JP5452054B2 - 有機−無機ハイブリッド自立膜 - Google Patents

有機−無機ハイブリッド自立膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5452054B2
JP5452054B2 JP2009082365A JP2009082365A JP5452054B2 JP 5452054 B2 JP5452054 B2 JP 5452054B2 JP 2009082365 A JP2009082365 A JP 2009082365A JP 2009082365 A JP2009082365 A JP 2009082365A JP 5452054 B2 JP5452054 B2 JP 5452054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
organic
film
inorganic hybrid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009082365A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009287008A (ja
Inventor
澤田  真
大成 西見
次郎 塚原
修二 金山
律子 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009082365A priority Critical patent/JP5452054B2/ja
Priority to US12/433,512 priority patent/US8119248B2/en
Publication of JP2009287008A publication Critical patent/JP2009287008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5452054B2 publication Critical patent/JP5452054B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0079Manufacture of membranes comprising organic and inorganic components
    • B01D67/00793Dispersing a component, e.g. as particles or powder, in another component
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0079Manufacture of membranes comprising organic and inorganic components
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31855Of addition polymer from unsaturated monomers

Description

本発明は、有機−無機ハイブリッド自立膜、およびその製造方法に関するものである。より詳しくは、特定のモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーと、金属アルコキシドの加水分解縮合物とを主構成成分として含む有機−無機ハイブリッド自立膜、およびその製造方法に関する。
近年、膜厚がナノメートルからマイクロメートルオーダーの自立性の薄膜(以下、自立膜とも称する)への関心が高まっている。このような自立膜は、エレクトロニクス分野、環境分野、生命科学分野などの種々の先端分野において重要な材料の一つと位置づけられており、その実用的な応用が期待されている。例えば、海水から真水を製造する逆浸透膜や、ガスやイオンなどの分離膜などへの応用や、センサーや表示デバイスなどの構造部材への応用などが挙げられる。
一方、自立膜の製造において、膜厚をナノメートルオーダーで均一に制御することは難しく、膜厚が薄くなるに従い、膜にピンホールなどが生じやすくなる。また、自立膜自体が脆くなり、強度が不足するなどの問題が生じやすい。機械的強度および柔軟性を有する自立膜を得るための手段として、非特許文献1においては有機ポリマーと無機化合物との複合膜、いわゆる有機−無機ハイブリッド薄膜の利用が提案されている。なお、有機無機ハイブリッド材料とは、無機化合物の持つ優れた耐熱性や機械的強度と、有機化合物の持つ優れた柔軟性や化学的特性を併せ持つ、従来にはない新しい材料を意味する(特許文献1)。非特許文献1においては、水酸基を有するモノマーとジルコニア前駆体の混合物をスピンコートして、モノマーのラジカル重合とジルコニア前駆体の加水分解縮合反応を同時に進行させ、ナノメートルオーダーの膜厚を有する薄膜を作製している。
特開平10−306109号公報
R. Vendamme, et. al. "Robust free-standing nanomembrances of organic/inorganic interpenetrating networks" Nature materials, 2006年, 第5巻, p.494-501頁
しかしながら、非特許文献1においては、得られている自立膜中においてジルコニア酸化物が数十nmのサイズのドメインとして存在していることが報告されている。つまり、自立膜中における有機成分と無機成分との分散性は必ずしも満足できるものではなく、さらなる改良が望まれていた。
また、非特許文献1では水酸基を有する特定のモノマーについてのみ開示されているに過ぎず、他の機能性モノマーに対する効果を示唆する記載はない。本発明者らが非特許文献1に記載の手法を用いて、種々の機能性モノマーについて検討を行ったところ、有機ポリマーと無機化合物とが混じりあわずに、膜内で相分離した構造が形成され、十分な機械的強度を有する膜が得られない場合があることを見出した。また、水酸基を有するモノマーと機能性モノマーとを組み合わせて自立膜の作製を行った場合でも、得られた自立膜は脆く、割れ易く十分な面積を持つ自立膜を得ることは困難であった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて、機械的強度および柔軟性に優れ、十分な面積を有する自立膜、および種々の機能性モノマーに適用可能な該自立膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来法において所望の効果が得られない原因を検討し、有機成分と無機成分との相互作用を強める点に着目して鋭意検討を行った。その結果、特定の官能基を有するモノマーを使用することにより十分な機械的強度と柔軟性を併せ持つ有機−無機ハイブリッド自立膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
つまり、本発明者らは、上記課題が下記の<1>〜<7>の構成により解決されることを見出した。
<1> 一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーと、金属アルコキシドの加水分解縮合物とを含有する有機−無機ハイブリッド自立膜。
(一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Xは、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
(一般式(A)中、Raは水素原子、重合性基を有しない置換基、またはAc−O−Y−を表す。nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。*はLとの結合位置を示す。Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。)
(一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。*はLとの結合位置を示す。)
<2> 前記金属アルコキシドに含まれる金属原子が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、および鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子である<1>に記載の有機−無機ハイブリッド自立膜。
<3> 前記有機−無機ハイブリッド自立膜の膜厚が、10nm〜3μmである<1>または<2>に記載の有機−無機ハイブリッド自立膜。
<4> 一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液を基板上に塗布して膜を形成する工程と、該膜を硬化させる工程と、該基板上より硬化した膜を剥離する工程とを備える、<1>〜<3>のいずれかに記載の有機−無機ハイブリッド自立膜を製造する有機−無機ハイブリッド自立膜の製造方法。
(一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Xは、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
(一般式(A)中、Raは水素原子、重合性基を有しない置換基、またはAc−O−Y−を表す。nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。*はLとの結合位置を示す。Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。)
(一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。*はLとの結合位置を示す。)
<5> 前記基板が、表面上に剥離層を有する基板である<4>に記載の有機−無機ハイブリッド自立膜の製造方法。
<6> 一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む前記溶液が、非水系溶媒を用いた溶液である<4>または<5>に記載の有機−無機ハイブリッド自立膜の製造方法。
<7> 一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液を基板上に塗布して膜を形成する工程と、該膜を硬化させる工程と、該基板上より硬化した膜を剥離する工程とを含む方法により得られる有機−無機ハイブリッド自立膜。
(一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Xは、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
(一般式(A)中、Raは水素原子、重合性基を有しない置換基、またはAc−O−Y−を表す。nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。*はLとの結合位置を示す。Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。)
(一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。*はLとの結合位置を示す。)
本発明によれば、機械的強度および柔軟性に優れ、十分な面積を有する自立膜、および種々の機能性モノマーに適用可能な該自立膜の製造方法を提供することができる。
