JP5468737B2 - 特定の性質を有するコレステリック液晶単層顔料、及びその製造方法 - Google Patents

特定の性質を有するコレステリック液晶単層顔料、及びその製造方法 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、新規なコレステリック単層、およびそれから得られる高い明度と視角に応じた色変化(カラーフロップ/傾き効果)、さらには磁化容易性、導電性、蛍光発光性、燐光性および高い隠ぺい力などの特定の性質を有する顔料、それらを製造するためのプロセスおよびそれらの使用を提供する。
キラル相を伴う液晶(LC)構造を有する材料(LC材料)が知られている(コレステリックLCとしても知られる)。LC有機シロキサンからのそのような材料の製造については、例えば米国特許5,211,877号に記載されている。液晶構造とキラル相を有する、配向していて三次元に架橋した物質を含む顔料(LC顔料)も同様に商業的に製造され、そして使用される。これは例えば、ドイツ公開明細書DE 42 40 743 A1および米国特許5,362,315号に記載されている。
コレステリックLC層は、高度に透明で光を反射し、あるいはそれを透過させるのが好ましい。これらの層が特徴とするものは、視角の関数としての選択的な色反射(カラーフロップ/傾き効果)であり、これは光学的変化性としても知られる。LC層においては吸収が起こらない。従って、コレステリック層またはそれらから粉砕によって製造される顔料は隠ぺい力を全くもたず、色を発生させるためには、暗い背景(理想的には黒い背景)に塗布することにより、それらによって伝導される光の部分が背景によって吸収され、そしてそれらが反射する色が視角によっては知覚することができないようにする必要がある。あるいは、それらは吸収性顔料、例えばカーボンブラックと配合することができる。この方法の大きな欠点は、それらの色彩効果の一部が消失してしまうことである。というのは、不透明な顔料がLC顔料のプレートレット(platelet)の幾分かを覆ってしまい、プレートレットはもはや反射に寄与することができず、従って色彩効果に寄与しないからである。
これらのLC層にさらなる特性、例えば導電性、磁性、彩色性(着色性)または隠ぺい力を導入しようとする場合、吸収性または不透明あるいはその他の非液晶物質がコレステリックLC混合物に添加されるときには、それらの適応性は損なわれ、その結果、反射性ひいては色さらには明るさが失われるか、あるいは少なくともかなり低下するという困難さがある。これらの不利益については欧州特許EP 1 009 776 B1において確認されていて、その理由は、コレステリック基材の中に外来的な顔料が含有されていることにより、LC顔料の反射波長のかなりの部分が吸収または散乱され、そのためにコレステリック干渉性顔料の特定の利点が実質的に失われる、とする。
欧州特許EP 1 009 776 B1によって、さらなる問題が開示されていて、それは、コレステリック基材の中での外来的な顔料の良好で微細な分散が必要であるとするものである。そのような分散は顔料の表面に順応する添加剤、例えば脂肪酸またはレシチンとの組み合わせによってのみ行われうるものであり、ところがこれらは、らせん状の配向の形成を壊し、従って最適な色の発現を損なう。その結果、コレステリック干渉性顔料は魅力的でない色の印象を与え、得られるカラーフロップ/傾き効果は低いものとなる。
欧州公開明細書EP 0 601 483 A1およびEP 0 686 674 A1は、コレステリック基材の中にカーボンブラックまたは顔料を添加することを記載している。この問題に対する可能性のある解決策は、例えばコレステリックLC層またはそれから得られるLC顔料における良好な隠ぺい力の実現について、特許EP 1 017 755 B1、EP 1 009 776 B1およびDE 196 19 973 A1に示されている。多層生成物が製造される。これは、二つの外側の配向した重合コレステリックLC層と、例えば吸収性添加剤としてのカーボンブラックを含む中間の非液晶性で部分的または完全に光を吸収する層とのサンドイッチ状のものからなる。欧州特許EP 1 017 755 B1によれば、この吸収性添加剤はさらに磁性を有していてもよい。すなわち、EP 1 017 755 B1は単一のコレステリックLC層の中に何らかの種類の粒子を添加する可能性を明確に否定していて、その代わり、そのような粒子を含む追加の別個の層を設けることを提案している。
