JP5477215B2 - 油冷機器用ハーネス - Google Patents

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Description

本発明は、油冷機器用ハーネスに関するものである。
従来より、高い温度で発熱する機器の内部を冷却するための技術として、絶縁性の油で機器を冷却する油冷式のものがある。油冷式の機器(以下、油冷機器)としては、例えば、シールドケース内に油冷モータ本体を収容し、シールドケース内に油冷用の油を充填した油冷モータがある。この油冷モータは、近年のハイブリッド車や電気自動車の普及により、開発が盛んに行われている。
この油冷モータとインバータとの間を接続するための油冷モータ用ハーネスとしては、例えば、特許文献1に開示されたコネクタ構造を有するものがある。
図2に示すように、特許文献1の油冷モータ用ハーネス31は、導電性材料からなるシールドケース35内に油冷モータ本体34を収容した油冷機器(油冷モータ)に接続される。シールドケース35の内部には、油冷モータ本体34から延伸したバスバー状の3つの端子32が待ち受けている。
この油冷モータ用ハーネス31は、シールド電線44、フランジ部38、端子金具37、及び外装体39を備えて構成されている。シールド電線44は、複数の金属細線からなる導体40を、絶縁性合成樹脂材料からなる筒状の絶縁体41で包囲するとともに、その絶縁体41の外周に沿って編組線からなる筒状のシールド層42を配し、さらに、このシールド層42を絶縁性の合成樹脂材料からなるシース43で包囲した構成になる。シールド電線44の前端部においては、シース43が剥き取られてシース43の前端縁から絶縁体41とシールド層42が露出して突出され、さらに、その絶縁体41の前端部が剥き取られてその絶縁体41の前端縁から導体40が露出した状態で突出されている。
シース43の前端部には導電性のスリーブ46が外嵌されており、このスリーブ46の略前半部分には、シース43の前端から露出されているシールド層42が後方へ折り返された状態で外嵌され、さらに、この折り返されたシールド層42には、金属製のカシメ筒45がカシメ付けにより導通可能に固着されている。このカシメ筒45により、スリーブ46とシールド層42がシース43の前端部に対して遊動規制された状態で固定されている。
さらに、スリーブ46の略後半部分には、フランジ部38が導通可能に取り付けられている。フランジ部38は、導電性材料からなり、軸線をシールド電線44と平行に向けた円形の筒部47と、シールド電線44の軸方向と直交する平板状をなすフランジ部38とを一体成形したものである。また、フランジ部38にはボルト孔が形成されており、ボルト36でもってシールドケース35に導通可能に固定される。
端子金具37は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工することで全体として前後方向に細長い形状に成形されている。端子金具37の略前半部分は、水平な平板状をなすとともにボルト孔が形成され、ボルト33でもって油冷モータ本体34の端子32に固定される。かかる端子金具37は、シールド電線44の導体40にカシメ付けることで圧着により接続されている。
外装体39は、樹脂モールドにより、シールド電線44の前端部、及び端子金具37の後端部に対してこれらを全周に亘って隙間なく包囲する形態で一体化されたものである。
端子金具37の略前半部分には、その外面を全周に亘って溝状に凹ませた形態のくびれ部51が形成されており、このくびれ部51に接着剤が塗布され、シールド電線44の導体40に油が到達することを防止している。
また、絶縁体41にゴムOリング50を外嵌し、さらに筒部47には、全周に亘って凹ませた形態の溝が形成され、各溝には、夫々、接着剤52が塗布され、シールド電線44のシールド層42とカシメ筒45に油が到達することを防止している。
また、外装体39の外周にはシール溝が形成され、このシール溝にゴムOリング53が装着され、シールドケース35と外装体39の隙間から油が漏出することを防止している。
特開2003−272729号公報
しかしながら、特許文献1の油冷モータ用ハーネス31は、以下の問題点があった。
端子金具37の端子32との接触面と、油冷モータ本体34の距離をL4、端子32の端子金具37との接触面と、油冷モータ本体34の距離をL5とすれば、L4とL5を全くの同一寸法とすることは困難である。すなわち、端子金具37と端子32には隙間(干渉)が生じる。この状態でボルト33を締結した場合、端子金具37の先端部分に荷重が加わり、外装体39とシールドケース35の接触部D(干渉の場合接触部F、以下同じ)に最大曲げモーメントが作用する。
