの着色改善や脱泡のため、ごく少量(例えば、光学ガラス中において0.5%以下となるような量)のSbなど、工業上周知の成分を加えることができる。
なお、本実施形態の光学ガラスは、後述の通り、精密プレス成形用プリフォーム及び光学ガラスの素材として用いることができる。但し、本実施形態の光学ガラスは、低膨張性を有することから、上述したもの以外にも、封止用材料、より具体的には、セラミックス及び金属合金のような低膨張材料と接着し得る封止用材料として用いることもできる。
(精密プレス成形用プリフォーム)
以下、本発明の一実施形態の精密プレス成形用プリフォーム(以下、「本実施形態のプリフォーム」と称することがある。)を具体的に説明する。
ここで、精密プレス成形用プリフォーム(Precision press−molding preform)は、周知の精密プレス成形法に用いられる予備成形されたガラス素材であり、即ち、加熱して精密プレス成形に供されるガラス予備成形体を意味する。
ここで、精密プレス成形とは、周知のようにモールドオプティクス成形とも呼ばれ、最終的に得られる光学素子の光学機能面を、プレス成形型の成形面を転写することにより形成する方法である。なお、光学機能面とは、光学素子における、制御対象の光を屈折したり、反射したり、回折したり、入出射させたりする面を意味し、例えば、レンズにおけるレンズ面などが、この光学機能面に相当する。
そして、本実施形態のプリフォームは、上述した光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。このように、本実施形態のプリフォームは、上述した光学ガラスを素材として用いているため、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる。
なお、本実施形態のプリフォームは、所望の性能を得る観点から、本発明の光学ガラスについて既述した、各成分の組成に関する必須要件を満たすことが好ましく、本発明の光学ガラスについて既述した、好ましいとされる各種要件を満たすことがより好ましい。
本実施形態のプリフォームの作製方法としては、特に限定されない。ただし、本実施形態のプリフォームは、上記光学ガラスの優れた特質を活かして、次の作製方法により作製することが望ましい。
第1のプリフォームの作製方法(「プリフォーム製法I」とする。)は、素材としての光学ガラスを熔融し、得られた熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を冷却する過程で、プリフォームに成形する方法である。
第2のプリフォームの作製方法(「プリフォーム製法II」とする。)は、素材としての光学ガラスを熔融し、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、該成形体を加工して、プリフォームを得る方法である。
プリフォーム製法I、IIとも、素材としての光学ガラスから均質な熔融ガラスを得る工程を含む点において、共通する。この工程では、例えば、所望の特性が得られるように調合して製造した光学ガラス原料を白金製の熔融容器内に入れ、加熱、熔融、清澄、均質化して均質な熔融ガラスを用意し、温度調整された白金または白金合金製の流出ノズルあるいは流出パイプから流出することができる。なお、光学ガラス原料を粗熔解してカレットを作製し、このカレットを調合して加熱、熔融、清澄、均質化して均質な熔融ガラスを得、上記流出ノズルあるいは流出パイプから流出するようにしてもよい。
ここで、小型のプリフォームや球状のプリフォームを作製する場合は、例えば、熔融ガラスを流出ノズルから所望質量の熔融ガラス滴として滴下し、それを金型等で受けてプリフォームに成形する方法を採用することができる。或いは、同じく所望質量の熔融ガラス滴を流出ノズルより液体窒素などに滴下してプリフォームを成形する方法を採用することができる。
一方、中大型のプリフォームを作製する場合は、例えば、流出パイプより熔融ガラス流を流下させ、熔融ガラス流の先端部をプリフォーム成形型等で受け、熔融ガラス流のノズルとプリフォーム成形型との間にくびれ部を形成した後、プリフォーム成形型を真下に急降下して、熔融ガラスの表面張力によってくびれ部にて熔融ガラス流を分離し、受け部材に所望質量の熔融ガラス塊を受けてプリフォームに成形する方法を採用することができる。
これらの方法は、いずれも、滴下法に分類される。そして、上述の通り、素材として用いる光学ガラスの融液の粘度が低いことから、好適に、これら滴下法を実施することが可能である。
なお、キズ、汚れ、シワ、表面の変質などがない滑らかな表面、例えば自由表面を有するプリフォームを得るためには、プリフォーム成形型などの上で熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながらプリフォームに成形したり、液体窒素などの常温、常圧下では気体の物質を冷却して液体にした媒体中に熔融ガラス滴を入れてプリフォームに成形したりする方法などが用いられる。
