JP2007197317A - 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム及びその製造方法、光学素子及びその製造方法 - Google Patents

光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム及びその製造方法、光学素子及びその製造方法 Download PDF

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【課題】屈折率(nd)が1.75〜1.87であり、かつアッベ数(νd)が30〜45であって、Ta25を含まなくとも低温軟化性に優れ、かつ低コスト化を達成し得る光学ガラスを提供する。
【解決手段】モル%表示で、B23を30〜45%、SiO2を2〜15%、La23を10〜20%、TiO2を1〜10%、ZnOを10〜30%、Li2Oを2〜15%、WO3を0%超かつ10%以下、Nb25を0〜15%、ZrO2を0〜10%含み、上記成分の合計量が95%超であり、かつ屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲である光学ガラス。このガラスよりなる精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子。この光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォームを成形する精密プレス成形用プリフォームの製造方法。この成形用プリフォームを使用する光学素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた光学特性及び低温軟化性を有する光学ガラス及び精密プレス成形用プリフォームとその製造方法並びに光学素子とその製造方法に関する。
レンズ等の光学製品を生産性良く、高精度の形状や寸法に成形する方法として、精密プレス成形法が知られている。精密プレス用ガラスにおいて、成形温度が600℃以上の高温になると、プレス用型の表面にダメージが生じたり、型材の耐久性が低くなったりして問題となるため、ガラスの転移温度は600℃よりもさらに低くなければならない。しかし、屈折率(nd)が1.8付近で、アッベ数(νd)が30〜45程度の光学特性を有する光学ガラスとして市販されているガラスは、ガラス転移温度(Tg)が600℃以上と高く、精密プレス用としては適さないものであった。
このような問題を解決するため、Li2Oなどのアルカリを多く導入したガラスが提案されている。例えば、特開平6−305769号公報(特許文献1)に記載のSiO2−B23−La23−Ta25−ZnO−Li2O系ガラスはその一例である。前記公報に記載のガラスでは、ガラス転移温度を低下させる成分として多くのTa25が必須成分として導入されている。しかし、Ta25は元来、稀少材料であるが、近年、コンデンサ材料としての需要が高まり、価格が高騰している。そのため、Ta25を多量に使用したガラスを安定した価格で提供すること、及びこのようなガラスを大量生産することが困難になってきた。
特開平6−305769号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、屈折率(nd)が1.75〜1.87であり、かつアッベ数(νd)が30〜45であって、Ta25を含まなくとも低温軟化性に優れ、かつ低コスト化を達成し得る光学ガラス、前記ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子、さらには前記プリフォームの製造方法ならびに光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、低コスト化と光学特性及び低温軟化性との両立を図るため、Ta25を導入しなくても優れた光学特性及び低温軟化性を示す光学ガラスを得るべく鋭意検討を重ねた。その結果、以下のガラスにより、Ta25を導入しなくても低温軟化性及び光学特性に優れた光学ガラスを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、モル%表示で、
23 30〜45%
SiO2 2〜15%
La23 10〜20%
TiO2 1〜10%
ZnO 10〜30%
Li2O 2〜15%
WO3 0%超かつ10%以下
Nb25 0〜15%
ZrO2 0〜10%
を含み、上記成分の合計量が95%超であり、かつ屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲であることを特徴とする光学ガラスである。
上記第一の態様の光学ガラスは、さらに、580℃以下のガラス転移温度(Tg)を示すものであり、また、厚さ10mmに換算した波長280〜700nmにおける分光透過率が80%となる波長が440nm以下、かつ前記分光透過率が5%となる波長が350nm以下であるものでもある。
本発明の第二の態様は、必須成分として、B23、SiO2、La23、TiO2、ZnO、Li2O、WO3を含むとともに、任意成分としてNb25、ZrO2を含み、上記必須成分と任意成分の合計量が95モル%超であり、屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45、厚さ10mmに換算した波長280〜700nmにおける分光透過率が80%となる波長が440nm以下、かつ前記分光透過率が5%となる波長が350nm以下であって、ガラス転移温度(Tg)が580℃以下であることを特徴とする光学ガラスである。
また、本発明の第一及び第二の態様の光学ガラスの比重は、4.7以下であることが好ましい。
さらに、本発明は、以下の態様にも関する。
