JP2005116980A - レーザ発振素子 - Google Patents

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秀男 竹添
Junji Watanabe
順次 渡辺
Takashi Ota
高志 太田
Myonfun Son
ミョンフン ソン
Yuko Tsunoda
祐子 角田
Takehiro Toyooka
武裕 豊岡
Ryo Nishimura
涼 西村
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【課題】レーザ発振波長の変動を十分に防止することができるレーザ発振素子を提供すること。
【解決手段】本発明のレーザ発振素子1は、光励起により蛍光を発する色素3および液晶を含み、液晶が高分子コレステリック液晶4を含み、液晶の長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差Δnが0.15〜0.45である高分子コレステリック液晶フィルム2を備えており、色素3から発せられる蛍光の発光帯と高分子コレステリック液晶フィルム2の選択反射波長帯域が少なくとも一部において重なり合っており、高分子コレステリック液晶フィルム2における液晶のらせん軸が高分子コレステリック液晶フィルム2の厚さ方向に対して平行となっており、高分子コレステリック液晶フィルム2における液晶のらせん配向が固定化されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コレステリック液晶を用いたレーザ発振素子に関する。
コレステリック液晶は特定の波長の光を選択的に反射する性質を有しており、特に、コレステリック液晶のらせんの巻きと同じ回転方向の円偏光を選択的に反射し、反対巻きの円偏光を透過させる。
このようなコレステリック液晶を用いたレーザ発振素子として、従来より、低分子コレステリック液晶中に色素を分散させてなるものが知られており、このレーザ発振素子では、選択反射波長帯域においてレーザ発振が起こることが報告されている(例えば非特許文献1参照)。
コップ(Kopp)、外4名、 「コレステリック液晶におけるフォトニックストップバンド端における低しきい値レージング(Low-threshold lasing at the edge of a photonic stop band in cholesteric liquid crystals)」、オプティクスレター(Optics Letter)、米国、1998年、第23巻、p.1707−1709
しかしながら、前述した従来のレーザ発振素子は、以下に示す課題を有していた。
すなわち上記レーザ発振素子は、低分子コレステリック液晶において、わずかな温度変動によりコレステリック液晶のらせんピッチが容易に変動し、レーザ発振波長が容易に変動するという課題を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザ発振波長の変動を十分に防止することができるレーザ発振素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、色素及び、高分子コレステリック液晶を含む液晶を含有する高分子コレステリック液晶フィルムを用い、液晶の長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差Δnが特定の範囲内であり、色素から発せられる蛍光の発光帯と高分子コレステリック液晶フィルムの選択反射波長帯域が少なくとも一部において重なり合っており、液晶のらせん配向が固定化され、且つ液晶のらせん軸が高分子コレステリック液晶フィルムの厚さ方向に対して平行となっているものを用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のレーザ発振素子は、光励起により蛍光を発する色素および液晶を含み、前記液晶が高分子コレステリック液晶を含み、前記液晶の長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差Δnが0.15〜0.45である高分子コレステリック液晶フィルムを備えており、前記色素から発せられる蛍光の発光帯と前記高分子コレステリック液晶フィルムの選択反射波長帯域が少なくとも一部において重なり合っており、前記高分子コレステリック液晶フィルムにおける前記液晶のらせん軸が前記高分子コレステリック液晶フィルムの厚さ方向に対して平行となっており、前記高分子コレステリック液晶フィルムにおける前記液晶のらせん配向が固定化されていることを特徴とする。
このレーザ発振素子によれば、外から色素の励起光が入射されると、色素が励起光によって励起され、色素から蛍光が発せられ、レーザ発振が起こる。このとき、高分子コレステリック液晶フィルムにおいては、液晶のらせん配向が固定化されている。このため、高分子コレステリック液晶フィルムにおいては、温度変動が起こっても、液晶のらせんのピッチの変動が十分に防止される。また本発明のレーザ発振素子は、高分子コレステリック液晶フィルムを使用するため、大面積化が容易である。
