JP2014178014A - 自動車用オイルシール - Google Patents
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Abstract
【課題】高い耐油性及び低摩擦特性を有する自動車用オイルシールを提供する。
【解決手段】シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用オイルシールであって、
上記弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)を架橋して得られたものであり、フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーであることを特徴とする自動車用オイルシールである。
【選択図】 なし
【解決手段】シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用オイルシールであって、
上記弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)を架橋して得られたものであり、フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーであることを特徴とする自動車用オイルシールである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車用オイルシールに関する。
自動車においては、エンジンオイル等の流体が漏れることを防止するため、種々のオイルシールが使用されている。自動車用のオイルシールとしては、例えば、エンジンのクランクシャフトに当接して使用されるエンジンオイルシール、トランスミッションに使用されるオイルシール等が挙げられる。
自動車用のオイルシールとしては、例えば、特許文献1には、エンジンオイルシールとして、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム、水素化ニトリルゴム及びこれらのブレンド物等のエラストマーとケイ酸化合物とからなるエラストマー組成物により構成されたシール用リップ部を有するオイルシールが開示されている。ここで、エラストマーとしては、ACM、FKMが好ましいことが記載されている。
特許文献2には、ゴム性のリップ部がシリコーンゴムやフッ素ゴムで構成されたエンジンに使用するオイルシールが開示されている。
特許文献3には、オイルシールのシールリップ部の摺動抵抗の低減を目的として、ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成する方法が提案されている。
特許文献4には、少なくとも主リップ部が設けられたシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用エンジンオイルシールであって、前記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも前記主リップ部の表面に凸部を有するとともに、前記凸部が実質的に前記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である自動車用エンジンオイルシールが開示されている。
特許文献2には、ゴム性のリップ部がシリコーンゴムやフッ素ゴムで構成されたエンジンに使用するオイルシールが開示されている。
特許文献3には、オイルシールのシールリップ部の摺動抵抗の低減を目的として、ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成する方法が提案されている。
特許文献4には、少なくとも主リップ部が設けられたシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用エンジンオイルシールであって、前記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも前記主リップ部の表面に凸部を有するとともに、前記凸部が実質的に前記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である自動車用エンジンオイルシールが開示されている。
トランスミッションオイルシールとしては、例えば、特許文献5には、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなり、シールリップを備えたシール部材が開示されている。
特許文献6には、少なくとも主リップ部が設けられたシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用トランスミッションオイルシールであって、前記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも前記主リップ部の表面に凸部を有するとともに、前記凸部が実質的に前記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である自動車用トランスミッションオイルシールが開示されている。
特許文献6には、少なくとも主リップ部が設けられたシールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用トランスミッションオイルシールであって、前記弾性部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなり、かつ、少なくとも前記主リップ部の表面に凸部を有するとともに、前記凸部が実質的に前記組成物に含まれるフッ素樹脂からなり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である自動車用トランスミッションオイルシールが開示されている。
本発明は、シール性はもちろんのこと、高い耐油性及び低摩擦特性を有する自動車用オイルシールを提供することを目的とする。
自動車用オイルシールには、回転軸の出力を出来る限り損失しないようにしながら油の外部への流出を防ぐ必要がある。油密封性(シール性)と出力損失の低減は相反する性質であり、その両立はオイルシールの形状や使用する油の性状で工夫するのが普通である。
しかし、本発明者らは、自動車用オイルシールの形成材料の改良を試みた。まず、従来から自動車用オイルシールの形成材料として使用されているアクリロニトリルブタジエンゴムに着目し、アクリロニトリルブタジエンゴムとパーハロポリマーとを共凝析させることにより得られる共凝析組成物を使用すると、自動車用オイルシールの表面に対して、アクリロニトリルブタジエンゴムからなるものよりも低摩擦特性を付与することができること見出した。また、アクリロニトリルブタジエンゴムからなる自動車用オイルシールよりも耐油性が向上することも併せて見出された。
本発明は、これらの知見に基づく発明であり、シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用オイルシールであって、上記弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)を架橋して得られたものであり、フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーであることを特徴とする自動車用オイルシールである。
弾性部材は、フッ素樹脂(B)がアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が3〜700nmであることが好ましい。
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、及び、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の自動車用オイルシールは、弾性部材に対するフッ素樹脂(B)の体積比が0.02〜0.40であることが好ましい。
アクリロニトリルブタジエンゴム(A)は、結合アクリロニトリル量が10質量%以上であることが好ましい。
本発明の自動車用オイルシールは、上記構成を有することから、シール性はもちろんのこと、高い耐油性及び低摩擦特性を有する。また、低摩擦特性を有することから、オイルシールの回転トルクを大幅に低減することが可能であり、出力損失を低減することができる。
本発明の自動車用オイルシールは、シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用オイルシールであって、前記弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(以下「NBR」という)(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものであり、前記フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーである、ことを特徴とする。
本発明の自動車用オイルシールは、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して得られた共凝析組成物からなるシールリップ部を有する弾性部材を備えることから、クランクシャフト、車軸等とシールリップ部とが密接する摺動部において、低摩擦特性を有する自動車用オイルシールとなる。また、自動車用のオイルシールには耐油性も要求されるが、本発明の自動車用オイルシールは、上記構成を有するものであることから、耐油性にも優れている。更に、非粘着性、耐熱性にも優れる。
本発明の自動車用オイルシールは、例えば、自動車用エンジンオイルシール又は自動車用トランスミッションオイルシールとして用いる場合、回転トルクを極めて小さくすることができる。
以下、本発明の自動車用オイルシールの各成分について詳述する。
以下、本発明の自動車用オイルシールの各成分について詳述する。
(A)NBR
NBR(A)は、耐油性、耐摩耗性、耐老化性が良好なゴムであり、また、フッ素ゴムと比較すると、耐寒性に優れ、安価である。NBR(A)としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム(NBR−PVC)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
NBR(A)は、耐油性、耐摩耗性、耐老化性が良好なゴムであり、また、フッ素ゴムと比較すると、耐寒性に優れ、安価である。NBR(A)としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム(NBR−PVC)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
NBR(A)は、通常、アクリロニトリル(以下、「AN」と言う。)とブタジエンとの共重合により製造されるものである。結合AN量が多ければ耐油性が向上し、少なければ耐寒性が向上する。なお、上記NBR−PVCのような極性樹脂とのブレンドゴムである場合には、ブレンドゴム中に含まれるNBR(PVC等のブレンドされるゴムは除く)に対する結合ANの含有量が多くなると相容性が良くなる。結合AN量は特に限定されず、通常、結合AN量が10質量%以上である。加工性や機械的特性が優れることから、結合AN量は15〜55質量%であることが好ましい。