(1)第一の態様又は第二の態様の光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォーム。
(2)全表面が溶融状態のガラスが固化して形成されたものであることを特徴とする(1)に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
(3)全表面が自由表面からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
(4)流出パイプから流出する溶融ガラス流から所要重量の溶融ガラスを分離して第一の態様又は第二の態様の光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォームを成形することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
(5)第一の態様又は第二の態様の光学ガラスよりなる光学素子。
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム又は(4)に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形して得られる光学素子。
(7)精密プレス成形用プリフォームを加熱、軟化し、精密プレス成形してガラス製光学素子を作製する光学素子の製造方法において、
(1)〜(3)のいずれかに記載された精密プレス成形用プリフォーム又は(4)に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
(8)精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入し、プリフォームとプレス成形型をともに加熱して精密プレス成形することを特徴とする(7)に記載の光学素子の製造方法。
(9)前記精密プレス用プリフォームは、プレス成形型に導入する前に、予め加熱されたものである(8)に記載の光学素子の製造方法。
本発明によれば、高価なタンタルを導入せずに、低温軟化性及び光学特性に優れた光学ガラス、前記光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォーム及びその製造方法、前記光学ガラスよりなる光学素子及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
(第一の態様)
本発明の第一の態様は、モル%表示で、
23 30〜45%
SiO2 2〜15%
La23 10〜20%
TiO2 1〜10%
ZnO 10〜30%
Li2O 2〜15%
WO3 0%超かつ10%以下
Nb25 0〜15%
ZrO2 0〜10%
を含み、上記成分の合計量が95%超であり、かつ屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲であることを特徴とする光学ガラスである。
本態様において、上記各成分の組成範囲を限定した理由は次の通りである。本態様に限らず、以下の説明において、各成分の含有量はモル%表示にて示すことにする。
23は、ガラスの網目構造を構成する成分であって、ガラスに低分散性を与え、軟化温度を低下させるために必要不可欠な成分である。その含有量が30%未満では、ガラス転移温度が高くなるとともに、所要の光学恒数を維持することできなくなるのに対し、45%を超えると、ガラスの耐久性や耐酸性が悪化してしまうおそれがある。よって、その含有量は30〜45%の範囲に制限される。より好ましくは32〜42%の範囲である。
SiO2は、B23と同様ガラスの網目構造を構成する主成分であり、ガラスの耐久性を向上させるために欠かせない成分でもある。その含有量が2%未満ではガラスの耐失透性が急激に悪くなる一方、15%を超えて導入すると、低温軟化性を維持することができなくなるとともに、所望の光学恒数を維持できなくなる。従って、その含有量は2〜15%の範囲に制限される。より好ましくは3〜12%の範囲である。
La23は、ガラスの耐久性及び耐候性を向上させるためにも、所望の光学恒数を付与するためにも必要不可欠である。しかし、その含有量が20%を超えると、ガラスの屈折率が目標の範囲より高くなり、熱的な耐失透性も悪化するおそれがあるため、20%以下に抑えることが必要である。逆に10%未満では所望の光学恒数が得られないため、その含有量は10〜20%の範囲に限定される。より好ましくは11〜18%の範囲である。
TiO2は、ガラスの光学恒数の調整、耐失透性の改善や化学的耐久性の改善のために導入した成分である。その含有量は10%を超えて多くなると、ガラスのアッベ数(νd)を30以上に保つことができなくなる上、耐失透性も大きく悪化するため、その含有量を10%以下に抑えることが必要である。一方、その含有量を1%より少なくすると、ガラスの耐失透性が大きく悪化し、液相温度も高くなり、プレス成形用プリフォームの作成ができなくなるおそれがあるため、その含有量を1%以上にすることが必要である。より好ましくは2〜8%の範囲である。
ZnOは、ガラスの低温軟化性や高耐候性を維持するために非常に重要な成分である。特に、従来の光学ガラスに多用されているBaOの代わりに多くのZnOを導入すると、ガラスの耐失透性や耐候性が大幅に改善される。本発明の第一の態様のガラスと同様の光学恒数を有する従来のガラスでは、ZnOは、BaOやCaOと同様の光学恒数の調整効果を示す成分として用いられていた。それに対し、本発明の第一の態様の光学ガラスの組成系において、ZnOは他の2価成分と比べ、ガラスの耐失透性を大幅に高める効果を示す上、低温軟化性の改善や光学恒数の調整の点で最も優れている成分である。その含有量が10%未満では目標の耐失透性と低温軟化性を維持することができなくなる一方、30%より多く導入すると、逆にガラスの安定性が悪化し、液相温度も急上昇するため、溶融ガラスからプリフォームを成形する熱間プリフォーム成形に支障が出るおそれがある。従って、その含有量は10〜30%の範囲に限定される。より好ましくは10〜25%、さらに好ましくは12〜22%の範囲である。
