JP2004217836A - 放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】残存溶剤の影響が低減され、且つ、光学的に優れた透明性を示す放射線硬化樹脂組成物、その製造方法及び寸法安定性、密着性が良好な放射線樹脂硬化物を提供すること。
【解決手段】アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合し、水溶性触媒を添加して、10〜100℃、0.5〜24時間で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、2価以上の(メタ)アクリレート化合物からなる重合性単量体とを含有する放射線硬化性組成物、この組成物に紫外線を照射して光重合を行って得られた硬化物、及び、この硬化物からなる光学材料。
【選択図】 なし
【解決手段】アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合し、水溶性触媒を添加して、10〜100℃、0.5〜24時間で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、2価以上の(メタ)アクリレート化合物からなる重合性単量体とを含有する放射線硬化性組成物、この組成物に紫外線を照射して光重合を行って得られた硬化物、及び、この硬化物からなる光学材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料に関し、より詳しくは、優れた光学特性を有する樹脂硬化物が得られる放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光照射又は電子線照射により反応硬化物が得られる放射線硬化性組成物は、光学用材料として広く使用されている(例えば、特許文献1)。これらの放射線硬化性組成物には、機械的特性の補強、硬化収縮の抑制、硬化物の寸法安定性を高める等の目的で、組成物中にシリカ粒子を配合する方法が知られている。例えば、光硬化性ウレタンアクリレートプレポリマーにシリカ及びシランカップリング剤を配合した光硬化性組成物(特許文献2)、また、カルボキシル基含有多官能アクリレートに重合度3〜8のポリメトキシシロキサンの重縮合及びエステル交換反応物であるシリケート化合物を配合した光硬化性組成物(特許文献3)が報告されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平03―281511号公報
【特許文献2】
特開昭60―163911号公報
【特許文献3】
特開平08―325474号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各種レンズ、光ディスク基板、光記憶材料等の光学用材料には、硬化物の寸法安定性等に加え、透明性が求められるが、前述した従来技術には以下のような問題が存在する。即ち、透明な樹脂材料にシリカ粒子のような無機物質の超微粒子を分散させる場合は、超微粒子の粒径が非常に小さいことに起因して、シリカ粒子の二次凝集体が生じ易い。このようなシリカ粒子の二次凝集体が生じると、たとえ超微粒子の粒径が小さくとも、二次凝集体の大きさと同程度の粒子が存在するのと同じことになり、その結果、放射線硬化性組成物から得られる硬化物が白濁したような状態となり、透明性が著しく低下する。
【0005】
このような問題を解決するために、我々は、アルコール、ケトン等の溶液中においてアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って超微粒子のシリカを合成し、この特殊な合成方法により得られた超微粒子のシリカとシランカップリング剤とを作用させた後、さらに光重合性モノマー及び/又はオリゴマーと混合することにより、大量の超微粒子のシリカが非常に良好な分散状態で含有された光硬化性組成物を開発し、これについて特許出願を行った(特願2002―320193)。
【0006】
ところが、さらに検討を進めていくと、この光硬化性組成物に使用する超微粒子は、アルコール等の溶液中においてアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行った後、さらに得られた反応物とシランカップリング剤とを作用させて調製されるため製造工程が煩雑であった。さらに、超微粒子のシリカを合成する際に大量に使用する有機溶媒を低減させるために、エバポレーション操作を長時間行うことが必要となり、生産コストを増大させる要因の一つになっていた。また、光硬化性組成物中に、このような合成反応に使用した溶媒が高い割合で残存する場合には、得られる硬化物は、プラスチック材料との密着性が低減する等の傾向が認められた。このため、密着性をより高めたいという要請がある。
【0007】
本発明は、このような光学用材料として好適な、硬化物の寸法安定性等に加え、優れた透明性を示す放射線硬化性組成物を開発する際に生じた要請に応えるためになされたものである。即ち本発明の目的は、残存溶剤の影響が低減され、且つ、光学的に優れた透明性を示す放射線硬化性組成物、その製造方法、さらに、寸法安定性、密着性が良好な硬化物及び光学材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応をシランカップリング剤の存在下で行って超微粒子のシリカ粒子を合成する方法を採用している。即ち、本発明が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有することを特徴とするものである。このシリカ粒子は、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対してシランカップリング剤30〜1000重量部の存在下で、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って得られたことを特徴とすることができる。また、シリカ粒子は、シランカップリング剤の濃度が50%以上の溶液中において、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って得られたことを特徴とすることができる。さらに、シリカ粒子は、数平均粒径が、1nm以上50nm以下であることを特徴とすることができる。また、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とすることができる。さらに、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に、ウレタン結合及び(メタ)アクリル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とすることができる。
【0009】
つぎに、本発明は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行いシリカ粒子を合成する工程と、シリカ粒子と放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを混合させる工程と、を有することを特徴とする放射線硬化性組成物の製造方法として捉えることができる。この場合、シリカ粒子を合成する工程は、加水分解反応用の触媒の水溶液を添加し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行うことを特徴とすることができる。また、加水分解反応用の触媒は、水溶性触媒であることが好ましい。さらに、シリカ粒子を合成する工程は、アルコキシシランのオリゴマーに結合したアルコキシ基のモル数の0.05倍以上1倍以下の水を添加し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行うことを特徴とすることができる。
【0010】
一方、本発明が適用される硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られたことを特徴とするものである。この場合、重合は、紫外線照射又は電子線照射により、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させることを特徴とすることができる。また、この硬化物は、硬化物の波長400nmの光に対する光線透過率が85%以上であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、この放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られた硬化物からなることを特徴とする光学材料として捉えられる。
【0012】
尚、本発明が適用される放射線硬化性組成物におけるシリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。また、加水分解物とは、少なくとも加水分解反応を含む反応により得られる生成物を指し、脱水縮合等を伴っていてもよい。また、加水分解反応は脱アルコール反応も含む。さらに、放射線とは、活性エネルギー線一般を指し、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線等の光及び電子線を含むものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有することを特徴とする。
【0014】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、アルコキシシランオリゴマーの加水分解をシランカップリング剤の存在下で行うので、アルコール等の有機溶媒を大量に用いることなくシリカ粒子を得ることができ、従って溶媒を除去する工程を省いたり簡略化したりできる利点がある。例えば、通常、溶媒はエバポレーションにより除去されるが、その時間の短縮や温度の低下が可能である。
すなわち、従来、残存溶媒は、組成物を硬化した際には微細な液粒となって硬化物中に分散し、その後、時間とともに徐々に抜け硬化物からしみ出していくと推定され、このためプラスチック材料等との密着性が低下すると考えられる。また、溶媒が抜けたあとは硬化物中に微細な孔が大量にできるためガスバリヤ性の低下や吸水率の増加等耐候性が損なわれる傾向がある。更に、大量に存在する微細な孔により光線が散乱されるので、光線透過性が低下し透明性が失われる傾向がある。特に温度が高いほど溶媒は抜けやすいので、硬化物の温度耐性が低下してしまう。
【0015】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、放射線硬化性組成物に残存する溶媒の量を大幅に低減できるのでプラスチック材料等との密着性を高められる利点がある。また、ガスバリヤ性の低下や吸水率の増加を抑え耐候性が高まる利点がある。更に、光線透過性の低下を抑え透明性を保てる利点がある。また、硬化物の温度耐性も高まる利点がある。従って、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物及び硬化物は、コーティング材料や光学材料等への応用にも適している。
【0016】
以下、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法及び硬化物について詳細に説明する。
(シリカ粒子)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において使用されるシリカ粒子は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られた超微粒子シリカ粒子である。アルコキシシランは、珪素原子にアルコキシ基が結合した化合物であって、また加水分解反応及び脱水縮合反応(又は脱アルコール縮合)によりアルコキシシラン多量体(オリゴマー)を生成する。水や溶媒に対してアルコキシシランオリゴマーが相溶性を持つために、アルコキシシランのアルキル鎖は、通常、炭素数1〜5程度であり、好ましくは炭素数1〜3程度である。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
本実施の形態では、このアルコキシシランのオリゴマーを出発原料とする。アルコキシシラン単量体(モノマー)を出発原料としないのは、粒径の制御が難しいこと、粒径分布がブロードになりやすく粒径が揃いにくい等の傾向があるため、透明な組成物が得にくいこと、単量体に毒性を有する種類のものがあり、安全衛生上好ましくないこと、等の理由による。アルコキシシランのオリゴマーの製造は、特に限定されないが、例えば、特開平7−48454号公報に記載された方法等、公知の方法によって行うことができる。
【0018】
(シランカップリング剤)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において使用されるシランカップリング剤は、珪素原子にアルコキシ基及び官能基を有するアルキル基が結合した構造を有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、光重合性官能基を有するジアルコキシシラン、トリアルコキシシランが特に好ましい。その具体例としては、例えば、ジアルコキシシランとしては、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。トリアルコキシシランとしては、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
シランカップリング剤の使用量は、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して通常、30重量部以上、好ましくは50重量部以上、更に好ましくは60重量部以上である。但し、通常、1000重量部以下、好ましくは300重量部以下、更に好ましくは200重量部以下である。シランカップリング剤の使用量が過度に大きいと、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の寸法安定性が低下する傾向があり、逆にシランカップリング剤の使用量が過度に小さいと、放射線硬化性組成物におけるシリカ粒子の分散性が低下し、白濁やゲル化、凝集等が生じる傾向がある。尚、シランカップリング剤は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行う際に、反応系の溶液中に少なくとも50%の濃度で存在することが好ましい。また、反応系の溶液中におけるシランカップリング剤の濃度の上限は特になく、例えば、100%シランカップリング剤であってもよい。
【0020】
(加水分解反応)
アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行い、超微粒子のシリカ粒子を得る方法は、特に限定されないが、本実施の形態においては、アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを混合し、これに一定量の水を加えることによって行うことが好ましい。アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを混合する場合、シランカップリング剤をそのまま使用してもよく、また、シランカップリング剤を適当な有機溶媒に溶解した溶液を使用することも可能である。特に、他の有機溶媒を使用せずに、アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行ってシリカ粒子を合成することにより、放射線硬化性組成物中の残存有機溶媒を除去するためのエバポレーション操作が不要又は簡略化することができるので好ましい。
