JP5470721B2 - インサート成形用加飾シート - Google Patents

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Description

本発明は、インサート成形に用いられる加飾シートに関するものである。
従来から、樹脂成形物等の被着体の表面を加飾した加飾成形品が各種用途で使用されている。特に、射出成形同時加飾方法では、樹脂成形物の成形と同時にその表面に成形用加飾シートを積層一体化する事で、表面が加飾された加飾成形品が得られる。
例えば、特許文献1には、バッカー層を積層した加飾シートを金型内壁面に形成した後、成形用樹脂を射出成形することにより、シートで表面が被覆された成形品を製造する方法、所謂インサート成形により成形品を製造する方法が提案されている。
このインサート成形の射出樹脂としては、一般的には、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が多く、この為、インサート成形用加飾シートのバッカー層に、これら樹脂との密着性等を考慮してABS樹脂シート等を用いることが多い。また、バッカー層を接着する方法として、熱プレス法とドライラミネーション法とが通常用いられている。
ところで、インサート成形用加飾シートは、射出成形により、屈曲部が白化することがあり、意匠性を低下させるので、種々改良が試みられている。(特許文献2及び3参照)
しかしながら、白化を防止するためアクリル樹脂主体の基材シートを柔軟化すると、アクリル樹脂主体の基材シートの上に絵柄層を積層し、絵柄層の上に接着剤層を介してバッカー層をドライラミネーションにより積層して加飾シートを得る場合には、真空成形後の加飾シートの表面が蛍光灯の反射像を見た際にみかんの皮のような面、即ちゆず肌になることがあった。そして、このゆず肌状の加飾シートを用いて得られた加飾成形品の表面に、同様に反射光線による歪み(ゆらぎ)が発生し、ゆず肌のような痘痕が見え、加飾成形品の意匠性が著しく低下することがあった。
特公平8−2550号公報 特開2004−131668号公報 特開2004−137299号公報
本発明は、このような状況下で、射出成形後の成形品の屈曲部の表面が白化しにくいと共に、射出成形後の成形品の表面がゆず肌状になりにくいインサート成形用加飾シートを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材シートを改良することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材シートの上に絵柄層を積層し、絵柄層の上に接着剤層を介してバッカー層をドライラミネーションにより積層してなるインサート成形用加飾シートであって、該基材シートが(メタ)アクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系樹脂組成物からなり、且つ該アクリル系樹脂組成物の粘度が3×102〜20×102Pa・sであることを特徴とするインサート成形用加飾シートを提供するものである。
本発明によれば、射出成形後の成形品の屈曲部の表面が白化しにくいと共に、射出成形後の成形品の表面がゆず肌状になりにくいインサート成形用加飾シートを提供することができる。
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明のインサート成形用加飾シートの実施態様の断面を示す模式図である。
本発明のインサート成形用加飾シート10(以下、単に「加飾シート10」ということがある)は、基材シート11の上に絵柄層12を積層し、絵柄層12の上に接着剤層13を介してバッカー層14をドライラミネーションにより積層してなるインサート成形用加飾シートである。そして、所望により、絵柄層12の上に隠蔽層15を積層しても良い。
本発明においては、基材シート11は(メタ)アクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系樹脂組成物からなり、且つこのアクリル系樹脂組成物の粘度が3×102〜20×102Pa・sであることを要する。該アクリル系樹脂組成物の粘度が3×102Pa・sより低いと真空成形により、ゆず肌状になり易くなり、一方、20×102Pa・sより高いと射出成形により、加飾された成形品の屈曲部の表面が白化し易くなるからである。この観点から、上記アクリル系樹脂組成物の粘度が4×102〜15×102Pa・sであることが好ましく、5×102〜10×102Pa・sであることが特に好ましい。
本発明における粘度の測定は、粘弾性測定装置を用いて行う。測定条件としては、測定部直径25mmφに成形した試料を用い、治具間距離0.12mm、測定温度150℃、及び歪10%であり、周波数を0.1から100Hzまで図1に示すように400秒間で連続的に変化させ、100Hzに達したところで測定する。
本発明に係る基材シート11は、絵柄層12の意匠性を高めるために、透明性に優れ、その結果、優れた塗装感をも付与できる(メタ)アクリル樹脂を主成分とするアクリル系樹脂組成物が用いられる。(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキル単独重合体又は(メタ)アクリル酸アルキルを主成分とする共重合体が用いられる。ここでアルキル基としては、炭素数1〜4程度である。例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルをいい、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。通常はポリメチル(メタ)アクリレートが好適に用いられ、ポリメチルメタクリレートが特に好適に用いられる。
