JPWO2016031946A1 - 輝度向上フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、λ/4板と、反射偏光子とを有する輝度向上フィルムであって、上記λ/4板は、樹脂層Iを含み、樹脂層Iは、固有複屈折値が負であるポリマーを含み、上記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を含み、上記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する上記の繰り返し単位を5質量%以上50質量%以下含み、上記反射偏光子はコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を含み、上記光反射層が上記λ/4板に直接接する配向層を介して積層された層である輝度向上フィルム、ならびに上記輝度向上フィルムを使用した液晶表示装置を提供する。本発明の輝度向上フィルムは液晶表示装置に組み込んだときに、高い輝度向上率を与えるとともに、斜め色味変化を抑制できる。

Description

本発明は、輝度向上フィルムおよび液晶表示装置に関する。より詳しくは、液晶表示装置に組み込んだときに、輝度が高く、斜め色味変化を抑制できる輝度向上フィルムおよびこの輝度向上フィルムを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(以下、LCDとも言う)などのフラットパネルディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。液晶表示装置は、バックライト(以下、BLとも言う)、バックライト側偏光板、液晶セル、視認側偏光板がこの順で設けられた構成となっている。
近年のフラットパネルディスプレイ市場において、LCD性能改善として省電力化、高精細化及び色再現性向上のための開発が進んでいる。これらの性能改善は特にタブレットPCやスマートフォンなどの小型サイズの液晶表示装置で顕著にみられる。
一方、TV用途を扱う大型サイズにおいては、現行のTV規格(FHD、NTSC(National Television System Committee)比72%≒(EBU European Broadcasting Union)比100%)の次世代ハイビジョン(4K2K、EBU比100%以上)の開発が進められており、小型サイズ同様の性能改善として省電力化、高精細化及び色再現性向上のための開発が進んでいる。そのため、液晶表示装置の省電力化、高精細化、色再現性向上がますます求められている。
バックライトの省電力化に伴い、バックライトとバックライト側偏光板の間に反射偏光子を設けることが提案されている。反射偏光子は、あらゆる方向に振動しながら入射する光のうち、特定の偏光方向に振動する光のみ透過させて、他の偏光方向に振動する光は反射する光学素子である。これにより、反射偏光子で透過せず反射する光をリサイクルすることができ、LCDにおける光利用率を改善できる。
これに関し、バックライトとバックライト側偏光板の間に光学シート部材(DBEF(登録商標)(Dual Brightness Enhancement Film、二重輝度向上フィルム)など)を組合せることでBLの光利用率を向上させ、バックライトを省電力化しつつ、その輝度を向上させる技術が知られている(特許文献1参照)。
特許文献2には、λ/4板とコレステリック液晶相を固定してなる層を積層した構成の反射偏光板、コレステリック液晶相のピッチの異なる3層以上のコレステリック液晶相を固定してなる層により、反射波長領域を広帯域化することで、BLの光利用率を向上させる技術が記載されている。
ここでλ/4板とコレステリック液晶相を固定してなる層を積層した構成の反射偏光板を液晶表示装置に組み込んだときには、コレステリック液晶相及びλ/4板の光学的特性に起因する、斜め方向から見た際の色味変化が発生しやすいことが知られている。これに対し、特許文献3ではコレステリック液晶相のピッチを光の入射側を短ピッチにする方法、及び面内の屈折率よりも垂直方向の屈折率の大きい補償層を設けることが提案されている。また、特許文献4ではλ/4板の厚み方向のレターデーションを0未満にする方法が提案されている。
特許3448626号公報 特開平1−133003号公報 特許3518660号公報 WO2008/016056号公報 特開2010−181710号公報 特開2009−288812号公報
特許文献1、2に記載の技術は、白色光に対する広帯域において光利用率を改善するため、多層構成、部材の波長分散性を考慮した複雑な設計の上、製造コストが高いという問題があった。
一方、特許文献3および4に記載のコレステリック液晶相を固定してなる層とλ/4板を組み合わせた偏光板を用いた液晶表示装置は、BL光の光利用率改善には寄与するものの、斜めからみたときの色味変化の改善が不十分であった。
本発明の解決しようとする課題は、液晶表示装置に組み込んだときに、高い輝度向上率を与えるとともに、斜め色味変化を抑制できる輝度向上フィルムを提供することである。
本発明者らは鋭意検討し、一般的にRthが正となるコレステリック液晶相を固定してなる層に対し、固有複屈折が負である樹脂を含む、Rthが負である層を、λ/4板として組み合わせて用いることに着眼した。固有複屈折が負の樹脂からなる層を含むλ/4板の利用については、特許文献5および6に記載がある。しかし、本発明者らが特許文献5または特許文献6に記載のとおりに輝度向上フィルムを形成しようと試みたところ、耐熱性試験後にヘイズが上昇し、意図した輝度向上率が得られなかった。
そこで、本発明者らは、固有複屈折が負の樹脂からなる層を含むλ/4板を利用した構成についてさらに検討を重ねて、以下の[1]〜[12]の構成の本発明を完成させた。
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
[1]λ/4板と反射偏光子とを有する輝度向上フィルムであって、
上記λ/4板は樹脂層Iを含み、
樹脂層Iは固有複屈折値が負であるポリマーを含み、
上記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を含み、
上記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する上記の繰り返し単位を5質量%以上50質量%以下含み、
上記反射偏光子はコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を含み、
上記光反射層は上記λ/4板に直接接する配向層を介して積層された層である
輝度向上フィルム。
[2]上記光反射層がコレステリック液晶相の螺旋ピッチが螺旋軸方向で徐々に変化しているピッチグラジエント層である[1]に記載の輝度向上フィルム。
[3]上記光反射層が上記配向膜表面に塗布された液晶化合物を含む重合性液晶組成物を硬化した層である[1]または[2]に記載の輝度向上フィルム。
[4]上記液晶化合物の固有複屈折率Δnが逆波長分散性である[3]に記載の輝度向上フィルム。
[5]酸無水物モノマーに由来する上記の繰り返し単位が以下式Iで表される[1]〜[4]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
Figure 2016031946
[6]上記ポリマーが以下式IIで表される繰り返し単位を含む[1]〜[5]のいずれか1項に記載の輝度向上フィルム。
