JP3860054B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車のインバータ装置などの機器に取り付けられるコネクタとして、シールド電線に固着されたものがありり、この種のコネクタには、シールド電線のシールド層を機器のシールドケースに接続させる手段が設けられている。以下、その具体的な構造を説明する。
コネクタは、シールド電線と略直交する平板状の接続部材を有し、その接続部材の電線貫通孔にシールド電線が貫通され、電線貫通孔に嵌合した筒状部材がシールド電線の外周に露出させたシールド層に接続されている。この接続部材と筒状部材とシールド層との接続部分は、樹脂モールドによる外装体で包囲されている。接続部材には、外装体の外周から突出するケース接続部が形成され、このケース接続部がシールドケースに接続される。これにより、シールド電線のシールド層が、筒状部材と接続部材を介してシールドケースに接続される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のコネクタでは、外装体が樹脂製であるのに対し、接続部材は金属製であることから、双方の材料の組み合わせによっては、界面の密着性が低いことがある。そこで、樹脂モールドに先立ち、接続部材の前後両面に接着剤を塗布し、この接着剤によって接続部材の前後両面と外装体との界面をシールするという手段が講じられている。
ところが、外装体は、樹脂製であるとともに、全体として前後方向(=電線の長さ方向)に長い筒状をなすことから、モールド成形時に前後方向に大きく熱収縮することは避けられず、そのため、外装体と接続部材の界面においては、剥離の発生が懸念される。もし、このような剥離が生じると、外装体の外周面側から液体が浸入してシールド電線の外周面に至る虞がある。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、外装体の熱収縮に起因する防水性の低下を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、シールド層を備えたシールド電線と、前記シールド電線の前端部に対し、前記シールド層を包囲するように樹脂モールドにより外装された外装体と、前記外装体の内部において前記シールド電線を貫通させるとともに前記シールド層に接続される筒状接続手段と、前記シールド電線の軸線と略直交する板状をなすとともに、前記外装体の内部において前記シールド電線を貫通させ、前記外装体の外周から突出した部分を機器のシールドケースに接続させる板状接続手段とを備えてなり、前記筒状接続手段と前記板状接続手段とを介して、前記シールド層と前記シールドケースとを導通可能に接続するようにしたものにおいて、前記筒状接続手段と前記板状接続手段とは、前記筒状接続手段が前記板状接続手段を貫いてその前後両方向へ突出する形態の一体部品とされ、前記筒状接続手段の外周における前記板状接続手段の前方及び後方の2箇所に、シール手段が設けられ、前記筒状接続手段の後端側に設けた前記シール手段が、前記筒状接続手段から後方へ延出させるとともに、その延出部分を前記外装体と前記シールド電線の外周との間に介装させたゴムブーツであり、前記シールド層が前記筒状接続手段よりも後方に配され、前記シールド層と前記筒状接続手段が、双方に内嵌されるスリーブを介して接続されているとともに、その接続部分が前記ゴムブーツで覆われている構成とした。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記板状接続手段には、前記シールドケースに対する固定部が形成されている構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記筒状接続手段の外周には、前記シール手段と対応する溝が形成されている構成とした。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記板状接続手段には、樹脂モールドの際に溶融樹脂を流通させるための樹脂流通孔が、前記筒状接続手段の外周に沿って開口するように形成されている構成としている。
【0008】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
シール手段と外装体との界面は径方向に密着した形態となっているので、外装体の前後方向、即ち径方向と直交する方向への熱収縮量が大きくても、シール手段と外装体との界面において剥離が発生する虞はない。したがって、シール手段によるシール性能の信頼性が高い。また、外装体は前後方向だけでなく径方向にも熱収縮するが、この径方向の熱収縮により、外装体がシール手段の外周を押圧する。つまり、外装体の熱収縮がシール性の信頼性向上に寄与する。