ここで、熔融ガラス塊を浮上させながらプリフォームに成形する場合、熔融ガラス塊には、ガス(浮上ガスという)が吹きつけられ、上向きの風圧が加えられることになる。この際、熔融ガラス塊の粘度が低すぎると、浮上ガスがガラス中に入り込み、プリフォーム中に泡となって残ってしまう。しかし、熔融ガラス塊の粘度を3〜60dPa・sにすることにより、浮上ガスがガラス中に入り込むことなく、ガラス塊を浮上させることができる。
プリフォームに浮上ガスが吹き付けられる際に用いられるガスとしては、空気、Nガス、Oガス、Arガス、Heガス、水蒸気等が挙げられる。また、風圧は、プリフォームが成形型表面等の固体と接することなく浮上できれば、特に制限はない。
プリフォームより製造される精密プレス成形品(例えば、光学素子)は、レンズのように回転対称軸を有するものが多いため、プリフォームの形状も回転対称軸を有する形状が望ましい。具体例としては、球あるいは回転対称軸を一つ備えるものを示すことができる。回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものなどがあり、球を扁平にした形状(球の中心を通る軸を一つ定め、前記軸方向に寸法を縮めた形状)を挙げることもできる。
プリフォーム製法Iでは、光学ガラスを塑性変形可能な温度域で成形するので、ガラス塊をプレス成形することによりプリフォームを得てもよい。その場合、プリフォームの形状を比較的自由に設定することができるので、目的とする精密プレス成形品の形状に近似させ、例えば、対向する面の一方を凸、他方を凹形状にしたり、両方を凹面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凸面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凹面にしたり、両面とも凸面にしたりすることができる。
プリフォーム製法IIでは、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した後、成形体の歪をアニールによって除去し、切断または割断して、所定の寸法、形状に分割し、複数個のガラス片を作製し、ガラス片を研磨して表面を滑らかにするとともに、所定の質量のガラスからなるプリフォームを得ることができる。このようにして作製したプリフォームの表面にも、炭素含有膜を被覆して使用することが好ましい。プリフォーム製法IIは、研削、研磨を容易にすることができる球状のプリフォーム、平板状のプリフォームなどの製造に好適である。
いずれの製法においても、使用する光学ガラスの低膨張性や耐水性が優れているため、ガラスの割れ、欠け、失透などを理由とする不良品が発生しにくく、高品質なプリフォームを安定して製造することができ、また、光学素子の製造プロセス全体の量産性を高めることができる。
次に、精密プレス成形による光学素子等の成形品の量産性を更に高める上から、より好ましいプリフォームについて説明する。
本実施形態の光学ガラスは、ガラス素材の面から、優れた精密プレス成形性を提供するが、精密プレス成形におけるガラスの変形量を減少させることにより、精密プレス成形時のガラスと成形型の温度の低下、プレス成形に要する時間の短縮化、プレス圧力の低減などが可能になる。その結果、ガラスと成形型の成形面との反応性が低下し、精密プレス成形時に発生する上記不具合が低減され、量産性がより高まる。
ここで、プリフォームを精密プレス成形してレンズを作製する場合における好ましいプリフォームは、互いに反対方向を向く被プレス面(精密プレス成形時に対向する成形型成形面でプレスされる面)を有するプリフォームであり、更に2つの被プレス面の中心を貫く回転対称軸を有するプリフォームがより好ましい。こうしたプリフォームのうち、メニスカスレンズの精密プレス成形に好適なものは、被プレス面の一方が凸面、他方が凹面、平面、前記凸面より曲率が小さいと凸面のいずれかであるプリフォームである。
また、両凹レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面、凹面、平面のいずれかであり、他方が凸面、凹面、平面のいずれかであるプリフォームである。
一方、両凸レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面であり、他方が凸面または平面であるプリフォームである。
いずれの場合においても、プリフォームは、精密プレス成形品の形状により近似する形状のプリフォームであることが好ましい。
なお、プリフォーム成形型を用いて熔融ガラス塊をプリフォームに成形する場合、前記成形型上のガラスの下面は、成形型における成形面の形状によって概ね定まる。一方、前記ガラスの上面は、熔融ガラスの表面張力とガラスの自重とによって定まる形状となる。ここで、精密プレス成形時におけるガラスの変形量を低減するには、プリフォーム成形型において成形中のガラスの上面の形状も制御する必要がある。熔融ガラスの表面張力とガラスの自重とによって定まるガラス上面の形状は、凸面状の自由表面となるが、上面を平面、凹面あるいは前記自由表面よりも曲率が小さい凸面にするには、前記ガラス上面に圧力を加えることができる。具体的には、ガラス上面を所望形状の成形面を有する成形型でプレスしたり、ガラス上面に風圧を加えて所望形状に成形したりすることができる。なお、成形型でガラス上面をプレスする際、成形型の成形面に複数のガス噴出口を設け、これらガス噴出口からガスを噴出して成形面とガラス上面の間にガスクッションを形成し、ガスクッションを介してガラス上面をプレスしてもよい。あるいは、上記自由表面よりも曲率の大きい面にガラス上面を成形したい場合は、ガラス上面を近傍に負圧を発生させて上面を盛り上げるように成形してもよい。
