JP5475868B2 - 自動車用バルブステムシール - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用バルブステムシールに関する。
自動車エンジンのエンジンバルブにおいては、バルブステム(弁軸)とバルブステムガイド(弁軸受)との摺動面に補給されるエンジンオイルの量を調整するとともに、排気ガス等をシールするために自動車用バルブステムシールが使用されている。
特許文献1には、シール部材とバルブステムとの摺動抵抗の低減を目的として、バルブステムに外嵌されるシール部材の内周面に、ダイヤモンド状硬質炭素膜による膜層を形成する摺動部構造が開示されている。
特許文献2には、シールリップ部の内周の摺動面にフッ素樹脂膜を有するバルブステムシールが開示されている。
特許文献3では、耐久性およびシール性の向上を目的として、バルブステムオイルシール材の摺動面を含む一部または全体を熱可塑性フルオロ樹脂、フッ素ゴムおよび低分子量含フッ素重合体とする配合からなる潤滑性ゴム組成物で形成することが開示されている。
一方、近年、エンジンの高性能化(高回転化)や低燃費化への要求に伴い、自動車用バルブステムシールの摺動特性の向上が望まれている。確かに、フッ素ゴムやシリコンゴムを用いた自動車用バルブステムシールは、アクリルゴムやニトリルゴムを用いた自動車用バルブステムシールに比べて摺動特性に優れる傾向にあるが、上記要求のもと、さらなる摺動特性の向上が求められている。
特開2005−180329号公報 特開平9−68011号公報 特開平6−49438号公報
本発明は、シール性はもちろんのこと、耐久性と低摺動性とを極めて高い水準で兼ね備えた自動車用バルブステムシールを提供することを目的とする。
本発明は、バルブステムガイドの末端に配置され、エンジンのバルブステムと摺動自在に密接するシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用バルブステムシールであって、上記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも上記シールリップ部の表面に凸部を有するとともに、上記凸部が実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、上記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、上記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であることを特徴とする自動車用バルブステムシールに関する。
本発明の自動車用バルブステムシールは、シールリップ部を有する弾性部材を備えており、この弾性部材は、特定の組成物からなり、かつ、少なくともシールリップ部の表面は、実質的にこの特定の組成物に含まれるフッ素樹脂からなる凸部を有しているため、シール性はもちろんのこと、耐久性と低摺動性とを極めて高い水準で兼ね備える。
この作用効果については、後に詳述する。
図3に示した本発明の自動車用バルブステムシールの断面図である。 本発明の自動車用バルブステムシールを使用したエンジンを模式的に示す断面図である。 本発明の自動車用バルブステムシールの使用態様を模式的に示す断面図であり、図2に示すA領域の拡大図である。 (a)は、シールリップ部が有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線Bと直線Bを含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面からの距離が0.15μmの直線Cと直線Cを含む平面で切断した断面図である。 実施例で使用したストローク荷重測定試験機の模式図である。
本発明の自動車用バルブステムシールは、シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用バルブステムシールであって、上記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくともシールリップ部の表面に凸部を有するとともに、上記凸部が実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、上記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、上記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら本発明の自動車用バルブステムシールの実施形態について説明する。
図3は、本発明の自動車用バルブステムシールの使用態様を模式的に示す断面図であり、図2に示すA領域の拡大図である。図2は、本発明の自動車用バルブステムシールを使用したエンジンを模式的に示す断面図であり、図1は、図3に示した自動車用バルブステムシールの断面図である。
本発明の自動車用バルブステムシール11は、図1及び3に示すように、バルブステムガイド13の軸方向の片末端(図3参照)に取り付けられるように取付環17が設けられており、取付環17にはフッ素樹脂及びフッ素ゴムを含む組成物からなる弾性部材16が接着されている。
弾性部材16は、バルブステム12の外周面に密接するシールリップ部16a、及び、バルブステムガイド13の外周面に密接する静止シール部16bを有している。シールリップ部16aの周囲に設けられたスプリングばね18によって、バルブステム12に対して緊迫力が付与される。
ここで、自動車用バルブステムシール11は、弾性部材16がフッ素樹脂及びフッ素ゴムを含む組成物からなるとともに、シールリップ部16aの表面には凸部(図4参照)を有している。即ち、バルブステムシール11は、バルブステム12との接触部に凸部を有している。
