JP2006206394A - 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006206394A
JP2006206394A JP2005021799A JP2005021799A JP2006206394A JP 2006206394 A JP2006206394 A JP 2006206394A JP 2005021799 A JP2005021799 A JP 2005021799A JP 2005021799 A JP2005021799 A JP 2005021799A JP 2006206394 A JP2006206394 A JP 2006206394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
molding
molding surface
optical element
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005021799A
Other languages
English (en)
Inventor
Miyoko Doi
美代子 土肥
Shoji Nakamura
正二 中村
Hiroshi Riyounai
領内  博
Yoshiyuki Shimizu
義之 清水
Seiji Moriguchi
清治 森口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005021799A priority Critical patent/JP2006206394A/ja
Publication of JP2006206394A publication Critical patent/JP2006206394A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/084Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor
    • C03B11/086Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor of coated dies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/03Press-mould materials defined by material properties or parameters, e.g. relative CTE of mould parts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/08Coated press-mould dies
    • C03B2215/30Intermediate layers, e.g. graded zone of base/top material

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】 均一な性能を有する光学素子を製造でき、寿命が長く、歩留まりの良い光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス材料からなる基材2を加熱して軟化させ、所望の形状の成形面を有するマザー型を用いて押圧成形することにより、基材2にマザー型の成形面を転写させて素子成形面5を形成する。次に、基材2を所定の温度および冷却速度条件で焼鈍する。焼鈍は、素子成形時に素子成形面5に入る歪み量に近似した量以下の熱歪みが残るように温度および冷却速度条件で行う。次に、基材2に形成された素子成形面5に、融着防止膜を形成する。このような型成形により得られた型を一対の成形用型の少なくとも一方に用いて、光学素子を押圧成形する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法に関し、より特定的には、ガラス材料からなる基材を用いた光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法に関する。
各種光学機器に使用されるガラスレンズの成形方法として、精密ガラス成形法が知られている。精密ガラス成形法では、まず、ガラスレンズを形成するための光学素子成形型(以下、成形型と称す)を形成する。成形型の基材には、耐熱性に優れたセラミックスや金属材料を用いて、機械加工法によって、この基材に得ようとする光学素子(以下、レンズと称す)とは反対形状を有する素子形成面を創成する。そして、得られた成形型を用いて、レンズ材料を軟化点近傍まで加熱して押圧成形する。このような精密ガラス成形法に用いられる成形型には金型が広く用いられているが、金型は、高度な加工技術と高価な加工設備を用いて一個づつ作製するために、サブミクロンオーダでは各々に形状バラツキを生じやすく、かつ高価になる。