Li2Oは、ガラスの低温軟化性を改善するために導入された成分である。その含有量が2%未満では、軟化温度が高くなり、プレスに困難をもたらす一方、15%を超えて導入すると、ガラスの液相温度が急激に高くなり、耐候性も悪化するため、その含有量が2〜15%の範囲に制限される。より好ましくは3〜12%の範囲である。
WO3は、ガラスの屈折率を高め、失透傾向を抑制し、溶融ガラスの高温粘性を低める効果がある。WO3を導入しないと、安定してガラスを作ることが困難になるため、本態様においては必須成分である。しかし、10%を超えると、ガラスの着色傾向が増大するため、その含有量を10%以下に抑えたほうが良い。従って、その含有量は、0%を超え、10%以下に限定される。より好ましい範囲は0.1〜10%、さらに好ましい範囲は0.5〜8%である。
Nb25は、ガラスの屈折率を高め、耐失透性や化学的耐久性を改善するのに非常に有効であるが、15%を超えると、ガラスは失透しやすくなる。従って、その含有量は0〜15%に限定される。上記効果を得るために、2〜15%とすることが好ましく、2〜10%とすることがより好ましい。
ZrO2は、ガラスの耐候性及び耐失透性の向上や光学恒数の調整に使われる任意成分である。特に、少量のZrO2をガラスに導入する場合、ガラスの耐失透性が大幅に改善され、熱間プリフォーム成形に必要とされる低液相温度化も図られるため、少量のZrO2を導入することが好ましい。しかし、その含有量が10%より多くなると、所望の光学恒数を得るのが困難になるとともに、低温軟化性も悪化するので、その含有量を0〜10%とする。より好ましくは0〜8%である。さらに好ましくは1〜8%である。
上記任意成分Nb25又はZrO2を含むことが望ましく、Nb25及びZrO2を含むことがより一層望ましい。特に、その含有量は、0%<Nb25+ZrO2<18%の範囲であることが好ましく、1%<Nb25+ZrO2<16%の範囲であることがより好ましい。
さらに、上記所望の目的を達成する上から、B23、SiO2、La23、TiO2、ZnO、Li2O、WO3、Nb25、ZrO2の合計量を95%超、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは100%とする。ただし、上記成分のほか、Sb23を外割添加で0〜2%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0%を超え1%以下加えることができる。その他、通常使用される脱泡剤も外割添加することができるが、環境影響を考えると、As23の添加は好ましくない。
なお、本態様の光学ガラスにおいては、上記成分のほか、ガラスの特性を悪化させない範囲での少量のP25、Na2O、K2O、CaO、SrO、BaO、Y23などの成分を添加することも可能である。例えば、CaO 0〜5%(5%を除く)、Y23 0〜5%(5%を除く)の導入は可能である。また、フッ素の導入も可能であるが、プリフォームを熔融ガラスから直接作る場合、揮発による不具合が生じるおそれがあるため、揮発に配慮する場合には、フッ素を導入しないことが望ましい。
また、環境影響などの観点から上記のヒ素化合物に加え、鉛化合物、カドミウム化合物などの有毒物質や、ウラン、トリウムなどの放射性物質も排除すべきである。
また、本態様の光学ガラスは、低コスト化のため、Ta25を含有しないことが好ましい。本態様の光学ガラスは、Ta25を含有しなくとも、前記組成とすることで、低Tgで精密プレスに適した光学ガラスを実現することができる。なお、Ta25を含有しないとは、ガラス原料としてタンタル化合物を使用しないということであって、不純物としての混入を排除するものではない。
本発明の第一の態様において、好ましい組成は、B23を32〜42%、SiO2を3〜12%、La23を11〜18%、TiO2を2〜8%、ZnOを10〜25%、Li2Oを3〜12%、WO3を0.1〜10%、Nb25を2〜15%、ZrO2を0〜10%であり、より好ましくは、B23を32〜42%、SiO2を3〜12%、La23を11〜18%、TiO2を2〜8%、ZnOを12〜22%、Li2Oを3〜12%、WO3を0.5〜8%、Nb25を2〜15%、ZrO2を0〜8%であり、さらに好ましくは、B23を32〜42%、SiO2を3〜12%、La23を11〜18%、TiO2を2〜8%、ZnOを12〜22%、Li2Oを3〜12%、WO3を0.5〜8%、Nb25を2〜10%、ZrO2を1〜8%である。
次に本態様の光学恒数について説明する。本態様の屈折率(nd)は1.75〜1.87、アッベ数(νd)は30〜45である。低転移温度、高光線透過性、熱間成形性、高耐失透性のガラスを得る上から、屈折率(nd)が1.76〜1.87、アッベ数(νd)は30〜45の光学恒数を示すことが好ましく、屈折率(nd)が1.80〜1.87、アッベ数(νd)は30〜45の光学恒数を示すことがより好ましく、屈折率(nd)が1.80〜1.87、アッベ数(νd)は33〜45の光学恒数を示すことがさらに好ましい。屈折率(nd)が1.81〜1.86、アッベ数(νd)は33〜44の光学恒数を示すことがより一層好ましい。
