JP2005036168A - アクリル艶消しフィルム、アクリル艶消し印刷フィルム、立体形状アクリル艶消し印刷フィルム、艶消し印刷シートおよび艶消し成形品 - Google Patents

アクリル艶消しフィルム、アクリル艶消し印刷フィルム、立体形状アクリル艶消し印刷フィルム、艶消し印刷シートおよび艶消し成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】マット剤混入フィルムにおいて、マット剤の凝集、マット剤の凹凸等の問題を解決するアクリル艶消しフィルムおよびアクリル艶消し印刷フィルムを提供する。
【解決手段】印刷層3を形成することにより成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルムとなるアクリル艶消しフィルム121であって、マット剤2のアクリル艶消しフィルム中での分散度D(%)、上記アクリル艶消しフィルム121の上記印刷層3が配置される前の面121aと反対側の面121bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gs、上記アクリル艶消しフィルム121の上記印刷層3が配置される前の面121aの粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、下記の範囲であるアクリル艶消しフィルムである。
45≦D≦100
3≦Gs≦10
0.01≦Ra≦0.5
【選択図】 図2

Description

従来、射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面に射出成形樹脂を接着する艶消し成形品の製造方法において用いられるアクリル艶消しフィルムとしては、表面をエンボス加工して艶消しにする半艶フィルムと特許文献1に示すマット剤混入フィルムとがあった。しかし、半艶フィルムは熱圧でもって艶消しにするため、熱等を加えて立体加工する場合には艶戻りの問題があって使用することができなかった。
一方、マット剤混入フィルムは、図14に示すように、マット剤102をアクリル艶消しフィルム101に混入させたものであり、アクリル艶消しフィルム101の表裏面101a,101bの粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)の値は通常ほぼ同様の値になっている。
特開平10−237261
しかし、このような通常のマット剤混入フィルムは、マット剤が凝集して艶消し度合が疎らになったり、その凝集箇所で光が反射して不純物が混入しているように見える問題があった。また、マット剤の凹凸により印刷層のピンホールが発生したり、マット剤の混入により表面グロス値が低下し裏面の印刷層が霞んで印刷層の鮮映性が劣る問題があった。
そして、立体形状に変形させる際の熱により一旦軟化して変形しやすくすると、延伸部において艶消しが弱まった部分が形成され、上記問題が助長された。その結果、一定の艶消し状態を全面に保ったままで、立体形状に変形させることができず、延伸部と未延伸部とで、いわゆる艶変わりが目立ちやすくなる問題も発生した。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決するアクリル艶消しフィルムおよびアクリル艶消し印刷フィルムを提供することと、艶消しが弱まった部分の形成を防止した立体形状アクリル艶消し印刷フィルム、艶消し印刷シートおよび艶消し成形品を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明の第1態様によれば、印刷層(3)を形成することにより成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルムとなるアクリル艶消しフィルム(121)であって、上記マット剤のアクリル艶消しフィルム中での分散度D(%)が45≦D≦100、および上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)と反対側の面(121b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gs、上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、3≦Gs≦10、0.01≦Ra≦0.5であるアクリル艶消しフィルムを提供する。
本発明の第2態様によれば、第1の態様に記載のアクリル艶消しフィルムに、印刷層(3)を形成した成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルム(10,120,130,140)であって、上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面(1b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsおよび上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面(1b)の表面粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、0.1≦Gs≦7、3.0≦Ra≦10.0の範囲であるアクリル艶消し印刷フィルムを提供する。
本発明の第3態様によれば、第2の態様に記載のアクリル艶消し印刷フィルムを立体形状に変形した立体形状アクリル艶消し印刷フィルムであって、上記アクリル艶消し印刷フィルムの上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15の範囲である立体形状アクリル艶消し印刷フィルムを提供する。
本発明の第4態様によれば、第2の態様に記載の上記アクリル艶消し印刷フィルムの上記印刷層のさらに上に、上記射出成形樹脂と接着性のある裏打ちフィルムをラミネートした艶消し印刷シートであって、上記アクリル艶消し印刷フィルムの上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15の範囲である艶消し印刷シートを提供する。
本発明の第5態様によれば、第2の態様に記載のアクリル艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記アクリル艶消し印刷フィルムの上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが2≦(Gs−Gs)≦15の範囲である艶消し成形品を提供する。
本発明の第6態様によれば、第3の態様に記載の立体形状アクリル艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記アクリル艶消し印刷フィルムの上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲である艶消し成形品を提供する。
本発明の第7態様によれば、第4の態様に記載の艶消し印刷シートを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、裏打ちフィルムが形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記艶消し印刷シートの上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲である艶消し成形品を提供する。