【0021】
加水分解反応を行うのに必要な水の量の下限値は、アルコキシシランオリゴマーに結合したアルコキシ基のモル数の通常、0.05倍以上、より好ましくは0.3倍以上であり、上限値は、通常、1倍以下である。水の量が過度に少ないと、シリカ粒子の粒径が十分な大きさに成長しないおそれがある。逆に水の量が過度に多いと、アルコキシシランオリゴマーがゲルを形成しやすくなるおそれがある。
【0022】
加水分解反応を行う際には、通常、加水分解反応用の触媒が使用される。このような触媒の具体例としては、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸等の無機酸;蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触媒;有機金属;金属アルコキシド;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物;ホウ素ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化合物等が挙げられる。これらの中でも、水への溶解性、保存安定性、及び得られる硬化物の表面硬度、可撓性等の特性が優れている点から、酢酸、マレイン酸、ホウ素化合物が好ましい。これらの触媒のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際には、非水溶性触媒を用いてもよいが、水溶性触媒を使用することが好ましい。加水分解反応用の水溶性触媒を使用する場合は、水溶性触媒を適当量の水に溶解し、反応系に添加すると、触媒を均一に分散させることができるので好ましい。
【0024】
加水分解反応に使用する触媒の添加量は、特に限定されないが、通常、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上であり、通常、10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0025】
加水分解反応を行うための反応温度は、特に限定されないが、通常、10℃以上、好ましくは40℃以上の範囲である。但し、通常、100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲である。反応温度が過度に低いと、シリカ粒子が形成される反応が十分に進行しないので好ましくない。反応温度が過度に高いと、アルコキシシランのオリゴマーのゲル化反応が起こりやすくなるため好ましくない。また、加水分解反応を行うための反応時間は、特に限定されないが、通常、10分間以上、好ましくは20分間以上の範囲である。但し、通常、48時間以下、好ましくは24時間以下の範囲である。
【0026】
尚、本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、必要に応じて、溶媒を使用することができる。使用する溶媒としてはアルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等のうち1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。アルコール類の具体例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、nブチルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、nプロピルアルコール、アセチルアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類の具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、アセトンが特に好ましい。溶媒の使用量は、通常、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して、50重量部以下である。
【0027】
また、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、加水分解反応に影響しない範囲で、反応系に添加剤等補助成分を加えることができる。このような補助成分としては、例えば、酸、アルカリ等pH調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、無機超微粒子、ガラス繊維、ガラスビーズ、粘土鉱物等のフィラー類、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が挙げられる。
【0028】
本実施の形態において使用される、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子の数平均粒径の下限値は、通常、1nm、好ましくは2nm、より好ましくは3nmである。数平均粒径が過度に小さいと、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の寸法安定性や硬度特性が低下するおそれがある。シリカ粒子の数平均粒径の上限値は、通常、50nm、好ましくは40nm、より好ましくは30nmである。シリカ粒子の数平均粒径が大きすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、光硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下するおそれがある。
【0029】
尚、シリカ粒子の数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を用いる。即ち、観察される超微粒子像と同面積の円の直径をシリカ粒子の粒径と定義する。こうして決定される粒径を用い、例えば公知の画像データの統計処理手法により数平均粒径を算出する。このような統計処理に使用する超微粒子像の数(統計処理データ数)はできるだけ多いことが望ましい。例えば、再現性の点で、無作為に選ばれた粒子像の個数として最低でも50個以上、好ましくは80個以上、更に好ましくは100個以上とする。上記体積%の計算は、上記により決定される粒径を直径とする球の体積で換算する。
【0030】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に使用する、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子は、従来一般に充填成分として用いられているシリカに比べて、遙かに粒径の揃った微細な超微粒子である。また、このシリカ粒子は凝集しにくい性質も併せ持つので、放射線硬化性組成物中に均一に分散させることができる。その結果、シリカ粒子を大量に添加しても光透過性を損なうことがないので、硬化物の寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子を添加できる。
【0031】
(放射線重合性単量体及び/又はオリゴマー)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に使用する放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に放射線の照射により重合が行われる官能基(放射線重合性官能基)を有する単量体、又は、この単量体のオリゴマーが挙げられる。放射線重合性官能基は分子中に2個以上結合されていることが好ましい。放射線重合性官能基としては、放射線による重合性を有する官能基であれば特に限定されない。なかでも、ラジカル反応性を有する官能基が好ましく、特に、重合反応速度が大きい(メタ)アクリル基が好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」なる表記は、アクリレート又はメタクリレートのいずれかを意味する。また、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは疎水性であることが好ましい。さらに、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、全放射線重合性官能基における(メタ)アクリレート基の数が50%以上であることが好ましい。
【0032】
放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを放射線により重合させることにより、超微粒子のシリカ粒子が高度に分散された状態のまま高速で硬化させることができる。放射線重合性単量体又はオリゴマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、両者を混合して用いても良い。この放射線重合性単量体は、オリゴマーと比較して低粘度又は液状であるものが多く、他の成分と混合する場合に有利である。また、コーティングや注型成形等の成形がしやすい利点がある。オリゴマーは、表面硬化性に優れ、硬化収縮が小さい傾向があり、また硬化物の機械的特性、特に引っ張り特性や曲げ特性が良好であるものが多い利点がある。
【0033】
放射線重合性単量体として好適な、分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物としては、脂鎖式ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレート、芳香族ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2価の(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3価の(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4価の(メタ)アクリレート類;ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等の不定多価の(メタ)アクリレート類等が例示される。これらの中でも、架橋生成反応の制御が容易であるという観点から2価の(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
【0034】
また、硬化物の架橋構造の耐熱性、表面硬度の向上等を目的として、上記に例示されたトリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート等の他、イソシアヌレート骨格を有する3官能(メタ)アクリレート類等の3官能以上の(メタ)アクリレート類が好ましく添加される。更に、接着性、密着性を向上させる目的で、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有した(メタ)アクリレート化合物が好ましく添加される。
【0035】
分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物の中でも、下記一般式(1)で示された化合物A及び下記一般式(2)で示された化合物Bを、それぞれ単独又は併用することにより、得られる重合体の透明性と低光学歪み性をバランスよく実現することが可能となる。化合物Aは、一般式(1)で示される脂環骨格を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0036】
【化1】
【0037】
一般式(1)において、Ra及びRbはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rc及びRdはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を表し、xは1又は2を、yは0又は1を、それぞれ表す。一般式(1)で示される化合物Aの具体例としては、例えば、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのトリシクロデカン化合物及びペンタシクロデカン化合物は、複数種を併用してもよい。
【0038】
一般式(2)で表される化合物Bは、硫黄原子を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0039】
【化2】
【0040】
一般式(2)において、Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、各Reはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。
【0041】
一般式(2)で示される成分Bの具体例としては、例えば、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−p−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−m−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、2,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、5,5′−テトラブロモジフェニルケトン、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルエーテル、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルチオエーテル等が挙げられ、これらは複数種を併用してもよい。これらの化合物の中でも、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートは優れた透明性及び耐熱性を有し、特に好適に用いられる。
【0042】
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中にウレタン結合及び(メタ)アクリル基の両方を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中の少なくとも両末端に(メタ)アクリル基を有することが好ましい。これにより、得られる樹脂硬化物の密着性や表面硬化性がさらに増すという利点がある。また、ウレタン結合が存在すると、分子内水素結合や分子間水素結合が形成しやすくなるため、有機分子の凝集性が高められ、その結果、破壊エネルギーに対する耐性が増し、かつ分子の熱運動が制限される、耐熱性も向上すると考えられる。
【0043】
ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物とを、常法により付加反応させることにより合成することができる。尚、通常、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御するために、必要に応じてヒドロキシル基を含有する化合物を併用することができる。分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート類が挙げられる。これらのうち、得られる組成物の色相が良好である点で、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種類又は2種類以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0044】