例えばDE 198 20 225 A1におけるもののように、多層フィルムからLC顔料が得られるとき、それらは背景による影響をほとんど受けない隠ぺい力を有し、そしていずれの側が背景の上に存在するかにかかわりなく、明るくて色が変化する表面を示す。これらの解決策の不利な点は、複雑で多段階のプロセスによってのみこれらの積層体を得ることができる、ということである。さらに、この積層体から粉砕によって得られる顔料は大きな厚さを有する。従って、それらはコーティングや印刷用インクのための顔料についての通例の厚さの要件に対応することができない。というのは、多様なコーティングや印刷の技術のためのプレートレット形状の顔料に対する適用範囲は一般に、プレートレットの層厚がより薄くなるのに伴って増大するからである。さらに、ドイツ公開明細書DE 198 20 225 A1に記載されているように、多層コレステリック顔料においてはLC層から吸収層が離層する危険性がある。
従って、本発明の目的は、三次元に架橋したコレステリック単層、およびそれから得られるコレステリック顔料であって、高い明度と色の反射能およびカラーフロップ/傾き効果を示し、そして付加的な特性、例えば添加剤または磁性を有していない当初のLC混合物と比べて変更された高い隠ぺい力、導電性、ルミネセンス、蛍光発光性、燐光性、着色性を、これらの付加的な特性を有するさらなる材料の層をさらに付加することなく有する顔料を提供することである。
驚くべきことに、本発明の基礎をなす目的は、先行技術に対比して、付加的な特性を有するナノ粒子をコレステリック基材の中に直接添加することによって達成することができ、その結果、上で詳述した不利益を招くことなく、高い隠ぺい力および/または磁性などその他の特性を有するLC層およびLC顔料をもたらすことができることが見出された。
従って本発明は、ナノ粒子を含有するコレステリック液晶単層と単層顔料を提供する。これらの層と顔料は好ましくは、コレステリック液晶混合物の透明点よりも高い温度において、コレステリック液晶混合物にナノ粒子を混和することによって調製される。
本発明によれば、ナノ粒子とは、ナノメートルの範囲すなわち1〜999nmの範囲の粒度、好ましくは10〜500nmの範囲の粒度を有する粒子を意味すると理解される。
本発明によれば、単層(monolayer)とは、コレステリック液晶材料を含む他の層と接触していない単一の層を意味すると理解されるべきである。本発明に従う単層顔料は、三次元に架橋したコレステリック液晶混合物とナノ粒子を有する単一の層を含む。
本発明のコレステリック液晶混合物は好ましくは以下のものを含む:
A)固体分の総含有量に基づいて、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%の、金属酸化物、酸化鉄、磁性粉末、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、ヒュームドシリカ、発光顔料、蛍光顔料、燐光顔料、金属、合金および有彩顔料(chromatic pigment)またはこれらの混合物からなる群から選択されるナノ粒子、
B)固体分の総含有量に基づいて、20〜99.5重量%、好ましくは60〜99重量%の、平均の(average)一般式(1)からなる少なくとも一つまたは一つより多い三次元架橋性化合物、
Y1-A1-M1-A2-Y2 (1)
ここで、
Y1、Y2は、同じであるか、または異なっていて、それぞれが重合性の基、例えばアクリレートまたはメタクリレート基、エポキシ基、イソシアネート、ヒドロキシル、ビニルエーテルまたはビニルエステル基であり、
A1、A2は、一般式CnH2nからなる同じであるか、または異なる基であり、ここでnは0〜20の整数であり、そして1以上のメチレン基は酸素原子によって置換されてもよく、そして
M1は、-R1-X1-R2-X2-R3-X3-R4- の一般式を有し、
R1、R2、R3、R4は、-O-、-COO-、-CONH-、-CO-、-S-、-C≡C-、-CH=CH-、-N=N-、-N=N(O)-、またはC-C結合の群から選択される同じであるか、または異なる二価の基であり、そしてR2-X2-R3またはR2-X2またはR2-X2-R3-X3はC-C結合であってもよく、