そのため、近年では、機械加工を必要とせず、型自身を精密成形法により得ることができることから、ガラス材料にて形成された成形型やその製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、酸化珪素および酸化アルミニウムを主成分とする成形型であって、素子成形面に炭素や酸化珪素からなる融着防止膜が設けられた、化学的および熱的安定性に優れた成形型が提案されている。また、特許文献2には、ガラス材料からなる成形型素材を、熱間にて成形母型を用いて押圧成形することにより、成形型素材に成形母型の形状を精密転写させて素子成形面を形成する成形型の製造方法が開示されている。また、成形型は、ガラス材料からなる成形型本体と金属またはセラミックスからなる接合体とを一体化した構成とすることで、熱衝撃および耐久性に優れた成形型が得られることも開示されている。さらに、特許文献3には、レンズのプレス温度よりもガラス転移点の高いガラス材料を用いた成形型であって、被成形ガラスとの融着を防止するために、素子成形面に酸化珪素や被成形ガラスよりもガラス転移点の高いガラスにて形成された融着防止膜を有する成形型と、これを用いたプレスレンズの製造方法が開示されている。
特開昭62−226825号公報 特開平2−102136号公報 特許第1756263号公報
ところで、上記した特許文献1、特許文献2、および特許文献3などには、ガラス材料からなる成形型の製造時に起こりうる残存熱歪みや、これに伴う成形型の形状変形に関する記載はされていない。一般に、これらの文献に記載のように、ガラス材料からなる基材を用いて熱間押圧成形により製造した成形型であれば、型成形時にかかる温度や圧力によって内部応力が生じ、これに伴って型成形後の素子成形面には熱歪みが残存する。しかしながら、上記したいずれの文献にも、素子成形面に残存する熱歪みが素子成型に与える悪影響については全く考慮されておらず、この点を考慮して光学素子成型を行っているものは知られていない。
また、上記した成形型を複数製造した場合には、成形型の素子成形面には、全ての型において上記した熱歪みが一定に残存するものではなく、素子成形面に残存する熱歪みと所望とする値とにはばらつきが生じているのが実情である。また、一般に、素子成形の成形温度は、基材を構成するガラス材料のガラス転移点よりも低い温度であるため、この成形温度によって成形型は焼鈍処理が施されたような形となる。そのため、素子成形面に残存する熱歪みはレンズの成形に伴って徐々に開放されてしまい、成形型には体積収縮が生じる傾向がある。このような体積収縮が生じると、素子成形面の形状が変形するため、必然的に成形されるレンズ形状も変化してしまい、結果として、複数製造したレンズにはレンズ性能にばらつきが発生することとなる。また、成形型における体積収縮の発生は、成形型本体の破損を生じたり、あるいは成形型本体と融着防止膜との界面に生じる応力によって融着防止膜の剥離を生じるため、成形型の寿命が短くなる。
したがって、一定の性能を有するレンズを製造するためには、素子成形面に歪みの開放が生じる前に成形型の交換を行えばよいが、上述のように、個々の成形型において素子成形面に残存する歪み量が一定ではないため、成形型の交換時期の特定は困難である。また、成形型の寿命が短いということは、レンズのコスト高にも繋がることとなる。
そこで、型成形後の素子成形面における熱歪みを完全に除去する試みもなされているが、熱歪みを完全に除去するためには、成形型を構成するガラス材料の冷却工程において冷却速度を非常に遅く設定する必要がある。しかしながら、冷却速度を遅くすることは、成形型の生産性の低下に繋がるため好ましくない。
それ故に、本発明は、ガラス材料を基材とし、熱間押圧成形により形成された成形型であっても、寿命が長く、性能安定性に優れた光学素子を歩留まり良く製造できる、光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する発明は、光学素子材料を素子成形するために用いる光学素子成形型に向けられており、この光学素子成形型は、ガラス材料からなる基材と、光学素子材料を押圧成形する素子成形面と、素子成形面に形成された融着防止膜とを備える。ここで、本発明の特徴部分は、素子成形面には、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存する点にある。
このような構成とすることで、素子成形を行う際に成形型には歪みの開放が生じにくくなり、必然的に成形型の体積収縮が生じにくくなるため、一定の形状を有する光学素子の製造が可能となる。したがって、均一な性能を有する光学素子を安定して製造できる。また、成形型の体積収縮が抑制されることで融着防止膜の剥離や成形型自体の破損を生じることがなくなるため、型自体の寿命が長くなる。