そして、自動車用バルブステムシール11は、上記凸部を有するため、バルブステム12との間の摩擦係数が小さく、摺動特性に優れる。
上記凸部は、実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなる。フッ素樹脂は、フッ素ゴムに比べ格段に摩擦係数が低いのでバルブステムと接した時の摩擦抵抗がフッ素ゴムに比べ格段に低くなる。このような上記凸部は、例えば後述するような方法により、上記組成物に含まれるフッ素樹脂を表面に析出させて形成することができる。
そのため、上記凸部は、上記弾性部材の本体との間に明確な界面等が存在せず、上記凸部を有する弾性部材16が一体的に構成されていることとなり、エンジンの駆動時に、脱落したり、欠損したりしにくいとの効果をより確実に享受することができる。
ここで、凸部が実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなることは、IR分析やESCA分析によってフッ素ゴム由来とフッ素樹脂由来のピーク比を求めることで、凸部が実質的にフッ素樹脂からなることを示すことができる。具体的には、凸部を有する領域において、IR分析によって、フッ素ゴム由来の特性吸収のピークとフッ素樹脂由来の特性吸収のピークとの比(成分由来ピーク比=(フッ素ゴム由来のピーク強度)/(フッ素樹脂由来のピーク強度))を、凸部と凸部外のそれぞれの部分で測定し、凸部外の成分由来ピーク比が、凸部の成分由来ピーク比に対して2倍以上、好ましくは3倍以上であることをいう。
上記凸部の形状について、図面を参照しながらもう少し詳しく説明する。
図4(a)は、シールリップ部が有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線Bと直線Bを含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面からの距離が0.15μmの直線Cと直線Cを含む平面で切断した断面図である。
そして、図4(a)〜(c)には、本発明の自動車用バルブステムシールが備えるシールリップ部16aの微小領域を模式的に描画している。
シールリップ部16aの表面には、図4(a)〜(c)に示すように、例えば、略円錐形状(コーン形状)の凸部31が形成されている。
ここで、凸部31の高さとは、シールリップ部本体の表面から突出した部分の高さをいう(図4(b)中、H参照)。
また、凸部31の径とは、凸部31をシールリップ部本体の表面から所定の高さ(本願では0.15μm/図4(b)中、一点鎖線参照)で、シールリップ部本体の表面と平行に切断した面において観察される凸部31(図4(c)参照)の断面において、断面の外縁をなす閉曲線を内接する最小の長方形を仮定し、この長方形の長辺L1と短辺L2との和を2で除した値((L1+L2)/2)をいう。
上記凸部の形状は、平均高さが0.5〜5.0μmであることが好ましい。
上記平均高さがこの範囲にあると、シールリップ部が低摺動性に特に優れるからである。
より好ましい平均高さは、0.5〜3.0μmである。更に好ましくは、0.5〜2.0μmである。
また、上記凸部の平均径は、5〜20μmであることが好ましい。より好ましくは、5〜15μmである。
凸部の平均径がこの範囲にあると、シールリップ部が低摺動性に特に優れるからである。
また、シールリップ部の表面において、上記凸部を有する領域の比率は、10%以上であることが好ましい。少なくとも10%の領域に凸部を形成すれば、シールリップ部の低摩擦性が確実に向上するからである。より好ましい上記比率は、15%以上である。更に好ましくは、18%以上である。
一方、上記凸部を有する領域の比率の好ましい上限は、80%である。
なお、上記凸部を有する領域の比率とは、上記凸部の径を評価する切断面において、凸部が占める面積の比率をいう。
本発明の自動車用バルブステムシールにおいて、上記凸部は少なくともシールリップ部の表面に形成されていればよく、シールリップ部の表面のみに形成されていても良いし、弾性部材の全表面に形成されていてもよい。
即ち、本発明の自動車用バルブステムシールにおいては、バルブステムとの接触部に凸部が形成されていれば良いのである。
上記凸部の形状は、原子間力顕微鏡によって確認することができる。例えば、原子間力顕微鏡を使用して自動車用バルブステムシールのシールリップ部表面を観察し、得られた位相像から表面の硬さを解析することによって、実質的にフッ素樹脂からなる凸部が存在することを確認できる。また、上記シールリップ部表面にある凸部の平均径は、例えば、100個の測定視野内平均径であり、測定視野内平均径は、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の長径と短径との和を2で除した値の平均値である。
また、凸部の平均高さは、例えば、100個の測定視野内平均高さであり、測定視野内高さとは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さの値を平均した値である。
また、凸部を有する領域の比率は、例えば、100個の測定視野内占有率であり、測定視野内占有率とは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の面積が測定視野(100μm四方)の面積に占める割合である。
原子間力顕微鏡:VEECO社製 PM920−006−101 マルチモードVシステム
カンチレバー:VEECO Probes社製HMX−10
測定環境:常温・常湿
測定視野:100μm四方
測定モード:ハーモニクスモード
