JP2002193994A - ジコレステリルエステル化合物及び記録表示材料 - Google Patents

ジコレステリルエステル化合物及び記録表示材料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色が低温域で再現でき、色の経時安定性が高
く、書き換え可能な特定の色による記録又はフルカラー
記録を達成するジコレステリルエステル化合物及び記録
表示材料を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるジコレステ
リルエステル化合物。 YO−CO(CH2n−O−R−O−(CH2mCO−OY……(1) (式中、Yはコレステロールからそれに結合する水酸基
を除いて得られるコレステロール残基を示し、Rはo−
フェニレン又はm−フェニレンを示し、n、mは、それ
ぞれ同一または異なって、1〜20の整数を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶性化合物であ
るジコレステリルエステル化合物及び書き換え可能な感
熱式の特定の色又はフルカラーによる記録表示材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】フルカラーを記録することが可能で書き
換えが不可能な記録材料としてはカラー写真やカラーコ
ピーが知られている。書き換えが可能でフルカラーでは
ない記録材料としては、ベヘン酸等の長鎖アルキルカル
ボン酸誘導体を含む感熱記録材料やスピロピラン誘導体
等のフォトクロミック化合物を利用した光記録材料、そ
の他、磁気や光磁気等のメモリー材料が知られている。
【0003】これまでの記録材料はフルカラーと書き換
え可能な特性を両立するものではなかった。確かに表示
材料の中にはテレビや液晶表示等のように表示が変化
し、かつフルカラーのものが存在するが財布の中に収ま
る程度の薄いカードとして用いたり電源なしにいつまで
も安定に画像を表示しておくことはできないため、記録
材料の代わりに使うことはできなかった。
【0004】近年、液晶性化合物を用いる新しい方法で
書き換え可能なフルカラー記録が達成された(特開平1
1−24027号公報、特許第2946042号公報、
特開2000−7613号公報)。
【0005】上記公報によれば、液晶物質が示すコレス
テリック相の干渉色を0℃付近まで急冷することにより
固定することが可能であるが、コレステリック相を示す
温度が比較的高温であり、記録用サーマルヘッドの温
度、急冷操作からの制約により、より低温でコレステリ
ック相を示し、かつ種々の色が安定に固定できる液晶物
質が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題に鑑み、色が低温域で再現でき、色の経時安定性が
高く、書き換え可能な特定の色による記録又はフルカラ
ー記録を達成するジコレステリルエステル化合物及び記
録表示材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)で表されるジコレステリルエステル化合物 YO−CO(CH2n−O−R−O−(CH2mCO−OY……(1) (式中、Yはコレステロールからそれに結合する水酸基
を除いて得られるコレステロール残基を示し、Rはo−
フェニレン又はm−フェニレンを示し、n、mは、それ
ぞれ同一または異なって、1〜20の整数を示す。)及
び、上記ジコレステリルエステル化合物を含むことを特
徴とする記録表示材料である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のジコレステリルエステル
化合物は、下記一般式(1)で表される。 YO−CO(CH2n−O−R−O−(CH2mCO−OY……(1) (式中、Yはコレステロールからそれに結合する水酸基
を除いて得られるコレステロール残基を示し、Rはo−
フェニレン又はm−フェニレンを示し、n、mは、それ
ぞれ同一または異なって、好ましくは同一であって、1
〜20の整数、好ましくは3〜11の整数を示す。)
【0009】本発明の化合物は、例えば、以下に示す方
法によって合成される。
【0010】まず、コレステロールとトリエチルアミン
をベンゼン中5℃で撹拌し、ω−ブロモアルカン酸クロ
リドを滴下後5℃で30分、さらに室温で16時間撹拌
