JP4692500B2 - 光学ガラス素子の製造方法及びガラス成形品の屈折率の微調整方法 - Google Patents

光学ガラス素子の製造方法及びガラス成形品の屈折率の微調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形によって光学ガラス素子等のガラス成形品を製造する光学ガラス素子の製造方法及びガラス成形品の屈折率の微調整方法に関し、特に、非球面レンズなどの高精度な光学素子をプレス成形によって製造する際に熱処理によってガラス成形品の屈折率を微調整する微調整方法及びそれを用いる光学ガラス素子の製造方法に関する。
近年、ガラスレンズなどの光学ガラス素子をプレス成形し、成形面を研磨等せずにそのまま使用することを可能とする直接プレス成形法が注目されている。直接プレス成形法で得られる光学素子は、成形温度でプレスした後に温度が急激に低下するため、屈折率値が成形前の光学ガラスの屈折率(カタログ値)よりも幾分低くなっている。このため、カタログ値に基づいて設計されたレンズは、そのままでは使用できず、屈折率をカタログ値あるいはカタログ値近傍に戻すためのアニール処理が必要となる。このアニール処理を省略してレンズを製造するには、予め、成形後の屈折率(アニールレス屈折率)を調べておいて、その値に基づいてレンズを設計する必要がある。
また、従来はアニール処理を行う成形法で製造していたレンズについて、アニール処理のない成形法に切り替えて製造する場合、設計を変更しないで対応するには、従来のアニールを経たレンズと同等の屈折率をアニール処理のない状態で示すようなガラス組成にレンズの組成を変更する必要があり、そのためには、硝材の配合調合を変更しなければならない。一方、光学設計の分野には、従来から設計者が光学ガラス製品の設計に定番として使用している各種のガラス組成が存在し、設計を効率よく進行するには、設計者が慣れた数値で設計できるように定番ガラスのカタログ値を利用できることが望ましいが、それらの数値はアニール処理を経たガラスのものであるので、アニール処理を省略する際に直接利用するのは困難である。
このような状況において、特許文献1に提案されるアニール処理しない光学ガラス素子の成形方法では、成形後の光学ガラス素子に要求される屈折率の値から、プレス成形によってガラス素材に生ずる屈折率変化分を差し引いた値の屈折率を有するガラス素材を用いてプレス成形を行っている。又、特許文献1と同様の方法を提案する特許文献2では、更に、ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する条件でプレス成形することが記載されている。また、特許文献3には、アニール処理が開示されており、成形された光学素子を徐冷点まで加熱して一定時間保持し、その後、歪点までゆっくり冷却するという条件でアニール処理を行っている。これにより、光学素子の歪が除かれ、屈折率分布が消失すると記載されている。特許文献4には、冷却速度を変えた場合の屈折率変化を調整するためにガラスの歪点より150℃低い温度から歪点未満の範囲の温度で熱処理する方法が示されている。
特許第3196952号公報 特許第3801136号公報 特開平10−7423号公報 特開2005−239432号公報
前述のようにプレス成形によって、安価で光学性能の優れた光学素子を生産するためには、短いサイクルタイムを実現するための急な冷却工程が必要となる。その結果、成形された光学素子の屈折率は、アニールされた硝材の屈折率よりも低くなる。
そのため、特許文献1,2では、目的とする屈折率値からプレス成形によって生ずる屈折率変化分を差し引いた値の屈折率を有するガラス組成を用いることによって対応する。
しかし、さらにサイクルタイムを短縮する必要が生じた場合に、これに対応するためにプレス成形後の冷却速度をより早くすると、得られるレンズの屈折率が当初に予定した値よりも低くなる。そのため、所望の屈折率のレンズを得るためには、再度、ガラス素材の組成を変更して、冷却速度の変更による屈折率の変動に対応する必要がある。
特許文献3では、従来から行われているアニール処理が記載されているが、残留歪が大きい成形品をアニールすると、応力が緩和されて新たにアス、クセが発生し、面精度が悪化する場合がある。また、処理時間が最低でも24時間程度必要であり、効率が悪い。