また、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0045】
また、ヒドロキシル基を含有する化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール;これらのアルキルポリオールの多量体であるポリエーテルポリオール;これらのアルキルポリオールや多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0046】
イソシアネート化合物とヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物との付加反応、さらに、これらの化合物とヒドロキシル基を含有する化合物との付加反応は、公知の方法、例えばイソシアネート化合物の存在下にヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物とヒドロキシル基を含有する化合物と付加反応触媒、例えばジブチルスズラウレートとの混合物を50〜90℃の条件下で滴下することにより行うことができる。尚、ヒドロキシル基を含有する化合物を併用する場合は、通常、ヒドロキシル基を含有する化合物の一部、例えば30〜70%が、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物となるように化合物の割合を調製する。また、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物1分子と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物2分子とを付加反応させることにより、両末端に(メタ)アクリル基を有する、ウレタン(メタ)アクリレートを合成することができる。
【0047】
尚、ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中に芳香環を有しない構造を持つ化合物が好ましい。分子中に芳香環を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いて得られた放射線硬化性組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう場合がある(いわゆる黄変)ので好ましくない。このような観点から、イソシアネート化合物として、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種類又は2種類以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0048】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子の割合は、放射線硬化性組成物又はこの放射線硬化性組成物を放射線を照射して得られた硬化物に対して3体積%以上であることが好ましく、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上である。硬化物の寸法安定性や硬度特性を高めるためには、含有可能な範囲で多量に含ませることが好ましい。一方、シリカ粒子の割合の上限は、放射線硬化性組成物又は硬化物に対して好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。放射線硬化性組成物におけるシリカ粒子の割合が過度に大きいと、硬化物の透明性や機械的強度が低下する傾向がある。
【0049】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物には、通常、放射線照射によって重合反応を開始させ、且つ、重合反応を速やかに進行させるために、重合開始剤を添加することが好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、光照射によりラジカルを発生する化合物である光ラジカル発生剤が挙げられる。光ラジカル発生剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が例示される。これらの光ラジカル発生剤は複数種を併用してもよい。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びベンゾフェノンが好ましい。重合開始剤の添加量は、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し、通常、0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上であり、通常、10重量部以下、好ましくは8重量部以下である。重合開始剤の添加量が過度に多いと重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する傾向があり、また過度に少ないと、組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
【0050】
尚、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物には、必要に応じて添加剤等補助成分を加えることができる。このような補助成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。これら補助成分の添加量は、特に限定されないが、通常、放射線硬化性組成物又はその硬化物の20重量%以下である。
【0051】
(放射線硬化性組成物の製造方法)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物の製造方法は特に限定されないが、通常、(a)アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で、10〜100℃の温度下で加水分解反応を行ってシリカ粒子を合成する工程と、(b)合成したシリカ粒子と放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを混合させる工程と、を順次行うことにより行うことが好ましい。この製造方法によれば、粒径が揃ったシリカ粒子が高度に分散された放射線硬化性組成物を容易に製造することができる。
【0052】
本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行うことによりシリカ粒子を合成すると、理論的には下記式(3)で示される量以下のアルコールが生成すると考えられる。
【0053】
【数1】
【0054】
式(3)中、xはアルコールの含有量(g)、aは放射線硬化性組成物100g中に含有されるシリカ粒子のSiO2換算の重量(g)、bは放射線硬化性組成物100g中に含有されるシランカップリング剤残基の重量(g)、mはシランカップリング剤残基の平均分子量、nはシランカップリング剤残基のシロキシ基の数の平均値である。アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合してアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行う場合は、他の有機溶剤を使用しないことから、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物中には、この式(3)で示される量を超える量のアルコールが含有されないので、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の透明性を高めることができる。また、放射線硬化性組成物中に残留する有機溶媒を減少させるために、長時間の減圧処理を行う必要がなく、生産コストを低減することができる。この場合、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行うことにより生成するアルコールの、放射線硬化性組成物中の濃度は、上限が10%、好ましくは8%、より好ましくは6%である。
【0055】
尚、本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、必要に応じて、有機溶媒を使用した場合は、さらに、(c)10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程を行い、放射線硬化性組成物中に残留する、例えば、アルコール、ケトン等の有機溶媒又は水を除去することが好ましい。
【0056】
(放射線硬化性組成物から得られる硬化物)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、紫外線等の光及び電子線等の放射線を照射して重合反応を開始させるいわゆる放射線重合により、硬化物を得ることが好ましい。一般に、重合反応の形式としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の公知の重合形式が挙げられるが、光学部材としての諸特性、例えば光線透過率や低複屈折性等を高めるためには、活性エネルギー線照射による任意の重合形式が好ましく、放射線照射によるラジカル重合が好ましい。放射線としては、重合開始剤に作用して重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線等)又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)が挙げられる。なかでも、紫外線と可視光線及び電子線が好ましい。
【0057】
紫外線を照射する場合は、必要に応じて増感剤を併用してもよい。紫外線の波長は、通常、200〜400nmの範囲であり、好ましくは250〜400nmである。紫外線の強度は、通常、0.1〜200J/cm2のエネルギー範囲で照射する。
【0058】
また、電子線を照射する場合は、電子線照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方式に制限はないが、例えば、カーテン型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられる。電子線照射の際の加速電圧は10〜1000kVが好ましく、照射線量は1〜30M(メガ)radの範囲が好ましい。本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、電子線を照射することにより、機械特性、特に引っ張り伸び特性に優れた硬化物を得ることができる。
【0059】
放射線の照射時間は、通常1秒以上、好ましくは10秒以上である。照射時間が過度に短い場合は、硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されない場合がある。一方、照射時間の上限は、通常、3時間以下、好ましくは1時間以下である。照射時間が過度に長い場合は、硬化物が黄変する等の劣化を生ずる場合がある。また、放射線の照射は、一段階、あるいは複数段階で照射してもよく、その線源として通常は放射線が全方向に広がる拡散線源を用い、通常、型内に賦形された放射線硬化性組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送された状態とし、線源を固定静置した状態で照射する。また、放射線硬化性組成物を適当な基板(例えば、樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上に塗布膜を形成し、次いで、放射線を照射して塗布膜を硬化させることも可能である。
【0060】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に放射線を照射することにより得られた硬化物は、通常、例えば、トルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤に対して不溶であり、光学部材の用途に有利な性質を備えていることが好ましい。具体的には、低光学歪み性(低複屈折性)、高光線透過率、寸法安定性、及び一定以上の耐熱性、低硬化収縮性を備えることが好ましい。この硬化物の透明性は、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。ここで、光線透過率は、例えば、ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室温で測定し、波長550nmにおける透過率を代表値とすることができる。
【0061】
硬化物の耐熱性は、示差熱分析(DCS)、熱機械測定(TMA)又は動的粘弾性により測定されたガラス転移温度が100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上である。硬化物の熱膨張が小さいほど、より良好な寸法安定性を有しているので好ましい。例えば、熱膨張の具体的指標の一つである線膨張係数は、13×10−5/℃以下が好ましく、より好ましくは12×10−5/℃以下、さらに好ましくは10×10−5/℃以下、特に好ましくは8×10−5/℃以下である。ここで、線膨張係数は、例えば、5mm×5mm×1mmの板状試験片を用いて、圧縮法熱機械測定器(TMA;SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)にて、加重1g、昇温速度10℃/分で測定し、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで線膨張係数を評価し、その平均値を代表値とすることができる。硬化物の硬化収縮は小さいほど好ましく、例えば、6体積%以下であり、好ましくは4体積%以下である。
【0062】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を含有し、有機物である樹脂マトリクスと異なる光学特性を有することにより、有機物単独では実現し得ない特異な屈折率とアッベ数とのバランスを示す場合がある。このような特異な屈折率とアッベ数とのバランスを示す性能は、レンズやプリズム等のように、光の屈折を利用し、低複屈折が望ましい用途において有用である。具体的には、ナトリウムD線波長において23℃で測定される屈折率nDと、アッベ数νDとの関係を表す下記式(4)における定数項Cが、1.70〜1.82の範囲を逸脱するような場合をいう。
【0063】
【数2】
【0064】
一般に、樹脂材料からなる成形体の厚みが大きくなるに従い、複屈折が大きくなる。本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を使用することにより、硬化物からなる成形体の厚さが増大する割には複屈折の増加率が小さい特質を有する場合がある。この場合、この硬化物からなる厚さが0.1mm以上である比較的厚い成形体は、低複屈折率化の点で有利である。
【0065】
(光学材料)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、複屈折で代表される光学歪みが小さく、良好な透明性を有し、優れた寸法安定性や表面硬度等の機能特性を有するため、光学材料として好適に使用される。ここで光学材料とは、例えば、用途に応じて、透明性、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折、前述したような特異な屈折率とアッベ数とのバランス等の光学特性を利用して使用される成形体一般を指す。具体例としては、ディスプレイパネル、タッチパネル、レンズ、プリズム、導波路、光増幅器等のオプティクス、オプトエレクトロニクス用部材が挙げられる。