実施例1で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例2で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例3で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 比較例1で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 比較例2で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 図6(a)および(b)は、比較例2で得られた自立膜の切片の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図6(b)は図6(a)中のA枠内の高倍率写真である。 図7(a)および(b)は、実施例3で得られた自立膜の切片の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図7(b)は図7(a)中のB枠内の高倍率写真である。 実施例4で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例5で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例6で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例7で得られた自立膜の表面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、主に、一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーと、金属アルコキシドの加水分解縮合物(無機化合物)とより構成されている。一般的には、有機ポリマーと無機化合物は相溶性に乏しいため、単純に両者を混合するだけでは有用な材料を得ることが難しい。本発明における有機−無機ハイブリッドとは、有機ポリマーなどの有機成分と金属アルコキシドの加水分解縮合物の無機成分とを組み合わせて、双方の特性を持った材料を合成する考え方である。特に、光の波長以下(〜約750nm以下)のナノスケールで有機成分と無機成分を混合することにより、光学的にも透明で有用な材料が得られることが期待できる。
以下に、本発明で使用される一般式(1)で表されるモノマー、金属アルコキシドおよびその部分加水分解縮合物などについて詳述する。
<一般式(1)で表されるモノマー>
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーを含む。有機ポリマー中の一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位は、以下の一般式(2)で表される。
なお、該ポリマーは一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を2種以上有していてもよい。
(一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Xは、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
(一般式(A)中、Raは水素原子、重合性基を有しない置換基、またはAc−O−Y−を表す。nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。*はLとの結合位置を示す。Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。)
(一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。*はLとの結合位置を示す。)
一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20で、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜3である。ここで、アルキル基は分岐していてもよく、またヘテロ原子で置換されていてもよく、さらに不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。なかでも、Rとしてより好ましくは、水素原子、メチル基である。
一般式(1)中、Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。連結基としては、具体的に、アルキレン基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。)、−O−、−S−、アリーレン基(フェニレン基など)、−CO−、−NH−、−SO−、−COO−、−CONH−、−C≡C−、−N=N−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基などが挙げられる。)が挙げられる。
なかでも、−O−、アルキレン基、−CONH−、−COO−、アリーレン基、またはこれらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。Lが単なる結合手の場合、一般式(1)のXがCと直接結合することをさす。
一般式(1)中、Xは、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。
一般式(A)中、Raは水素原子、重合性基を有しない置換基、またはAc−O−Y−を表す。重合性基を有しない置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、またはこれらを組み合わせた基などを挙げることができる。好ましいのはアルキル基、アルコキシ基であり、さらに好ましいのはアルコキシ基である。
アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキル基である。アルキル基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アリール基の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。アリール基の具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アルコキシ基のアルキル部分、アリールオキシ基のアリール部分については、上記アルキル基とアリール基の説明をそれぞれ参照することができる。
一般式(A)中、Raで表されるAc−O−Y−のうち、Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。好ましくはメタクリロイル基である。
また、Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。Yの炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。Yがとりうるアルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基のアルキレン部分の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。アルキレン基は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、好ましいのは直鎖アルキレン基である。
なお、Ac−O−Y−のうちOは酸素原子を表す。
一般式(A)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。nは、好ましくは1である。nは、好ましくは1である。なお、例えば、nが1で、nが1で、Rが水素原子の場合、一般式(A)は−O−PO(OH)(リン酸基)を表す。また他には、一般式(A)は−O−PO(OR)OH(リン酸エステル基)を表す。
一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。nは、好ましくは0である。nは、好ましくは1である。なお、例えば、nが1で、nが1の場合は、一般式(B)は−O−S(O)OHを表す。nが1で、nが0の場合は、一般式(B)は−O−S(O)OHを表す。
一般式(1)中、Xは、得られる自立膜中における有機ポリマーと無機化合物との分散性がよい点で、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基が好ましい。なお、これらの基は水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよい。
上述のXで表される官能基の性質としては、概して、比較的低い酸解離定数(pKa)を示すものが好ましい。好ましくはpKaの値が10以下であり、より好ましくは3以下である。pKaの下限については特に限定されないが、−10以上が好ましい。ここでいうpKaとは25℃水中での値である。Xで表される官能基として、例えば、R−O−P(=O)(-OH)のpKaは2〜3(一つ目の酸解離定数)に、R−COOHのpKaは4〜5に示される。一方、R−OHのpKaは15〜16に示される。詳細については不明だが、低いpKaを示す官能基を用いることにより、得られる自立膜のヒビ割れなどがより抑制される。これは自立膜中における有機ポリマーと無機化合物との相互作用が強化されて、それに伴い相分離が抑制され、有機成分と無機成分との分散性がより向上したと推測される。なお、pKa値は、沢木泰彦著“基礎化学コース 物理有機化学”(1999年 丸善)47〜60ページなどに記載されている定義に従って表される値で、さまざまな化合物のpKa値は、M. B. Smith, J. March著“March's Advanced Organic Chemistry 5th edition”(2001年 John Wiley & Sons)329ページのTable8.1およびその引用文献に記載されており、ここから置換基のpKa値が導出される。記載されていない化合物のpKa値は、日本化学会編“第4版 実験化学講座1 基本操作I”p.115(1990年 丸善)に記載の測定法によってpKa値の定義より求めることができる。弱い酸のpKa値は、沢木泰彦著“基礎化学コース 物理有機化学”(1999年 丸善)50ページに記載の方法を用いて相対的な値を求めることもできる。また、pKa値は溶媒などの環境によっても異なる値となるため、日本化学会編“第4版 実験化学講座9 電気・磁気”286ページ(1991年 丸善)に記載されている方法を用いて求めることもできる。ただし、化合物中における任意の置換基のpKa値は、その化合物の構造に大きく影響されるため、実際の値は別の化合物から類推した値とは異なることもある。前述の方法を用いて実際に化合物中の解離性基のpKa値を測定することも可能であるが、得られた値の帰属や、測定が解離性基以外の部分に影響を与える場合もあり、系統的に理解するのは容易ではない。
そこで本発明においては、任意の置換基のpKa値は化合物における実測値で表すのではなく、該当する官能基の一般的なpKa値をそのまま用いて表すこととする。この場合、置換基効果や立体効果などによる影響が少ないもの、すなわち解離性基近傍の構造が類似した構造を有する化合物上の解離性基のpKa値を使用して評価することが好ましい。例えば、ある化合物A中に存在するベンゼン環に結合したカルボキシル基のpKa値は、安息香酸のpKa値(4.2)あるいは化合物A中のベンゼン環と置換基や置換位置が類似した安息香酸誘導体のpKa値を用いて表すことができる。本発明において、化合物の物性の範囲を規定するために用いるpKa値は、水中でのpKa値を用いることとする。