上記凸部の形状は、レーザー顕微鏡によって確認することもできる。例えば、後述するレーザー顕微鏡及び解析ソフトを使用して、上記シールリップ部表面の任意の領域(270μm×202μm)に存在する凸部全てについて、各凸部の底部断面の径及び高さを測定し、それらを平均して平均径及び平均高さを求めることができる。また、上記シールリップ部表面の任意の領域(270μm×202μm)に存在する凸部の断面積の合計が測定視野の面積に占める割合として占有率を求めることができる。
レーザー顕微鏡:キーエンス社製、カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9700)
解析ソフト:三谷商事株式会社製、WinRooF Ver. 6.4.0
測定環境:常温・常湿
測定視野:270μm×202μm
なお、本発明の自動車用バルブステムシールの全体の形状は、図1、3に示した形状に限定されるわけではなく、エンジンの設計に応じて、適宜選択すればよい。従って、自動車用バルブステムシールのシールリップ部の形状は図の限りでない。
また、本発明の自動車用バルブステムシールは、シールリップ部を有する弾性部材を備えていればよく、取付環及びスプリングばねのそれぞれは、自動車用バルブステムシールの設計によっては、必ずしも備えていなくてもよい。
本発明の自動車用バルブステムシールを構成する弾性部材は、フッ素ゴムとフッ素樹脂とを含む組成物からなる。
上記フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物は、フッ素ゴムとフッ素樹脂との質量比(フッ素ゴム)/(フッ素樹脂)が60/40〜97/3であることが好ましい。フッ素樹脂が少なすぎると摩擦係数低減の効果が充分に得られないおそれがあり、一方、フッ素樹脂が多すぎると、ゴム弾性が著しく損なわれ、本来のオイルをシールする性能が損なわれ、油漏洩の原因となる恐れがある。柔軟性と低摩擦性の両方が良好な点から、(フッ素ゴム)/(フッ素樹脂)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることがさらに好ましい。
上記フッ素ゴムは、主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子を有し且つゴム弾性を有する非晶質の重合体からなるものである。上記フッ素ゴムは、1種の重合体からなるものであってもよいし、2種以上の重合体からなるものであってもよい。
上記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド〔VdF〕に基づく重合単位〔VdF単位〕を含む重合体である。
上記フッ素ゴムは、VdF単位及び含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位(但し、VdF単位は除く。)を含む共重合体であることが好ましい。VdF単位を含む共重合体は、更に、VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に基づく共重合単位(但し、VdF単位及び含フッ素エチレン性単量体に基づく共重合単位を除く。)を含むことも好ましい。
上記フッ素ゴムは、30〜85モル%のVdF単位及び70〜15モル%の含フッ素エチレン性単量体に基づく共重合単位を含むことが好ましく、30〜80モル%のVdF単位及び70〜20モル%の含フッ素エチレン性単量体に基づく共重合単位を含むことがより好ましい。VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に基づく共重合単位は、VdF単位と含フッ素エチレン性単量体に基づく共重合単位の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体としては、たとえばテトラフルオロエチレン〔TFE〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)又はパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)であることがより好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)であることが更に好ましい。これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
上記フッ素ゴムは、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、及び、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましく、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF/HFP共重合体、及び、VdF/HFP/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることがより好ましい。
上記フッ素ゴムは、加工性が良好な点から、ムーニー粘度(ML1+10(121℃))が5〜140であることが好ましく、10〜120であることがより好ましく、20〜100であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴムは、数平均分子量20,000〜1,200,000のものが好ましく、30,000〜300,000のものがより好ましく、50,000〜200,000のものが更に好ましく用いられる。数平均分子量は、テトラヒドロフラン、n−メチルピロリドン、などの溶媒を用い、GPCにて測定することができる。
上記フッ素ゴムは、用途によって架橋系を選択することができる。架橋系としては、パーオキサイド架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系等があげられる。
