JP2011162765A - 有機・無機複合材料及びその製造方法、並びに光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも一種類の高分子化合物と、三次元ネットワーク構造を有する少なくとも一種類の無機酸化物とを含む有機・無機複合材料において、前記高分子化合物が三次元ネットワーク構造を有し、前記高分子化合物と前記無機酸化物とが共有結合をし、かつ、厚さ5mm換算の前記有機・無機複合材料のヘイズ値が10%以下である。
【選択図】 なし
Description
樹脂製光学材料の寸法安定性を向上させるために、樹脂製光学材料に無機材料を添加することで、線膨張率が比較的低い、有機・無機複合材料が得られる。添加する無機材料としてはガラス繊維やタルクなどがよく用いられるが、光学材料をより透明にする、すなわち、ヘイズ値を低くするためには樹脂との屈折率差をできるだけ小さくする必要があり、そのため、使用できる無機材料と樹脂との組合せが限られてしまう。それに対し、無機ナノ粒子を添加することでヘイズ値を低くする方法も検討されている。しかし、無機ナノ粒子は、樹脂製光学材料に均一に分散させることが難しく、得られる有機・無機複合材料は、ヘイズ値が高くなってしまう。
以上のように、ヘイズ値と線膨張率がともに低い有機・無機複合材料が求められていた。
本発明者は、特許文献1に開示された材料について検討した。その結果、特許文献1に記載の有機・無機複合透明均質体は、有機成分であるアミド結合含有非反応性ポリマーと、無機成分である金属酸化物とを共有結合させておらず、線膨張率の低減効果は限定的と考えた。また、特許文献2に記載のポリカーボネート組成物はヘイズ値が高いと考えた。
本発明の第一実施形態に係る有機・無機複合材料は、少なくとも一種類の高分子化合物と、少なくとも一種類の無機酸化物とを含む。前記高分子化合物は三次元ネットワーク構造を有し、前記無機酸化物は三次元ネットワーク構造を有し、前記高分子化合物と前記無機酸化物とが共有結合をし、かつ、厚さ5mm換算の前記有機・無機複合材料のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする。
本実施形態に係る有機・無機複合材料(以下、「複合材料」と称する場合がある)に含有される高分子化合物とは重合性化合物の重合体のことを指す。高分子化合物として、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。前記アクリル樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレートといった、(メタ)アクリルモノマーの重合体が挙げられる。
さらに、前記例示した高分子化合物が、複数種類のモノマー単位からなっていてもよい。すなわち、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などでもよい。共重合体の例としては、スチレン−アクリル共重合体などが挙げられる。ここで、モノマー単位とは、高分子化合物を構成するモノマーのことである。
本実施形態に係る高分子化合物としては、ビニル系高分子化合物であることが好ましい。ビニル系高分子化合物とはビニル基含有モノマーの重合体の総称であり、ビニル系高分子化合物の例としては、前記アクリル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。
本実施形態において、三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得るためには、重合性化合物として多官能性のモノマーを用いることが好ましい。また多官能性のモノマーとしては特に限定されないが、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。
本実施形態に係る複合材料において、無機酸化物の三次元ネットワーク構造を形成する無機酸化物としては、一般的な金属・非金属の無機酸化物を用いることができる。本実施形態に係る無機酸化物は光学部材として好適な光学特性を有することが好ましく、具体的には二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどが挙げられる。本実施形態に係る無機酸化物として、より好ましくは二酸化ケイ素である。本実施形態に係る複合材料のヘイズ値を小さくするためには前記三次元ネットワーク構造が微細な構造であることが好ましい。微細な無機酸化物の三次元ネットワーク構造を効率よく形成させるためには、無機アルコキシドのゾルゲル反応による加水分解縮重合を行うことが好ましい。このゾルゲル反応において、用いられる無機アルコキシドについては、一種類でもよく、複数種類の化合物を用いても構わない。
本実施形態に係る有機・無機複合材料は高分子化合物の三次元ネットワーク構造と無機酸化物の三次元ネットワーク構造とが共有結合で結合されている。該共有結合は三次元ネットワーク構造全体に分布し、結合量が多いほど、線膨張率の低減効果が大きい。また、線膨張率が低下するメカニズムについては詳細には解明されてはいないが、以下のようなメカニズムが考えられる。一般的に線膨張率の高い高分子化合物に対して、線膨張率の低い無機酸化物を添加することでその界面で高分子化合物の運動性が束縛され、全体の線膨張率が低くなることが知られている。
本実施形態において、三次元ネットワーク構造の架橋密度、三次元ネットワークの網目状の構造の有無については後述する公知の評価技術を用いることができる。例えば、電子顕微鏡等による直接観察や、光散乱法を用いた流体力学的な評価手法、またはレオメーター等による粘弾性挙動の評価、さらに1H−NMR、Si−NMRのようなNMR等による緩和時間の測定、といった方法が挙げられる。
高分子化合物と無機酸化物との間の共有結合の有無を評価する手法の具体例について図2乃至4を用いて説明する。例えば、テトラメトキシシラン(図2(a))と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(図2(b))とをゾルゲル反応によりゲル化して図3で示されるビニル基を有するシリカゲルが得られると考えられる。得られたシリカゲルについて1H−NMRによって測定すると、ビニル基由来のピークが測定される。次に、得られたシリカゲルにメチルメタクリレートと重合開始剤を浸漬し、ゲル中の溶媒を完全に置換した後に重合させると有機・無機複合材料が得られる。得られた有機・無機複合材料について1H−NMRによって測定すると、ビニル基由来のピークが消える。したがって得られた有機・無機複合材料は、図4で示される構造のように、高分子化合物と、無機酸化物とが共有結合をしていると考えられる。