一般式(1)で表されるモノマーとしては、Xがカルボキシル基のものとして、トリフルオロメチルアクリル酸、アクリル酸、β−メタクロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、市販品として2−アクリロイロキシエチルコハク酸(HOA−MS、共栄社化学社製)、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(M−5400、東亞合成株式会社社製)などが挙げられる。
また、Xが一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基のものとして、エチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカプロエートアシッドホスフェート、市販されているものとしては、ホスマーM(ユニケミカル社製)、PM−2(日本化薬社製)、P−1A、P−2A、P−1M、P−2M(共栄社化学社製)(以上、いずれもエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート);ホスマーCL(ユニケミカル社製、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート)、ホスマーPE(ユニケミカル社製、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートアシッドホスフェート)、JAP−514(城北化学社製、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート)、PM−21(日本化薬社製、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカプロエートアシッドホスフェート)などが挙げられる。
また、Xが一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基のものとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸ビニルスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
一般式(1)で表されるモノマーの中でも、Xが一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基のものが特に好ましく、具体的に、エチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカプロエートアシッドホスフェート、市販されているものとしては、ホスマーM(ユニケミカル社製)、PM−2(日本化薬社製)、P−1A、P−2A、P−1M、P−2M(共栄社化学社製)(以上、いずれもエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート);ホスマーCL(ユニケミカル社製、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート)、ホスマーPE(ユニケミカル社製、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートアシッドホスフェート)、JAP−514(城北化学社製、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート)、PM−21(日本化薬社製、2−(メタ)アクリロイロキシエチルカプロエートアシッドホスフェート)などが挙げられる。
一般式(1)で表されるモノマーの好適な実施態様として、以下の一般式(3)で表されるモノマーが挙げられる。
(一般式(3)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、アルキレン基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい)、−O−、−COO−、アリーレン基、またはこれらを組み合わせた基を表す。Xは、カルボキシル基、上記の一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、上記の一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
一般式(3)中、Rは、水素原子、またはアルキル基を表す。なかでも、好ましくは水素原子、メチル基である。
一般式(3)中、Lは、アルキレン基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい)、−O−、−COO−,アリーレン基(フェニレン基など)、またはこれらを組み合わせた基を表す。
は、カルボキシル基、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。一般式(A)および一般式(B)の定義は、上述の一般式(1)中の定義と同様である。
一般式(3)で表されるモノマーとしては、Xが、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基であるものが好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜においては、上述した一般式(1)で表されるモノマー以外の他のモノマーを使用してもよい。他のモノマーの種類としては、特に限定はされないが、単官能モノマーの具体例としては、以下の表に記載されているようなモノマー等を上げることが出来る。
また、多官能モノマーの具体例としては、以下の表に記載されているようなモノマー等を上げることが出来る。
中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが好ましく挙げられる。
一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーは、使用するモノマーに応じて、線状高分子であってもよく、架橋点を有する3次元架橋構造を形成してもよい。
使用される一般式(1)で表されるモノマーと一般式(1)で表されるモノマー以外の他のモノマーとの質量割合は、用途に応じて適宜選択される。得られる自立膜中の有機成分と無機成分との分散均一性、ならびに、無機成分含有量がより向上するという点から、他のモノマーの使用量は、一般式(1)で表されるモノマー100質量部に対して、1〜10000質量部が好ましく、10〜2000質量部がより好ましい。
一般式(1)で表されるモノマーとそれ以外の他のモノマーとを併用することにより、所望の有機−無機ハイブリッド自立膜を得ることができる。特に、一般式(1)のXが一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基である場合は、一般式(1)で表されるモノマーの少量の添加により所望の効果を奏することができ、種々の機能性モノマーと組み合わせて使用することができる。つまり、単独の使用では無機成分と相分離してハイブリッド化ができない機能性モノマーの場合でも、一般式(1)で表されるモノマーを少量使用することによりハイブリッド化が達成される。一般式(1)で表されるモノマーが、有機成分と無機成分との相溶化剤の役割をはたす。
一般式(1)で表されるモノマーは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらは市販品を用いてもよく、公知の方法により合成してもよい。
<金属アルコキシドおよびその部分加水分解縮合物>
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜においては、金属アルコキシドの加水分解縮合物が含まれる。一般的に、金属アルコキシド化合物は、いわゆるゾル−ゲル法により加水分解及び重縮合し、3次元構造に架橋した加水分解縮合物となる。より具体的には、金属原子間が式:M−O−M(ここでM及びMはそれぞれ金属原子を意味する)で示されるように酸素原子を介して結合しており、この種の結合によって金属原子を架橋点とする架橋構造を有する加水分解縮合物が形成されている。本発明においては、自立膜中で金属アルコキシドのゾル−ゲル反応を進行させることにより、有機ポリマーとのハイブリッド材料が得られる。なお、後述する金属アルコキシドは、1種のみを使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明において金属アルコキシドとしては、特に限定されないが、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、または鉄などの金属原子を有する各種金属アルコキシドが挙げられる。なかでも、一般式(4)で表される化合物が好ましい。
(一般式(4)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Lは、2価の連結基または単なる結合手を表す。Rは、アルキル基を表す。Mは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、および鉄からなる群から選ばれるいずれかの金属原子を表す。xは0〜2の整数を表し、yは2〜4の整数を表し、x+yは金属原子Mの原子価と一致する。)
一般式(4)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアリール基を表す。ハロゲン原子としては、ふっ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。なかでも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
一般式(4)中、Lは2価の連結基または単なる結合手を表す。連結基としては、具体的に、アルキレン基(炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。)、−O−、−S−、アリーレン基、−CO−、−NH−、−SO−、−COO−、−CONH−、−C≡C−、−NN−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基などが挙げられる。)が挙げられる。なかでも、アルキレン基、−COO−、−O−、−CONH−、アリーレン基が好ましく挙げられる。Lが単なる結合手の場合、一般式(4)のRがSiと直接結合することをさす。
一般式(4)中、Rはアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。なかでも、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基である。
一般式(4)中、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、および鉄からなる群から選ばれるいずれかの金属原子を表す。なかでも、加水分解・縮合反応の反応性がよく、得られる自立膜内の有機成分と無機成分との分散性が良い点で、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく、特にジルコニウムが好ましい。
一般式(4)中、xは0〜2の整数を表し、yは2〜4の整数を表し、x+yは金属元子Mの原子価と一致する。具体的には、Mがケイ素、チタン、ジルコニウム、スズ、または鉄の場合は、x+yはx+y=4を満たし、Mがアルミニウムの場合はx+y=3の関係を満たす。xは、好ましくは0〜1で、より好ましくは0である。yは、好ましくは3〜4で、より好ましくは4である。