なお、高分子コレステリック液晶フィルムにおける液晶のΔnが0.15未満では、選択反射帯域幅が蛍光の発光帯よりも著しく狭くなり、発生した蛍光の利用効率が悪くなり好ましくない。一方、Δnが0.45を超えると、レーザー発振が近赤外領域で生じる場合が多くなり、可視域で発振させるためには高分子コレステリック液晶の選択反射帯域と蛍光の発光帯との調整が容易でなくなる。
本発明において、Δnとは、高分子コレステリック液晶フィルムについて透過スペクトルを測定した時に、透過率が60%である場合における選択反射波長帯域の最大波長(λmax)と最小波長(λmin)との差をらせんピッチ(p)で除した値をいう。ここで、透過スペクトルとは、日本分光(株)製分光光度計V-570で測定したものをいい、らせんピッチpは、電子顕微鏡である日本電子社(株)製走査型電子顕微鏡JSM-6300Fで測定した値を言うものとする。
本発明のレーザ発振素子によれば、レーザ発振が起こると、高分子コレステリック液晶フィルムにおいて液晶のらせん配向が固定化されているため、温度変動が起こっても、高分子コレステリック液晶フィルムにおける液晶のらせんピッチの変動が十分に防止される。また本発明のレーザ発振素子は、高分子コレステリック液晶フィルムを使用するため、大面積化が容易である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(レーザ発振素子)
図1は、本発明のレーザ発振素子の一実施形態を概念的に示す図である。図1に示すように、レーザ発振素子1は、配向基板5と、配向基板5上に設けられる高分子コレステリック液晶フィルム2とを備えている。高分子コレステリック液晶フィルム2は、光励起により蛍光を発する色素3と、液晶とを含み、液晶は、高分子コレステリック液晶4と、高分子ネマチック液晶(図示せず)とを含んでいる。
高分子コレステリック液晶4はらせん周期構造を有し、そのらせん軸が高分子コレステリック液晶フィルム2の厚さ方向(図1の矢印A方向)に対して平行となっている。そして、このらせん配向は、高分子ネマチック液晶によって固定化されている。
さらに高分子コレステリック液晶フィルム2は、高分子コレステリック液晶のらせん構造に起因して特定範囲の波長の光を選択的に反射する機能を有する。従って、高分子コレステリック液晶フィルム2の反射スペクトルにおいては、選択反射波長帯域が現れる。ここで、高分子コレステリック液晶フィルム2における選択反射波長帯域は、色素3から発せられる蛍光の発光帯と少なくとも一部の波長領域で重なり合っている。ここで、色素3の蛍光発光帯の発光ピークの波長が、高分子コレステリック液晶フィルム2における選択反射波長帯域に含まれることが好ましい。この場合、レーザ発振を起こす励起光のしきい強度をより低くすることができるという利点が得られる。また、高分子コレステリック液晶フィルム2においては、液晶の長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差Δn(=n−n)が0.15〜0.45となっている。
(色素)
色素3は、光励起により蛍光を発するものであれば特に制限されず、有機系色素又は無機系色素のいずれであってもよい。また有機系色素は、高分子色素または低分子色素のいずれであっても構わない。
有機系色素としては、例えば、スチリル(Styryl)、キサンテン(Xanthene)、オキサジン(Oxazine), クマリン(Coumarine), スチルベン(Stilben)誘導体、オキサゾール(Oxazole)誘導体、オキサジアゾール(Oxadiazole)誘導体、p−オリゴフェニレン(Origophenylene)誘導体のほか、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(Journal of Chemical Society)、2002年、第124号、p.9670に記載の化学構造式(R=EtH、R´=t−Buの場合)で表されるものなどが挙げられる。
無機系色素としては、例えば硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム、カナリーガラス、シアン化白金、アルカリ土類金属の硫化物、希土類化合物などが挙げられる。
上記色素のうち有機系色素が特に好ましい。この場合、色素を溶媒に溶解することが可能で、コレステリック液晶中に、高濃度で均一に混ぜられるという利点がある。
(高分子コレステリック液晶)
高分子コレステリック液晶4は、色素3から発せられる蛍光の発光帯と重なり合う選択反射波長帯域を形成し得るものであれば特に制限されない。
高分子コレステリック液晶4としては、各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、またはこれらの混合物を用いることができる。
主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系等の高分子液晶物質、またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状または環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶物質、またはこれらの混合物が挙げられる。
これらのなかでも合成や配向の容易さなどから、主鎖型高分子液晶物質が好ましく、その中でもポリエステル系が特に好ましい。