本発明によれば、各態様において以下のような作用効果を奏することができる。つまり、本発明の第1態様においては、印刷層(3)を形成することにより成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルムとなるアクリル艶消しフィルム(121)であって、上記マット剤のアクリル艶消しフィルム中での分散度D(%)、が45≦D≦100であるアクリル艶消しフィルムであるため、マット剤が凝集して艶消し度合が疎らになったり、その凝集箇所で光が反射して不純物が混入しているように見えることがない。また、上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)と反対側の面(121b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが3≦Gs≦10であるため、印刷層の溶剤等によって印刷層表面が荒らされても、印刷層の鮮映性を損なうことなく艶消し成形品の艶変わりの問題が解決される。また、上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、0.01≦Ra≦0.5であるため、アクリル艶消しフィルムに印刷層を形成してもピンホールが発生することがほとんどない。このため、印刷層のピンホールから光が漏れたりすることを確実に防止できる。
さらに、本発明の第2態様においては、第1の態様に記載のアクリル艶消しフィルムに、印刷層が形成した成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルムであって、上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsおよび上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面(1b)の表面粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、0.1≦Gs≦7、3.0≦Ra≦10.0の範囲であることを特徴とする艶消し印刷フィルムであり、立体加工、ラミネート加工、射出成形加工の工程で、艶消しフィルムと印刷層との界面が可塑化してフラットになり、印刷層の鮮映性が向上する現象を利用するようにしたので、従来では印刷時の印刷インキの溶剤によって表面が荒らされて低下していた印刷層の鮮映性を向上させることができる。そして、その各工程によって変化する艶消しの程度も考慮に入れているため、最終的に、一定の艶消し状態を保った艶消し成形品が得られる。
また、本発明の第3態様によれば、第1態様に記載の艶消し印刷フィルムを立体形状に変形した立体形状艶消し印刷フィルムであって、上記艶消し印刷フィルムの上記艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15であるようにすることができる。この場合、前述したとおり、艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層の鮮映性が向上するという効果を奏することができる。
また、本発明の第4態様によれば、第1の態様に記載の上記艶消し印刷フィルムの上記印刷層のさらに上に、上記射出成形樹脂と接着性のある裏打ちフィルムをラミネートした艶消し印刷シートであって、上記艶消し印刷フィルムの上記艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15であるようにすることができる。この場合には、前述したとおり、艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層の鮮映性が向上するといった効果を奏することができる。
また、本発明の第5態様によれば、第1の態様に記載の艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記艶消し印刷フィルムの上記艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが2≦(Gs−Gs)≦15の範囲であるようにすることができる。この場合には、前述したとおり、艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層の鮮映性が向上するといった効果を奏することができる。
また、本発明の第6態様によれば、第3の態様に記載の立体形状艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記艶消し印刷フィルムの上記艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにすることができる。この場合には、前述したとおり、その成形条件が多少ばらついたとしても、艶または艶消し状態への影響が少ないような状態になっている。したがって、適応可能な成形条件の幅が広くなり、一定の艶または艶消し状態の製品が得やすくなる。ゆえに、作業効率が上がり生産性が向上するといった効果を奏することができる。
さらに、本発明の第7態様によれば、第4の態様に記載の艶消し印刷シートを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、裏打ちフィルムが形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品であって、上記艶消し印刷シートの上記艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにすることができる。この場合には、前述したとおり、その成形条件が多少ばらついたとしても、艶または艶消し状態への影響が少ないような状態になっている。したがって、適応可能な成形条件の幅が広くなり、一定の艶または艶消し状態の製品が得やすくなる。ゆえに、作業効率が上がり生産性が向上する効果を奏することができるといった効果を奏することができる。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。以下、図面を参照して本発明における最良の実施形態を詳細に説明する。
上記従来の問題に鑑みて、本発明は、製膜の前にマット剤を上記マット剤のアクリル艶消しフィルム中での分散度を向上させ、立体加工、ラミネート加工、射出成形加工の工程で、アクリル艶消しフィルムと印刷層との界面が可塑化してフラットになり、印刷層の鮮映性が向上する現象を利用して、これらの工程で生じる表面グロス値の変化を考慮した適正なアクリル艶消し印刷フィルムおよびアクリル艶消しフィルムを提供するものである。このようなアクリル艶消し印刷フィルムおよびアクリル艶消しフィルムによれば、上記問題点を解決することができるとともに、鮮映性に優れた艶消し成形品を得ることができる。
(第1実施形態)まず、本発明の第1実施形態にかかるアクリル艶消しフィルム121は、図2に示すように印刷層3を備えてアクリル艶消し印刷フィルム120となりえるアクリル艶消しフィルムであり、アクリル艶消しフィルム中のマット剤の分散度D(%)が45≦D≦100であるアクリル艶消しフィルムである。
分散度は、本来であれば分散状態におけるマット剤の総表面積をマット剤の総容積で除算した値であるが、製膜したフィルムにこれらの値を適用するのは測定上困難であるため、標準偏差の計算式を応用した下記の数式で表される分散度に相当する数値を考案し、分散度D(%)と定義した。ここでVは測定箇所10ヶ所のLab表色系における明度値であり、VはVの平均値である。Vの測定は、アクリル艶消しフィルム10cm角を任意に取り出し、その中でほぼ均等間隔の10箇所を任意に測定する。明度値は国際照明委員会(CIE)1976に準じたものであり、ミノルタ製色彩光沢計CR−310によって測定される。