一般式(4)で表される化合物として、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどのアルコキシシラン類や、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムなどのアルコキシアルミニウム類や、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのアルコキシチタン類や、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウムなどのアルコキシジルコニウム類、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズなどのアルコキシスズ類、鉄のアルコキシド化合物などが挙げられる。
本発明に係る金属アルコキシドは、市販品を用いてもよいし、公知の方法により合成してもよい。
金属アルコキシドの部分加水分解縮合物とは、金属アルコキシドを部分的に加水分解縮合してなるものである。具体的には、アルコキシ基の全部ではない一部が加水分解、または、加水分解および結合してなり、加水分解されていないアルコキシ基を分子中に有する化合物が挙げられる。加水分解反応および縮合反応の際に、酸または塩基などの触媒を使用してもよい。これら部分加水分解縮合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法により合成してもよい。また、後述する金属アルコキシドを含む溶液中において、ゾル−ゲル反応を一部進行させ、所望の部分加水分解縮合物を得てもよい。なお、金属アルコキシドとその部分加水分解縮合物は、併用してもよいし、単独で使用してもよい。
本発明に係る金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物は、使用中における反応系外の水分の影響を除くために、脱水雰囲気下で使用してもよい。また、含有する水分を取り除くために、使用前に真空乾燥などの脱水処理を施してもよい。
上述した一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物との使用割合は、特に限定されない。得られる自立膜の柔軟性と機械的強度がより優れる点で、使用される金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物の量は、一般式(1)で表されるモノマー100質量部に対して、0.1〜8000質量部が好ましく、より好ましくは1〜1000質量部、さらに好ましくは1〜500質量部であり、特に好ましくは20〜350質量部である。
また、得られる自立膜の柔軟性と機械的強度がより優れる点で、一般式(1)で表されるモノマー中の配位性基(例えば、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基)のモル数と金属アルコキシドのモル数とのモル比は、1〜200000が好ましく、より好ましくは10〜20000、さらに好ましくは25〜800である。
一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物との好適な組合せとしては、自立膜中のヒビ割れなどがより抑制される点で、一般式(3)で表されるモノマーと、一般式(4)中のMがケイ素、アルミニウム、チタン、またはジルコニウムである化合物が挙げられる。より好適な組合せとしては、一般式(3)中のXが一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基(特に、リン酸基(−O−PO(OH)))であるモノマーと、一般式(4)中のMがジルコニウムである化合物(アルコキシジルコニウム類)とが挙げられる。
<溶媒>
後述する塗布工程の際に使用される、一般式(1)で表されるモノマーと金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解物とを溶解させる溶媒としては、特に限定されないが、溶液の保存安定性がより優れる点で、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘキサン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、メタノールなどの非水系溶媒が好適に使用される。なかでも、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒が好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液中における全固形分濃度は特に限定されないが、塗布により得られる膜の膜厚の制御が容易である点で、1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。なお、全固形分とは後述する塗布・硬化工程により得られる自立膜を構成する成分(例えば、一般式(1)で表されるモノマー、金属アルコキシド、他のモノマーなど)をさし、溶媒は含まれない。
<その他の成分>
後述する塗布の際に使用する一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液には、本発明の目的を損なわない範囲で、所望量の他の添加剤(重合開始剤、触媒など)を加えることができる。
添加剤として、例えば、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、後述する硬化工程で採用される重合方式(アニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合)に合わせて適切な重合開始剤が使用される。なかでも、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、いわゆる熱重合開始剤、光重合開始剤であってもよい。具体的には、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α, α'−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。また、Irgacure−184、同261、同369、同500、同651、同907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Darocur−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等の市販品を用いることもできる。
他の添加剤としては、金属アルコキシドのゾル−ゲル反応の触媒として、酸または塩基を用いてもよい。例えば、無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸など、有機酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、リン酸・ホスホン酸類(リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(リンモリブデン酸、リンタングステン酸など)を挙げることができる。
また、無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニアなど、有機塩基化合物としてはアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなど)、金属アルコキサイド(ナトリウムメチラート、カリウムエチラートなど)を挙げることができる。
一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液の製造方法は、特に限定されない。例えば、一般式(1)で表されるモノマー、金属アルコキシド、添加剤などの任意成分を混合ミキサーなどのかくはん機を用いて十分に混合することによって製造することができる。
<基板>
上述の一般式(1)で表されるモノマーと、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液を塗布する基板としては、特に限定されず、ポリマー基板、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板などを用いることができる。基板上の形状は、用途に合わせて適宜選択することができる。また、後述する硬化工程で得られた有機−無機ハイブリッド薄膜を基板から剥離しやすくできる点で、基板表面上に剥離層を設けることが好ましい。ここで剥離層とは、塗布・硬化により得られる膜と基板との間に設けられる層であり、例えば、該剥離層が溶解する特定の溶媒と接触させることにより、基板上に形成された薄膜を基板から容易に剥離することができる。また、加熱や光照射等の外部刺激により解重合または脱架橋を起こすポリマー系も、剥離層として好ましく用いることが可能である。
剥離層の材料としては、特に限定されず、上述の一般式(1)で表されるモノマーと金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液に溶解しない材料が適宜選択される。例えば、溶液として非水系溶媒が使用された場合は、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのエステル、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酸化デンプン、燐酸化デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、硫酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
<有機−無機ハイブリッド自立膜の製造方法>
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜の製造は、特に限定されないが、大きく以下の3つの工程を備える方法により行われる。
<1> 一般式(1)で表されるモノマーと金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液を、基板上に塗布して膜を形成する工程(工程1)
<2> 工程1で得られた膜を硬化させる工程(工程2)
<3> 基板上より工程2で得られた硬化膜を剥離する工程(工程3)
以下、各工程について詳細に説明する。
<工程1>
工程1は、一般式(1)で表されるモノマーと金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物とを含む溶液を基板上に塗布して膜(塗膜)を形成する工程である。
溶液の塗布方法としては、厚みが均一でかつ表面が平滑になるものであれば特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、インクジェット法などの方法を採用することができる。なかでも、得られる自立膜の膜厚がより均一になるという点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法の条件は、使用する一般式(1)で表されるモノマー、金属アルコキシドの種類により適宜選択される。なかでも、得られる自立膜中での有機成分と無機成分との分散性がより優れ、かつ生産性が優れる点で、10〜600秒間にわたって500〜8000rpm、より好ましくは2000〜4000rpmの回転速度で行うことが好ましい。なお、本工程で得られる膜は、溶液を塗布して得られる塗膜であり、塗膜は溶媒を一部含んでいてもよい。