X1、X2、X3は、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレン、O、NおよびSからなる群から選択される1〜3のヘテロ原子を含んでいてもよいアリール環の中に6〜10の原子を有するB1-、B2- および/またはB3- 置換アリーレンまたはヘテロアリーレン、または3〜10の炭素原子を有するB1-、B2- および/またはB3- 置換シクロアルキレンからなる群から選択される同じであるか、または異なる基であり、そして
B1、B2、B3は、水素、C1−C20-アルキル、C1−C20-アルコキシ、C1−C20-アルキルチオ、C2−C20-アルキルカルボニル、C1−C20-アルコキシカルボニル、C1−C20-アルキルチオカルボニル、-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2 、ホルミル、アセチル、およびそれぞれがエーテル酸素、チオエーテル硫黄またはエステル基によって中断されていて、且つ1〜20の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基からなる群から選択される同じであるか、または異なる置換基であり、
C)固体分の総含有量に基づいて、0.5〜80重量%、好ましくは3〜40重量%の、平均の一般式(2)からなる少なくとも一つまたは一つより多いキラル化合物、
V1-A1-W1-Z-W2-A2-V2 (2)
ここで、
V1、V2は、同じであるか、または異なっていて、そしてそれぞれがアクリレートまたはメタクリレート基、エポキシ基、ビニルエーテルまたはビニルエステル基、イソシアネート基、C1−C20-アルキル、C1−C20-アルコキシ、C1−C20-アルキルチオ、C1−C20-アルコキシカルボニル、C1−C20-アルキルチオカルボニル、-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2 、ホルミル、アセチル、およびそれぞれがエーテル酸素、チオエーテル硫黄またはエステル基によって中断されていて、且つ1〜20の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基であるか、あるいはコレステロール基であり、
A1、A2は、それぞれ上で定義した通りであり、
W1、W2は、それぞれ -R1-X1-R2-X2-R3- の一般式を有し、
R1、R2、R3は、それぞれ上で定義した通りであり、そしてR2またはR2-X2またはX1- R2-X2-R3はC-C結合であってもよく、
X1、X2は、それぞれ上で定義した通りであり、そして
Zは、ジアンヒドロヘキシトール類、ヘキソース類、ペントース類、ビナフチル誘導体、ビフェニル誘導体、酒石酸誘導体、または光学的に活性なグリコール類を含む群からの二価のキラル基であって、そしてV1またはV2がコレステロール基である場合、C-C結合である。
本発明によれば、この定義の意味におけるあらゆる一般的なナノ粒子を用いることができる。そのようなナノ粒子は商業的に入手できるか、あるいは当業者に知られた通常の方法で、例えば大きな粒子を粉砕処理などによって細分化することによって、あるいは有利な場合には、制御された条件の下で可溶性かまたは気体の先駆物質からの直接合成(コロイド技術)によって、製造することができる。本発明によれば、このナノ粒子は付加的な特性、例えば高い隠ぺい力、導電性、ルミネセンス、蛍光発光性、燐光性または磁性を有する。これらの付加的な特性は、例えば付加的な安全上の特徴として利用することができる。
磁性ナノ粒子は、例えば強磁性元素の群から選択することができ、そのような元素は例えば鉄、コバルト、ニッケル、またはこれらの合金、あるいはフェライトMIIO x Fe2O3 などの混合酸化物であり、このとき用いられる二価の金属Mは例えば亜鉛、カドミウム、コバルト、マンガン、銅またはマグネシウムである。二価の金属として鉄を用いる場合、得られるものは例えば磁鉄鉱Fe3O4である。特に好ましい結果は、磁性ナノ粒子としてγ-Fe2O3またはCrO2を使用するときに得られる。さらに、磁性ナノ粒子は、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅またはチタンなどの主要成分とともにアルミニウム-ニッケル-コバルト合金を含有していてもよい。
