JP2007027702A - レーザー発振用組成物とレーザー発振デバイス並びにその製造方法 - Google Patents

レーザー発振用組成物とレーザー発振デバイス並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コレステリック液晶を共振器構造として用いる発光性化合物レーザーにおいて、低分子コレステリック液晶の流動性の問題、高分子コレステリック液晶の分子配列における問題を解決し、さらに、発振波長を様々に変化させることを可能とする。
【解決手段】 式Z−O−CO−R−CO−O−Z(式中Zはコレステリル基、Rは炭素数2から30の2価の有機基を表す)で示されるジコレステリルエステル化合物と300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物を含有するレーザー発振用組成物とし、この組成物を少なくとも一枚が発光性化合物の発光帯域で透明な一対の基板間に挟み、コレステリック液晶性を示す温度から急冷却して固体レーザー発振デバイスを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、コレステリック液晶分子の自己組織的周期構造形成を利用するレーザー発振デバイスの製造に有用な、ジコレステリルエステル化合物と発光性化合物を含むレーザー発振用組成物とこれを用いた固体レーザー発振デバイス並びにその製造方法に関するものである。
有機電界発光デバイスや有機固体レーザーデバイスの発展に伴って、励起状態における有機分子の発光過程の重要性がますます高まっている。最近では、有機電界発光デバイスの次世代素子として電流注入型有機半導体レーザーが注目されており、これを達成するためには位相や伝搬方向をフィードバックさせる光共振器構造が必要不可欠とされている。
このような状況において、電流注入型有機レーザーデバイスの構築に先立ち、π電子共役系高分子や発光性化合物を添加した高分子などの発光材料を用いた光励起型レーザー発振に関する研究例が数多く報告されている。これまでにもDFB(Distributed Feedback)、DBR(Distributed Bragg Reflector)、マイクロディスクやマイクロリングといったさまざまな分布帰還型共振器構造が提案され、光励起によるレーザー発振が確認されている。しかしながら、これらの光共振器構造体を作製するためにはフォトリソグラフィー法などの煩雑な工程が必要とされ、簡便に得ることはできない。
一方で、コレステリック(キラルネマチック)液晶を用いたレーザー発振が注目されており、その研究も進展している。コレステリック液晶はキラル分子から創り出される超分子らせん構造を示し、ラビング処理した基板の間にコレステリック液晶を挟み込むと、自己組織的に分子らせん軸が基板に対して垂直に配向したプラーナー配向(グランジェン組織)が形成され、液晶分子のらせん軸に沿って屈折率が周期的に変動しているため光の干渉が起こり、ブラッグの反射条件を満たすある特定の光を選択反射することがよく知られている。反射バンドの中心波長(λmax)は式(1)に示すような液晶の平均屈折率(n)とらせんピッチ(p)で決定され、その波長帯(Δλ)は式(2)で表すようならせんピッチと複屈折(Δn)から求めることができる。
λmax=np, (1)
Δλ=Δnp, (2)
反射光はコレステリック液晶の掌性に強く依存し、式(1)および式(2)を満たす波長域において、液晶分子のらせんと同一方向の円偏光を選択的に反射し、らせんと反対方向の円偏光は透過する。コレステリック液晶のらせんピッチは温度や圧力といった外部刺激に応答し、それに附随して反射バンドの波長も変化する。
このようなコレステリック液晶のプレーナー配向は誘電率が周期的に変調された構造を自発形成しているため、一次元フォトニック結晶構造と見なすことができる。最近では、コレステリック液晶の自己組織化フォトニック結晶構造を利用したレーザー発振に関する研究が盛んになっている。コレステリック液晶を用いたレーザー発振の特徴として、特別な外部光共振器を必要としないことが挙げられる。従来のレーザー発振用コレステリック液晶は低分子および高分子コレステリック液晶に大別できる。低分子コレステリック液晶には流動性があり、温度、圧力、電圧に対してらせんピッチが変化する特徴を利用して外部刺激に対して発振波長を変化させることが可能なレーザー発振デバイスを作成することができる。しかし、同時に温度や圧力に対して発振波長が不安定でかつ流動性があるために取り扱いが限定されるという欠点を有していた。一方で、高分子コレステリック液晶では、ガラス化によって分子配列が固定され、流動性がなく、らせん周期が温度等の環境の変化に対して安定であるものが得られるという特徴を有する。しかし、液晶状態を取らせる際に、分子量が大きいことから分子の再配列に長時間がかかったり、光重合で分子の配列を固定する際に分子の配列が乱れ、共振器構造が不完全となるといった問題があった。