また、本発明は、光学素子材料を素子成形するために用いる光学素子成形型の製造方法にも向けられている。この製造方法では、まず、ガラス材料からなる基材を加熱して軟化させ、所望の形状の成形面を有するマザー型を用いて押圧成形することにより、基材にマザー型の成形面を転写させて素子成形面を形成する。次に、基材を所定の温度および冷却速度条件で焼鈍する。そして、素子成形面に融着防止膜を形成する。ここで本発明の特徴部分である温度条件および冷却速度条件は、素子成形面に、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残るように設定することにある。
このように素子成形面を形成した型に焼鈍処理を施すことで、素子成形面に残存する歪みが積極的に開放されるため、短時間で歩留まり良く所望の熱歪みを有する成形型を得ることができる。また、温度条件および冷却速度条件を所定の値に設定することで、製造する型の全てに一定の熱歪みを残存させることができ、交換時期の特定が容易となる。さらに、素子成形面に残存する熱歪みを、素子成形時に加わる熱によって開放されにくくなる程度に調整することで、得られた成形型は、素子成形時において形状変化が少なくなるため、均一な性能を有する光学素子を安定して製造できるとともに長寿命なものとなる。
さらに、本発明は、光学素子材料を押圧成形してなる光学素子の製造方法にも向けられている。この製造方法では、まず、一対の成形型の間に光学素子材料を配置することによって成形ブロックを構成する。次に、成形ブロックを光学素子材料の軟化点近傍まで加熱して、光学素子材料を一対の成形型により押圧成形する。そして、成形ブロックを室温まで冷却する。ここで本発明の特徴部分は、一対の成形型の少なくとも一方の成形型は、ガラス材料からなる基材と、光学素子材料を成形するための素子成形面と、素子成形面に形成された融着防止膜とを有し、素子成形面には、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存する点にある。このような構成とすることで、均一な性能を有する光学素子を歩留まり良く製造できる。
以上のように本発明によれば、光学素子成形型の素子成形面に素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存するように構成することで、ガラス材料を基材として熱間押圧成形された型であっても、長寿命で、かつ、均一な性能を有する光学素子が得られる信頼性の高い成形型を実現できる。また、本発明の成形型の製造方法によれば、このような信頼性の高い型を生産性良く製造できる。さらに、本発明の成形型を用いた光学素子の製造方法によると、均一な性能を有する光学素子を押圧成形によって歩留まり良く製造できるため、安価なレンズを市場に供給することができる。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る光学素子成形型およびその製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る光学素子成形型(以下、成形型と称す)の構成を示す断面図である。図1において、成形型1は、基材2、中間接着膜3、および融着防止膜4を備える。基材2は、成形型1のベースとなるものであり、ガラス材料にて円柱状に形成されている。融着防止膜4は、この成形型1を用いて素子成形を行う際に、光学素子(以下、レンズと称す)材料が基材2へ融着することを防止する役割を果たす。中間接着膜3は、基材2と融着防止膜4との接着性を高めるために両者の間に介挿されている。
図2は、上記のように構成された成形型1における基材2の構成を示す断面図である。図2において、円柱形状の基材2の上端面には、形成しようとするレンズと反対形状を有する凹部が形成されており、この凹部は、光学機能面としての役割と、レンズを押圧成形するための素子成形面5としての役割とを果たす。ここで、本実施形態の特徴部分は、素子成形面5に、実際に素子成形を行った場合に生じる歪み(その多くは熱歪み)量に近似した量、あるいは、前記歪み量以下の熱歪みが残存する点にある。
本発明者らは、素子成形面5に上記のような熱歪みが残存することで、実際に素子成形を行った時に加わる温度条件等によっても素子成形面5において歪みの開放が生じにくく、また、歪みの開放が生じたとしても成形される素子材料に悪影響を与えなくなることを見出した。これに対し、素子成形面5に、素子成形を行った場合に生じる歪み量に近似した量よりも大きな値の熱歪みが残存していれば、素子成形時に歪みの開放が生じやすく、しかも開放される歪みの絶対量が大きくなるため、上記従来例で説明したように、成形型1の体積収縮による素子形状のばらつきや、成形型自身の破損や膜剥離を生じることを見出した。
ここで、素子成形を行った場合に生じる歪み量は、素子成形に用いる光学素子材料によって決まるものであり、本実施形態においては、使用する光学素子材料に応じて、成形型1の素子成形面5に残存させる熱歪みを適宜調整する。このようにして調整された値であれば、素子成形面5に残存する熱歪みは、実際に素子成形を行った場合に生じる歪み量より多くても、また、前記歪み量以下であっても良い。ただし、必要以上に熱歪みを低減することは、後述するように成形型1の製造過程における歩留まりの低下に繋がるため、本実施形態においては、素子成形面5に残存する熱歪みは、素子成形を行った場合に生じる歪み量に近似した量であることが好ましい。
