JP2004045444A - 波長選択性反射膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定波長の円偏光を、右円偏光と左円偏光とを問わず全て反射し、選択反射する光の波長を光の入射角に依存させ、さらに右円偏光の反射光を左円偏光とし、左円偏光の反射光を右円偏光とする。
【解決手段】液晶性分子から層を形成し、液晶性分子を層内でキラルスメスチック相の状態に配向させ、キラルスメスチック相において、螺旋の周期長と平均屈折率との積を213乃至450nmに調整し、液晶性分子から形成される層を、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過する波長選択性反射膜として機能させる。
【選択図】 図2
【解決手段】液晶性分子から層を形成し、液晶性分子を層内でキラルスメスチック相の状態に配向させ、キラルスメスチック相において、螺旋の周期長と平均屈折率との積を213乃至450nmに調整し、液晶性分子から形成される層を、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過する波長選択性反射膜として機能させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フイルム、光コリメータ、偏光変換フイルムや液晶表示装置の視野角改善に用いられる波長選択性反射膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の光、すなわち自然光(例、太陽光)や一般的な光源(例、電灯)からの光は、分光分布がほぼ均一な白色光である。
これに対して、光学フイルム、光コリメータ、偏光変換フイルムや画像表示装置のような各種の光学材料や光学装置で使用する光は、一部の波長だけである。従って、通常の光を一般的な光学材料や光学装置で使用する場合、光の利用効率は非常に低い。
【0003】
光の利用効率を改善するため、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過する波長選択性反射膜が提案されている。所定の波長の光を選択的に反射(または透過)して光学材料や光学装置で使用し、使用しない波長の光を透過(または反射)すれば、使用しない波長の光についても他の用途で使用したり、変換して再利用することができる。
具体的には、コレステリック相(Ch、N*)を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜が提案されている。
【0004】
コレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜については、特開平9−304770号、同10−54909号、同11−44816号の各公報、およびWO97/16762号、WO00/34808号の各明細書に記載がある。
波長選択性反射膜は、液晶性分子のコレステリック相に特有の光学的性質を示す。
第1に、コレステリック相が右巻き螺旋の場合には、右円偏光が全反射され、左円偏光は透過する。左巻き螺旋の場合には、左円偏光が全反射され、右円偏光は透過する。
第2に、選択反射する光の波長は、光の入射角に依存しない。
第3に、右円偏光の反射光は右円偏光であり、左円偏光の反射光は左円偏光である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定波長の円偏光を、右円偏光と左円偏光とを問わず全て反射する波長選択性反射膜を提供することである。
また、本発明の目的は、選択反射する光の波長が光の入射角に依存する波長選択性反射膜を提供することでもある。
さらに、本発明の目的は、右円偏光の反射光が左円偏光となり、左円偏光の反射光が右円偏光となる波長選択性反射膜を提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(7)の波長選択性反射膜および下記(8)の液晶表示素子により達成された。
(1)液晶性分子から形成される少なくとも一つの層からなり、液晶性分子が層内でキラルスメスチック相(Sm*)の状態に配向しており、キラルスメスチック相において、螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が213乃至450nmであり、そして、液晶性分子から形成される層が、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過することを特徴とする波長選択性反射膜。
【0007】
(2)キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度が45゜未満である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(3)キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、液晶性分子の長軸方向との角度が5乃至60゜である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(4)重合により液晶性分子が、キラルスメスチック相の状態で固定されている(1)に記載の波長選択性反射膜。
【0008】
(5)キラルスメスチック相(Sm*)が、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(6)厚み方向に沿って、螺旋の周期長(P)が連続的に変化している(1)に記載の波長選択性反射膜。
(7)螺旋の周期長(P)が異なる複数の(1)に記載の波長選択性反射膜を積層した広帯域波長選択性反射膜。
(8)バックライト、波長選択性反射膜、直線偏光膜、そして液晶セルが、この順序で配置されている液晶表示装置。
【0009】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、従来の液晶性分子から形成される波長選択性反射膜において、コレステリック相(Ch、N*)を示す液晶性分子に代えて、キラルスメスチック相(Sm*)を示す液晶性分子のフルピッチバンドを使用することにより、以下に述べる全く新しい光学的性質を示す波長選択性反射膜が得られることが判明した。
第1に、特定波長の円偏光を、右円偏光と左円偏光とを問わず全て反射する。従って、従来のコレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜では自然光の半分の光量を反射していたのに対して、本発明に従う波長選択性反射膜は、自然光の100%を反射できる。
【0010】
第2に、選択反射する光の波長が、光の入射角に依存する。キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度がほぼ0゜であると、膜に垂直に入射した光はほぼ100%透過し、斜めから入射した光は、その入射角度が大きくなるほど反射率が高くなる。そして、入射角度が大きくなると、選択反射波長が短波長側にシフトする。従って、厚み方向に沿って螺旋の周期長を連続的に変化させるか、あるいは、螺旋の周期長が異なる複数の波長選択性反射膜を積層して得られる広帯域波長選択性反射膜には、光の進行方向を限定する光路制御(コリメーション)機能が得られる。この光路制御機能は、光の吸収を伴わないため、反射した光を再利用することができる。
第3に、右円偏光の反射光が左円偏光となり、左円偏光の反射光が右円偏光となる。すなわち、円偏光については、通常の鏡と同じ反射特性を示す。ただし、直線偏光については、通常の鏡と異なり、反射光の偏光面は、入射偏光面に対して90゜回転する。
【0011】
【発明の実施の形態】
[キラルスメスチック相]
本発明では、キラルスメスチック相(Sm*)を示す液晶性分子のフルピッチバンドを使用する。
