JP5445712B1 - ダイカストスリーブの再生方法及び再生されたダイカストスリーブ - Google Patents

ダイカストスリーブの再生方法及び再生されたダイカストスリーブ Download PDF

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Abstract

【課題】 外筒の外周面の真円度を十分に確保しつつ、焼嵌め式ダイカスト用スリーブを再生する方法を提供する。
【解決手段】 高強度低熱膨張性金属からなる外筒11内に、セラミックスからなる内筒12を焼嵌めしたダイカスト用スリーブ1を再生する方法であって、外筒11から使用済みの内筒12を焼外した後、外筒11内に新しい内筒12を焼嵌めする前又は後に外筒11の外周面に拡径層8を形成し、外筒11内に新しい内筒12を装着した後に拡径層8を円筒状外形に加工する方法。
【選択図】 図10

Description

本発明は、アルミニウム合金等の非鉄金属の溶湯をダイカスト金型に射出するためのダイカストスリーブを再生する方法、及び再生されたダイカストスリーブに関する。
ダイカストマシンでは、スリーブに溶融金属(溶湯)を供給し、スリーブ内を摺動するプランジャチップによりスリーブと連通する金型キャビティに溶湯を射出し、溶湯を冷却固化させてダイカスト品を製造する。このため、スリーブの内面には、溶湯により溶損が生じたり、プランジャチップの摺動により摩耗が生じたりする。スリーブの内面が溶損や摩耗により損傷すると、スリーブとプランジャチップとの間に溶湯が侵入してスリーブの摺動抵抗が増大し、射出速度が低下するため製品品質が低下する。スリーブとプランジャチップとの摺動抵抗を低減したり焼付きを防止したりするために多量の潤滑剤を使用すると、溶湯へのガス巻込み等の不純物混入が起こり易くなり、製品品質の低下を招く。
スリーブ内面の溶損及び摩耗を低減するために、従来から高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、セラミックス製内筒を焼嵌めにより嵌着した複合構造のダイカスト用スリーブが提案されている。例えば、特開平7-246449号(特許文献1)は、Fe-Ni-Co系合金のような高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、窒化珪素、サイアロン等のセラミックスからなる内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブにおいて、前記高強度低熱膨張性金属の20〜300℃の平均熱膨張係数が1×10-6〜5×10-6/℃であり、20〜600℃の平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上であるダイカスト用スリーブを開示している。このような構成のダイカスト用スリーブにより、外筒と内筒との強固な焼嵌め構造が得られ、優れた射出安定性(耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性)により製品の品質の安定化が達成できる。またセラミックス製の内筒により潤滑剤を従来の約1/4に低減できるので、ガス煙の発生が抑制されただけでなく、スリーブ及びプランジャチップが長寿命化した。
特開平9-108811号(特許文献2)は、一種以上の析出強化元素を添加したFe-Ni-Co系合金からなるスリーブ外筒内に、窒化珪素、サイアロン等のセラミックスからなるスリーブ内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブにおいて、スリーブ外筒とスリーブ内筒との間に、フッ素樹脂、グラファイト又は二硫化モリブデンの摩擦低減材料を介在させたダイカスト用スリーブを開示している。摩擦低減材料の介在により、焼嵌め後のスリーブ外筒とスリーブ内筒の残留応力が低減し、スリーブ使用中のスリーブ内筒先端の崩れを防止でき、スリーブ内筒の長寿命化を達成できる。
特開2002-192320号(特許文献3)は、SKD61のような熱間金型用鋼からなる外筒の内面に内筒を嵌着したダイカスト用スリーブにおいて、溶融金属と接触する内筒を射出口側にある先端部材とその後方にある後方部材とに分け、前記先端部材をFe-Ni系合金のような高強度低熱膨張性金属又はそれと窒化珪素セラミックス粒子との複合材料により形成し、前記後方部材をサイアロンセラミックスで形成したダイカスト用スリーブを開示している。
上記従来技術のダイカスト用スリーブはいずれも、内筒全体又は一部をセラミックスで形成しているので、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性及び耐焼付き性に優れており、長寿命化を達成できる。それでも、内筒は経時的に消耗するので、一定期間使用後は廃却されていた。