NBR(A)は、100℃におけるムーニー粘度が20〜130であることが好ましい。より好ましくは、30〜100である。ムーニー粘度は、ASTM D1646に準拠して測定される値である。
(B)フッ素樹脂
フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーであることが好ましい。ここで、上記フッ素樹脂(B)は、完全にハロゲン化されたフッ素樹脂であり、完全にハロゲン化されたフッ素樹脂とは、少なくとも1つのフッ素を有し、ポリマー主鎖骨格をなす炭素原子に結合する元素が、水素を含まず、フッ素、塩素などのハロゲン、またはフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基であることを意味する。
フッ素樹脂(B)がパーハロポリマーであることによって、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性が優れる自動車用オイルシールとなる。
フッ素樹脂(B)は、例えば、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位を有する重合体であり、上記含フッ素エチレン性単量体はパーハロモノマーである。
フッ素樹脂(B)としては、溶融加工性のフッ素樹脂であることが好ましい。溶融加工性のフッ素樹脂を用いることによって、本発明の自動車用オイルシールは、より優れた非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を備えるものとなる。
フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーであることが好ましい。ここで、上記フッ素樹脂(B)は、完全にハロゲン化されたフッ素樹脂であり、完全にハロゲン化されたフッ素樹脂とは、少なくとも1つのフッ素を有し、ポリマー主鎖骨格をなす炭素原子に結合する元素が、水素を含まず、フッ素、塩素などのハロゲン、またはフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基であることを意味する。
フッ素樹脂(B)がパーハロポリマーであることによって、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性が優れる自動車用オイルシールとなる。
フッ素樹脂(B)は、例えば、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位を有する重合体であり、上記含フッ素エチレン性単量体はパーハロモノマーである。
フッ素樹脂(B)としては、溶融加工性のフッ素樹脂であることが好ましい。溶融加工性のフッ素樹脂を用いることによって、本発明の自動車用オイルシールは、より優れた非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を備えるものとなる。
溶融加工性のフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/HFP/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、及び、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、溶融加工性であれば、低分子量のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることも可能である。
フッ素樹脂(B)の融点は、NBR(A)の架橋の温度以上であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の融点は、NBR(A)の種類により適宜決定されるが、160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、300℃であってよい。
融点が低すぎると、耐熱性が充分に向上しないおそれがある。
フッ素樹脂(B)の融点は、示差走査熱量計を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、一度融点ピークの吸熱終了温度+30℃になったら、降温速度−10℃/分で50℃まで降温させ、再度昇温速度10℃/分で吸熱終了温度+30℃まで昇温させ、得られた吸熱曲線のピーク温度である。
融点が低すぎると、耐熱性が充分に向上しないおそれがある。
フッ素樹脂(B)の融点は、示差走査熱量計を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、一度融点ピークの吸熱終了温度+30℃になったら、降温速度−10℃/分で50℃まで降温させ、再度昇温速度10℃/分で吸熱終了温度+30℃まで昇温させ、得られた吸熱曲線のピーク温度である。
フッ素樹脂(B)は、327℃におけるメルトフローレート〔MFR〕が0.3〜200g/10分であることが好ましく、1〜100g/10分であることがより好ましい。MFRが小さすぎると低摩擦性に劣るおそれがあり、MFRが大きすぎると成形が困難になるおそれがある。
上記MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、温度327℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
上記MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、温度327℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
また、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性により優れる自動車用オイルシールが得られる点から、フッ素樹脂(B)は、TFE単位(a)とHFP単位(b)とからなる共重合体(以下、「FEP」ともいう。)であることが好ましい。
FEPは、TFE単位(a)及びHFP単位(b)のみからなる共重合体、又は、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体である。
FEPは、TFE単位(a)及びHFP単位(b)のみからなる共重合体、又は、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体である。
FEPが、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体である場合、TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、下記式:
CF2=CF−ORf6
(式中、Rf6は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、下記式:
CF2=CF(CF2)nX8
(式中、X8は、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体等が挙げられる。TFE及びHFPと共重合可能な単量体がパーハロモノマーであるため、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。パーハロモノマーのなかでも、PAVEであることがより好ましい。
上記フッ素樹脂(B)は、例えば、TFE/HFP共重合体、及び、TFE/HFP/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましい。
CF2=CF−ORf6
(式中、Rf6は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、下記式:
CF2=CF(CF2)nX8
(式中、X8は、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体等が挙げられる。TFE及びHFPと共重合可能な単量体がパーハロモノマーであるため、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。パーハロモノマーのなかでも、PAVEであることがより好ましい。
上記フッ素樹脂(B)は、例えば、TFE/HFP共重合体、及び、TFE/HFP/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位(a)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位(b)からなる重合体であり、TFE単位(a)/HFP単位(b)が、モル比で80.0〜90.0/10.0〜20.0である共重合体であることが好ましい。フッ素樹脂(B)は、TFE単位(a)及びHFP単位(b)のみからなるものであってもよいし、更にTFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位を有するものであってもよい。
弾性部材の圧縮永久歪をより小さくする観点からは、フッ素樹脂(B)は、特定の組成を有する下記フッ素樹脂(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、特定の組成を有するテトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合体である。特定の組成を有するフッ素樹脂(B1)又は(B2)を用いることで、上記自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を損なうことなく弾性部材の低圧縮永久歪性を向上させることができるため、本発明の自動車用オイルシールはより優れたシール性を有する。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、特定の組成を有するテトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合体である。特定の組成を有するフッ素樹脂(B1)又は(B2)を用いることで、上記自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を損なうことなく弾性部材の低圧縮永久歪性を向上させることができるため、本発明の自動車用オイルシールはより優れたシール性を有する。
フッ素樹脂(B1)は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位(a)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位(b)のみからなる重合体であり、TFE単位(a)/HFP単位(b)が、モル比で80.0〜87.3/12.7〜20.0である共重合体である。上記の特定範囲の組成を有するフッ素樹脂(B1)を用いると、弾性部材の圧縮永久歪性を悪化させることなく、自動車用オイルシールに非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を付与することができる。