以上の従来の技術については以下の通りの公知文献を例示することができる。
特開2005−101464公報 Adv. Mater., 2002, 14, 745 Adv. Mater., 2002, 14, 306 Macromolecules, 2002, 35, 3022 Jpn. J. Appl. Phys., 2004, 43, 6084. Adv. Mater., 2004, 16, 791
本発明は、上記のような背景から、従来のコレステリック液晶を用いるレーザー発振における低分子コレステリック液晶の流動性の問題や、高分子コレステリック液晶の分子配列における問題点を解決し、さらに、発振波長を様々に変化させることを可能とする、コレステリック液晶を共振器構造として用いる新しいレーザー発振デバイスのための新しい技術手段を提供することを課題としている。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討したところ、以下の知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち、式、Z−O−CO−R−CO−O−Z(式中Zはコレステリル基、Rは炭素数2から30の2価の有機基を表す)で示されるジコレステリルエステル化合物と300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物を含有することを特徴とする組成物を少なくとも一枚が発光性化合物の発光帯域で透明な一対の基板間に挟みコレステリック液晶性を示す温度から急冷却することによって固体レーザー発振デバイスを得ることができ、このものは、励起レーザーの強度が低い値においてもレーザー発振することを見出した。さらに、この組成物を急冷却する際に急冷却開始温度を変化させることにより、得られた固体レーザー発振デバイスの発振波長が連続的かつ可逆的に制御できることを見出した。
そこで、本発明によれば、以下の発明が提供される。
第1:次式Z−O−CO−R−CO−O−Z(式中Zはコレステリル基、Rは炭素数2から30の2価の有機基を表す)で示されるジコレステリルエステル化合物と300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物を含有することを特徴とするレーザー発振用組成物。
第2:Rは、飽和もしくは不飽和の鎖状炭化水素基であることを特徴とする上記のレーザー発振用組成物。
第3:Rは、次式
Figure 2007027702
(式中のm,nおよびlは各々1以上の整数であり、m+n+lは26以下である。)のうちのいずれかで表わされる炭化水素基であることを特徴とするレーザー発振用組成物。
第4:上記第1から第3の発明のいずれかの組成物が、その少くとも一枚が300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物の発光帯域で透明性を有する一対の基板間に挟み込まれていることを特徴とする固体レーザー発振デバイス。
第5:上記第1から第3の発明のいずれかの組成物を、その少なくとも一枚が300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物の発光帯域で透明性を有する一対の基板間に挟み、コレステリック液晶性を示す温度から急冷却することを特徴とする固体レーザー発振デバイスの製造方法。
上記のとおりの本発明によれば、コレステリック液晶を共振器構造として用いるレーザーにおいて、低分子コレステリック液晶の流動性の問題や、高分子コレステリック液晶の分子配列における問題点を解決し、発振波長を様々に変化させることが可能となる。
本発明のレーザー発振用組成物においては、コレステリック液晶性化合物として、次式〔1〕で表わされるジコレステリルエステル化合物が含有される。
Z−O−CO−R−CO−O−Z 〔1〕
ここで、式中のZはコレステリル基を示す。Rは炭素数2から30の二価の有機基を示す。この場合の二価の有機基には、脂肪族基及び芳香族基が包含される。また、脂肪族基には、鎖状又は環状の飽和もしくは不飽和の二価の脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基が包含され、その炭素数は2〜30、好ましくは2〜22である。不飽和脂肪族基には、2重結合や3重結合を持ったものが包含される。飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基としては、たとえば上記のとおりの式で表わされる各種のものが好適に考慮される。この式においては、m,n,lは各々1以上の整数であり、m+n+lは26以下である。たとえば具体的には、−(CH2)8−、−(CH2)20−、−(CH2)6−CH=CH−(CH2)2−CH=CH−(CH2)6−,−(CH2)8−C≡C−C≡C−(CH2)8−等が例示される。