ポリマーの構成単位としては、例えば芳香族あるいは脂肪族ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を好適な例として挙げられる。
なお、高分子コレステリック液晶の重量平均分子量は、好ましくは500〜50,000である。重量平均分子量が500未満では温度変動によってらせんピッチが容易に変動し、レーザ発振波長が容易に変動するおそれがある。また当該分子量が50,000を超えると、コレステリック液晶の配向性が悪化するおそれがある。
(高分子ネマチック液晶)
高分子ネマチック液晶は、高分子コレステリック液晶のらせん配向を固定化できるものであれば特に制限されず、例えば各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、またはこれらの混合物を用いることができる。
主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系等の高分子液晶物質、またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状または環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶物質、またはこれらの混合物が挙げられる。
高分子コレステリック液晶フィルム2を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。高分子コレステリック液晶フィルム2は、配向基板5上に、高分子コレステリック液晶4を含む液晶及び色素3を必須成分とする液晶溶液を塗布し、熱処理することによって得ることができる。
(配向基板)
配向基板5は、色素3の励起光及び蛍光に対して透明であり且つ高分子コレステリック液晶フィルム2を支持することが可能なものであれば特に制限されず、配向基板5としては、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のフィルム、又はこれらのフィルムの一軸延伸フィルム等が例示できる。これらのフィルムはその製造方法によっては改めて配向能を発現させるための処理を行わなくとも高分子コレステリック液晶フィルム2に使用される高分子コレステリック液晶4に対して十分な配向能を示すものもあるが、配向能が不十分、または配向能を示さない等の場合には、必要によりこれらのフィルムを適度な加熱下に延伸したり、フィルム面をレーヨン布等で一方向に擦るいわゆるラビング処理を行ったり、フィルム上にポリイミド、ポリビニルアルコール、シランカップリング剤等の公知の配向剤からなる配向膜を設けてラビング処理を行ったり、酸化珪素等の斜方蒸着処理を行ったり、あるいはこれらの処理を適宜組み合わせるなどして配向能を発現させたフィルムを用いても良い。また表面に規則的な微細溝を設けた各種ガラス板等も配向基板5として使用することができる。
配向基板5としては、好ましくは、透明基板上に、ラビング処理したポリイミドフィルムを形成したものが用いられる。
(レーザ発振素子の作用)
次に、上記レーザ発振素子1の作用について説明する。
レーザ発振素子1においてレーザ発振を起こさせるためには、色素3の励起光として、高分子コレステリック液晶フィルム2の選択反射波長帯域より短波長の光が用いられる。
レーザ発振素子1においてレーザ発振を起こさせる場合、まず上記励起光を例えば高分子コレステリック液晶フィルム2側から入射する。すると、色素3が励起光によって励起され、色素3から蛍光が発せられ、レーザ発振が起こる。このとき、高分子コレステリック液晶フィルム2においては、液晶のらせん配向が固定化されている。このため、高分子コレステリック液晶フィルム2においては、温度変動が起こっても、液晶のらせんのピッチの変動が十分に防止される。またレーザ発振素子1は、高分子コレステリック液晶フィルム2を使用するため、大面積化が容易である。
なお、レーザ発振素子1では、高分子コレステリック液晶フィルム2における液晶のΔnが0.15未満では、選択反射帯域幅が蛍光の発光帯よりも著しく狭くなり、発生した蛍光の利用効率が悪くなり好ましくない。一方、Δnが0.45を超えると、レーザー発振が近赤外領域で生じる場合が多くなり、可視域で発振させるためには高分子コレステリック液晶の選択反射帯域と蛍光の発光帯との調整が容易でなくなる。
(レーザ発振素子の製造方法)
上記レーザ発振素子1は、以下のようにして製造することができる。
まず透明な配向基板5を用意する。配向基板5としては、透明基板6(例えばガラス基板)上に、ラビング処理した配向膜(例えばポリイミドフィルム)7を形成したものが用いられる。
次に、高分子コレステリック液晶フィルム3を構成する高分子コレステリック液晶4、高分子ネマチック液晶及び色素3を溶媒と混合して所定濃度の液晶溶液を調製する。
上記のようにして調製した液晶溶液は、配向基板5の配向膜7上に塗布する。このとき、配向基板5上に液晶溶液を塗布するだけで簡単に高分子コレステリック液晶4のらせん配向が形成される。またらせん軸は、配向基板5の表面に直交するようになる。