【0009】
また、筒状接続手段の後端側に設けたシール手段は、外装体とシールド電線との隙間をシールする機能を兼ね備えているので、外装体とシールド電線との隙間のシール手段を別体にした場合に比べて、部品点数が少なくて済む。
また、筒状接続手段がシールド層よりも前方に配置されているので、板状接続手段からシールド電線に接続された端子金具までの距離が短くなり、これにより、シールドケース内に確保すべきコネクタの収容スペースが小さくて済むようになる。しかも、シールド層とスリーブとの接続部分は、ゴムブーツで覆われているので、樹脂モールド時に溶融樹脂の射出圧を受けずに済み、シールド層とスリーブとの接続信頼性が確保される。
[請求項2の発明]
板状接続手段が、外装体とシールド電線をシールドケースに固定する手段を兼ねているので、シールドケースへの固定手段を別個に設ける場合に比べて、構造が簡素化されている。
[請求項3の発明]
溝を形成したことにより、シール手段が筒状接続部に対して軸方向へ遊動することが防止される。
【0011】
[請求項4の発明]
樹脂流通孔が筒状接続手段の外周に沿って開口されているので、筒状接続手段の外周面に沿って流れる溶融樹脂は、板状接続手段への突き当たりに起因して流れを阻害されることが殆どなく、成形が良好に行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[参考例]
以下、本発明を具体化した参考例を図1乃至図7を参照して説明する。
本実施形態のモールドコネクタA(本発明の構成要件であるコネクタ)は機器50(例えば、電気自動車のインバータ装置等)に取り付けられる。機器50は、導電性材料からなるシールドケース51内に機器本体52を収容したものであり、シールドケース51の側壁には、円形をなす複数の取付孔53が左右に(水平に)並んで形成されているとともに、各取付孔53の上方位置に袋小路状(シールドケース51の内面に開口していない形態)の雌ネジ孔54が形成されている。シールドケース51の内部には、機器本体52から延出するとともにボルト孔56を有するバスバー状の3つの機器側端子55が待ち受けている。
【0013】
本実施形態のモールドコネクタAは、シールド電線10、接続部材20、端子金具30及び外装体40を備えて構成されている。尚、本実施形態において前後方向については、図1における左側を前側ということにする。また、前後方向と軸方向とは同義で用いる。
シールド電線10は、複数の金属細線からなる導体11を、絶縁性合成樹脂材料からなる筒状のコア12で包囲するとともに、そのコア12の外周に沿って編組線からなる筒状のシールド層13を配し、さらに、このシールド層13を絶縁性の合成樹脂材料からなるシース14で包囲した構成になる。シールド電線10の前端部においては、シース14が大きく剥き取られてシース14の前端縁からコア12とシールド層13が露出して突出され、さらに、そのコア12の前端部が剥き取られてそのコア12の前端縁から導体11が露出した状態で突出されている。
【0014】
シース14の前端部には導電性のスリーブ15が外嵌されており、このスリーブ15の略前半部分には、シース14の前端から露出されているシールド層13が後方へ折り返された状態で外嵌され、さらに、この折り返されたシールド層13には、金属製のカシメ筒16がカシメ付けにより固着されている。このカシメ筒16により、スリーブ15とシールド層13がシース14の前端部に対して遊動規制された状態で固定されている。また、コア12の外周にうち、シールド層13を後方へ折り返すことによって露出された前端部には、Oリングからなるゴム製の絶縁リング17が外嵌されている。
【0015】
さらに、スリーブ15の略後半部分には、接続部材20が導通可能に取り付けられている。接続部材20は、導電性材料(金属又は導電性樹脂)からなり、軸線をシールド電線10と平行に向けた円形の筒部21(本発明の構成要件である筒状接続手段)と、シールド電線10の軸方向と直交する平板状をなす板部22(本発明の構成要件である板状接続手段)とを一体成形したものであり、板部22は、筒部21の外周における前後方向のほぼ中央位置から全周に亘って径方向外向きに延出する形態とされている。また、筒部21の外周における板部22よりも前方の位置及び板部22よりも後方の位置には、夫々、全周に亘って凹ませた形態の溝23が形成され、各溝23には、夫々、接着剤24(本発明の構成要件であるシール手段)が塗布されている。板部22には、その周方向に等角度ピッチで間隔を空けた4箇所を前後方向に貫通させた形態の扇状の樹脂流通孔25が形成されている。各樹脂流通孔25の内面のうち、内側の円弧状周面は、筒部21の外周面に対して面一状に連続している。また、板部22は全体として略卵形をなしており、その上方へ延出した頭頂部分はシールドケース51に対する固定部26とされていて、この固定部26にはボルト孔27が形成されている。