D(%)=100×〔1−√{(1/9)×Σ(V−V/V }〕
また、このアクリル艶消しフィルム121は、上記印刷層3を形成する面とは反対側の面121bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gs、および印刷層3を形成する前の面121aの粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、3≦Gs≦10、0.01≦Ra≦0.5の範囲であるアクリル艶消しフィルムであり、印刷層3形成後のアクリル艶消し印刷フィルム120の表面グロス値Gsおよび粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)の数値範囲と異なり、数値範囲を高くする。
ここで、0.1≦Gs≦7に対して3≦Gs≦10と、表面グロス値Gsの数値範囲を表面グロス値Gsの数値範囲より高く設定した理由は、次のとおりである。表面グロス値は、アクリル艶消しフィルム121の表面121bからの反射、アクリル艶消しフィルム121内の拡散剤(マット剤2)による反射、印刷層3を形成する面121aからの反射、および印刷層3内での反射によって決まる。本発明の上記第1実施形態の場合、印刷を可能にするために、印刷層3を形成する面121aの粗さ曲線算術平均粗さRaが0.01≦Ra≦0.5となるような平滑面にするが、印刷すれば、印刷インキの溶剤により表面が荒らされて、粗さ曲線算術平均粗さRaが高くなり、光が乱反射して表面グロス値が低下する。
すなわち、印刷層3には顔料4等が含まれており、これらが一方向に配列しない場合には、光が乱反射して表面グロス値が低下する。したがって、印刷することによって表面グロス値が変化する度合いを考慮して、表面グロス値Gsが上記所望の範囲内になりやすいよう、表面グロス値Gsの数値範囲を高く設定しているのである。
しかし、必ず、表面グロス値Gsの数値を表面グロス値Gsの数値よりも高くするわけではない。たとえば、印刷層3が蒸着ベース(蒸着法により形成された層)や超高輝度の偏光層などの場合は、上記の表面グロス値の低下要因よりもこの印刷層3内での反射による表面グロス値の上昇要因の方が優って、逆に表面グロス値Gsの数値の方が高くなる場合がある。この場合には、第2実施形態にかかる条件を満たすように、表面グロス値Gsを極力低くする必要がある。
なお、JIS−Z8741における表面グロス値は、鏡面光沢度とも呼び、測定方法は光源から光線をアクリル艶消しフィルムの垂直方向に対して60°の角度で照射し、その反射光を入射光と等しい角度で受光した時の光の強さを、屈折率1.567のガラス表面の光沢を100とした時の値(%)で表したものである。そして、本発明の具体的な数値は、JIS−Z8741の測定方法に準じたハンディ光沢計、堀場製作所製IG−330で測定したものである。
ところで、図14の従来のマット剤混入アクリル艶消しフィルム101は、表裏面101a,101bともに粗さ曲線算術平均粗さRaが0.5≦Ra≦3.0なので、印刷層を形成すると、ピンホールが発生する。この現象が発生するのは次の理由によると考えられる。表裏面101a,101bの表面の粗さは凹凸によるものだが、重力によりインキが凹凸の凹部にずり落ちて凹凸の凸部の頂点付近のインキ厚が極端に薄くなり、インキが乾燥することにより、上記凸部に対応する個所にヒビが入るためと考えられる。このため、印刷層のピンホールから光が漏れたりする。
これに対して、上記第1実施形態によれば、ピンホール発生を防止することができる。すなわち、このような効果を奏することができる第1実施態様は、第1、第3〜第7実施態様のより好ましい実施態様であり、図13に記される加工をすることにより、図2の印刷面の粗さ曲線算術平均粗さRaをフラット化する(図13の加工をすることで、通常なら粗さ曲線算術平均粗さRaが3.0〜10.0であるものが、0.01〜0.5になる)ことで、表面の凹凸によって生じていた印刷時のピンホールの発生を防止することができる。
(第2実施形態)本発明の第2実施形態にかかるアクリル艶消し印刷フィルム10は、図1及び図16に示すように、射出成形用金型20内に入れ、図17に示すように型閉め後の金型20のキャビティ20aに成形樹脂5を射出して、図18に示すように艶消し成形品99を得るためのアクリル艶消し印刷フィルムであって、マット剤2を混入した熱可塑性樹脂9から構成されるアクリル艶消しフィルム1の片面1aに、顔料4が混入された印刷層3が形成され、印刷層3とは反対側の面1bから測定した日本工業規格JIS−Z8741(1983年)(ASTM D523−62Tに対応。)における表面グロス値Gs、および印刷層3とは反対側の面1bの表面粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、0.1≦Gs≦7、3.0≦Ra≦10.0の範囲であるアクリル艶消し印刷フィルムである。
ここで、0.1≦Gs≦7の条件をつけた理由は、次のとおりである。艶消しの程度は、アクリル艶消しフィルム1の表面の凹凸だけで決まるわけではなく、アクリル艶消しフィルム1内の拡散剤(マット剤2)の種類や含有量、印刷層3を形成する面の平滑性や印刷層3の種類も影響する。また、後工程での立体加工工程や射出成形工程でも艶消しの程度が変化する。したがって、アクリル艶消し印刷フィルム10の印刷層3の表面の粗さ曲線算術平均粗さRaが上記範囲内であっても、上記JIS−Z8741における表面グロス値Gsが一定の適正範囲内でないと、所望の艶消し成形品が得られないことになる。そこで、立体加工や射出成形工程で艶消しの程度が変化するのも考慮したうえで、上記適正範囲を検討した結果、0.1≦Gs≦7とすることにしている。表面グロス値Gsが0.1未満であると、印刷層3のパターンがぼやけて意匠性に劣る艶消し成形品となり、表面グロス値Gsが7を超えると、艶消しが弱まった部分が形成された、いわゆる艶変わりが目立ちやすい艶消し成形品となるためである。
上記第2実施形態にかかるアクリル艶消し印刷フィルム10は、図16〜図18に示すように、射出成形用金型20内に入れ、型閉め後の金型20のキャビティ20aに成形樹脂5を射出することにより、印刷層3の外側に成形樹脂5を接着させることにより、艶消し成形品99を製造することができる。
(第3実施形態)また、本発明の第3実施形態の立体形状のアクリル艶消し印刷フィルム130は、図3及び図4に示すように、上記第1実施形態のアクリル艶消し印刷フィルム10と同一構造のアクリル艶消し印刷フィルムを立体形状に変形した、立体形状のアクリル艶消し印刷フィルムである。この立体形状のアクリル艶消し印刷フィルム130では、アクリル艶消しフィルム131の印刷層3とは反対側の面131bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15となっている。
ここで、「Gs−Gs」の関係式の技術的意味は、次のとおりである。アクリル艶消しフィルム131の表面に存在する凹凸は、アクリル艶消しフィルム131が熱可塑性樹脂9より構成される場合、延伸可能な温度を超えると、均されてフラットになる傾向がある。アクリル艶消しフィルム131を主として構成する熱可塑性樹脂9が可塑化され、表面張力により水平になろうとするためである。均されてフラットになると、フィルム131の艶や艶消し状態が変化してしまう。この変化の程度を図る基準として「Gs−Gs」を設定している。「Gs−Gs」が2未満では、延伸前後の変化はほとんどなく、「Gs−Gs」が15を超えると、アクリル艶消しフィルム131の表面に存在する凹凸の変化が、人間の目で見て確実に認識できてしまうため好ましくない。
