JP2011110916A - 艶消し樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の艶消し樹脂フィルムは、ポリカーボネート樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(A)からなるポリカーボネート樹脂層(A)の片面に、メタクリル樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(B)からなるメタクリル樹脂層(B)が積層された多層フィルムであって、多層フィルムの前記ポリカーボネート樹脂層(A)側に位置する面(α)は、表面に微細な凹凸を有するマット面であり、この面(α)の算術平均粗さRa1と、多層フィルムの前記メタクリル樹脂層(B)側に位置する面(β)の算術平均粗さRa2とが、式:(Ra1−Ra2)/Ra1>0.40を満たす。
【選択図】 なし
Description
(1)ポリカーボネート樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(A)からなるポリカーボネート樹脂層(A)の片面に、メタクリル樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(B)からなるメタクリル樹脂層(B)が積層された多層フィルムであって、多層フィルムの前記ポリカーボネート樹脂層(A)側に位置する面(α)は、表面に微細な凹凸を有するマット面であり、この面(α)の算術平均粗さRa1と、多層フィルムの前記メタクリル樹脂層(B)側に位置する面(β)の算術平均粗さRa2とが、式:(Ra1−Ra2)/Ra1>0.40を満たすことを特徴とする艶消し樹脂フィルム。
(2)前記算術平均粗さRa2が0.25以下である前記(1)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(3)前記樹脂材料(A)のガラス転移温度TgA(℃)と前記樹脂材料(B)のガラス転移温度TgB(℃)とが、式:TgA−TgB<25を満たす前記(1)又は(2)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(4)前記樹脂材料(A)が、可塑剤を、ポリカーボネート樹脂:可塑剤(重量比)=70:30〜99:1の割合で含有する前記(3)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(5)前記可塑剤が、リン酸エステル系化合物である前記(4)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(6)マット面である前記面(α)が、メタクリル樹脂を樹脂成分とし、かつ透明微粒子を含む樹脂材料(C)からなるマット層(C)で構成されている前記(1)〜(5)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(7)前記樹脂材料(B)が透明微粒子を含有する(但し、前記樹脂材料(B)の前記TgBは、透明微粒子を含まない状態で測定される値である)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(8)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)におけるメタクリル樹脂と透明微粒子との含有割合が、メタクリル樹脂:透明微粒子(重量比)=60:40〜99:1である前記(6)又は(7)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(9)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)に含まれる透明微粒子の体積平均粒子径が3〜10μmである前記(6)〜(8)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(10)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)に含まれる透明微粒子がアクリル系の架橋粒子である前記(6)〜(9)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(11)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)における透明微粒子の屈折率(Nd)とメタクリル樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.01以下である前記(6)〜(10)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(12)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)が、アクリル系ゴム粒子を、メタクリル樹脂:アクリル系ゴム粒子(重量比)=20:80〜99:1の割合で含有する前記(1)〜(11)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(13)前記アクリル系ゴム粒子が、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、アクリル酸アルキルを50〜99.9重量%と、メタクリル酸アルキルを0〜49.9重量%と、単官能単量体を0〜49.9重量%と、多官能単量体を0.1〜10重量%とを重合させてなる弾性重合体の層を含む弾性重合体部を有する粒子である前記(12)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(14)前記アクリル系ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜50重量%と、単官能単量体を0〜50重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体の層を備えた多層構造の粒子である前記(13)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(15)前記アクリル系ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを70〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜30重量%と、単官能単量体を0〜30重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体の層を備えた多層構造の粒子である前記(13)又は(14)