フッ素樹脂(B1)は、弾性部材の圧縮永久歪性を悪化させない観点、機械物性を優れたものとする観点から、(a)/(b)が、モル比で82.0〜87.0/13.0〜18.0であることが好ましく、83.0〜86.5/13.5〜17.0であることがより好ましく、83.0〜86.0/14.0〜17.0であることが更に好ましい。(a)/(b)が大きすぎると、弾性部材の圧縮永久歪性が損なわれるおそれがある。(a)/(b)が小さすぎると、機械物性が低下する傾向がある。
フッ素樹脂(B2)は、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位(c)からなる共重合体であり、(a)/(b)が、モル比で80.0〜90.0/10.0〜20.0であり、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.1〜10.0/90.0〜99.9である共重合体である(なお、{(a)+(b)}は、TFE単位(a)とHFP単位(b)との合計を意味する。)。(a)/(b)が、モル比で80.0〜90.0/10.0〜20.0であり、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.1〜10.0/90.0〜99.9であることによって、弾性部材の圧縮永久歪性を悪化させることなく非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を付与することができる。
フッ素樹脂(B2)は、圧縮永久歪をより小さくする観点、機械物性を優れたものとする観点から、(a)/(b)が、モル比で82.0〜88.0/12.0〜18.0であることが好ましい。
フッ素樹脂(B2)は、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.3〜8.0/92.0〜99.7であることが好ましい。
TFE及びHFPと共重合可能な単量体は、上記と同じである。
フッ素樹脂(B2)において、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位(c)は、PAVE単位であることが好ましい。そして、フッ素樹脂(B2)は、TFE単位、HFP単位、及び、PAVE単位のみからなる共重合体であることがより好ましい。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、融点が160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、300℃であってよい。
(共凝析組成物)
上記共凝析組成物は、NBR(A)/フッ素樹脂(B)が体積比(NBR(A)/フッ素樹脂(B))で60/40〜98/2であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の割合が少なすぎると、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、NBR(A)の割合が少なすぎると、柔軟性が損なわれるおそれがある。柔軟性と、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性との両方が良好な点から、体積比(A)/(B)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることが更に好ましい。
上記共凝析組成物は、NBR(A)/フッ素樹脂(B)が体積比(NBR(A)/フッ素樹脂(B))で60/40〜98/2であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の割合が少なすぎると、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、NBR(A)の割合が少なすぎると、柔軟性が損なわれるおそれがある。柔軟性と、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性との両方が良好な点から、体積比(A)/(B)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることが更に好ましい。
上記共凝析組成物は、フッ素樹脂(B)がアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が3〜700nmであることが好ましい。
上記範囲の平均分散粒子径を有することによって、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が大きすぎると、非粘着性や低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、小さすぎると、混練時に分散粒子が再凝集し易くなり機械物性が損なわれるおそれがある。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、5〜600nmであることがより好ましく、10〜500nmであることが更に好ましく、15〜400nmが特に好ましく、20〜300nmが更により好ましく、20〜200nmが殊更に好ましい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、少なくとも上記共凝析組成物を混練りすることにより得られた共凝析組成物の混練物を、共焦点レーザー顕微鏡にて顕微鏡観察を行ったり、上記共凝析組成物から作製されるプレスシートから超薄切片を切り出し、当該超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
上記範囲の平均分散粒子径を有することによって、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が大きすぎると、非粘着性や低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、小さすぎると、混練時に分散粒子が再凝集し易くなり機械物性が損なわれるおそれがある。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、5〜600nmであることがより好ましく、10〜500nmであることが更に好ましく、15〜400nmが特に好ましく、20〜300nmが更により好ましく、20〜200nmが殊更に好ましい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、少なくとも上記共凝析組成物を混練りすることにより得られた共凝析組成物の混練物を、共焦点レーザー顕微鏡にて顕微鏡観察を行ったり、上記共凝析組成物から作製されるプレスシートから超薄切片を切り出し、当該超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
上記共凝析組成物は、NBR(A)及びフッ素樹脂(B)、並びに、必要に応じて架橋剤(C)、架橋促進剤、受酸剤等を含み、更に、相溶性向上のため、少なくとも1種の多官能化合物を含むものであってもよい。多官能化合物とは、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基を有する化合物である。多官能化合物とは、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基を有する化合物である。
上記共凝析組成物は、架橋剤(C)を含むことが好ましく、架橋剤(C)は、NBR(A)の種類等によって適切に選択すればよく、一般的にNBRの架橋に用いられる架橋剤を用いることができる。以下架橋剤(C)について説明する。
上記共凝析組成物に含まれるNBR(A)を架橋するための架橋系としては、硫黄架橋系、パーオキサイド架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系のいずれも採用できるが、未架橋ゴムに架橋性基(キュアサイト)が含まれる場合はキュアサイトの種類によって、または自動車用オイルシールに付与する特性や用途により適宜選択すればよい。
架橋剤(C)としては、架橋系に合わせて硫黄系架橋剤、パーオキサイド架橋剤、イミダゾール架橋剤、トリアジン架橋剤、オキサゾール架橋剤、チアゾール架橋剤のいずれも採用でき、単独で使用または併用してもよい。架橋剤(C)の添加量はNBR(A)100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0質量部である。
NBRの場合には、硫黄架橋系又はパーオキサイド架橋系が通常採用されるので、架橋剤(C)は、硫黄系架橋剤又はパーオキサイド架橋剤であることが好ましく、硫黄系架橋剤がより好ましい。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物及びポリスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい硫黄系架橋剤として挙げられる。
硫黄系架橋剤の配合量は、NBR(A)100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、特に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
パーオキサイド架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生する有機過酸化物が好ましくあげられる。
有機過酸化物としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに配合量が選ばれる。配合量は通常、NBR(A)100質量部に対して0.1〜15.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。
上記共凝析組成物は、架橋を補助するために、架橋促進剤、架橋助剤、共架橋剤、受酸剤等の添加剤を含むものであってもよい。
架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤及び共架橋剤は、NBR(A)を架橋するために用いられるものである。ここで、架橋とは、架橋剤によりNBR(A)の同一または異なるポリマー鎖同士を架橋するものであり、このように架橋することにより、前記NBR(A)は、引張り強さが向上し、良好な弾性を有するものとなる。
パーオキサイド架橋剤を使用する場合には、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリルメタアクリレート、エチレングリコールアクリルレート、トリエチレングリコールジメタアクリルレート、テトラエチレングリコールジメタクリルレート、ポリエチレングリコールジメタクリルレート、トリメチロールプロペントリメタアクリルレート、メチロールメタアクリルレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニールマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニールベンゼン、ビニールトルエン、1,2−ポリブタジエン等の架橋助剤を使用することもできる。
多官能化合物が有する官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。これらの官能基を有する化合物は、NBR(A)との親和性が高いだけではなく、フッ素樹脂(B)が持つ反応性を有することが知られている官能基とも反応しさらに相溶性が向上することが期待される。