Figure 2016031946
[7]上記λ/4板が、脂環式構造を有する重合体、鎖状ポリオレフィン、セルロースアシレート、およびポリエステルセルロースアシレートからなる群から選択される化合物を含む樹脂層IIを含む[1]〜[6]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
[8]上記λ/4板が、樹脂層II、樹脂層I、樹脂層IIをこの順で含む[1]〜[7]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
[9]上記光反射層が上記λ/4板上に設けられた配向膜表面で塗布成膜された層であり、
樹脂層IIと上記配向層とが直接接しており、かつ上記配向層と上記光反射層とが直接接している[7]または[8]に記載の輝度向上フィルム。
[10]上記λ/4板の厚みが10〜300μmである[1]〜[9]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
[11]さらに、ポジティブCプレートを含む[1]〜[10]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
[12][1]〜[11]のいずれか一項に記載の輝度向上フィルムを含み、
バックライトユニット、上記反射偏光子、上記λ/4板、バックライトユニット側偏光子、液晶セル、視認側偏光子を、この順に含む液晶表示装置。
本発明によれば、液晶表示装置に組み込んだときに、輝度を向上させることができるとともに、斜め色味変化を抑制できる輝度向上フィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
光反射層の反射中心波長と半値幅は下記のように求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いて光反射層の透過スペクトルを測定すると、選択反射領域に透過率の低下ピークがみられる。この最も大きいピーク高さの1/2の高さの透過率となる2つの波長のうち、短波側の波長の値をλ1(nm)、長波側の波長の値をλ2(nm)とすると、反射中心波長と半値幅は下記式で表すことができる。
反射中心波長=(λ1+λ2)/2
半値幅=(λ2−λ1)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。単位はいずれもnmである。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向層側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 2016031946
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前述のRe(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層においては、液晶本来の常光屈折率noと異常光屈折率neを用いると、面内の屈折率の平均値は
(nx+ny)/2=(no+ne)/2
で表される。
また、膜厚方向の屈折率はnoとなるため、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層のRthは下記式で表せる。本発明の輝度向上フィルムは、第一の光反射層、第二の光反射層および第三の光反射層のRthは下記式を用いて計算した値を採用し、波長λnmのときの第一の光反射層、第二の光反射層および第三の光反射層のRthをRth(λ)と記載する。
Rth={(no+ne)/2−no}×d={(ne−no)/2}×d
なお、ne及びnoはアッベ屈折計にて測定することができる。
また、コレステリック液晶相を固定してなる層のRthを得る方法として、偏光エリプソを用いた方法を適用することもできる。
例えば、M. Kimura et al. Jpn. J. Appl. Phys. 48 (2009) 03B021に記載されているようにエリプソ測定法を用いれば、コレステリック液晶相を固定してなる層の厚さ、ピッチ、捩れ角等が得られ、そこからRthの値を得ることができる。
本明細書では、「可視光」とは、波長380nm〜780nmの光のことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、偏光子または偏光板の「吸収軸」は、吸光度の最も高い方向を意味する。
本明細書において、λ/4板などの位相差フィルム等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
本明細書において、「偏光子」と「反射偏光子」は区別して用いられる。
また、本明細書において、位相差領域、位相差フィルム、及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
[輝度向上フィルム]
輝度向上フィルムは、λ/4板と反射偏光子とを有する。反射偏光子はコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を含む。輝度向上フィルムは後述するように、液晶表示装置に設けられて、液晶表示装置の輝度を向上させる機能を有する。
輝度向上フィルムの膜厚は11〜400μmであることが好ましく、15〜200μmであることがより好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
輝度向上フィルムの反射偏光子に用いられるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層は、一般的に、正のRthを有することが知られている。本発明においては、このようなコレステリック液晶相を固定してなる光反射層と固有複屈折が負の樹脂からなる層を含むλ/4板とを組み合わせて用いることにより、斜め方向から見た際の色味変化の抑制を実現した。
<λ/4板>
λ/4板は特定の波長λnmにおける面内レターデーションRe(λ)が
Re(λ)=λ/4
を満たす光学異方性層のことをいう。λ/4板は輝度向上フィルムにおいて、反射偏光子を透過して得られる円偏光を直線偏光に変換するための層として機能する。
λ/4板は、下記式(A)〜(C)を少なくともひとつ満たすことが好ましく、下記式(A)〜(C)を全て満たすことがさらに好ましい。
式(A) 450nm/4−35nm<Re(450)<450nm/4+35nm
式(B) 550nm/4−35nm<Re(550)<550nm/4+35nm
式(C) 630nm/4−35nm<Re(630)<630nm/4+35nm
λ/4板は固有複屈折値が負であるポリマーを含む樹脂層Iを含む。樹脂層Iは、特に延伸工程を経て形成されると、層として負のRthを示す。そのため、樹脂層Iと、正のRthを有するコレステリック液晶相を固定してなる光反射層との組み合わせで斜め方向から見た際の色味変化が抑制できる。
固有複屈折値が負であるポリマーとしては、酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーが用いられる。本発明者らは、λ/4板を支持体として、λ/4板上で塗布成膜してコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を形成する形態において、酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を5質量%以上50質量%以下含むポリマーを含む樹脂層Iを用いることにより、耐熱性試験の強制条件として120℃のオーブンで30秒の耐熱性試験後も、ヘイズが低い輝度向上フィルムが得られることを見出した。