本発明の主旨において、ルミネセンス(発光性)は、一般的な用語として蛍光発光性と燐光性を包含し、これらは、持続するルミネセンスの減衰時間において実質的に異なる。発光性のナノ粒子は、例えばビス(アゾメチン)顔料などの有機蛍光性顔料あるいは燐灰石、蛍石、方解石、鋼玉石などの無機材料からなっていてもよい。無機発光性材料は、天然起源のもの(蛍石など)または合成起源のもの(硫化亜鉛など)のいずれであってもよく、そしてルミネセンスはあらゆるタイプの発光部位(主要な基、遷移性の基、あるいは希土類原子、イオンまたは原子団など)から生じるだろう。
コレステリック基材の中にカーボンブラックまたは顔料を添加することを記載している欧州公開明細書EP 0 601 483 A1およびEP 0 686 674 A1と比較して、ナノ粒子を含有するコレステリック液晶単層と単層顔料は、添加剤としてのナノ粒子の使用により、生じるコレステリック層またはこれから得られる顔料の実質的にいっそう明るくて魅力的な色の反射をもたらす、という意外な利益を有する。
さらに好ましい態様において、吸収特性を有する有機ナノ粒子は、例えば、アゾ顔料、金属錯体顔料(例えばアゾおよびアゾメチン金属錯体)、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリノンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、およびキノフタロン顔料である。
本発明によれば、有彩顔料、黒色顔料または白色顔料の特性を有する適当なナノ粒子は、例えば、TiO2 、ZrO2 、Al2O3 、ZnO、SnO2 、酸化鉄(特に黒色磁鉄鉱(Fe3O4)を含むもの)などの金属酸化物、クロメート、バナデートおよびスルフィド、多様なカーボンブラックのタイプのもの(特に、容易に分散する顔料ブラック)、黒鉛顔料、および再染白色顔料の粒子である。
好ましい態様において、ナノ粒子は表面が、例えば顔料の表面に順応する添加剤(脂肪酸やレシチンなど)で処理されておらず、しかしながら、意外なことに、それによって不十分な分散という形での先行技術の上記の不利益はもたらされない。
さらなる態様において、用いられるナノ粒子は、様々な粒子寸法と態様(例えば親水性や疎水性の異形として)でのフュームドシリカであってもよい。
特に好ましい液晶混合物は、架橋性の有機シロキサンの使用に基づくもの、あるいは熱互変性の捩れたネマチック相、スメクチック相、ディスコチック相またはリオトロピック相を有する物質に基づくものである。
本発明は、架橋した液晶単層であって、好ましくは0.5〜50μmの膜厚を有し、ナノ粒子を含む三次元架橋性のコレステリック液晶混合物の重合によって得られるものを提供する。
本発明はさらに、液晶単層を製造するためのプロセスを提供し、その特徴とするところは、ナノ粒子を含む三次元架橋性のコレステリック液晶混合物を使用して支持体の上に、好ましくは0.5〜50μmの厚さを有する薄膜を得て、そしてこの液晶の薄膜の三次元重合を、例えば電子ビーム硬化、超音波重合またはUV重合によって行うことである。
ナノ粒子を含む三次元架橋性のコレステリック液晶混合物は好ましくは、先行技術から知られる方法、例えばディスパーマット(Dispermats)、押出機、練りロール機、スタティクミキサーおよび溶解機(ディソルバー)を用いて、透明点よりも高い温度において、三次元架橋性のコレステリック液晶混合物にナノ粒子を混和することによって得られる。
重合は好ましくはUV架橋によって行われ、これにおいては0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%の光開始剤が本発明の三次元架橋性のコレステリック液晶混合物に添加される。適当であれば、早期の重合および制御不能な重合を防ぐために、安定剤を50〜3000ppm、好ましくは200〜1000ppmの含有量で添加してもよい。
支持体(例えばPETフィルム)の上に1〜5μmの厚さの薄膜を得るのが好ましい。これは、ロール塗布またはナイフ塗布によって1〜200m/分のベルト速度で行われるのが好ましい。薄膜の形成は20〜80m/分において行われるのがさらに好ましい。さらに好ましい態様は、例えばPETで製造された積層フィルムを用いて、あるいは不活性な条件の下で、例えばN2雰囲気の下で得られる。
