JP3419570B2 - 有機−無機複合ポリマーの製造方法 - Google Patents

有機−無機複合ポリマーの製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機−無機複合ポリマ
ーの製造方法に関する。本発明で得られる有機−無機複
合ポリマーは、レンズ、プリズム、情報記録用基板、フ
ィルター、回折光学素子などの光学部品に好適に用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】従来、光学用プラスチック材料としてポ
リメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン
(PSt)、ポリカーボネート(PC)、ジエチレング
リコールビスアリルカーボネート重合体(CR−39)
が主として用いられてきた。光学用ポリマーは高耐候
性、低吸水性、高耐熱性、低複屈折性であることが望ま
れており、近年、上記ポリマーと比較し、耐候性を高め
たエポキシ樹脂が特公平6−840号公報に、そして吸
水率を低くした共役ジエン系ポリマー及びその水素添加
物が特公平6−37530号公報に開示されている。ま
た吸水率を低くし耐熱性を高めた(メタ)アクリル樹脂
及びマレイミド共重合体が特公平6−15579号公報
及び特開平6−136058号公報に開示されている。
さらに複屈折を低くしたポリカーボネート誘導体及びポ
リエステル誘導体が特公平6−45678号公報及び特
開平6−43302号公報に開示されている。
【0003】有機ポリマーは一般に、Tgより低い温度
域で線膨張係数の温度依存性(dl/ldT)及び屈折
率の温度依存性(dn/dT)の絶対値がいずれも5〜
45×10-5/Kの範囲であり、上記特許公報に開示さ
れた有機ポリマーのdl/ldTおよびdn/dTの値
も上記の数値範囲(5〜45×10-5/K)にある。従
って、これらの有機ポリマーを、高精度に光学設計され
た光学部品、例えば非球面レンズや回折光学素子などに
用いる場合、温度変化により寸法や屈折率が変化して光
学的な精度が許容範囲を超えるといった問題がある。こ
の問題を解決するためには、3×10-5/K以下の値の
線膨張係数の温度依存性及び同じく3×10-5/K以下
の値の屈折率の温度依存性を有するポリマーが必要であ
る。
【0004】このためには、線膨張係数の温度依存性及
び屈折率の温度依存性の小さい無機物をポリマーに混合
することが考えられ、無機微粒子を分散させたモノマー
を重合させて得た複合ポリマーが特開平4−25440
6号公報に、そしてアミド結合含有非反応性ポリマー溶
液中で金属アルコキサイドを加水分解することにより得
られる複合ポリマーが特開平3−212451号公報及
び特開平5−254819号公報にそれぞれ提示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4−2
54406号公報に記載の複合ポリマーは、あらかじめ
調製された無機微粒子を用いて得られたものであるた
め、無機微粒子が均一に1次粒子として分散しにくく、
入射光の散乱が起き、透明性が低下しやすい問題があ
る。またこの複合ポリマーは無機微粒子を含んでいるに
も拘らず、線膨張係数が無機微粒子を含まないポリマー
のそれと大差がない。
【0006】また特公平3−212451号公報及び特
開平5−254819号公報記載の複合ポリマーは、溶
媒の蒸発乾固により単離されるため、その過程で著しい
体積収縮が起き、精密成形には不適当である。またこの
複合ポリマーの製造においては、あらかじめ調製された
アミド結合含有非反応性ポリマーを用いているため、得
られた複合ポリマーが水溶性もしくは高い吸水性を有
し、光学材料として用いるには不適当である。このアミ
ド結合含有非反応性ポリマーは、共重合、架橋等による
改質により、それらの性質を変えることは実質的に不可
能である。
【0007】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解
消し、成形性に優れ、線膨張係数の温度変化及び屈折率
の温度変化が小さく、かつ透明性、耐熱性が高く、光学
部品として好ましく用いられる有機−無機複合ポリマー
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目標を達
成するためになされたものであり、有機モノマーの存在
下で、金属アルコキサイドを酸または塩基を触媒として