耐熱性試験後のヘイズとしては、好ましくは0〜1.0%であり、より好ましくは0〜0.7%であり、さらに好ましくは0〜0.5%である。
ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定できる。
特定の理論に拘泥するものではないが、上記の量で酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を含む樹脂層を用いることにより、λ/4板と光反射層との熱線膨張係数が整合し、層間の歪みに基づく配向欠陥などが生じにくくなったためと推定される。樹脂層Iは、固有複屈折値が負であるポリマーを90質量%以上、95質量%、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.8質量%以上、または99.9質量%以上含んでいればよく、樹脂層Iは実質的に固有複屈折値が負であるポリマーからなることも好ましい。
酸無水物モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水物、3−メチル−1,2,6−テトラヒドロフタル酸無水物、および2−メチル−1,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物が挙げられる。これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。
酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位とは、酸無水物モノマーを含む原料の重合により得られるポリマー中の酸無水物モノマーを源とする部分の構造を意味し、酸無水物モノマーが無水マレイン酸の場合は、以下の部分となる。
Figure 2016031946
樹脂層Iは酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を樹脂層Iの総質量に対して5質量%以上50質量%以下含む。
樹脂層I中の酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は赤外分光法のATR測定法で求められる。例えば、無水マレイン酸とスチレンとの共重合体の場合、「無水マレイン酸系共重合体の赤外線吸収スペクトル」(福井大学工学部研究報告 18(1), 173−181, 1970−03)を参考にして、無水マレイン酸のカルボニルに帰属する1780cm-1付近のピーク強度とスチレンのベンゼン環のCH伸縮に帰属する3050cm-1付近のピーク強度を用いた検量線を作成して求めることができる。無水マレイン酸以外の酸無水物を用いる場合についても同様に、用いる酸無水物のカルボニルに帰属する1780cm-1付近あるいは1855cm-1付近のピークを用いることにより、またスチレン以外のモノマーを用いる場合についても同様に、上記カルボニルに帰属するピークと重ならない領域の、用いるモノマー由来のピークを用いることにより、検量線を作成して含有量を求めることができる。例えば、メタクリル酸メチルの場合、α−メチル基の逆対称変角に帰属する1470cm-1付近、対称変角に帰属する1390cm-1付近のピークを用いることができる。
ポリマー中の酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位の含有量については、ポリマー作製時の全モノマー中の酸無水物モノマーの割合として求めることができる場合もある。
固有複屈折値が負であるポリマーにおける酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、固有複屈折値が負であるポリマーの総質量に対して7質量%以上45質量%以下であることも好ましい。
固有複屈折値が負であるポリマーに含まれる他の繰り返し単位としては、特に限定されないが、固有複屈折値が負であるポリマーを実現する繰り返し単位として、ビニル芳香族単量体を原料として用いて、形成される繰り返し単位が好ましい。ビニル芳香族単量体としては、例えば、スチレンのほか、4−メチルスチレン、4−クロロスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−tert−ブトキシスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。これらのうち、以下で示されるスチレンを原料として形成される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2016031946
固有複屈折値が負であるポリマーとしては、酸無水物モノマーとビニル芳香族単量体との共重合体が好ましく、無水マレイン酸とビニル芳香族単量体との共重合体がより好ましく、無水マレイン酸とスチレンとの共重合体がさらに好ましい。
λ/4板は、樹脂層I以外の他の樹脂層を含む積層フィルムであることも好ましい。他の樹脂層は、固有複屈折値が負であるポリマーを含む層であっても、固有複屈折値が正であるポリマーを含む層であってもよいが、積層フィルム、すなわちλ/4板は負のRthを示すことが好ましい。他の樹脂層としては、脂環式構造を有する重合体、鎖状ポリオレフィン、セルロースアシレート、およびポリエステルセルロースアシレートからなる群から選択される化合物を含む樹脂層IIが挙げられる。
λ/4板は、樹脂層II、樹脂層I、樹脂層IIをこの順で含むことも好ましい。
樹脂層Iと樹脂層I以外の他の樹脂層とは接着剤で接着されていてもよい。接着剤としては、アクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。
また、これらの層は積層後積層フィルムで延伸されていることが好ましい。
λ/4板の具体的製造方法としては、特開2009−288812号公報の長尺巻状体(A)の製法を参照することができる。
λ/4板の膜厚は10〜300μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。
<反射偏光子>
反射偏光子は、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層を少なくとも一層含む。反射偏光子は、光反射層を2層以上含むことも好ましく、2層〜4層含むことがより好ましく、2層または3層含むことがより好ましい。反射偏光子は、反射中心波長が互いに異なる光反射層を2層以上含むことが好ましく、反射中心波長が互いに異なる光反射層を2層または3層含むことがより好ましい。
反射偏光子は、青色光、緑色光および赤色光を反射する機能を持つことが好ましい。
反射偏光子の膜厚は1.5〜60μmが好ましく、1.5〜30μmであることが好ましく、2〜24μmであることがさらに好ましく、2〜18μmであることが最も好ましい。
(コレステリック液晶相を固定してなる光反射層)
コレステリック液晶相を固定してなる層は、特定の波長域において右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させるとともに他方の円偏光を透過する選択反射を示すことが知られている。選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており(例えば、富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63)、コレステリック液晶相を固定した層については、それらの従来技術を参照することができる。