【0016】
かかる接続部材20の筒部21は、スリーブ15に対して軸方向及び径方向への遊動を規制された状態で外嵌されるとともに導通可能に接続されている。これにより、シールド電線10と接続部材20とが一体的に組み付けられるとともに、シールド層13と接続部材20とがスリーブ15を介して導通可能に接続されている。
端子金具30は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工することで全体として前後方向に細長い形状に成形されている。端子金具30の略前半部分は、水平な平板状をなすとともにボルト孔32の形成された機器接続部31とされ、略後半部分はオープンバレル状をなす電線接続部33とされている。かかる端子金具30は、上記シールド電線10の導体11に対し電線接続部33をカシメ付けることで圧着により接続されている。接続状態では、シールド電線10の前端部から端子金具30が前方へほぼ一直線状に延出する形態となる。また、機器接続部31の後端部には、その外面を全周に亘って溝状に凹ませた形態のくびれ部34が形成されており、このくびれ部34には接着剤35が塗布されるようになっている。
【0017】
外装体40は、樹脂モールドにより、シールド電線10の前端部及び端子金具30の後端部に対してこれらを全周に亘って隙間なく包囲する形態で一体化されたものである。換言すると、筒部と板部とは、筒部が板部を貫いてその前後両方向へ突出する形態の一体部品とされたものである。この樹脂製の外装体40による包囲領域は、端子金具30の後端部におけるくびれ部34よりも前方の位置から、接続部材20の筒部21の後端よりも後方の位置に亘っている。つまり、外装体40は、くびれ部34に塗布した接着剤35、導体11と電線接続部33との圧着部分、コア12の露出した前端部に外嵌した絶縁リング17、シールド層13と接続部材20との接続部分を包囲している。また、外装体40の外周からは接続部材20の板部22の固定部26が上方へ突出されている。さらに、外装体40の外周における板部22よりも前方の位置にはシール溝41が形成され、このシール溝41にシールリング42が装着されている。
【0018】
次に、本実施形態の作用を説明する。
モールドコネクタAの製造に際しては、図2に示すように、シールド電線10にスリーブ15を外嵌してその上にシールド層13を折り返して重ね合わせ、さらにそのシールド層13の外嵌したカシメ筒16をプレスによりカシメ加工することで、シールド層13とスリーブ15とを接続する。また、このシールド電線10の導体11には端子金具30を接続するとともに、その端子金具30のくびれ部34に接着剤35を塗布して乾燥させておく。さらに、図3に示すように、スリーブ15に接続部材20の筒部21を外嵌してシールド層13と接続部材20とを接続させるとともに、コア12の絶縁リング17を外嵌する。
【0019】
この後、上記した端子金具30、シールド電線10及び接続部材20をモールド金型(図示せず)にセットして外装体40をモールド成形する。モールド成形された外装体40は、端子金具30、シールド電線10及び接続部材20に対しこれらを包囲するように一体化される。これをモールド金型から取り出した後、シール溝41にシールリング42を装着する(図4を参照)。以上により、モールドコネクタAの製造が完了する。
【0020】
製造されたモールドコネクタAは、機器50に取り付けられる。取付けに際しては、端子金具30の機器接続部31を先に向けてモールドコネクタAを取付孔53に差し込み、シールドケース51の外面に板部22の固定部26を当接させてそのボルト孔27をシールドケース51の雌ネジ孔54に対応させるとともに、機器接続部31をシールドケース51内の機器側端子55に重ね合わせて双方のボルト孔32,56同士を対応させる。そして、板部22のボルト孔27に差し込んだボルト57を雌ネジ孔54に螺合することにより接続部材20がシールドケース51に対して導通可能に固定される。また、この接続部材20を介して、外装体40、シールド電線10及び端子金具30もシールドケース51に固定される。固定された外装体40の外周と取付孔53の内周との隙間はシールリング42によって液密状にシールされる。尚、板部22のボルト孔27は寸法公差や組付け公差を考慮してボルト57よりも大径としてもよい。さらに、機器接続部31と機器側端子55を、その両ボルト孔32,56に貫通させたボルト58とナット59の締付けによって接続する。尚、この機器接続部31と機器側端子55のボルト孔32,56は寸法公差や組付け公差を考慮してボルト58の外径よりも幅広で且つ長孔状としてもよい。以上により、シールド電線10が機器50に取り付けられる。