なお、図3、図4は共有結合の有無の評価方法を説明するために示した模式図である。したがって、図3において、シリカは二次元のネットワーク構造を形成しているが、実際にできるものは三次元のネットワーク構造を有している。また、シリカに結合しているビニル基を有する部位についても、図に示す割合よりも多い場合も、少ない場合もある。また、図4において、ポリメチルメタクリレートは一次元となっているが、実際は、メチルメタクリレートを浸漬させるときに、多官能性のモノマーも浸漬させて重合させることで、三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物となる。また、高分子化合物と無機酸化物とが共有結合している割合は、図4に示す割合よりも多い場合も、少ない場合もある。また、図3と同様に、シリカは三次元のネットワーク構造を有している。
また、5mm換算の本実施形態に係る有機・無機複合材料のヘイズ値が10%以下である。ヘイズ値が10%以下である場合、前記複合材料内の散乱等による透過率の減少が生じづらく、光学部材としての使用に適するからである。また、本実施形態に係る有機・無機複合材料は、その厚さが5mm時のヘイズ値が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る複合材料では、少なくとも一種類の高分子化合物を有するため、たとえば、異なる屈折率を有する二種類以上の高分子化合物を含むと、屈折率分布を有することができる。また、屈折率分布が連続的になるように、使用する高分子化合物を適宜に調整することができる。
ここで挙げた例以外には、例えば複合材料を構成する物質の密度差を利用する方法なども挙げられる。
ここでいう、屈折率分布とは複合材料の表面上、或いは切断面における任意の二点を結んだ直線において屈折率が連続的な変化を示すことである。
本発明の第二実施形態である有機・無機複合材料の製造方法は、下記の第一の工程と、第二の工程と、を有する。第一の工程では、反応性基が導入された、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する。第二の工程では、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得るとともに、前記反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる。
他には例えばSiO2ゾルゲル反応後の三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物の中に含まれる、未架橋の水酸基を反応性基として用いること等様々な方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
また、本実施形態に係る複合材料の製造時には、透明性及び線膨張率を損なわない範囲で、前記以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、連鎖移動剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、界面活性剤、離型剤、染顔料または充填剤などが挙げられる。
本発明の第三実施形態に係る有機・無機複合材料の製造方法は、反応性基が導入された、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する第一の工程と、反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる第二の工程と、前記反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得る第三の工程と、を有することを特徴とする。
第三実施形態においては、反応性化合物と反応性基とを反応させて、高分子化合物と無機酸化物とを共有結合させた後に、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得る、という点以外については、第二実施形態と同様である。
本発明の第三実施形態に係る有機・無機複合材料の製造方法は、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する第一の工程と、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得る第二の工程と、前記反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる第三の工程と、
を有することを特徴とする。
第四実施形態においては、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得た後に、反応性化合物と反応性基とを反応させて、高分子化合物と無機酸化物とを共有結合させる、という点以外については、第二実施形態と同様である。
本発明の第五実施形態は本発明の有機・無機複合材料から製造された光学部材である。本発明の複合材料は高い透明性と低い線膨張係数とを有するために、レンズや光導波路等の光学部材として好適に用いられる。本発明の複合材料を切削研磨することで光学部材として加工することも可能であるが、より好ましくは、所望の部材形状の型で公知の注型重合法を用いて注型重合させ加工してなる光学部材である。
本実施形態に係る光学部材は、その表面が反射防止膜によって被覆されていてもよい。反射防止膜を有することにより、光学部材表面における光の反射を抑制することができる。反射防止膜としては、特に限定されないが、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
(1)線膨張率の測定:
熱機械測定装置((株)リガク製Thermo plus EVO/TMA8310)を用い、20℃〜60℃の温度範囲で、各々の実施例で得られた有機・無機複合材料の線膨張率を測定した。
(2)ヘイズ値の測定:
「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」(JIS−K7136、ISO14782)に示される測定法に準拠して、厚さが5mmのサンプルでのヘイズ値(拡散透過率/全光線透過率×100)を測定した。