上記共凝析組成物は、更に、通常のゴム配合物に添加される副資材を含むものであってよい。
副資材としては、老化防止剤(例えば、ジフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等)、加工助剤(例えば、ステアリン酸等)、充填剤(例えば、カーボンブラック、カオリンクレー、タルク、ケイソウ土等)、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤等が挙げられる。これらの副資材は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
上記共凝析組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを含有することによって、機械強度や耐摩耗性が優れる自動車用オイルシールが得られる。
上記共凝析組成物はカーボンブラックを配合しても、上記非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を維持することができる。
上記共凝析組成物はカーボンブラックを配合しても、上記非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を維持することができる。
カーボンブラックの含有量は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)との合計100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましく、10〜60質量部であることが更に好ましい。
上記範囲の含有量であることによって、機械強度や耐摩耗性がより優れる。
上記範囲の含有量であることによって、機械強度や耐摩耗性がより優れる。
(弾性部材)
弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋することにより得られるものである。
弾性部材は、上記共凝析組成物からなるものであれば限定されないが、後述する製造方法により得られるものであることが好ましい。
弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋することにより得られるものである。
弾性部材は、上記共凝析組成物からなるものであれば限定されないが、後述する製造方法により得られるものであることが好ましい。
弾性部材が上記共凝析組成物から得られるものであるため、本発明の自動車用オイルシールは、優れた非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性を有し、更に柔軟性にも優れる。
弾性部材は、フッ素樹脂(B)がアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が3〜700nmであることが好ましい。
上記範囲の平均分散粒子径を有することによって、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。架橋後のアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中のフッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が大きすぎると、非粘着性や低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、小さすぎると、混練時に分散粒子が再凝集し易くなり機械物性が損なわれるおそれがある。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、5〜600nmであることがより好ましく、10〜500nmであることが更に好ましく、15〜400nmが特に好ましく、20〜300nmが更により好ましく、20〜200nmが殊更に好ましい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、弾性部材を、共焦点レーザー顕微鏡にて顕微鏡観察を行ったり、上記弾性部材から超薄切片を切り出し、当該超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
上記範囲の平均分散粒子径を有することによって、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性がより優れる。架橋後のアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中のフッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が大きすぎると、非粘着性や低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、小さすぎると、混練時に分散粒子が再凝集し易くなり機械物性が損なわれるおそれがある。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、5〜600nmであることがより好ましく、10〜500nmであることが更に好ましく、15〜400nmが特に好ましく、20〜300nmが更により好ましく、20〜200nmが殊更に好ましい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径は、弾性部材を、共焦点レーザー顕微鏡にて顕微鏡観察を行ったり、上記弾性部材から超薄切片を切り出し、当該超薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
弾性部材は、フッ素樹脂(B)の体積比が0.02(2%)〜0.40(40%)であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の割合が少なすぎると、自動車用オイルシールの非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性が充分でなくなるおそれがあり、多すぎると柔軟性が損なわれるおそれがある。柔軟性と、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性との両方が良好な点から、弾性部材は、フッ素樹脂(B)の体積比が0.05(5%)〜0.35(35%)であることがより好ましく、0.10(10%)〜0.30(30%)であることが更に好ましい。
弾性部材に占めるフッ素樹脂(B)の体積比は、共凝析組成物に含まれるフッ素樹脂(B)の体積割合と同一とみなすことができる。
弾性部材に占めるフッ素樹脂(B)の体積比は、共凝析組成物に含まれるフッ素樹脂(B)の体積割合と同一とみなすことができる。
本発明の自動車用オイルシールとしては、自動車用エンジンオイルシール、自動車用トランスミッションオイルシール等が挙げられる。
近年、自動車エンジンの高性能化(高回転化)や低燃費化への要求に伴い、自動車用エンジンオイルシールの摺動特性の向上が望まれており、特に、自動車用エンジンオイルシールには、自動車エンジンの低回転域から高回転域の全域に渡って摺動特性の向上が求められている。
本発明の自動車用オイルシールは、上記構成を有することによって、エンジンの低回転域から高回転域の全域に渡って摺動特性に優れる。そのため、回転時のトルクが非常に小さく、低燃費が望まれる自動車用エンジンオイルシールに好適である。
従って、本発明の自動車用オイルシールは、自動車用エンジンオイルシールであることが特に好ましい。
従って、本発明の自動車用オイルシールは、自動車用エンジンオイルシールであることが特に好ましい。
以下、図面を参照しながら自動車用エンジンオイルシールの実施形態について説明する。
図1は、自動車用エンジンオイルシールの使用態様を模式的に示す断面図であり、図2に示すA領域の拡大図である。図2は、自動車用エンジンオイルシールを使用したエンジンを模式的に示す断面図であり、図3は、図1に示した自動車用エンジンオイルシールの斜視図である。なお、図1の自動車用エンジンオイルシールは、図3のA−A線断面を描画したものである。
自動車用エンジンオイルシール21は、図1〜3に示すように、径方向断面形状が略(逆)コの字状の円環構造を有する弾性部材22、円環状の金属環26及びリングスプリング27を備えている。
弾性部材22は、クランクシャフト29に当接する径方向断面楔状の主リップ部23及び周方向に沿って内周側に突出する副リップ部25が設けられたシールリップ部、並びに、ハウジング20に密着するはめあい部24を有している。金属環26は弾性部材22に内蔵されており、これにより自動車用エンジンオイルシール21の補強の役割を果たしている。リングスプリング27は、主リップ部23の外周面側に配設されており、主リップ部23はリングスプリング27の付勢力によりクランクシャフト29に当接されることとなる。
弾性部材22は、クランクシャフト29に当接する径方向断面楔状の主リップ部23及び周方向に沿って内周側に突出する副リップ部25が設けられたシールリップ部、並びに、ハウジング20に密着するはめあい部24を有している。金属環26は弾性部材22に内蔵されており、これにより自動車用エンジンオイルシール21の補強の役割を果たしている。リングスプリング27は、主リップ部23の外周面側に配設されており、主リップ部23はリングスプリング27の付勢力によりクランクシャフト29に当接されることとなる。
自動車用エンジンオイルシール21は、主リップ部23がエンジン30内部側に、副リップ部25が外部側に位置する向きで、主リップ部23がエンジン30のクランクシャフト29に摺動自在に当接し、はめあい部24がハウジング20に密着するようにクランクシャフト29とハウジング20との間隙に圧入装着される。なお、図2において、32はクランクプーリーである。
ここで、自動車用エンジンオイルシール21は、弾性部材22がNBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することによって共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。
そして、自動車用エンジンオイルシール21は、上記弾性部材を有するため、クランクシャフト29との間の摩擦係数が小さく、摺動特性に優れる。
この摺動特性に優れるとの効果は、エンジンの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。これについてもう少し詳しく説明する。
自動車用エンジンオイルシール21の主リップ部23は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。そのため、従来公知の他の自動車用エンジンオイルシール、例えば、アクリルゴムからなる自動車用エンジンオイルシール、上記フッ素樹脂を含有しないNBRからなる自動車用エンジンオイルシール等に比べて摺動特性に優れている。
自動車用エンジンオイルシールがクランクシャフトに対して摺動している場合、自動車用エンジンオイルシールとクランクシャフトとの間にはオイルが介在している(油膜が形成されている)ことが知られている。そして、このオイルが両者の間で潤滑剤として機能すると考えられている。即ち、オイルが介在することにより、自動車用エンジンオイルシールは低い摩擦抵抗で摺動することができる。