【0066】
このような光学材料は、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に放射線を照射することにより得られた硬化物からなる成形体と、この硬化物の薄膜を表面に有する成形体と、の2種類の光学材料が挙げられる。前者は光学材料の主体が硬化物であり、その表面に任意の材料による薄膜(コート層)が被覆されていてもよい。後者は光学材料の主体は前記硬化物でなくてもよい材質で構成され、その表面に硬化物の薄膜を有するものである。いずれの光学材料も、樹脂、ガラス、セラミクス、無機物結晶、金属、半導体、ダイヤモンド、有機物結晶、紙パルプ、木材等の任意の固体素材基板上に密着して成形されたものであってもよい。
【0067】
上記前者の光学材料の寸法に制限はないが、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物の部分の光路長は、光学材料の機械的強度の点から、下限値は、通常、0.01mmであり、好ましくは0.1mm、更に好ましくは0.2mmである。一方、光線強度の減衰の点から、光路長の上限値は、通常、10,000mmであり、好ましくは5,000mm、更に好ましくは1,000mmである。また、前者の光学材料の形状は特に限定されないが、例えば、平板状、曲板状、レンズ状(凹レンズ、凸レンズ、凹凸レンズ、片凹レンズ、片凸レンズ等)、プリズム状、ファイバー状等の形状が例示される。
【0068】
上記後者の光学材料の寸法に制限はないが、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる薄膜の膜厚は、機械的強度や光学特性の点から、下限値は、通常、0.05μmであり、好ましくは0.1μm、更に好ましくは0.5μmである。一方、膜厚の上限値は、薄膜の成形加工性や費用対効果バランスの点から、通常、3,000μmであり、好ましくは2,000μm、更に好ましくは1,000μmである。このような薄膜の形状は特に限定されないが、例えば、平面状、球面状、非球面曲面状、円柱状、円錐状、ボトル状等の任意形状の基板上に成形されていてもよい。
【0069】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる光学材料には、必要に応じて任意の被覆層、例えば、摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、基材と塗布面との接着性を改善する下引き層、電極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。このような任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられる。これらのコーティング層のコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
【0070】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる光学材料の具体例を更に詳細に例示すると、例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ;光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐又は接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品;液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等の各種ディスプレイ用部材;光ディスク基板、光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途;さらに、光学接着剤等の各種光通信用材料;機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)、超解像膜、紫外線吸収膜、反射制御膜、光導波路、及び識別機能印刷面等の各種光学フィルム・コーティング用途等が挙げられる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例に基づき本実施の形態についてさらに詳述する。但し、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)シリカ粒子の粒径
透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)社製H−9000UHR型、加速電圧300kV、観察時の真空度約1.0×10−6Pa)にて行った。
(2)光線透過率
紫外・可視吸光光度計(ヒューレットパッカード社製HP8453型)にて室温で測定し、波長550nmにおける透過率を代表値とした。数値が大きいほど透明性が高い(単位:%)。
(3)線膨張係数
5mm×5mm×1mmの硬化物の板状試験片について、圧縮法熱機械測定器(TMA:SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)を用いて、加重1g、昇温速度10℃/分の条件で測定した。線膨張係数は、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで評価し、その平均値を代表値とした。数値が小さいほど硬化物の寸法安定性が高い(単位:×10−5/℃)。
(4)残存溶媒量
圧縮法熱機械測定器(TMA:SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)により、ターゲット温度200℃、昇温速度1℃/分で試験片を加熱し、加熱の前後において脱離した化合物が全て残存溶媒であると仮定し、その重量減少率で評価した。数値が小さいほど残存溶媒量が少ない(単位:%)。
【0072】
(実施例1)
(a)アルコキシシランのオリゴマーの調製
テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、65℃で2時間加水分解反応を行った。次いで系内温度を130℃に昇温し、生成したメタノールを除去した後、窒素ガスを吹き込みながら温度を徐々に150℃まで上昇させ、そのまま3時間保ってテトラメトキシシランモノマーを除去し、テトラメトキシシランのオリゴマーを調製した。
(b)シリカ粒子の調製
上記操作によって得られたテトラメトキシシランのオリゴマー10gにメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを加えて攪拌し、均一な溶液を調製した(溶液A)。続いて、脱塩水2gにマレイン酸0.1gを加えて混合し、均一な水溶液を調製した(溶液B)。次に、滴下漏斗を用いて、1滴/1秒の速度で溶液Bを全て溶液Aに滴下してテトラメトキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行い、さらに、滴下終了後60℃で2時間攪拌し、粒径が約2nmのシリカ粒子を調製した。
(c)放射線硬化性組成物の調製
上記で得られたシリカ粒子の溶液に、光重合性官能基を有する重合性単量体としてビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートを10g、及び光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.7g添加し、室温にて1時間攪拌して透明な放射線硬化性組成物を得た。尚、この放射線硬化性組成物を40℃で30分間減圧処理し、残留する低沸点成分を除去した。放射線硬化性組成物中の残存溶媒量を表1に示す。
(d)放射線硬化性組成物の硬化物
上記で得られた放射線硬化性組成物を、厚さ1mmのシリコーンシートを1cm幅にカットしたものを4つ組み合わせて壁を形成した光学研磨ガラスの型に注液し、液面より距離15cmの位置に設置された出力80W/cmの高圧水銀ランプにて、1分30秒間紫外線を照射した。紫外線照射後ガラス型より脱型し、80℃で1時間加熱して放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0073】
(実施例2)
実施例1において、アルコキシシランとして、アクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、且つ、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレートを用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0074】
(実施例3)
実施例1において、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、ネオペンチルグリコールジメタクリレートとトリメチロールプロパントリメタクリレートとの1:1の混合物を用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0075】
(実施例4)
(a)ウレタンアクリレートオリゴマーの合成
4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート222.3gとジブチルスズラウリレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、1,4−ブタンジオール27gとポリテトラメチレングリコール165.4gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート143gとメトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。さらに、この合成したウレタンアクリレートオリゴマーにアクリロイルモルフォリン186gを加えて希釈し、ウレタン樹脂組成物(UA−1)とした。
(b)放射線硬化性組成物の硬化と成形
実施例1において、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、上記の合成したウレタン樹脂組成物(UA−1)を用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を配合せずに、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート30gに光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.1gを加え、室温にて2時間攪拌し、光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物について、実施例1と同様な操作を行って硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0077】
(比較例2)
実施例1において使用したテトラメトキシシランのオリゴマー10gにメタノール20gを加えて攪拌し均一なメタノール溶液を調製し、このメタノール溶液に加水分解反応用の触媒としてマレイン酸を0.1g混合させた。この溶液に脱塩水を2gを攪拌しながら1滴/1秒の速度で滴下させ、そのまま60℃で2時間攪拌し、シリカ粒子を合成した。次に、得られたシリカ粒子のメタノール溶液にシランカップリング剤としてメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8gを加え、室温にて2時間攪拌した。続いて、このメタノール溶液に、光重合性官能基を含有する樹脂モノマーとしてビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート10g、及び光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.7gを添加し、室温にて2時間攪拌し、さらに、60℃で1時間減圧処理して、溶媒として使用したメタノールを除去し、光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物について、実施例1と同様な操作を行って硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果から、有機溶媒を使用せずに、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、光重合性官能基を有する重合性単量体とを含有する光硬化性組成物から得られた硬化物(実施例1〜4)は、光線透過率が高く、線膨張係数が低いことから、透明性及び寸法安定性に優れ、さらに、この硬化物中の残存溶媒量が少ないことが分かる。
【0080】
一方、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って合成したシリカ粒子を含有しない光硬化性組成物から得られた硬化物(比較例1)は、光線透過率が高いものの、線膨張係数が大きいことから、寸法安定性に劣ることが分かる。また、メタノール溶液中にてテトラメトキシシランのオリゴマーを加水分解反応を行って得られたシリカ粒子にメタクリロキシプロピルトリメトキシシランを反応させて調製したシリカ粒子を含有する光硬化性組成物から得られた硬化物(比較例2)は、残存溶媒量が12.5%を示すことから、60℃で1時間減圧処理を行っても、溶媒として使用したメタノールが低減されないことが分かる。
【0081】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、光学的に優れた透明性を示し、かつ超微粒子を、2次凝集が従来になく低減された状態で含有する硬化物を、良好な生産性のもとに与える技術を提供できる。この放射線硬化性組成物を放射線を照射して硬化させた硬化物は、優れた透明性、寸法安定性、密着性、表面硬度を有する。このような特性を有する硬化物は、種々の光学材料や電子材料等に有利に利用できる。例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ;光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品;液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプレイ用部材;光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングの他、光記録や磁気記録材料等の記憶・記録用途;さらに、光通信等向け光学接着剤、機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)等、各種光学フィルム・コーティング用途に利用できる。
【0082】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、残存溶剤の影響が低減され、且つ、光学的に優れた透明性を示す放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料に関し、より詳しくは、優れた光学特性を有する樹脂硬化物が得られる放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光照射又は電子線照射により反応硬化物が得られる放射線硬化性組成物は、光学用材料として広く使用されている(例えば、特許文献1)。これらの放射線硬化性組成物には、機械的特性の補強、硬化収縮の抑制、硬化物の寸法安定性を高める等の目的で、組成物中にシリカ粒子を配合する方法が知られている。例えば、光硬化性ウレタンアクリレートプレポリマーにシリカ及びシランカップリング剤を配合した光硬化性組成物(特許文献2)、また、カルボキシル基含有多官能アクリレートに重合度3〜8のポリメトキシシロキサンの重縮合及びエステル交換反応物であるシリケート化合物を配合した光硬化性組成物(特許文献3)が報告されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平03―281511号公報