また、二価の芳香族基には、1つのベンゼン環を有する単環芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)から誘導される二価の炭化水素基や2つ以上、通常、2〜4個のベンゼン環を有する多環芳香族炭化水素(ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル等)から誘導される二価の炭化水素基が包含される。
なかでも、本発明においては、二価の有機基Rとしては、次式〔2〕で表わされる不飽和脂肪族基であるのが好ましい。
Figure 2007027702
式中のm及びnは独立して1以上の整数であり、そのmとnとの合計は26以下、好ましくは20以下であり、その下限値は4程度である。
本発明で特に好ましく用いられる液晶性化合物は、下記構造式〔3〕のジコレステリルエステル化合物である。
Figure 2007027702
式中のZはコレステロールから水酸基(OH)を除いた残基(コレステリル基)を示す。このコレステルエステル誘導体は、たとえばAdvanced Materials, 9(14), 1102(1997)に記載された方法によって合成することができる。すなわちコレステロールと相当するジカルボン酸化合物及びジシクロヘキシルカルボジイミド、4−ジメチルアミノピリジンを塩化メチレン中室温下で12時間程度撹拌し、得られた反応混合物から沈殿物をフィルターで分離後、溶液をシリカゲル(展開溶媒は塩化メチレン)のカラムクロマトグライフィーで精製することにより得ることができる。
本発明のレーザー発振用組成物に用いられる液晶性化合物としてのジコレステリルエステル化合物は、市販品として、あるいは公知方法、常法により合成されたものとして、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、必要に応じ、許容される範囲で他の液晶性化合物や非液晶性化合物等を混合することもできる。
たとえば、液晶化合物のみでは所望の波長域に反射バンドが現われにくい場合や、現われる温度範囲が狭いために十分正確に反射波長を制御して固定しにくい場合等においては非液晶性化合物を添加することが有効である。たとえば後述の実施例での4,4’−ジデカンオキシビフェニルやコレステロールがこのような非液晶性化合物に相当する。これらは、ホストとなる液晶性化合物の種類や固定する反射バンドの位置に応じて適宜な種類のものとして選択される。
また、本発明のレーザー発振用組成物には、各種の、300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物を含有する。300nm未満では多くの基板や液晶が光を吸収してしまうため通常は良好なレーザー発振が期待できない。また、300nm未満で発光する化合物、たとえば有機色素もあまり知られていない。なお、発光帯波長域の上限については特に限定されることはないが、発光性化合物のピーク波長を考慮すると、実際的には700nmまでとすることができる。つまり、実際的には、本発明においては300〜700nmの波長域に発光帯を有する化合物を用いることが好ましく考慮される。
なお、本発明のこれらの発光性化合物の発光帯が300nm以上の波長域であることについては、これら化合物を溶解した場合の吸収波長域の光で励起した際の発光ピーク波長として定義される。発光スペクトルの測定については、キセノンランプと回折格子の組合わせを用いることができる。
ちなみに、後述の実施例で用いている発光性化合物では、その吸収ピーク波長と発光ピーク波長は、それぞれ、
P597:525、557nm(エタノール)
DCM:472、644nm(エタノール)
NKX−2197:523、640nm(ジクロロメタン)
である。( )内は化合物を溶解した溶媒を示している。
以上のような発光性化合物としては、形成される固体デバイスにレーザー発振性を与えるものであれば、後述の実施例のものに限定されることなく、市販品、あるいは公知方法、常法により合成されたものとして、如何なるものでも使用することできる。たとえば、ローダミン−6G、ローダミン−B等のローダミン系発光性化合物、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン系発光性化合物、シアニン系発光性化合物、クレシルバイオレット等のオキサジン系発光性化合物、スチルベン、オキサゾール、オキサジアゾール等の誘導体、p−ターフェニル誘導体、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン)、ピロメテン、ピリジン、フルオレセン、キトン赤等があげられる。これらの発光性化合物は、上記のジコレステリックエステル化合物に対して、一般的には1×10-8〜50モル%の範囲で含有させることができる。