加水分解、脱水縮合させ、得られた金属酸化物を有機モ
ノマーとともに含む有機−無機複合体を重合処理するこ
とを特徴とする有機−無機複合ポリマーの製造方法を要
旨とする。
【0009】以下本発明を詳説する。
【0010】本発明の有機−無機複合ポリマーの製造方
法においては、先ず有機モノマーの存在下で、金属アル
コキサイドを酸または塩基を触媒として加水分解し、脱
水縮合する工程を実施する。この加水分解、脱水縮合工
程により金属アルコキサイドは、金属水酸化物となった
後、脱水縮合、ゲル化して金属酸化物ゲルとなる。一
方、有機モノマーは、この工程において実質的に反応せ
ず、モノマーの状態を維持している。
【0011】本発明で用いる金属アルコキサイドは、水
と反応することにより金属酸化物ゲルとなる、いわゆる
ゾル−ゲル反応をするものが選ばれる。金属アルコキサ
イドの具体例としては、Si(OCH3 4 、Si(O
2 5 4 、Si(i−OC3 7 4 、Si(t−
OC4 9 4 などのケイ素アルコキサイド、Ti(O
CH3 4 、Ti(OC2 5 4 、Ti(i−OC3
7 4 、Ti(OC4 9 4 などのチタンアルコキ
サイド、Zr(OCH3 4 、Zr(OC2 5 4
Zr(OC3 7 4 、Zr(OC3 9 4 などのジ
ルコニウムアルコキサイド、Al(OCH3 4 、Al
(OC2 5 4 、Al(i−OC3 7 4 、Al
(OC4 9 3 などのアルミニウムアルコキサイド、
Ge(OC2 5 4 などのゲルマニウムアルコキサイ
ド、Pb(OC4 9 4 などの鉛アルコキサイドが挙
げられる。また上記例示の金属アルコキサイドの部分加
水分解物も本発明で用いる金属アルコキサイドに含まれ
る。
【0012】本発明で用いる有機モノマーはラジカルま
たはカチオン重合可能な有機モノマーが好ましく、アミ
ド結合、イミド結合、ウレタン結合および尿素結合から
選ばれる少なくとも1種の結合を含有する有機モノマー
が特に好ましい。
【0013】このような有機モノマーのうち、ラジカル
重合可能な有機モノマーの具体例としては、(メタ)ア
クリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、(メ
タ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリド
ン、(メタ)ウレタンアクリレート、アミノアルキル
(メタ)アクリレートとイソシアネートとの付加体など
が挙げられる。ここで(メタ)アクリルアミドとは、メ
タクリルアミドとアクリルアミドの両者を、また(メ
タ)アクリレートとは、メタクリレートとアクリレート
の両者を示す。
【0014】一方、上記有機モノマーのうち、カチオン
重合可能なモノマーとしては、重合官能基としてエポキ
シ環、ビニルエーテル結合、オルトスピロ環を有する化
合物が挙げられる。
【0015】また上記必須有機モノマーとともに、任意
有機モノマーを、得られるポリマーの改質のために用い
てもよく、この種の任意有機モノマーは、アミド結合、
ウレタン結合、尿素結合を有していてもいなくてもよ
い。但し、この任意有機モノマーは、その重合様式(ラ
ジカル重合、カチオン重合)が上記必須モノマーと同一
でなければならない。
【0016】このような任意有機モノマーの具体例とし
ては、必須モノマーがラジカル重合性モノマーの場合、
メチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5,2,
1,02.6 ]デカニル(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、3,3,3−
トリフロロエチル(メタ)アクリレートなどが挙げら
れ、必須モノマーがカチオン重合性モノマーの場合、エ
チレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレング
リコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA
ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0017】有機モノマー存在下での金属アルコキサイ
ドの反応は次のように行なわれる。上記の金属アルコキ
サイドと有機モノマーをアルコール溶液にし、この溶液
に酸または塩基を加え、金属アルコキサイドを水と反応
させる。用いるアルコールとしては、C1 〜C4 の1価
アルコールが、触媒である酸としては塩酸、フッ酸、硝