【特許文献2】
特開昭60―163911号公報
【特許文献3】
特開平08―325474号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各種レンズ、光ディスク基板、光記憶材料等の光学用材料には、硬化物の寸法安定性等に加え、透明性が求められるが、前述した従来技術には以下のような問題が存在する。即ち、透明な樹脂材料にシリカ粒子のような無機物質の超微粒子を分散させる場合は、超微粒子の粒径が非常に小さいことに起因して、シリカ粒子の二次凝集体が生じ易い。このようなシリカ粒子の二次凝集体が生じると、たとえ超微粒子の粒径が小さくとも、二次凝集体の大きさと同程度の粒子が存在するのと同じことになり、その結果、放射線硬化性組成物から得られる硬化物が白濁したような状態となり、透明性が著しく低下する。
【0005】
このような問題を解決するために、我々は、アルコール、ケトン等の溶液中においてアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って超微粒子のシリカを合成し、この特殊な合成方法により得られた超微粒子のシリカとシランカップリング剤とを作用させた後、さらに光重合性モノマー及び/又はオリゴマーと混合することにより、大量の超微粒子のシリカが非常に良好な分散状態で含有された光硬化性組成物を開発し、これについて特許出願を行った(特願2002―320193)。
【0006】
ところが、さらに検討を進めていくと、この光硬化性組成物に使用する超微粒子は、アルコール等の溶液中においてアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行った後、さらに得られた反応物とシランカップリング剤とを作用させて調製されるため製造工程が煩雑であった。さらに、超微粒子のシリカを合成する際に大量に使用する有機溶媒を低減させるために、エバポレーション操作を長時間行うことが必要となり、生産コストを増大させる要因の一つになっていた。また、光硬化性組成物中に、このような合成反応に使用した溶媒が高い割合で残存する場合には、得られる硬化物は、プラスチック材料との密着性が低減する等の傾向が認められた。このため、密着性をより高めたいという要請がある。
【0007】
本発明は、このような光学用材料として好適な、硬化物の寸法安定性等に加え、優れた透明性を示す放射線硬化性組成物を開発する際に生じた要請に応えるためになされたものである。即ち本発明の目的は、残存溶剤の影響が低減され、且つ、光学的に優れた透明性を示す放射線硬化性組成物、その製造方法、さらに、寸法安定性、密着性が良好な硬化物及び光学材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応をシランカップリング剤の存在下で行って超微粒子のシリカ粒子を合成する方法を採用している。即ち、本発明が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有することを特徴とするものである。このシリカ粒子は、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対してシランカップリング剤30〜1000重量部の存在下で、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って得られたことを特徴とすることができる。また、シリカ粒子は、シランカップリング剤の濃度が50%以上の溶液中において、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行って得られたことを特徴とすることができる。さらに、シリカ粒子は、数平均粒径が、1nm以上50nm以下であることを特徴とすることができる。また、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とすることができる。さらに、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に、ウレタン結合及び(メタ)アクリル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とすることができる。
【0009】
つぎに、本発明は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行いシリカ粒子を合成する工程と、シリカ粒子と放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを混合させる工程と、を有することを特徴とする放射線硬化性組成物の製造方法として捉えることができる。この場合、シリカ粒子を合成する工程は、加水分解反応用の触媒の水溶液を添加し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行うことを特徴とすることができる。また、加水分解反応用の触媒は、水溶性触媒であることが好ましい。さらに、シリカ粒子を合成する工程は、アルコキシシランのオリゴマーに結合したアルコキシ基のモル数の0.05倍以上1倍以下の水を添加し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行うことを特徴とすることができる。
【0010】
一方、本発明が適用される硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られたことを特徴とするものである。この場合、重合は、紫外線照射又は電子線照射により、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させることを特徴とすることができる。また、この硬化物は、硬化物の波長400nmの光に対する光線透過率が85%以上であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、この放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られた硬化物からなることを特徴とする光学材料として捉えられる。
【0012】
尚、本発明が適用される放射線硬化性組成物におけるシリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。また、加水分解物とは、少なくとも加水分解反応を含む反応により得られる生成物を指し、脱水縮合等を伴っていてもよい。また、加水分解反応は脱アルコール反応も含む。さらに、放射線とは、活性エネルギー線一般を指し、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線等の光及び電子線を含むものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、アルコキシシランオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有することを特徴とする。
【0014】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、アルコキシシランオリゴマーの加水分解をシランカップリング剤の存在下で行うので、アルコール等の有機溶媒を大量に用いることなくシリカ粒子を得ることができ、従って溶媒を除去する工程を省いたり簡略化したりできる利点がある。例えば、通常、溶媒はエバポレーションにより除去されるが、その時間の短縮や温度の低下が可能である。
すなわち、従来、残存溶媒は、組成物を硬化した際には微細な液粒となって硬化物中に分散し、その後、時間とともに徐々に抜け硬化物からしみ出していくと推定され、このためプラスチック材料等との密着性が低下すると考えられる。また、溶媒が抜けたあとは硬化物中に微細な孔が大量にできるためガスバリヤ性の低下や吸水率の増加等耐候性が損なわれる傾向がある。更に、大量に存在する微細な孔により光線が散乱されるので、光線透過性が低下し透明性が失われる傾向がある。特に温度が高いほど溶媒は抜けやすいので、硬化物の温度耐性が低下してしまう。
【0015】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、放射線硬化性組成物に残存する溶媒の量を大幅に低減できるのでプラスチック材料等との密着性を高められる利点がある。また、ガスバリヤ性の低下や吸水率の増加を抑え耐候性が高まる利点がある。更に、光線透過性の低下を抑え透明性を保てる利点がある。また、硬化物の温度耐性も高まる利点がある。従って、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物及び硬化物は、コーティング材料や光学材料等への応用にも適している。
【0016】
以下、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法及び硬化物について詳細に説明する。
(シリカ粒子)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において使用されるシリカ粒子は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られた超微粒子シリカ粒子である。アルコキシシランは、珪素原子にアルコキシ基が結合した化合物であって、また加水分解反応及び脱水縮合反応(又は脱アルコール縮合)によりアルコキシシラン多量体(オリゴマー)を生成する。水や溶媒に対してアルコキシシランオリゴマーが相溶性を持つために、アルコキシシランのアルキル鎖は、通常、炭素数1〜5程度であり、好ましくは炭素数1〜3程度である。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
本実施の形態では、このアルコキシシランのオリゴマーを出発原料とする。アルコキシシラン単量体(モノマー)を出発原料としないのは、粒径の制御が難しいこと、粒径分布がブロードになりやすく粒径が揃いにくい等の傾向があるため、透明な組成物が得にくいこと、単量体に毒性を有する種類のものがあり、安全衛生上好ましくないこと、等の理由による。アルコキシシランのオリゴマーの製造は、特に限定されないが、例えば、特開平7−48454号公報に記載された方法等、公知の方法によって行うことができる。
【0018】
(シランカップリング剤)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において使用されるシランカップリング剤は、珪素原子にアルコキシ基及び官能基を有するアルキル基が結合した構造を有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、光重合性官能基を有するジアルコキシシラン、トリアルコキシシランが特に好ましい。その具体例としては、例えば、ジアルコキシシランとしては、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。トリアルコキシシランとしては、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
シランカップリング剤の使用量は、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して通常、30重量部以上、好ましくは50重量部以上、更に好ましくは60重量部以上である。但し、通常、1000重量部以下、好ましくは300重量部以下、更に好ましくは200重量部以下である。シランカップリング剤の使用量が過度に大きいと、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の寸法安定性が低下する傾向があり、逆にシランカップリング剤の使用量が過度に小さいと、放射線硬化性組成物におけるシリカ粒子の分散性が低下し、白濁やゲル化、凝集等が生じる傾向がある。尚、シランカップリング剤は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行う際に、反応系の溶液中に少なくとも50%の濃度で存在することが好ましい。また、反応系の溶液中におけるシランカップリング剤の濃度の上限は特になく、例えば、100%シランカップリング剤であってもよい。
【0020】
(加水分解反応)
アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行い、超微粒子のシリカ粒子を得る方法は、特に限定されないが、本実施の形態においては、アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを混合し、これに一定量の水を加えることによって行うことが好ましい。アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを混合する場合、シランカップリング剤をそのまま使用してもよく、また、シランカップリング剤を適当な有機溶媒に溶解した溶液を使用することも可能である。特に、他の有機溶媒を使用せずに、アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合し、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行ってシリカ粒子を合成することにより、放射線硬化性組成物中の残存有機溶媒を除去するためのエバポレーション操作が不要又は簡略化することができるので好ましい。
【0021】
加水分解反応を行うのに必要な水の量の下限値は、アルコキシシランオリゴマーに結合したアルコキシ基のモル数の通常、0.05倍以上、より好ましくは0.3倍以上であり、上限値は、通常、1倍以下である。水の量が過度に少ないと、シリカ粒子の粒径が十分な大きさに成長しないおそれがある。逆に水の量が過度に多いと、アルコキシシランオリゴマーがゲルを形成しやすくなるおそれがある。
【0022】
加水分解反応を行う際には、通常、加水分解反応用の触媒が使用される。このような触媒の具体例としては、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸等の無機酸;蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触媒;有機金属;金属アルコキシド;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物;ホウ素ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化合物等が挙げられる。これらの中でも、水への溶解性、保存安定性、及び得られる硬化物の表面硬度、可撓性等の特性が優れている点から、酢酸、マレイン酸、ホウ素化合物が好ましい。これらの触媒のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際には、非水溶性触媒を用いてもよいが、水溶性触媒を使用することが好ましい。加水分解反応用の水溶性触媒を使用する場合は、水溶性触媒を適当量の水に溶解し、反応系に添加すると、触媒を均一に分散させることができるので好ましい。