固体レーザー発振デバイスを構成する基板は、少なくとも一方が発光性化合物の発光帯域に対して透明性を有する一対のものが使用できる。たとえば、ガラス、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルムなどがあげられる。表面にポリイミドやポリビニルアルコールなどの配向膜を設けラビング処理をすることで、液晶分子の配向性を高めることも可能である。
固体レーザー発振デバイスは、2枚の基板間に発光性化合物を含有するジコレステリエステル化合物の液晶組成物を挟み、コレステリック液晶温度まで昇温してから急冷却して製造することができる。そして、組成物中には酸化防止剤等の添加物や厚みを制御するためのスペーサーを含有することができる。2枚の基板間に組成物を挟む方法としては、二枚の基板で組成物に温度をかけながらラミネートする方法や、一旦、一方の基板に溶液とした組成物をコーティングしてからもう一方の基板を張り付ける方法など様々な方法が考慮される。2枚の基板間に組成物を挟んだ後に液晶温度まで昇温する方法としては、ホットプレート、ロールや温風を用いるなど従来から知られた方法を用いることができる。また、冷却は、冷媒中に浸漬する方法、冷却プレートやロールに密着させる方法、冷風を当てる方法などを用いることができる。冷却速度は、コレステリック超分子らせん構造の周期の値や半値幅に影響を与え、結果的にレーザー発振の励起光強度のしきい値に影響を与えるため、十分に高いことが望ましい。冷却速度は好ましくは1℃/秒以上、更に好ましくは10℃/秒以上、最も好ましくは50℃/秒以上である。1℃/秒未満の冷却速度の場合は固定化の段階でらせん周期が変化しやすくなる。
そこで次に実施例によりさらに詳細に説明する。もちろん本発明は以下の例によって限定されるものではない。
<実施例1>
前記の式〔3〕で示される10,12−ドコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル(分子量:1099.8、ガラス転移温度:80℃):化合物1と4,4’−ジデカンオキシビフェニルの98.6:1.4重量比混合物をコレステリック液晶として用いた。蛍光発光性化合物としてはピロメテン597(P597)を用い、先に調整したコレステリック液晶に対してP597を0.4wt%の割合で混合し蛍光発光性化合物含有コレステリック液晶組成物とした。一方で、厚さ0.18mmガラス基板上に1.0wt%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液をスピン塗布し、一軸方向にラビング処理した基板を2枚作成した。前記蛍光発光性化合物含有コレステリック液晶組成物をこの二枚のガラス基板間に10ミクロンのスペーサーを介して挟持し、全体を125℃に加熱して溶触した後、82℃に保たれたホットステージ上に上記サンプルをのせたところ、全体が緑色の反射色を呈した。これをすばやく氷水に浸漬して急冷し(冷却速度:200℃/秒)、目的の固体レーザー発振デバイスを作成した。本試料は緑色の反射色を保ち、室温下、3カ月保存したが全く色変化せず安定であった。また同様にして得たサンプルを75℃下で2週間保存したが全く色変化せず安定であった。
作成した固体レーザー発振デバイスのレーザー発振を評価するために、励起光源(ポンプ光源)としてQスイッチ(Q-switched)Nd:YAGレーザーの第二高調波(New Wave Research; Polaris;波長532nm;パルス幅:6ns)を用いた。レーザー光を、固体レーザー発振デバイスの法線の斜め45°の方向から固体レーザー発振デバイスに入射し、凸レンズ4(f=80)を用いて集光した。固体レーザー発振デバイス上での集光直径は、約300μmであった。レーザー光を波長板、偏光プリズム、およびNDフィルターで調整し、光検出器(焦電型エネルギーアナライズシステム(Ophir Japan;PE9))を用いてその強度を検出した。固体レーザー発振デバイスからの発光を二つの凸レンズ(f=100)で集光し、ファイバー分光器(Ocean Optics;USB2000)で評価した。
蛍光性発光性化合物(P597)を添加したコレステリック液晶組成物および急冷却して得られる固体レーザー発振デバイスは、グランジェン組織(プラーナー配向)を示した。固体レーザー発振デバイスの反射スペクトルを測定することにより、580nmに長波長側のエッジを示す光選択反射バンドが存在することを確認できた。このことは、コレステリック液晶のらせん軸が基板に対して垂直方向に配向していることを示している。また、キセノンランプの定常光励起による発光スペクトルは、555nmの極大発光波長を中心にして長波長側は630nm程度まで広がった発光バンドを示した。したがって、この固体レーザー発振デバイスの反射バンドは、P597発光性化合物の発光スペクトル中に十分に重なっている。