本発明者等は、加熱により古い内筒を除去した(焼外した)後の外筒を再利用するために、それに新しい内筒を焼嵌めすることを検討した。しかし、このように再生したダイカスト用スリーブを用いて成形を行うと、プランジャの動きに応じてスリーブが振動し、スリーブ内の溶湯の液面が揺れ、成形不良が生じることが分った。
成形不良の原因について鋭意検討した結果、古い内筒を焼外した後に新しい内筒を焼嵌めると、外筒の外周面の真円度が焼外し前より僅かに大きくなり、そのスリーブをダイカストマシンに装着すると、ダイカストマシンの保持部材とスリーブ外筒の外周面との間に僅かな隙間が生じ、スリーブが振動することをつきとめた。真円度が劣化する原因は必ずしも明確ではないが、外筒内に焼嵌めする個々の内筒が同じ外周面加工精度を有する訳ではないので、新しい内筒から受ける外筒の応力の分布が以前と異なり、外筒に変形が生じるものと推定される。
特開平7-246449号公報 特開平9-108811号公報 特開2002-192320号公報
従って、本発明の目的は、高強度低熱膨張性金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めにより固着してなるダイカスト用スリーブを、外筒の外周面の真円度を十分に小さく確保しつつ再生する方法、及びかかる方法により再生されたダイカスト用スリーブを提供することである。
上記焼嵌め式ダイカスト用スリーブを再生する際に、内筒を交換しても外筒の外周面の真円度が大きくなるのを防止する方法について鋭意検討の結果、本発明者等は、焼嵌め式のダイカスト用スリーブにおいて内筒の交換により生じた外筒の外周面の変形を除去するには、新しい内筒を焼嵌めする前又は後の外筒の外周面にメッキ法、溶射法、肉盛り溶接法等により拡径層を形成し、次いで前記拡径層を円筒状外形に研削すれば良いことを発見し、本発明に想到した。
すなわち、20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10 -6 〜5×10 -6 /℃であり、20℃から600℃までの平均熱膨張係数が5×10 -6 /℃以上であり、かつ20℃〜500℃の温度における引張強さが590 MPa以上である高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、セラミックスからなる内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブを再生する本発明の方法は、前記外筒から使用済み内筒を焼外した後、前記外筒内に新しい内筒を焼嵌めする前又は後に前記外筒の外周面に拡径層を形成し、前記外筒内に前記新しい内筒を装着した後に前記拡径層を円筒状外形に加工することを特徴とする。
前記拡径層はメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層であるのが好ましい。前記拡径層は硬質金属のメッキ層であるのがより好ましい。前記メッキ層はCrメッキ層又はNiメッキ層であるのが好ましい。
使用済みの古い内筒を焼外した後の前記外筒の外周面にCrメッキ層又はNiメッキ層がある場合、前記Crメッキ層又は前記Niメッキ層を除去した後に、新しいCrメッキ層又はNiメッキ層を形成するのが好ましい。除去前のCrメッキ層又はNiメッキ層は、前回の再生工程で形成したものである。
前記拡径層が硬質金属のメッキ層である場合、新しい内筒を焼嵌めした後の前記外筒の外周面に前記メッキ層を形成するのが好ましい。
前記拡径層が溶射層又は肉盛り溶接層である場合、新しい内筒を焼嵌めする前の前記外筒の外周面に前記溶射層又は肉盛り溶接層を形成するのが好ましい。
二回目以降の再生の場合、古い拡径層を除去した後で新しい拡径層を形成するのが好ましい。
前記外筒を形成する高強度低熱膨張性金属は、Fe-Ni-Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであるのが好ましい。
前記内筒を形成するセラミックスは窒化珪素質焼結体であるのが好ましい。窒化珪素又はサイアロンであるのがより好ましい。
上記方法により再生された本発明のダイカスト用スリーブは、前記外筒の外周面にメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層が残留していることを特徴とする。