(メタ)アクリル酸アルキルを主成分とする共重合体の好適な例としては、より具体的には、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル50〜100質量%と、アクリル酸エステル0〜50質量%と、これらに共重合可能な他のビニル単量体0〜49質量%とからなる単量体の重合により得られる熱可塑性重合体であるのが望ましい。ここでアクリル酸エステルは、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜50質量%の範囲で用いられ、したがって、メタクリル酸アルキルのより好ましい共重合割合は50〜99.9質量%、さらに好ましい共重合割合は50〜99.5質量%の範囲である。なお、本明細書において単に「単量体」というときは、ある単量体1種からなる場合のみならず、複数の単量体が混合された状態、いわゆる単量体混合物も包含するものとする。
(メタ)アクリル樹脂の共重合成分となるアクリル酸エステルは、アクリル酸のアルキルエステルが好ましく、そのアルキル基は、炭素数1〜8程度でよい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが挙げられる。また、メタクリル酸アルキル及び/又はアクリル酸エステルに共重合可能で、任意に用いられる他のビニル単量体としては、従来からメタクリル樹脂の分野で知られている各種単量体が使用でき、例えば、スチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物などが挙げられる。メタクリル酸アルキル、アクリル酸エステル及び/又は他のビニル単量体は、組成が上記範囲に収まるかぎりにおいて、それぞれの定義に入るものを2種以上用いてもよい。
(メタ)アクリル樹脂は、上述のとおり、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル50〜100質量%、より好ましくは50〜99.9質量%と、アクリル酸エステル0〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%と、これらに共重合可能な他のビニル単量体0〜49質量%とからなる単量体を重合させたものが好適であり、この範囲に入る重合体を単独で又は2種以上の重合体の混合物として用いることができる。
本発明に係る基材シート11を構成するアクリル系樹脂組成物中に分散するゴム粒子の平均粒径が、0.05〜0.5μmであることが好ましい。平均粒径が0.05μm以上であれば表面硬度が確保され易く、真空成形後の加飾シート及び射出成形後の成形品の表面のゆず肌状歪みが発生しにくくなる。また、平均粒径が、0.5μm以下であれば射出成形後の成形品の表面が屈曲白化しにくくなるので好ましい。これらの観点から、平均粒径が、0.1〜0.4μmであることが更に好ましく、平均粒径が、0.1〜0.3μmであることが特に好ましい。
また、ゴム粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体であることが好ましい。例えば、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9質量%、他の共重合性ビニル系単量体0〜49.9質量%及び共重合性の架橋性単量体0.1〜10質量%からなる単量体混合物を重合させて弾性体を得た後、得られた弾性共重合体100質量部の存在下にメタクリル酸エステル50〜100質量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体又はその混合物10〜400質量部を少なくとも1段以上で重合させることにより得られる。また、特公昭55−27576号公報に開示されているように、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる球形3層構造であっても良い。
ゴム粒子のアクリル系樹脂組成物中の配合量は、ゴム粒子の材料や粒径にもよるが、一般には、(メタ)アクリル樹脂/ゴム粒子の質量比として、(90/10)〜(60/40)が好ましく、(85/15)〜(63/37)が更に好ましい。
本発明に係る基材シート11は無色透明の他に、着色透明でも良い。また、基材シート11を構成するアクリル系樹脂組成物には、必要に応じて、適宜、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の滑剤、シリカ、球状α−アルミナ等の粒子からなる艶消し剤又は減磨剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、可塑剤、安定剤、着色剤等の各種添加剤を、物性調整の為に添加しても良い。また、副材料として、(メタ)アクリル樹脂及びゴム粒子以外の樹脂を添加しても良い。
基材シート11に用いられる(メタ)アクリル樹脂のガラス転移点Tg(℃)は、通常85〜115℃であり、(メタ)アクリル樹脂の折り曲げ性を向上して射出成形後の成形品の屈曲部の白化を防止するためには85〜110℃であることが好ましい。