従って、フリップフロップ/傾き効果を伴う高い明るさと色の反射能を有する独創的なコレステリック液晶単層が得られ、これは安全上のマーキングとして用いることができる。
本発明の単層は好ましくは、例えば安全上のストリップ(細片)としての積層体の構成要素として、あるいは紙幣や証明書またはその他の貴重な書類上のホログラムまたはキネグラムに類似したフィルム要素の形で用いられる。
これらの単層は、コレステリック液晶単層顔料を与えるために、本発明に従うプロセスによってさらに処理されてもよい。この目的のために、単層は、適当な侵食(エロージョン)装置、例えばストリップ装置やストリップブレードを用いて支持体から除去されて粗大な液晶フレークを形成し、これは適当な機械、例えば磨砕装置や切断装置で細分化されて液晶顔料を得て、そして場合により篩い分けや移動(shifting)によって分別される。本発明に従って調製された顔料は好ましくは、0.1〜50μmの厚さと10〜1000μmの直径を有する。それらはより好ましくは、0.5〜6μmの厚さと1〜200μmの直径を有する。
液晶単層および顔料を製造するためのさらに好ましい態様は、適当に分散したナノ粒子を伴うLC混合物成分の有機溶液からもたらされる。この場合、他の限界条件を維持しながら溶液の塗布が行われ、この溶液の塗布工程には、湿った薄膜を塗布した後であってそして重合が行われる前に、溶剤を最初に蒸発させることが含まれる。この変形法の利点は、例えば超音波を用いての、溶液への添加剤のより簡単な分散にある。
このようにして得られた本発明の液晶顔料は、印刷される製品のために、塗料とインクの製造のために、プラスチックの着色のために、そして磁気ストリップの製造のために用いることができる。それらは、所望の特性を維持しながら非常に小さな厚さで製造することができて、従って、非常に広い適用分野について利用できる、という利益を有する。
例えば印刷用インクとして配合された本発明の顔料は、例えば上述した貴重な書類上に印刷可能な光学的特徴を与えるために用いることができて、その利点は、複写不能な色の傾き効果に加えてさらなる特徴が合体される、ということである。この特徴は、見える特徴または隠れた特徴として構成することができる。
本発明はさらに、構造化されて印刷された光学的に可変な安全上の特徴をつくり出すための、磁性を有するナノ粒子を含む本発明の液晶顔料の使用を提供し、これにおいては、磁性ナノ粒子を含有する本発明の液晶顔料を含む印刷用インクを硬化する段階の間に外部磁場を与えることによって、付加的な整列パターンが得られる。そのために、好ましい態様においては、本発明の磁性コレステリックLC顔料の場合、対応する印刷用インクを好ましくは暗い背景に印刷した直後であって結合剤が硬化する前に、印刷された支持体に磁場が与えられ、それにより、プレートレット形状の磁性顔料は磁場の線に沿って整列するので、選択された磁場の幾何学模様に従って、印刷された特徴物において磁性LC顔料の整列パターンが得られる。そのようなプロセスのための重要な要素は、結合剤の粘度の正確な調整である。このようにして処理された印刷パターンがこの外部磁場の作用の下でその後に硬化されたときに、人間が認識するカラーフロップの特徴とコレステリック材料について知られている反射光の回転偏光効果に加えて、顔料の整列パターンの形での永久的な情報を有する光学的に可変の特徴が得られる。このようにして、光学的に可変な安全上の特徴からなる個人化の手段が提供される。この付加的な個人化パターンは、偽造防止の安全性が増すという利益を有する。デザインによっては、見える特徴としてのそのような個々のパターンは、それ以上の助けを必要とすることなく素人によってさえ認識されうるものであり、従って、原物を偽造物から識別するために用いることができる。そのようなプロセスのために用いられる印刷用インクの結合剤は、溶液型または水性型の配合を有していてもよく、あるいはUV硬化系として設計されてもよい。
本発明のコレステリック液晶顔料のための選択肢として考えられうる可能性のある印刷方法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷およびグラビア印刷を含む群から選択される方法があるが、しかし例えば、オフセット印刷や凹版印刷あるいはパッド印刷でもよい。