なお、「Gs−Gs」が2未満で、延伸前後の変化がほとんどない場合も好ましくないとする理由は、次のとおりである。アクリル艶消しフィルム131の表面131bに存在する凹凸が、アクリル艶消しフィルム131を構成する熱可塑性樹脂9の延伸可能な温度を超えると、可塑化され均されてフラットに変化する。そのとき、上記表面131bの反対面である印刷層形成面131aも、追随してフラットに変化してしまい、粗さ曲線算術平均粗さRaが低くなる。「Gs−Gs」が2未満で印刷の前後で表面グロス値の変化がほとんど無いということは、粗さ曲線算術平均粗さRaの数値がほとんど変らず、印刷層3の印刷インキの溶剤により印刷層形成面131aの表面が荒らされ、印刷層3の鮮映性が低下している状態がそのまま残っている状態であることを意味している。
したがって、若干艶消し状態が変化したとしても、人間の目で見て確認できない範囲であれば、印刷層3の鮮映性向上のために、粗さ曲線算術平均粗さRaが低くなる方が好ましい。
従って、上記第3実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。まず、2≦(Gs−Gs)≦15の意味するところは、すでに印刷インキの溶剤により荒らされた印刷層表面を他の問題が生じない範囲で、元のフラット面に近くなるように戻す加工をすることである。よって、上記アクリル艶消し印刷フィルム130の上記アクリル艶消しフィルム131の上記印刷層3とは反対側の面131bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが変化、すなわち2≦(Gs−Gs)になるように加工したので、印刷層3の印刷インキの溶剤により荒らされた印刷層形成面131aが元のフラット面に近い状態に戻され、印刷インキの溶剤により低下していた印刷層3の鮮映性が向上する。一方、その表面グロス値Gsが、過度に変化しないよう一定限度内すなわち(Gs−Gs)≦15になるように加工したので、表面の艶消し状態の変化すなわち表面グロス値Gsと表面グロス値Gsとの差(Gs−Gs)は、人間の目で見て確認できない範囲となる。この結果、この立体形状に変形する加工では、艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層3の鮮映性が向上するというメリットを得ることができる。
(第4実施形態)また、本発明の第4実施形態の艶消し印刷シート(複数のフィルムが積層されたフィルム積層体)140は、図5及び図6に示すように、第1実施形態のアクリル艶消し印刷フィルム10と同一構造の艶消しシート141の印刷層3が形成された側の印刷層3の上に、射出成形樹脂と接着性のある裏打ちフィルム6をラミネートした艶消し印刷シートである。この艶消し印刷シート140では、アクリル艶消しフィルム141の印刷層3とは反対側の面141bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15となるようにしている。
裏打ちフィルム6をラミネートする理由は、射出成形樹脂に強固に接着させるため、印刷層3が射出成形樹脂で破壊されるような場合に印刷層3を保護するためである。そして、前述の立体加工の代わりに、ラミネート加工の熱または圧力でもって、アクリル艶消しフィルム141と印刷層3の界面の凹凸すなわち粗さ曲線算術平均粗さRaを小さくして印刷層3の鮮映性を向上させる作用もある。したがって、「Gs−Gs」の関係式の技術的意味は、前述の「Gs−Gs」と同様である。ただし、「Gs−Gs」は、立体加工によるアクリル艶消しフィルムの艶消し状態が変化する程度を図る基準であるが、「Gs−Gs」は、ラミネート加工の熱または圧力によるアクリル艶消しフィルムの艶消し状態が変化する程度を図る基準である点で、相違する。なお、「Gs−Gs」の下限値及び上限値の設定理由は、「Gs−Gs」と同じである。立体形状に変化する加工の熱および圧力の代わりに、ラミネート加工の熱および圧力に置き換えたものである。
上記第4実施形態によれば、上記アクリル艶消し印刷フィルム140の上記アクリル艶消しフィルム141の上記印刷層3とは反対側の面141bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15であるようにしたので、ラミネート加工時に艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層3の鮮映性が向上するという効果を奏することができる。また、裏打ちフィルム6を印刷層3の上にラミネートするため、上記アクリル艶消し印刷フィルム140と射出成形樹脂5とを強固に接着させることができるとともに、印刷層3が射出成形樹脂5で破壊されないように印刷層3を保護することができる。
(第5実施形態)また、本発明の第5実施形態にかかる艶消し成形品152は、図7及び図8及び図17〜図18に示すように、第1実施形態のアクリル艶消し印刷フィルム10と同一構造のアクリル艶消し印刷フィルム150を射出成形用金型20内に入れ、型閉め後の金型20のキャビティ20aに成形樹脂5を射出して、印刷層3が形成された側の面150aに射出成形樹脂5を接着することにより得られる艶消し成形品である。この艶消し成形品152において、アクリル艶消しフィルム151の印刷層3とは反対側の面151bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが2≦(Gs−Gs)≦15の範囲となるようにしている。
「Gs−Gs」の関係式の技術的意味は、「Gs−Gs」と同様である。ただし、「Gs−Gs」は、立体加工によるアクリル艶消しフィルムの艶消し状態が変化する程度を図る基準であるが、「Gs−Gs」は、溶融した射出成形樹脂の熱によるアクリル艶消しフィルムの艶消し状態が変化する程度を図る基準である点で相違する。すなわち、艶消し成形品が平面形状の場合、立体形状への加工が不要となる場合があり、その場合には、溶融した射出成形樹脂の熱圧により粗さ曲線算術平均粗さRaが低くなる現象が発生しやすいため、これを利用するために、「Gs−Gs」の値をとるのである。
「Gs−Gs」の上限下限値の設定理由は「Gs−Gs」と同じであり、立体形状に変形する加工の熱および圧力の代わりに、射出成形加工の熱及び圧力に置き換えたものである。上記第5実施形態によれば、艶消し成形品152において、上記アクリル艶消し印刷フィルム150の上記アクリル艶消しフィルム151の上記印刷層3とは反対側の面151bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが2≦(Gs−Gs)≦15の範囲であるようにしたので、上限下限値の設定理由が「Gs−Gs」と同じであることから、効果もこの射出成形加工では、艶消しが弱まる部分の形成を防止しながら、印刷層3の鮮映性が向上するという効果を奏することができる。
(第6,7実施形態)また、本発明の第6実施形態にかかる艶消し成形品162は、図9及び図10に示すように、上記第3実施形態の立体形状アクリル艶消し印刷フィルム130を射出成形用金型内に入れて形成するものである。また、本発明の第7実施形態にかかる艶消し成形品172は、図11及び図12に示すように、上記第4実施形態の立体形状アクリル艶消し印刷フィルム140を射出成形用金型内に入れて形成するものである。
なお、上記第3実施形態の立体形状アクリル艶消し印刷フィルム130や上記第4実施形態の艶消し印刷シート140については、すでに、粗さ曲線算術平均粗さRaが小さくなり印刷層3の鮮映性が向上しているので、上記のような、射出成形加工による表面グロス値の変化は不要となる。