上記のように、本実施形態に係る成形型1によると、あらかじめ所望の値に調整された熱歪みが基材2の素子成形面5に残存することで、得られた成形型1は、素子成形時において体積収縮が生じにくくなり、これにより、一定の形状を有する光学素子の製造が可能となり、均一な性能を有する光学素子を安定して製造できるという効果を奏する。また、成形型1の体積収縮が抑制されることで融着防止膜4の剥離や成形型自体の破損を生じることがなくなるため、寿命の長い成形型1が実現できる。
また、本実施形態においては、上述のように素子成形面5に残存する熱歪み量を定量的に管理することで、成形型1の素子成形面5に一定量の熱歪みを残存させることができる。したがって、後述のような製造方法により成形型1を複数製造したときには、全ての成形型1において均一な熱履歴が残ることとなる。これにより、成形型1の交換時期の特定も容易に行えるようになる。一方、上記従来例では、素子成形面5に残存する熱歪み量が定量的に管理されていないため、複数形成された成形型1において、素子成形面5に残存する歪みにはばらつきが生じており、成形型1の交換時期を特定できるものではない。
本実施形態に係る成形型1は、以下のような製造方法により実現できる。図3は、本実施形態に係る成形型1の製造方法を説明するフローチャートである。まず、ガラス材料からなる基材2を加熱して軟化させ、所望の形状の素子成形面を有するマザー型を用いて押圧成形することにより、基材2にマザー型の素子成形面を転写させて素子成形面5を形成する(ステップS1)。
例えば、基材2として、ガラス転移点690℃、屈伏点725℃、および熱膨張係数64×10-7/℃(100−300℃)である硼珪酸バリューム系の組成を有するガラス材料からなる基材2を用いる場合には、以下のように構成された押圧成形装置を用いて押圧成形を行う。図4は、ステップS1において、押圧成形装置によりガラス材料を押圧成形している途中の状態を示す断面図である。図4において、押圧成形装置40は、基台41、加熱部材42および47、ヒータ43および48、平面型44、胴型45、マザー型46、フランジ49、および駆動軸50を備える。この押圧成形装置40において駆動軸50を除く全ては、不活性雰囲気を維持できるチャンバー(図示せず)によって内包されている。
押圧成形装置40のベースとなる基台41には、ヒータ43を備えた加熱部材42を介して平面型44がセットされている。平面型44およびこれと対をなすマザー型46は、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金からなる胴型45によって摺動案内されるよう構成されている。押圧成形装置40の上部には、その一端がチャンバーの外部に設けられた圧力発生の駆動源(油圧シリンダやエアーシリンダ等)に連接されることにより上下自在の摺動が可能に構成されており、かつ定寸停止手段が備えられた駆動軸50が設けられている。駆動軸50の他端はフランジ49に連結されており、フランジ49には、ヒータ48を備えた加熱部材47を介してマザー型46が装着されている。ここで、加熱部材42および47には、温度検知と温度制御のための熱電対(図示せず)が設けられている。マザー型46は、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金にて構成されており、素子成形面には、所望する型の素子成形面とは反対形状で同じ軸対称性を有する非球面形状となるように研削加工が施されている。また、研削加工が施された面には、白金系の離型膜がスパッタリングにより成膜されている。平面型44とマザー型46との間には、ガラス材料51が介挿されている。ガラス材料51は、円柱形状であり、その両端面は鏡面状に加工処理が施されている。
上記のように構成された押圧成形装置40では、ヒータ43および48によってガラス材料51が加熱され軟化した状態になると、駆動軸50によってマザー型46が下降し、ガラス材料51の端面は、加圧力Fで押圧される。これにより、ガラス材料51の上端面には、光学機能面としての凹部である素子成形面5が形成される。具体的には、不活性ガス雰囲気中において、ガラス材料51の温度が780℃になるまで加熱した後、1,300Nの加圧力で押圧成形を行うことによりガラス材料51に素子成形面5が形成される。不活性ガスとしては、窒素やアルゴン等が利用でき、特に窒素が好適に利用できる。
図3に示すステップS1の処理が終了すると、次に、基材2を所定の温度条件で冷却処理する(図3のステップS2)。具体的には、まず、マザー型46による加圧を継続した状態でガラス材料51を600℃まで5.7℃/分の速度で冷却する。そして、ガラス材料51が600℃に達した時点で徐圧することにより、ガラス材料51を室温まで放冷する。