また、プリフォームは、精密プレス成形品の形状により近似する形状とするため、表面を研磨したプリフォームであることも好ましい。例えば、被プレス面の一方が平面または球面の一部になるように研磨され、他方が球面の一部または平面になるように研磨されたプリフォームが好ましい。ここで、球面の一部は凸面でも凹面でもよいが、凸面とするか凹面とするかは、上記のように精密プレス成形品の形状によって決めることが望ましい。
上記各プリフォームは、直径が10mm以上のレンズの成形に好ましく用いることができ、直径が20mm以上のレンズの成形により好ましく用いることができる。また、中心肉厚が2mmを超えるレンズの成形にも好ましく用いることができる。
(光学素子)
以下、本発明の一実施形態の光学素子(以下、「本実施形態の光学素子」と称することがある)を具体的に説明する。
本実施形態の光学素子は、上述した光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。このように、本実施形態の光学素子は、上述した光学ガラスを素材として用いているため、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる。
なお、本実施形態の光学素子は、所望の性能を得る観点から、本実施形態の光学ガラスについて既述した、各成分の組成に関する必須要件を満たすことが好ましく、本実施形態の光学ガラスについて既述した、好ましいとされる各種要件を満たすことがより好ましい。
光学素子の種類は限定されないが、典型的なものとしては、非球面レンズ、球面レンズ、あるいは平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどのレンズ;マイクロレンズ;レンズアレイ;回折格子付きレンズ;プリズム;レンズ機能付きプリズム;などを例示することができる。光学素子として、好ましくは、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのレンズ、プリズム、回折格子を例示することができる。上記各レンズは非球面レンズであってもよいし、球面レンズであってもよい。表面には必要に応じて反射防止膜や波長選択性のある部分反射膜などを設けてもよい。
<光学素子の製造方法>
次に、本実施形態の光学素子の製造方法について説明する。
本実施形態の光学素子は、例えば、上記のプリフォームをプレス成形型を用いて精密プレス成形することにより、製造することができる。
ここで、精密プレス成形では、予め成形面を所望の形状に高精度に加工されたプレス成形型を用いることができるが、成形面には、プレス時のガラスの融着を防止しつつ、成形面に沿ってガラスの延びが良好になるようにするため、離型膜を形成してもよい。離型膜としては、貴金属(白金、白金合金)の膜、酸化物(Si、Al、Zr、Yの酸化物など)の膜、窒化物(B、Si、Alの窒化物など)の膜、炭素含有膜が挙げられる。炭素含有膜としては、炭素を主成分とするもの(膜中の元素含有量を原子%で表したとき、炭素の含有量が他の元素の含有量よりも多いもの)が望ましく、具体的には、炭素膜や炭化水素膜などを例示することができる。炭素含有膜の成膜法としては、炭素原料を使用した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法や、炭化水素などの材料ガスを使用した熱分解などの公知の方法を用いればよい。その他の膜については、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法等を用いて成膜することが可能である。
また、プレス成形型並びにプリフォームの加熱及び精密プレス成形工程は、プレス成形型の成形面あるいは前記成形面に好適に設けられた離型膜の酸化を防止するため、窒素ガス、あるいは窒素ガスと水素ガスの混合ガスなどのような非酸化性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性ガス雰囲気中では、プリフォームの表面を被覆する離型膜、特には炭素含有膜が酸化されずに、当該膜が、精密プレス成形された成形品の表面に残存することになる。この膜は、最終的には除去するべきものであるが、炭素含有膜等の離型膜を比較的容易に且つ完全に除去するには、精密プレス成形品を酸化性雰囲気、例えば大気中において加熱すればよい。炭素含有膜等の離型膜の除去は、精密プレス成形品が加熱により変形しないような温度で行うべきである。具体的には、炭素含有膜等の離型膜の除去は、ガラスの転移温度未満の温度範囲で行うことが好ましい。
なお、本実施形態の光学素子の製造方法としては、特に限定されず、以下に示す2つの製造方法が挙げられる。ここで、本実施形態の光学素子の製造においては、上記の精密プレス成形用プリフォームを、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返すことが、光学素子の量産の観点で好ましい。