酸などの酸が、触媒である塩基としては、アンモニア
水、トリエチルアミンなどの塩基が用いられる。この水
との反応により金属アルコキサイドは金属水酸化物とな
った後、脱水縮合、ゲル化して金属酸化物ゲルとなる。
この一連の反応は一般にゾル−ゲル反応と言われてい
る。一方、有機モノマーは実質的に反応していないの
で、有機モノマーと金属酸化物ゲルの混合物(有機−無
機複合体)のアルコール溶液が得られる。
【0018】上記ゾル−ゲル反応において、用いる金属
アルコキサイドの量は有機モノマー10重量部に対して
10-4〜40重量部、酸または塩基の濃度は1×10
-10 〜10N、金属アルコキサイドに対する水のモル比
は2〜20、反応温度は25〜150℃とするのが好ま
しい。これらの反応条件以外の条件でゾル−ゲル反応を
行うと、生成する金属酸化物ゲルが巨大粒子化し、白濁
した有機−無機複合ポリマーが得られたり、ゾル−ゲル
反応が十分進行せず特性の不安定な有機−無機複合ポリ
マーが得られることがあり、光学用途に適切な有機−無
機複合ポリマーが得られないことがある。
【0019】本発明の有機−無機複合ポリマーの製造方
法においては、上記のようにして得られた有機−無機複
合体を次に重合処理する。この重合処理により有機モノ
マーは重合して目的とする有機−無機複合ポリマーが得
られる。
【0020】有機モノマーがラジカルまたはカチオン重
合可能な有機モノマーである場合には、有機−無機複合
体のアルコール溶液にラジカルまたはカチオン重合開始
剤を加え、加熱または光照射を行い溶液重合することに
より有機−無機複合ポリマーが得られる。また、有機−
無機複合体のアルコール溶液から蒸留でアルコールを除
いたものに、ラジカルまたはカチオン重合開始剤を加
え、加熱または光照射を行いバルク重合することにより
有機−無機複合ポリマーを得ることもできる。
【0021】三枝らの報告(ジャーナル オブ マクロ
モレキュル サイエンス−ケミストリー、A28巻、9
号、817 〜829 、1991年)によると、アミド結合を有す
るポリマー溶液中でテトラアルコキシシランのゾル−ゲ
ル反応を行った場合、生成したシリカゲルは、シリカゲ
ルに部分的に結合しているシラノール基と、ポリマー中
のアミド結合のカルボニル基とが水素結合して、安定か
つ分子サイズでポリマー中に分散している。このこと
を、ポリマーからモノマーに拡張して考え、本発明に当
てはめると、本発明の有機−無機複合ポリマーの製造方
法の過程で得られる有機−無機複合体でも金属酸化物ゲ
ルに結合しているシラノール基と、モノマー中のアミド
結合、イミド結合、ウレタン結合または尿素結合のカル
ボニル基とが水素結合して安定にかつ分子サイズでモノ
マー中に分散しており、さらにこの有機−無機複合モノ
マーを重合処理して得られる有機−無機複合ポリマーで
も同様に金属酸化物ゲルに結合しているシラノール基
と、ポリマー中のアミド結合、イミド結合、ウレタン結
合または尿素結合のカルボニル基とが水素結合して安定
してかつ分子サイズでポリマー中に分散していると推定
される。
【0022】従って本発明で得られた有機−無機複合ポ
リマーは、その優れた分散状態の故に、あらかじめ調製
された無機微粒子をポリマー中に分散させて得た従来の
複合ポリマーよりも、安定かつ透明である。そして、こ
のような分子サイズでの分散に由来するものと思われる
が、本発明で得られた有機−無機複合ポリマーは、従来
の有機ポリマーや無機微粒子を分散させたポリマーに比
して熱膨張係数の温度変化及び屈折率の温度変化が小さ
く、しかもガラス転移温度が高められたものとなり耐熱
性に優れている。
【0023】また本発明の有機−無機複合ポリマーの製
造方法においては、上述のように、その中間過程で得ら
れる有機−無機複合体において既に金属酸化物ゲルがモ
ノマー中に安定かつ分子サイズで分散しており、この優
れた分散状態は、上記有機−無機複合モノマーの重合処
理操作においても保持されるので、得られる有機−無機
複合ポリマーにおいても金属酸化物ゲルがポリマー中に
安定かつ分子サイズで分散している。
【0024】本発明で得られた有機−無機複合ポリマー
は、光学用プラスチック材料として光学部品に好適に用
いられる。
【0025】以下、この有機−無機複合ポリマーを用い
た光学部品の製造例について説明する。
【0026】有機−無機複合ポリマーの製造に用いた有
機モノマーが熱硬化性モノマーである場合、有機−無機
複合体のアルコール溶液からアルコールを除いた後、バ