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(16)前記弾性重合体部の数平均粒子径が100nm以下である前記(13)〜(15)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(17)前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)が、各樹脂材料毎に、樹脂材料の総量に対して0.5〜10重量%の紫外線吸収剤を含有するものである前記(1)〜(16)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(18)艶消し樹脂フィルム全体の厚さが20〜200μmであり、ポリカーボネート樹脂層(A)の厚さが艶消し樹脂フィルム全体の厚さの10〜90%であり、かつメタクリル樹脂層(B)の厚さが5μm以上である前記(1)〜(17)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(19)前記多層フィルムを構成する各樹脂材料が共押出成形されてなる前記(1)〜(18)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(21)前記(20)に記載の加飾用フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂シートが積層されてなることを特徴とする加飾用シート。
(22)前記(20)に記載の加飾用フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
(23)前記(21)に記載の加飾用シートの熱可塑性樹脂シート側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
前記面(α)の算術平均粗さRa1の値や前記面(β)の算術平均粗さRa2の値は、特に制限されないが、成形品に貼合する前後での光沢感や艶の具合いの変化を充分に抑制するには、Ra2の上限は、0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。なお、面(α)の算術平均粗さRa1および面(β)の算術平均粗さRa2は、例えば後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
前記カルボニル化剤としては、例えば、ホスゲンの如きカルボニルハライド、ジフェニルカーボネートの如きカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメートの如きハロホルメート等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
前記可塑剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートの如きリン酸エステル系化合物;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシルフタレート)、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレートの如きフタル酸エステル系化合物;トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテートの如きトリメリット酸エステル系化合物;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネートの如き脂肪族二塩基酸エステル系化合物;メチルアセチルリシノレートの如きリシノール酸エステル系化合物;トリアセチン、オクチルアセテートの如き酢酸エステル系化合物;N−ブチルベンゼンスルホンアミドの如きスルホンアミド系化合物;等が挙げられる。これらの中でも特に、ポリカーボネート樹脂との相溶性や、相溶後の樹脂材料(A)の透明性に優れる点で、リン酸エステル系化合物が好ましく、とりわけ、クレジルジフェニルホスフェートやトリクレジルホスフェートがより好ましい。なお、可塑剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルとこれ以外の単量体との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。なお、メタクリル樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記メタクリル酸エステル以外の単量体としては、アクリル酸アルキルや、メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体が挙げられる。
前記アクリル酸アルキルとしては、通常、アルキル基の炭素数が1〜8であるもの、好ましくは1〜4であるものが用いられる。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸アルキルは、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
前記メタクリル樹脂は、前述した単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの公知の方法で重合させることにより調製することができる。その際、所望のガラス転移温度に調整するため、もしくは好適な成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体成分の種類やその組成などに応じて、適宜決定すればよい。
前記アクリル系ゴム粒子は、少なくとも、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体からなる層(弾性重合体層)を含む弾性重合体部を有する粒子であればよく、前記弾性重合体層とともに硬質重合体からなる層(硬質重合体層)をも含む多層構造を有する粒子であってもよい。なお、アクリル系ゴム粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
さらに好ましくは、前記アクリル系ゴム粒子は、i)前記弾性重合体層の外側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜50重量%と、単官能単量体を0〜50重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体層を備えた多層構造の粒子であるか、ii)前記弾性重合体層の内側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを70〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜30重量%と、単官能単量体を0〜30重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体層を備えた多層構造の粒子であるのがよい。なお、前記弾性重合体層の外側に前記i)の硬質重合体層を備え、かつ前記弾性重合体層の内側に前記ii)の硬質重合体層を備えた多層構造の粒子も同様に好ましいことは勿論である。