このとき、高分子コレステリック液晶の選択反射波長帯域は、色素3から発せられる蛍光の波長のうち蛍光強度が最大となる波長を含む必要がある。従って、必要なら熱処理などにより高分子コレステリック液晶4の配向を形成する。熱処理は液晶相発現温度範囲に加熱することにより、該高分子コレステリック液晶4が本来有する自己配向能により液晶分子を配向させるものである。熱処理の条件としては、用いる高分子コレステリック液晶の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜300℃、好ましくは30〜250℃の範囲である。あまり低温では、液晶の配向が十分に進行しないおそれがあり、また高温では、高分子コレステリック液晶4が分解したり配向基板5に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜60分、好ましくは10秒〜30分の範囲である。3秒よりも短い熱処理時間では、液晶の配向が十分に完成しないおそれがあり、また60分を超える熱処理時間では、生産性が極端に悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
また、高分子コレステリック液晶4の選択反射帯域を調整するためには、熱処理に代えて、高分子コレステリック液晶4と高分子ネマチック液晶4との比率を変えるようにしてもよい。
上記液晶溶液を構成する溶媒は、用いるコレステリック液晶の種類により異なるが、通常トルエン、キシレン、ブチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン等の炭化水素系、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系、ブチルアルコール、トリエチレングリコール、ジアセトンアルコール、ヘキシレングリコール等のアルコール系等が挙げられる。これらの溶媒は必要により適宜混合して使用してもよい。また、溶液の濃度は用いられる高分子コレステリック液晶の分子量や溶解性、さらに最終的に目的とする高分子コレステリック液晶フィルム2の厚み等により異なるため一概には決定できないが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%である。
また上記液晶溶液には、塗布を容易にするために界面活性剤を加えても良く、この界面活性剤としては、例えばイミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類や溶剤、あるいは塗布する配向基板7,8の配向膜にもよるが、通常、高分子コレステリック液晶の重量に対する比率にして10ppm〜10%、好ましくは50ppm〜5%、さらに好ましくは0.01%〜1%の範囲である。
また上記液晶溶液には、高分子コレステリック液晶フィルム2,3の耐熱性等を向上させるために、コレステリック液晶相の発現を妨げない程度のビスアジド化合物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤等を添加し、後の工程で架橋することもできる。またアクリロイル基、ビニル基あるいはエポキシ基等の官能基を導入したビフェニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン誘導体などを基本骨格とした重合性官能基を予め液晶物質に導入しておきコレステリック相を発現させ架橋させてもよい。
塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スピンコート法などを挙げることができる。塗布の後に、ヒーターや温風吹きつけなどの方法による溶媒除去(乾燥)工程を入れても良い。塗布された膜の乾燥状態における膜厚は、通常0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.7〜3μmである。この範囲外では、得られる高分子コレステリック液晶フィルム2の光学性能が不足したり、高分子コレステリック液晶4の配向が不十分になるなどして好ましくない。
高分子コレステリック液晶4の配向を形成させた後は、配向の固定化を行う。この場合、高分子コレステリック液晶4の配向が熱処理などにより完成したのち、急冷によるガラス固定化、および/または、熱、紫外線もしくは電子線などのエネルギー照射による架橋化で配向を固定化すればよい。
こうしてレーザ発振素子1が得られる。以上のレーザ発振素子1の製造方法によれば、液晶溶液を配向基板5上に塗布するだけで簡単に高分子コレステリック液晶フィルム2が得られる。すなわち低分子コレステリック液晶を用いる場合と異なり、低分子コレステリック液晶を保持するためのセルを組み立てる必要がない。従って、上記製造方法によれば、温度変動によるレーザ発振波長の変動を十分に防止できるレーザ発振素子1を簡単に得ることができ、大量生産も容易に行うことができる。
次に、実施例を用いて、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず芳香族ポリエステルからなる高分子アキラルネマチック液晶と、芳香族ポリエステルからなる高分子コレステリック液晶とを混合し、550nm〜650nmの光学ピッチ(選択反射の中心波長は600nm)を持つ液晶混合物を得た。