ルク注型重合により光学部品が得られる。この際、得ら
れた光学部品は、注型用の型を全て除き、有機−無機複
合ポリマー単体の状態で、または一部の型は除き、一部
の型が有機−無機複合ポリマーと接着された状態で用い
ることができる。後者の状態で有機−無機複合ポリマー
を用いる場合、注型前に、接着される型の表面にシラン
カップリング剤処理を施しておくことが望ましい。
【0027】有機−無機複合ポリマーが熱可塑性である
場合、射出成型により光学部品が得られる。
【0028】光学部品を改質するために、有機−無機複
合ポリマーを製造するに際し、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、着色防止剤、染料、その他の添加剤を、有機−無機
複合モノマーあるいはそのアルコール溶液に加えてもよ
い。
【0029】
【実施例】以下に実施例を比較例と対比しつつ示し、本
発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で
得られたポリマーの評価を以下のようにして行った。
【0030】1.成形性 所定の曲率半径を有するモールドを用いて、実施例1〜
7及び比較例1の場合は注型重合、実施例8、9及び比
較例3の場合は射出成形、比較例2の場合は溶媒蒸発に
よりポリマー成形体を得た。この成形体の形状を観察及
び測定し、モールドの表面、形状を転写しているものを
成形性良好とし、そうでないものを成形不良とした。
【0031】2.線膨張係数の温度変化(dl/ld
T) (株)マック・サイエンス社製のTMA装置を用いて、
ポリマーサンプルを加重5g、昇温速度5k/分で加熱
したとき、室温から50℃の間での寸法変化量から求め
た。
【0032】3.屈折率の温度変化(dnD /dT) (株)アタゴ社製アッベ屈折率計を用いて、厚み0.5
mmのポリマーサンプルのnD を所定の温度で測定し、
室温から50℃の間での屈折率の変化量から求めた。
【0033】4.ガラス転移点(Tg) (株)東洋精機製作所製の動的粘弾性測定装置を用い
て、ポリマーサンプルを10Hz、昇温速度2K/分で
加熱したとき、tanδが極大を示す温度をガラス転移
点(Tg)とした。
【0034】5.光線透過率(T%) (株)日立製作所社製の分光光度計を用いて、厚み0.
5mmのポリマーサンプルの550nmにおける透過率
(T%)を測定した。
【0035】(実施例1)N,N−ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミド12.0g、テトラエトキシシラン
(TEOS)4.8gおよびエチレングリコールジメタ
クリレート(EDMA)1.1gをメタノール55ml
に溶解し、この溶液に0.7N−アンモニアを3.3m
l加え、25℃にて48時間撹拌した。反応混合物から
アルコール類、水、アンモニアを留去し、ケイ素酸化物
とともに有機モノマーを含む有機−無機複合体を得た。
この複合体にアゾビスジメチルバレロニトリル0.1g
を加えて得た均一混合物を、モールドに注型し、40〜
100℃を15時間、100〜120℃を6時間で加熱
した。得られたポリマーを離型して取り出し、本発明の
有機−無機複合ポリマーからなるレンズを得た。このレ
ンズは、モールドの面、形状を正確に転写しており、成
形性は良好であった。また、このレンズのdl/ld
T、dnD /dT、Tg、T%は、表1に示すようにそ
れぞれ1.1×10-5K、−1.4×10-5/K、11
8℃、94.2%であり、線膨張係数の温度変化及び屈
折率の温度変化が小さく、耐熱性と透明性が高かった。
【0036】(実施例2)U−4HA(新中村化学工業
(株)製ウレタンアクリレート)13.5gおよびTE
OS2.0gをメタノール23mlに溶解し、この溶液
に5N−塩酸を1.2ml加え、密閉した耐圧容器内で
80℃にて1時間撹拌した。反応混合物からアルコール
類、水、塩酸を留去し、ケイ素酸化物と有機モノマーを
含む有機−無機複合体を得た。この複合体に1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン0.272gを加え
て得た均一混合物を、ガラス製モールドに注型し、高圧
水銀灯で35mW/cm2 の照射強度の紫外線を10分
間照射した。得られたポリマーを離型して取り出し、本
発明の有機−無機複合ポリマーからなるレンズを得た。
このレンズは、モールドの面、形状を正確に転写してお
り、成形性は良好であった。また、このレンズのdl/