基材シート11の厚みは、特に限定されないが、一般的には70〜150μm程度である。
本発明において、基材シート11の上に積層される絵柄層12は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層である。絵柄層12の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄である。絵柄層12としては、バインダーの樹脂を特定の樹脂から構成する他は、基本的には特に制限は無い。絵柄層12は、通常は、印刷インキでグラビア印刷等の公知の印刷法により形成する。バインダーの樹脂は、(メタ)アクリル樹脂単独又は(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物を主成分とするのが好ましい。(メタ)アクリル樹脂を用いる基材シート11との密着性を出す為に(メタ)アクリル樹脂を用いることが好ましく、更に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体又は別の(メタ)アクリル樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより好適となる。ここで、(メタ)アクリル樹脂としては、上述の基材シートのところで列記したものと同様のものの中から適宜選択し得る他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることも出来る。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に更にマレイン酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させても良い。(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合比は、(メタ)アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9〜9/1(質量比)程度である。この他、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン等の樹脂を混合しても良い。
絵柄層12の厚みは、絵柄模様に応じて適宜選択すればよい。
本発明において、所望により絵柄層の上に積層される隠蔽層15に用いられるバインダーとしての樹脂は、絵柄層12及び基材シート11との密着性、印刷適性、成形適性の点から絵柄層12と同じく、1種類の(メタ)アクリル樹脂を単独で用いるか、2種類以上の(メタ)アクリル樹脂の混合物又は(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物を用いることが好ましい。隠蔽層15での(メタ)アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、上述の絵柄層12で述べたもの等を使用すれば良い。(メタ)アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレートが好ましく、ポリメチルメタクリレートとポリブチルメタクリレートの混合物が特に好ましい。
また、必要に応じて、副成分の樹脂として、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン等の樹脂を混合しても良い。この様な隠蔽層は、通常は印刷インキ或いは塗料でグラビア印刷等の公知の印刷又はグラビア塗工等の塗工法により形成すれば良い。隠蔽層15厚みは1〜10μm程度であり、通常2μm 程度である。
絵柄層12及び隠蔽層15としては、上述の各種樹脂よりなるバインダーに加えて、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白(二酸化チタン)、アンチモン白(三酸化アンチモン)、亜鉛華、酸化鉄イエロー、黄鉛、チタン黄、アンチモン黄、カドミウムイエロー、弁柄、カドミウム赤、硫化水銀、クロムバーミリオン、アンバー、ローアンバー、バーントアンバー、イエローオーカー、ヴァンダイクブラウン、シェンナ、ローシェンナ、バーントシェンナ、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
本発明において、バッカー層14をドライラミネーションするために積層される接着剤層13としては、隠蔽層15との密着性、印刷適性、成形適性を持つ樹脂の中から、広範囲に選択される。具体的には、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及び(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物から選ばれることが好ましい。接着剤層13での(メタ)アクリル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、上述の絵柄層12で述べたもの等を使用すれば良い。また、これらの混合比も上述の絵柄層12で述べた比率範囲で使用すれば良い。これらの樹脂を接着剤層に使用する事によって、加飾シート10とバッカー層14との密着性が得られる。なお、接着剤層13には、副成分としての範囲で、上記以外の樹脂を併用しても良い。併用する樹脂は、主に射出樹脂との密着性を考慮して選ばれる。