特許文献4では、面精度を低下させないように、ガラスの歪点より150℃低い温度から歪点未満までの温度範囲で熱処理することで屈折率を調整するが、例えば、アス、クセが0.5本以下というような、より高い精度が求められる規格のレンズに対しては満足な結果が得られない場合がある。また、この熱処理による屈折率の変化は、タクトを短縮するために冷却速度を速くする程度の成形条件の変更によって生じる屈折率変化を修正するためのアニールとしては過剰である。
本発明は、光学素子などのガラス成形品をプレス成形によって製造する際に、製造条件等の軽微な変更に対応して、面精度を低下させることなく屈折率の微調整が可能であるガラス成形品の屈折率の微調整方法及びそれを用いる光学ガラス素子の製造方法の提供を課題とする。
また、本発明は、所望の範囲の面精度及び屈折率を有する光学素子を、プレス成形により高精度で効率よく製造可能な光学ガラス素子の製造方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、光学ガラス素子の製造方法は、ガラス材を所定形状にプレス成形してガラス成形品を調製する工程と、前記ガラス成形品の屈折率が屈折率設計値より小さい場合に、前記ガラス成形品に低温域での熱処理を施して前記ガラス成形品の屈折率を前記屈折率設計値に近づける工程とを有し、前記低温域の下限温度は、前記ガラス材の歪点より300℃低い温度以上であり、前記低温域の上限温度は、前記ガラス材の歪点より150℃低い温度未満であることを要旨とする。
又、本発明の一態様によれば、ガラス成形品の屈折率の微調整方法は、ガラス材のプレス成形により得られるガラス成形品の屈折率の測定値が設計値より小さい場合に、前記ガラス成形品に低温域での熱処理を施して前記設計値に近づけるガラス成形品の屈折率の微調整方法であって、前記低温域の下限温度は、前記ガラス材の歪点より300℃低い温度以上で、前記低温域の上限温度は、前記ガラス材の歪点より150℃低い温度未満であることを要旨とする。
本発明によれば、プレス成形によってガラス成形品を製造する際に、製造条件等の軽微な変更に適切に対応して、面精度を低下させることなく精密に屈折率を調整できるガラス成形品の屈折率の微調整方法が提供されるので、これを利用する光学ガラス素子の製造方法によって、屈折率が高精度で調整された光学素子等のガラス成形品が迅速に提供される。
屈折率は、ガラス光学素子の最も重要な性質の一つであるが、製造条件、特に温度条件が軽微に変更されただけで簡単に変化する。屈折率の調整は、ガラス組成の変更や成形後のアニール処理等によってある程度まで可能であるが、光学素子等のような高精度を要する成形品の場合は、より小規模な微調整が可能であることが望ましく、又、製造後に任意に対応できる方法であると好ましい。
このような屈折率の微調整に適した処理方法を検討して広範囲の温度についてガラスの挙動を調査したところ、従来は屈折率の変動は起きないと考えられていた低温域で屈折率の微小変化が見られ、これを利用して屈折率の微調整が可能であることを見出した。つまり、本発明は、この温度領域での微調整を行うことによって屈折率が高精度に調整されたガラス成形品を製造するものである。以下、本発明のガラス成形品の製造方法及び屈折率の微調整の実施形態を詳細に説明する。
ガラス成形品は、原料の硝材を所望のガラス組成に配合して調製されるガラス材を、加熱下でプレス成形することによって得られる。
プレス成形に用いるガラス材は、定法に従って調製され、目的とするガラス組成に基づいて機械的にガラス原料を配合して組成を調整し、加熱溶融、ガラス化、脱泡及び均質化を行えばよい。
プレス成形は、一般に、調製されたガラス材の粘度が所定値(通常10-9dPa・s程度)となる温度に加熱して行い、その後冷却する。プレス後の冷却(急冷又は徐冷、温度保持の有無)によってガラス成形品の屈折率が左右され、プレス温度からTg付近までの冷却速度が速いほどガラス成形品の屈折率は低くなる。通常、成形後の冷却は、50〜200℃/分程度の範囲で速度を変更できるので、サイクルタイムの短縮や製造工程の効率化は往々にしてプレス後の温度条件の変更を伴うものになり、このような変更によるガラス成形品の屈折率の変動を補償するための対処が必要となる。従来のアニール処理等による屈折率の調整は、屈折率の変動が大きい場合には好適であるが、100×10-5程度以下のズレを調整するには不向きである。本願では、このように比較的小さい屈折率のズレに適した微調整を必要に応じて実施し、ガラス成形品の屈折率をより精密に調整する。