前記弾性重合体層を形成する際に任意に用いられるメタクリル酸アルキルとしては、前記メタクリル樹脂を構成するメタクリル酸アルキルとして前述したものと同様のものが挙げられる。なお、このメタクリル酸アルキルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記弾性重合体層を形成する際に任意に用いられる単官能単量体としては、前記メタクリル樹脂を構成する単官能単量体(メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体)として前述したものと同様のものが挙げられ、それらの中でも特に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物が好ましく挙げられる。なお、この他の単官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記弾性重合体層を形成する際に用いられる多官能単量体としては、前記メタクリル樹脂を構成する多官能単量体(メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体)として前述した単量体の如く、いわゆる架橋剤やグラフト剤としての機能を示すものであればよい。具体的には、前記メタクリル樹脂を構成する多官能単量体と同様のものが挙げられ、それらの中でも特に、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく挙げられる。なお、この多官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記硬質重合体層を形成する際に任意に用いられるアクリル酸アルキルとしては、前記メタクリル樹脂を構成するアクリル酸アルキルとして前述したものと同様のものが挙げられ、それらの中でも特に、炭素数が1〜4であるアルキル基を有するものが好ましく挙げられる。なお、このアクリル酸アルキルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記硬質重合体層を形成する際に任意に用いられる単官能単量体としては、前記メタクリル樹脂を構成する単官能単量体(メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体)として前述したものと同様のものが挙げられる。なお、この他の単官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記硬質重合体層を形成する際に任意に用いられる多官能単量体としては、前記メタクリル樹脂を構成する多官能単量体(メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体)として前述したものと同様のものが挙げられる。なお、この多官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、前記アクリル系ゴム粒子は、前記樹脂材料(B)に代えて、もしくは前記樹脂材料(B)とともに、マット層(C)の形成材料である樹脂材料(C)に含有させることもできる。
以上のような本発明の艶消し樹脂フィルムは、加飾用フィルムや加飾シートとして好ましく用いられる。
<ガラス転移温度>
JIS−K7121−1987に準じて、示差走査熱量測定を行い、加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度(℃)をガラス転移温度とした。
得られたフィルムを50mm角にカッターで切り出して試験片を作製し、表面粗さ測定機((株)ミツトヨ製「SJ−201P」)を使用して、フィルムの両面の算術平均粗さを測定した。測定に際しては、JIS−B0601:1994に基づき、カットオフ値は0.8mm、評価長さは4mmとして行った。マット層(C)側(第二冷却ロール接触側)の面である面(α)の算術平均粗さ値をRa1(μm)とし、メタクリル樹脂層(B)側(第一冷却ロール接触側)の面である面(β)の算術平均粗さ値をRa2(μm)とした。
<メタクリル樹脂>
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体成分のバルク重合により得られた、ガラス転移温度が104℃、屈折率(Nb)が1.490である熱可塑性重合体のペレットを用いた。
アクリル系ゴム粒子としては、内層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体成分を重合させて得られた弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体成分を重合させて得られた硬質重合体であり、内層(弾性重合体の層)/外層(硬質重合体の層)の重量割合が60/40である、乳化重合法により得られた球形2層構造のゴム粒子を用いた。
このアクリル系ゴム粒子における弾性重合体部(内層である弾性重合体の層)の数平均粒子径を以下の方法で測定したところ、80nmであった。
アクリル系ゴム粒子を上記メタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5%四酸化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、該ゴム粒子中の弾性重合体の層を染色した。さらに、ミクロトームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行い、この写真から無作為に100個の染色された弾性重合体の層を選択し、その各々の径を算出した後、その平均値を求め、これを弾性重合体部の数平均粒子径とした。
透明微粒子としては、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(積水化成品工業(株)製「MBX−5H」;屈折率(Nd)1.495、体積平均粒径5.1μm)を用いた。