【0024】
加水分解反応に使用する触媒の添加量は、特に限定されないが、通常、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上であり、通常、10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0025】
加水分解反応を行うための反応温度は、特に限定されないが、通常、10℃以上、好ましくは40℃以上の範囲である。但し、通常、100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲である。反応温度が過度に低いと、シリカ粒子が形成される反応が十分に進行しないので好ましくない。反応温度が過度に高いと、アルコキシシランのオリゴマーのゲル化反応が起こりやすくなるため好ましくない。また、加水分解反応を行うための反応時間は、特に限定されないが、通常、10分間以上、好ましくは20分間以上の範囲である。但し、通常、48時間以下、好ましくは24時間以下の範囲である。
【0026】
尚、本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、必要に応じて、溶媒を使用することができる。使用する溶媒としてはアルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等のうち1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。アルコール類の具体例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、nブチルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、nプロピルアルコール、アセチルアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類の具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、アセトンが特に好ましい。溶媒の使用量は、通常、アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して、50重量部以下である。
【0027】
また、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、加水分解反応に影響しない範囲で、反応系に添加剤等補助成分を加えることができる。このような補助成分としては、例えば、酸、アルカリ等pH調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、無機超微粒子、ガラス繊維、ガラスビーズ、粘土鉱物等のフィラー類、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が挙げられる。
【0028】
本実施の形態において使用される、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子の数平均粒径の下限値は、通常、1nm、好ましくは2nm、より好ましくは3nmである。数平均粒径が過度に小さいと、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の寸法安定性や硬度特性が低下するおそれがある。シリカ粒子の数平均粒径の上限値は、通常、50nm、好ましくは40nm、より好ましくは30nmである。シリカ粒子の数平均粒径が大きすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、光硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下するおそれがある。
【0029】
尚、シリカ粒子の数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を用いる。即ち、観察される超微粒子像と同面積の円の直径をシリカ粒子の粒径と定義する。こうして決定される粒径を用い、例えば公知の画像データの統計処理手法により数平均粒径を算出する。このような統計処理に使用する超微粒子像の数(統計処理データ数)はできるだけ多いことが望ましい。例えば、再現性の点で、無作為に選ばれた粒子像の個数として最低でも50個以上、好ましくは80個以上、更に好ましくは100個以上とする。上記体積%の計算は、上記により決定される粒径を直径とする球の体積で換算する。
【0030】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に使用する、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子は、従来一般に充填成分として用いられているシリカに比べて、遙かに粒径の揃った微細な超微粒子である。また、このシリカ粒子は凝集しにくい性質も併せ持つので、放射線硬化性組成物中に均一に分散させることができる。その結果、シリカ粒子を大量に添加しても光透過性を損なうことがないので、硬化物の寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子を添加できる。
【0031】
(放射線重合性単量体及び/又はオリゴマー)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に使用する放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、分子中に放射線の照射により重合が行われる官能基(放射線重合性官能基)を有する単量体、又は、この単量体のオリゴマーが挙げられる。放射線重合性官能基は分子中に2個以上結合されていることが好ましい。放射線重合性官能基としては、放射線による重合性を有する官能基であれば特に限定されない。なかでも、ラジカル反応性を有する官能基が好ましく、特に、重合反応速度が大きい(メタ)アクリル基が好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」なる表記は、アクリレート又はメタクリレートのいずれかを意味する。また、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは疎水性であることが好ましい。さらに、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーは、全放射線重合性官能基における(メタ)アクリレート基の数が50%以上であることが好ましい。
【0032】
放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを放射線により重合させることにより、超微粒子のシリカ粒子が高度に分散された状態のまま高速で硬化させることができる。放射線重合性単量体又はオリゴマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、両者を混合して用いても良い。この放射線重合性単量体は、オリゴマーと比較して低粘度又は液状であるものが多く、他の成分と混合する場合に有利である。また、コーティングや注型成形等の成形がしやすい利点がある。オリゴマーは、表面硬化性に優れ、硬化収縮が小さい傾向があり、また硬化物の機械的特性、特に引っ張り特性や曲げ特性が良好であるものが多い利点がある。
【0033】
放射線重合性単量体として好適な、分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物としては、脂鎖式ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレート、芳香族ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2価の(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3価の(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4価の(メタ)アクリレート類;ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等の不定多価の(メタ)アクリレート類等が例示される。これらの中でも、架橋生成反応の制御が容易であるという観点から2価の(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
【0034】
また、硬化物の架橋構造の耐熱性、表面硬度の向上等を目的として、上記に例示されたトリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート等の他、イソシアヌレート骨格を有する3官能(メタ)アクリレート類等の3官能以上の(メタ)アクリレート類が好ましく添加される。更に、接着性、密着性を向上させる目的で、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有した(メタ)アクリレート化合物が好ましく添加される。
【0035】
分子中に(メタ)アクリル基を有する2価以上の(メタ)アクリレート化合物の中でも、下記一般式(1)で示された化合物A及び下記一般式(2)で示された化合物Bを、それぞれ単独又は併用することにより、得られる重合体の透明性と低光学歪み性をバランスよく実現することが可能となる。化合物Aは、一般式(1)で示される脂環骨格を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0036】
【化1】
【0037】
一般式(1)において、Ra及びRbはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rc及びRdはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を表し、xは1又は2を、yは0又は1を、それぞれ表す。一般式(1)で示される化合物Aの具体例としては、例えば、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのトリシクロデカン化合物及びペンタシクロデカン化合物は、複数種を併用してもよい。
【0038】
一般式(2)で表される化合物Bは、硫黄原子を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0039】
【化2】
【0040】
一般式(2)において、Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、各Reはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。
【0041】
一般式(2)で示される成分Bの具体例としては、例えば、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−p−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−m−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、2,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、5,5′−テトラブロモジフェニルケトン、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルエーテル、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルチオエーテル等が挙げられ、これらは複数種を併用してもよい。これらの化合物の中でも、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートは優れた透明性及び耐熱性を有し、特に好適に用いられる。
【0042】
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中にウレタン結合及び(メタ)アクリル基の両方を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中の少なくとも両末端に(メタ)アクリル基を有することが好ましい。これにより、得られる樹脂硬化物の密着性や表面硬化性がさらに増すという利点がある。また、ウレタン結合が存在すると、分子内水素結合や分子間水素結合が形成しやすくなるため、有機分子の凝集性が高められ、その結果、破壊エネルギーに対する耐性が増し、かつ分子の熱運動が制限される、耐熱性も向上すると考えられる。
【0043】
ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物とを、常法により付加反応させることにより合成することができる。尚、通常、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御するために、必要に応じてヒドロキシル基を含有する化合物を併用することができる。分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート類が挙げられる。これらのうち、得られる組成物の色相が良好である点で、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種類又は2種類以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0044】
また、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0045】
また、ヒドロキシル基を含有する化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール;これらのアルキルポリオールの多量体であるポリエーテルポリオール;これらのアルキルポリオールや多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0046】
イソシアネート化合物とヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物との付加反応、さらに、これらの化合物とヒドロキシル基を含有する化合物との付加反応は、公知の方法、例えばイソシアネート化合物の存在下にヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物とヒドロキシル基を含有する化合物と付加反応触媒、例えばジブチルスズラウレートとの混合物を50〜90℃の条件下で滴下することにより行うことができる。尚、ヒドロキシル基を含有する化合物を併用する場合は、通常、ヒドロキシル基を含有する化合物の一部、例えば30〜70%が、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物となるように化合物の割合を調製する。また、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物1分子と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を併せ持つ化合物2分子とを付加反応させることにより、両末端に(メタ)アクリル基を有する、ウレタン(メタ)アクリレートを合成することができる。