本明細書において「キラルスメスチック相」は、螺旋構造を有するスメスチック相の意味で使用する。螺旋構造を有するためには、光学活性部位は必須ではなく、分子軸のまわりの原子配列に起因するキラリティを有する液晶性分子や、バナナ型液晶性分子(分子キラリティを有していないが、螺旋構造を誘起する分子)でも螺旋構造が得られる。光学活性部位がない螺旋構造については、J. Mat. Chem., vol.7, p.1307(1997)に記載がある。
【0012】
キラルスメスチック相(Sm*)は、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)、キラルスメスチックI相(Si*、SmI*)およびキラルスメスチックF相(Sf*、SmF*)が好ましく、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)が特に好ましい。
キラルスメスチックC相は、一般に強誘電性液晶(FLC)に用いる液晶相として研究され、既に実用化されている。
キラルスメスチック相の螺旋構造は、前述したように、光学活性部位は必須ではない。しかし、一般には、液晶性分子に光学活性部位を導入するか、あるいは液晶性分子と光学活性部位を有する化合物(キラル剤)とを併用する。キラルスメスチック相の螺旋構造が、右螺旋になるか、左螺旋になるかは、光学活性部位の掌性で決定できる。
キラルスメスチック相を示す液晶およびキラル剤については、「強誘電性液晶ディスプレイと材料(シーエムシー出版、福田敦夫監修、1992年)」や「液晶便覧(丸善、液晶便覧編集委員会編、2000年)、267〜330頁」に記載がある。
【0013】
キラルスメスチック相に用いる液晶性分子は、一般に棒状である。
液晶性分子は、薄い膜厚で必要な光学的性質を得るために、高い固有複屈折率(Δn)を有することが好ましい。
固有複屈折率が高い棒状液晶性分子としては、ビストラン系化合物およびフェニルピリミジン系化合物が好ましい。
棒状液晶性分子は、重合性基を有することができる。重合性基を有する液晶性分子は、重合によりキラルスメスチック相の状態で固定することができる。また、重合性基を有する棒状液晶性分子を重合して得られる高分子液晶を用いてもよい。
【0014】
重合性基は、光(紫外光、可視光)、電子線や熱によって反応する官能基である。
重合性基の例には、エチレン性不飽和基、エチニル、アジリジニル、エポキシ基、イソシアナート、チオイソシアナート、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アシル基(ホルミルを含む)、ハロカルボニル基およびスルホが含まれる。エチレン性不飽和基、エチニル、アジリジニル、エポキシ基が好ましく、エチレン不飽和基が特に好ましい。
重合性基は、棒状液晶性分子の末端に置換基として存在することが好ましい。液晶性分子は、複数の重合性基を有していてもよい。二つの重合性基が、棒状液晶性分子の両末端に結合していることが特に好ましい。
【0015】
好ましい液晶性分子の例を以下に示す。(1)〜(17)は、アキラルな化合物であって、キラル剤と併用する。(18)および(19)は、キラルな化合物であって、キラル剤なしでもキラルスメスチック相を形成できる。(14)〜(18)は、重合性基(エチレン性不飽和基)を有し、重合によりキラルスメスチック相を固定することができる。(14)〜(18)は、重合した状態で高分子液晶として使用することもできる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
二種類以上の液晶性分子を併用してもよい。市販の液晶性分子(例えば、FLC−10854、Rolic 社製)を用いてもよい。
キラルスメスチック相の光学的性質(特に螺旋の周期長)を調整するためには、キラルな液晶性分子のみを使用するよりも、液晶性分子とキラル剤とを併用する方が好ましい。
キラル剤は、一般に光学活性を有する化合物であって、好ましくは不斉炭素原子を有する低分子の有機化合物である。市販のキラル剤、特に強誘電性液晶用のキラル剤を使用してもよい。
【0034】
キラルスメスチック相において、螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)は、213乃至450nmである。平均屈折率(n)は、液晶性分子の種類に応じて決定され、螺旋の周期長(P)は、液晶性分子とキラル剤との混合比で調整できる値である。積(Pn)は、可視光領域で反射スペクトルを得るために必要な値である。積(Pn)は、230乃至400nmであることが好ましく、250乃至380nmであることがさらに好ましい。
キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度は、45゜未満であることが好ましく、30゜未満であることがより好ましく、20゜未満であることがさらに好ましく、15゜未満であることがさらにまた好ましく、10゜未満であることが最も好ましい。
【0035】
キラルスメスチック相の螺旋軸方向と液晶性分子の長軸方向との角度(傾き角)は、5乃至60゜であることが好ましく、10乃至55゜であることがさらに好ましく、20乃至50゜が最も好ましい。
コレステリック相では、螺旋軸方向と液晶性分子の長軸方向との角度(傾き角)は、実質的に90゜である。
本発明に従う波長選択性反射膜において、選択反射する光の波長が光の入射角に依存するのは、キラルスメスチック相での傾き角が90゜未満であることによる。
本発明に従う波長選択性反射膜における他の光学特性は、キラルスメスチック相のフルピッチバンドに関する。
【0036】
フルピッチバンドについては、図1を引用して説明する。
図1は、キラルスメスチックC相(Sc*)とコレステリック相(Ch)とのフルピッチバンド(F)およびハーフピッチバンド(H)を示す模式図である。コレステリック相では、液晶性分子が360゜(フルピッチ)で捩れる間に全く同じ配向状態が二度現れる。これに対して、キラルスメスチックC相(Sc*)では、液晶性分子がフルピッチで捩れる間に全く同じ配向状態が一度しか現れない。
フルピッチバンド(F)を利用したキラルスメスチックC相(Sc*)とハーフピッチバンド(H)を利用したコレステリック相(Ch)との違いによって、前述したような波長選択性反射膜としての反射特性の違いが生じている。
【0037】
[基板および配向膜]
波長選択性反射膜の製造において、基板を用いることが好ましい。波長選択性反射膜は、一枚の基板の上、または二枚の基板の間に形成できる。形成した波長選択性反射膜は、基板から分離して使用してもよい。また、波長選択性反射膜を基板と共に使用することもできる。
基板としては、ガラス板またはポリマーフイルムが好ましく、ポリマーフイルムがさらに好ましい。
基板フイルムを構成するポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1)、ポリオレフィン誘導体(例、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル(例、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂)、ポリケトン、ポリスルホン(例、ポリフェニレンスルホン)、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、セルロースエステル(セルローストリアセテート)、フェノール樹脂およびこれらの複合ポリマー(例、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルホン、ポリエーテルスルホン)が含まれる。また、高分子液晶から基板フイルムを構成してもよい。
【0038】
基板として用いるポリマーフイルムに、ラビング処理を行って配向機能を付与してもよい。基板の上に配向膜を設けることもできる。また、基板(および配向膜)に配向機能のない状態で、波長選択性反射膜を製造することもできる。