一方、自動車用エンジンオイルシールは、シール材として機能することが大前提のため、そのシールリップ部はクランクシャフトに隙間無く当接される。そのため、この状態から自動車用エンジンオイルシールとクランクシャフトとの間にオイルが介在するには、シールリップ部が変形し、この変形に追従してオイルがシールリップ部とクランクシャフトとの間に入り込むことが必要となる。ここで、シールリップ部の変形は、クランクシャフトの回転に追従して生じるため、クランクシャフトが高回転数で回転している際にはシールリップ部も変形しやすく、両者の間にオイルが入り込みやすくなる。これに対してクランクシャフトの回転数が低回転数の場合には、高回転数の場合に比べてシールリップ部が変形しにくく、その結果、クランクシャフトとシールリップ部との間にはオイルが介在しにくくなる。
そのため、クランクシャフトの回転数が低回転数の場合は、高回転数の場合に比べてオイルシールとクランクシャフトの間に油膜が形成されにくくオイルシールとクランクシャフトが直接接する機会が多くなりオイルシールとクランクシャフト部材間の摩擦抵抗の影響を多く受けるので摺動特性が劣る傾向にあり、自動車用エンジンオイルシールにおいては、特に、クランクシャフトの回転数が低回転数の場合における摺動特性の向上が望まれている。
これに対して、本発明の自動車用エンジンオイルシールは、シールリップ部の表面が低摩擦化され、かつ弾性部材が優れた柔軟性を有するため、オイルのエンジン外への漏れを防止するという本質的な機能は確保しつつ、クランクシャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って摺動特性に優れることとなる。
なお、本発明の自動車用エンジンオイルシールの使用箇所は、クランクシャフトに限定されず、例えば、エンジンがカム軸を備える場合には、カム軸と摺動する自動車用エンジンオイルシールとしても使用することができる。
この摺動特性に優れるとの効果は、エンジンの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。これについてもう少し詳しく説明する。
自動車用エンジンオイルシール21の主リップ部23は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。そのため、従来公知の他の自動車用エンジンオイルシール、例えば、アクリルゴムからなる自動車用エンジンオイルシール、上記フッ素樹脂を含有しないNBRからなる自動車用エンジンオイルシール等に比べて摺動特性に優れている。
自動車用エンジンオイルシールがクランクシャフトに対して摺動している場合、自動車用エンジンオイルシールとクランクシャフトとの間にはオイルが介在している(油膜が形成されている)ことが知られている。そして、このオイルが両者の間で潤滑剤として機能すると考えられている。即ち、オイルが介在することにより、自動車用エンジンオイルシールは低い摩擦抵抗で摺動することができる。
一方、自動車用エンジンオイルシールは、シール材として機能することが大前提のため、そのシールリップ部はクランクシャフトに隙間無く当接される。そのため、この状態から自動車用エンジンオイルシールとクランクシャフトとの間にオイルが介在するには、シールリップ部が変形し、この変形に追従してオイルがシールリップ部とクランクシャフトとの間に入り込むことが必要となる。ここで、シールリップ部の変形は、クランクシャフトの回転に追従して生じるため、クランクシャフトが高回転数で回転している際にはシールリップ部も変形しやすく、両者の間にオイルが入り込みやすくなる。これに対してクランクシャフトの回転数が低回転数の場合には、高回転数の場合に比べてシールリップ部が変形しにくく、その結果、クランクシャフトとシールリップ部との間にはオイルが介在しにくくなる。
そのため、クランクシャフトの回転数が低回転数の場合は、高回転数の場合に比べてオイルシールとクランクシャフトの間に油膜が形成されにくくオイルシールとクランクシャフトが直接接する機会が多くなりオイルシールとクランクシャフト部材間の摩擦抵抗の影響を多く受けるので摺動特性が劣る傾向にあり、自動車用エンジンオイルシールにおいては、特に、クランクシャフトの回転数が低回転数の場合における摺動特性の向上が望まれている。
これに対して、本発明の自動車用エンジンオイルシールは、シールリップ部の表面が低摩擦化され、かつ弾性部材が優れた柔軟性を有するため、オイルのエンジン外への漏れを防止するという本質的な機能は確保しつつ、クランクシャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って摺動特性に優れることとなる。
なお、本発明の自動車用エンジンオイルシールの使用箇所は、クランクシャフトに限定されず、例えば、エンジンがカム軸を備える場合には、カム軸と摺動する自動車用エンジンオイルシールとしても使用することができる。
近年、エンジンの高性能化や低燃費化への要求に伴い、自動車用トランスミッションオイルシールの摺動特性の向上が望まれており、特に、自動車用トランスミッションオイルシールには低速走行時から高速走行時の全域に渡って摺動特性の向上が求められている。
本発明の自動車用オイルシールは、上記構成を有することによって、低速走行時から高速走行時の全域に渡って摺動特性に優れる。そのため、回転時のトルクが非常に小さく、低燃費が望まれる自動車用トランスミッションオイルシールに好適である。
従って、本発明の自動車用オイルシールは、自動車用トランスミッションオイルシールであることが特に好ましい。
従って、本発明の自動車用オイルシールは、自動車用トランスミッションオイルシールであることが特に好ましい。
以下、図面を参照しながら自動車用トランスミッションオイルシールの実施形態について説明する。
図4は、自動車用トランスミッションオイルシールの使用態様を模式的に示す断面図であり、図5に示すC領域の拡大図である。図5は、自動車用トランスミッションオイルシールを使用したトランスミッションを模式的に示す断面図であり、図6は、図4に示した自動車用トランスミッションオイルシールの斜視図である。なお、図4の自動車用トランスミッションオイルシールは、図6のB−B線断面を描画したものである。
自動車用トランスミッションオイルシール51は、図4〜6に示すように、径方向断面形状が略(逆)コの字状の円環構造を有する弾性部材52、円環状の金属環56及びリングスプリング57を備えている。
弾性部材52は、内周側に車軸59に当接する径方向断面楔状の主リップ部53が設けられたシールリップ部を、外周側にハウジング50に密着するはめあい部54を有している。金属環56は弾性部材52に内蔵されており、これにより自動車用トランスミッションオイルシール51の補強の役割を果たしている。リングスプリング57は、主リップ部53の外周面側に配設されており、主リップ部53はリングスプリング57の付勢力により車軸59に当接されることとなる。
ここで、自動車用トランスミッションオイルシール51は、弾性部材52がNBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することによって共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。
弾性部材52は、内周側に車軸59に当接する径方向断面楔状の主リップ部53が設けられたシールリップ部を、外周側にハウジング50に密着するはめあい部54を有している。金属環56は弾性部材52に内蔵されており、これにより自動車用トランスミッションオイルシール51の補強の役割を果たしている。リングスプリング57は、主リップ部53の外周面側に配設されており、主リップ部53はリングスプリング57の付勢力により車軸59に当接されることとなる。
ここで、自動車用トランスミッションオイルシール51は、弾性部材52がNBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することによって共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。
自動車用トランスミッションオイルシール51は、リングスプリング57がトランスミッション60内部側に露出する向きで、主リップ部53がトランスミッション60の車軸59に摺動自在に当接し、はめあい部54がハウジング50に密着するように車軸59とハウジング50との間隙に圧入装着される。なお、図5において、62はクランクシャフトに連結されるメインシャフト(入力シャフト)、63はメインシャフトと平行に配置されたカウンターシャフト(出力シャフト)である。
また、自動車用トランスミッションオイルシール51は、車軸59のみならず、図5に示すように、メインシャフト62、及び、カウンターシャフト63にも摺動可能に配設されている。
そして、自動車用トランスミッションオイルシール51は、上記共凝析組成物からなる弾性部材を有するため、シャフト(車軸やメインシャフト、カウンターシャフト)との間の摩擦係数が小さく、摺動特性に優れる。
以下、本明細書において、単にシャフトと表記した場合、車軸、メインシャフト及びカウンターシャフトを含むこととする。
この摺動特性に優れるとの効果は、シャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。これについてもう少し詳しく説明する。
自動車用トランスミッションオイルシール51の主リップ部53の材質は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。そのため、従来公知の他の自動車用トランスミッションオイルシールの材質、例えば、アクリルゴム、上記特定のフッ素樹脂を含有しないNBR等に比べて摺動特性に優れている。
自動車用トランスミッションオイルシールがシャフトに対して摺動している場合、自動車用トランスミッションオイルシールとシャフトとの間にはオイルが介在している(油膜が形成されている)ことが知られている。そして、このオイルが両者の間で潤滑剤として機能すると考えられている。即ち、オイルが介在することにより、自動車用トランスミッションオイルシールは低い摩擦抵抗で摺動することができる。
一方、自動車用トランスミッションオイルシールは、シール材として機能することが大前提のため、そのシールリップ部はシャフトに隙間無く当接される。そのため、この状態から自動車用トランスミッションオイルシールとシャフトとの間にオイルが介在するには、シールリップ部が変形し、この変形に追従してオイルがシールリップ部とシャフトとの間に入り込むことが必要となる。ここで、シールリップ部の変形は、シャフトの回転に追従して生じるため、シャフトが高回転数で回転している際にはシールリップ部も変形しやすく、両者の間にオイルが入り込みやすくなる。これに対してシャフトの回転数が低回転数の場合には、高回転数の場合に比べてシールリップ部が変形しにくく、その結果、シャフトとシールリップ部との間にはオイルが介在しにくくなる。