【0047】
尚、ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中に芳香環を有しない構造を持つ化合物が好ましい。分子中に芳香環を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いて得られた放射線硬化性組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう場合がある(いわゆる黄変)ので好ましくない。このような観点から、イソシアネート化合物として、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種類又は2種類以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0048】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子の割合は、放射線硬化性組成物又はこの放射線硬化性組成物を放射線を照射して得られた硬化物に対して3体積%以上であることが好ましく、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上である。硬化物の寸法安定性や硬度特性を高めるためには、含有可能な範囲で多量に含ませることが好ましい。一方、シリカ粒子の割合の上限は、放射線硬化性組成物又は硬化物に対して好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。放射線硬化性組成物におけるシリカ粒子の割合が過度に大きいと、硬化物の透明性や機械的強度が低下する傾向がある。
【0049】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物には、通常、放射線照射によって重合反応を開始させ、且つ、重合反応を速やかに進行させるために、重合開始剤を添加することが好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、光照射によりラジカルを発生する化合物である光ラジカル発生剤が挙げられる。光ラジカル発生剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が例示される。これらの光ラジカル発生剤は複数種を併用してもよい。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びベンゾフェノンが好ましい。重合開始剤の添加量は、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し、通常、0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上であり、通常、10重量部以下、好ましくは8重量部以下である。重合開始剤の添加量が過度に多いと重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する傾向があり、また過度に少ないと、組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
【0050】
尚、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物には、必要に応じて添加剤等補助成分を加えることができる。このような補助成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。これら補助成分の添加量は、特に限定されないが、通常、放射線硬化性組成物又はその硬化物の20重量%以下である。
【0051】
(放射線硬化性組成物の製造方法)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物の製造方法は特に限定されないが、通常、(a)アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で、10〜100℃の温度下で加水分解反応を行ってシリカ粒子を合成する工程と、(b)合成したシリカ粒子と放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを混合させる工程と、を順次行うことにより行うことが好ましい。この製造方法によれば、粒径が揃ったシリカ粒子が高度に分散された放射線硬化性組成物を容易に製造することができる。
【0052】
本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行うことによりシリカ粒子を合成すると、理論的には下記式(3)で示される量以下のアルコールが生成すると考えられる。
【0053】
【数1】
【0054】
式(3)中、xはアルコールの含有量(g)、aは放射線硬化性組成物100g中に含有されるシリカ粒子のSiO2換算の重量(g)、bは放射線硬化性組成物100g中に含有されるシランカップリング剤残基の重量(g)、mはシランカップリング剤残基の平均分子量、nはシランカップリング剤残基のシロキシ基の数の平均値である。アルコキシシランのオリゴマーとシランカップリング剤とを直接混合してアルコキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行う場合は、他の有機溶剤を使用しないことから、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物中には、この式(3)で示される量を超える量のアルコールが含有されないので、放射線硬化性組成物から得られる硬化物の透明性を高めることができる。また、放射線硬化性組成物中に残留する有機溶媒を減少させるために、長時間の減圧処理を行う必要がなく、生産コストを低減することができる。この場合、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行うことにより生成するアルコールの、放射線硬化性組成物中の濃度は、上限が10%、好ましくは8%、より好ましくは6%である。
【0055】
尚、本実施の形態において、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行う際に、必要に応じて、有機溶媒を使用した場合は、さらに、(c)10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程を行い、放射線硬化性組成物中に残留する、例えば、アルコール、ケトン等の有機溶媒又は水を除去することが好ましい。
【0056】
(放射線硬化性組成物から得られる硬化物)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、紫外線等の光及び電子線等の放射線を照射して重合反応を開始させるいわゆる放射線重合により、硬化物を得ることが好ましい。一般に、重合反応の形式としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の公知の重合形式が挙げられるが、光学部材としての諸特性、例えば光線透過率や低複屈折性等を高めるためには、活性エネルギー線照射による任意の重合形式が好ましく、放射線照射によるラジカル重合が好ましい。放射線としては、重合開始剤に作用して重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線等)又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)が挙げられる。なかでも、紫外線と可視光線及び電子線が好ましい。
【0057】
紫外線を照射する場合は、必要に応じて増感剤を併用してもよい。紫外線の波長は、通常、200〜400nmの範囲であり、好ましくは250〜400nmである。紫外線の強度は、通常、0.1〜200J/cm2のエネルギー範囲で照射する。
【0058】
また、電子線を照射する場合は、電子線照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方式に制限はないが、例えば、カーテン型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられる。電子線照射の際の加速電圧は10〜1000kVが好ましく、照射線量は1〜30M(メガ)radの範囲が好ましい。本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物は、電子線を照射することにより、機械特性、特に引っ張り伸び特性に優れた硬化物を得ることができる。
【0059】
放射線の照射時間は、通常1秒以上、好ましくは10秒以上である。照射時間が過度に短い場合は、硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されない場合がある。一方、照射時間の上限は、通常、3時間以下、好ましくは1時間以下である。照射時間が過度に長い場合は、硬化物が黄変する等の劣化を生ずる場合がある。また、放射線の照射は、一段階、あるいは複数段階で照射してもよく、その線源として通常は放射線が全方向に広がる拡散線源を用い、通常、型内に賦形された放射線硬化性組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送された状態とし、線源を固定静置した状態で照射する。また、放射線硬化性組成物を適当な基板(例えば、樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上に塗布膜を形成し、次いで、放射線を照射して塗布膜を硬化させることも可能である。
【0060】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に放射線を照射することにより得られた硬化物は、通常、例えば、トルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤に対して不溶であり、光学部材の用途に有利な性質を備えていることが好ましい。具体的には、低光学歪み性(低複屈折性)、高光線透過率、寸法安定性、及び一定以上の耐熱性、低硬化収縮性を備えることが好ましい。この硬化物の透明性は、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。ここで、光線透過率は、例えば、ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室温で測定し、波長550nmにおける透過率を代表値とすることができる。
【0061】
硬化物の耐熱性は、示差熱分析(DCS)、熱機械測定(TMA)又は動的粘弾性により測定されたガラス転移温度が100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上である。硬化物の熱膨張が小さいほど、より良好な寸法安定性を有しているので好ましい。例えば、熱膨張の具体的指標の一つである線膨張係数は、13×10−5/℃以下が好ましく、より好ましくは12×10−5/℃以下、さらに好ましくは10×10−5/℃以下、特に好ましくは8×10−5/℃以下である。ここで、線膨張係数は、例えば、5mm×5mm×1mmの板状試験片を用いて、圧縮法熱機械測定器(TMA;SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)にて、加重1g、昇温速度10℃/分で測定し、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで線膨張係数を評価し、その平均値を代表値とすることができる。硬化物の硬化収縮は小さいほど好ましく、例えば、6体積%以下であり、好ましくは4体積%以下である。
【0062】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を含有し、有機物である樹脂マトリクスと異なる光学特性を有することにより、有機物単独では実現し得ない特異な屈折率とアッベ数とのバランスを示す場合がある。このような特異な屈折率とアッベ数とのバランスを示す性能は、レンズやプリズム等のように、光の屈折を利用し、低複屈折が望ましい用途において有用である。具体的には、ナトリウムD線波長において23℃で測定される屈折率nDと、アッベ数νDとの関係を表す下記式(4)における定数項Cが、1.70〜1.82の範囲を逸脱するような場合をいう。
【0063】
【数2】
【0064】
一般に、樹脂材料からなる成形体の厚みが大きくなるに従い、複屈折が大きくなる。本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を使用することにより、硬化物からなる成形体の厚さが増大する割には複屈折の増加率が小さい特質を有する場合がある。この場合、この硬化物からなる厚さが0.1mm以上である比較的厚い成形体は、低複屈折率化の点で有利である。
【0065】
(光学材料)
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物は、複屈折で代表される光学歪みが小さく、良好な透明性を有し、優れた寸法安定性や表面硬度等の機能特性を有するため、光学材料として好適に使用される。ここで光学材料とは、例えば、用途に応じて、透明性、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折、前述したような特異な屈折率とアッベ数とのバランス等の光学特性を利用して使用される成形体一般を指す。具体例としては、ディスプレイパネル、タッチパネル、レンズ、プリズム、導波路、光増幅器等のオプティクス、オプトエレクトロニクス用部材が挙げられる。
【0066】
このような光学材料は、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物に放射線を照射することにより得られた硬化物からなる成形体と、この硬化物の薄膜を表面に有する成形体と、の2種類の光学材料が挙げられる。前者は光学材料の主体が硬化物であり、その表面に任意の材料による薄膜(コート層)が被覆されていてもよい。後者は光学材料の主体は前記硬化物でなくてもよい材質で構成され、その表面に硬化物の薄膜を有するものである。いずれの光学材料も、樹脂、ガラス、セラミクス、無機物結晶、金属、半導体、ダイヤモンド、有機物結晶、紙パルプ、木材等の任意の固体素材基板上に密着して成形されたものであってもよい。
【0067】
上記前者の光学材料の寸法に制限はないが、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物の部分の光路長は、光学材料の機械的強度の点から、下限値は、通常、0.01mmであり、好ましくは0.1mm、更に好ましくは0.2mmである。一方、光線強度の減衰の点から、光路長の上限値は、通常、10,000mmであり、好ましくは5,000mm、更に好ましくは1,000mmである。また、前者の光学材料の形状は特に限定されないが、例えば、平板状、曲板状、レンズ状(凹レンズ、凸レンズ、凹凸レンズ、片凹レンズ、片凸レンズ等)、プリズム状、ファイバー状等の形状が例示される。
【0068】