ステップS2の処理が終了すると、本実施形態の特徴部分である焼鈍処理を行う(図3のステップS3)。具体的には、ステップS3の焼鈍処理では、上記ステップS2の処理において室温まで冷却した基材2を、まず、大気中で600℃の温度に加熱し、8時間保持する。そして、2.5℃/分の速度の冷却条件で冷却する。
このように、基材2に素子成形面5を形成した後に、焼鈍処理を施すことで、素子成形面5に残存する歪みが積極的に開放される。焼鈍処理を行う際の温度条件および冷却速度条件は、基材2の素子成形面5に、実際に素子成形を行う際に入る歪み以下の熱歪みが残るように設定する。温度条件は、基材2を構成するガラス材料の光学特性の変化や基材2の形状変化を考慮すると、ガラス材料のガラス転移点以下の温度であることが好ましい。また、型成形後の素子成形面5における歪みの開放を考慮すると、焼鈍温度は、素子成形時に使用するレンズ材料の屈伏点以上の温度範囲であることがより好ましい。また、成形しようとする素子材料がガラス材料である場合には、素子成形時にかかる温度条件を考慮すると、焼鈍処理における焼鈍温度を、素子材料のガラス転移点以上とすることが好ましい。
一方、冷却速度条件は、上記した温度条件で焼鈍したときに素子成形面5に残存する熱歪みが、実際に素子成形を行う際に生じる歪み量に近似した量以下となるように選択される。素子成形面5に残存する熱歪みは完全に無くすことが望ましいが、このような状態にするためには、冷却速度を非常に遅く設定する必要があり、成形型1の生産性を考慮すると好ましいとは言えない。したがって、冷却速度条件は、素子成形面5に残存する熱歪みを必要以上に少なくすることなく、生産性が損なわれることのない程度の条件に設定するとともに、素子成型時において、成形型1の素子成形面5に形状変化が生じない程度の熱歪み、即ち所望するレンズの性能が満足される程度の熱歪みを残すように設定する。このように、温度条件および冷却速度条件が一定に設定された焼鈍処理を行うことで、所望の熱歪みが残存する素子成形面5を有する基材2が得られる。また、成形型1を複数製造する場合には、全ての成形型1に一定の熱履歴を残すことができる。
次に、基材2に形成された素子成形面5に、中間接着膜3を形成する(図3のステップS4)。そして、中間接着膜3の上に、レンズ材料との融着を防止するための融着防止膜4を形成する(図3のステップS5)。融着防止膜4は、中間接着膜3の表面に、白金系の離型膜をスパッタリングで成膜することにより得られる。このように、焼鈍処理によって残存する熱歪みを少なくすることにより安定な状態とした素子成形面5に、これらの膜を成膜することで、各膜の密着力をより高めることができる。したがって、素子成形時における成形型1の体積収縮による膜剥離をより一層低減でき、型の寿命を長くすることができる。
以上のように、本実施形態に係る成形型1の製造方法によると、素子成形面5が形成された基材2に焼鈍処理を施して積極的に素子成形面5の歪みを開放することにより、基材2の素子成形面5に所定量の熱歪みを残存させることで、上記した本実施形態に係る成形型1を生産性良く製造できる。
次に、上記した製造方法により作製された成形型1を用いて、ガラス材料からなるレンズの製造を行ったところ、本実施形態に係る成形型1を用いてレンズ成形を行うと、従来の成形型を用いてレンズ成形を行った場合よりも、実使用上問題の無い程度の形状精度を有するレンズを良好に歩留まり良く製造できることが確認された。また、本実施形態に係る成形型1では、多数のレンズを製造しても、成形型1破損や膜剥離等が見られず、従来の成形型よりも長寿命な成形型1であることも確認された。
このように良好な性能を有する本実施形態の成形型1において、ステップS3の焼鈍処理による熱歪みの影響を調べるために、以下のような各種の実験を行った。まず初めに、焼鈍処理前後の素子成形面5の形状変化を調べるために、以下のような実験を行った。図5は、焼鈍処理前後の素子成形面5の形状を3次元計測した結果を示すグラフである。図5(a)および(b)は、焼鈍前の測定結果を示し、図5(c)および(d)は、焼鈍後の測定結果を示す。また、図5(a)および図5(c)は、素子成形面の中心断面形状(フィギア)を示し、図5(b)および図5(d)は、素子成形面の全体形状のうねり精度(アキュラシ)を示す。なお、図5(a)〜図5(d)の各グラフにおいて、縦軸は一枡が0.1μmで光学設計値からの偏差量であり、横軸は一枡が0.6mmで素子成形面の径が約3mmの範囲を示す。
図5(a)に示す測定結果と図5(c)に示す測定結果とを比較したところ、焼鈍前後においてフィギアは約0.5μm変化していた。これに対して、図5(b)に示す測定結果と図5(d)に示す測定結果とを比較したところ、アキュラシには変化が見られなかった。この結果から、焼鈍による基材2の変化は単純な相似収縮であることが判った。これにより、ステップS3における焼鈍処理は、成形型1に影響を与えることはないと言える。なお、ステップS5の処理を経て得られた成形型1の素子成形面5についても、上記3次元計測を用いて形状評価したところ、成形型1の素子成形面5は、マザー型の形状からガラス材料の収縮量に相当する量だけ形状偏差を有していたものの、軸対称性は精度良く転写されていたことが確認された。