配向膜としては、ポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜およびシリコーン膜が代表的である。配向膜は、市販の配向膜用塗布液、特に強誘電性液晶用の垂直配向膜(例えば、LQ−1800、日立化成デュポン社製)を用いて形成してもよい。配向膜にラビング処理を行ってもよい。
配向膜以外の被膜を基板に設けてもよい。他の被膜の成分には、シランカップリング剤、金属(例、クロム)錯体、レシチン、CTA(Cetyltrimethylammonium bromide)が含まれる。
【0039】
[波長選択性反射膜の製造]
波長選択性反射膜は、液晶性分子および他の任意成分(例、キラル剤、界面活性剤)を溶媒中に溶解、分散または乳化した液を、基板または配向膜上に塗布し、乾燥することにより形成できる。あるいは、液晶性分子および他の任意成分を溶媒中に溶解、分散または乳化した液を、二枚の基板の間隙に注入しても、波長選択性反射膜を製造できる。
溶媒の例には、ハロゲン化炭化水素(例、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン)、フェノール、ハロゲン化フェノール(例、パラクロロフェノール)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エーテル(例、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テトラヒドロフラン)、アルコール(例、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸エチル)、含窒素ヘテロ環化合物(例、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン)、アミン(例、トリエチルアミン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ニトリル(例、アセトニトリル、ブチロニトリル)および二硫化炭素が含まれる。二種類以上の溶媒を併用してもよい。
【0040】
液中の液晶性分子の濃度は、3乃至50質量%が好ましく、5乃至30質量%がさらに好ましい。
塗布方法の例には、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法およびエクストルージョンコート法が含まれる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同350897号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973年)に記載がある。
二枚の基板の間隙に液を注入する方法は、一般的な液晶セルの製造方法と同様である。
波長選択性反射膜の厚さは、0.1乃至50μmが好ましく、0.2乃至25μmがさらに好ましく、0.3乃至15μmが最も好ましい。
【0041】
[キラルスメスチック相の形成]
波長選択性反射膜の製造における温度を調整することにより、塗布または注入するだけで、キラルスメスチック相を形成する場合もある。塗布または注入後に、配向処理を行い、短時間でキラルスメスチック相を形成してもよい。
例えば、塗布または注入後に加熱し、キラルスメスチック相よりも高い温度で発現する相、例えばスメスチックA相(SmA、Sa)、キラルネマチック相(Ch、N*)あるいは等方性相(Iso)としてから、キラルスメスチック相が発現する温度まで冷却してもよい。
塗布後の加熱は、二枚目の基板を塗布層の上に重ね、その状態で二本の加熱ロール間を通過させたり、熱処理炉を通過させることにより実施することもできる。二枚の基板の間隙に液を注入した場合は、そのままの状態で加熱できる。
また、加熱以外の処理を用いて、キラルスメスチック相を形成してもよい。他の処理においては、磁場、電場、ずり応力、流動、延伸あるいは温度勾配を液晶層に作用させる。
【0042】
[キラルスメスチック相の固定]
形成したキラルスメスチック相は、それを固定した状態で使用することが好ましい。配向させた液晶性分子は、冷却してガラス状態として固定するか、あるいは重合反応により固定することができる。
冷却してガラス状態として固定する方法は、ガラス転移温度以上の温度でキラルスメスチック相を示し、冷却することによりガラス状態となる液晶性分子に有効である。ガラス転移温度以上の温度でキラルスメスチック相を示す液晶は、一般に高分子液晶を主成分とする液晶組成物である。冷却は、自然冷却でもよい。また、強制冷却(空冷または水冷)を行ってもよい。
重合反応により固定する方法は、前述した重合性基を有する液晶性分子を用いて実施できる。また、液晶性分子以外の成分(例、モノマー、ポリマーバインダー)に重合性基を導入し、それらの重合反応(あるいは架橋反応)により液晶性分子を固定することもできる。液晶性分子と、他の成分の双方に重合性基を導入してもよい。他の成分に導入する重合性基の例は、前述した液晶性分子の重合性基の例と同様である。
重合反応は、重合性基の種類に応じて決定する。一般には、可視光または紫外光を利用する光重合または電子線重合が好ましい。
【0043】
[広帯域波長選択性反射膜]
前述したように、螺旋の周期長が異なる複数の波長選択性反射膜を積層すると、コリメーション機能を有する広帯域波長選択性反射膜が得られる。
複数の波長選択性反射膜は、選択波長の中心波長が互いに50nm以上異なることが好ましい。波長選択性反射膜の数は、2乃至6であることが好ましい。波長選択性反射膜を複数積層する場合は、高分子液晶の使用が好ましい。
波長選択性反射膜の製造において、厚み方向に沿って螺旋の周期長を連続的に変化させる(例えば、厚み方向に沿って、キラル剤の濃度を勾配させる)ことによっても、コリメーション機能を有する広帯域波長選択性反射膜が得られる。
広帯域波長選択性反射膜を製造する方法については、従来のコレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜についての方法(特開平9−304770号、同10−54909号、同11−44816号の各公報、およびWO97/16762号、WO00/34808号の各明細書に記載)が、本発明に従うキラルスメスチック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜にも応用できる。
【0044】
広帯域波長選択性反射膜は、液晶表示装置のコリメータとして利用できる。その場合の構成は、バックライト\広帯域波長選択性反射膜(コリメータ)\直線偏光膜\液晶セルの順序で配置できる。
波長選択性反射膜は、円偏光として反射しうる光の波長領域を、バックライトの出射光の波長と可能な限り(具体的には20nm未満の差で)一致させることが好ましい。
波長選択性反射膜を液晶表示装置に組み込む場合、波長選択性反射膜と視野角補償フイルム(特開平2−160204号、特登2587298号の各公報記載)とを積層してもよい。
【0045】
【実施例】
[実施例1]
(液晶組成物の調製)
液晶性分子(11)、(12)および(13)を同質量混合し、液晶組成物1を調製した。液晶組成物1の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→161℃→N→120℃→Sa(SmA)→110℃→Sc(SmC)であった。
液晶性分子(5)20質量%、(6)20質量%、(7)20質量%および(8)40質量%を混合し、液晶組成物2を調製した。液晶組成物2の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→71℃ →N→64℃→Sa(SmA)→55℃→Sc(SmC)であった。
【0046】
液晶組成物1および液晶組成物2を同質量混合し、液晶組成物3を調製した。液晶組成物3の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→110.2℃→N→95.1℃→Sa(SmA)→89.2℃→Sc(SmC)であった。