反射率のピークを与える反射中心波長は、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層のコレステリック液晶相中の螺旋構造のピッチまたは屈折率を変えることにより調整することができる。螺旋構造のピッチはキラル剤の添加量を変えることによって調整可能である。なお、ピッチとはコレステリック液晶相における螺旋構造のピッチ長Pであり、液晶化合物の分子層の配向方向が360度回転したときの分子層の厚さをいう。選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnとピッチ長Pに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
光反射層は、コレステリック液晶相のピッチが螺旋軸方向で徐々に変化しているピッチグラジエント層であることも好ましい。ピッチグラジエント層とすることにより、光反射層の反射波長領域を広帯域化することができる。
ピッチグラジエント法では、コレステリック液晶相の螺旋方向(通常膜厚方向)でピッチを徐々に変化させることで、広い半値幅を実現できる。ピッチグラジエント法を適用した光反射層においては、ピッチは、膜厚方向で連続的に変化していることが好ましい。また、ピッチグラジエント法を適用した光反射層においては、層の片面から他方の面に向かって、ピッチが連続的に増加しているか、または連続的に減少していることが好ましい。ピッチグラジエント法は、液晶層の厚さ方向で螺旋を形成しない化合物濃度を液晶層の厚さ方向で連続的に変化させる、またはキラル剤の濃度を液晶層の厚さ方向で連続的に変化させる、または、光異性化部分を有するキラル剤を用い、光反射層形成時に、キラル剤の光異性化部分をUV照射などで異性化させることで、キラル剤のHTP(ヘリカルツイスティングパワー)を変化させることにより達成される。この光異性化部分としては、ビニレン基や、アゾ基などが好ましい。
具体的には、例えば0.01〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返し、ピッチグラジエント層を得ることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射波長領域の拡張を行った後に、例えば50〜10,000mJ/cm2の比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させ、コレステリック樹脂層とすることができる。上記の微弱な紫外線照射及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
ピッチグラジエント法としては、その他(Nature 378、467−469 1995)や特許4990426号公報などの記載のものが適用できる。また、特許4570377号に記載の、螺旋を形成せずフッ化アルキル基を有する化合物を利用することもできる。
光反射層の膜厚は、反射性、配向乱れや透過率低下の防止等の点より、1.5〜20μmが好ましく、1.5〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがさらに好ましく、2〜7μmであることが最も好ましい。
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層は、液晶化合物を含む重合性液晶組成物を他の層に塗布後、塗布膜を硬化して得られる塗布硬化層として形成することができる。輝度向上フィルム中の最もλ/4板に近い光反射層はλ/4板上で塗布硬化して形成される。輝度向上フィルム中のすべての光反射層がλ/4板上で塗布硬化して形成されたものであることも好ましい。
本明細書において「λ/4板上」というとき、「λ/4板表面に直接」または「λ/4板表面に設けられた配向層などの他の層の表面に直接」の意味を含む。この時の他の層は1層であっても2層以上であってもよい。
(重合性液晶組成物)
重合性液晶組成物は液晶化合物のほか、キラル剤、配向制御剤、重合開始剤、配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
(液晶化合物)
液晶化合物としては、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物が挙げられる。正のRthを示すコレステリック液晶相を固定してなる光反射層の形成のためには、棒状液晶化合物を用いることが好ましい。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報や特開2007−279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
液晶化合物は、固有複屈折率Δnが逆波長分散性、即ち下記式を満足する波長分散性を有することが好ましい。
Δn(450nm)/Δn(550nm)<1.0
固有複屈折率Δnは液晶便覧(液晶便覧編集委員会)のp.202に記載の方法に従って測定することができる。
Δnが逆波長分散性である液晶化合物を用いることにより、輝度向上フィルムを斜め方向から観察した場合の色味をさらに低減することができる。Δnが逆波長分散性である液晶化合物は重合性液晶組成物中の液晶化合物の全量に対して50〜100質量%含まれていることが好ましく、70〜100質量%含まれていることがより好ましい。
重合性液晶組成物中の液晶化合物の添加量は、重合性液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
(キラル剤)
キラル剤は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第一42委員会編、1989に記載)から選択することができる。キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性基を有するキラル剤と重合性棒状液晶化合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性基を有するキラル剤が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2010−181852号公報、特開2003−287623号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−80478号公報、特開2002−302487号公報、に記載のキラル剤が挙げられ、本発明に好ましく用いることができる。さらに、これらの公開公報に記載されているイソソルビド化合物類については対応する構造のイソマンニド化合物類を用いることもでき、これらの公報に記載されているイソマンニド化合物類については対応する構造のイソソルビド化合物類を用いることもできる。
(配向制御剤)
配向制御剤の例には、特開2005−99248号公報の[0092]及び[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2005−99248号公報の[0094]及び[0095]中に例示されている化合物、特開2005−99248号公報の[0096]中に例示されている化合物が含まれる。