高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、セラミックスからなる内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブを再生する際に、外筒から古い内筒を焼外した後、外筒内に新しい内筒を焼嵌めする前又は後に外筒の外周面に拡径層を形成し、外筒内に新しい内筒を装着した後に拡径層を円筒状外形に加工することにより、外筒の外径を実質的に小さくせずにその外周面を円筒状外形に戻すことができる。また拡径層の形成及び円筒状外形への加工を行うので、一回の再生で外筒の外径が減少してもその程度は非常に小さく、外筒のサイズがダイカストマシンの保持部材のサイズと合わなくなるまで再生を繰り返すことができる。繰り返し使用する外筒は寿命が長くなるので、コスト削減及び資源及び環境の保護の観点から好ましい。このような特徴を有する本発明の方法により、再生を繰り返しても、ダイカストマシンに装着したときにガタの生じないスリーブとすることができる。
本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第一の例を示す断面図である。 図1のダイカスト用スリーブを示す分解断面図である。 図1のダイカスト用スリーブを構成する外筒及び内筒を示す分解断面図である。 窒化珪素、高強度低熱膨張性金属及びTi系合金の100℃から700℃までの熱膨張係数を示すグラフである。 本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第二の例を示す断面図である。 本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第三の例を示す断面図である。 本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第四の例を示す断面図である。 本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第五の例を示す断面図である。 本発明の再生方法を適用し得るダイカスト用スリーブの第六の例を示す断面図である。 本発明のダイカスト用スリーブの再生方法の第一の工程を示すフローチャートである。 本発明のダイカスト用スリーブの再生方法の第二の工程を示すフローチャートである。 未再生のダイカスト用スリーブを示す断面図である。 本発明のダイカスト用スリーブの再生方法の全工程の第一の例を示すフローチャートである。 本発明のダイカスト用スリーブの再生方法の全工程の第二の例を示すフローチャートである。
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明は勿論それらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
[1] ダイカスト用スリーブ
(A) 第一の例
図1〜図3は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第一の例を示す。図1において、直線A-Aは再生したスリーブ1の中心軸線を示す。以下同じ。このダイカスト用スリーブ1は、外筒11と、外筒11内に焼嵌めにより固着された内筒12とからなる。外筒11の先端部11aにはダイカストマシンに固定するための先端リング部材2が焼嵌めにより固着され、外筒11の後端面11bには後端リング部材3がボルト31により固定されている。外筒11の外周面のうち先端部11aに隣接する位置に鍔状凸部11cが形成されており、先端リング部材2は鍔状凸部11cにボルト51,51により固定されており、外筒11の先端部11aからのズレが防止されている。
外筒11は後端面11b付近に開口部11dを有し、内筒12は外筒11の開口部11dと整合する位置に開口部12aを有する。連通する両開口部11d,12aは溶湯の供給口7を構成する。外筒11の寸法は、例えば内径90〜180 mm、外径150〜300 mm、軸方向の全長600〜1300 mmとすることができる。
外筒11の外周面のうち鍔状凸部11cと開口部11dとの間に2つの円環状保持面11e,11fが設けられている。円環状保持面11e,11fは、再生のたびに円筒状外形に加工されるので、外筒11の外周面の他の部分より大きな外径とするのが好ましい。具体的には、円環状保持面11e,11fを外筒11の外周面の他の部分より0.5〜6 mm程度高くするのが好ましい。この例では、円環状保持面11e,11fの数は2であるが、勿論限定的ではなく、1つでも3つ以上でも良い。しかし、2つの円環状保持面11e,11fによりスリーブ1をダイカストマシンに固定するのが最も安定するので好ましい。円環状保持面11e,11fの円筒状外形への加工は切削、研削又は研磨により行うことができる。
再生したスリーブ1では、外筒11の円環状保持面11e,11fに拡径層8,8が形成されている。拡径層8,8は、古い内筒12の焼外しと新しい内筒12の焼嵌めにより外筒11の外周面に生じた変形を吸収するために、円環状保持面11e,11f上に形成したものである。拡径層8,8は、成膜速度の観点からメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層であるのが好ましいが、勿論限定的でない。形成された拡径層8,8は円筒状外形に研削される。