そのため、シャフトの回転数が低回転数の場合は、高回転数の場合に比べてトランスミッションオイルシールとシャフトの間に油膜が形成されにくくトランスミッションオイルシールとシャフトが直接接する機会が多くなりトランスミッションオイルシールとシャフト部材間の摩擦抵抗の影響を多く受けるので摺動特性が劣る傾向にあり、自動車用トランスミッションオイルシールにおいては、特に、シャフトの回転数が低回転数の場合における摺動特性の向上が望まれている。
これに対して、本発明の自動車用トランスミッションオイルシールは、上述したように、上記の弾性部材を有しており、シールリップ部の表面が低摩擦化され、かつ弾性部材が優れた柔軟性を有するため、オイルのトランスミッション外への漏れを防止するという本質的な機能は確保しつつ、シャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。そのため、低速走行時から高速走行時の全域に渡って摺動特性に優れることとなる。
以下、本明細書において、単にシャフトと表記した場合、車軸、メインシャフト及びカウンターシャフトを含むこととする。
この摺動特性に優れるとの効果は、シャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。これについてもう少し詳しく説明する。
自動車用トランスミッションオイルシール51の主リップ部53の材質は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、NBR(A)を架橋して得られたものである。そのため、従来公知の他の自動車用トランスミッションオイルシールの材質、例えば、アクリルゴム、上記特定のフッ素樹脂を含有しないNBR等に比べて摺動特性に優れている。
自動車用トランスミッションオイルシールがシャフトに対して摺動している場合、自動車用トランスミッションオイルシールとシャフトとの間にはオイルが介在している(油膜が形成されている)ことが知られている。そして、このオイルが両者の間で潤滑剤として機能すると考えられている。即ち、オイルが介在することにより、自動車用トランスミッションオイルシールは低い摩擦抵抗で摺動することができる。
一方、自動車用トランスミッションオイルシールは、シール材として機能することが大前提のため、そのシールリップ部はシャフトに隙間無く当接される。そのため、この状態から自動車用トランスミッションオイルシールとシャフトとの間にオイルが介在するには、シールリップ部が変形し、この変形に追従してオイルがシールリップ部とシャフトとの間に入り込むことが必要となる。ここで、シールリップ部の変形は、シャフトの回転に追従して生じるため、シャフトが高回転数で回転している際にはシールリップ部も変形しやすく、両者の間にオイルが入り込みやすくなる。これに対してシャフトの回転数が低回転数の場合には、高回転数の場合に比べてシールリップ部が変形しにくく、その結果、シャフトとシールリップ部との間にはオイルが介在しにくくなる。
そのため、シャフトの回転数が低回転数の場合は、高回転数の場合に比べてトランスミッションオイルシールとシャフトの間に油膜が形成されにくくトランスミッションオイルシールとシャフトが直接接する機会が多くなりトランスミッションオイルシールとシャフト部材間の摩擦抵抗の影響を多く受けるので摺動特性が劣る傾向にあり、自動車用トランスミッションオイルシールにおいては、特に、シャフトの回転数が低回転数の場合における摺動特性の向上が望まれている。
これに対して、本発明の自動車用トランスミッションオイルシールは、上述したように、上記の弾性部材を有しており、シールリップ部の表面が低摩擦化され、かつ弾性部材が優れた柔軟性を有するため、オイルのトランスミッション外への漏れを防止するという本質的な機能は確保しつつ、シャフトの回転数を問わず、低回転数から高回転数の全域に渡って奏することができる。そのため、低速走行時から高速走行時の全域に渡って摺動特性に優れることとなる。
次に、本発明の自動車用オイルシールの製造方法について説明する。
本発明の自動車用オイルシールにおいて、上記弾性部材は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを含む架橋性組成物を架橋することにより得ることができる。特に、本発明の自動車用オイルシールは、後述する製造方法により得られるものであることが好ましい。
本発明の自動車用オイルシールは、
(I)NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して共凝析組成物を得る工程、及び、
(II)共凝析組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程
を含む方法により、所定の形状の弾性部材を製造し、
更に、必要に応じて、金属環、取付環等を内蔵させたり、リングスプリングを配設することにより製造することができる。
(I)NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して共凝析組成物を得る工程、及び、
(II)共凝析組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程
を含む方法により、所定の形状の弾性部材を製造し、
更に、必要に応じて、金属環、取付環等を内蔵させたり、リングスプリングを配設することにより製造することができる。
(I)工程
この工程は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して共凝析組成物を得る工程である。
この工程は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して共凝析組成物を得る工程である。
上記共凝析の方法としては、例えば、(i)NBR(A)の水性分散液と、フッ素樹脂(B)の水性分散液とを混合した後に凝析する方法、(ii)NBR(A)の粉末を、フッ素樹脂(B)に添加した後に凝析する方法、(iii)フッ素樹脂(B)の粉末を、NBR(A)の水性分散液に添加した後に凝析する方法が挙げられる。
上記共凝析の方法としては、特に各樹脂が均一に分散し易い点で、上記(i)の方法が好ましい。
上記(i)〜(iii)の凝析方法における凝析は、例えば、凝集剤を用いて行うことができる。このような凝集剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸アルミニウム、ミョウバン等のアルミニウム塩、硫酸カルシウム等のカルシウム塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化ナトリウムや塩化カリウム等の一価カチオン塩等の公知の凝集剤が挙げられる。凝集剤により凝析を行う際、凝集を促進させるために酸又はアルカリを添加してpHを調整してもよい。
NBR(A)の架橋系によっては架橋剤が必要であるので、工程(I)は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して共凝析組成物を得た後、共凝析組成物と架橋剤(C)とを混練りすることにより架橋剤(C)を含む共凝析組成物を得る工程を含むことが好ましい。
架橋剤(C)は、上述したものと同じである。
架橋剤(C)は、上述したものと同じである。
共凝析組成物と架橋剤(C)との混練りは従来公知の方法により行うことができる。例えば、オープンロールを使用して共凝析組成物と架橋剤(C)とが充分に混練りされる程度の時間及び温度で混合すればよい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径を3〜700nmとする観点から、上記混練りは、フッ素樹脂の融点より50℃以上低い温度の条件で行うことが好ましい。
また、架橋剤(C)だけでなく、上記受酸剤、架橋促進剤、副資材等を混合してもよい。
フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径を3〜700nmとする観点から、上記混練りは、フッ素樹脂の融点より50℃以上低い温度の条件で行うことが好ましい。
また、架橋剤(C)だけでなく、上記受酸剤、架橋促進剤、副資材等を混合してもよい。
(II)成形架橋工程
この工程は、工程(I)で得られた共凝析組成物を成形し、NBR(A)を架橋して、架橋成形品を得る工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋とを同時に行ってもよい。この成形架橋工程により、所望の形状の弾性部材が得られる。
この工程は、工程(I)で得られた共凝析組成物を成形し、NBR(A)を架橋して、架橋成形品を得る工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋とを同時に行ってもよい。この成形架橋工程により、所望の形状の弾性部材が得られる。
成形方法としては、例えば金型等による加圧成形法、インジェクション成形法等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
架橋方法も、スチーム架橋法、加圧成形法、放射線架橋法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用できる。加工性の点から、加熱による架橋反応が好適である。
架橋を行う温度は、NBR(A)の架橋温度以上であり、フッ素樹脂(B)の融点未満の温度であることが好ましい。
架橋時間としては、例えば、1分間〜24時間であり、使用する架橋剤などの種類により適宜決定すればよい。
架橋時間としては、例えば、1分間〜24時間であり、使用する架橋剤などの種類により適宜決定すればよい。
共凝析組成物の成形及び架橋の方法及び条件は、採用する成形及び架橋において公知の方法及び条件の範囲内でよい。
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜180℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤等の種類により適宜決めればよい。
なお、自動車用オイルシールとして、金属環を備えた自動車用エンジンオイルシールや自動車用トランスミッションオイルシールを製造する場合は、この工程において、例えば、予め金型内に金属環を配置しておき、一体成形を行えばよい。
上記製造方法によれば、フッ素樹脂の特性、例えば非粘着性、耐熱性及び低摩擦性が格段に向上した自動車用オイルシールを得ることができる。
しかも、弾性部材の表面領域以外では逆にNBR(A)の特性が発揮でき、全体として、低圧縮永久歪性、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性のいずれにもバランスよく優れた自動車用オイルシールが得られる。さらに、得られる自動車用オイルシールには、フッ素樹脂とNBR(A)の明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂に富む領域が脱落や剥離することもなく、NBRの表面をフッ素樹脂の塗布や接着で改質した場合と比較して、耐久性に優れている。
しかも、弾性部材の表面領域以外では逆にNBR(A)の特性が発揮でき、全体として、低圧縮永久歪性、非粘着性、耐油性、耐熱性及び低摩擦性のいずれにもバランスよく優れた自動車用オイルシールが得られる。さらに、得られる自動車用オイルシールには、フッ素樹脂とNBR(A)の明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂に富む領域が脱落や剥離することもなく、NBRの表面をフッ素樹脂の塗布や接着で改質した場合と比較して、耐久性に優れている。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で測定した。