上記後者の光学材料の寸法に制限はないが、本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる薄膜の膜厚は、機械的強度や光学特性の点から、下限値は、通常、0.05μmであり、好ましくは0.1μm、更に好ましくは0.5μmである。一方、膜厚の上限値は、薄膜の成形加工性や費用対効果バランスの点から、通常、3,000μmであり、好ましくは2,000μm、更に好ましくは1,000μmである。このような薄膜の形状は特に限定されないが、例えば、平面状、球面状、非球面曲面状、円柱状、円錐状、ボトル状等の任意形状の基板上に成形されていてもよい。
【0069】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる光学材料には、必要に応じて任意の被覆層、例えば、摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、基材と塗布面との接着性を改善する下引き層、電極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。このような任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられる。これらのコーティング層のコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
【0070】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物から得られた硬化物からなる光学材料の具体例を更に詳細に例示すると、例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ;光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐又は接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品;液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等の各種ディスプレイ用部材;光ディスク基板、光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途;さらに、光学接着剤等の各種光通信用材料;機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)、超解像膜、紫外線吸収膜、反射制御膜、光導波路、及び識別機能印刷面等の各種光学フィルム・コーティング用途等が挙げられる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例に基づき本実施の形態についてさらに詳述する。但し、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)シリカ粒子の粒径
透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)社製H−9000UHR型、加速電圧300kV、観察時の真空度約1.0×10−6Pa)にて行った。
(2)光線透過率
紫外・可視吸光光度計(ヒューレットパッカード社製HP8453型)にて室温で測定し、波長550nmにおける透過率を代表値とした。数値が大きいほど透明性が高い(単位:%)。
(3)線膨張係数
5mm×5mm×1mmの硬化物の板状試験片について、圧縮法熱機械測定器(TMA:SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)を用いて、加重1g、昇温速度10℃/分の条件で測定した。線膨張係数は、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで評価し、その平均値を代表値とした。数値が小さいほど硬化物の寸法安定性が高い(単位:×10−5/℃)。
(4)残存溶媒量
圧縮法熱機械測定器(TMA:SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)により、ターゲット温度200℃、昇温速度1℃/分で試験片を加熱し、加熱の前後において脱離した化合物が全て残存溶媒であると仮定し、その重量減少率で評価した。数値が小さいほど残存溶媒量が少ない(単位:%)。
【0072】
(実施例1)
(a)アルコキシシランのオリゴマーの調製
テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、65℃で2時間加水分解反応を行った。次いで系内温度を130℃に昇温し、生成したメタノールを除去した後、窒素ガスを吹き込みながら温度を徐々に150℃まで上昇させ、そのまま3時間保ってテトラメトキシシランモノマーを除去し、テトラメトキシシランのオリゴマーを調製した。
(b)シリカ粒子の調製
上記操作によって得られたテトラメトキシシランのオリゴマー10gにメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを加えて攪拌し、均一な溶液を調製した(溶液A)。続いて、脱塩水2gにマレイン酸0.1gを加えて混合し、均一な水溶液を調製した(溶液B)。次に、滴下漏斗を用いて、1滴/1秒の速度で溶液Bを全て溶液Aに滴下してテトラメトキシシランのオリゴマーの加水分解反応を行い、さらに、滴下終了後60℃で2時間攪拌し、粒径が約2nmのシリカ粒子を調製した。
(c)放射線硬化性組成物の調製
上記で得られたシリカ粒子の溶液に、光重合性官能基を有する重合性単量体としてビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートを10g、及び光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.7g添加し、室温にて1時間攪拌して透明な放射線硬化性組成物を得た。尚、この放射線硬化性組成物を40℃で30分間減圧処理し、残留する低沸点成分を除去した。放射線硬化性組成物中の残存溶媒量を表1に示す。
(d)放射線硬化性組成物の硬化物
上記で得られた放射線硬化性組成物を、厚さ1mmのシリコーンシートを1cm幅にカットしたものを4つ組み合わせて壁を形成した光学研磨ガラスの型に注液し、液面より距離15cmの位置に設置された出力80W/cmの高圧水銀ランプにて、1分30秒間紫外線を照射した。紫外線照射後ガラス型より脱型し、80℃で1時間加熱して放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0073】
(実施例2)
実施例1において、アルコキシシランとして、アクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、且つ、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレートを用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0074】
(実施例3)
実施例1において、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、ネオペンチルグリコールジメタクリレートとトリメチロールプロパントリメタクリレートとの1:1の混合物を用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0075】
(実施例4)
(a)ウレタンアクリレートオリゴマーの合成
4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート222.3gとジブチルスズラウリレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、1,4−ブタンジオール27gとポリテトラメチレングリコール165.4gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート143gとメトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。さらに、この合成したウレタンアクリレートオリゴマーにアクリロイルモルフォリン186gを加えて希釈し、ウレタン樹脂組成物(UA−1)とした。
(b)放射線硬化性組成物の硬化と成形
実施例1において、光重合性官能基を含有する重合性単量体として、上記の合成したウレタン樹脂組成物(UA−1)を用い、その他の操作は実施例1と同様の操作を行い放射線硬化性組成物の硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子を配合せずに、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート30gに光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.1gを加え、室温にて2時間攪拌し、光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物について、実施例1と同様な操作を行って硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0077】
(比較例2)
実施例1において使用したテトラメトキシシランのオリゴマー10gにメタノール20gを加えて攪拌し均一なメタノール溶液を調製し、このメタノール溶液に加水分解反応用の触媒としてマレイン酸を0.1g混合させた。この溶液に脱塩水を2gを攪拌しながら1滴/1秒の速度で滴下させ、そのまま60℃で2時間攪拌し、シリカ粒子を合成した。次に、得られたシリカ粒子のメタノール溶液にシランカップリング剤としてメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8gを加え、室温にて2時間攪拌した。続いて、このメタノール溶液に、光重合性官能基を含有する樹脂モノマーとしてビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート10g、及び光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.7gを添加し、室温にて2時間攪拌し、さらに、60℃で1時間減圧処理して、溶媒として使用したメタノールを除去し、光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物について、実施例1と同様な操作を行って硬化物を得た。この放射線硬化性組成物中の残存溶媒量、この硬化物について測定した光線透過率及び線膨張係数を表1に示す。この硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に実質的に不溶であった。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果から、有機溶媒を使用せずに、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、光重合性官能基を有する重合性単量体とを含有する光硬化性組成物から得られた硬化物(実施例1〜4)は、光線透過率が高く、線膨張係数が低いことから、透明性及び寸法安定性に優れ、さらに、この硬化物中の残存溶媒量が少ないことが分かる。
【0080】
一方、テトラメトキシシランのオリゴマーをメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下で加水分解反応を行って合成したシリカ粒子を含有しない光硬化性組成物から得られた硬化物(比較例1)は、光線透過率が高いものの、線膨張係数が大きいことから、寸法安定性に劣ることが分かる。また、メタノール溶液中にてテトラメトキシシランのオリゴマーを加水分解反応を行って得られたシリカ粒子にメタクリロキシプロピルトリメトキシシランを反応させて調製したシリカ粒子を含有する光硬化性組成物から得られた硬化物(比較例2)は、残存溶媒量が12.5%を示すことから、60℃で1時間減圧処理を行っても、溶媒として使用したメタノールが低減されないことが分かる。
【0081】
本実施の形態が適用される放射線硬化性組成物によれば、光学的に優れた透明性を示し、かつ超微粒子を、2次凝集が従来になく低減された状態で含有する硬化物を、良好な生産性のもとに与える技術を提供できる。この放射線硬化性組成物を放射線を照射して硬化させた硬化物は、優れた透明性、寸法安定性、密着性、表面硬度を有する。このような特性を有する硬化物は、種々の光学材料や電子材料等に有利に利用できる。例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ;光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品;液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプレイ用部材;光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングの他、光記録や磁気記録材料等の記憶・記録用途;さらに、光通信等向け光学接着剤、機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)等、各種光学フィルム・コーティング用途に利用できる。
【0082】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、残存溶剤の影響が低減され、且つ、光学的に優れた透明性を示す放射線硬化性組成物、放射線硬化性組成物の製造方法、硬化物及び光学材料が得られる。
Claims (5)
- アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、
放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有することを特徴とする放射線硬化性組成物。 - 前記シリカ粒子は、前記アルコキシシランのオリゴマー100重量部に対して前記シランカップリング剤30〜1000重量部の存在下で、当該アルコキシシランのオリゴマーの前記加水分解反応を行って得られたことを特徴とする請求項1記載の放射線硬化性組成物。
- アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行いシリカ粒子を合成する工程と、
前記シリカ粒子と放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを混合させる工程と、を有することを特徴とする放射線硬化性組成物の製造方法。 - アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、
前記放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られたことを特徴とする硬化物。 - アルコキシシランのオリゴマーをシランカップリング剤の存在下で加水分解反応を行って得られたシリカ粒子と、放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーとを含有する放射線硬化性組成物に放射線を照射し、
前記放射線重合性単量体及び/又はオリゴマーを重合させて得られた硬化物からなることを特徴とする光学材料。
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