この微調整は、ガラス成形品の低温での熱処理によるもので、処理温度は、ガラスの歪点より150℃低い温度(以下、この温度をT(S-150)と表記する)に達しないように設定される。この温度T(S-150)以上では屈折率の変化が激しくなるので微調整には適さず、又、光学素子の基準に適合しないような面精度の変化が生じる。但し、ガラスの歪点との差が300℃を超える処理温度では、屈折率の変化が殆ど得られなくなるので、歪点より300℃低い温度(以下、この温度をT(S-300)と表記する)以上に処理温度を設定する。つまり、処理温度Tは、T(S-150)未満を上限とし、T(S-300)を下限とする、T(S-300)≦T<T(S-150)の範囲に設定される。このような低温域での微調整は、歪点が500℃以上のガラスについて広く適用できる。歪点より180℃低い温度(T(S-180))から、歪点より250℃低い温度(T(S-250))までの温度に設定するとより好ましい。
上記温度範囲で熱処理を施すと、初期は処理時間にほぼ比例して屈折率が増加するが、その後徐々に変化が緩和して上限値に達する。従って、処理時間は、概して2〜10時間程度の範囲で適宜選択するのが好ましい。屈折率変動量の上限値は、熱処理温度及びガラス組成に依存する。従って、必要とする屈折率の調整幅と屈折率変動量の上限値とが等しくなるような熱処理温度に設定すれば、熱処理時間の影響を受けずに高い確度で微調整できる。微調整に要する時間を短縮するには、必要とする調整幅より屈折率変動量の上限値が高い熱処理温度を設定して短時間で処理すればよい。
上述の熱処理によって、ガラス成形品の屈折率を、10×10-5〜80×10-5程度の範囲で好適に調整可能である。その際の精度は、±5×10−5程度とすることができ、熱処理による形状の変化は測定誤差内であるので、精度要件の厳しいレンズにも適用できる。
例えば、プレス後の冷却における速度を100℃/分から2倍の200℃/分に変更すると、それによる屈折率の変化はガラスの組成にもよるが、最大で50×10-5程度変化する。つまり、屈折率が設計値より50×10-5低いレンズになる。通常、レンズの屈折率公差は±30×10-5であるので、屈折率の変動によるズレを修整して公差内に収めるために、上述の低温での熱処理による微調整は非常に有用である。又、製造条件上のばらつきや不測の事態に起因するガラス成形品の屈折率の変動に対応して歩留まりの低下に対処することもできる。
尚、ガラスのプレス成形において用いられる成形型及び成形装置の一例を図1及び図2に示す。
図1は、ボールレンズの成形に用いる上下一対の成形型のうちの下型を示し、超硬合金製円柱の円形一端面に非球面状の凹形プレス面を形成した超硬合金製部分1と、凹形プレス面を覆うIr−Re組成の被覆膜2とを有する。被覆膜2は、超硬合金との密着性を付与するためのTi膜(図示省略)を介して形成されている。
図2は、プレス成形装置10を示し、図1のような構造の上下型11,12が組み込まれている。プレス成形においては、チャンバー13内をN2雰囲気にした後、ヒーターブロック14,15で上型11及び下型12を加熱し、成形するガラスの粘度が10-9dPa・s程度になる温度に達した時点で、油圧シリンダー16によって下軸17を引き下げ、被成形物18を下型12の上に載置する。成形型の温度を維持して、油圧シリンダー16により下軸17を上昇させて、上型11と下型12とでプレスする。通常、成形圧力は100〜5000N程度、成形時間は0.1〜1分間程度となる。その後、所定の冷却速度で降温し、上下型の温度がサンプルの基本組成のTg温度より30℃程度低い温度に達した時点で下型12を下降させ、被成形物18は、下型12から取り出し、チャンバー13より回収する。この例では、下型12が可動であるが、上軸19により上型11を移動させる構造であっても良い。
以下、実施例を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
<ガラス材の調製>
組成(質量%)が、SiO2:6%、B23:21%、WO3:4%、BaO:3%、Al23:1%、ZnO:12%、ZrO2:4%、La23:39%、Nb25:10%となるように、ガラス原料を調合した(このガラス組成における物性値は、転移点Tg=600℃、屈伏点=635℃、歪点=557℃、νd=40.4である)。