する方法、又はω−ブロモアルカン酸とコレステロール
及びジシクロヘキシルカルボジイミド、4−ジメチルア
ミノピリジンを塩化メチレン中室温下で16時間撹拌す
る方法で、相当するコレステリルエステルを得る。
【0011】次に、カテコール又はレゾルシンとコレス
テリルエステル化合物を、炭酸カリウムの存在する2−
ブタノール中、加熱撹拌し、得られた反応混合物をシリ
カゲル(展開溶媒は塩化メチレン)のカラムクロマトグ
ラフィーで精製して相当するジコレステリルエステル誘
導体が得られる。
【0012】また、下記一般式(2)で表される、ジア
ルコキシベンゼン部を含有する長鎖二塩基酸(以下、単
に長鎖二塩基酸とも言う)とコレステロールとを縮合反
応させることによっても合成される。 HOOC−(CH2n−O−R−O−(CH2m−COOH……(2) (式中、Rはo−フェニレン又はm−フェニレンを示
し、n、mは、それぞれ同一または異なって、好ましく
は同一であって、1〜20の整数、好ましくは3〜11
の整数を示す。)
【0013】前記長鎖二塩基酸は、従来公知の化合物で
あり、例えば、相当するω−ブロモアルカン酸とカテコ
ール又はレゾルシンを水酸化ナトリウムの存在下、エタ
ノール中で78℃で反応させることにより得ることがで
きる。
【0014】また、前記長鎖二塩基酸は、ω−ブロモア
ルカン酸エチルとカテコール又はレゾルシンとを反応さ
せることによっても得ることができる(S.Bhatt
acharya and S.De,Chem.Com
mun.,1283,1996)。
【0015】前記した長鎖二塩基酸とコレステロールと
を縮合反応させる場合、コレステロールの使用割合は、
長鎖二塩基酸1モル当り、2〜4モル、好ましくは2〜
2.5モルの割合である。この反応は、塩化メチレン等
の反応溶媒を用い、ジシクロヘキシルカルボジイミド及
び4−ジメチルアミノピリジンの存在下、室温下で12
時間程度撹拌することにより実施される。この場合、ジ
シクロヘキシルカルボジイミドは二塩基酸を活性化させ
る作用を示し、その使用量は、コレステロール1モル当
り、1〜2モルの割合である。一方、4−ジメチルアミ
ノピリジンは、縮合触媒として作用し、その使用量は、
コレステロール1モル当り、0.1〜0.2モルの割合
である。
【0016】本発明の化合物は、液晶性化合物であり、
加熱温度に応じて、特定の色又は可視域全域の色(フル
カラー)を再現できる。また、その色(反射光)を固定
化することができ、フルカラー又は特定の色に固定でき
る感熱記録表示材料として用いることができる。
【0017】本発明の記録表示材料は、上記化合物を含
んでなり、本発明の化合物単独又は混合物の形態で用い
られる。混合物として用いる場合、混合する化合物とし
ては、他のジコレステリルエステル等の液晶化合物や、
コレステロール等がある。また、色素、酸化防止剤等の
添加剤を含むことができる。この場合、本発明の化合物
の量は90重量%以上であることが好ましい。
【0018】本発明の記録表示材料の態様としては、例
えば、少なくとも一方が透明な部分を有する二枚の基板
間に、少なくとも上記化合物を挟持してなる記録表示材
料が挙げられる。
【0019】本発明に用いる基板は、通常、薄いガラス
板などが使われるが、金属板や、高分子フィルムなどの
薄膜でもよい。また、二枚のうち一枚は少なくとも一部
の光が透過するような透明性が必要である。また、後に
述べるように記録の書き込みや消去に光を使う場合には
一方の基板が光を吸収することが望ましい。
【0020】本発明の化合物を二枚の基板間にはさむ方
法としては、まず本発明の化合物もしくはそれを含む混
合物を溶融状態かもしくは液晶状態の温度に加熱し、一
方の基板上に流延し、その上にもう一方の基板をのせる
か、平行に保たれた二枚の基板間に減圧やキャピラリー
現象を利用して挿入する方法等がある。
【0021】基板間の間隔は特に限定されるものではな
いが数μmから100μm程度が望ましい。
【0022】本発明の記録表示材料は、部分的もしくは
全体的な加熱により記録(書き込み)や記録の表示を行
うことが可能である。その加熱には、サーマルヘッド、
加熱ロール、レーザー光線などあらゆる方法が可能であ
る。また、液晶温度範囲への温度コントロールが必要な
加熱は、サーマルヘッドや加熱ロール等の温度をコント
ロールするかレーザー光線の強度やスポット径を調節す
ること、もしくは全体を一定の温度まで加熱した後でイ