前述したとおり、外装体39は樹脂で形成されており、端子金具37と端子32の隙間の値によっては、外装体39の樹脂に接触部D近辺での剥離・クラックが生じ、機器内部の油がシールド電線44のシールド層42とカシメ筒45に到達し、シールド性能の低下を招く虞がある。
さらに、端子金具37と外装体39の境界部Eにおいても、曲げモーメントが作用する。この場合、境界部Eにおいて外装体39の樹脂の剥離・クラックが生じ、さらには接着剤の剥離が生じ、シールド電線44の導体40に対する防油性能の低下を招く虞がある。
対策として、L4,L5の寸法精度を向上させ、端子金具37と端子32の隙間を極力小さくする方法が考えられるが、寸法精度向上に伴うコスト上昇を招き、望ましくない。
本発明は、上述した事情に鑑み為されたもので、コスト上昇なく防油性能の低下の低減が可能な油冷機器用ハーネスを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために創案された本発明は、前端側が油冷機器のシールドケース内に収容されて、前記シールドケース内に設けられた機器本体の端子と接続される油冷機器用ハーネスにおいて、少なくとも導体と、前記導体の周囲に設けられたシールド層と、前記導体と前記シールド層との間に設けられた絶縁性の弾性体と、を備えた可撓性を有するシールド電線と、前記シールド電線の前記導体及び前記絶縁性の弾性体の一部を収容すると共に前記導体が接続され、且つ、前記機器本体の端子と接続される端子金具と、前記シールドケースに取り付けられるフランジ部を有し、前記端子金具から前記シールド電線が露出するように所定間隔を隔てて前記シールド電線の外周を囲繞するハウジングと、前記シールド電線と前記端子金具との隙間に設けられ、前記導体に前記シールドケース内の油が流入するのを防止する第一の油流入防止手段と、前記ハウジングと前記シールドケースとの隙間に設けられ、前記シールドケース内の油が前記シールドケース外に漏出するのを防止する油漏出防止手段と、を備え、前記端子金具は、前記導体及び前記絶縁性の弾性体の一部を前記シールドケースに対して露出させないように覆う筒状部分を有し、前記第一の油流入防止手段は、前記絶縁性の弾性体の一部を前記筒状部分に形成された筒状のカシメ部によりカシメ付けることで形成され、前記端子金具と前記ハウジングとが、前記端子金具と前記ハウジングとの間で露出された前記シールド電線により相対的に移動可能に構成されたことを特徴とする油冷機器用ハーネスである。
前記シールド層は、前記ハウジング内において前記シールド電線から露出され、前記ハウジングと導通可能に固着されると良い。
前記ハウジング内の前記シールド層よりも前記シールドケースに近い位置には、前記シールド層に前記シールドケース内の油が流入するのを防止する第二の油流入防止手段が設けられていると良い。
本発明によれば、コスト上昇なく防油性能の低下の低減が可能な油冷機器用ハーネスの提供が可能となる。
本発明の油冷機器用ハーネスを示す断面図である。 従来の油冷機器用ハーネスを示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の好適な実施の形態に係る油冷機器用ハーネス1を示す断面図である。
本発明の好適な実施の形態に係る油冷機器用ハーネス1は、図1に示すように、前端側が油冷機器のシールドケース5内に収容されて、シールドケース5内に設けられた機器本体の端子2と接続されるものである。油冷機器用ハーネス1は、少なくとも導体10と、導体10の周囲に設けられたシールド層12と、を備えた可撓性を有するシールド電線14と、シールド電線14の前端側を収容すると共に導体10が接続され、且つ、機器本体の端子2と接続される端子金具7と、シールドケース5に取り付けられるフランジ部16を有し、端子金具7からシールド電線14が露出するように所定間隔を隔ててシールド電線14の外周を囲繞するハウジング8と、シールド電線14と端子金具7との隙間に設けられ、導体10にシールドケース5内の油が流入するのを防止する第一の油流入防止手段17と、ハウジング8とシールドケース5との隙間に設けられ、シールドケース5内の油がシールドケース5外に漏出するのを防止する油漏出防止手段と、を備えている。端子金具7とハウジング8とは、端子金具7とハウジング8との間で露出されたシールド電線14により相対的に移動可能に構成されている。
以下、詳細を述べる。
図1に示すように、本実施の形態に係る油冷機器用ハーネス1は、導電性材料からなるシールドケース5内に機器本体4を収容し、シールドケース内に油冷用の油を充填した油冷機器(油冷モータ)に接続される。シールドケース5の内部には、油冷モータ本体等の機器本体4から延伸したバスバー状の3つの機器本体の端子2が待ち受けている。つまり、油冷機器用ハーネス1は、前端側が機器のシールドケース5内に収容されて、シールドケース5内に設けられた機器本体の端子2と接続される。