第1の光学素子の製造方法(「光学素子製法I」とする。)は、プリフォームをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型とを一緒に加熱して精密プレス成形し、光学素子を得る方法である。
第2の光学素子の製造方法(「光学素子製法II」とする。)は、加熱したプリフォームを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形し、光学素子を得る方法である。
光学素子製法Iでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間にプリフォームを供給した後、ガラスの粘度が10〜10dPa・s相当の温度まで成形型及びプリフォームの両者を加熱してプリフォームを軟化し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法Iは、面精度、偏心精度など成形精度の向上が重視される場合に、推奨される方法である。
光学素子製法IIでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間に、予めガラスの粘度で10〜10dPa・sに相当する温度に昇温したプリフォームを供給し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法IIは、生産性向上が重視される場合に、推奨される方法である。
加圧時の圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、プレス圧力は約5〜15MPa、プレス時間は10〜300秒とすることができる。プレス時間、プレス圧力などのプレス条件は成形品の形状、寸法に合わせて周知の範囲で適宜設定すればよい。
この後、成形型と精密プレス成形品を冷却し、好ましくは歪点以下の温度となったところで、離型し、精密プレス成形品を取出す。なお、光学特性を精密に所望の値に合わせるため、冷却時における成形品のアニール処理条件、例えばアニール速度等を適宜調整してもよい。
なお、本実施形態の光学素子は、プレス成形工程を経なくても作製することはできる。例えば、均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックを成形し、アニールして歪を除去するとともに、ガラスの屈折率が所望の値になるようにアニール条件を調整して光学特性の調整を行ったのち、次にガラスブロックを切断または割断してガラス片を作り、更に研削、研磨して光学素子に仕上げることにより得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の光学ガラスを具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1,2に記載の各成分の原料としてそれぞれに相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを、ガラス化した後に100gとなるように秤量し、十分混合して、白金坩堝に投入し、電気炉にて1200〜1500℃で1〜2時間熔融した。その後、適時撹拌し、均質化を図り、清澄してから適当な温度に予熱した金型内に鋳込んだ後、電気炉内で徐冷して歪みを取り除くことで、実施例1〜17及び比較例1〜12の光学ガラスを得た。それぞれの光学ガラスについて、以下に示す手順に従い、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、平均線膨張係数(α100−300℃)、1300℃における粘度、及び耐水性の測定を行った。結果を表1,2に示す。
屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の測定は、日本光学硝子工業会規格の「JOGIS01−2003光学ガラスの屈折率の測定方法」に準拠して行った。
平均線膨張係数(α100−300℃)の測定は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に準拠して行った。値が小さいほど、低膨張性に優れることを示す。
1300℃における粘度の測定は、回転円筒法にて行った。具体的に、1300℃のガラス融液中に白金製の円筒を浸漬させ、円筒を回転させたときに当該円筒の受ける回転力(トルク)から粘度を求めた。
耐水性の測定は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS06−2009「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」に準拠して行い、級1〜6のいずれに該当するかについて評価した。級の数値が小さいほど、耐水性に優れることを示す。
Figure 2019151524
Figure 2019151524
表1から、本発明に従う実施例1〜17の光学ガラスは、いずれも、平均線膨張係数(α100−300℃)が80×10−7/℃以下と低膨張性を有し、また、1300℃における粘度が20dPa・s以下であり、また、耐水性の級が1〜4と耐水性に優れることが分かる。