上記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位〔Et単位〕とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位〔TFE単位〕とを含む共重合体〔ETFE〕である。
TFE単位とEt単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、37:63〜85:15がより好ましく、38:62〜80:20が特に好ましい。
ETFEは、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位を含むものであってもよい。共重合可能な単量体としては、CTFE、トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、フッ化ビニル、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)などの含フッ素単量体があげられ、HFPであることが好ましい。また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位は、全単量体単位に対して0.1〜5モル%であることが好ましく、0.2〜4モル%であることがより好ましい。
ETFEは、融点が120〜340℃であることが好ましく、150〜320℃であることがより好ましく、170〜300℃であることが更に好ましい。
上記組成物には、必要に応じてフッ素ゴム中に配合される通常の配合剤、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を配合することができ、これらの添加剤、配合剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
上記自動車用バルブステムシールを構成する取付環やスプリングばねとしては、例えば、従来公知のものを使用することができる。
次に、本発明の自動車用バルブステムシールの製造方法について説明する。
本発明の自動車用バルブステムシールは、
(I)フッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとをフッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度で混練する混練工程、
(II)得られた混練物を成形架橋する成形架橋工程、および
(III)得られた架橋成形品をフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する熱処理工程
を含む方法により、所定の形状の弾性部材を製造し、さらに、必要に応じて、取付環を内蔵させたり、スプリングばねを配設することにより製造することができる。
未架橋フッ素ゴムは、架橋前のフッ素ゴムである。
(I)混練工程
混練工程(I)では、未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂とを、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度、好ましくはフッ素樹脂の融点以上の温度で溶融混練する。加熱温度の上限は、フッ素ゴムまたはフッ素樹脂のいずれか低い方の熱分解温度未満である。
未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂との溶融混練はその温度で架橋を引き起こす条件(架橋剤、架橋促進剤および受酸剤の存在下など)では行わないが、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の溶融混練温度で架橋を引き起こさない成分(たとえば特定の架橋剤のみ、架橋剤と架橋促進剤の組合せのみ、など)であれば、溶融混練時に添加混合してもよい。架橋を引き起こす条件としては、例えば、ポリオール架橋剤と架橋促進剤と受酸剤との組合せがあげられる。
したがって、本発明における混練工程(I)では、未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂とを溶融混練してプレコンパウンド(予備混合物)を調製し、ついで、架橋温度未満の温度で他の添加剤や配合剤を混練してフルコンパウンドとする2段階混練法が好ましい。もちろん、全ての成分を架橋剤の架橋温度未満の温度で混練する方法でもよい。
上記架橋剤としては、アミン架橋剤、ポリオール架橋剤、パーオキサイド架橋剤等の公知の架橋剤を使用することができる。
溶融混練は、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用して、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度、たとえば200℃以上、通常230〜290℃でフッ素ゴムと混練することにより行うことができる。これらの中でも、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダーまたは二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
また、2段階混練法におけるフルコンパウンド化は、架橋温度未満、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
上記溶融混練と類似の処理としてフッ素樹脂中で未架橋フッ素ゴムをフッ素樹脂の溶融条件下で架橋する処理(動的架橋)がある。動的架橋では、熱可塑性樹脂のマトリックス中に未架橋ゴムをブレンドし、混練しながら未架橋ゴムを架橋させ、かつその架橋したゴムをマトリックス中にミクロに分散させる方法であるが、本発明における溶融混練では、架橋を引き起こさない条件(架橋に必要な成分の不存在、またはその温度で架橋反応が起こらない配合など)で溶融混練するものであり、またマトリックスは未架橋ゴムとなり、未架橋ゴム中にフッ素樹脂が均一に分散している混合物である点において本質的に異なる。