次に、焼鈍処理の処理条件について調べるために、以下のような実験を行った。まず、ステップS2の処理が施された基材2を、650℃で8時間保持し、2.5℃/分の冷却速度条件で焼鈍した。そして、焼鈍処理前後の形状変化を上記実験と同様の手法で測定したところ、素子成形面5の形状の変化は大きくなるものの、軸対称性が維持されており、しかも単純収縮であることが確認された。
次に、ステップS2の処理が施された基材2を、基材2を構成するガラス材料のガラス転移点以上の焼鈍温度で焼鈍したところ、素子成形面5の形状に軸対称性の崩れが見られ、成形型1を成さなかった。これにより、焼鈍温度の好適範囲は、基材2を構成するガラス材料のガラス転移点以下であると言える。
また、焼鈍処理における冷却速度条件は、上述のように、素子成形面5に残存する歪み量が素子成形時に生じる歪み量に近似した量以下となるような条件が選択される。そこで、素子成形面5に残存する歪み量についての検討を行った。まず、ステップS3の焼鈍処理前後における基材2の素子成形面5に残存する歪み量を評価するために、位相差測定器を用いて、波長630nmの条件下で、リタデーションΓの計測を行った。リタデーションΓは、歪みによる複屈折量に基づく位相差であり、リタデーションΓの値が大きい程、歪み量は大きいことを意味する。
素子成形面5における測定結果は、焼鈍前のリタデーションΓは0.35nm/mmであり、焼鈍後のリタデーションΓは0.08nm/mmであった。この結果より、焼鈍により素子成形面5に残存する熱歪みは低減されてはいたが、完全には除去されてはいないことがわかった。ここで、本実施形態に係る成形型1を用いて実際に各種のガラス材料を素子成形したときに生じる成形型1のリタデーションΓを調べたところ、前記した焼鈍後におけるリタデーションΓの値の±20%程度に包含されることが確認された。すなわち、焼鈍後に素子成形面5に残存するリタデーションΓは、素子成形後に生じるリタデーションΓに近似した値であると言える。さらに言えば、焼鈍後に素子成形面5に残存するリタデーションΓは、素子成形後に生じるリタデーションΓに近似した値以下であると良いと言える。したがって、本実施形態においては、焼鈍後の素子成形面5に残存する歪み量が、素子成形により生じる歪み量に近似した値以下となるように調整することで、上述のように従来の成形型よりも光学素子の成形性や型の寿命面で優れることがわかり、さらに、素子成形面5に残存する熱歪みが完全に除去されていなくても良いことが確認された。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態に係る成形型1を上型および下型として用いた精密ガラス成形法によるレンズの製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る押圧成形装置の構成を示す断面図である。図6に示す押圧成形装置60の基本的な構成は、第1の実施形態で説明した押圧成形装置40とほぼ同様である。ただし、図6に示す押圧成形装置60では、図4に示す平面型44およびマザー型46に代えて、第1の実施形態に係る成形型1を上型62および下型61が用いられている。また、押圧成形が施される材料は、レンズ材料63である。
以下、具体例を挙げて本実施形態に係るレンズの製造方法を説明する。まず、図6に示す押圧成形装置60において、上型62および下型61の間にレンズ材料63を載置することにより、上型62、下型61、胴型45、およびレンズ材料63で構成された成形ブロックを準備する。レンズ材料63には、硼珪酸系の成分組成に、酸化タングステン(WO3 )、酸化タンタル(Ta23)、および酸化ジルコニウム(ZrO2 )などが含有された光学ガラス材料(屈伏温度:559℃、転移温度:528℃)を用いる。
次に、成形ブロック全体をレンズ材料63の軟化点近傍、すなわち585℃まで加熱し、3分間保持した後、レンズ材料63を上型62および下型61によって、1,500Nの押圧力で押圧成形する。
そして、加熱された成形ブロック全体を室温まで冷却することにより、レンズが得られる。図7は、得られたレンズの構成を模式的に示した側面図である。図7において、レンズ70は、それぞれ異なった曲率を有する素子成形面71および72を有し、両者の間には位置決め面73が形成されていた。
上記の動作を100回繰り返して、100個のレンズ70を作成した。そして、100個のレンズ70について、素子成形面71および72の形状を3次元測定機で計測したところ、光学設計値に対して1μ(ミクロン)前後の形状偏差は生じていたが、軸対称性の崩れはなく、実使用上問題のない形状精度が得られた。また、100個のレンズ70を作成しても、ガラス材料にて形成された上型62および下型61には、融着防止膜4の剥離や基材2の破損は見られなかった。このように、本実施形態に係るレンズの製造方法によると、均一な性能を有するレンズを押圧成形によって歩留まり良く製造できるため、安価なレンズを市場に供給することができる。