本態様のガラスの低軟化性はガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられる。本態様において、ガラス転移温度(Tg)は580℃以下であり、570℃以下であることがより望ましい。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることによって、良好なプレス成形性、特に良好な精密プレス成形性を得ることができる。精密プレス成形は、プレス成形型の成形面の反転形状を加熱軟化したガラスに精密に転写し、目的とする最終ガラス製品を製造する方法である。精密プレス成形によってガラス製光学素子を成形する方法は、モールドオプティクス成形法とも呼ばれ、光学素子の光線を透過したり、反射したり、屈折させたり、回折させるために使用する光学的な機能を備えた面(光学機能面)をプレス成形後に機械的加工を施すことなく形成することができ、特に非球面レンズの非球面の成形には好適な方法である。精密プレス成形では、プレス成形型を繰り返し使用する中で、型の成形面を損傷させないよう、より低温でプレス成形を行わなければならない。そのため、低温でプレス成形可能なガラスが精密プレス成形に適している。
本態様のガラスは優れた分光透過特性を有していることが好ましい。ガラスの分光透過特性は、両面が平行かつ研磨された厚さ10mmの前記ガラスよりなる試料の分光透過率によって評価することができる。分光透過率は表面反射損失分も含むガラス試料の透過率であり、公知の如く試料の厚みと所定の関係にある。従って、分光透過率の測定は、必ずしも厚さ10mmで実施する必要はなく、実測された分光透過率を上記公知の関係を用いて厚さ10mmに換算して求めることもできる。本態様のガラスは、分光透過特性において、波長280〜700nmにおける分光透過率が80%となる波長(以下、λ80という。)が440nm以下であり、かつ分光透過率が5%となる波長(以下、λ5という。)が350nm以下である。また、上記分光透過特性を有する光学ガラスは、λ80より長波長であって700nm以下の波長域において、分光透過率は80%よりも高い透過率を示す。また、λ5よりλ80へ向けて波長が長くなるにつれて分光透過率は増加する。一方、λ5より波長が短くなるにつれて分光透過率は減少していく。
このように本発明の光学ガラスは、可視波長域全域にわたって高い分光透過率を備えていることが好ましい。このような分光透過特性を有する光学ガラスは、着色が極めて少なく、無色透明なガラスであり、撮像光学系をはじめとする種々の光学素子の材料として好適である。
本態様のガラスは精密プレス成形に好適であることは前述のとおりであるが、精密プレス成形では型成形面や型成形面上に形成されている離型膜の酸化を防止するため、ガラスを窒素、窒素と水素の混合ガスなど非酸化性雰囲気中で取り扱うことが多い。本態様のガラスには、TiO2、Nb25、WO3のような還元されやすい金属酸化物成分が含まれている。このようなガラスを非酸化性雰囲気中で加熱すると、上記金属が還元され、その結果、可視域に吸収が発現する場合があるが、本態様のガラスは、精密プレス成形後も上記分光透過特性が損なわれることがなかった。従って、本態様のガラスからなる精密プレス成形品の分光透過特性も光学素子として使用する上で極めて良好なものである。
次に本態様のガラスの比重について説明する。本態様の組成を有する光学ガラスは高屈折率を示すものの、比重はそれほど大きくない。ガラスの比重が大きいとそのガラスを使用した光学素子、あるいは光学機器の重量が重くなる。例えば、複数枚の単体レンズを組込んだカメラレンズでオートフォーカス機能を有するものは、単体レンズの相互間の位置を電気駆動系で駆動、調整する。その際、単体レンズの重量が大きいとオートフォーカスによる消費電力が大きくなり、電池消耗を著しくするなどの問題をおこす。高屈折率のガラスの比重を抑えることは、上記問題を解決するための有効な方法の一つである。従って、本態様の光学ガラスは光学素子の原料として好適であり、好ましくは、比重が4.7以下のガラスであり、より好ましくは4.6以下である。また、本態様の光学ガラスの比重は、概ね4以上であることが適当である。
本態様は、ZnOとLi2Oが共存することにより、ガラスの比重を減少させることができる。さらに、両成分を共存させることによって、ガラス転移温度(Tg)を低下させること、及び分光透過特性を改善すること(着色の低減)ができる。
(第二の態様)
次に本発明の第二の態様について具体的に説明する。
本態様は、必須成分として、B23、SiO2、La23、TiO2、ZnO、Li2O、WO3を含むとともに、任意成分としてNb25、ZrO2を含み、上記必須成分と任意成分の合計量が95モル%超であり、屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45、厚さ10mmに換算した波長280〜700nmにおける分光透過率が80%となる波長が440nm以下、かつ前記分光透過率が5%となる波長が350nm以下であって、ガラス転移温度(Tg)が580℃以下であることを特徴とする光学ガラスである。
本態様の組成について説明する。本態様は、上記必須成分を共存させ、必須成分と上記任意成分の合計量を95モル%超とすることにより、所望の光学恒数の付与、低ガラス転移温度化、分光透過特性の改善、比重増加の抑制、良好な耐失透性、化学的安定性、熱間成形性を付与している。上記の観点から、任意成分Nb25又はZrO2を含むことが望ましく、Nb25及びZrO2を含むことがより望ましい。また、上記必須成分と任意成分の合計量を98%以上とすることが好ましく、99%以上とすることがより好ましく、100%とすることが特に好ましい。ただし、上記成分のほか、Sb23を外割添加で0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0%を超え1%以下加えることができる。Sb23を多量に導入すると、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面に損傷が発生しやすくなる。なお、重量%で表す場合、Sb23の外割添加量は、1.8%以下とすることが好ましい。その他、通常使用される脱泡剤も外割添加することができるが、環境影響を考えると、As23の添加は好ましくない。