まず、以下のようにしてポリカーボネート樹脂層(A)の形成材料として樹脂材料(A)を調製した。すなわち、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ(株)製「カリバー303−10」、ガラス転移温度145℃)95部を75mmφ二軸押出機(東芝機械(株)製)を用いて溶融させ、バレルの途中からポンプで液状の可塑剤(クレジルジフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製「CDP」))5部を送り込み、ポリカーボネート樹脂と可塑剤とを混合した樹脂材料(A)をペレットとして得た。
なお、この樹脂材料(A)のガラス転移温度(TgA)は117℃であった。
なお、樹脂材料(B)のガラス転移温度(TgB)を、透明微粒子を使用しないこと以外は上記と同様にして作製したペレットを用いて測定したところ、表1に示す通りであった。
なお、用いた冷却ユニットは、押し出されたフィルム状物を第一冷却ロールと第二冷却ロールとの間に挟み込み、次いで、第二冷却ロールに密着させて巻きつけながら、第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間に挟み込み、その後、第三冷却ロールに巻きつけて冷却するものである。フィードブロック法にて溶融積層一体化させる際には、フィードブロックのピンの調整により、マット層(C)側が第二冷却ロールと接触する側となるようにした。また、冷却ユニットにおいては、第一冷却ロールと第二冷却ロールはフィルムに面で密着するようにし、第二冷却ロールと第三冷却ロールの間は密着させず0.5mmの間隔を空けてフィルムを通すようにした。第一、第二及び第三冷却ロールの各設定温度は、表1に示す温度とした。
また、得られた艶消し樹脂フィルムの各面の算術平均粗さは、表2に示す通りであった。
なお、得られた艶消し樹脂フィルムのメタクリル樹脂層(B)及びマット層(C)における透明微粒子の屈折率(Nd)とメタクリル樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)は、0.005である。
<ヘイズ(H)>
得られたフィルムを50mm角にカッターで切り出して試験片を作製し、ヘーズメーター・反射計((株)村上色彩技術研究所製「HR−100」)を使用して、マット層(C)側(第二冷却ロール接触側)を光源側とし、JIS−K7136に従い測定した。
ヘイズの測定に用いた試験片について、光沢計(ミノルタ(株)製「GM−268」)を使用して、マット層(C)側(第二冷却ロール接触側)の面である面(α)の表面の60度鏡面光沢度(Gs(α))と、メタクリル樹脂層(B)側(第一冷却ロール接触側)の面である面(β)の表面の60度鏡面光沢度(Gs(β))とをJIS−Z8741に従い測定した。
メタクリル樹脂板(成形体)の表面に水を塗布し、塗布した水の上に、ヘイズの測定に用いたのと同じ試験片(50mm角に切断した艶消し樹脂フィルム)を載置し、成形体の表面に艶消し樹脂フィルムを密着、貼合させることにより、フィルム付成形体を作製した。水の上に試験片(艶消し樹脂フィルム)を載置するに際しては、得られるフィルム付成形体の表面にフィルムのマット層(C)が存在するように(換言すれば、フィルムのメタクリル樹脂層(B)が水と接するように)載置した。
得られたフィルム付成形体に貼合したフィルム表面(すなわち、マット層(C)側(第二冷却ロール接触側)の面である面(α))の60度鏡面光沢度を、前述したGsの測定方法と同様にして測定し、得られた値を貼合時60度鏡面光沢度(Gs(α)’)とした。Gs(α)’とGs(α)との差(Gs(α)’−Gs(α))が小さいほど、成形品に貼合した際に、貼合前後での光沢感や艶の具合いの変化が少ない、と言える。
まず、得られたフィルムから10mm×120mmの短冊状の試験片をカッターで切り出した。このとき、試験片の長辺がフィルムの成形方向に対して平行になるように切り出した試験片(MD方向の試験片)を10本、試験片の長辺がフィルムの成形方向に対して垂直となるように切り出した試験片(TD方向の試験片)を10本、用意した。
次に、各試験片を、試験片の平面(切り出す前のフィルム表面)に垂直な方向から衝撃が加わるように、その両端を試験片支持台に両面粘着テープ(コニシ(株)製「ボンド両面テープ固定用」)で固定し、JIS−K7111に準じてシャルピー衝撃試験を行い、試験片を破断するのに要した吸収エネルギー(J)を測定した。そして、各方向ごとに、10本の試験片の平均値を求め、これを各方向の吸収エネルギー(J)とした。各方向の吸収エネルギー(J)が大きいほど、耐衝撃性が高く丈夫なフィルムであると言える。
まず、得られたフィルムから10mm×150mmの短冊状の試験片をカッターで切り出した。このとき、試験片の長辺がフィルムの成形方向に対して平行になるように切り出した試験片(MD方向の試験片)を5本、試験片の長辺がフィルムの成形方向に対して垂直となるように切り出した試験片(TD方向の試験片)を5本、用意した。
次に、各試験片を、インストロン万能試験機(インストロン社製「INSTRON5500R」)を用いて、チャック間50mm、温度25℃、速度50mm/分の条件で、JIS−K7127に準じて試験片が破断するまで延伸し、引張破壊ひずみ(%)もしくは引張破壊時予備ひずみ(%)を測定した。そして、各方向ごとに5本の試験片の平均値を求め、これを各方向の引張破壊ひずみ(%)とした。各方向の引張破壊ひずみ(%)が大きいほど、伸びがよく、強度の高い丈夫なフィルムであると言える。
JIS−K5600−5−1:1999に準じて、得られたフィルムを、層(B)側の面と層(C)側の面で、それぞれ二つ折りにしたときの耐屈曲性を、下記の基準で評価した。
○:フィルムが破断せず、柔軟性が良好である
×:フィルムが破断し、柔軟性に欠ける
<耐白化性>
JIS−K5600−5−1:1999に準じて、得られたフィルムを、層(B)側の面と層(C)側の面で、それぞれ二つ折りにしたときの耐屈曲性を、下記の基準で評価した。
○:フィルムの屈曲部分が白化せずに透明である
×:フィルムの屈曲部分に白化が認められる
<表面硬度(鉛筆硬度)>
JIS−K−5600−5−4に準じて、得られたフィルムのマット層(C)側(第二冷却ロール接触側)の面である面(α)の表面硬度を測定した。
得られたフィルムから10mm×150mmの短冊状の試験片を、その長辺がフィルムの成形方向に対して平行になるようにカッターで切り出し、得られた試験片を、インストロン万能試験機(インストロン社製「INSTRON5500R」)を用いて、チャック間50mm、温度140℃、速度50mm/分の条件で、試験片が破断するまで延伸し、延伸中の最大応力(kgf)を測定した。一般に、通常の射出成形同時貼合法における予備成形(真空成形や圧空成形など)時のフィルム表面の温度は140〜160℃程度であることから、140℃における延伸時の最大応力が小さいほど、成形が容易であると言える。
Claims (23)