塗布後に必要に応じて、乾燥工程を設けてもよい。溶媒を除去するための乾燥条件としては、使用される原料などにより適宜選択されるが、10〜200℃の温度で、1分〜24時間の処理を行うことが好ましい。
必要に応じて、工程1の前に、基板上に剥離層を設ける前処理(前処理工程)を行ってもよい。具体的には、上述の剥離層として使用される材料(例えば、ポリヒドロキシスチレンなど)を含む溶液を基板上に塗布して、剥離層を形成させる。塗布方法は、特に限定されず、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、インクジェット法などの方法を採用することができる。なかでも、生産性の観点から、スピンコート法が好ましい。塗布後に必要に応じて、乾燥工程を設けてもよい。溶媒を除去するための乾燥条件としては、使用される原料などにより適宜選択されるが、10〜30℃の温度、0.1〜30%の相対湿度で、60分〜24時間の処理を行うことが好ましい。さらに好ましくは、減圧下での乾燥で、容器内で減圧度が150mmHg以下であることが好ましく、100mmHg以下がより好ましい。得られる剥離層の膜厚は、特に限定されず、使用される材料などを考慮して最適な膜厚が選択される。基板上に形成される膜の基板からの剥離がしやすいという点で、0.1〜3.0μmの膜厚が好ましい。
<工程2>
工程2は、工程1で得られた膜(塗膜)を硬化させる工程である。詳細には、活性エネルギー線を照射および/または加熱して工程1で得られた膜を硬化させる工程である。活性エネルギー線を照射するおよび/または加熱することにより、一般式(1)で表されるモノマーの重合を促す。また、その際に同時に膜中においては、金属アルコキシドの加水分解および縮合が進行する。つまり、該工程において、膜中でモノマーの重合と金属アルコキシドの加水分解および縮合とが進行し、ナノスケールで有機成分と無機成分とが膜内で均一に分散した構造体が得られる。
活性エネルギー線としては、特に限定されることなく、使用されるモノマーや任意に添加される重合開始剤などにより適宜選択されるが、例えば、紫外線(UV光)、可視光線、γ線、α線、X線、その他電子線などが挙げられる。なかでも、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。具体的な光源としては、例えば、LD、LED、蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどを適用することができる。好ましい光源には、LED、高圧水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。照射条件としては、使用する光源などにより異なるが、例えば、照射強度10〜1000mW/cmが好ましく、より好ましくは30〜100mW/cmで、照射時間は1〜300秒間が好ましく、30〜90秒間がより好ましい。
加熱条件としては、使用するモノマーや金属アルコキシドにより適宜最適な条件が選択される。温度条件としては、生産性などの観点から、温度10〜200℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、加熱時間としては、1分〜24時間が好ましく、1〜240分がより好ましい。また、加熱処理は複数回、条件を変えて行ってもよい。なお、上述の活性エネルギー線の照射と加熱処理は同時に行ってもよいし、それぞれの処理を順次行ってもよい。
工程2は、工程1と同時に実施してもよい。つまり、工程1の膜形成時にあわせて、活性エネルギー線を照射および/または加熱処理を施してもよい。より具体的には、例えば、スピンコートを実施している最中に、活性エネルギー線を照射および/または加熱処理を施してもよい。
<工程3>
工程3は、基板上から工程2で得られた硬化膜を剥離する工程である。剥離の方法としては、特に限定されないが、硬化膜は機械的なわずかな力で基板から剥離することができる。基板や使用する材料により容易に剥離できない場合は、短時間熱処理、または超音波処理などを行ってもよい。また、使用する基板が溶媒に可溶の場合は、所定の溶媒で処理することにより基板のみを溶解させ自立膜を得ることができる。
上述のように基板表面上に剥離層を有している場合は、硬化膜を有する基板を所定の溶媒と接触させ、硬化膜と基板との間に存在する剥離層を溶解させることにより、容易に自立膜を得ることができる。溶媒と接触させる方法としては、硬化膜の上からシャワーにより溶媒をふりかける方法や、基板を所定の溶媒中に浸漬させる方法などが挙げられる。剥離がより容易である点より、浸漬させる方法が好ましい。使用する溶媒は、剥離層の材料により適宜選択される。例えば、剥離層としてポリヒドロキシスチレンを使用した場合は、溶媒としてエタノール、メタノール、水、アルカリ水、酢酸メチル、テトラヒドロフランなどを好適に用いることができる。使用する溶媒の温度は、特に限定されないが、生産性の観点から10〜90℃が好ましい。
なお、工程1〜3を実施する雰囲気は、特に限定されず、空気中、窒素雰囲気中、アルゴン雰囲気中などが挙げられる。なかでも、窒素雰囲気中、アルゴン雰囲気中などの脱水雰囲気条件、脱酸素雰囲気条件が好ましい。脱水雰囲気条件下であれば、塗布溶液の安定性に優れ、かつ、金属アルコキシドの急激な脱水縮合を抑制することが可能であるため、得られる自立膜の膜厚がより均一であり、自立膜中での気泡などの発生をより抑制できる。脱酸素雰囲気条件であれば、光照射により生じたラジカルが酸素によりクエンチされる影響を抑制できるため、有機モノマーの効率的な重合を促進することが可能となる。
<有機−無機ハイブリッド自立膜>
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜の膜厚は、使用する材料や塗布条件を制御することにより適宜選択することができる。なかでも、透過性、柔軟性、機械的強度のバランスがより好ましいという点で、膜厚は10nm〜3μmが好ましく、30nm〜2μmがより好ましく、80nm〜2μmがさらに好ましい。なお、膜厚は平均値であり、その測定方法としては、例えば、非特許文献1(Nature materials, 2006年, 第5巻, p.494-501頁)にあるようにSEM観察により直接膜厚を測定し、任意の点を5ヶ所以上計測して数平均して求めることができる。また他の方法としては、非特許文献1に記載の方法を参照して、まず剥離前の基板上の有機−無機ハイブリッド薄膜の一部(約2000μm×約1cm)を削って薄膜を取り除く。次に、薄膜を取り除いた部分(A部分)と薄膜が存在する部分(B部分)とをそれぞれ5ヶ所以上公知の装置(プロファイラ装置(KLA−Tecnor社製)P15など)で測定し、A部分の数平均値とB部分の数平均値の差を薄膜の膜厚として求めることもできる。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、例えば、はさみ、カッター等で容易に円、正方形、長方形などの任意の大きさ、形状に切り取ることができる。該自立膜の面積は、使用する基板などにより適宜制御することができるが、種々の用途への使用の点からは、面積は1cmよりも大きく、4〜500cmであることが好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜中、一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーと金属アルコキシドの加水分解縮合物(無機金属酸化物)とが主成分として含まれ、その質量比は適宜制御することができる。
機械的強度、柔軟性がより優れる点で、自立膜中の金属アルコキシドの加水分解縮合物(無機金属酸化物)の含有量(wt%)として、自立膜全質量に対して、0.1〜50が好ましく、0.1〜20がより好ましい。なお、加水分解縮合物の含有量は、金属アルコキシドがすべてMO、または、M(M:金属)となったとして、金属アルコキシドの仕込み量より計算することができる。
なお、自立膜中の有機ポリマーの含有量(wt%)は、自立膜全質量に対して、50〜99.9が好ましく、80〜99.9がより好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、多様な用途に応用することが可能である。例えば、膜厚が薄く、かつ、強度が強いという特徴から、逆浸透膜(RO膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)等の水用の濾過膜、あるいは炭酸ガス、酸素、窒素、水素等のガス分離膜へと応用することが可能である。また、透明な高強度材料としての特徴から、液晶ディスプレーや有機ELディスプレー等に用いる光学フイルムとして応用することも可能である。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、上述のように一般式(1)で表されるモノマーの重合反応と、金属アルコキシドの加水分解および縮合反応とを行う(好ましくは同時に行う)ことにより得られる。モノマーの重合より得られる有機ポリマーなどの有機成分と、金属アルコキシドの加水分解縮合物などの無機成分は、自立膜中において相分離することなく、互いにナノスケールで均一に分散している。より具体的には、モノマーとして二官能性などの架橋性モノマーが含まれている場合は、好ましくは、有機ポリマーが3次元状の網目構造を形成し、金属アルコキシドにより形成される無機成分の網目構造との間で相互侵入高分子網目構造(IPN構造)を形成する。また、得られる有機ポリマーが線状高分子の場合は、好ましくは、セミ相互侵入高分子網目構造(semi−IPN構造)を形成する。このような相互侵入高分子網目構造またはセミ相互侵入高分子網目構造を有する自立膜は、その機械的強度や柔軟性などの向上が期待できる。なお、相互侵入高分子網目構造とは、相互に化学結合することなく独立な異種の網目構造が、互いに侵入しあい、絡みついた構造をさす。セミ相互侵入高分子網目構造とは、ベースとなる網目構造に線状高分子が侵入し、絡みついた網目構造をさす。
ただし、本発明においては、有機ポリマーと加水分解縮合物(無機金属酸化物)がすべて上述の構造をとる必要はなく、必要な透明性、機械的強度、柔軟性を保持していれば、有機成分のみの相または無機成分のみの相を一部有していてもよい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜は、上述のように一般式(1)で表されるモノマーと金属アルコキシドを用いることにより製造することができる。得られた自立膜は、機械的強度および柔軟性に優れ、ヒビ割れなどが抑制され、上述の非特許文献1で見られた無機成分のドメインなどは、透過型電子顕微鏡における観察(加速電圧:200kV、120000倍)においては見られない。本発明においては、特定の官能基を有する一般式(1)で表されるモノマーを使用することにより、膜中の有機成分と無機成分との相互作用が向上し、優れた性能を有する自立膜が得られている。つまり、有機成分と無機成分との相互作用が向上したことにより、各成分の相分離がより抑制され、各成分の分散性が向上し、結果として膜の性能が向上したものと考えられる。特に、一般式(1)で表されるモノマーが比較的低いpKa値を示す官能基を有し(特に好ましくは一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基を有する場合)、かつ、金属アルコキシドの金属原子が多配位性であるジルコニアの場合に、ヒビ割れなどがほとんど起きず、非常に優れた性能を示す自立膜を得ることができる。これは、リン酸基がジルコニア原子に対してイオン結合や配位結合などを形成でき、有機成分と無機成分との相互作用がより向上したためと考えられる。また、アルコキシジルコニウムの加水分解・縮合反応が速いため、より均一な複合化が進行したと考えられる。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド自立膜の製造方法は、種々の機能性モノマーと組み合わせて用いることができる。つまり、従来ハイブリッド化ができなかった機能性ポリマーと金属アルコキシドの加水分解縮合物とに、少量の一般式(1)で表されるモノマーを用いて上記の製造方法により、機能性ポリマーの機能を損なうことなく、自立膜中で有機成分と無機成分をナノスケールで均一に分散させることができる。例えば、機械的強度が不足している機能性ポリマー膜の場合には、対応する機能性モノマーと一般式(1)で表されるモノマーとを用いて上述の方法により、機能を損なうことなく、その機械的強度を高めることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