さらに、本発明の液晶顔料を工業用途や自動車用途のためのコーティングに用いることもできる。本発明の液晶顔料のさらに可能性のある用途はマスターバッチまたは配合によるプラスチックの着色であり、また、書き込みと読み取りが可能な色可変性の磁気ストリップとしての使用である。
本発明を、非限定的な実施例を参照して以下で詳細に説明する。
実施例
実施例1:キラル化合物 ジ-2,5-[4-(アクリロイルオキシ)ベンゾイル]イソソルバイドの調製
20.0gのイソソルバイド(137ミリモル)と73.2gのトリエチルアミン(723ミリモル)が、120mlのトルエンの中に溶解された。80℃において、60.5g(287ミリモル)の4-(アクリロイルオキシ)ベンゾイルクロリドの溶液(Lorkowski, H. J.;Reuther, F. Acta Chim. Acad. Sci. Hung. 1977, 95, 423-34に従って調製された)が、60mlのトルエンに滴下して添加された。混合物は80℃において2時間攪拌され、次いで80mlの10%塩酸と室温において混合され、有機相が水(2×80ml)および10%炭酸水素ナトリウム溶液(80ml)で洗浄され、そして硫酸ナトリウムの上で乾燥され、そしてトルエンの含有量が約20重量%になるまで減圧下で溶剤が除去された。得られたシロップが220mlのエタノールおよび200mlのシクロヘキサンと混合され、そして攪拌しながら80℃まで加熱された。冷却し、ろ過した後、ジ-2,5-[4-(アクリロイルオキシ)ベンゾイル]イソソルバイドが、45.9g(理論上68%)の収量で、115℃の融点を有するものとして得られた。
実施例2:緑色の液晶混合物
93gのヒドロキノンビス[4-(4-アクリロイルブトキシ)ベンゾエート](Broer, D. J.;Mol, G. N.;Challa, G. Makromol. Chem. 1991, 192, 59に従って入手可能)、7gの2,5-ビス[4-(アクリロイルオキシ)ベンゾイル]イソソルバイド(実施例1に従って入手可能)、1.00gのIrgacure(登録商標)819光開始剤および0.20gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-(ジメチルアミノメチレン)フェノール(Ethanox(登録商標)703, Ethyl Corp., Baton Rouge, LA 70801)が秤量された。精密ガラス攪拌機を用いて、混合物は、透明な溶融液が得られるまで油浴温度150℃において均質化された。この混合物は146℃の透明点および100℃における約200mPasの粘度を有する。この混合物の薄膜が、二枚の顕微鏡用スライドガラスの間で110℃において剪断されることによって生成されて、そしてUV実験室用ランプの下で架橋され、これを黒い背景の上で見ると鮮明な緑色を呈し、これは視角を大きくすると青色に変化した。0°/6°におけるこの薄膜の最大反射(Perkin-Elmer Lambda 18 UV/VIS分光計)は516nmにおいてであった。
実施例3:分散した磁性粉末を含む本発明の緑色の液晶混合物の製造
実施例2に従って得ることのできる1.5kgの緑色の液晶混合物が乾燥キャビネットの中で130℃において溶融され、続いてこの中に75gの黒色の磁性粉末MR 210(200nm, MR-Chemie GmbH, D-59427 Unna)が、実験室用溶解機(PC Labosystem(スイス)から)の中で110℃において40分間、最大の剪断速度で分散された。この混合物の薄膜が、二枚の顕微鏡用スライドガラスの間で110℃において剪断されることによって生成されて、そしてUVランプの下で架橋され、これを黒い背景の上で見ると鮮明な金属質の緑色を呈し、これは視角を大きくすると青色に変化した。視角に応じた色の変化は、白い背景の上でも明確に識別できた。
実施例4:本発明のコレステリックLCフィルムの製造
実施例3に従って得ることのできる分散した磁性粉末を含む緑色のLC混合物が、PETフィルム(RNK 19, Mitsubishi Polyester Film, 65023 Wiesbaden)にロール塗布によって100℃において溶融液として塗布されて、厚さ約4μmの薄膜が形成され、そしてLC分子の良好な配向と酸素抑制(oxygen inhibition)の防止のために、第二のPETフィルムを張り合わせた。次いで、この積層LCフィルムは塗布機の上でUV光を当てて三次元に架橋され、そして張り合わせフィルムは再び除去された。このようにして得られたフィルムは、黒い背景を下にして見ると鮮明な金属質の緑色を呈し、フィルムを傾けると、鮮明な青色に変化した。この色の変化は、非吸収性の背景の上でも明確に認めることができた。