この結果に基づいて、上記した素子成形後における上型62および下型61の成形面に残存するリタデーションΓを第1の実施形態と同様にして計測したところ、上型62および下型61のいずれにおいてもリタデーションΓは0.1nm/mmであった。また、上型62および下型61において、第1の実施形態と同様に焼鈍後のリタデーションΓを測定したところ、いずれも0.08nm/mmであった。これにより、焼鈍後に上型62および下型61の成形面に残存する残存する熱歪みは、素子成形によって生じる歪み量以下であることが確認され、また、上型62および下型61の成形面に残存する熱歪みは完全に除去されていなくても良いことが確認された。
なお、上記説明では、光学素子としてレンズを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ミラー、プリズム、光学フィルタ、およびホログラム素子等にも適用できる。さらには、これらの光学素子を成形するガラス型自身にも適用できる。
また、上記説明では、レンズ材料としてガラス材料を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レンズ材料として、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いても良い。また、上記した各種光学素子材料についても同様に、ガラス材料だけでなく、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。また、上記説明では、上型62および下型61として第1の実施形態に係る成形型を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、上型62または下型61の一方が第1の実施形態に係る成形型であれば、他方の成形型は特に限定されるものではなく、従来公知の成形型等も適用できる。
さらに、上記各実施形態では、成形型およびレンズの製造方法について具体例を挙げて説明したが、本発明はこの具体例のみに限定されるものではない。
本発明は、精密ガラス成形法に用いる成形型の長寿命化が図れるという特徴を有するので、カメラ付き携帯電話、ビデオカメラ、およびデジタルスチルカメラなどに使用されるレンズ等の各種光学素子の製造に好適である。
本発明の第1の実施形態に係る成形型の構成を示す図 同実施形態に係る基材の構成を示す図 同実施形態に係る成形型の製造工程を説明するフローチャート 同実施形態に係る押圧成形装置の構成を示す図 同実施形態に係る焼鈍処理前後の素子成形面の形状を測定したグラフ 本発明の第2の実施形態に係る押圧成形装置の構成を示す図 同実施形態に係るレンズの構成を模式的に表した図
符号の説明
1 成形型
2 基材
3 中間接着膜
4 融着防止膜
5 素子成形面
40 押圧成形装置
41 基台
42 加熱部材
43 ヒータ
44 平面型
45 胴型
46 マザー型
47 加熱部材
48 ヒータ
49 フランジ
50 駆動軸
51 ガラス材料
60 押圧成形装置
63 レンズ材料
70 レンズ
71 素子成形面
72 素子成形面
73 位置決め面

Claims (3)

  1. 光学素子材料を素子成形するために用いる成形型であって、
    ガラス材料からなる基材と、
    前記光学素子材料を押圧成形する素子成形面と、
    前記素子成形面に形成された融着防止膜とを備え、
    前記素子成形面には、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存することを特徴とする、光学素子成形型。
  2. 光学素子材料を素子成形するために用いる成形型の製造方法であって、
    ガラス材料からなる基材を加熱して軟化させ、所望の形状の成形面を有するマザー型を用いて押圧成形することにより、前記基材にマザー型の前記成形面を転写させて素子成形面を形成する工程と、
    前記基材を所定の温度条件および冷却速度条件で焼鈍する工程と、
    前記素子成形面に融着防止膜を形成する工程とを備え、
    前記温度条件および冷却速度条件は、前記素子成形面に、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存するように設定することを特徴とする、光学素子成形型の製造方法。
  3. 光学素子材料を押圧成形してなる光学素子の製造方法であって、
    一対の成形型の間に前記光学素子材料を配置することによって成形ブロックを構成する工程と、
    前記成形ブロックを前記光学素子材料の軟化点近傍まで加熱して、当該光学素子材料を前記一対の成形型により押圧成形する工程と、
    前記成形ブロックを室温まで冷却する工程とを備え、