本実施の形態において、シールド電線14は、複数の金属細線からなる導体10を、筒状の絶縁体11で包囲すると共に、その絶縁体11の外周に沿って編組線からなる筒状のシールド層12を配し、さらに、このシールド層12をシース13で包囲して構成される。シールド電線14の前端部においては、シース13が剥き取られてシース13の前端縁から絶縁体11とシールド層12が露出して突出され、さらに、その絶縁体11の前端部が剥き取られてその絶縁体11の前端縁から導体10が露出した状態で突出されている。
シース13の前端部には導電性のスリーブ15が外嵌されており、このスリーブ15には、露出されているシールド層12が後方へ折り返された状態で外嵌され、さらに、この折り返されたシールド層12は、金属製のハウジング8の略後半部分がカシメ付けにより導通可能に固着されている。ここでフランジ部16は、金属製のハウジング8と一体で形成されている。また、フランジ部16にはボルト孔が形成されており、ボルト6でもってシールドケース5に導通可能に固定される。
端子金具7の略前半部分は、水平な平板状をなすとともにボルト孔が形成され、ボルト3でもって機器本体の端子2に固定される。また端子金具7の略後半部分は、筒状をなし、シールド電線14の導体10、絶縁体11を端子金具7の筒状部分に挿入し、端子金具7の後端側に形成された筒状のカシメ部24により各々をカシメ付けることで接続されている。
ここで絶縁体11は絶縁性の弾性体で形成され、絶縁体11を筒状のカシメ部24によりカシメ付ける際の弾性体の反発力により、端子金具7と絶縁体11の隙間を塞ぎ、導体10に油が流入することを防止している(第一の油流入防止手段17)。なお、第一の油流入防止手段17は、絶縁体11と端子金具7との間に設けられるゴムOリングであっても良い。この場合、端子金具7の内周面には、ゴムOリングと嵌合するような溝を形成すると良い。このようにすることにより、例えば、絶縁体11が所望の反発力を有さない場合であっても、導体10に油が流入するのを防止することが可能となる。
ところで、本発明は、上記のように、端子金具7とハウジング8との間で露出されたシールド電線14により相対的に移動可能にしている。そのため、ハウジング8からシールド電線14が出ている出口部(図示せず)と機器本体4との距離と、L2(機器本体の端子2の端子金具7との接触面と、機器本体4の距離)と、の差が大きい場合には、該出口部において、ハウジング8と、シールド電線14の絶縁体11と、の間に隙間が生じ、この隙間からシールド層12に油が流入しやくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、ハウジング8内のシールド層12よりもシールドケース5に近い位置には、シールド層12にシールドケース5内の油が流入するのを防止するための第二の油流入防止手段としてのゴムOリング20が設けられている。
ゴムOリング20は絶縁体11に外嵌され、ハウジング8と、シールド電線14の絶縁体11と、の隙間を塞ぐようにしている。
また、ハウジング8の外周にはシール溝が形成され、このシール溝にゴムOリング23が装着され、シールドケース5とハウジング8の隙間から油が漏出することを防止している(油漏出防止手段)。
さらにハウジング8の略後半部分に接着剤21を塗布し、熱収縮チューブ22で接着剤21を覆うことで、シールド電線14のシールド層12とスリーブ15に、機器外部からの水が到達することを防止している。
次に、本実施の形態に係る油冷機器用ハーネス1の作用効果を説明する。
ハウジング8は、端子金具7からシールド電線14が露出するように、所定間隔L3を隔ててシールド電線14の外周に備えられている。そのため、油冷機器用ハーネス1は、端子金具7とハウジング8とが、端子金具7とハウジング8の間で露出されたシールド電線14により相対的に移動可能に構成されている。
端子金具7の機器本体の端子2との接触面と、機器本体4の距離をL1、機器本体の端子2の端子金具7との接触面と、機器本体4の距離をL2とすれば、端子金具7とハウジング8との間のシールド電線14の可撓性により、L2=L1とすることが可能となる。すなわち、端子金具7と機器本体の端子2には隙間(干渉)が生じることはない。この状態でボルト3を締結すれば、ハウジング8とシールドケース5の接触部A(干渉の場合接触部B、以下同じ)に曲げモーメントが作用することによるハウジング8と、シールドケース5と、の間の隙間が生じることを低減でき、防油性能の低下の低減が可能となる。
これにより、L1,L2の寸法精度を向上させる必要はなく、寸法精度向上に伴うコスト上昇を生じることなく、防油性能の低下の低減が可能となる。