実施例5:高い隠ぺい力と磁性を有する本発明のコレステリックLC顔料の製造
実施例4に従って得ることのできる微細に分散した磁性粉末を含むLCフィルムが、侵食系(エロージョン系)を用いて支持体フィルムから除去されて、粗大なフレークを得た。フレークは実験室用微粉砕機の中で粉砕され、この粉砕された材料は40μmの篩を通して篩い分けされた。このようにして得られる顔料は、約35μmの平均のプレートレット直径を有していた。この顔料を3重量%含む透明な結合剤(例えばTinted Clear Additive(着色透明添加剤)Deltron 941, PPG Industries, UK-Suffolk IP14 2AD)をナイフ塗布したものは、黒い背景の上で鮮明な金属質の緑色を呈し、このナイフ塗布した試片を傾けると、金属質の青色に変化した。白い背景の上にこの顔料を同様にナイフ塗布したものは、黒い背景の上に塗布したものに比べて、もっと薄いがしかし依然として透明な緑色-青色の傾き効果を、強い光沢を伴って示した。比較的小さな磁石は1cm以内の距離でこれらの顔料を引き付け、顔料は磁石の極に集まった。まだ硬化されていない結合剤の中にこれらの磁性LC顔料を分散させたものを用いると、ペトリ皿の中にあって、この皿の底の外側に磁石を置くことによって、磁場の中での顔料の様々な整列または配向に基づくパターンを得ることができたが、これは結合剤を硬化することによって固定された。
実施例6:金属光沢を有する本発明のコレステリックLC顔料の製造
実施例3に類似したやり方で、20gのヒュームドシリカ(HDK(登録商標)H20, Wacker-Chemie GmbH, Munich)が、実施例2に従って得ることのできる1kgの緑色のコレステリックLC混合物の中に添加された。このコレステリックLC混合物から、実施例4に類似したやり方で架橋したコレステリックフィルムが得られ、このフィルムから、実施例5と同様にシリカが分散した本発明のLC顔料を製造することができた。このようにして得られる顔料は、約35μmの平均のプレートレット直径を有していた。この顔料を2重量%含む透明な結合剤(例えばTinted Clear Additive(着色透明添加剤)Deltron 941, PPG Industries, UK-Suffolk IP14 2AD)をナイフ塗布したものは、黒い背景の上で鮮明な金属質の緑がかった色を呈し、このナイフ塗布した試片を傾けると、青みがかった色に変化した。ヒュームドシリカを添加しない同じLC混合物で製造されたコレステリック顔料と比べて、この本発明の顔料は全く異なる彩色特性を示した。これは、様々な視角において、それぞれの場合に、明らかにもっと金属質で明るい色調の印象を与えた。

Claims (5)

  1. 三次元に架橋したコレステリック液晶混合物とナノ粒子とを有する単層を含む液晶単層顔料であって、該ナノ粒子が1〜999nmの粒度を有し、そしてルミネセンス、蛍光発光性、燐光性及び磁性より成る群から選択される特性を有する、前記の液晶単層顔料。
  2. 顔料は0.1〜50μmの厚さと10〜1000μmの直径を有することを特徴とする、請求項に記載の液晶単層顔料。
  3. 顔料は磁性を有するナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項またはに記載の液晶単層顔料。
  4. コレステリック液晶単層顔料を製造するための方法であって、三次元に架橋したコレステリック液晶混合物とナノ粒子を含む単層を浸食して粗大な液晶フレークを生成させ、ここで該ナノ粒子が1〜999nmの粒度を有し、そしてルミネセンス、蛍光発光性、燐光性及び磁性より成る群から選択される特性を有し、そしてこれらのフレークを細分化することによって液晶顔料粒子を製造することを特徴とする、前記製造方法。
  5. 液晶顔料粒子を分別することをさらに含む、請求項に記載の方法。
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