ベースとなるゲルは次のように作製した。まず3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)10質量部と、エタノール10質量部と、0.1Nアンモニア水1質量部とを混ぜた後、2時間以上静置させた。それから1N塩酸100質量部を加えて混ぜた後、エタノール90質量部とテトラメトキシシラン(TMOS)90質量部との混合液を加えてよくかき混ぜる。この溶液を円盤状の型(直径20mm、厚さ5mm)に入れ、60℃でゲル化するまで加熱することでゲル状物質を得た。
得られたゲルを、上下面が石英ガラスである円柱状注型重合用セル内にセットし、MMA反応液で空隙を満たしてから60℃で重合反応させた。なお、円柱状注型重合用セル内の直径は50mmで、高さは5mmであった。重合反応終了後、セルから取り出してからゲルの周りの樹脂を切削除去し、円柱状に成形された複合材料を得た。
ベースとなるゲルを、KBM−503を25質量部/エタノールを25質量部、TMOSを75質量部/エタノールを75質量部とした他は、全て実施例1と同様の操作を行い、複合材料を得た。CTEの平均値は48ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は0.6%であった。高分子化合物と無機酸化物との共有結合は実施例1と同様に1H−NMR測定によって確認した。実施例1と同じ理由により、高分子化合物と無機酸化物とが共有結合していると考えられる。結果は表1に示す。
ベースとなるゲルは実施例1と同じものを用いた。まず、ゲルをベンジルメタクリレート(BzMA)反応液(BzMA90質量部と、TMPTA10質量部と、AIBN1質量部との混合液)に浸漬し、ゲル中の溶媒を完全に置換した。次いで、BzMA置換ゲルを実施例1と同様の注型重合用セルにセットし、MMA反応液で空隙を満たし、1時間静置してから60℃で重合反応させ、複合材料を得た。本サンプルは目視により凸レンズと同様の屈折率分布がついていた。このため、両面を鏡面研磨加工し、屈折率分布測定装置((株)アドヴァンストテクノロジ製PAC−5C)において屈折率分布を測定したところ、中心と外周との屈折率差Δnは0.03であり、凸型の屈折率分布を有していることを確認した。
CTEの平均値は55ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は0.7%であった。また、1H−NMRの測定結果から、実施例1と同じ理由により、高分子化合物と無機酸化物とが共有結合していると考えられる。結果は表1に示す。
最初にゲルを浸漬する反応液をスチレン(St)反応液とし、セル内の空隙を満たす反応液をトリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)反応液とし、セル内での静置時間を2時間とした以外は実施例3と同様の操作を行い、円柱状に成形された複合材料を得た。スチレン(St)反応液は、St90質量部、TMPTA10質量部、AIBN1質量部とし、トリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)反応液は、3FMA120質量部、TMPTA10質量部、AIBN1質量部)とした。本サンプルは目視にて凸レンズと同様の屈折率分布が確認できたため、実施例3と同様にΔnを測定したところ、0.10となり、凸型の屈折率分布を有していることを確認した。
CTEの平均値は54ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は0.6%であった。また、1H−NMRの測定結果から、実施例1と同じ理由により、高分子化合物と無機酸化物とが共有結合していると考えられる。結果は表1に示す。
最初にゲルを浸漬する反応液をSt−BzMA反応液(St45質量部、BzMA45質量部、TMPTA10質量部、AIBN1質量部)とした以外は実施例4と同様の操作を行い、円柱状に成形された複合材料を得た。本サンプルは目視にて凸レンズと同様の屈折率分布が確認できたため、実施例3と同様にΔnを測定したところ、0.08となり、凸型の屈折率分布を有していることを確認した。
CTEの平均値は56ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は1.8%であった。また、1H−NMRの測定結果から、実施例1と同じ理由により、高分子化合物と無機酸化物とが共有結合していると考えられる。結果は表1に示す。
ベースとなるゲルは次のように作製した。まず3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 LS−2940)10質量部と、エタノール10質量部と、0.01N水酸化ナトリウム水溶液1質量部とを混ぜた後、2時間以上静置させた。その後、純水90質量部、0.01N水酸化ナトリウム水溶液10質量部を加えて混ぜた後、エタノール90質量部とテトラメトキシシラン(TMOS)90質量部との混合液を加えてよくかき混ぜた。この溶液を円盤状の型(直径20mm、厚さ5mm)に入れ、室温(23℃)でゲル化するまで放置することでゲル状物質を得た。次いで、出来上がったゲルを型から出し、反応液に浸漬し、ゲル中の溶媒を完全に置換した。反応液は、以下の材料の混合溶液とした。
MMA70質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)10質量部、
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)10質量部、
IRGACURE184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.1質量部、
IRGACURE250(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.1質量部。
ベースとなるアルミナゲルを次のように作製した。まず3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)100質量部と、エタノール50質量部と、0.1Nアンモニア水1質量部とを混ぜた後、10時間以上静置させた。それから1N塩酸0.1質量部を加えて中和し、シリカゾルを得た。
出来上がったゲルを型から出し、メチルメタクリレート(MMA)反応液に浸漬し、ゲル中の溶媒を完全に置換した。メチルメタクリレート(MMA)反応液は、MMA90質量部と、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)10質量部と、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1質量部との混合液とした。