- ポリカーボネート樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(A)からなるポリカーボネート樹脂層(A)の片面に、メタクリル樹脂を樹脂成分とする樹脂材料(B)からなるメタクリル樹脂層(B)が積層された多層フィルムであって、
多層フィルムの前記ポリカーボネート樹脂層(A)側に位置する面(α)は、表面に微細な凹凸を有するマット面であり、この面(α)の算術平均粗さRa1と、多層フィルムの前記メタクリル樹脂層(B)側に位置する面(β)の算術平均粗さRa2とが、式:(Ra1−Ra2)/Ra1>0.40を満たすことを特徴とする艶消し樹脂フィルム。 - 前記算術平均粗さRa2が0.25以下である請求項1に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(A)のガラス転移温度TgA(℃)と前記樹脂材料(B)のガラス転移温度TgB(℃)とが、式:TgA−TgB<25を満たす請求項1又は2に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(A)が、可塑剤を、ポリカーボネート樹脂:可塑剤(重量比)=70:30〜99:1の割合で含有する請求項3に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記可塑剤が、リン酸エステル系化合物である請求項4に記載の艶消し樹脂フィルム。
- マット面である前記面(α)が、メタクリル樹脂を樹脂成分とし、かつ透明微粒子を含む樹脂材料(C)からなるマット層(C)で構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)が透明微粒子を含有する(但し、前記樹脂材料(B)の前記TgBは、透明微粒子を含まない状態で測定される値である)請求項1〜6のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)におけるメタクリル樹脂と透明微粒子との含有割合が、メタクリル樹脂:透明微粒子(重量比)=60:40〜99:1である請求項6又は7に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)に含まれる透明微粒子の体積平均粒子径が3〜10μmである請求項6〜8のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)に含まれる透明微粒子がアクリル系の架橋粒子である請求項6〜9のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)における透明微粒子の屈折率(Nd)とメタクリル樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.01以下である請求項6〜10のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)が、アクリル系ゴム粒子を、メタクリル樹脂:アクリル系ゴム粒子(重量比)=20:80〜99:1の割合で含有する請求項1〜11のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記アクリル系ゴム粒子が、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、アクリル酸アルキルを50〜99.9重量%と、メタクリル酸アルキルを0〜49.9重量%と、単官能単量体を0〜49.9重量%と、多官能単量体を0.1〜10重量%とを重合させてなる弾性重合体の層を含む弾性重合体部を有する粒子である請求項12に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記アクリル系ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜50重量%と、単官能単量体を0〜50重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体の層を備えた多層構造の粒子である請求項13に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記アクリル系ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体及び多官能単量体の合計を100重量%として、メタクリル酸アルキルを70〜100重量%と、アクリル酸アルキルを0〜30重量%と、単官能単量体を0〜30重量%と、多官能単量体を0〜10重量%とを重合させてなる硬質重合体の層を備えた多層構造の粒子である請求項13又は14に記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記弾性重合体部の数平均粒子径が100nm以下である請求項13〜15のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記樹脂材料(B)および/または前記樹脂材料(C)が、各樹脂材料毎に、樹脂材料の総量に対して0.5〜10重量%の紫外線吸収剤を含有するものである請求項1〜16のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 艶消し樹脂フィルム全体の厚さが20〜200μmであり、ポリカーボネート樹脂層(A)の厚さが艶消し樹脂フィルム全体の厚さの10〜90%であり、かつメタクリル樹脂層(B)の厚さが5μm以上である請求項1〜17のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 前記多層フィルムを構成する各樹脂材料が共押出成形されてなる請求項1〜18のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
- 請求項1〜19のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルムにおける面(β)に加飾が施されていることを特徴とする加飾用フィルム。
- 請求項20に記載の加飾用フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂シートが積層されてなることを特徴とする加飾用シート。
- 請求項20に記載の加飾用フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
- 請求項21に記載の加飾用シートの熱可塑性樹脂シート側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
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