また、本態様の光学ガラスは、低コスト化のため、Ta25を含有しないことが望ましい。本態様の光学ガラスは、Ta25を含有しなくとも、低Tgで精密プレスに適した光学ガラスを実現することができる。なお、Ta25を含有しないとは、タンタル化合物をガラス原料として使用しないということであり、不純物としての混入を排除するものではない。
なお、本態様の光学ガラスにおいては、上記成分のほか、ガラスの特性を悪化させない範囲での少量のP25、Na2O、K2O、CaO、SrO、BaOなどの成分を添加することも可能である。フッ素の導入も可能ではあるが、熔融ガラス塊からプリフォームを直接成形する場合は、揮発による悪影響を避ける観点から、フッ素を導入しないことが望ましい。
また、環境影響などの観点から上記のヒ素化合物に加え、鉛化合物、カドミウム化合物などの有毒物質や、ウラン、トリウムなどの放射性物質も排除すべきである。
本態様の光学ガラスにおける各成分の好ましい含有量は、以下の通りである(各含有量は、モル%表示である)B23 30〜45%、SiO2 2〜15%、La23 10〜20%、TiO2 1〜10%、ZnO10〜30%、Li2O 2〜15%、WO3 0%超かつ10%以下である。さらにモル%表示で、Nb25 0〜15%、ZrO2 0〜10%含むことがさらに好ましい。
本態様の光学恒数、ガラス転移温度(Tg)、分光透過特性、比重、ならびに前記各特性の好ましい範囲とその理由は、第一の態様に関する説明と同様である。
また、本発明の第一及び第二の態様において、光学ガラスの屈伏点は、580℃以下であることが好ましい。580℃以下であれば、プレス成形時に発泡、カン割れ、表面脈理などの問題が生じることがなく、平坦性、平滑性に優れた光学ガラスを得ることができる。また、本発明の第一及び第二の態様の光学ガラスの液相温度は、1000℃以下であることが好ましい。液相温度が1000℃以下であれば、溶融ガラス化が容易であり、作業性が良好である。
(精密プレス成形用プリフォームとその製造方法)
次に本発明の精密プレス成形用プリフォームについて説明する。
プレス成形用プリフォームとは、加熱、軟化してプレス成形に供するためのガラス成形体であり、プレス成形品の重量に応じた所要重量のガラスからなる。形状はプレス成形に適するよう成形されており、球状、偏平球状、回転楕円体などを例示することができる。
好ましい形状としては、回転対称軸を一つ備え、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものを挙げることができる。また、図2に示すように、前記断面におけるプリフォームの輪郭線上の点と回転対称軸上にあるプリフォームの重心Gを結ぶ線と、前記輪郭線上の点において輪郭線に接する接線とのなす角の一方の角の角度をθとしたとき、前記点が、回転対称軸上の点aから出発して輪郭線上を移動するときに、θが90°から単調増加し、続いて単調減少した後、単調増加して輪郭線が回転対称軸と交わる他方の点bにおいて90°になる形状が更に好ましい。前記回転対称軸を含む任意の断面において、角度θが上記のようになることが望ましい。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは上記第一又は第二の態様の光学ガラスよりなる。なお、プリフォームの表面にはプレス成形時の離型効果や潤滑効果を高めるため、カーボン膜などの薄膜を形成してもよい。このカーボン膜は蒸着法などによって形成できる。また、化学的気相堆積法により水素化カーボン膜を形成してもよい。このようにしてプリフォーム表面に炭素含有膜を形成する場合は、プリフォームの全表面に形成することが望ましい。
前記第一の態様又は第二の態様の光学ガラスよりなる本発明のプレス成形用プリフォームは、精密プレス成形用プリフォームである。その理由は、上記のようにプリフォームを構成するガラスが、低軟化特性を有する光学ガラスであるとともに、精密プレス成形によって上記の分光透過率特性が損なわれることはないからである。
ここで、「精密プレス成形」とは、前述の通り、モールドオプティクス成形法とも呼ばれ、プレス成形によって光学機能面の形状を形成する方法である。プリフォーム表面は、後述する熔融ガラス塊を直接プリフォームに成形する場合は、自由表面であることが望ましく、機械加工によって作製する場合は、光学研磨面とすることが望ましい。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、例えば、ガラス原料を溶解し、脱泡清澄、攪拌均質化して泡を含まない均質な溶融ガラスを作り、この溶融ガラスをプリフォームに成形する方法、あるいは前記の溶融ガラスをプリフォームに加工するための成形体に成形し、この成形体に機械加工(例えば、切断、研削、研磨など)を施してプリフォームにする方法などにより製造することができる。特に、流出パイプから流出する溶融ガラス流から所要重量の溶融ガラスを分離してプリフォームに成形する方法が好ましい。例えば、上記溶融ガラスをパイプから連続かつ一定スピードで溶融ガラス流として流出し、その溶融ガラス流の先端から所要重量の溶融ガラスを分離して、軟化状態にある間に成形し、冷却してプリフォームを作る方法、あるいは、溶融ガラスをパイプを通して連続かつ一定スピードで流し、パイプ流出口から所要重量の溶融ガラス滴として滴下し、その溶融ガラス滴を成形、冷却してプリフォームを作る方法などを例示できる。このように、溶融ガラスを使用して、ガラスが軟化状態にある間にプリフォームを成形する方法を熱間プリフォーム成形と呼ぶが、第一及び第二の態様のガラスはいずれもガラス転移温度が低く、流出時の粘性を成形に適する範囲に調整することができるので、ガラスを失透させることなく、プレス成形用プリフォームを成形することができる。熱間成形は、目的重量の溶融ガラスからプリフォームを成形するため、表面に機械加工などによる加工痕を発生させることなく、重量精度の高いプリフォームを生産することができる。