(1)フッ素樹脂の単量体組成
核磁気共鳴装置AC300(Bruker−Biospin社製)を用い、測定温度を(ポリマーの融点+50)℃として19F−NMR測定を行い求めた。
核磁気共鳴装置AC300(Bruker−Biospin社製)を用い、測定温度を(ポリマーの融点+50)℃として19F−NMR測定を行い求めた。
(2)フッ素樹脂の融点
示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments社製)を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、一度融点ピークの吸熱終了温度+30℃になったら、降温速度−10℃/分で50℃まで降温させ、再度昇温速度10℃/分で吸熱終了温度+30℃まで昇温させ、得られた吸熱曲線のピークから融点を求めた。
示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments社製)を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、一度融点ピークの吸熱終了温度+30℃になったら、降温速度−10℃/分で50℃まで降温させ、再度昇温速度10℃/分で吸熱終了温度+30℃まで昇温させ、得られた吸熱曲線のピークから融点を求めた。
(3)フッ素樹脂のメルトフローレート〔MFR〕
MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、327℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)をMFRとした。
MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、327℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)をMFRとした。
(4)引張破断強度(Tb)
JIS K6251に準じて測定した。
JIS K6251に準じて測定した。
(5)引張破断伸び(Eb)
JIS K6251に準じて測定した。
JIS K6251に準じて測定した。
(6)硬度(ショアA)
JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて測定した(ピーク値)。
JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて測定した(ピーク値)。
(7)耐油性
JIS B2401 9.2.5に準じて、引張強さ変化率、伸び変化率、硬度変化、体積変化率を測定した。
・使用油 IRM903
・油温 120℃
・浸漬時間 70時間
JIS B2401 9.2.5に準じて、引張強さ変化率、伸び変化率、硬度変化、体積変化率を測定した。
・使用油 IRM903
・油温 120℃
・浸漬時間 70時間
(8)耐熱性
JIS B2401 9.2.3に準じて、引張強さ変化率、伸び変化率、硬度変化を測定した。
・雰囲気温度 120℃
・時間 70時間
JIS B2401 9.2.3に準じて、引張強さ変化率、伸び変化率、硬度変化を測定した。
・雰囲気温度 120℃
・時間 70時間
(9)フッ素樹脂の平均分散粒子径
実施例で製造した共凝析組成物又は比較例で製造した架橋性組成物を用いて、熱プレス機により160℃、4MPaの条件下で圧縮成形し、厚さ2mmのシートを作製した。
作製したプレスシートを用いて、先端部分が1mm四方になるようトリミング用剃刀でトリミングを行い、その後、ウルトラミクロトーム(ライカ製ULTRACUT S)の試料ホルダーに固定、チャンバー内を液体窒素で−80℃まで冷却し、厚さ90nmの超薄切片を切り出した。
得られた超薄切片を20%エタノール溶液を付着させた白金リングにて回収し、銅製シートメッシュ(応研商事製200A、φ3.0mm)に付着させた。
その後、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H7100FA)を用いて、銅製シートメッシュに付着させた超薄切片の観察を行った。
顕微鏡観察により得られたネガフィルムをスキャナー(EPSON製GT−9400UF)にて電子画像化し、光学解析装置(ニレコ製LUZEX AP)を用いて電子像の二値化処理を行い、分散相の平均分散粒子径を求めた。
上記プレスシートの代わりに、成形して得られた自動車用オイルシールを用いたこと以外は同じ方法で、自動車用オイルシール(弾性部材)におけるフッ素樹脂の平均分散粒子径を求めた。
実施例で製造した共凝析組成物又は比較例で製造した架橋性組成物を用いて、熱プレス機により160℃、4MPaの条件下で圧縮成形し、厚さ2mmのシートを作製した。
作製したプレスシートを用いて、先端部分が1mm四方になるようトリミング用剃刀でトリミングを行い、その後、ウルトラミクロトーム(ライカ製ULTRACUT S)の試料ホルダーに固定、チャンバー内を液体窒素で−80℃まで冷却し、厚さ90nmの超薄切片を切り出した。
得られた超薄切片を20%エタノール溶液を付着させた白金リングにて回収し、銅製シートメッシュ(応研商事製200A、φ3.0mm)に付着させた。
その後、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H7100FA)を用いて、銅製シートメッシュに付着させた超薄切片の観察を行った。
顕微鏡観察により得られたネガフィルムをスキャナー(EPSON製GT−9400UF)にて電子画像化し、光学解析装置(ニレコ製LUZEX AP)を用いて電子像の二値化処理を行い、分散相の平均分散粒子径を求めた。
上記プレスシートの代わりに、成形して得られた自動車用オイルシールを用いたこと以外は同じ方法で、自動車用オイルシール(弾性部材)におけるフッ素樹脂の平均分散粒子径を求めた。
(10)エンジンオイルシール及びトランスミッションオイルシールの回転トルク測定
以下に示す方法で自動車用オイルシールの回転トルクを測定した。
図7は、使用したオイルシールトルク試験機の模式図である。
図7に示すオイルシールトルク試験機110では、シャフト114が軸受113を介してハウジング119内に回転自在に配設されている。シャフト114の先端側(図7中、右側)には、油室112が設けられるとともに、オイルシール保持部材117が取り付けられている。測定用オイルシール111は、油室112とオイルシール保持部材117との間隙にオイルシール保持部材117に対して摺動可能に固定される。また、油室112にはロードセル116が接続されている。なお、図7中、115はオイルシールである。
そして、測定用オイルシール111を取り付けた状態で、油室の温度(油温)を所定の温度に設定し、シャフト114をモータ(図示せず)により所定の回転で回転させると、オイルシール保持部材117がシャフト114と一体的に回転し、かつ、測定用オイルシール111に対して摺動し、このときの測定用オイルシール111の荷重をロードセル116にて測定し、回転半径を乗じてトルク換算する。
ここで、測定条件は、油温(試験温度)を常温とし、シャフト114の回転数を2000rpm又は5000rpmとした。
以下に示す方法で自動車用オイルシールの回転トルクを測定した。
図7は、使用したオイルシールトルク試験機の模式図である。
図7に示すオイルシールトルク試験機110では、シャフト114が軸受113を介してハウジング119内に回転自在に配設されている。シャフト114の先端側(図7中、右側)には、油室112が設けられるとともに、オイルシール保持部材117が取り付けられている。測定用オイルシール111は、油室112とオイルシール保持部材117との間隙にオイルシール保持部材117に対して摺動可能に固定される。また、油室112にはロードセル116が接続されている。なお、図7中、115はオイルシールである。
そして、測定用オイルシール111を取り付けた状態で、油室の温度(油温)を所定の温度に設定し、シャフト114をモータ(図示せず)により所定の回転で回転させると、オイルシール保持部材117がシャフト114と一体的に回転し、かつ、測定用オイルシール111に対して摺動し、このときの測定用オイルシール111の荷重をロードセル116にて測定し、回転半径を乗じてトルク換算する。
ここで、測定条件は、油温(試験温度)を常温とし、シャフト114の回転数を2000rpm又は5000rpmとした。
また、表及び明細書中の使用材料は、それぞれ次に示すものである。
酸化亜鉛:酸化亜鉛 2種、堺化学(株)製
ステアリン酸:アデカSA−400、アデカ(株)製
硫黄(微粉):#325、鶴見化学工業(株)製
アンテージRD(老化防止剤):川口化学工業(株)製
サンワックス171P:三洋化成工業(株)製
シーストS:東海カーボン(株)製
ニップシールVN3:東ソー・シリカ(株)製
TP−95:中産業(株)製
アクターR(加硫剤):川口化学工業(株)製
サンセラーCM−G(加硫促進剤):三新化学工業(株)製
サンセラーTT−G(加硫促進剤):三新化学工業(株)製
ステアリン酸:アデカSA−400、アデカ(株)製
硫黄(微粉):#325、鶴見化学工業(株)製
アンテージRD(老化防止剤):川口化学工業(株)製
サンワックス171P:三洋化成工業(株)製
シーストS:東海カーボン(株)製
ニップシールVN3:東ソー・シリカ(株)製
TP−95:中産業(株)製
アクターR(加硫剤):川口化学工業(株)製
サンセラーCM−G(加硫促進剤):三新化学工業(株)製
サンセラーTT−G(加硫促進剤):三新化学工業(株)製
アクリロニトリルブタジエンゴムエマルジョン(A1)
(商品名:Nipol 1562、濃度41重量%のエマルジョン、日本ゼオン(株)製)
(商品名:Nipol 1562、濃度41重量%のエマルジョン、日本ゼオン(株)製)
FEP水性ディスパージョン(B)
(TFE/HFP共重合体、TFE/HFP=87.9/12.1(モル比)、固形分濃度21重量%、MFR31.7g/10min、融点215℃)
(TFE/HFP共重合体、TFE/HFP=87.9/12.1(モル比)、固形分濃度21重量%、MFR31.7g/10min、融点215℃)
実施例1−1
真空乳化装置(PVQ−5UN、みずほ工業(株)製)のホモミキサー(掻取り攪拌翼無し)内に、水2000ccと塩化マグネシウム10gをあらかじめ混合した溶液にFEP水性ディスパージョン(B)とアクリロニトリルブタジエンゴムエマルジョン(A1)とを、固形分が体積比で85/15(アクリロニトリルブタジエンゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液670gを投入し、4000rpmで3分間混合し、共凝析した。
共凝析後、固形分を取り出し、乾燥炉で60℃、120時間乾燥させた後、表1に示す所定の配合物をオープンロールにて、先に酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、老化防止剤(アンテージRD)、ワックス(サンワックス171P)、カーボン(シーストS)、シリカ(ニップシールVN3)、オイル(TP−95)を混練した後、加硫剤(アクターR)、加硫促進剤(サンセラーCM−G及びTT−G)を混練して共凝析組成物とした。