メージ状の平らな金属板やゴム板で必要な温度まで降温
することで可能である。
【0023】一方、本発明化合物の呈色を固定化させる
ためには、その化合物をそのガラス転移温度以下へ急冷
することが必要であるが、このためには、全体を冷媒や
冷却された雰囲気中に浸漬する方法や、一部を冷却され
たヘッドに接触させる方法等が採用される。
【0024】また、本発明の記録表示材料の他の態様と
しては、高分子化合物膜やその他の成形体に本発明の化
合物もしくはそれを含む混合物を分散させた分散体が挙
げられる。
【0025】本発明の記録表示材料は、例えば、カー
ド、オーバーヘッドプロジェクト用のシート、ラベル、
チケット等として用いることができ、必要に応じ、保護
層、裏面層等を更に設けてもよい。例えば、ラベルの場
合、記録表示材料の裏面に接着剤層を介して台紙が設け
られる。磁気チケットの場合、上記台紙に代えて、バイ
ンダーと強磁性紛体からなる磁気記録層が設けられる。
【0026】
【実施例】(実施例1) <2−(3−コレステリルオキシカルボニルプロピルオ
キシ)フェノキシヘキサン酸コレステリルエステルの合
成>4−ブロモ−n−酪酸2.5g(0.015mo
l)とコレステロール5.8g(0.015mol)及
びジシクロヘキシルカルボイミド3.1g(0.015
mol)を塩化メチレン60mlに溶解し、縮合触媒と
して4−ジメチルアミノピリジン0.18g(0.00
15mol)を加えて、室温で16時間撹拌し、エタノ
ールで再結晶してコレステリルエステル5.9gを得
た。
【0027】得られたコレステリルエステル1.07g
(0.002mol)とカテコール0.11g(0.0
01mol)、炭酸カリウム0.55g(0.004m
ol)を2−ブタノン10mlに混合し、加熱環流下、
42時間撹拌した。得られた粗製物をシリカゲル(展開
溶媒は塩化メチレン)のカラムで精製して、ジコレステ
リルエステルである2−(3−コレステリルオキシカル
ボニルプロピルオキシ)フェノキシヘキサン酸コレステ
リルエステル0.1g(0.0001mol)を得た。
【0028】(実施例2) <2−(5−コレステリルオキシカルボニルペンチルオ
キシ)フェノキシヘキサン酸コレステリルエステルの合
成>6−ブロモ−n−カプロン酸10.5g(0.05
2mol)とコレステロール19.2g(0.052m
ol)及びジシクロヘキシルカルボイミド10.8g
(0.052mol)を塩化メチレン280mlに溶解
し、縮合触媒として4−ジメチルアミノピリジン0.3
0g(0.0028mol)を加えて、室温で15時間
撹拌し、エタノールで再結晶してコレステリルエステル
18gを得た。
【0029】得られたコレステリルエステル1.1g
(0.002mol)とカテコール0.11g(0.0
01mol)、炭酸カリウム0.55g(0.004m
ol)を2−ブタノン10mlに混合し、加熱環流下、
63時間撹拌した。得られた粗製物をシリカゲル(展開
溶媒は塩化メチレン)のカラムで精製して、ジコレステ
リルエステルである2−(5−コレステリルオキシカル
ボニルペンチルオキシ)フェノキシヘキサン酸コレステ
リルエステル0.6g(0.00056mol)を得
た。
【0030】(実施例3)2−(3−コレステリルオキ
シカルボニルプロピルオキシ)フェノキシヘキサン酸コ
レステリルエステルを厚さ0.18mmの二枚のガラス
板間にはさみ、全体を150℃に加熱して溶融し、試料
部の厚さが20ミクロンとなるように調製した。
【0031】次に140℃に保たれたホットステージ上
にサンプルをのせると全体が青色を呈した。その後、サ
ンプルをすばやく氷水に浸せきしたところ、サンプルは
固化し青色の状態がそのまま固定された。反射スペクト
ルを測定したところ450nmに極大を有する波長域の
光を反射していることがわかった。
【0032】同様にホットステージの温度を95℃、9
1℃に保った状態でサンプルの色を固定したところ、そ
れぞれ反射スペクトルの極大の波長が472nm、52
0nmに固定できた。
【0033】表1に、液晶温度範囲、呈色状態及び波長
域を示す。
【0034】(実施例4)2−(5−コレステリルオキ
シカルボニルペンチルオキシ)フェノキシヘキサン酸コ
レステリルエステルを厚さ0.18mmの二枚のガラス
板間にはさみ、全体を130℃に加熱して溶融し、試料
部の厚さが20ミクロンとなるように調製した。