【0021】
さて、外装体40の外面からは接続部材20の板部22が突出しているため、外装体40の外周面に付着した液体が、板部22の前面又は後面に沿いつつ板部22と外装体40との界面の隙間を通って外装体40の内部へ浸入することが懸念されるが、万一浸入しても、その液体は、筒部21の外周の接着剤24に達したところでそれ以上の浸入を阻止されるため、スリーブ15、シース14、シールド層13、コア12、導体11、電線接続部33などに接触することが防止される。また、シールド電線10のシース14と外装体40との界面においては、シース14の弾性により密着度が高いので、外装体40の後端からシース14との隙間内に液体が浸入する虞はない。さらに、シールドケース51の内部において端子金具30の機器接続部31の表面に付着した油などの液体が、外装体40側へ伝い流れ、端子金具30と外装体40との隙間に浸入したとしても、その液体は、くびれ部34の接着剤35に到達したところでそれ以上の浸入を阻止されるので、導体11、コア12、シールド層13、シース14、スリーブ15などに接触する虞はない。さらに、コア12の外周に装着した絶縁リング17は、ゴム製なのでコア12及び外装体40に対する密着度が高く、したがって、電線接続部33とシールド層13との間は液密状にシールされている。
【0022】
上述のように本実施形態では、外装体40の外周から板部22と外装体40との隙間内に液体が浸入するのを阻止する手段として、筒部21の外周に接着剤24を塗布し、その接着剤24と外装体40との界面が径方向に密着する形態としている。したがって、前後方向に長い外装体40が、樹脂モールドの際に前後方向に熱収縮しても、接着剤24と外装体40との界面に剥離(隙間)が生じる虞はない。しかも、外装体40は径方向にも熱収縮することから、外装体40が接着剤24に対して外周側から押圧する状態となるので、この外装体40の径方向の収縮によって接着剤と外装体40との隙間のシール性が高められている。
【0023】
また、接続部材20の板部22は、シールド層13をシールドケース51に対して導通可能に接続させる手段としての他に、外装体40とシールド電線10をシールドケース51に固定する手段を兼ねているので、シールドケース51への固定手段を別個に設ける場合に比べて、構造が簡素化されている。
また、筒部21の外周には接着剤24と対応する溝23を形成し、その溝23内に接着剤24を塗布しているので、接着剤24が乾燥するまでの間に前後方向へ流れていくのを防止することができる。
【0024】
また、板部22には、樹脂モールドの際に溶融樹脂を前後方向に流通させるための樹脂流通孔25が形成されているのであるが、この樹脂流通孔25は、筒部21の外周面に沿って開口するように形成されている。したがって、筒部21の外周面に沿って流れる溶融樹脂は、板部22への突当たりに起因して流れを阻害されることが殆どなく、成形が良好に行われる。
[実施形態1]
次に、本発明を具体化した実施形態1を図8乃至図11を参照して説明する。本実施形態1のモールドコネクタB(本発明の構成要件であるコネクタ)は、接続部材60及び接続部材60とシールド電線10との接続形態を上記参考例とは異なる構成とし、さらに、参考例においてコアの外周に装着されていた絶縁リングを設けない構成としたものである。その他の構成については上記参考例と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0025】
本実施形態1の接続部材60は、筒部61(本発明の構成要件である筒状接続手段)と板部62(本発明の構成要件である板状接続手段)とを一体化させたという基本的な形態については上記参考例の接続部材20と同じであるが、筒部61の外周に形成した溝63,64のうち、板部62よりも後方の位置に形成された溝64は、深さ寸法及び前後方向の幅寸法が上記参考例のものよりも大きくなっている。尚、接続部材60には、固定部65と樹脂流通孔66も形成されている。
【0026】
また、シース14の先端縁から突出するコア12の長さは上記参考例よりも長い寸法とされ、シース14からのシールド層13の延出寸法はコア12の突出寸法よりも短い寸法とされている。そして、コア12の外周にはスリーブ15が外嵌され、そのスリーブ15の略後半部分にはシールド層13が折り返さずに外嵌され、さらにこのシールド層13にはカシメ筒16が外嵌され、このカシメ筒16に対するカシメ加工によってシールド層13とスリーブ15とが導通可能に且つ前後方向への遊動を規制された状態で固着される(図9を参照)。
【0027】