すなわち、上記第6実施形態にかかる艶消し成形品162は、図9及び図10に示すように、上記第3実施形態の立体形状アクリル艶消し印刷フィルム130を射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂5を射出して、印刷層3が形成された側の面130aに射出成形樹脂5を接着することにより得られる艶消し成形品である。この艶消し成形品162において、アクリル艶消しフィルム131の印刷層3とは反対側の面131bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにしている。
また、上記第7実施形態にかかる艶消し成形品172は、図11及び図12に示すように、上記第4実施形態の艶消し印刷シート140を射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂5を射出して、裏打ちフィルム6が形成された側の面140aに射出成形樹脂5を接着することにより得られる艶消し成形品である。この艶消し成形品172においては、アクリル艶消しフィルム141の印刷層3とは反対側の面141bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにしている。
「Gs−Gs」または「Gs−Gs」は0の値が最も好ましく、±6以上の差が生じる場合には、成形条件のわずかなバラツキでフィルムの艶や艶消し状態が変化してしまい、量産品としての品質が保てない問題がある。たとえば、低い金型温度条件(具体的には、アクリル艶消しフィルムのガラス転移温度より20℃以下)で成形できる場合は、金型表面が鏡面でも「Gs−Gs」または「Gs−Gs」の数値が±6以内になりやすいため問題はないが、金型温度条件をその温度よりも高くせざるを得ない場合には、金型表面を適度にシボ加工して「Gs−Gs」または「Gs−Gs」の数値が±6以内に入るよう調整する必要がある。
上記第6実施形態によれば、艶消し成形品162において、上記アクリル艶消し印刷フィルム130の上記アクリル艶消しフィルム131の上記印刷層3とは反対側の面131bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにした効果は以下のとおりである。すなわち、−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲で、できるだけ0に近い成形条件に設定したので、その成形条件が多少ばらついたとしても、艶または艶消し状態への影響が少ないような状態になっている。したがって、適応可能な成形条件の幅が広くなり、一定の艶または艶消し状態の製品が得やすくなる。ゆえに、作業効率が上がり生産性が向上する効果を奏することができる。
また、上記第7実施形態によれば、艶消し成形品172において、上記艶消し印刷シート140の上記アクリル艶消しフィルム141の上記印刷層3とは反対側の面141bから測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲であるようにした効果は以下のとおりである。すなわち、−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲で、できるだけ0に近い成形条件に設定したので、その成形条件が多少ばらついたとしても、艶または艶消し状態への影響が少ないような状態になっている。したがって、適応可能な成形条件の幅が広くなり、一定の艶または艶消し状態の製品が得やすくなる。ゆえに、作業効率が上がり生産性が向上する効果を奏することができる。
以下、各実施形態に共通な部材について、詳細に説明する。まず、上記各実施形態に係るマット剤2を混入させたアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の材質としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルなどの硬質マトリックス成分とアクリルゴムなどのゴム成分が重量比(%)で60:40〜90:10でブレンドされているフィルムが表面硬度、立体成形性、透明性、マット剤との相溶性に優れるため好ましい。アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151のフィルム膜厚としては、20〜300μmとする。
マット剤2の混入率としては、1〜20重量%の範囲で、混入率をa(重量%)、アクリル艶消しフィルム膜厚をT(μm)としたとき、0.5≦(T/a)≦50の条件を満たすようにするとよい。この条件を満たす場合は、アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の分散度D(%)が45≦D≦100となりやすく、延伸部と未延伸部の艶変わりが目立ちにくくなる。
(T/a)が0.5より小さいと分散度D(%)が45未満となりやすく、十分な艶消し効果は得られるが、マット剤2の混入量が多すぎて、コストが高くなったり、アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151が全体として脆くなったり、経時変化でブリードアウトを起こしやすくなり物性が低くなったりする。また、(T/a)が50を超えても、分散度D(%)が45未満となりやすく、マット剤2の混入量が少なすぎて延伸部と未延伸部の艶変わりが目立ちやすくなる。なお、ブリードアウトとは樹脂の伸縮や熱による振動により、樹脂中に拡散していた混合物が表面に露出する現象のことである。
そして、アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の分散度D(%)を確実に45≦D≦100とさせるためには、マット剤2の材質をその光反射率がアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の光反射率とできるだけ近い材質を選択することと、製膜する前に充分な混練作業をすることによってマット剤の凝集を抑えることが重要である。つまり、マット剤2の混入はアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の製膜時に配合させるのが通常であるが、本発明の場合には、製膜よりもかなり前にマット剤2を混入させておき充分な混練作業をしてから製膜することが重要である。
そのようなマット剤2の材質としては、酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、若しくは、パルチミン酸金属塩等の酸化金属、または、ポリエチレン系樹脂等やアクリル酸ゴム等の樹脂ワックスがある。マット剤2は、光拡散機能ないしは艶消し機能を有する。マット剤2を混入させるのは、立体形状に変形させる際に凹凸が多少減少して艶変わりを起こしても、艶消し機能を補強できるようにするためである。方法がある。
「印刷層3が形成されない側の面の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)」は、3.0≦Ra≦10.0である。粗さ曲線算術平均粗さRaが3.0より小さいと、成形時の加熱で表面の凹凸が消失してしまう。粗さ曲線算術平均粗さRaが10.0を超えると凹凸の段差が大きくなるためゴミが溜まりやすくなる。「印刷層3が形成される側の面の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)」は、0.01≦Ra≦0.5である。粗さ曲線算術平均粗さRaが0.01より小さいと、アクリル艶消しフィルム1121,131,141,151を製膜する際に金属ロール8に付着したゴミが擦り付けられ、アクリル艶消しフィルム1121,131,141,151に擦り傷等が発生しやすくなる。粗さ曲線算術平均粗さRaが0.5を超えるとアクリル艶消しフィルム1121,131,141,151の表面の凹凸により印刷層3にピンホールが発生しやすくなる。