ベースとなるゲルを、TMOS100質量部、エタノール100質量部、1N塩酸100質量部とした他は、全て実施例1と同様の操作を行い、複合材料を得た。CTEの平均値は64ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は0.6%であった。結果は表1に示す。
ベースとなるゲルは比較例1と同様のものを用い、その他の操作は全て実施例3と同様の操作を行い、複合材料を得た。本サンプルは目視にて凸レンズと同様の屈折率分布が確認できたため、実施例3と同様にΔnを測定したところ、0.03となり、凸型の屈折率分布を有していることを確認した。CTEの平均値は66ppm/K、外観は無色透明であり、ヘイズ値は0.7%であった。結果は表1に示す。
特開平05−086191号公報を参考にして比較検討を行った。1リットル四口フラスコにモーター付攪拌棒、300ml及び100mlの2本の均圧管付滴下ロート、三方コック付冷却管を取り付け、系内を窒素置換した。
フラスコ内にイソプロパノール50ml及び0.3NのHCl水溶液10mlを仕込んだ。300mlの均圧管付滴下ロートにエチルシリケート40(コルコート(株)社製)200gを乾燥イソプロパノール80mlに溶解した溶液を仕込んだ。100mlの均圧管付滴下ロートに下記の材料をイソプロパノール50mlに溶解したモノマー溶液を仕込んだ。
n−ブチルアクリレート(BA)12.8g、
メチルメタクリレート(MMA)10.0g、
ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)2.1g、
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]1.0g、及び
ドデシルメルカプタン0.5g。
そしてそれぞれ仕込み窒素雰囲気下でフラスコを70℃に加熱した。両方の滴下ロートからそれぞれの溶液を同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.2gを加え2時間還流させた後、反応を終了した。
評価のため、サンプル片を直径20mm、厚さ5mmに加工し、両面を鏡面研磨加工した。評価結果はCTEの平均値が80ppm/K、外観は白色でややムラがあり、ヘイズ値は92%だった。このようにヘイズ値が高くなるのは、比較例3の製造方法では、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とシリカゲルとがマクロに相分離した有機・無機複合材料ができるからであると考えられる。
Claims (11)
- 少なくとも一種類の高分子化合物と、三次元ネットワーク構造を有する少なくとも一種類の無機酸化物とを含む有機・無機複合材料において、
前記高分子化合物が三次元ネットワーク構造を有し、前記高分子化合物と前記無機酸化物とが共有結合をし、かつ、厚さ5mm換算の前記有機・無機複合材料のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする有機・無機複合材料。 - 前記少なくとも一種類の高分子化合物がビニル系高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機・無機複合材料。
- 前記無機酸化物が二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1つの無機酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機・無機複合材料。
- 前記高分子化合物が異なる屈折率を有する二種類の高分子化合物であり、前記二種類の高分子化合物の組成が空間的に分布することにより、屈折率分布を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機・無機複合材料。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機・無機複合材料と、前記有機・無機複合材料の表面を被覆する反射防止膜とを有することを特徴とする光学部材。
- 反応性基が導入された、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する第一の工程と、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得るとともに、前記反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる第二の工程と、
を有することを特徴とする有機・無機複合材料の製造方法。 - 反応性基が導入された、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する第一の工程と、反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる第二の工程と、前記反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得る第三の工程と、
を有することを特徴とする有機・無機複合材料の製造方法。 - 反応性基が導入された、三次元ネットワーク構造を有する無機酸化物を用意する第一の工程と、反応性化合物を重合させて三次元ネットワーク構造を有する高分子化合物を得る第二の工程と、前記反応性化合物と前記反応性基とを反応させて、前記高分子化合物と前記無機酸化物とを共有結合させる第三の工程と、
を有することを特徴とする有機・無機複合材料の製造方法。 - 前記反応性化合物が多官能性のモノマーを少なくとも有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の有機・無機複合材料の製造方法。
- 前記第一の工程が前記反応性基を含有する化合物のゾルゲル反応によって行われることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の有機・無機複合材料の製造方法。
- 前記反応性基がビニル基であることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の有機・無機複合材料の製造方法。
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