    前記一対の成形型の少なくとも一方の成形型は、ガラス材料からなる基材と、光学素子材料を押圧成形する素子成形面と、前記素子成形面に形成された融着防止膜とを有し、当該素子成形面には、素子成形によって生じる歪み量に近似した量以下の熱歪みが残存することを特徴とする、光学素子の製造方法。
JP2005021799A 2005-01-28 2005-01-28 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法 Pending JP2006206394A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005021799A JP2006206394A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005021799A JP2006206394A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006206394A true JP2006206394A (ja) 2006-08-10

Family

ID=36963641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005021799A Pending JP2006206394A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006206394A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008074646A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Olympus Corp 光学素子の製造方法
KR20190091194A (ko) 2018-01-26 2019-08-05 호야 가부시키가이샤 유리제 성형형

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008074646A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Olympus Corp 光学素子の製造方法
KR20190091194A (ko) 2018-01-26 2019-08-05 호야 가부시키가이샤 유리제 성형형

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS5884134A (ja) 精密ガラス製品の成形方法
JP4119780B2 (ja) 成形体の製造方法、製造装置及び光ピックアップ用対物レンズ
JP3763552B2 (ja) ガラス被覆層を有するガラスレンズ及びその製造方法
JP5326773B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP2006206394A (ja) 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法
JP2011105559A (ja) 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法
JP4223967B2 (ja) ガラス光学素子の製造方法
JP4094210B2 (ja) ガラス光学素子の製造方法及びそれに用いるガラス光学素子用成形型
JP2007284300A (ja) 光学素子成形型及びその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法
JP3875306B2 (ja) 光学素子の成形用型の製造方法及び光学素子の成形方法
JP3587499B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP4779836B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP4832939B2 (ja) 光学素子成形用型の製造方法
JPS6296328A (ja) 光学ガラス素子の成形方法
JPH0451495B2 (ja)
JP2007076945A (ja) ガラスレンズの成形方法及び成形装置
JP5244575B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP2004277242A (ja) 光学素子成形型およびその成形方法と製造装置
JP7043036B2 (ja) 新規な転写金型用入れ子の製造方法
JP2003063832A (ja) 光学素子成形用型
JP2004210550A (ja) モールド成形金型
JP2004083394A (ja) ガラス成形体の製造方法
JPH09235123A (ja) 光学素子の成形法
JP2002338272A (ja) 光学素子の製造装置および製造方法
JP2008230874A (ja) 光学素子の製造方法