これに対し、表2から、比較例1の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい上、耐水性に劣る。これは、SiOの含有量が少なすぎることに因るものと考えられる。
また、比較例2の光学ガラスは、1300℃における粘度が高い。これは、SiOの含有量が多すぎることに因るものと考えられる。
また、比較例3の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい。これは、Bの含有量が少なすぎることに因るものと考えられる。
また、比較例4の光学ガラスは、耐水性の級が5であり、耐水性に劣る。これは、Bの含有量が多すぎることに因るものと考えられる。
また、比較例5の光学ガラスは、作製時に失透したため、各種測定を行うことができなかった。これは、Alを含有しないことに因るものと考えられる。
また、比較例6の光学ガラスは、1300℃における粘度が高い。これは、Alの含有量が多すぎることに因るものと考えられる。
また、比較例7の光学ガラスは、1300℃における粘度が高い。これは、LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が少なすぎることに因るものと考えられる。
また、比較例8の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい上、耐水性の級が5であり、耐水性に劣る。これは、LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が多すぎることに因るものと考えられる。
また、比較例9の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい上、1300℃における粘度が高い。これは、B/(SiO+Al)で表される質量比が小さすぎることに因るものと考えられる。
また、比較例10の光学ガラスは、耐水性の級が5であり、耐水性に劣る。これは、B/(SiO+Al)で表される質量比が大きすぎることに因るものと考えられる。
また、比較例11の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい上、1300℃における粘度が高い。これは、Bの含有量が少なすぎること、B/(SiO+Al)で表される質量比が小さすぎること等に因るものと考えられる。
そして、比較例12の光学ガラスは、平均線膨張係数(α100−300℃)が大きい上、1300℃における粘度が高い。これは、SiOの含有量が多すぎること、B/(SiO+Al)で表される質量比が小さすぎること等に因るものと考えられる。
本発明によれば、融液の粘度が低い上、低膨張性を有し且つ耐水性に優れる光学ガラス、並びに、当該光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子を提供することができる。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    SiO:30%以上50%以下、
    :25%以上38%以下、
    Al:2%以上12%以下、
    LiO:0%以上5%以下、
    NaO:0%以上12%以下、
    O:0%以上10%以下、
    MgO:0%以上10%以下、
    CaO:0%以上10%以下、
    SrO:0%以上5%以下、
    BaO:0%以上5%以下、
    ZnO:0%以上15%以下、
    TiO:0%以上5%以下、及び
    ZrO:0%以上5%以下
    を含む組成を有し、
    /(SiO+Al)で表される質量比が0.53以上0.72以下であり、且つ、
    LiO、NaO、及びKOの合計の含有量が6%以上17%以下である、ことを特徴とする、光学ガラス。
  2. 日本光学硝子工業会規格のJOGIS08−2003に準拠して測定される平均線膨張係数(α100−300℃)が80×10−7/℃以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 1300℃における粘度が20dPa・s以下である、請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 日本光学硝子工業会規格のJOGIS06−2009に準拠して測定される耐水性の級が1〜4である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. 屈折率(nd)が1.48以上1.54以下であり、アッベ数(νd)が58以上67以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする、精密プレス成形用プリフォーム。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする、光学素子。
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