調合物は、室温の白金るつぼに投入し、温度を1300℃に保持した電気炉内に挿入して一気に全量を熔解した。挿入後1時間で取り出し、白金棒で撹拌し、再度1300℃の電気炉に投入して2時間保持した後、注型に適した温度(ここでは1000℃)まで1時間かけて降温し、るつぼを取り出して型に流し込んだ。流し込んだガラス材は、アニール温度(ガラスの(Tg+15)℃)に保持された電気炉に投入して1時間保持した後、60℃/時間の一定の冷却速度で(Tg−200)℃まで冷却することによりアニール処理を行った。その後、自然放冷してガラス材を得た。
<プレス成形及び屈折率の測定>
直径18mm×高さ50mmの超硬合金製円柱を加工して、概略の曲率半径が16mmの凹形状の非球面プレス面(約φ14mm)を有する一対の上下型からなる光学ガラスレンズ用のプレス成形型を作成した。上下型のプレス面を0.1μmのダイヤモンド砥粒を用いて鏡面に研磨した後、この鏡面に、スパッタリング法により、50nmのTi膜を形成した後、IrとReの比率が重量比で4:1の組成の被覆膜を250nmの膜厚に形成することにより、評価用型を作成した。この型の下型部分の断面を図1に示す。図中、符号1は下型の超硬合金製部分を、符号2は被覆膜を示す(Ti膜は図示省略)。Ti膜は、超硬合金部分1と被覆膜2との密着を良くするためのものである。
次に、ガラス材を直径9mmの大きさに研磨ボール加工し、上述のプレス成形型を上下型11,12として組み込んだ図2のプレス成形装置10を用いて、下記の手順で成形した。
先ず、チャンバー13を真空ポンプ(図示せず)によって真空引きした後、N2ガスを導入してチャンバー13内をN2雰囲気にした後、ヒーターブロック14,15で上型11及び下型12を加熱した。成形するガラスの粘度が10-9dPa・s程度になる温度(約660℃)に達したら油圧シリンダー16により下軸17を引き下げ、オートハンド(図示せず)を用いて被成形物(研磨ボール)18を下型12の上にセットした。
次に、型の温度を維持して3分間経過後、油圧シリンダー16により下軸17を上昇させて、上型11及び下型12により成形圧力3000Nで1分間プレスしてレンズ状に成形した。その後、冷却速度100℃/分で降温し、上下型の温度がサンプルのTg温度より30℃低い温度(570℃)に達した時点で下型12を下降させた。成形したサンプル18は、下型12からオートハンドで取り出し、置換装置(図示せず)を通してチャンバー13より回収した。
成形後のサンプルを研削用治具にヤニ貼りし、治具を横型研削装置に取り付けて片面を5分間研削加工した後に一旦治具を取り外し、90度回転させて再度研削装置に取り付けてもう一方の面を5分加工した。得られた90°プリズムの屈折率をプルフリッヒ型屈折率計(島津デバイス製造社製、商品名:KPR−200)を用いて測定した。上記条件で得られるガラス成形品の屈折率の測定値は、nd=1.80610であった。この値は、設計値通りであった。
更に、上述の操作において、プレス成形後の冷却速度を100℃/分から200℃/分に変更した以外は同様にしてガラス成形品を得たところ、屈折率の測定値は、設計値より52×10-5小さい値になった。
<屈折率の微調整>
上述においてプレス成形後の冷却速度を200℃/分として得られたガラス成形品を用いて、屈折率の微調整のために、以下の熱処理を行った。
(試料1〜3)
ガラス成形品に、357℃(試料1)、325℃(試料2)又は315℃(試料3)での熱処理を6時間行い、その後、温度を1時間かけて熱処理温度より40℃低い温度まで下げ、更に1時間かけて室温まで低下させた。
得られたガラス成形品の屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(試料4,5)
ガラス成形品に、357℃での熱処理を10時間(試料4)又は3時間(試料5)行い、その後、温度を1時間かけて熱処理温度より40℃低い温度まで下げ、更に1時間かけて室温まで低下させた。
得られたガラス成形品の屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(試料6〜9)
ガラス成形品に、407℃(試料6)、450℃(試料7)、400℃(試料8)又は550℃(試料9)での熱処理を2時間行い、その後、温度を1時間かけて熱処理温度より40℃低い温度まで下げ、更に1時間かけて室温まで低下させた。