液晶組成物3のΔnは、0.20であった。
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と液晶組成物3とを、67:33の質量比で混合して、液晶組成物4を調製した。液晶組成物4の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
水平配向処理を施したITO付きガラス基板を対向させ、5μmのギャップを形成した。このギャップに液晶組成物4を注入し、室温で±50Vの直流電流を印加して、螺旋軸方向と液晶分子の長軸方向との角度を測定したところ25゜であった。
【0047】
(波長選択性反射膜の作製)
厚さ0.5mmのガラス基板に、市販の垂直配向膜用塗布液(LQ−1800、日立化成デュポン社製)をスピンコートし、250℃で1時間加熱して、配向膜を形成した。
配向膜を形成した基板二枚を、配向膜が内側となるように配置し、直径が10μmのスペーサーを練り込んだ接着剤を用いて貼り合わせた。二枚の基板の間隙に、液晶組成物4を120℃で注入し、それから毎秒−0.5℃の速度で室温まで冷却した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)は、300nmであった。
【0048】
(波長選択性反射膜の評価)
作製した波長選択性反射膜は、斜め入射光に対して選択反射色を示した。波長選択性反射膜に垂直に入射する光は、ほぼ波長選択性反射膜を通過し、斜めに入射する光は反射された。次に、斜め入射光に対する透過スペクトルを調べた。
図2は、波長選択性反射膜の透過スペクトルの入射角度依存性を示す測定結果である。
図2に示すように、反射光の波長は、入射角度が大きくなるに従って、短波長側にシフトする。さらに、この反射光の強度は、入射角度が大きくなるに従って強くなる。これらの光学特性の角度依存性が、膜を傾斜させる方位を代えても同じであることから、この膜中での螺旋軸の方向と、膜平面の法線との角度は、ほぼ0゜であることが判った。
液晶組成物4は左螺旋であるが、波長選択性反射膜には円偏光選択性はなく、右円偏光も左円偏光も反射した。また、右円偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した光は左円偏光となっており、左円偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した光は右円偏光となっていた。さらに、直線偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した直線偏光は、その偏光方向が入射光に対して、90゜異なった偏光になっていた。
波長選択性反射膜の上に直線偏光膜を置いたところ、どの方向から見ても、どの方位に直線偏光膜を配置しても、選択反射は全く見えなかった。
【0049】
[実施例2]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、73:27の質量比で混合して、液晶組成物5を調製した。液晶組成物5の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0050】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物5を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、275nmであり、反射光波長が実施例1よりも短波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0051】
[実施例3]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、70:30の質量比で混合して、液晶組成物6を調製した。液晶組成物6の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0052】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物6を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、287nmであり、反射光波長が実施例1と実施例2との中間であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0053】
[実施例4]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、64:36の質量比で混合して、液晶組成物7を調製した。液晶組成物7の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0054】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物7を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、315nmであり、反射光波長が実施例1よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0055】
[実施例5]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、61:39の質量比で混合して、液晶組成物8を調製した。液晶組成物8の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0056】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物8を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、330nmであり、反射光波長が実施例4よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0057】
[実施例6]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、58:42の質量比で混合して、液晶組成物9を調製した。液晶組成物9の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0058】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物9を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、348nmであり、反射光波長が実施例5よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0059】
[実施例7]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、55:45の質量比で混合して、液晶組成物10を調製した。液晶組成物10の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0060】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物10を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、365nmであり、反射光波長が実施例6よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0061】
[実施例8]
(光コリメータの形成および評価)
実施例1〜7で作製した波長選択性反射膜を、実施例2/3/1/4/5/6/7の順序で、光学油を介して重ね合わせ、広帯域波長選択性反射膜を作製した。
広帯域波長選択性反射膜を、LCD用バックライトの導光板の上の拡散板の上において、光リサイクル型の光コリメータを形成した。