上述した方法でフッ素樹脂の平均分散粒子径を算出した結果、平均分散粒子径は77nmであった。
真空乳化装置(PVQ−5UN、みずほ工業(株)製)のホモミキサー(掻取り攪拌翼無し)内に、水2000ccと塩化マグネシウム10gをあらかじめ混合した溶液にFEP水性ディスパージョン(B)とアクリロニトリルブタジエンゴムエマルジョン(A1)とを、固形分が体積比で85/15(アクリロニトリルブタジエンゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液670gを投入し、4000rpmで3分間混合し、共凝析した。
共凝析後、固形分を取り出し、乾燥炉で60℃、120時間乾燥させた後、表1に示す所定の配合物をオープンロールにて、先に酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、老化防止剤(アンテージRD)、ワックス(サンワックス171P)、カーボン(シーストS)、シリカ(ニップシールVN3)、オイル(TP−95)を混練した後、加硫剤(アクターR)、加硫促進剤(サンセラーCM−G及びTT−G)を混練して共凝析組成物とした。
上述した方法でフッ素樹脂の平均分散粒子径を算出した結果、平均分散粒子径は77nmであった。
その後、自動車用エンジンオイルシールの金型に金属環を配設し、共凝析組成物を投入して、8MPaに加圧して、160℃で10分間加硫させて、自動車用エンジンオイルシール(適応軸径80mm、外径98mm、幅8mm)を得た。
上述した方法でフッ素樹脂の平均分散粒子径を算出した結果、平均分散粒子径は77nmであった。
上述した方法でフッ素樹脂の平均分散粒子径を算出した結果、平均分散粒子径は77nmであった。
実施例1−2
表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で共凝析組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で共凝析組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
実施例2−1及び2−2
固形分が体積比で75/25(アクリロニトリルブタジエンゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液を用いたこと、表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で共凝析組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
固形分が体積比で75/25(アクリロニトリルブタジエンゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液を用いたこと、表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で共凝析組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
比較例1−1、1−2及び1−3
実施例1−1において、混合溶液の代わりにアクリロニトリルブタジエンゴムエマルジョン(A1)のみの溶液670gを用いたことと、表1に示す配合量としたこと以外は実施例1−1と同様の方法で、固形分(固形分(A1’))を取り出し、架橋性組成物を得て、その後、上記共凝析組成物の代わりに得られた架橋性組成物を用いたこと以外は実施例1−1と同様の方法で自動車用エンジンオイルシールを得た。
実施例1−1において、混合溶液の代わりにアクリロニトリルブタジエンゴムエマルジョン(A1)のみの溶液670gを用いたことと、表1に示す配合量としたこと以外は実施例1−1と同様の方法で、固形分(固形分(A1’))を取り出し、架橋性組成物を得て、その後、上記共凝析組成物の代わりに得られた架橋性組成物を用いたこと以外は実施例1−1と同様の方法で自動車用エンジンオイルシールを得た。
比較例2−1及び2−2
比較例1−1で得られた固形分(A1’)と、実施例1−1において混合溶液の代わりにFEP水性ディスパージョン(B)のみの溶液670gを用いて得られた固形分(B’)をそれぞれ乾燥炉で60℃、120時間乾燥させた後、オープンロールにて固形分(A’)/(B’)の体積比85/15となる様に混練した後、同じく表1に示す所定の配合物をオープンロールにて、先に酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、老化防止剤(アンテージRD)、ワックス(サンワックス171P)、カーボン(シーストS)、シリカ(ニップシールVN3)、オイル(TP−95)、フッ素樹脂(B’)を混練した後、加硫剤(アクターR)、加硫促進剤(サンセラーCM−G及びTT−G)を混練して架橋性組成物とした。その後、成形金型内で成形し、160℃、10分間、8MPaの加圧下で架橋して、自動車用エンジンオイルシールを得た。
比較例1−1で得られた固形分(A1’)と、実施例1−1において混合溶液の代わりにFEP水性ディスパージョン(B)のみの溶液670gを用いて得られた固形分(B’)をそれぞれ乾燥炉で60℃、120時間乾燥させた後、オープンロールにて固形分(A’)/(B’)の体積比85/15となる様に混練した後、同じく表1に示す所定の配合物をオープンロールにて、先に酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、老化防止剤(アンテージRD)、ワックス(サンワックス171P)、カーボン(シーストS)、シリカ(ニップシールVN3)、オイル(TP−95)、フッ素樹脂(B’)を混練した後、加硫剤(アクターR)、加硫促進剤(サンセラーCM−G及びTT−G)を混練して架橋性組成物とした。その後、成形金型内で成形し、160℃、10分間、8MPaの加圧下で架橋して、自動車用エンジンオイルシールを得た。
比較例3−1及び3−2
オープンロールにて固形分(A’)/(B’)の体積比75/25となる様に混練したこと、表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で架橋性組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
オープンロールにて固形分(A’)/(B’)の体積比75/25となる様に混練したこと、表1に示す配合量としたこと以外は、実施例1−1と同様の方法で架橋性組成物及び自動車用エンジンオイルシールを得た。
本発明の自動車用オイルシールは、シール性はもちろんのこと、優れた低摩擦性を有し、更に耐油性に優れるため、種々の自動車用オイルシールに好適である。中でも、回転トルクが小さいことから、自動車用エンジンオイルシール、自動車用トランスミッションオイルシールに好適である。
20、50、119:ハウジング
21:自動車用エンジンオイルシール
22、52、86:弾性部材
23、53:主リップ部
24、54:はめあい部
25:副リップ部
26、56:金属環
27、57:リングスプリング
29:クランクシャフト
30:エンジン
32:クランクプーリー
51:自動車用トランスミッションオイルシール
59:車軸
60:トランスミッション
62:メインシャフト(入力シャフト)
63:カウンターシャフト(出力シャフト)
110:オイルシールトルク試験機
111:測定用オイルシール
112:油室
113:軸受
114:シャフト
115:オイルシール
116、126:ロードセル
117:オイルシール保持部材
21:自動車用エンジンオイルシール
22、52、86:弾性部材
23、53:主リップ部
24、54:はめあい部
25:副リップ部
26、56:金属環
27、57:リングスプリング
29:クランクシャフト
30:エンジン
32:クランクプーリー
51:自動車用トランスミッションオイルシール
59:車軸
60:トランスミッション
62:メインシャフト(入力シャフト)
63:カウンターシャフト(出力シャフト)
110:オイルシールトルク試験機
111:測定用オイルシール
112:油室
113:軸受
114:シャフト
115:オイルシール
116、126:ロードセル
117:オイルシール保持部材
Claims (6)
- シールリップ部を有する弾性部材を備えた自動車用オイルシールであって、
前記弾性部材は、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することにより共凝析組成物を得た後、アクリロニトリルブタジエンゴム(A)を架橋して得られたものであり、
フッ素樹脂(B)は、パーハロポリマーである
ことを特徴とする自動車用オイルシール。 - 弾性部材は、フッ素樹脂(B)がアクリロニトリルブタジエンゴム(A)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(B)の平均分散粒子径が3〜700nmである請求項1記載の自動車用オイルシール。
- フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、及び、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である
請求項1又は2記載の自動車用オイルシール。 - 弾性部材に対するフッ素樹脂(B)の体積比が0.02〜0.40である請求項1、2または3記載の自動車用オイルシール。
- アクリロニトリルブタジエンゴム(A)は、結合アクリロニトリル量が10質量%以上である請求項1、2、3又は4記載の自動車用オイルシール。
- 自動車用エンジンオイルシール又は自動車用トランスミッションオイルシールである請求項1、2、3、4又は5記載の自動車用オイルシール。
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---|---|---|---|
JP2013053518A JP2014178014A (ja) | 2013-03-15 | 2013-03-15 | 自動車用オイルシール |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116082775A (zh) * | 2022-10-08 | 2023-05-09 | 山东东都汽车部件股份有限公司 | 一种车桥轮毂油封产品及其制备方法 |
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2013
- 2013-03-15 JP JP2013053518A patent/JP2014178014A/ja active Pending
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CN116082775A (zh) * | 2022-10-08 | 2023-05-09 | 山东东都汽车部件股份有限公司 | 一种车桥轮毂油封产品及其制备方法 |
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