更に、分離した所要重量の溶融ガラスを成形型などの上で風圧により浮上させながらプリフォームに成形する方法や、液体窒素などの常温、常圧下で気体の物質を冷却して液体にした媒体中に溶融ガラス滴を入れてプリフォームに成形する方法を用いれば、キズ、汚れ、表面の変質などがない滑らかな表面、全表面が熔融状態のガラスが固化して形成された面であるプリフォームや、全表面が自由表面からなるプリフォームを作製することができる。特に、本発明の精密プレス成形用プリフォームは、全表面が熔融状態のガラスが固化して形成された自由表面であることが好ましい。
なお、「全表面が熔融状態のガラスが固化して形成された面」とは、成形のための金型と接触して金型表面が転写された箇所があっても良いのに対し、「全表面が自由表面」とは、金型と接触して金型表面が転写された箇所がないことを意味する。
精密プレス成形では、プリフォームの表面が最終製品である光学素子表面として残る場合が多く、そのため、加工痕があると光学素子表面付近の欠陥となってしまうおそれがある。しかし、熱間プリフォーム成形によれば表面近傍にも欠陥のないプリフォームを作ることができるので、生産性よく高品質の光学素子を精密プレス成形によって提供することができる。
上記の各プリフォームの重量は、40mg〜10gの範囲であることが望ましい。更に、球状のプリフォームの場合は、プリフォームの重量は、40mg〜700mgであることが好ましく、100mg〜400mgであることがより好ましい。回転対称軸を1つ有するプリフォームの場合は、プリフォームの重量は、300mg〜10gであることが好ましい。
(光学素子とその製造方法)
本発明の光学素子は、第一又は第二の態様の光学ガラスよりなる光学素子、あるいは、上記精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形して得られる光学素子である。光学素子としては、レンズ(非球面レンズ、球面レンズ、シリンドリカルレンズ、ロッド状レンズなど)、レンズアレイ、プリズム、回折格子、各種光学基板などを例示できる。なお、これら光学素子には必要に応じて反射防止膜、部分反射膜、全反射膜などの光学薄膜を形成してもよい。
次に、本発明の光学素子の製造方法について説明する。この製造方法では、上記精密プレス成形用プリフォームを加熱、軟化し、精密プレス成形してガラス製光学素子を作製する。その説明図を図1に示す。精密プレス成形によれば、非球面レンズ、回折格子などの機械加工では大きな負担がかかる光学素子の光学機能面を精密プレス成形で形成することができるので、機械加工が難しい光学素子を高生産性のもとに量産することができる。精密プレス成形、プリフォームの加熱、軟化については公知の方法を用いることができる。得られた光学素子の分光透過率特性は良好であり、形状精度等も良好である。
本発明の光学素子は、精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入し、プリフォームとプレス成形型をともに加熱して精密プレス成形する製造方法によって製造することができる。前記製造方法において、精密プレス用プリフォームは、プレス成形型に導入する前に、予め加熱されたものであることもできる。
前記製法において、精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入した後、プリフォームとプレス成形型をともに加熱する温度は、プリフォームを構成するガラスが106〜1012dPaSの粘度を示す温度であることが好ましい。また前記ガラスが1012dPaS以上、より好ましくは1014dPaS以上、さらに好ましくは1016dPaS以上の粘度を示す温度にまで冷却してから、精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
更に、前記製造方法において、精密プレス用プリフォームを、プレス成形型に導入する前に予め加熱することにより、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入した後、プリフォームとプレス成形型をともに加熱する温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低くすることが好ましい。このように、プレス成形型への導入前に、プリフォームを予め加熱しておくことにより、精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入した後、プリフォームとプレス成形型をともに加熱する温度を低く抑えることができるので、プレス成形型の消耗を低減することができる。