光コリメータを形成した液晶表示装置を調べたところ、正面で輝度が最も高く、斜め方向になるに従って急激に輝度が減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】
キラルスメスチックC相(Sc*)とコレステリック相(Ch)とのフルピッチバンド(F)およびハーフピッチバンド(H)を示す模式図である。
【図2】
波長選択性反射膜の透過スペクトルの入射角度依存性を示す測定結果である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フイルム、光コリメータ、偏光変換フイルムや液晶表示装置の視野角改善に用いられる波長選択性反射膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の光、すなわち自然光(例、太陽光)や一般的な光源(例、電灯)からの光は、分光分布がほぼ均一な白色光である。
これに対して、光学フイルム、光コリメータ、偏光変換フイルムや画像表示装置のような各種の光学材料や光学装置で使用する光は、一部の波長だけである。従って、通常の光を一般的な光学材料や光学装置で使用する場合、光の利用効率は非常に低い。
【0003】
光の利用効率を改善するため、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過する波長選択性反射膜が提案されている。所定の波長の光を選択的に反射(または透過)して光学材料や光学装置で使用し、使用しない波長の光を透過(または反射)すれば、使用しない波長の光についても他の用途で使用したり、変換して再利用することができる。
具体的には、コレステリック相(Ch、N*)を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜が提案されている。
【0004】
コレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜については、特開平9−304770号、同10−54909号、同11−44816号の各公報、およびWO97/16762号、WO00/34808号の各明細書に記載がある。
波長選択性反射膜は、液晶性分子のコレステリック相に特有の光学的性質を示す。
第1に、コレステリック相が右巻き螺旋の場合には、右円偏光が全反射され、左円偏光は透過する。左巻き螺旋の場合には、左円偏光が全反射され、右円偏光は透過する。
第2に、選択反射する光の波長は、光の入射角に依存しない。
第3に、右円偏光の反射光は右円偏光であり、左円偏光の反射光は左円偏光である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定波長の円偏光を、右円偏光と左円偏光とを問わず全て反射する波長選択性反射膜を提供することである。
また、本発明の目的は、選択反射する光の波長が光の入射角に依存する波長選択性反射膜を提供することでもある。
さらに、本発明の目的は、右円偏光の反射光が左円偏光となり、左円偏光の反射光が右円偏光となる波長選択性反射膜を提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(7)の波長選択性反射膜および下記(8)の液晶表示素子により達成された。
(1)液晶性分子から形成される少なくとも一つの層からなり、液晶性分子が層内でキラルスメスチック相(Sm*)の状態に配向しており、キラルスメスチック相において、螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が213乃至450nmであり、そして、液晶性分子から形成される層が、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過することを特徴とする波長選択性反射膜。
【0007】
(2)キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度が45゜未満である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(3)キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、液晶性分子の長軸方向との角度が5乃至60゜である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(4)重合により液晶性分子が、キラルスメスチック相の状態で固定されている(1)に記載の波長選択性反射膜。
【0008】
(5)キラルスメスチック相(Sm*)が、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)である(1)に記載の波長選択性反射膜。
(6)厚み方向に沿って、螺旋の周期長(P)が連続的に変化している(1)に記載の波長選択性反射膜。
(7)螺旋の周期長(P)が異なる複数の(1)に記載の波長選択性反射膜を積層した広帯域波長選択性反射膜。
(8)バックライト、波長選択性反射膜、直線偏光膜、そして液晶セルが、この順序で配置されている液晶表示装置。
【0009】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、従来の液晶性分子から形成される波長選択性反射膜において、コレステリック相(Ch、N*)を示す液晶性分子に代えて、キラルスメスチック相(Sm*)を示す液晶性分子のフルピッチバンドを使用することにより、以下に述べる全く新しい光学的性質を示す波長選択性反射膜が得られることが判明した。
第1に、特定波長の円偏光を、右円偏光と左円偏光とを問わず全て反射する。従って、従来のコレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜では自然光の半分の光量を反射していたのに対して、本発明に従う波長選択性反射膜は、自然光の100%を反射できる。
【0010】
第2に、選択反射する光の波長が、光の入射角に依存する。キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度がほぼ0゜であると、膜に垂直に入射した光はほぼ100%透過し、斜めから入射した光は、その入射角度が大きくなるほど反射率が高くなる。そして、入射角度が大きくなると、選択反射波長が短波長側にシフトする。従って、厚み方向に沿って螺旋の周期長を連続的に変化させるか、あるいは、螺旋の周期長が異なる複数の波長選択性反射膜を積層して得られる広帯域波長選択性反射膜には、光の進行方向を限定する光路制御(コリメーション)機能が得られる。この光路制御機能は、光の吸収を伴わないため、反射した光を再利用することができる。
第3に、右円偏光の反射光が左円偏光となり、左円偏光の反射光が右円偏光となる。すなわち、円偏光については、通常の鏡と同じ反射特性を示す。ただし、直線偏光については、通常の鏡と異なり、反射光の偏光面は、入射偏光面に対して90゜回転する。
【0011】
【発明の実施の形態】
[キラルスメスチック相]
本発明では、キラルスメスチック相(Sm*)を示す液晶性分子のフルピッチバンドを使用する。
本明細書において「キラルスメスチック相」は、螺旋構造を有するスメスチック相の意味で使用する。螺旋構造を有するためには、光学活性部位は必須ではなく、分子軸のまわりの原子配列に起因するキラリティを有する液晶性分子や、バナナ型液晶性分子(分子キラリティを有していないが、螺旋構造を誘起する分子)でも螺旋構造が得られる。光学活性部位がない螺旋構造については、J. Mat. Chem., vol.7, p.1307(1997)に記載がある。
【0012】
キラルスメスチック相(Sm*)は、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)、キラルスメスチックI相(Si*、SmI*)およびキラルスメスチックF相(Sf*、SmF*)が好ましく、キラルスメスチックC相(Sc*、SmC*)が特に好ましい。