拡径層8がメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層のいずれの場合も、必要な厚さより厚く形成した後に所望の厚さまで研削するのが好ましい。通常、内筒11の交換により生ずる外筒11の円環状保持面11e,11fにおける変形は10〜100μm程度であるので、再生を繰り返す場合も考慮すると、拡径層8をそれより十分に厚い50〜1000μm程度にするのが好ましい。なお、円環状保持面11e,11fにおける変形は、外筒11の外面が円環状保持面11e,11fにおいて真円からズレたことを意味し、円環状保持面11e,11fの軸方向の複数個所で測定した真円度により評価する。
(1) メッキ層の場合
メッキ層は硬質金属からなるのが好ましく、具体的にはCrメッキ層又はNiメッキ層が好ましい。耐食性、耐熱性及び硬度の観点からCrメッキ層が最も好ましい。Crメッキ層はCr層、Cr-Ni等である。Cr層の組成は、例えば0.2〜0.5質量%の酸素及び0.03〜1.0質量%の水素を含有し、残部Crである。勿論、メッキ浴組成、添加剤又は不可避的不純物に由来する元素によりCrの一部を置換してもよい。Niメッキ層はNi層、Ni-P層等である。Niメッキ層は無電解メッキ及び電解メッキのいずれでも形成できるが、成膜速度の観点からは電解メッキの方が好ましい。
新しい内筒12を焼嵌めする前にCrメッキ層を形成すると、メッキ層が焼嵌めの際の加熱により酸化されたり、微細なクラックが入ったりするおそれがある。その場合、表面状態を目視で確認し易いという観点から、新しい内筒12の焼嵌め後にメッキ層を形成するのが好ましい。具体的には、Crメッキ層の形成は新しい内筒12の焼嵌め後が好ましく、Niメッキ層の形成は新しい内筒12の焼嵌め前又は後のいずれでも良い。もっとも、設計寸法に対応しており、かつ保持部材で強固に固定できれば、クラックがあっても問題にはならない。
(2) 溶射層の場合
溶射により外筒11自身も加熱されるので、新しい内筒12を焼嵌めする前に溶射層を形成するのが好ましい。溶射に例えばクロム又はクロム合金を使用できるが、外筒と同一の材料を用いても良い。溶射法には、線状の溶射材料を用いる溶線式フレーム溶射法、棒状の溶射材料を用いる溶棒式フレーム溶射法、溶射材料の粉末を用いる粉末式フレーム溶射法、2本の金属ワイヤ間のアーク放電を利用するアーク溶射法等がある。
(3) 肉盛り溶接層の場合
肉盛り溶接の場合も外筒11が加熱されるので、新しい内筒12を焼嵌めする前に溶接層を形成するのが好ましい。肉盛り溶接に鉄系の溶接棒等を用いることができるが、外筒と同一の材料を用いても良い。肉盛り溶接された金属は外筒11に強固に密着する。溶接法としてはTIG溶接又はMIG溶接を用いることができる。
外筒11を形成する高強度低熱膨張性金属は、20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10-6〜5×10-6/℃であり、20℃から600℃までの平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上である。このような高強度低熱膨張性金属の一例は、Fe-Ni-Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであり、析出強化元素としてはAl、Ti、Nb等が挙げられる。このような高強度低熱膨張性金属の好ましい組成例は、Ni:30〜35質量%、Co:12〜17質量%、Al:0.5〜1.5質量%、Ti:1.5〜3質量%、残部Feである。Al及びTiは析出強化元素として作用する。
内筒12を形成するセラミックスとしては、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性に優れた窒化珪素又はサイアロン等の窒化珪素質焼結体が好ましい。前記窒化珪素質焼結体の組織は、窒化珪素粒子又はサイアロン粒子と、希土類元素を含む粒界相により構成されている。例えば窒化珪素の熱膨張係数は、図4にAで示されているように、20℃から600℃まで約3×10-6/℃である。