バッカー層14がABS樹脂又はポリオレフィン樹脂の場合は、接着剤層13としてブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン等が好ましい。
なお、接着剤層13の厚みは要求物性等に応じて適宜厚さとすれば良いが、通常1〜20μm程度である。また、接着剤層13の形成方法は特に限定は無いが、通常は、上記樹脂を希釈溶剤で希釈した樹脂液からなるインキ又は塗液として、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工手段により形成する。また、接着剤層中には、更に、インキ(又は塗液)の印刷(又は塗工)適性等の諸物性を調整、向上させる為に、必要に応じて、その他の副材料、例えば、体質顔料等の各種添加剤を添加しても良い。
本発明において、絵柄層12及び/又は隠蔽層15の上に接着剤層13を介してドライラミネーションにより積層されるバッカー層14としては、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂の内、ABS樹脂及びポリプロピレン樹脂が特に好ましい。射出樹脂がABS樹脂である場合はABS樹脂が好ましく、射出樹脂がポリプロピレン樹脂である場合はポリプロピレン樹脂が好ましい。バッカー層14は、加飾シート10を補強し、一体化物の形態を保持するために積層されるので200〜500μmの厚さを有することが好ましい。
本発明の加飾シート10を製造する方法は、例えば、基材シート11に絵柄層12、隠蔽層15及び接着剤層13を順次グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工手段により積層した後、バッカー層14をドライラミネーションすればよい。隠蔽層15が複数層の場合は、1層を積層した後、乾燥し、その後次の層を積層すればよい。
次に、本発明の加飾シート10を用いて、インサート成形により加飾成形品を製造する方法を説明する。上述のように製造された本発明の加飾シート10は、真空成形により所定の型付けがなされる。
まず、固定枠に固定した加飾シート10が軟化する所定の温度になるまでヒーターで加熱し、加熱され軟化した加飾シート10に真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し加飾シート10を真空成形金型にしっかりと密着させる。
加飾シート10が真空成形金型に密着した後、加飾シート10を冷却し、成形した加飾シート10から真空成形金型をはずし、固定枠から成形された加飾シート10をはずす。真空成形は通常160〜180℃程度で行われる。詳細については、例えば、特開2004−322501号公報に記載される。
次に、真空成形された加飾シート10は、所望により、余分な部分を切り取るトリミングがなされ、射出成形金型にはめ込まれ、加飾シート10の裏面(バッカー層14側、即ち、図2の上面側)に射出樹脂を打ち込む。最後に射出成形金型から取り出して加飾成型品を得る。射出成形は通常220〜260℃程度で行われる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、樹脂の粘度、加飾シート及び成形品のゆず肌の有無、成形品の屈曲部の白化の有無及びゴム粒子の平均粒径は、下記の方法に従って測定した。
1.樹脂の粘度(Pa・s)
粘弾性測定装置としては、アントンパール社製「Physica−MCR300」を用い、測定治具としては、パラレルプレートを用いた。具体的な測定は、以下の手順で行った。
(1)測定部を150℃に加熱する。
(2)測定部が150℃になったことを確認した後に、25mmφに成形した試料を測定部にセットする。
(3)治具間距離を0.12mmに調整する。
(4)温度が安定した後、測定温度150℃、歪10%、及び周波数0.1〜100Hzの条件で動的粘弾性を測定する。
(5)動的粘弾性から粘度を計算する。
2.真空成形後の加飾シート及び射出成形後の成形品のゆず肌の有無
ゆず肌は真空成形により現れ、射出成形時の射出圧により低減する傾向にあり、圧力が高い程ゆず肌は低減する。従って、真空成形後の加飾シートと射出成形後の成形品の双方について、各加飾シート表面及び一定条件で射出した各成形品表面の蛍光灯の反射像を見た際にみかん又はゆずの皮のような面、即ち、ゆず肌の有無及び有る場合の程度を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
◎:真空成形後の加飾シートにゆず肌が認められなかった場合、あるいは真空成形後の加飾シートにゆず肌が認められたが、射出成形後の成形品ではゆず肌が認められなかったか、又はゆず肌がわずかに認められたが実用上全く問題なかった場合のいずれかである。
○:真空成形後の加飾シートのみならず、射出成形後の成形品でもゆず肌が認められたが、実用上問題なかった。
×:射出成形後の成形品でゆず肌が激しく、成形品の商品価値が低下した。
3.射出成形後の成形品の屈曲部の白化の有無
射出成形後の各成形品の屈曲部の表面の白化の有無を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
◎:白化が認められなかった。
○:白化がわずかに認められたが、実用上問題なかった。
△:白化が多少認められ、用途によっては適用が困難なレベルあった。
×:白化が認められた。