このとき、液晶混合物について透過スペクトルを測定し、選択反射波長帯域において透過率が60%となるときの最大波長λmaxと最小波長λminとを測定すると共に、らせんピッチpを測定して下記式:
Δn=n−n=(λmax−λmin)/p
に基づいてΔnを算出したところ、Δnは約0.25であった。
また高分子コレステリック液晶と高分子アキラルネマチック液晶との混合比は、予め測定された高分子コレステリック液晶と選択反射の中心波長nPの逆数との関係を示す図2のグラフに従い、重量比で81.5:18.5とした。
そして、この液晶混合物100重量部(0.1g)に対して色素DCMを3重量部添加し、クロロフォルム10ml中に溶解して液晶溶液を得た。
この液晶溶液を、一方向にラビング処理したポリイミド配向膜(JSR(株)製1254)を持つガラス基板上に3500rpmの回転数でスピンコートした。こうして、ガラス基板上に、良好に配向した厚さ約2μmの高分子コレステリック液晶(PCLC)フィルムを持つレーザ発振素子を得た。このレーザ発振素子について、分光スペクトル測定で選択反射波長帯域を測定したところ、測定光をレーザ発振素子の表面に垂直に入射した時に選択反射波長帯域がもっとも長波長側にあることが確認できた。このことから、PCLCフィルムのらせん軸は、PCLCフィルムの厚さ方向に対して平行であることが分かった。また、スピンコート時の回転数は、予め測定された回転数と厚さとの関係を示す図3のグラフに従って設定した。
(透過スペクトルおよび発光スペクトルの測定)
実施例1で得られたレーザ発振素子について、透過スペクトルおよび発光スペクトルの測定を行った。
発光スペクトルは、図4に示す測定系で測定した。図4において、OPOは、色素DCMの励起光(500nm)を出射するオプティカルパラメトリック発振器(Optical Parametric Oscillator)であり、OPOの励起にはNd:YAGの第三高調波を使用した。OPOから出射されるレーザ光は、NDフィルタ、アパチャー、焦点距離130mmの集光レンズを通してレーザ発振素子に入射し、レーザ発振素子から出射された光は、焦点距離100mmの集光レンズ、ファイババンドルを経て、図示しないマルチチャンネルスペクトロメータ(オーシャンオプティックス社製USB2000)に入射されるようにした。
透過スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図5に示す。また、図5の発光ピーク強度と励起光強度との関係を図6に示す。なお、図5において、破線が透過スペクトル、実線が発光スペクトルに対応する。また、(1)は、励起光強度が9.5mW/cm、(2)は、19mW/cm、(3)は32mW/cm、(4)は48.5mW/cm、(5)は58mW/cmに対応する。
図5に示す結果より、選択反射波長帯域においてレーザ発振が確認された。レーザ発振波長の変動をモニタし続けたところ、レーザ発振波長は経時的にほとんど変動しなかった。このことから、実施例1のレーザ発振素子においては、温度変動があっても、レーザ発振波長がほとんど変動しないことが分かった。
また、図5の透過スペクトルの結果より、600nm付近で選択反射波長帯域に対応するストップバンドが見られるが、このバンドの幅より、選択反射波長帯域も十分に広いことが分かる。
なお、図6の結果より、励起光強度を32mW/cm以上にして色素DCM1を励起することで、変化が緩やかであるが出力変化(発光ピーク強度変化)の増大が確認でき、半値幅の十分に狭いスペクトルが得られることが分かった。
本発明に係るレーザ発振素子の一実施形態を概念的に示す図である。 実施例1に係る高分子コレステリック液晶の含有率と、選択反射波長帯域の中心波長nPの逆数との関係を示すグラフである。 スピンコート時の回転数と高分子コレステリック液晶フィルムの厚さとの関係を示すグラフである。 実施例1に係るレーザ発振素子の発光スペクトルを測定する測定系を示す概略図である。 実施例1に係るレーザ発振素子の発光スペクトル及び透過スペクトルを示すグラフである。 図5の発光ピークと、励起光強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…レーザ発振素子、2…高分子コレステリック液晶フィルム、3…色素、4…高分子コレステリック液晶。

Claims (1)

  1. 光励起により蛍光を発する色素および液晶を含み、前記液晶が高分子コレステリック液晶を含んでおり、前記液晶の長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差Δnが0.15〜0.45である高分子コレステリック液晶フィルムを備えており、
    前記色素から発せられる蛍光の発光帯と前記高分子コレステリック液晶フィルムの選択反射波長帯域が少なくとも一部において重なり合っており、
    前記高分子コレステリック液晶フィルムにおける前記液晶のらせん軸が前記高分子コレステリック液晶フィルムの厚さ方向に対して平行となっており、
    前記高分子コレステリック液晶フィルムにおける前記液晶のらせん配向が固定化されている、
    ことを特徴とするレーザ発振素子。
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