キラルスメスチックC相は、一般に強誘電性液晶(FLC)に用いる液晶相として研究され、既に実用化されている。
キラルスメスチック相の螺旋構造は、前述したように、光学活性部位は必須ではない。しかし、一般には、液晶性分子に光学活性部位を導入するか、あるいは液晶性分子と光学活性部位を有する化合物(キラル剤)とを併用する。キラルスメスチック相の螺旋構造が、右螺旋になるか、左螺旋になるかは、光学活性部位の掌性で決定できる。
キラルスメスチック相を示す液晶およびキラル剤については、「強誘電性液晶ディスプレイと材料(シーエムシー出版、福田敦夫監修、1992年)」や「液晶便覧(丸善、液晶便覧編集委員会編、2000年)、267〜330頁」に記載がある。
【0013】
キラルスメスチック相に用いる液晶性分子は、一般に棒状である。
液晶性分子は、薄い膜厚で必要な光学的性質を得るために、高い固有複屈折率(Δn)を有することが好ましい。
固有複屈折率が高い棒状液晶性分子としては、ビストラン系化合物およびフェニルピリミジン系化合物が好ましい。
棒状液晶性分子は、重合性基を有することができる。重合性基を有する液晶性分子は、重合によりキラルスメスチック相の状態で固定することができる。また、重合性基を有する棒状液晶性分子を重合して得られる高分子液晶を用いてもよい。
【0014】
重合性基は、光(紫外光、可視光)、電子線や熱によって反応する官能基である。
重合性基の例には、エチレン性不飽和基、エチニル、アジリジニル、エポキシ基、イソシアナート、チオイソシアナート、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アシル基(ホルミルを含む)、ハロカルボニル基およびスルホが含まれる。エチレン性不飽和基、エチニル、アジリジニル、エポキシ基が好ましく、エチレン不飽和基が特に好ましい。
重合性基は、棒状液晶性分子の末端に置換基として存在することが好ましい。液晶性分子は、複数の重合性基を有していてもよい。二つの重合性基が、棒状液晶性分子の両末端に結合していることが特に好ましい。
【0015】
好ましい液晶性分子の例を以下に示す。(1)〜(17)は、アキラルな化合物であって、キラル剤と併用する。(18)および(19)は、キラルな化合物であって、キラル剤なしでもキラルスメスチック相を形成できる。(14)〜(18)は、重合性基(エチレン性不飽和基)を有し、重合によりキラルスメスチック相を固定することができる。(14)〜(18)は、重合した状態で高分子液晶として使用することもできる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
二種類以上の液晶性分子を併用してもよい。市販の液晶性分子(例えば、FLC−10854、Rolic 社製)を用いてもよい。
キラルスメスチック相の光学的性質(特に螺旋の周期長)を調整するためには、キラルな液晶性分子のみを使用するよりも、液晶性分子とキラル剤とを併用する方が好ましい。
キラル剤は、一般に光学活性を有する化合物であって、好ましくは不斉炭素原子を有する低分子の有機化合物である。市販のキラル剤、特に強誘電性液晶用のキラル剤を使用してもよい。
【0034】
キラルスメスチック相において、螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)は、213乃至450nmである。平均屈折率(n)は、液晶性分子の種類に応じて決定され、螺旋の周期長(P)は、液晶性分子とキラル剤との混合比で調整できる値である。積(Pn)は、可視光領域で反射スペクトルを得るために必要な値である。積(Pn)は、230乃至400nmであることが好ましく、250乃至380nmであることがさらに好ましい。
キラルスメスチック相の螺旋軸方向と、膜平面の法線との角度は、45゜未満であることが好ましく、30゜未満であることがより好ましく、20゜未満であることがさらに好ましく、15゜未満であることがさらにまた好ましく、10゜未満であることが最も好ましい。
【0035】
キラルスメスチック相の螺旋軸方向と液晶性分子の長軸方向との角度(傾き角)は、5乃至60゜であることが好ましく、10乃至55゜であることがさらに好ましく、20乃至50゜が最も好ましい。
コレステリック相では、螺旋軸方向と液晶性分子の長軸方向との角度(傾き角)は、実質的に90゜である。
本発明に従う波長選択性反射膜において、選択反射する光の波長が光の入射角に依存するのは、キラルスメスチック相での傾き角が90゜未満であることによる。
本発明に従う波長選択性反射膜における他の光学特性は、キラルスメスチック相のフルピッチバンドに関する。
【0036】
フルピッチバンドについては、図1を引用して説明する。
図1は、キラルスメスチックC相(Sc*)とコレステリック相(Ch)とのフルピッチバンド(F)およびハーフピッチバンド(H)を示す模式図である。コレステリック相では、液晶性分子が360゜(フルピッチ)で捩れる間に全く同じ配向状態が二度現れる。これに対して、キラルスメスチックC相(Sc*)では、液晶性分子がフルピッチで捩れる間に全く同じ配向状態が一度しか現れない。
フルピッチバンド(F)を利用したキラルスメスチックC相(Sc*)とハーフピッチバンド(H)を利用したコレステリック相(Ch)との違いによって、前述したような波長選択性反射膜としての反射特性の違いが生じている。
【0037】
[基板および配向膜]
波長選択性反射膜の製造において、基板を用いることが好ましい。波長選択性反射膜は、一枚の基板の上、または二枚の基板の間に形成できる。形成した波長選択性反射膜は、基板から分離して使用してもよい。また、波長選択性反射膜を基板と共に使用することもできる。
基板としては、ガラス板またはポリマーフイルムが好ましく、ポリマーフイルムがさらに好ましい。
基板フイルムを構成するポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1)、ポリオレフィン誘導体(例、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル(例、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂)、ポリケトン、ポリスルホン(例、ポリフェニレンスルホン)、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、セルロースエステル(セルローストリアセテート)、フェノール樹脂およびこれらの複合ポリマー(例、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルホン、ポリエーテルスルホン)が含まれる。また、高分子液晶から基板フイルムを構成してもよい。
【0038】
基板として用いるポリマーフイルムに、ラビング処理を行って配向機能を付与してもよい。基板の上に配向膜を設けることもできる。また、基板(および配向膜)に配向機能のない状態で、波長選択性反射膜を製造することもできる。
配向膜としては、ポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜およびシリコーン膜が代表的である。配向膜は、市販の配向膜用塗布液、特に強誘電性液晶用の垂直配向膜(例えば、LQ−1800、日立化成デュポン社製)を用いて形成してもよい。配向膜にラビング処理を行ってもよい。
配向膜以外の被膜を基板に設けてもよい。他の被膜の成分には、シランカップリング剤、金属(例、クロム)錯体、レシチン、CTA(Cetyltrimethylammonium bromide)が含まれる。
【0039】
[波長選択性反射膜の製造]
波長選択性反射膜は、液晶性分子および他の任意成分(例、キラル剤、界面活性剤)を溶媒中に溶解、分散または乳化した液を、基板または配向膜上に塗布し、乾燥することにより形成できる。あるいは、液晶性分子および他の任意成分を溶媒中に溶解、分散または乳化した液を、二枚の基板の間隙に注入しても、波長選択性反射膜を製造できる。