ldT、dnD /dT、Tg、T%は、表1に示すよう
にそれぞれ1.6×10-5K、−1.6×10-5/K、
138℃、96.6%であり、線膨張係数の温度変化及
び屈折率の温度変化が小さく、耐熱性と透明性が高かっ
た。
【0037】(実施例3)2モルのグリシジルアルコー
ルと1モルの4,4′−ジイソシアナートビシクロヘキ
サンとの付加生成物20.6gおよびTEOS2.4g
をメタノール89mlに溶解し、この溶液に0.01N
−アンモニアを0.2ml加え、25℃にて38時間撹
拌した。反応混合物からアルコール類、水、アンモニア
を留去し、ケイ素酸化物と有機モノマーを含む有機−無
機複合体を得た。この複合体にジフェニル(フェニルサ
ルファイド−4−イル)スルフォニウムボロンテトラフ
ロライド0.52gを加えて得た均一混合物を、ガラス
製モールドに注型し、高圧水銀灯で35mW/cm2
照射強度の紫外線を15分間照射した。得られたポリマ
ーを離型して取り出し、本発明の有機−無機複合ポリマ
ーからなるレンズを得た。このレンズは、モールドの
面、形状を正確に転写しており、成形性は良好であっ
た。また、このレンズのdl/ldT、dnD /dT、
Tg、T%は、表1に示すようにそれぞれ0.86×1
-5K、−0.92×10-5/K、165℃、91.3
%であり、線膨張係数の温度変化及び屈折率の温度変化
が小さく、耐熱性と透明性が高かった。
【0038】(実施例4)N,N−ジメチルアクリルア
ミド21.8g、スチレン3.6g、N−フェニルマレ
イミド2.4gおよびTEOS5.7gをメタノール8
5mlに溶解し、この溶液に5N−塩酸を3.8ml加
え、密閉した耐圧容器内で80℃にて2時間撹拌して、
ケイ素酸化物と有機モノマーを含む有機−無機複合体を
得た。この複合体にベンゾイルパーオキサイド0.03
gを加え、密閉容器内で60℃において4時間加熱し
た、析出した粘稠体を取り出しメチルスルフォキサイド
に溶解し、その溶液を大過剰のメタノールに滴下し、白
色固体であるポリマーを再沈殿させた。このポリマーを
ろ別し、真空乾燥させ本発明の有機−無機複合ポリマー
からなる光学用プラスチック材料を得た。この材料を射
出成型し得られたレンズは、モールドの面、形状を正確
に転写しており、成形性は良好であった。また、このレ
ンズのdl/ldT、dnD /dT、Tg、T%は、表
1に示すようにそれぞれ1.6×10-5K、−1.4×
10-5/K、112℃、91.9%であり、線膨張係数
の温度変化及び屈折率の温度変化が小さく、耐熱性と透
明性が高かった。
【0039】(実施例5〜10)表2に示した有機モノ
マーおよび金属アルコキサイドを用い、ゾル−ゲル反応
条件を適宜変更した以外は、ラジカル重合性モノマーの
加熱による重合の場合は実施例1、紫外線照射による重
合の場合は実施例2、カチオン重合性モノマーの紫外線
照射による重合の場合は実施例3、ラジカル重合性モノ
マー溶液の加熱による重合の場合は実施例4と同様の操
作を行い、本発明の有機−無機複合ポリマーからなるレ
ンズを得た。これらのレンズは、モールドの面、形状を
正確に転写しており、成形性は良好であった。また、こ
れらのレンズは表2のdl/ldT、dnD /dT、T
g、T%の値が示すように、線膨張係数の温度変化及び
屈折率の温度変化が小さく、耐熱性と透明性が高かっ
た。
【0040】(比較例1)グリセリルメタクリレートと
ヘキサメチレンジイソシアネートの付加物であるウレタ
ンメタクリレート10g、コロイダルシリカ(AERO
SIL200、日本アエロジル(株)製)0.2gの混
合物をロールミルで100時間撹拌した。この分散体に
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.13
1gを加えて得た混合物を、ガラス製モールドに注型
し、高圧水銀灯で35mW/cm2 の照射強度の紫外線
を10分間照射した。得られたポリマーを離型して取り
出し、有機−無機複合ポリマーからなるレンズを得た。
このレンズは、モールドの形状を有効に転写していたも
のの、モールドの面にない無数の細かい凹凸が表面にあ
り、成形性は不良であった。また、このレンズのdl/
ldT、dnD /dT、Tg、T%は、表3に示すよう
にそれぞれ1.7×10-5K、−1.4×10-5/K、
89.5℃、78.1%であり、線膨張係数の温度変化
及び屈折率の温度変化は小さいものの、耐熱性と透明性
が低かった。
【0041】(比較例2)ポリビニルピロリドン10.