また、上記の実施の形態では、シールド電線14の前端部において、シース13が剥き取られてシース13の前端縁から絶縁体11とシールド層12が露出して突出され、さらに、その絶縁体11の前端部が剥き取られてその絶縁体11の前端縁から導体10が露出した状態で突出されているものを用い、絶縁体11を端子金具7の後端側に形成された筒状のカシメ部24によりカシメ付けることで第一の油流入防止手段17を形成している。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、シース13、シールド層12及び絶縁体11は、剥ぎ取らず、導体10、絶縁体11及びシールド層12を露出させないようにしても良い。その場合は、絶縁性の弾性体からなるシース13を端子金具7の後端側に形成された筒状のカシメ部24によりカシメ付けることで第一の油流入防止手段17とすると良い。なお、上記の場合は、第二の油流入防止手段は、省略することが可能である。
また、本実施の形態のようなモータに接続されるハーネスは、一般的に、UVW相の3相線であることが多い。この場合、端子金具7とハウジング8の所定間隔L3を、例えばL3=20,30,40[mm]とすることで、3相線の誤組立の防止が可能となる。なお、本実施の形態においては、油冷機器用ハーネス1に接続される機器として、3相モータに適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数本の油冷機器用ハーネス1の誤組立防止の用途であれば、全て適用可能である。
なお、本発明に係る油冷機器用ハーネス1は、上記のように、油冷モータ用に限定されるものではなく、内部に油が充填された油冷機器内に配置された機器本体の端子と接続するために用いられるものであれば良く、例えば、油冷エンジン等にも適用可能である。
1:油冷機器用ハーネス
2:端子
3:ボルト
4:機器本体
5:シールドケース
6:ボルト
7:端子金具
8:ハウジング
10:導体
11:絶縁体
12:シールド層
13:シース
14:シールド電線
15:スリーブ
16:フランジ部
17:第一の油流入防止手段
20:ゴムOリング(第二の油流入防止手段)
21:接着剤
22:熱収縮チューブ
23:ゴムOリング(油漏出防止手段)
24:カシメ部
A:ハウジング8とシールドケース5の接触部
B:ハウジング8とシールドケース5の接触部
L1:端子金具7の端子2との接触面と、機器本体4の距離
L2:端子2の端子金具7との接触面と、機器本体4の距離
L3:端子金具7からハウジング8の間に設けられた所定間隔

Claims (3)

  1. 前端側が油冷機器のシールドケース内に収容されて、前記シールドケース内に設けられた機器本体の端子と接続される油冷機器用ハーネスにおいて、
    少なくとも導体と、前記導体の周囲に設けられたシールド層と、前記導体と前記シールド層との間に設けられた絶縁性の弾性体と、を備えた可撓性を有するシールド電線と、
    前記シールド電線の前記導体及び前記絶縁性の弾性体の一部を収容すると共に前記導体が接続され、且つ、前記機器本体の端子と接続される端子金具と、
    前記シールドケースに取り付けられるフランジ部を有し、前記端子金具から前記シールド電線が露出するように所定間隔を隔てて前記シールド電線の外周を囲繞するハウジングと、
    前記シールド電線と前記端子金具との隙間に設けられ、前記導体に前記シールドケース内の油が流入するのを防止する第一の油流入防止手段と、
    前記ハウジングと前記シールドケースとの隙間に設けられ、前記シールドケース内の油が前記シールドケース外に漏出するのを防止する油漏出防止手段と、
    を備え、
    前記端子金具は、前記導体及び前記絶縁性の弾性体の一部を前記シールドケースに対して露出させないように覆う筒状部分を有し、
    前記第一の油流入防止手段は、前記絶縁性の弾性体の一部を前記筒状部分に形成された筒状のカシメ部によりカシメ付けることで形成され、
    前記端子金具と前記ハウジングとが、前記端子金具と前記ハウジングとの間で露出された前記シールド電線により相対的に移動可能に構成されたことを特徴とする油冷機器用ハーネス。
  2. 前記シールド層は、前記ハウジング内において前記シールド電線から露出され、前記ハウジングと導通可能に固着されていることを特徴とする請求項1記載の油冷機器用ハーネス。
  3. 前記ハウジング内の前記シールド層よりも前記シールドケースに近い位置には、前記シールド層に前記シールドケース内の油が流入するのを防止する第二の油流入防止手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の油冷機器用ハーネス。
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