配向制御剤としては、特開2014−119605号公報の[0082]〜[0090]に記載の化合物を用いることもできる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
(溶媒)
重合性液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
(重合性液晶組成物の塗布および硬化)
重合性液晶組成物の塗布は、重合性液晶組成物を溶媒により溶液状態としたり、加熱による溶融液等の液状物としたものを、ロールコーティング方式やグラビア印刷方式、スピンコート方式などの適宜な方式で展開する方法などにより行うことができる。さらにワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、液晶組成物をノズルから吐出して、塗布膜を形成することもできる。
その後重合性液晶組成物の硬化により、液晶化合物の分子の、配向状態を維持して固定する。硬化は、液晶性分子に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。
重合性液晶組成物の塗布後であって、硬化のための重合反応前に、塗布膜は、公知の方法で乾燥してもよい。例えば放置によって乾燥してもよく、加熱によって乾燥してもよい。
重合性液晶組成物の塗布および乾燥の工程で、重合性液晶組成物中の液晶化合物分子が配向していればよい。
例えば、重合性液晶組成物が、溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗布膜を乾燥し、溶媒を除去することで、コレステリック液晶相の状態にすることができる場合がある。また、コレステリック液晶相への転移温度での加熱を行ってもよい。例えば、一旦等方性相の温度まで加熱し、その後、コレステリック液晶相転移温度まで冷却する等によって、安定的にコレステリック液晶相の状態にすることができる。前述の重合性液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また200℃を超えると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し、熱エネルギーの浪費、基板の変形、変質等からも不利になる。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。特に光反射層の形成の際、紫外線照射時の温度は、コレステリック液晶相が乱れないように、コレステリック液晶相を呈する温度範囲に維持することが好ましい。
また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不十分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。紫外線照射によって進行される硬化反応(例えば重合反応)の反応率は、層の機械的強度の保持等や未反応物が層から流出するのを抑える等の観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましい。反応率を向上させるためには照射する紫外線の照射量を増大する方法や窒素雰囲気下あるいは加熱条件下での重合が効果的である。また、一旦重合させた後に、重合温度よりも高温状態で保持して熱重合反応によって反応をさらに推し進める方法や、再度紫外線を照射する方法を用いることもできる。反応率の測定は反応性基(例えば重合性基)の赤外振動スペクトルの吸収強度を、反応進行の前後で比較することによって行うことができる。
重合性液晶組成物の液晶化合物分子の配向に基づく光学的性質、例えば、コレステリック液晶相の光学的性質は、層中において保持されていれば十分であり、硬化後のλ/4板または光反射層の液晶組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
光反射層の形成においては、上記の硬化により、コレステリック液晶相が固定されて、光反射層が形成される。ここで、液晶相を「固定化した」状態は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様である。それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、この層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の製造方法としては、他に、例えば、特開平1−133003号公報、特許3416302号、特許3363565号、特開平8−271731号公報に記載の方法を参照してもよい。
コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜は、輝度向上フィルムに含まれるλ/4板そのものを支持体として用いてを形成する。λ/4板表面に直接重合性液晶組成物を塗布してもよく、また、λ/4板上に形成された配向層に直接重合性液晶組成物を塗布してもよい。特に配向層表面に塗布することが好ましい。
2層以上の光反射層を形成する場合は、2層目以降の光反射層は先に形成された光反射層の表面に重合性液晶組成物を塗布して形成してもよく、光反射層の表面に配向層を形成し、形成された配向層の表面に重合性液晶組成物を塗布して形成してもよい。2層目以降の光反射層は別の支持体上で形成され先に形成された反射層に接着されていてもよい。
2層以上の光反射層を形成する場合は、同じ方向の円偏光を反射する組合せで用いることが好ましい。これにより各層で反射される円偏光の位相状態を揃えて各波長域で異なる偏光状態となることを防止でき、光の利用効率を高めることができる。
<配向層>
輝度向上フィルムは配向層を含む。配向層は、λ/4板に直接接している。配向層は光反射層の形成の際、重合性組成物中の液晶化合物の分子を配向させるために用いられる。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、SiOなどの無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も用いられている。
光反射層の上に直接光反射層を積層する場合、下層の光反射層が配向層として振舞い上層の光反射層の作製のための液晶化合物を配向させることができる場合もある。このような場合、配向層を設けなくても、また、特別な配向処理(例えば、ラビング処理)を実施しなくても上層の液晶化合物を配向することができる。
以下、好ましい例として表面をラビング処理して用いられるラビング処理配向層を説明する。
(ラビング処理配向層)
ラビング処理配向層に用いることができるポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
配向層のラビング処理面に前述の組成物を塗布して、液晶化合物の分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向層ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向層ポリマーを架橋させることで、前述の光学異方性層を形成することができる。
配向層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
−ラビング処理−