【0035】次に125℃に保たれたホットステージ上
にサンプルをのせると全体が青色を呈した。その後、サ
ンプルをすばやく氷水に浸せきしたところ、サンプルは
固化し青色の状態がそのまま固定された。反射スペクト
ルを測定したところ415nmに極大を有する波長域の
光を反射していることがわかった。
【0036】同様にホットステージの温度を70℃、4
0℃に保った状態でサンプルの色を固定したところ、そ
れぞれ反射スペクトルの極大の波長が452nm、57
5nmに固定できた。
【0037】表1に、液晶温度範囲、呈色状態及び波長
域を示す。
【0038】(実施例5)実施例1と同様にして、表1
に示すジコレステリルエステル化合物を製造し、実施例
3と同様に色の固定を行った。それぞれの液晶温度範
囲、呈色状態及び波長域を表1に示す。尚、比較のた
め、R=p−フェニレンであるジコレステリルエステル
化合物も同様に評価した。
【0039】表1に示す様に、メチレン鎖の長さが同じ
であれば、本発明の化合物は、R=p−フェニレンであ
る化合物に比べ、低温で液晶状態となる。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上説明のように、本発明によれば、書
き換え可能な特定の色による記録又はフルカラー記録を
達成することができ、しかも色が低温域で再現でき、色
の経時安定性にも優れる。また、本発明の化合物を用い
ることにより、記録表示に使用可能な材料の選択範囲を
広げることができ、更には色を固定できる温度域及び波
長範囲に多様性をもたらすことができる。
【0042】従って、カードなどにフルカラーの写真が
記録でき自由に書き換えることが可能である。またオー
バーヘッドプロジェクト用のシートとして用いた場合、
カラーで複数回書き換えて用いることも可能となり環境
問題の解決のためにも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 597072464 松田 宏雄 茨城県つくば市上ノ室1966番地8 (74)上記3名の代理人 100096828 弁理士 渡辺 敬介 (外2名) (72)発明者 高橋 敦 東京都文京区小石川4丁目14番12号 共同 印刷株式会社内 (72)発明者 玉置 信之 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 松田 宏雄 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 2H048 CA04 CA09 CA14 CA19 2H088 EA12 EA62 MA20 2H111 HA07 HA14 HA18 HA21 HA34 4C091 AA02 BB06 CC01 DD01 EE05 FF01 GG01 HH01 JJ03 KK01 LL01 MM03 NN01 PA02 PA05 PB05 QQ01 4H027 BB07 BC08 BD24 DM01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジコレステ
    リルエステル化合物。 YO−CO(CH2n−O−R−O−(CH2mCO−OY……(1) (式中、Yはコレステロールからそれに結合する水酸基
    を除いて得られるコレステロール残基を示し、Rはo−
    フェニレン又はm−フェニレンを示し、n、mは、それ
    ぞれ同一または異なって、1〜20の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のジコレステリルエステ
    ル化合物を含むことを特徴とする記録表示材料。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方が透明な部分を有する二
    枚の基板もしくは薄膜の間に、少なくとも前記ジコレス
    テリルエステル化合物を挟持してなることを特徴とする
    請求項2に記載の記録表示材料。
  4. 【請求項4】 透明な部分を有する成形体に、少なくと
    も前記ジコレステリルエステル化合物を分散してなるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の記録表示材料。
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