前記プリフォームの予熱温度は、プリフォームを構成するガラスが109dPaS以下、より好ましくは109dPaSの粘度を示す温度であることが好ましい。また、前記プリフォームを浮上させながら予熱することが好ましく、さらに、前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜109dPaS、より好ましくは105.5dPaS以上109dPaS未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。またプレス開始と同時又はプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。なお、先に述べたように、精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入した後、プリフォームとプレス成形型をともに加熱する温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低くすることが好ましく、その際、プリフォームとともにプレス成形型を加熱する温度は、前記プリフォームを構成するガラスが109〜1012dPaSの粘度を示す温度を目安にすることができる。この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPaS以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。成形品がレンズなどの光学素子の場合には、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
このようにして、レンズ(非球面レンズ、球面レンズ、シリンドリカルレンズ、ロッド状レンズなど)、レンズアレイ、プリズム、回折格子、各種光学基板などを製造することができる。
また、レンズの形状としては、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種形状のものが得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜32)
表1に示す組成が得られるよう、B23、SiO2、La23、TiO2、ZnO、Li2O、WO3、Nb25、ZrO2、Y23、CaOなどのガラス成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物などを所定の割合で250〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチとし、これを白金るつぼに入れ、1200〜1250℃で攪拌しながら空気中2〜4時間ガラスの溶解を行った。熔融後、ガラス融液を40×70×15mmのカーボンの金型に流し、ガラスの転移点温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニールして炉内で室温まで放冷した。得られたガラスは顕微鏡で観察できる結晶が析出しなかった。
表1には前述のガラス組成のほか、各ガラスについて測定された光学恒数(屈折率nd、アッべ数νd)、ガラス転移温度(Tg)、比重、λ80とλ5を示す。これらの屈折率(nd)、アッべ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、比重、λ80、λ5は以下のようにして測定した。
(1)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/hにして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分にして測定した。
(3)分光透過率(λ80、λ5)
10±0.1mmの厚さに研磨したガラスを用いて、280nmから700nmまでの波長域での分光透過率(表面反射損失を含む)を測定した。また、着色度については透過率80%と5%を示す波長をそれぞれλ80、λ5で表す。なお、λ80、λ5の有効数字は2桁とする。
(4)比重
比重は、アルキメデス法を用いて測定した。
(実施例33)
実施例1〜32と同じ組成のガラスが得られる脱泡清澄、均質化された溶融ガラスを溶解した。次いで、この溶融ガラスを一定流量のもと、連続的に白金合金製の耐熱パイプを通して、その先端から受け型に滴下し、受け型から放出されるガスによる風圧を加え、浮上させながら球状にプリフォームに成形した。なお、パイプ先端から溶融ガラス滴は一定間隔で次々と滴下するので、これを複数の受け型を用いて順次、受けて成形した。このようにして実施例1〜32に対応するガラスからなる所要重量の球状プリフォームを作製した。
同様にして、流出パイプから上記溶融ガラス流を一定スピードにおいて連続的に流出し、その溶融ガラス流先端部を受け型で受け、先端部と流出パイプの間の溶融ガラス流にくびれ部を形成した後、受け型をパイプから引き離して、くびれ部より溶融ガラス流先端部を分離した。そして、分離した溶融ガラス塊を上記方法と同じように浮上させながら球状のプリフォームに成形した。複数の受け型を用意し、この受け型を順次用いて連続流出する溶融ガラスから多量のプリフォームを成形する方法は上記方法と同じである。
これらの方法により、直径2〜30mmの球状プリフォームを製造することができた。これらプリフォームの重量は揃っており、内部、表面とも良好なものであった。また、上記各プリフォームの全表面は溶融状態のガラスが固化して形成されたものであり、清浄かつ滑らかであり、自由表面からなるものであった。またプリフォームの全表面にわたり傷、失透、脈理などの欠陥は認められなかった。
これにより、上記方法は精密プレス成形用プリフォームの製造方法として好適であることが示された。
(実施例34)
次に、実施例33において作製されたプレス成形用プリフォームを加熱、軟化して、図1に示すプレス装置を用いて精密プレス成形し、非球面レンズを得た。具体的には、レンズ形状を反転した非球面形状を有する下型2及び上型1の間にプリフォームを静置したのち、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形型内部の温度をガラス転移温度(Tg)より50〜100℃高い温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押して成形型内のプリフォームをプレス成形した。プレス条件は、成形圧力を8MPa、成形時間を30秒とした。プレスの後、成形圧力を低下させ、プレス成形したガラス成形品を下型2及び上型1と接触させたままの状態でガラス転移温度(Tg)よりも30℃程度低い温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷して非球面レンズに成形されたガラスを成形鋳型から取り出した。得られた非球面レンズは、きわめて精度の高いレンズであり、分光透過率特性も良好なものであった。