粗さ曲線算術平均粗さRaの測定方法としては、「干渉縞アドレッシング方式」といわれるものがある。この方式は、サンプルを、十分に離れた位置からCCDカメラの対物レンズに近づくように移動させながら、凹凸部に対応して現れる干渉縞の相対的な順番を記憶していき、各凹凸部の干渉縞の相対位置より照射光波長の1/2の距離の整数倍値を計算し、各凹凸部の干渉縞のデータをつなぎあわせることにより、三次元の形状や段差を求めるものである。
印刷層3が形成された側の面と印刷層3が形成されない側の面とで、粗さ曲線算術平均粗さRaに差をつけるためには、下記のようにするとよい。つまり、図13に示すように、表面外周にエンボス(凹凸)が形成されたエンボスロール17と表面外周が平滑な金属ロール18との間にアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151を通過させて、エンボスロール17により凹凸が形成された側の面の粗さ曲線算術平均粗さRaが大きくなり、金属ロール18により平滑面となった側の面の粗さ曲線算術平均粗さRaが小さくなるようにするとよい。
例えば、シリコンゴムから構成されるエンボスロール17を、アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の軟化温度から250℃の範囲で加熱しながらアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の印刷層3が形成されない側の面に押し付けるようにするのである。エンボスロール17の表面の凹凸の深度は3〜10μmのものがある。また、加える圧力によりアクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151に形成される凹凸の深度を調整するとよい。エンボスロール17の回転速度は2m/分〜10m/分に設定することができる。一方、アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の印刷層3が形成される側の面には、材質ステンレスから構成される金属ロール18を100〜200℃の温度範囲で加熱しながら押し付けるのである。金属ロール18の表面の平滑度は0.01〜1.0(μm)のものがある。また、加える圧力により平滑度を調整するとよい。金属ロール18の回転速度は1.0m/分〜15.0m/分に設定することができる。
表面グロス値は、表面グロスGs(60°)による値であり、グロス値の単位はGU(グロスユニット)で表す。表面グロスGs(60°)とは、JIS−Z8741に規定されているグロス値のことである。「JIS−Z8741」とは、標準光源からの光を規定の角度で試料面に当て、正反射成分を受光器で測定する方法である。本発明の表面グロスGsは60°の角度で光を当てている。この方法に対応する規格として、ASTM−D523、ISO2813がある。
上記各印刷層3のパターンは、木目柄や抽象柄、幾何学模様柄、文字柄等がある。印刷層3の樹脂バインダーの材質としては、上記アクリル艶消しフィルム1,121,131,141,151の材質に固着する性質を持つものであり、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、EVA系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアセテート系樹脂、又は、塩素化ポリプロピレン系樹脂などがある。印刷層3の形成方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン等の既知の印刷方法がある。また、リップコート、リバースコート、又は、ダイレクトコート等の既知のコート方法がある。印刷層3は、パール顔料、カーボンブラックを用いてスクリーン印刷にて形成された隠蔽層であってもよい。
各印刷層3は、粒径b(μm)が10×10−3<b<50の条件を満たす偏光フレークまたは顔料4が含まれていてもよい。粒径bが10×10−3μmより小さいとマット剤2どうしが凝集しやすくインキ中に均一に分散することが困難となる。粒径bが50μmより大きいと印刷版のセル内に入りにくくなる。偏光フレークとしては、アルミニウム片やパール顔料片などがある。顔料4としては、モノアゾイエローやフタロシアニングリーン、ブリリアントスカーレットなどの有機顔料、カーボンブラックや酸化チタン、硫化鉄などの無機顔料がある。また、印刷層3に金属蒸着層が含まれていてもよい。
上記第3実施形態にかかるアクリル艶消しフィルム131は、射出成形用金型内に入れる前に、真空または圧空成形により所望の立体形状に変形させておく。この場合は、真空成形用金型や圧空成形用金型などの金型を用いることができる。真空成形用金型としては凹引き方式を採用してもよいし凸引き方式を採用してもよい。真空または圧空成形により所望の立体形状に変形させる際にアクリル艶消し印刷フィルムを加熱してもよい。加熱条件は、アクリル艶消し印刷フィルムの表面温度がアクリル艶消し印刷フィルムのガラス転移温度から熱分解温度の範囲になるよう設定する。
第4実施形態にかかる裏打ちフィルム6の材質としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂などがある。裏打ちフィルム6をアクリル艶消しフィルム141と積層させる方法としては、熱ラミネート、ドライラミネート、押出しラミネート、又は、ホットメルトラミネート等がある。なお、印刷層3と裏打ちフィルム6との間に接着層を形成してもよい。
アクリル艶消し印刷フィルムは、射出成形用金型内に入れた後に、真空または圧空成形により所望の立体形状に変形させてもよい。この場合は、射出成形用金型に真空吸引孔が形成されていたり、圧空孔が形成されているものを用いることができる。なお、真空または圧空成形により所望の立体形状に変形させる際にアクリル艶消し印刷フィルムを加熱してもよい。
上記第5実施形態において使用する成形樹脂5としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ノリル系樹脂、又は、ポリスチレン系樹脂およびそれらのアロイから構成される樹脂などがある。
第6実施形態及び第7実施形態において使用する射出成形用金型20A(図19参照)は、そのキャビティ面20bがJIS−Z8741における表面グロス値(Gs)が160≦Gs≦390の条件を満たす鏡面状を呈するものが好ましい。このような鏡面状を呈するキャビティ面20bを有する射出成形用金型20Aを用いて低い金型温度で成形することによって、成形樹脂圧がかかった部分とかからない部分とで、いわゆる艶変わりが目立ちにくくなる。
一方、第5実施形態において使用する射出成形用金型20B(図20参照)は、そのキャビティ面20cが適度に梨地状を呈するものが好ましい。このような梨地状を呈するキャビティ面20cを有する射出成形用金型20bを用いて、高い金型温度で成形することによって、アクリル艶消しフィルムの表面が成形樹脂の熱や圧で適度に変化することになり、艶変わりした所望の艶消し成形品を得ることができる。
(実施例1)木目調の自動車内装用スイッチベースの作製(第1,2,3,6実施態様に対応。)