0gのメタノール200ml溶液に、TEOS17.3
gおよび5N−塩酸10.5gを加え、この混合物を8
0℃で1時間加熱した。この反応溶液を所定の曲率半径
を有するモールド上に流延し、揮発性成分を蒸発させ、
ポリマーを単離した。モールド側のポリマー表面は、モ
ールド面にはないしわや小さな空孔が観察され、その形
状はモールドの形状を転写しておらず、成形性は不良で
あった。またこのポリマーのdl/ldT、dnD /d
T、Tg、T%は、表3に示すようにそれぞれ2.1×
10-5K、−1.8×10-5/K、103℃、90.1
%であり、線膨張係数の温度変化及び屈折率の温度変化
は小さいものの、耐熱性と透明性がやや低かった。
【0042】(比較例3)ポリイソプレン(シス−1,
4−構造単位86%、トランス−1,4−構造単位12
%、3,4−構造単位2%、重量平均分子量20万)の
6%トルエン溶液1000gを2リットルのガラス製セ
パラブルフラスコに入れ、系を窒素置換した後、撹拌下
に85℃でp−トルエンスルホン酸2.5gを加えた。
5時間撹拌した後、反応混合物に250gの水を加え、
反応を停止した。静置後、分離した油分を250gの水
で5回洗浄した。この油分を2,6−ジ−t−ブチルフ
ェノール1%を含む大過剰のメタノールに投入し、ポリ
マーを回収し、このポリマーを減圧乾燥した。得られた
ポリマーのシクロヘキサン5%溶液400gを、1リッ
トルのオートクレープに仕込み、そこへ5%のパラジウ
ムを担持させたカーボン触媒2gを加えた。オートクレ
ープを水素置換後、撹拌しながら120℃に加熱した。
オートクレープの温度が一定になったところで、水素圧
を70気圧にし、反応により消費した水素を補充しなが
ら8時間反応させた。触媒をろ別した反応混合物を多量
のアセトン−イソプロパノール(1/1)混合溶媒中に
投入し、ポリマーを回収し、このポリマーを減圧乾燥し
た。このポリマーを射出成型し得られたレンズは、モー
ルドの面、形状を正確に転写しており、成型性は良好で
あった。しかし、このレンズのdl/ldT、dnD
dT、Tg、T%は、表3に示すようにそれぞれ9.8
×10-5K、−10.2×10-5/K、70℃、93.
4%であり、線膨張係数の温度変化及び屈折率の温度変
化が大きく、耐熱性が低かった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】 (表1〜3の略号の説明) DAPA N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド EDMA エチレングリコールジメタクリレート U−4HA 新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート UM−1 1,6−ジイソシアナートヘキサンと2−ヒドロキシエチルア クリレートの付加生成物 UM−2 イソフォロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリ レートの付加生成物 CHMA シクロヘキシルメタクリレート TCA トリシクロ[5,2,1,02.6 ]デカニルアクリレート EPU−1 グリシジルアルコールと4,4′−ジイソシアナートビシクロ ヘキサンの付加生成物 EPU−2 グリシジルアルコールと1,3−ビス(イソシアネートメチル )ベンゼンの付加生成物 URA エチレンジアミンと2−イソシアナートエチルメタクリレート の付加生成物 BZMA ベンジルメタクリレート ACMO アクリロイルモルフォリン 3FMA 1,1,1−トリフロロエチルメタクリレート EP−828 エピコート828(油化シェル社製エポキシ樹脂) DMAA N,N−ジメチルアクリルアミド ST スチレン PM N−フェニルマレイミド MMA メチルメタクリレート
【0047】
【発明の効果】本発明で得られた有機−無機複合ポリマ
ーは、成形性が優れ、線膨張係数の温度変化及び屈折率
の温度変化が小さく、かつ透明性、耐熱性が高いので、
レンズ、プリズム、情報記録用基板、フィルター、回折
光学素子などの光学部品に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/44 C08L 1/00 - 101/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機モノマーの存在下で、金属アルコキ
    サイドを酸または塩基を触媒として加水分解、脱水縮合
    させ、得られた金属酸化物を有機モノマーとともに含む
    有機−無機複合体を重合処理することを特徴とする有機
    −無機複合ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 有機モノマーがラジカルまたはカチオン
    重合可能な有機モノマーである、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 ラジカルまたはカチオン重合可能な有機
    モノマーが、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合お
    よび尿素結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含有
    する有機モノマーである、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 金属アルコキサイドが、ケイ素、チタ
    ン、ジルコニウム、アルミニウムおよびゲルマニウムの
    アルコキサイドから選ばれる少なくとも1種である、請
    求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 有機モノマー10重量部に対して金属ア
    ルコキサイドを10-4〜40重量部用い、酸または塩基
    の濃度を1×10-10 〜10N、金属アルコキサイドに
    対する水のモル比を2〜20、反応温度を25〜150
    ℃にして加水分解、脱水縮合を行なう、請求項1に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方
    法により得られた光学部品。
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