なお、上記精密プレス成形はプリフォームをプレス成形型に導入し、プリフォームとプレス成形型をともに加熱してから行ったものであるが、プリフォームを、成形型に導入する前に予め加熱してもよい。
本発明によれば、Ta25を導入することなく、屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲にある光学恒数及び580℃以下の低ガラス転移温度を備えた光学ガラスを提供することができる。本発明の光学ガラスは、高価なタンタルを全く使用しないので、屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲にある光学恒数及び580℃以下の低ガラス転移温度を備えた光学ガラスを安価に安定して提供することもできる。また、上記光学恒数を有しつつ、良好な分光透過率特性を備える光学ガラスを提供することができる。さらに、比重の増大を抑えつつ上記光学恒数を付与できるので、重量を抑えた光学素子のガラス材料を提供することもできる。
また、本発明の精密プレス成形用プリフォーム及びその製造方法によれば、上記光学恒数を有する光学素子をプレス成形により製造するためのプリフォーム及びその製造方法を提供することができる。また、高価なタンタルを導入しないため、安価なプリフォームを安定して提供することができる。
さらに、本発明の光学素子及びその製造方法によれば、上記光学ガラス及びプリフォームの有する特性、特長を活かしつつ、良好な分光透過率特性を有する光学素子及びその製造方法を提供することができる。また、タンタルを含まないガラス材料を使用するので、安価な光学素子を安定して提供することができる。
精密プレス装置の断面説明図である。 本発明のプリフォームの形状の一例を示す概略図である。

Claims (12)

  1. モル%表示で、
    23 30〜45%
    SiO2 2〜15%
    La23 10〜20%
    TiO2 1〜10%
    ZnO 10〜30%
    Li2O 2〜15%
    WO3 0%超かつ10%以下
    Nb25 0〜15%
    ZrO2 0〜10%
    を含み、上記成分の合計量が95%超であり、かつ屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45の範囲であることを特徴とする光学ガラス。
  2. ガラス転移温度(Tg)が580℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 必須成分として、B23、SiO2、La23、TiO2、ZnO、Li2O、WO3を含むとともに、任意成分としてNb25、ZrO2を含み、上記必須成分と任意成分の合計量が95モル%超であり、屈折率(nd)が1.75〜1.87、アッベ数(νd)が30〜45、厚さ10mmに換算した波長280〜700nmにおける分光透過率が80%となる波長が440nm以下、かつ前記分光透過率が5%となる波長が350nm以下であって、ガラス転移温度(Tg)が580℃以下であることを特徴とする光学ガラス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォーム。
  5. 全表面が溶融状態のガラスが固化して形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  6. 全表面が自由表面からなることを特徴とする請求項4又は5に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  7. 流出パイプから流出する溶融ガラス流から所要重量の溶融ガラスを分離して請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる精密プレス成形用プリフォームを成形することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる光学素子。
  9. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の精密プレス成形用プリフォーム又は請求項7に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形して得られる光学素子。
  10. 精密プレス成形用プリフォームを加熱、軟化し、精密プレス成形してガラス製光学素子を作製する光学素子の製造方法において、
    請求項4〜6のいずれか1項に記載された精密プレス成形用プリフォーム又は請求項7に記載の製造方法により作製された精密プレス成形用プリフォームを使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
  11. 精密プレス成形用プリフォームをプレス成形型に導入し、プリフォームとプレス成形型をともに加熱して精密プレス成形することを特徴とする請求項10に記載の光学素子の製造方法。
  12. 前記精密プレス用プリフォームは、プレス成形型に導入する前に、予め加熱されたものである請求項11に記載の光学素子の製造方法。
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