得られたガラス成形品の屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(評価)
試料1〜9のガラス成形品について、熱処理前後の形状変化、アス及びクセを測定した結果も表1に示す。
試料1〜3の結果から熱処理温度と歪点との差による屈折率変化をグラフ化すると、図3のようになる。又、試料1、4及び5の結果から熱処理温度の保持時間による屈折率変化をグラフ化すると、図4のようになる。これらから、熱処理による屈折率の変化は、熱処理温度又は時間の増大によって増加することが分かる。但し、一定温度で数時間程度経過すれば、屈折率は安定化する。従って、必要とする屈折率変動量に応じて熱処理温度を選択すれば、極めて精密且つ確実に目的の屈折率に到達させることが可能である。
又、表1において、屈折率の測定値が設計値±30×10-5の範囲(公差範囲内)になるものは試料1〜6であるが、本発明の低温域での熱処理を行っている試料1〜5では、形状変化やアス、クセが見られない。一方、試料6〜9における形状変化及びアス、クセの発生は、通常のレンズであれば問題ない範囲であるが、特に精度の厳しいレンズでは不良品と認定される量である。
(表1)
低温での熱処理による屈折率の変化
熱処理 歪点と熱 屈折率 変化分 設計値 形状変化 アス クセ
試料 温度 時間 処理温度 測定値 との差
(℃)(H)との差(℃) (×10 -5 ) (μm)(本)(本)
1 357 6 −200 1.80610 52 0 0 0 0
2 325 6 −232 1.80595 27 −25 0 0 0
3 315 6 −242 1.80592 24 −28 0 0 0
4 357 10 −200 1.80610 52 0 0 0 0
5 357 3 −200 1.80593 35 −17 0 0 0
6 407 2 −150 1.80618 60 8 50 0.5 0.5
7 450 2 −107 1.80696 130 78 70 0.6 0.6
8 500 2 −57 1.80738 180 128 100 0.6 0.6
9 550 2 −7 1.80808 250 198 150 0.8 0.8
成形後に研磨等が不要で量産性があるプレス成形によって、屈折率が設計値の公差内でガラス製光学素子として提供可能なガラス成形品が製造される。また、プレス成形で製造された光学ガラス素子の屈折率の設計値とのズレを、低温域での熱処理によって微調整することができ、各種光学素子の製造における歩留まりの向上に利用でき、原価面でも有利な光学ガラス素子の製造方法を提供できる。
本発明の実施において用いられる成形型の断面を示す概略図。 本発明の実施において用いられるプレス成形装置の断面を示す概略図。 熱処理温度と歪点との差と、熱処理による屈折率変化との関係を示すグラフ。 熱処理温度の保持時間と、熱処理による屈折率変化との関係を示すグラフ。
符号の説明
1:下型の超硬合金製部分、2:被覆膜、10:プレス成形装置
11:上型、12:下型、13:チャンバー、14,15:ヒーターブロック、
16:油圧シリンダー、17:下軸、18:被成形物、19:上軸。

Claims (3)

  1. ガラス材を所定形状にプレス成形してガラス成形品を調製する工程と、
    前記ガラス成形品の屈折率が屈折率設計値より小さい場合に、前記ガラス成形品に低温域での熱処理を施して前記ガラス成形品の屈折率を前記屈折率設計値に近づける工程とを有し、
    前記低温域の下限温度は、前記ガラス材の歪点より300℃低い温度以上であり、前記低温域の上限温度は、前記ガラス材の歪点より150℃低い温度未満であることを特徴とする光学ガラス素子の製造方法。
  2. 前記熱処理による屈折率変動量は、100×10-5以下である請求項1記載の光学ガラス素子の製造方法。
  3. ガラス材のプレス成形により得られるガラス成形品の屈折率の測定値が設計値より小さい場合に、前記ガラス成形品に低温域での熱処理を施して前記設計値に近づけるガラス成形品の屈折率の微調整方法であって、
    前記低温域の下限温度は、前記ガラス材の歪点より300℃低い温度以上で、前記低温域の上限温度は、前記ガラス材の歪点より150℃低い温度未満であることを特徴とするガラス成形品の屈折率の微調整方法。
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