重合性液晶組成物が塗布される配向層、仮支持体、λ/4板、または光反射層の表面は、必要に応じてラビング処理をしてもよい。ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙や布で一定方向に擦ることにより実施することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。また、ラビング処理の際の条件としては、特許4052558号の記載を参照することもできる。
<ポジティブCプレート>
輝度向上フィルムは、反射偏光子およびλ/4板以外にポジティブCプレートを含んでいてもよい。
ポジティブCプレートは、nz>nx=nyを満たす屈折率を有するフィルムである。ポジティブCプレートは、垂直配向能を有する基材にホメオトロピック配向性の液晶組成物を塗布し、固化または硬化させることにより製造することができる。正のRthを有する光反射層と負のRthを有するλ/4板に加え、ポジティブCプレートを用いることにより、斜め方向から見た際の色味変化をさらに抑制することができる。
[輝度向上フィルムの応用]
輝度向上フィルムが液晶表示装置に設けられる場合、輝度向上フィルムはバックライトユニットとバックライトユニット側偏光子との間に設けられる。このとき、バックライトユニット、反射偏光子、λ/4板、バックライトユニット側偏光子、液晶セル、視認側偏光子がこの順になるように配置すればよい。
輝度向上フィルムを液晶表示装置に組み込んだとき、輝度向上フィルムは、以下のメカニズムで液晶表示装置の輝度を向上させる。
輝度向上フィルム中の反射偏光子に含まれるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層は、右円偏光または左円偏光の少なくとも一方(第一の偏光状態の円偏光)をその反射中心波長の近傍の波長帯域において反射し、他方(第二の偏光状態の円偏光)を透過させる。反射された第二の偏光状態の円偏光は、後述の反射部材(導光器、光共振器と言われることもある)によってその方向および偏光状態をランダム化され再循環され、反射偏光子によって再度第一の偏光状態の円偏光として一部が反射され、第二の偏光状態の円偏光として残りの一部が透過することによりバックライト側での光利用率を高め、液晶表示装置の明るさを向上させることができる。
反射偏光子から出射される光、すなわち反射偏光子の透過光および反射光の偏光状態は、例えばAxometrics社のAxoscanで偏光測定することで計測することができる。
液晶表示装置において、輝度向上フィルムのλ/4板の遅相軸とバックライトユニット側偏光子の吸収軸とのなす角は30〜60°であればよい。λ/4板とバックライトユニット側偏光子との間には、公知の偏光板保護フィルムの他、接着層が配されていてよい。例えば、偏光子の両面または片面に偏光板保護フィルムを有する偏光板と輝度向上フィルムのλ/4板とが接着剤により接着されていてもよい。または、輝度向上フィルムとバックライトユニット側偏光子とは、これらが一体となった光学シート部材として提供されていてもよく、光学シート部材において、λ/4板と偏光子との間には他の層があってもよいが、直接接していてもよい。
液晶表示装置を構成する液晶セル、バックライトユニット、偏光子(偏光板)、偏光板保護フィルム等については特に限定はなく、公知の方法で作製されるものや市販品を、何ら制限なく用いることができる。また、各層の間に、接着層等の公知の中間層を設けることも、もちろん可能である。
なお、上記のメカニズムから、液晶表示装置は、前述のバックライトユニットが光源の後部に、光源から発光されて輝度向上フィルムまたは前述の光学シート部材で反射された光の偏光状態の変換および反射をする反射部材を備えることが好ましい。バックライトユニットは、その他、公知の拡散板や拡散シート、プリズムシート(例えば、BEFなど)、導光器を備えていることも好ましい。これらの部材としては特に制限は無く、公知のものを用いることができ、例えば、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されているものを用いることができる。
輝度向上フィルムとバックライトユニットの間には、光反射層から反射された光の偏光状態を乱す層(たとえば延伸PETフィルムなどのレターデーションの高いフィルム)を入れることが、輝度を向上させる観点で好ましい。光反射層から反射された光の偏光状態を乱す層の平均屈折率と、 輝度向上フィルム中でもっともバックライト側にある光反射層の平均屈折率の関係が下記式を満たすことがさらに好ましい。
0<光反射層から反射された光の偏光状態を乱す層の平均屈折率−第三の光反射層の平均屈折率<0.2
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下の実施例において、各数値は以下の方法で測定した。
(ヘイズ)
ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
(フィルムのRe)
自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて波長550nmにおいて、幅方向に50mm間隔、流れ方向に長さ1000mmの範囲で50mm間隔で測定した。そして全測定結果を平均して面内方向レタ−デーションReを求めた。
(輝度向上率の測定)
液晶表示装置の正面輝度を、特開2009−93166号の〔0180〕に公報に記載の方法で測定した。すなわち、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、測定した白表示時の正面輝度を測定した。またレファレンスとして、輝度向上フィルムがない場合についても同様に輝度を測定した。測定対象の輝度向上フィルムを載置した際の輝度の、レファレンスの輝度に対する比を、輝度向上率として求めた。
(斜め色味変化の評価)
液晶表示装置の斜め色味変化Δu’v’は、以下の方法で評価した。色味座標u’、v’の値を正面(極角0度)と極角60度方向で差分をとった色味色差Δu’v’を方位角0〜360度方向で測定し、その平均値を斜め色味変化Δu’v’の評価指標とした。色味座標u’v’の測定には測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いた。その結果をもとに、以下の基準で評価した。
7:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化よりも40%以上少ない。
6:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化よりも35%以上40%未満少ない。
5:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化よりも30%以上35%未満少ない。
4:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化よりも20%以上30%未満少ない。
3:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化よりも10%以上20%未満少ない。
2:比較例101の液晶表示装置の斜め色味変化と同等以上である。
樹脂層I中の酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は赤外分光法のATR測定法で求めた。樹脂層Iに対してZnSeプリズムを用いて、45°入射光により、無水マレイン酸のカルボニルに帰属する1780cm-1付近のピーク強度とスチレンのベンゼン環のCH伸縮に帰属する3050cm-1付近のピーク強度を用いて算出した。なお、以下において、「酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位の含有量」は「酸無水物モノマーの含有量」(具体的には「無水マレイン酸の含有量」)として記載する。