溶媒の例には、ハロゲン化炭化水素(例、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン)、フェノール、ハロゲン化フェノール(例、パラクロロフェノール)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エーテル(例、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テトラヒドロフラン)、アルコール(例、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸エチル)、含窒素ヘテロ環化合物(例、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン)、アミン(例、トリエチルアミン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ニトリル(例、アセトニトリル、ブチロニトリル)および二硫化炭素が含まれる。二種類以上の溶媒を併用してもよい。
【0040】
液中の液晶性分子の濃度は、3乃至50質量%が好ましく、5乃至30質量%がさらに好ましい。
塗布方法の例には、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法およびエクストルージョンコート法が含まれる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同350897号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973年)に記載がある。
二枚の基板の間隙に液を注入する方法は、一般的な液晶セルの製造方法と同様である。
波長選択性反射膜の厚さは、0.1乃至50μmが好ましく、0.2乃至25μmがさらに好ましく、0.3乃至15μmが最も好ましい。
【0041】
[キラルスメスチック相の形成]
波長選択性反射膜の製造における温度を調整することにより、塗布または注入するだけで、キラルスメスチック相を形成する場合もある。塗布または注入後に、配向処理を行い、短時間でキラルスメスチック相を形成してもよい。
例えば、塗布または注入後に加熱し、キラルスメスチック相よりも高い温度で発現する相、例えばスメスチックA相(SmA、Sa)、キラルネマチック相(Ch、N*)あるいは等方性相(Iso)としてから、キラルスメスチック相が発現する温度まで冷却してもよい。
塗布後の加熱は、二枚目の基板を塗布層の上に重ね、その状態で二本の加熱ロール間を通過させたり、熱処理炉を通過させることにより実施することもできる。二枚の基板の間隙に液を注入した場合は、そのままの状態で加熱できる。
また、加熱以外の処理を用いて、キラルスメスチック相を形成してもよい。他の処理においては、磁場、電場、ずり応力、流動、延伸あるいは温度勾配を液晶層に作用させる。
【0042】
[キラルスメスチック相の固定]
形成したキラルスメスチック相は、それを固定した状態で使用することが好ましい。配向させた液晶性分子は、冷却してガラス状態として固定するか、あるいは重合反応により固定することができる。
冷却してガラス状態として固定する方法は、ガラス転移温度以上の温度でキラルスメスチック相を示し、冷却することによりガラス状態となる液晶性分子に有効である。ガラス転移温度以上の温度でキラルスメスチック相を示す液晶は、一般に高分子液晶を主成分とする液晶組成物である。冷却は、自然冷却でもよい。また、強制冷却(空冷または水冷)を行ってもよい。
重合反応により固定する方法は、前述した重合性基を有する液晶性分子を用いて実施できる。また、液晶性分子以外の成分(例、モノマー、ポリマーバインダー)に重合性基を導入し、それらの重合反応(あるいは架橋反応)により液晶性分子を固定することもできる。液晶性分子と、他の成分の双方に重合性基を導入してもよい。他の成分に導入する重合性基の例は、前述した液晶性分子の重合性基の例と同様である。
重合反応は、重合性基の種類に応じて決定する。一般には、可視光または紫外光を利用する光重合または電子線重合が好ましい。
【0043】
[広帯域波長選択性反射膜]
前述したように、螺旋の周期長が異なる複数の波長選択性反射膜を積層すると、コリメーション機能を有する広帯域波長選択性反射膜が得られる。
複数の波長選択性反射膜は、選択波長の中心波長が互いに50nm以上異なることが好ましい。波長選択性反射膜の数は、2乃至6であることが好ましい。波長選択性反射膜を複数積層する場合は、高分子液晶の使用が好ましい。
波長選択性反射膜の製造において、厚み方向に沿って螺旋の周期長を連続的に変化させる(例えば、厚み方向に沿って、キラル剤の濃度を勾配させる)ことによっても、コリメーション機能を有する広帯域波長選択性反射膜が得られる。
広帯域波長選択性反射膜を製造する方法については、従来のコレステリック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜についての方法(特開平9−304770号、同10−54909号、同11−44816号の各公報、およびWO97/16762号、WO00/34808号の各明細書に記載)が、本発明に従うキラルスメスチック相を示す液晶性分子から形成される波長選択性反射膜にも応用できる。
【0044】
広帯域波長選択性反射膜は、液晶表示装置のコリメータとして利用できる。その場合の構成は、バックライト\広帯域波長選択性反射膜(コリメータ)\直線偏光膜\液晶セルの順序で配置できる。
波長選択性反射膜は、円偏光として反射しうる光の波長領域を、バックライトの出射光の波長と可能な限り(具体的には20nm未満の差で)一致させることが好ましい。
波長選択性反射膜を液晶表示装置に組み込む場合、波長選択性反射膜と視野角補償フイルム(特開平2−160204号、特登2587298号の各公報記載)とを積層してもよい。
【0045】
【実施例】
[実施例1]
(液晶組成物の調製)
液晶性分子(11)、(12)および(13)を同質量混合し、液晶組成物1を調製した。液晶組成物1の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→161℃→N→120℃→Sa(SmA)→110℃→Sc(SmC)であった。
液晶性分子(5)20質量%、(6)20質量%、(7)20質量%および(8)40質量%を混合し、液晶組成物2を調製した。液晶組成物2の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→71℃ →N→64℃→Sa(SmA)→55℃→Sc(SmC)であった。
【0046】
液晶組成物1および液晶組成物2を同質量混合し、液晶組成物3を調製した。液晶組成物3の相転移温度を、高温側から低温側へ測定したところ、Iso→110.2℃→N→95.1℃→Sa(SmA)→89.2℃→Sc(SmC)であった。
液晶組成物3のΔnは、0.20であった。
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と液晶組成物3とを、67:33の質量比で混合して、液晶組成物4を調製した。液晶組成物4の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
水平配向処理を施したITO付きガラス基板を対向させ、5μmのギャップを形成した。このギャップに液晶組成物4を注入し、室温で±50Vの直流電流を印加して、螺旋軸方向と液晶分子の長軸方向との角度を測定したところ25゜であった。
【0047】
(波長選択性反射膜の作製)
厚さ0.5mmのガラス基板に、市販の垂直配向膜用塗布液(LQ−1800、日立化成デュポン社製)をスピンコートし、250℃で1時間加熱して、配向膜を形成した。