得られた自立膜の膜厚は、上述のSEM観察およびプロファイラ装置(KLA−Tecnor社製)P15により測定した。後述する表面硬度(マルテンス硬度)およびヤング率は、フィッシャーインスツルメンツ社製のHM500型ピコデンターを用いて測定した。
(実施例A)
<実施例1>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−アクリロイロキシエチルコハク酸(HOA−MS、共栄社化学社製)を0.28g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を2.52g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液1を得た。
ポリヒドロキシスチレン(分子量2700〜4900、丸善石油株式会社製)10.0gをエタノール(50ml)に溶解させ、剥離層用溶液2を得た。得られた剥離層用溶液2をガラス基板(6cm×7cm)上へ1.0ml滴下し、slope:5秒、3000rpm:60秒の条件でスピンコートし、剥離層を有する基板を得た。なお、「slope 5秒」とは、回転数が3000rpmになるまでの時間を意味する。そして、作製した剥離層をおよそ10mmHgの減圧度で6時間乾燥した。
次いで、作製した剥離層上へ有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液1を1ml滴下し、slope:5秒、4000rpm:30秒の条件でスピンコートし、剥離層上に塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に対して、照射強度約40mW/cmで90秒間、高圧水銀ランプの紫外線を照射した。
作製した有機−無機ハイブリッド薄膜の四隅をカッターでキズをつけた後、基板ごとエタノール中に浸漬し、剥離層を溶解させた。さらに、水に浸漬させることで膜が水面に浮かび上がり、基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機―無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例2>
一般式(1)で表されるモノマーとしてフタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(M−5400、東亞合成株式会社社製)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例3>
一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基を有する一般式(1)で表されるモノマーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<比較例1>
実施例1において、一般式(1)で表されるモノマーである2−アクリロイロキシエチルコハク酸を用いずに、モノマーとしてTMPTAのみを使用した以外は、実施例1と同様の手順により有機−無機ハイブリッド自立膜の作製を試みた。塗膜の硬化後、基板上の薄膜にひび割れが発生した。基板から薄膜の剥離を行ったところ、薄膜が破れてしまい基板上に作製した薄膜と同じサイズの自立膜を得ることはできなかった。なお、部分的に得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<比較例2>
実施例1において、一般式(1)で表されるモノマーの代わりに、4−ヒドロキシブチルアクリレート(HOBuA、シグマアルドリッチジャパン株式会社社製)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により有機−無機ハイブリッド自立膜の作製を試みた。塗膜の硬化後、基板上の薄膜にひび割れが発生した。基板から薄膜の剥離を行ったところ、薄膜が破れてしまい基板上に作製した薄膜と同じサイズの自立膜を得ることはできなかった。なお、部分的に得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
上記の実施例1〜3、および比較例1〜2で得られた自立膜の表面形態について、目視および光学顕微鏡(倍率:50倍)にて観察した。実施例1〜3の観察結果をそれぞれ図1〜3に示す。また、比較例1〜2の観察結果をそれぞれ図4、5に示す。上記の結果と共に、以下の表1に示す。
自立膜の作製において、基板上に作製した薄膜と同サイズでの自立膜の作製ができた場合を○、できなかった場合を×とした。
また、表面形態の評価については以下のように評価した。なお、10μm以上のヒビ割れがないことが、分離膜への実用的な観点からは好ましい。
1:目視でわかるレベルの大きなヒビ割れあり
2:10〜100μmのヒビ割れあり
3:10μm以上のヒビ割れなし
4:深さ100nm以上のヒビ割れなし
5:ヒビ割れなし
以上の結果より、一般式(1)で表されるモノマーを使用すると基板上に作製した薄膜と同サイズの自立膜を得ることができ、特にXが一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基を有するPM−21を使用するとヒビ割れがない均一な自立膜が得られた。
実施例3で得られた自立膜と比較例2で得られた自立膜とを用いて、そのサンプル断面のTEM観察を行った。具体的には、剥離後のハイブリッド薄膜をポリエチレンナフタレートフィルム上に乗せ、エポキシ樹脂で包埋後、ミクロトームにより超薄切片(厚み75nm)を作製し、TEM(日立ハイテクノロジーズ社製 HF2200型 加速電圧200kV)で観察した。比較例2で得られたTEM写真を図6に、実施例3で得られた自立膜のTEM写真を図7に示す。図6(a)および(b)より、比較例2においては自立膜中で有機成分と無機成分とが相分離していることが分かった。つまり、水酸基を有するモノマーを使用した場合は、所望のハイブリッド自立膜は得られなかった。一方、図7(a)および(b)より、実施例3では有機成分と無機成分とが相分離をおこすことなく、均一に分散しているのが分かった。特に、図7(a)のB枠内の拡大図7(b)においても、有機成分と無機成分とが均一に分散、混合していることが分かった。
(実施例B)
<実施例4>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を1.40g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を1.40g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液4を得た。
溶液1の代わりに溶液4を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例5>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液5を得た。
溶液1の代わりに溶液5を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例6>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を1.40g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液6を得た。
溶液1の代わりに溶液6を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例7>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を2.10g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液7を得た。
溶液1の代わりに溶液7を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
上記の実施例4〜7で得られた自立膜の表面形態について、目視および光学顕微鏡(倍率:50倍)にて観察した。実施例4〜7の観察結果をそれぞれ図8〜11に示す。上記の結果と共に、以下の表2に示す。なお、表2において比較例1では、TMPTAのみが含まれる。
自立膜の作製において、基板上に作製した薄膜と同サイズでの自立膜の作製ができた場合を○、できなかった場合を×とした。
また、表面形態の評価については以下のように評価した。なお、10μm以上のヒビ割れがないことが、分離膜への実用的な観点からは好ましい。
1:目視でわかるレベルの大きなヒビ割れあり
2:10〜100μmのヒビ割れあり
3:10μm以上のヒビ割れなし
4:深さ100nm以上のヒビ割れなし
5:ヒビ割れなし
以上の結果より、一般式(1)で表されるモノマーとしてリン酸基を有するPM−21を使用すると、TMPTAと種々の比率においてヒビ割れがない均一な自立膜が得られた。
(実施例C)
上記の実施例5、6、及び7で得られた有機−無機ハイブリッド膜を用いて、微小硬度測定によりヤング率と表面硬度(マルテンス硬度)の算出を行った。具体的には、フィッシャーインスツルメンツ社製のHM500型ピコデンターを用いて、基板上の有機−無機ハイブリッド薄膜の任意の点を5ヶ所測定して数平均して求めた値を採用した。比較実験として、以下の<比較例3>で得られた有機−無機ハイブリッド膜を用いて、同様の条件で測定を行った。
<比較例3>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な溶液を得た。
溶液1の代わりに上記溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
得られた結果を以下の表3に示す。
上記表3において、ZrO分率(Vol%)は、自立膜に含まれるZrO含有率(wt%)および他の有機ポリマーの含有率(wt%)と、それぞれの密度として有機部分を1.2g/cm、無機部分を6.0g/cmと仮定した値を用いて計算した。
以上の結果より、ZrO分率(Vol%)で約5Vol%の添加により、比較例3と比べて5倍以上の硬度の上昇、3倍以上のヤング率の上昇を達成した。
(実施例D)
<実施例8>
一般式(1)で表されるモノマーとして以下式で表される市販品PM−2(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液8を得た。
溶液1の代わりに溶液8を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