(II)成形架橋工程
この工程は、混練工程で得られた混練物を成形し架橋し、製造する弾性部材と略同形状の架橋成形品を製造する工程である。
成形方法としては、たとえば金型などによる加圧成形法、インジェクション成形法などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
架橋方法も、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法、放射線架橋法等が採用でき、なかでも、加熱による架橋反応が好ましい。
成形および架橋の方法および条件としては、採用する成形および架橋において公知の方法および条件の範囲内でよい。また、成形と架橋は順不同で行ってもよいし、同時に並行して行ってもよい。
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜300℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよい。また、後述する熱処理工程において、架橋成形品表面にフッ素樹脂からなる凸部を形成させる観点から、成形架橋条件は、フッ素樹脂の融点未満の温度であることが好ましく、より好ましくはフッ素樹脂の融点より5℃以上低い温度以下である。また、架橋条件における温度の下限は、フッ素ゴムの架橋温度である。
また、未架橋ゴムの架橋において、最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施すことがあるが、つぎの熱処理工程(III)で説明するように、従来の2次架橋工程と本発明の成形架橋工程(II)および熱処理工程(III)とは異なる処理工程である。
なお、自動車用バルブステムシールとして、取付環を備えたバルブステムシールを製造する場合は、この工程において、例えば、予め金型内に取付環を配置しておき、一体成形を行えばよい。
(III)熱処理工程
この熱処理工程(III)では、得られた架橋成形品をフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する。
熱処理工程(III)を経ることにより、製造する弾性部材の表面に、(主にフッ素樹脂からなる)凸部を形成することができる。
本発明における熱処理工程(III)は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率を高めるために行う処理工程であり、この目的に即して、フッ素樹脂の融点以上で、かつ、フッ素ゴムおよびフッ素樹脂の熱分解温度未満の温度が採用される。
加熱温度がフッ素樹脂の融点よりも低い場合は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率が十分に高くならない。フッ素ゴムおよびフッ素樹脂の熱分解を回避するために、加熱温度は、フッ素ゴムまたはフッ素樹脂のいずれか低い方の熱分解温度未満の温度でなければならない。好ましい加熱温度は、短時間で低摩擦化が容易な点から、フッ素樹脂の融点より5℃以上高い温度以上である。
加熱時間は加熱温度と密接に関係しており、加熱温度が比較的下限に近い温度では比較的長時間加熱を行い、比較的上限に近い加熱温度では比較的短い加熱時間を採用することが好ましい。このように加熱時間は加熱温度との関係で適宜設定すればよいが、加熱処理をあまり高温で行うとフッ素ゴムが熱劣化することがあるので、加熱処理温度は、実用上300℃までである。
かかる熱処理工程(III)を経ることにより、弾性部材の表面に(主にフッ素樹脂からなる)凸部を形成するという現象は本発明者らにより初めて見出されたものである。
また、上記(I)〜(III)の工程を経て製造した弾性部材は、その表面全体に凸部が形成されることとなるが、本発明の自動車用バルブステムシールにおいては、少なくともシールリップ部の表面に凸部が形成されていれば、シールリップ部の表面以外の部分に凸部がなくてもよい。そして、このような態様の弾性部材を製造する場合は、例えば、上記(III)の工程を行った後、研磨処理等により不要な部分の凸部を除去すればよい。
ところで、従来行われている2次架橋は1次架橋終了時に残存している架橋剤を完全に分解してフッ素ゴムの架橋を完結し、架橋成形品の機械的特性や圧縮永久ひずみ特性を向上させるために行う処理である。
したがって、フッ素樹脂の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずに未架橋フッ素ゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。
なお、成形架橋工程(II)において、未架橋フッ素ゴムの架橋を完結させるため(架橋剤を完全に分解するため)の2次架橋を行ってもよい。
また、熱処理工程(III)において、残存する架橋剤の分解が起こり未架橋フッ素ゴムの架橋が完結する場合もあるが、熱処理工程(III)におけるかかる未架橋フッ素ゴムの架橋はあくまで副次的な効果にすぎない。
なお、上記熱処理工程(III)を行った後、必要に応じて、スプリングばねを配設する工程を行ってもよい。
混練工程(I)、成形架橋工程(II)、及び、熱処理工程(III)を含む製造方法により得られる自動車用バルブステムシールは、フッ素樹脂の表面移行現象によって、弾性部材の表面に凸部が形成されているとともに、表面領域(凸部内を含む)でフッ素樹脂比率が増大した状態になっているものと推定される。