4.ゴム粒子の平均粒径
ゴム粒子が分散したアクリル系樹脂組成物からなる基材シートを適当な大きさに切り出し、切片を0.5%四酸化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬して、ゴム粒子部分を染色した。更に、ミクロトームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真から無作為に500個の染色されたゴム粒子部を選択し、その各々の粒子径を算出した後、その平均値を平均粒径(μm)とした。
基材シートA〜Fの調製
(メタ)アクリル樹脂として、メタクリル酸メチル97.8%及びアクリル酸メチル2.2%のモノマー組成からバルク重合法により得られた樹脂のペレットを用いた。またゴム粒子としては、特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる球形3層構造であり、弾性共重合体層の平均粒子径が0.20μmのものを用いた。なお、(メタ)アクリル樹脂/ゴム粒子の質量比は、基材シートAでは55/45、基材シートBでは65/35、基材シートCでは72/28、基材シートDでは80/20、基材シートEでは91/9、基材シートFでは97/3とした。
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に示す6種類の基材シート上に、夫々ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄層(厚さ1μm)、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレートの混合物及び無機顔料からなる隠蔽層(厚さ2μm)及び2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤からなる接着剤層(厚さ10μm)を順次積層した後、ABS樹脂からなるバッカー層(厚さ350μm)をドライラミネーションにより積層し、6種類のインサート成形用加飾シートを得た。
次に、これら6種類の加飾シートを固定枠に固定し、加飾シートの温度が約160℃になるまで約300℃のヒーターで加熱した。加熱され軟化した加飾シートを、上述のように、真空成形工程、トリミング工程及び温度約240℃でABS樹脂を射出樹脂とする射出成形工程を経て6種類の加飾成型品を得た。
これら6種類の真空成形後の加飾シート及び射出成形後の成形品のゆず肌の有無、並びに射出成形後の成形品の屈曲部の白化の有無を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005470721
表1から分かるように、実施例1〜3の加飾シートは、射出成形後の成形品において、表面にゆず肌状歪みが認められず、且つ屈曲部の白化も認められなかった。また、実施例4の加飾シートは、白化は多少認められるものの、用途によっては実用が可能なレベルであった。
一方、比較例1の加飾シートは、射出成形後の成形品において、屈曲部の白化は認められなかったが、表面にゆず肌状歪みが激しかった。また、比較例2の加飾シートは、射出成形後の成形品において、表面にゆず肌状歪みが認められなかったが、屈曲部に白化が認められた。
本発明のインサート成形用加飾シートは、真空成形工程及び射出成形工程を経ても、加飾成形品の屈曲部の表面が白化しにくく、且つ加飾成形品の表面がゆず肌状になりにくいので、各種の加飾成形品に好適に用いられる。
粘度の測定方法における周波数の増加パターンを示す図である。 本発明のインサート成形用加飾シートの実施態様の断面を示す模式図である。
符号の説明
10 加飾シート
11 基材シート
12 絵柄層
13 接着剤層
14 バッカー層
15 隠蔽層

Claims (4)

  1. 基材シートの上に絵柄層を積層し、絵柄層の上に接着剤層を介してバッカー層をドライラミネーションにより積層してなるインサート成形用加飾シートであって、該基材シートが(メタ)アクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系樹脂組成物からなり、該アクリル系樹脂組成物中の(メタ)アクリル樹脂/ゴム粒子の質量比が、(72/28)〜(60/40)であり、かつ以下の測定方法で測定した該アクリル系樹脂組成物の粘度が5×10 2 〜10×10 2 Pa・sであることを特徴とするインサート成形用加飾シート。
    (粘度の測定方法)
    粘弾性測定装置を用いて測定する。測定は、測定部直径25mmφに成形した試料を用い、治具間距離0.12mm、測定温度150℃、及び歪10%とし、周波数を0.1から100Hzまで図1に示すように連続的に変化させ、100Hzに達したところで測定する。
  2. 前記ゴム粒子の平均粒径が、0.05〜0.5μmである請求項1に記載のインサート成形用加飾シート。
  3. 前記ゴム粒子が、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体である請求項1又は2に記載のインサート成形用加飾シート。
  4. 前記バッカー層の厚さが、200〜500μmである請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
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