配向膜を形成した基板二枚を、配向膜が内側となるように配置し、直径が10μmのスペーサーを練り込んだ接着剤を用いて貼り合わせた。二枚の基板の間隙に、液晶組成物4を120℃で注入し、それから毎秒−0.5℃の速度で室温まで冷却した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)は、300nmであった。
【0048】
(波長選択性反射膜の評価)
作製した波長選択性反射膜は、斜め入射光に対して選択反射色を示した。波長選択性反射膜に垂直に入射する光は、ほぼ波長選択性反射膜を通過し、斜めに入射する光は反射された。次に、斜め入射光に対する透過スペクトルを調べた。
図2は、波長選択性反射膜の透過スペクトルの入射角度依存性を示す測定結果である。
図2に示すように、反射光の波長は、入射角度が大きくなるに従って、短波長側にシフトする。さらに、この反射光の強度は、入射角度が大きくなるに従って強くなる。これらの光学特性の角度依存性が、膜を傾斜させる方位を代えても同じであることから、この膜中での螺旋軸の方向と、膜平面の法線との角度は、ほぼ0゜であることが判った。
液晶組成物4は左螺旋であるが、波長選択性反射膜には円偏光選択性はなく、右円偏光も左円偏光も反射した。また、右円偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した光は左円偏光となっており、左円偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した光は右円偏光となっていた。さらに、直線偏光を入射して波長選択性反射膜から反射した直線偏光は、その偏光方向が入射光に対して、90゜異なった偏光になっていた。
波長選択性反射膜の上に直線偏光膜を置いたところ、どの方向から見ても、どの方位に直線偏光膜を配置しても、選択反射は全く見えなかった。
【0049】
[実施例2]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、73:27の質量比で混合して、液晶組成物5を調製した。液晶組成物5の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0050】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物5を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、275nmであり、反射光波長が実施例1よりも短波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0051】
[実施例3]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、70:30の質量比で混合して、液晶組成物6を調製した。液晶組成物6の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0052】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物6を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、287nmであり、反射光波長が実施例1と実施例2との中間であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0053】
[実施例4]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、64:36の質量比で混合して、液晶組成物7を調製した。液晶組成物7の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0054】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物7を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、315nmであり、反射光波長が実施例1よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0055】
[実施例5]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、61:39の質量比で混合して、液晶組成物8を調製した。液晶組成物8の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0056】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物8を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、330nmであり、反射光波長が実施例4よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0057】
[実施例6]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、58:42の質量比で混合して、液晶組成物9を調製した。液晶組成物9の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0058】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物9を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、348nmであり、反射光波長が実施例5よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0059】
[実施例7]
(液晶組成物の調製)
市販の強誘電性液晶組成物(FLC−10854、Rolic 社製)と実施例1で調製した液晶組成物3とを、55:45の質量比で混合して、液晶組成物10を調製した。液晶組成物10の相転移は、高温側から低温側へ、Iso→Ch(N*)→Sa(SmA)→Sc*(SmC*)であった。
【0060】
(波長選択性反射膜の作製と評価)
液晶組成物4に代えて、液晶組成物10を用いた以外は、実施例1と同様に波長選択性反射膜を作製して評価した。
螺旋の周期長(P)と平均屈折率(n)との積(Pn)が、365nmであり、反射光波長が実施例6よりも長波長側であった以外は、実施例1と同様の結果が得られた。
【0061】
[実施例8]
(光コリメータの形成および評価)
実施例1〜7で作製した波長選択性反射膜を、実施例2/3/1/4/5/6/7の順序で、光学油を介して重ね合わせ、広帯域波長選択性反射膜を作製した。
広帯域波長選択性反射膜を、LCD用バックライトの導光板の上の拡散板の上において、光リサイクル型の光コリメータを形成した。
光コリメータを形成した液晶表示装置を調べたところ、正面で輝度が最も高く、斜め方向になるに従って急激に輝度が減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】
キラルスメスチックC相(Sc*)とコレステリック相(Ch)とのフルピッチバンド(F)およびハーフピッチバンド(H)を示す模式図である。
【図2】
波長選択性反射膜の透過スペクトルの入射角度依存性を示す測定結果である。
Claims (1)
- 液晶性分子から形成される少なくとも一つの層からなり、液晶性分子が層内でキラルスメスチック相の状態に配向しており、キラルスメスチック相において、螺旋の周期長と平均屈折率との積が213乃至450nmであり、そして、液晶性分子から形成される層が、所定の波長の光を選択的に反射し、他の波長の光を選択的に透過することを特徴とする波長選択性反射膜。
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