なお、上記PM−2は、一般式(A)中のn=1、n=1、Ra=Hである化合物と、一般式(A)中のn=1、n=1、Ra=Ac(メタクリロイル基)−O−Y(アルキレン基)−である化合物との混合物である。
<実施例9>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品PM−2(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を1.40g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液9を得た。
溶液1の代わりに溶液9を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例10>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品PM−2(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を2.10g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液10を得た。
溶液1の代わりに溶液10を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<比較例4>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品PM−2(日本化薬株式会社社製)を2.52g、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な溶液を得た。
溶液1の代わりに上記溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
上記の実施例8、9、10、および比較例4で得られた有機−無機ハイブリッド膜を用いて、微小硬度測定によりヤング率と表面硬度(マルテンス硬度)の算出を行った。具体的には、フィッシャーインスツルメンツ社製のHM500型ピコデンターを用いて、基板上の有機−無機ハイブリッド薄膜の任意の点を5ヶ所測定して数平均して求めた値を採用した。
得られた結果を以下の表4に示す。
上記表4において、ZrO分率(Vol%)は、自立膜に含まれるZrO含有率(wt%)および他の有機ポリマーの含有率(wt%)と、それぞれの密度として有機部分を1.2g/cm、無機部分を6.0g/cmと仮定した値を用いて計算した。
以上の結果より、一般式(1)で表されるモノマーとしてPM−2を用いた場合も、ZrO分率(Vol%)で約5Vol%の添加により、比較例4と比べて10倍以上の硬度の上昇、6倍以上のヤング率の上昇を達成した。
(実施例E)
<実施例11>
一般式(1)で表されるモノマーとして以下式で表される市販品P−2M(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液11を得た。
溶液1の代わりに溶液11を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例12>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品P−2M(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を1.40g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液12を得た。
溶液1の代わりに溶液12を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例13>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品P−2M(日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてジルコニウムブトキシド(Zr(OC)(関東化学社製)を2.10g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液13を得た。
溶液1の代わりに溶液13を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<比較例5>
一般式(1)で表されるモノマーとして市販品P−2M(日本化薬株式会社社製)を2.52g、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な溶液を得た。
溶液1の代わりに上記溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
上記の実施例11、12、13、および、比較例5で得られた有機−無機ハイブリッド膜を用いて、微小硬度測定によりヤング率と表面硬度(マルテンス硬度)の算出を行った。具体的には、フィッシャーインスツルメンツ社製のHM500型ピコデンターを用いて、基板上の有機−無機ハイブリッド薄膜の任意の点を5ヶ所測定して数平均して求めた値を採用した。
得られた結果を以下の表5に示す。
上記表5において、ZrO分率(Vol%)は、自立膜に含まれるZrO含有率(wt%)および他の有機ポリマーの含有率(wt%)と、それぞれの密度として有機部分を1.2g/cm、無機部分を6.0g/cmと仮定した値を用いて計算した。
以上の結果より、一般式(1)で表されるモノマーとしてP−2Mを用いた場合も、ZrO分率(Vol%)で約5Vol%の添加により、比較例4と比べて20倍以上の硬度の上昇、8倍以上のヤング率の上昇を達成した。
(実施例F)
<実施例14>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてアルミニウムsec-ブトキシド(Al(OCH(CH)C)(東京化成工業株式会社製)を0.70g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液14を得た。
溶液1の代わりに溶液14を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例15>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてアルミニウムsec-ブトキシド(Al(OCH(CH)C)(東京化成工業株式会社製)を1.40g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液15を得た。
溶液1の代わりに溶液15を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
<実施例16>
一般式(1)で表されるモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(PM−21、日本化薬株式会社社製)を2.52g、金属アルコキシドとしてアルミニウムsec-ブトキシド(Al(OCH(CH)C)(東京化成工業株式会社製)を2.10g、さらにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセル・サイテック株式会社社製)を0.28g、さらに紫外線重合開始剤(Irgacure907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.20gをクロロホルム(37g)に加えて、均一な有機−無機ハイブリッド自立膜用溶液16を得た。
溶液1の代わりに溶液16を用いた以外は、実施例1と同様の手順により基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、1μmであった。
上記の実施例14、15、16、および、比較例3で得られた有機−無機ハイブリッド膜を用いて、微小硬度測定によりヤング率と表面硬度(マルテンス硬度)の算出を行った。具体的には、フィッシャーインスツルメンツ社製のHM500型ピコデンターを用いて、基板上の有機−無機ハイブリッド薄膜の任意の点を5ヶ所測定して数平均して求めた値を採用した。
得られた結果を以下の表6に示す。
上記表6において、Al分率(Vol%)は、自立膜に含まれるAl含有率(wt%)および他の有機ポリマーの含有率(wt%)と、それぞれの密度として有機部分を1.2g/cm、無機部分を3.9g/cmと仮定した値を用いて計算した。
以上の結果より、金属アルコキシドとしてAl系を用いた場合も、Al分率(Vol%)で約5Vol%の添加により、比較例3と比べて5倍以上の硬度の上昇、3倍以上のヤング率の上昇を達成した。
(実施例G)
実施例3で使用されたTMPTAとPM21との比率(モル比)を、以下の表7の実施例17および18に示すように変更した以外は、実施例3と同様の手順により、基板上に作製した薄膜と同じサイズの有機−無機ハイブリッド自立膜を得た。得られた自立膜の膜厚は、それぞれ1μmであった。
表7から分かるように、金属原子に対して配位性を示す一般式(1)で表される化合物であるPM−21と、(Zr(OC)由来の金属原子とのモル比を制御することにより、硬度やヤング率を所望の範囲に制御することができる。
2 ZrO成分
4 有機ポリマー成分
6 PEN(ポリエチレンナフタレートフィルム)
8 包埋剤
10 有機−無機ハイブリッド自立膜

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する有機ポリマーと、金属アルコキシドの加水分解縮合物とを含有する有機−無機ハイブリッド自立膜であって、
    前記有機ポリマーと前記加水分解縮合物とで形成される相互侵入高分子網目構造またはセミ相互侵入高分子網目構造を含み、
    前記金属アルコキシドに含まれる金属原子が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、および鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、膜厚が10nm〜3μmである有機−無機ハイブリッド自立膜。
    (一般式(1)中、Rは水素原子、またはアルキル基を表す。Lは、−O−、アルキレン基、−CONH−、−COO−、アリーレン基、またはこれらを組み合わせた基を表す。Xは、一般式(A)で表されるリン原子を含む酸性基、または、一般式(B)で表される硫黄原子を含む酸性基を表す。)
    (一般式(A)中、Raは、アルキル基、アリール基、もしくはこれらを組み合わせた基、水素原子、またはAc−O−Y−を表す。nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を表す。*はLとの結合位置を示す。Acはアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Yはアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニル基、またはこれらの組み合わせを表す。)
    (一般式(B)中、nおよびnは、それぞれ独立に、0または1の整数を示す。*はLとの結合位置を示す。)
  2. 前記加水分解縮合物の含有量が、有機−無機ハイブリッド自立膜全質量に対して、0.1〜20wt%である、請求項1に記載の有機−無機ハイブリッド自立膜。
JP2009082365A 2008-04-30 2009-03-30 有機−無機ハイブリッド自立膜 Active JP5452054B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009082365A JP5452054B2 (ja) 2008-04-30 2009-03-30 有機−無機ハイブリッド自立膜