特に、混練工程(I)で得られる混練物は、未架橋フッ素ゴムが連続相を形成しかつフッ素樹脂が分散相を形成している構造、または未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂が共に連続相を形成している構造をとっているものと推定され、このような構造を形成することにより、成形架橋工程(II)での架橋反応をスムーズに行うことができ、得られる架橋物の架橋状態も均一になり、また熱処理工程(III)におけるフッ素樹脂の表面移行現象がスムーズに起こりフッ素樹脂比率が増大した表面が得られる。
なお、フッ素樹脂の表面層への移行がスムーズに起こる点から、熱処理工程はフッ素樹脂の融点以上での加熱処理が特に優れている。
自動車用バルブステムシールの表面領域におけるフッ素樹脂比率が増大した状態は、弾性部材の表面をESCA又はIRで化学的に分析することで検証できる。
たとえば、ESCA分析では成形品の表面から約10nmまでの深さの原子団を同定できるが、熱処理後において、フッ素ゴム由来の結合エネルギーのピーク(PESCA1)とフッ素樹脂由来のピーク(PESCA2)の比(PESCA1/PESCA2)が熱処理前に対して小さくなっている、すなわちフッ素樹脂の原子団が多くなっている。
また、IR分析では成形品の表面から約0.5〜1.2μmまでの深さの原子団を同定できるが、熱処理後において、深さ0.5μmでのフッ素ゴム由来の特性吸収のピーク(PIR0.51)とフッ素樹脂由来のピーク(PIR0.52)の比(PIR0.51/PIR0.52)が熱処理前に対して小さくなっている、すなわちフッ素樹脂の原子団が多くなっている。しかも、深さ0.5μmでの比(PIR0.51/PIR0.52)と深さ1.2μmでの比(PIR1.21/PIR1.22)を比べても、深さ0.5μmでの比(PIR0.51/PIR0.52)の方が小さくなっており、表面に近い領域の方にフッ素樹脂比率が増大していることを示している。
ところで、フッ素ゴムの表面をフッ素樹脂の塗布や接着で改質したものでは、その表面に本発明の自動車用バルブステムシールが有する特徴的な凸部は観察されないので、本発明のような組成物内のフッ素樹脂が表面に析出した凸部を備えた自動車用バルブステムシールは、従来にない新規な自動車用バルブステムシールである。
そして、上記熱処理工程(III)により弾性部材の表面に凸部が形成されることにより、弾性部材の特性のうち、たとえば低摩擦性や撥水撥油性が、熱処理をしないものより、格段に向上する。しかも、表面部分以外では逆にフッ素ゴムの特性が発揮でき、全体として、低摩擦性や撥水撥油性、エラストマー性のいずれにもバランスよく優れた弾性部材となるため、この弾性部材を備えた自動車用バルブステムシールは、自動車用バルブステムシールに要求される低摩擦性や撥水撥油性、エラストマー性のいずれもがバランスよく優れることとなる。さらに、フッ素樹脂とフッ素ゴムに明確な界面状態が存在しないので、表面の凸部が脱落することもなく、耐久性および信頼性に優れる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
フッ素ゴム:ポリオール架橋可能な2元フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製のG7401)。
フッ素樹脂:ETFE(ダイキン工業(株)製のEP−610)
充填剤:カーボンブラック(Cancarb社製のMTカーボン:N990)
受酸剤:酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製のMA150)
架橋助剤:水酸化カルシウム(近江化学工業(株)製のCALDIC2000)
取付環:冷間圧延鋼板SPCC
スプリングばね:硬鋼線SWB
実施例1
(I)混練工程
(プレコンパウンドの調製)
内容積3リットルの加圧型ニーダーに、体積充填率が85%になるようにフッ素ゴム100質量部とフッ素樹脂43質量部とを投入し、材料(フッ素ゴムとフッ素樹脂)温度が230℃になるまで練り、プレコンパウンドを調製した。ローターの回転数は45rpmとした。
(フルコンパウンドの調製)
得られたプレコンパウンドを8インチロール2本を備えたオープンロールに巻き付け、充填剤を1質量部、受酸剤を3質量部、架橋助剤を6質量部添加し、20分間混練りした。さらに得られたフルコンパウンドを24時間冷却し、再度8インチロール2本を備えたオープンロールを用いて、30〜80℃で20分間混練りしてフルコンパウンドを調製した。
このフルコンパウンドの架橋(加硫)特性を調べた。結果を表1に示す。
(II)成形架橋工程
自動車用バルブステムシールの金型に取付環を配設し、フルコンパウンドを投入して、8MPaに加圧して、180℃で5分間加硫させて、架橋成形品(リップ内径4.9mm、外径12.8mm、高さ10.1mm)を得た。
(III)熱処理工程
得られた架橋成形品を230℃に維持された加熱炉中に24時間入れ、加熱処理をし、図1に示すような構造を有する自動車用バルブステムシールを得た。
架橋(加硫)特性を、JSRキュラストメーターII型を用いて、測定温度170℃で測定した。
原子間力顕微鏡を使用して自動車用バルブステムシールのシールリップ部表面を観察し、得られた位相像から表面の硬さを解析することによって、実質的にフッ素樹脂からなる凸部が存在することを確認した。
また、自動車用バルブステムシールのシールリップ部表面にある凸部の平均径とは、100個の測定視野内平均径であり、測定視野内平均径とは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の長径と短径との和を2で除した値の平均値である。