(実施例1)
特開2009−288812号公報に記載の製造例2の1/4波長板において、樹脂「DaylarkD332の代わりに固有屈折値が負の樹脂P1(スチレン無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸含有量15質量%)を用いたこと以外は同様にして積層フィルム1を得た。
すなわち、ノルボルネン系重合体1からなる層(II層)、固有屈折値が負の樹脂P1(スチレン無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸含有量15質量%)からなる層(I層)、及び変性したエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱化学社製、商品名「モディックAP A543」、ビカット軟化点80℃)からなる接着剤層(III層)を有する、II層(30μm)−III層(6μm)−I層(150μm)−III層(6μm)−II層(30μm)の未延伸積層体の長尺巻状体を共押出し成形により得て、次いで、この未延伸積層体の長尺巻状体を、テンター延伸機を用いて、延伸温度138℃、延伸倍率1.5倍、延伸速度115%/minで幅方向に対して−13°方向へ斜め延伸を行い、これを3000mに渡ってロール状に巻き取って積層フィルム1を得た。
得られた積層フィルム1のReを測定したところ、137nmであった。
積層フィルム1の片面にコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理面に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布し、120℃で5分間乾燥し、得られた乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜を有する長尺の基材1を得た。
次いで、以下に示す組成で各成分を混合して得たコレステリック液晶組成物(X)を、基材1の配向膜を有する面にワイヤーバーにて塗布した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
コレステリック液晶組成物(X)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物B1 7.31質量部
棒状液晶化合物A2 30質量部
光重合開始剤(「IRG907」、BASF社製) 1.20質量部
カイラル剤(「LC756」、BASF社製) 2.22質量部
界面活性剤(「KH40」、セイミケミカル製) 0.04質量部
2−ブタノン溶媒 60.00質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2016031946
塗膜を100℃で5分間配向処理し、窒素雰囲気下で紫外線を照射した。10mJ/cm2の微弱な紫外線の照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理からなるプロセスの2回繰り返して反射帯域の広帯域化処理を行ったあと、紫外線照射により硬化し、乾燥膜厚5.3μmのコレステリック樹脂層を有する長尺の輝度向上フィルム1を得た。得られた輝度向上フィルム1について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。レファレンスに対して1.24倍の輝度向上があった。
(実施例2)
実施例1の樹脂P1の代わりに、樹脂P2(スチレン無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸含有量8質量%)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム2を得た。得られた輝度向上フィルム2について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(実施例3)
実施例1の樹脂P1の代わりに、樹脂P3(スチレン無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸含有量5質量%)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム3を得た。得られた輝度向上フィルム3について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(実施例4)
実施例1の樹脂P1の代わりに、スチレン無水マレイン酸共重合体(無水マレイン酸含有量40質量%)を用いて、それ以外は上記本願実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム4を得た。得られた輝度向上フィルム4について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(実施例5)
実施例1の(X)の棒状液晶化合物の代わりに、WO09/041512号記載の重合性液晶化合物(3)(下記構造)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム5を得た。
Figure 2016031946
得られた輝度向上フィルム5について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(実施例6)
実施例1の(X)の棒状液晶化合物の代わりに、WO09/041512号記載の重合性液晶化合物(5)(下記構造)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム6を得た。
Figure 2016031946
得られた輝度向上フィルム6について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例101)
特開2010−181710号公報に記載の実施例1−1の積層体1を輝度向上フィルム101とした。輝度向上フィルム101について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例102)
特開2011−118137号記載の実施例1の輝度向上フィルムを輝度向上フィルム102とした。輝度向上フィルム102について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例103)
実施例1の樹脂P1の代わりに、スチレン無水マレイン酸共重合体(無水マレイン酸含有量2質量%)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム103を作製した。輝度向上フィルム103について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例104)
積層フィルム1の代わりに特開2014−074729号公報記載の実施例のλ/4位相差板を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム104を作製した。輝度向上フィルム104について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例105)