アクリル艶消しフィルムとしてメタクリル酸エステルとアクリルゴムが重量比(%)80:20でブレンドされているアクリル系樹脂フィルム(125μm)を用いた。マット剤としては、炭酸マグネシウムを4重量%混入させ、アクリル系樹脂フィルムのフィルム膜厚/マット剤の混入率=31とし、製膜前に充分に混練していた。製膜されたアクリル艶消しフィルムの分散度Dは85であり、45≦D≦100の条件を満たしていた。アクリル系樹脂フィルムの印刷層が形成されない側の面はエンボスロール加工をしたので、その粗さ曲線算術平均粗さRaは4.5μmであった。また、印刷層が形成される側の面は金属ロール加工したので、その粗さ曲線算術平均粗さRaは0.3μmであった。このときの表面グロス値(Gs)は6であり、3≦Gs≦10の条件を満たしていた。
次に、グラビア印刷にて上記アクリル艶消しフィルムに木目意匠から構成される印刷層を形成し、アクリル艶消し印刷フィルムを得た。印刷層の樹脂バインダーはアクリル−塩化ビニル系樹脂であった。印刷層の顔料はカーボンブラック、酸化鉄、ブリリアントスカーレット、モノアゾイエローを用いた。印刷層にはピンホールは発生しなかった。このときの表面グロス値(Gs)は2であり、0.1≦Gs≦7の条件を満たしていた。
次に、上記アクリル艶消し印刷フィルムを、真空成形により自動車内装用スイッチベースの表面形状の立体形状に変形させた。真空成形では凹引き方式を採用した。立体形状に変形させる前のアクリル艶消しフィルムの表面温度は160℃であった。このときの表面グロス値(Gs)は7であり、2≦(Gs−Gs)≦15の条件を満たしていた。
次に、上記立体形状に変形させたアクリル艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面と射出成形樹脂とを接着一体化させた。射出成形用金型のアクリル艶消しフィルムが接触するキャビティ面は鏡面状とした。成形樹脂はABS樹脂を用い、樹脂温度は220℃に設定した。このときの表面グロス値(Gs)は8であり、−6≦(Gs−Gs)≦6の条件を満たしていた。得られた艶消し成形品(自動車内装用スイッチベース)は、良好な仕上りであった。
(実施例2)幾何学模様の自動車内装用センタークラスター(第1,2,4,7実施態様に対応。)
アクリル艶消しフィルムとしてアクリル酸エステルとアクリルゴムが重量比(%)90:10でブレンドされているアクリル系樹脂フィルム(125μm)を用いた。マット剤としてはアクリル酸ゴムを2.5重量%混入させ、アクリル系樹脂フィルムのフィルム膜厚/マット剤の混入率=50とし、製膜前に充分に混練していた。製膜されたアクリル艶消しフィルムの分散度Dは50であり、45≦D≦100の条件を満たしていた。アクリル艶消しフィルムの印刷層が形成されない側の面は、エンボスロール加工をしたので粗さ曲線算術平均粗さRaは2.2μmであった。アクリル艶消しフィルムの印刷層が形成される側の面は、金属ロールによる鏡面加工をしたので粗さ曲線算術平均粗さRaは0.05μmであった。このときの表面グロス値(Gs)は9であり、3≦Gs≦10の条件を満たしていた。
次に、グラビア印刷にて上記アクリル艶消しフィルムに幾何学模様から構成される印刷層を形成し、アクリル艶消し印刷フィルムを得た。印刷層は、樹脂バインダーとして塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂を用い、顔料としてパール顔料、カーボンブラックを用い、カーボンクロス調の幾何学模様をスクリーン印刷により形成した。印刷層には、ピンホールは無かった。このときの表面グロス値(Gs)は3であり、0.1≦Gs≦7の条件を満たしていた。
次に、この印刷層が形成された側の面に熱ラミネート法により、ABS樹脂フィルム(350μm)を裏打ちフィルムとして貼り合せ、艶消し印刷シートを得た。ラミネート条件は、アクリル艶消しフィルム表面温度100℃、圧力10バールであった。ラミネート後の表面グロス値(Gs)は10であり、2≦(Gs−Gs)≦15の条件を満たしていた。
次に、上記艶消し印刷シートを、真空成形法により自動車内装用センタークラスターの表面形状に変形させた。真空成形では凸引き方式を採用し、立体形状に変形させる前の艶消し印刷シートの表面温度は172℃であった。さらに、上記立体形状に変形させた艶消し印刷シートを真空成形型より取り出し、不良部分を除去した後、射出成形用金型に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、裏打ちフィルムが形成されている面に射出成形樹脂を接着させた。射出成形用金型のアクリル艶消しフィルムが接触するキャビティ面は鏡面状とした。成形樹脂は耐熱ABS樹脂を用い、樹脂温度は255℃に設定した。このときの表面グロス値(Gs)は11であり、−6≦(Gs−Gs)≦6の条件を満たしていた。得られた艶消し成形品(自動車内装用センタークラスター)は、良好な仕上りであった。
(実施例3)メタリック調の平面形状A/Тハウジング(第1,2,5実施態様に対応。)
アクリル艶消しフィルムとしてメタクリル酸エステルとアクリルゴムが重量比(%)で60:40でブレンドされているアクリル系樹脂フィルム(75μm)を用いた。マット剤としてはアクリル酸ゴムを25%混入させ混入させ、アクリル系樹脂フィルムのフィルム膜厚/マット剤の混入率=3とし、製膜前に充分に混練していた。製膜されたアクリル艶消しフィルムの分散度Dは45であり、45≦D≦100の条件を満たしていた。アクリル艶消しフィルムの印刷層を形成しない側の面はエンボスロール加工をしたので粗さ曲線算術平均粗さRaは8.9μmであった。アクリル艶消しフィルムの印刷層が形成される側の面は金属ロールによる鏡面加工をしたので粗さ曲線算術平均粗さRaは0.4μmであった。このときの表面グロス値(Gs)は4であり、3≦Gs≦10の条件を満たしていた。
次に、グラビア印刷にて上記アクリル艶消しフィルムにメタリック調から構成される印刷層を形成し、アクリル艶消し印刷フィルムを得た。印刷層は、樹脂バインダーとして塩化ビニル系樹脂を用い、顔料としてアルミペースト、カーボンブラック、酸化チタンを用い、メタリックベース色のヘアラインパターンをグラビア印刷により形成した。印刷層が形成された側の面の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が0.4であり、印刷層にピンホールは無かった。
印刷層の樹脂バインダーはアクリル−塩化ビニル系樹脂であった。印刷層の顔料はカーボンブラック、酸化鉄、ブリリアントスカーレット、モノアゾイエローを用いた。印刷層にはピンホールは発生しなかった。このときの表面グロス値(Gs)は7であり、0.1≦Gs≦7の条件を満たしていた。
次に、上記アクリル艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れ、型閉め後の金型のキャビティに成形樹脂を射出して、印刷層が形成された側の面に射出成形樹脂を接着一体化させた。射出成形用金型のアクリル艶消しフィルムが接触するキャビティ面は梨地面状とした。成形樹脂はABS樹脂を用い、樹脂温度は220℃に設定した。このときの表面グロス値(Gs)は11であり、2≦(Gs−Gs)≦12の条件を満たしていた。得られた艶消し成形品(自動車内装用スイッチベース)は、良好な仕上りであった。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。また、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明は、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチベースなどの自動車内装部品、サイドマットガード、バンパー、ホイルキヤップやモールなどの自動車外装部品、その他家電、携帯電話、建材などを加飾するために用いられるアクリル艶消し印刷フィルム、立体形状アクリル艶消し印刷フィルム、艶消し印刷シートおよび艶消し成形品に関する。