この固体レーザー発振デバイスを0.09μJ/pulseのNd:YAGパルスレーザーで光励起すると、P597発光性化合物の蛍光スペクトルの中に反射バンド由来の発光の抑制とバンド端での発光の増強が観察できた。これは、発光性化合物発光の光子がコレステリック液晶のらせん構造中に局在化しており、コレステリック液晶の反射バンドが一次元フォトニックバンドギャップとして機能していることを示唆している。
その後、光励起エネルギーを0.12μJ/pulseに増加すると、線幅の狭い発光スペクトルに急変した。発光波長は565nmであり、液晶の反射バンドの長波長端と一致していた。
次いで、光励起エネルギーに対する液晶セルの発光強度およびスペクトル線幅を詳細に検討した。上記固体レーザー発振デバイスにおいて、レーザー発振に要する光励起エネルギーのしきい値は約0.1μJ/pulseであった。レーザー発振前後では、発光強度は数千倍に増加するとともに、そのスペクトル線幅は55nmから0.8nmに急減した。したがって、液晶セル内の分配フィードバック(DFB)効果により、コレステリック液晶から反射バンド端でレーザー発振したものと考えられる。
<実施例2>
ラビング処理したポリビニルアルコールの配向膜を用いない以外は、実施例1と同様にデバイスの作成を行い、レーザー発振特性を測定した。その結果、レーザー発振は起こすものの、レーザー発振のしきい値は1.9μJ/pulseと上昇し、また、単一波長の発光ではなく、数種のレーザー発光が重なったスペクトルを示した。
<実施例3>
実施例1において、蛍光色素P597の代わりに4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−ジメチルアミノスチリル−4H−ピラン(DCM)またはベンゾキノリジン誘導体NKX-2197(株式会社林原生物化学研究所製)の各々を用いて液晶セルを作成したところ、各々、実施例1と同様にコレステリック反射バンドの長波長側のエッジが蛍光色素の発光スペクトル内に重なった固体レーザー発振デバイスであることを確認した。
<実施例4>
実施例1において、コレステリック液晶組成物として用いた化合物1と4,4’−ジデカンオキシビフェニルの代わりに、次式の化合物2とコレステロールを重量比5:1で混合した組成物を用いて液晶セルを作成したところ、実施例1と同様にコレステリック反射バンドの長波長側のエッジが蛍光色素の発光スペクトル内に重なった固体レーザー発振デバイスであることを確認した。
Figure 2007027702
<実施例5>
実施例1において、コレステリック液晶組成物として用いた化合物1と4,4’−ジデカンオキシビフェニルの代わりに、次式の化合物3を用いて液晶セルを作成したところ、実施例1と同様にコレステリック反射バンドの長波長側のエッジが蛍光色素の発光スペクトル内に重なった固体レーザー発振デバイスであることを確認した。
Figure 2007027702

Claims (5)

  1. 次式、Z−O−CO−R−CO−O−Z(式中Zはコレステリル基、Rは炭素数2から30の2価の有機基を表す)で示されるジコレステリルエステル化合物と300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物を含有することを特徴とするレーザー発振用組成物。
  2. Rは、飽和もしくは不飽和の鎖状炭化水素基であることを特徴とする請求項1のレーザー発振用組成物。
  3. Rは、次式
    Figure 2007027702
    (式中のm,nおよびlは各々1以上の整数であり、m+n+lは26以下である。)のうちのいずれかで表わされる炭化水素基であることを特徴とする請求項2のレーザー発振用組成物。
  4. 請求項1から3のうちのいずれかの組成物が、その少くとも一枚が300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物の発光帯域で透明性を有する一対の基板間に挟み込まれていることを特徴とする固体レーザー発振デバイス。
  5. 請求項1から3のうちのいずれかの組成物を、その少なくとも一枚が300nm以上の波長域に発光帯を有する化合物の発光帯域で透明性を有する一対の基板間に挟み、コレステリック液晶性を示す温度から冷却することを特徴とする固体レーザー発振デバイスの製造方法。
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