積層フィルム1の代わりに特開2012−198282号公報記載の実施例1の延伸位相差フィルム1を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム105を作製した。輝度向上フィルム105について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(比較例106)
積層フィルム1の代わりに特開2011−242723号公報記載の実施例1の積層フィルム(FAB−1)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム106を作製した。輝度向上フィルム106について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。
(実施例7)
実施例1で得られた積層フィルム1に市販の垂直配向膜(JALS−204R、日本合成ゴム(株)製)をメチルエチルケトンで1:1に希釈したのち、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布した。直ちに、120℃の温風で120秒乾燥し、棒状液晶ホメオトロピック配向層を形成した。
配向膜上に、下記の棒状液晶化合物1.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのシクロヘキサン/シクロペンンタノン(=65/35(質量%))に溶解した溶液を、#2のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。
次に、架橋膜にラビング処理を行い、次いで製造例1で得たコレステリック液晶組成物(X)を、ラビング処理をした膜を有する面にワイヤーバーにて塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して反射帯域の広帯域化処理を行い、次いで紫外線照射により硬化し、乾燥膜厚5.3μmのコレステリック樹脂層を有する長尺の輝度向上フィルム7を得た。
得られた輝度向上フィルム7について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。反射偏光子法線方向からずれた斜めからの色味を実施例1と比較したところ、実施例1よりも色味が少なかった。
Figure 2016031946
(実施例8)
実施例1の(X)の棒状液晶化合物の代わりに、特開2011−207765号記載の重合性液晶化合物(A5−1)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム8を得た。
Figure 2016031946
得られた輝度向上フィルム8について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。反射偏光子法線方向からずれた斜めからの色味を実施例1と比較したところ、実施例1よりも色味が少なかった。
(実施例9)
実施例1の(X)の棒状液晶化合物の代わりに、WO2012/147904号パンフレット記載の重合性液晶化合物(化合物9)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム9を得た。
Figure 2016031946
得られた輝度向上フィルム9について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。反射偏光子法線方向からずれた斜めからの色味を実施例1と比較したところ、実施例1よりも色味が少なかった。
(実施例10)
実施例1の(X)の棒状液晶化合物の代わりに、WO2012/147904号パンフレット記載の重合性液晶化合物(化合物14)を用いて、それ以外は実施例1と同様の操作を行って、輝度向上フィルム10を得た。
Figure 2016031946
得られた輝度向上フィルム10について、120℃のオーブンで30秒の熱処理した後、ヘイズと輝度向上率を測定した。反射偏光子法線方向からずれた斜めからの色味を実施例1と比較したところ、実施例1よりも色味が少なかった。
各輝度向上フィルム中のλ/4板のRe、各輝度向上フィルムのヘイズ、輝度向上率、および斜め色味変化を以下表に示す。
Figure 2016031946

Claims (12)

  1. λ/4板と反射偏光子とを有する輝度向上フィルムであって、
    前記λ/4板は樹脂層Iを含み、
    樹脂層Iは固有複屈折値が負であるポリマーを含み、
    前記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する繰り返し単位を含み、
    前記ポリマーは酸無水物モノマーに由来する前記の繰り返し単位を5質量%以上50質量%以下含み、
    前記反射偏光子はコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を含み、
    前記光反射層は前記λ/4板に直接接する配向層を介して積層された層である
    輝度向上フィルム。
  2. 前記光反射層がコレステリック液晶相の螺旋ピッチが螺旋軸方向で徐々に変化しているピッチグラジエント層である請求項1に記載の輝度向上フィルム。
  3. 前記光反射層が前記配向膜表面に塗布された液晶化合物を含む重合性液晶組成物を硬化した層である請求項1または2に記載の輝度向上フィルム。
  4. 前記液晶化合物の固有複屈折率Δnが逆波長分散性である請求項3に記載の輝度向上フィルム。
  5. 酸無水物モノマーに由来する前記の繰り返し単位が以下式Iで表される請求項1〜4のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
    Figure 2016031946
  6. 前記ポリマーが以下式IIで表される繰り返し単位を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の輝度向上フィルム。
    Figure 2016031946
  7. 前記λ/4板が、脂環式構造を有する重合体、鎖状ポリオレフィン、セルロースアシレート、およびポリエステルセルロースアシレートからなる群から選択される化合物を含む樹脂層IIを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
  8. 前記λ/4板が、樹脂層II、樹脂層I、樹脂層IIをこの順で含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
  9. 前記光反射層が前記λ/4板上に設けられた配向膜表面で塗布成膜された層であり、
    樹脂層IIと前記配向層とが直接接しており、かつ前記配向層と前記光反射層とが直接接している請求項7または8に記載の輝度向上フィルム。
  10. 前記λ/4板の厚みが10〜300μmである請求項1〜9のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
  11. さらに、ポジティブCプレートを含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の輝度向上フィルムを含み、
    バックライトユニット、前記反射偏光子、前記λ/4板、バックライトユニット側偏光子、液晶セル、視認側偏光子を、この順に含む液晶表示装置。
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