本発明の第1実施形態に係るアクリル艶消しフィルムの一例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るアクリル艶消し印刷フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る立体形状アクリル艶消し印刷フィルムの一例を示す側面図である。 上記第3実施形態に係る立体形状アクリル艶消し印刷フィルムの図3の矢印IVで示す点線の円部分の断面図である。 本発明の第4実施形態に係る艶消し印刷シートの一例を示す断面図である。 上記第4実施形態に係る艶消し印刷シートの上記例の全体を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る艶消し成形品の一例を示す断面図である。 上記第5実施形態に係る艶消し成形品の上記例の全体を示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る艶消し成形品の一例を示す断面図である。 上記第6実施形態に係る艶消し成形品の図9の矢印Xで示す点線の円部分の断面図である。 本発明の第7実施形態に係る艶消し成形品の一例を示す断面図である。 上記第7実施形態に係る艶消し成形品のの図11の矢印XIIで示す点線の円部分の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るアクリル艶消しフィルムを製造する方法として、エンボスロール法を適用しているところの断面図である。 従来のマット剤混入アクリル艶消しフィルムの一例を示す断面図である。 従来の半艶しフィルムの一例を示す断面図である。 第1実施形態にかかるアクリル艶消し印刷フィルムを射出成形用金型内に入れた状態の断面図である。 図16の射出成形用金型を型閉めした後、金型のキャビティに成形樹脂を射出し始めた状態の断面図である。 図16の射出成形用金型において最終的に印刷層が形成された側の面に射出成形樹脂を接着することにより艶消し成形品が得られる状態の断面図である。 第6実施形態及び第7実施形態において使用する射出成形用金型の断面図である。 第5実施形態において使用する射出成形用金型の断面図である。
符号の説明
1,121,131,141,151 アクリル艶消しフィルム
10,120,130,140、150 アクリル艶消し印刷フィルム
2 マット剤
3 印刷層
4 顔料
5 射出成形樹脂
6 裏打ちフィルム
9 熱可塑性樹脂
17 エンボスロール
18 金属ロール
20 射出成形用金型
101,110 アクリル艶消しフィルム
102 マット剤
152,162,172 艶消し成形品

Claims (7)

  1. 印刷層(3)を形成することにより成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルムとなるアクリル艶消しフィルム(121)であって、上記マット剤のアクリル艶消しフィルム中での分散度D(%)、上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)と反対側の面(121b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gs、上記アクリル艶消しフィルム(121)の上記印刷層(3)が配置される前の面(121a)の粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、下記の範囲であるアクリル艶消しフィルム。
    45≦D≦100
    3≦Gs≦10
    0.01≦Ra≦0.5
  2. 請求項1に記載のアクリル艶消しフィルムに、印刷層(3)を形成した成形同時加飾用アクリル艶消し印刷フィルム(10,120,130,140)であって、上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面(1b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsおよび上記アクリル艶消しフィルムの上記印刷層とは反対側の面(1b)の表面粗さ曲線算術平均粗さRa(μm)が、下記の範囲であるアクリル艶消し印刷フィルム。
    0.1≦Gs≦7
    3.0≦Ra≦10.0
  3. 請求項2に記載のアクリル艶消し印刷フィルム(130)を立体形状に変形した立体形状アクリル艶消し印刷フィルム(130)であって、上記アクリル艶消し印刷フィルム(130)の上記アクリル艶消しフィルム(131)の上記印刷層(3)とは反対側の面(131b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15である立体形状アクリル艶消し印刷フィルム。
  4. 請求項2に記載の上記アクリル艶消し印刷フィルム(140)の上記印刷層(3)のさらに上に、上記射出成形樹脂と接着性のある裏打ちフィルム(6)をラミネートした艶消し印刷シートであって、上記アクリル艶消し印刷フィルム(140)の上記アクリル艶消しフィルム(141)の上記印刷層(3)とは反対側の面(141b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが、2≦(Gs−Gs)≦15である艶消し印刷シート。
  5. 請求項2に記載のアクリル艶消し印刷フィルム(150)を射出成形用金型(20)内に入れ、型閉め後の上記金型(20)のキャビティ(20a)に成形樹脂(5)を射出して、印刷層(3)が形成された側の面と射出成形樹脂(5)とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品(152)であって、
    上記アクリル艶消し印刷フィルム(150)の上記アクリル艶消しフィルム(151)の上記印刷層(3)とは反対側の面(151b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが2≦(Gs−Gs)≦15の範囲である艶消し成形品。
  6. 請求項3に記載の立体形状アクリル艶消し印刷フィルム(130)を射出成形用金型(20)内に入れ、型閉め後の上記金型(20)のキャビティ(20a)に成形樹脂(5)を射出して、印刷層(3)が形成された側の面と射出成形樹脂(5)とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品(162)であって、上記アクリル艶消し印刷フィルム(130)の上記アクリル艶消しフィルム(131)の上記印刷層(3)とは反対側の面(131b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲である艶消し成形品。
  7. 請求項4に記載の艶消し印刷シート(140)を射出成形用金型(20)内に入れ、型閉め後の上記金型(20)のキャビティ(20a)に成形樹脂(5)を射出して、裏打ちフィルム(6)が形成された側の面と射出成形樹脂(5)とを接着一体化することにより得られる艶消し成形品(172)であって、上記艶消し印刷シート(140)の上記アクリル艶消しフィルム(141)の上記印刷層(3)とは反対側の面(141b)から測定したJIS−Z8741における表面グロス値Gsが−6≦(Gs−Gs)≦6の範囲である艶消し成形品。
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