US12/433,512 US8119248B2 (en) 2008-04-30 2009-04-30 Organic-inorganic hybrid free standing film, and its production method

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008118651 2008-04-30
JP2008118651 2008-04-30
JP2009082365A JP5452054B2 (ja) 2008-04-30 2009-03-30 有機−無機ハイブリッド自立膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009287008A JP2009287008A (ja) 2009-12-10
JP5452054B2 true JP5452054B2 (ja) 2014-03-26

Family

ID=41257270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009082365A Active JP5452054B2 (ja) 2008-04-30 2009-03-30 有機−無機ハイブリッド自立膜

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8119248B2 (ja)
JP (1) JP5452054B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011162765A (ja) * 2010-01-14 2011-08-25 Canon Inc 有機・無機複合材料及びその製造方法、並びに光学部材
KR20140106597A (ko) 2011-11-23 2014-09-03 모멘티브 퍼포먼스 머티리얼즈 인크. 유기-무기 혼성 물질의 제조방법
US9593257B2 (en) 2011-11-23 2017-03-14 Momentive Performance Materials Inc. Functionalized metal-containing particles and methods of making the same
TWI437026B (zh) * 2011-12-29 2014-05-11 Ind Tech Res Inst 含互穿型網路聚合物之聚醯胺酸樹脂之溶液及其在金屬層積板的應用
EP2842975B1 (en) * 2012-04-27 2019-12-25 Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology Metal oxide dispersion, metal oxide dispersion-containing polymerizable composition, and polymerized product of same
CN104884246B (zh) * 2012-12-27 2017-08-29 3M创新有限公司 用于氧化铟锡层的涂层
JP6450316B2 (ja) * 2013-08-27 2019-01-09 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 高屈折率透明性薄膜の製造方法及びその方法により製造された薄膜
JP6196897B2 (ja) * 2013-12-05 2017-09-13 東京応化工業株式会社 ネガ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法及び錯体
JP6153884B2 (ja) * 2014-05-02 2017-06-28 富士フイルム株式会社 硬化性組成物、硬化物の製造方法、硬化膜、及び、表示装置
CN105278246B (zh) * 2014-07-04 2020-03-13 富士胶片株式会社 硬化性组合物、硬化膜的制造方法、硬化膜、触摸屏及显示装置
JP6165805B2 (ja) * 2014-07-04 2017-07-19 富士フイルム株式会社 硬化性組成物、硬化膜の製造方法、硬化膜、並びに、タッチパネル及び表示装置
EP3816206B1 (en) * 2018-06-27 2023-05-24 Sumitomo Chemical Company Limited Gel containing condensation product of reactive silicon compound
CN109626613A (zh) * 2018-12-24 2019-04-16 湖北兴发环保科技有限公司 一种高效去除有机膦废水中总磷的方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5190698A (en) * 1991-04-15 1993-03-02 Eastman Kodak Company Poly(alkylene oxide)vinyl carboxylic ester containing polymer/inorganic oxide composites and methods of making
US5412016A (en) * 1992-09-28 1995-05-02 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for making polymeric inorganic-organic compositions
JPH07247464A (ja) * 1994-03-09 1995-09-26 Nippon Shokubai Co Ltd ステンレス鋼用コーティング組成物
JPH10306109A (ja) 1997-05-08 1998-11-17 Tdk Corp 有機・無機高分子複合体の製造方法
JP3788569B2 (ja) * 2000-03-16 2006-06-21 独立行政法人科学技術振興機構 チタン酸バリウム自立膜の作成方法
JP2005005046A (ja) * 2003-06-10 2005-01-06 Canon Inc シロキサン高分子電解質膜及びそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP2005255730A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Kyoto Univ 透明吸湿性高分子膜とその製造方法
JP2006193700A (ja) * 2004-12-16 2006-07-27 Dainippon Ink & Chem Inc 有機無機ハイブリッド粒子
JP4658653B2 (ja) * 2005-03-23 2011-03-23 積水化成品工業株式会社 複合重合体粒子及びその製造方法
US7641946B2 (en) * 2005-08-08 2010-01-05 Nitto Denko Corporation Adhesive film and image display device
JP4753047B2 (ja) * 2007-04-13 2011-08-17 信越化学工業株式会社 導電性膜形成用組成物及びその製造方法並びに導電性膜
JP2008274043A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Asahi Kasei Corp 膜及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US8119248B2 (en) 2012-02-21
US20090274842A1 (en) 2009-11-05
JP2009287008A (ja) 2009-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5452054B2 (ja) 有機−無機ハイブリッド自立膜
TWI276657B (en) Nanocompositions material for the production of films with a refractive index gradient
TWI465466B (zh) Hardened composition and hardened product thereof
TWI284140B (en) Method for forming porous silica film
CN102149451B (zh) 复合半透膜及其制造方法
JPH11322992A (ja) 多孔質膜
DE60215601T2 (de) Stabile Zusammensetzung
TW200905963A (en) Membrane-electrode bonding agent, proton conducting membrane with bonding layer, membrane-electrode assembly, solid polymer fuel cell, and method for producing membrane-electrode assembly
JPH09124664A (ja) アクリル官能化オルガノシランの水含有溶液、その製法並びにガラス繊維の仕上げ法及び糊剤を有するガラス繊維の製法
JP5103906B2 (ja) 多孔質シリカ微粒子及びその製造方法
TWI430502B (zh) Proton conductive film, membrane-electrode assembly and solid polymer fuel cell
JP5254671B2 (ja) 架橋高分子固体電解質およびその製造方法
JP2007284623A (ja) 薄膜用塗布組成物
JPH11310411A (ja) 有機−無機複合体および多孔質ケイ素酸化物の製造方法
JPS6049146B2 (ja) 光学ガラスフアイバ用被覆材料
JP2003277537A (ja) 透明耐湿ガスバリアフィルム
JP2009263598A (ja) 有機−無機ハイブリッド自立膜、およびその製造方法
JP2012009796A (ja) メタクリロキシ基もしくはアクリロキシ基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含む半導体絶縁膜用組成物
KR20120046532A (ko) 항생물부착성 ssq/peg 네트워크 및 그 제조방법
JP3666113B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂と金属酸化物との複合体の製造法
JP2011110455A (ja) 塗膜及び組成物
KR20190127524A (ko) 기체 분리막의 제조방법 및 이에 따라 제조되는 기체 분리막
JP7221581B2 (ja) 皮膜形成用塗布液の粘度調整方法
KR20010062667A (ko) 다공성 유기 필름 형성용 코팅 용액
JPH02305808A (ja) 袈橋高分子微粒子を含む重合性組成物並びにその製造方法及びその硬化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5452054

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250