また、凸部の平均高とは、100個の測定視野内平均高さであり、測定視野内高さとは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さの値を平均した値である。
また、凸部の占有率とは、100個の測定視野内占有率であり、測定視野内占有率とは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の面積が測定視野(100μm四方)の面積に占める割合である。
原子間力顕微鏡:VEECO社製 PM920−006−101 マルチモードVシステム
カンチレバー:VEECO Probes社製HMX−10
測定環境:常温・常湿
測定視野:100μm四方
測定モード:ハーモニクスモード
バルブステムシールのシールリップ部表面の凸部先端から0.5μm深さと凸部外の表面から0.5μm深さとについての原子団をIR分析によって、同定した結果を表1に示す。ここでフッ素ゴム由来の特性吸収のピークを(PIR0.51)とし、フッ素樹脂由来の特性吸収のピーク(PIR0.52)とし、その比(PIR0.51/PIR0.52)を示す。
ここで、凸部とは、高さ0.15μm以上の部分をいう。
次に、以下に示す方法で自動車用バルブステムシールのストローク荷重を測定した。結果を表1に示す。
図5は、実施例で使用したストローク荷重測定試験機の模式図である。
図5に示すストローク荷重測定試験機50では、バルブガイド54が加振機53に設置されている。バルブガイド54の先端側には測定用バルブステムシール51がバルブステム軸57に摺動可能に固定される。また、バルブステム軸57は架台58にロードセル56を介して固定されている。
そして、バルブガイド54を加振機53により所定の往復速度で往復運動させると、測定用バルブステムシール51がバルブステム軸57に密接した状態で往復運動し、このときのバルブステム軸57にかかる荷重(ストローク荷重)をロードセル56で測定する。
ここで、測定条件は、常温で、加振機53の往復速度を9.6cpm又は350cpmとした。
実施例2および3
フッ素樹脂を表1に示す配合量に変えた他は実施例1と同様に自動車用バルブステムシールを得て、ストローク荷重を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
市販のフッ素ゴム自動車用バルブステムシール(HONDA車用 部番:12211−PZ1−003)のストローク荷重を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005475868
表1の結果から、本発明の自動車用バルブステムシールは、従来品に比べストローク荷重が20%以上低減されており、特に低速域(9.6cpm)では従来の半分以下と、著しい低摺動効果がみられた。
10 エンジン
11 自動車用バルブステムシール
12 バルブステム
13 バルブステムガイド
16 弾性部材
16a シールリップ部
16b 静止シール部
17 取付環
18 スプリングばね
23 コンロッド
24 ピストン
25 エンジンバルブ
31 凸部
50 ストローク荷重測定試験機
51 測定用バルブステムシール
53 加振機
54 バルブガイド
56 ロードセル
57 バルブステム軸
58 架台

Claims (3)

  1. バルブステムガイドの末端に配置され、エンジンのバルブステムと摺動自在に密接するシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用バルブステムシールであって、
    前記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも前記シールリップ部の表面に凸部を有するとともに、前記凸部が実質的に前記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、
    (I)フッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとをフッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度で混練する混練工程、
    (II)得られた混練物を成形架橋する成形架橋工程、および
    (III)得られた架橋成形品をフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する熱処理工程
    を含む方法により得られ、
    前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、
    前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であり、
    凸部の高さは、0.5〜5μmであり、
    凸部の平均径は、5〜20μmであり、
    シールリップ部の表面において、凸部を有する領域の比率は、10%以上である
    ことを特徴とする自動車用バルブステムシール。
  2. フッ素ゴムは、
    ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、
    テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種の単量体に基づく重合単位と、
    を含む共重合体である請求項1記載の自動車用バルブステムシール。
  3. フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物は、フッ素ゴムとフッ素樹脂との質量比が60/40〜97/3である請求項1又は2記載の自動車用バルブステムシール。
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