そして、スリーブ15の外周のうちシールド層13が外嵌されていない略前半部分には、上記接続部材60の筒部61が導通可能に且つ軸方向及び径方向への遊動を規制された状態で外嵌されている。これにより、シールド層13と接続部材60とがスリーブ15を介して導通可能に接続される。このようにしてシールド電線10に接続部材60を取り付けた後、予めシールド電線10に外嵌されていた筒状のゴムブーツ68が前方へ引き寄せられ、そのゴムブーツ68の前端部内周の係止部69を、筒部61の後側の溝に引っ掛けるように外嵌させる。このようにして接続部材60に取り付けられたゴムブーツ68は、接続部材60の後方に位置するシールド層13及びシールド層13にカシメ付けられているスリーブ15及びカシメ筒16を包囲し、さらに、ゴムブーツ68の略後半部分はシールド電線10のシース14の外周に対して液密状に密着される。この密着部分では、ゴムブーツ68の弾性とシース14の弾性とによって高いシール性が発揮される(図10を参照)。
【0028】
このようにしてシールド電線10に接続部材60とゴムブーツ68を取り付けるとともに端子金具30を接続したものは、モールド金型(図示せず)内にセットされ、外装体70により包囲される。この外装体70による包囲範囲は、端子金具30のくびれ部34に塗布した接着剤35よりも前方の位置から、ゴムブーツ68の後端よりも前方であり且つシース14の前端よりも後方の位置までとなっている。最後に、外装体70のシール溝71にシールリング72が装着されると、モールドコネクタBの製造が完了し、モールドコネクタBは上記参考例と同様にして機器50に取り付けられる。
【0029】
上述のように本実施形態においては、筒部61の後端側に設けたシール手段は、筒部61から後方へ延出するとともに、その延出部分を外装体70とシールド電線10のシース14の外周との間に介装されるゴムブーツ68となっており、このゴムブーツ68は、シース14の外周と外装体70との隙間をシールする機能を有する。このように、筒部61の後端側に設けたシール手段が、外装体70とシールド電線10との隙間をシールする機能を兼ね備えているので、外装体70とシールド電線10との隙間のシール手段を別体部品として設けた場合に比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0030】
また、本実施形態ではシールド層が筒部61よりも後方に配されているので、シールドケース51の外面に固定される板部62から、シールド電線10に接続された端子金具30の前端までの距離が短くなり、これにより、シールドケース51内に確保すべきモールドコネクタBの収容スペースが上記参考例よりも小さくなっている。
しかも、シールド層13と筒部61は、双方に内嵌されるスリーブ15を介して接続されているとともに、その接続部分がゴムブーツ68で覆われた構造となっているので、シールド層13とスリーブ15との接続部分は、樹脂モールド時における溶融樹脂の射出圧を受けずに済み、接続信頼性が確保されている。
【0031】
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図12を参照して説明する。
本実施形態2のモールドコネクタC(本発明の構成要件であるコネクタ)は、接続部材20とシールド電線10との接続形態を上記参考例とは異なる構成にするとともに、参考例においてコア12の外周に装着されていた絶縁リング17を設けず、さらに、端子金具30を外装体80で包囲しない形態としたものである。その他の構成については上記参考例と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0032】
シース14の前端縁から突出するコア12の長さは参考例よりも長い寸法とされ、シース14からのシールド層13の延出寸法はコア12の突出寸法よりも短い寸法とされている。そして、コア12の外周にはスリーブ15が外嵌され、そのスリーブ15の略後半部分にはシールド層13が折り返さずに外嵌され、さらにこのシールド層13及びシース14の前端部にはカシメ筒16が外嵌され、このカシメ筒16に対するカシメ加工によってシース14、シールド層13及びスリーブ15が導通可能に且つ前後方向への遊動を規制された状態で固着される。そして、スリーブ15の外周のうちシールド層13が外嵌されていない略前半部分に、接続部材20の筒部21(本発明の構成要件である筒状接続手段)が導通可能に且つ軸方向及び径方向への遊動を規制された状態で外嵌されている。これにより、シールド層13と接続部材20とがスリーブ15を介して導通可能に接続される。一方、コア12の前端から突出する導体11には上記参考例と同様にして端子金具30が圧着により接続される。
【0033】
このようにして接続部材20と端子金具30を取り付けたシールド電線10は、一次モールド金型(図示せず)内にセットされ、シース14の外周の前端部には、外装体80よりも柔らかい合成樹脂(例えば、ウレタン)からなる筒状防水部材81が樹脂モールドによって外嵌される。この筒状防水部材81を成形した後、二次モールド金型(図示せず)において筒状防水部材81よりも合成の高い外装体80(例えば、ポリアミド)が樹脂モールドによって外装される。
【0034】
この外装体80による包囲範囲は、端子金具30のくびれ部34に塗布した接着剤35よりも前方の位置から、筒状防水部材81の前後方向における中央位置までとなっている。つまり、外装体80の前端面からは、コア12、導体11及び端子金具30が露出された状態となっている。そして最後に、外装体80にシールリング82が装着されると、モールドコネクタCの製造が完了し、モールドコネクタCは上記参考例と同様にして機器50に取り付けられる。
【0035】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では筒部(筒状接続手段)の前側のシール手段として接着剤を塗布したが、本発明によれば、筒部の前側のシール手段としてゴムリングを取り付けてもよい。
(2)上記実施形態では板部(板状接続手段)にシールドケースへの固定機能を具備させたが、本発明によれば、板部にはシールドケースへの固定機能を具備させず、外装体にシールドケースへの固定手段を別途設けてもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では筒部(筒状接続手段)とシールド層とをスリーブを介して接続したが、本発明によれば、筒部とシールド層を接続する手段として、スリーブを介さずに、筒部にシールド層を直接接触させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例のコネクタをシールドケースに取り付けた状態の断面図
【図2】 シールド電線に端子金具、スリーブ、カシメ筒を組み付けた状態の断面図
【図3】 図2のものに接続部材を組み付けた状態の断面図
【図4】 図3のものに外装体を樹脂モールドした状態の断面図
【図5】 コネクタの正面図
【図6】 接続部材の斜視図
【図7】 接続部材の正面図
【図8】 実施形態1のコネクタをシールドケースに取り付けた状態の断面図
【図9】 シールド電線に端子金具、スリーブ、カシメ筒を組み付けた状態の断面図
【図10】 図9のものに接続部材とゴムブーツを組み付けた状態の断面図
【図11】 図10のものに外装体を樹脂モールドした状態の断面図
【図12】 実施形態2のコネクタをシールドケースに取り付けた状態の断面図
Claims (4)
- シールド層を備えたシールド電線と、
前記シールド電線の前端部に対し、前記シールド層を包囲するように樹脂モールドにより外装された外装体と、
前記外装体の内部において前記シールド電線を貫通させるとともに前記シールド層に接続される筒状接続手段と、
前記シールド電線の軸線と略直交する板状をなすとともに、前記外装体の内部において前記シールド電線を貫通させ、前記外装体の外周から突出した部分を機器のシールドケースに接続させる板状接続手段とを備えてなり、
前記筒状接続手段と前記板状接続手段とを介して、前記シールド層と前記シールドケースとを導通可能に接続するようにしたものにおいて、
前記筒状接続手段と前記板状接続手段とは、前記筒状接続手段が前記板状接続手段を貫いてその前後両方向へ突出する形態の一体部品とされ、
前記筒状接続手段の外周における前記板状接続手段の前方及び後方の2箇所に、シール手段が設けられ、
前記筒状接続手段の後端側に設けた前記シール手段が、前記筒状接続手段から後方へ延出させるとともに、その延出部分を前記外装体と前記シールド電線の外周との間に介装させたゴムブーツであり、
前記シールド層が前記筒状接続手段よりも後方に配され、
前記シールド層と前記筒状接続手段が、双方に内嵌されるスリーブを介して接続されているとともに、その接続部分が前記ゴムブーツで覆われていることを特徴とするコネクタ。 - 前記板状接続手段には、前記シールドケースに対する固定部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 前記筒状接続手段の外周には、前記シール手段と対応する溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
- 前記板状接続手段には、樹脂モールドの際に溶融樹脂を流通させるための樹脂流通孔が、前記筒状接続手段の外周に沿って開口するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
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