上記組成の高強度低熱膨張性金属の熱膨張係数は、図4にBで示されている。またTi系合金[組成:Ti-6Al-4V(質量%)]の熱膨張係数は図4にCで示されている。550〜600℃の焼嵌め温度において、高強度低熱膨張性金属からなる外筒11と窒化珪素からなる内筒12の熱膨張係数の差が大きいので、焼嵌め作業を容易に行うことができる。また、ダイカスト用スリーブ1内にアルミニウム溶湯を注入した場合、外筒11は通常約300℃まで加熱されるが、その温度範囲では高強度低熱膨張性金属と窒化珪素との熱膨張係数の差が小さいので、外筒11と内筒12との間に円周方向及び径方向のずれが発生しない。これに対して、Ti系合金からなる外筒11では、約300℃までの温度範囲で熱膨張係数の差が大きいので、外筒11と内筒12との間に円周方向及び径方向のずれが発生するおそれがある。
外筒11を形成する高強度低熱膨張性金属は、20℃〜500℃の温度における引張強さが590 MPa以上であるのが好ましく、690 MPa以上であるのがより好ましい。これにより、スリーブ1内に注入された溶湯を射出する際の内部応力に対してセラミックス製の内筒12を十分に保護することができる。また、外筒11は室温で、15%以上(特に20%以上)の伸び、20W/m・K以下の熱伝導率、及び130 GPa以上のヤング率を有するのが好ましい。
外筒11の先端部11aに焼嵌めされる先端リング部材2は、外筒11と同じ熱膨張係数を有する金属からなるのが好ましい。また、先端リング部材2は、耐熱性又は耐摩耗性を優先する場合、内筒12と同程度の耐熱性又は耐摩耗性を有するのが好ましい。
外筒11の内面に、半円形状、三角形状、四角状等の断面形状を有する複数個の溝状空孔部を設けても良い。空孔部は外筒11の内面全長にわたって設けても良いし、温度上昇の大きい部分だけ設けても良い。
(B) 第二の例
図5は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第二の例を示す。このスリーブ1では、外筒11の先端部11aにも拡径層9が形成されている。拡径層9は円環状保持面11e,11f上に形成する拡径層8,8と同じで良い。拡径層9により、先端リング部材2を焼嵌めする外筒11の先端部11aの真円度を高めることができる。
(C) 第三の例
図6は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第三の例を示す。このスリーブ1では、先端リング部材2はボルト52により外筒11に固定されている。
(D) 第四の例
図7は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第四の例を示す。このスリーブ1では、外筒11の先端部11aにも拡径層9が形成されており、かつ先端リング部材2はボルト52により外筒11に固定されている。この構造により、先端リング部材2を焼嵌めする外筒11の先端部11aの真円度が高まる。
(E) 第五の例
図8は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第五の例を示す。このスリーブ1では、外筒11の外周面に2つの円環状保持面11e,11fが設けられておらず、拡径層8,8は外筒11の外周面に直接形成されている。この構造でも、再生に適するダイカスト用スリーブとすることができる。
(F) 第六の例
図9は本発明の再生方法を適用したダイカスト用スリーブの第六の例を示す。このスリーブ1では、外筒11の外周面全体に1つの拡径層8が形成されている。2つの拡径層8,8の方が保持部材への隙間ない固定を確実かつ容易に行うことができるが、1つの全面的な拡径層8でも不可能ではない。
[2] ダイカスト用スリーブの再生方法
ダイカスト用スリーブの第一の例について、本発明の再生方法を以下詳細に説明するが、勿論本発明はこれに限定されず、他の例のダイカスト用スリーブも同様に再生することができる。
(A) 第一の再生方法の工程
図10は本発明のダイカスト用スリーブの第一の再生方法の工程を示す。第一の再生方法は拡径層8にメッキ層を用いる場合に好適であるが、勿論溶射層又は肉盛り溶接層を用いる場合に行っても良い。メッキ層を形成する場合を例にとって、第一の再生方法を以下詳細に説明する。まず、内筒12の交換時期に来たスリーブ1の外筒11から古い内筒12を焼外し(工程S1)、外筒11内に新しい内筒12を焼嵌めし(工程S2)、外筒11の外周面(2つの円環状保持面11e,11f)にメッキ層8を形成し(工程S3)、外筒11のメッキ層8を円筒状外形に加工(研削)する(工程S4)。上記の通り、図10の工程で拡径層を溶射層又は肉盛り溶接層に代えても良い。
(B) 第二の再生方法の工程
図11は本発明のダイカスト用スリーブの第二の再生方法の工程を示す。第二の再生方法は拡径層8に溶射層又は肉盛り溶接層を用いる場合に好適であるが、勿論メッキ層を用いる場合に行っても良い。溶射層又は肉盛り溶接層を形成する場合を例にとって、第二の再生方法を以下詳細に説明する。まず、内筒12の交換時期に来たスリーブ1の外筒11から古い内筒12を焼外し(工程S1)、外筒11の外周面(2つの円環状保持面11e,11f)に溶射層又は肉盛り溶接層8を形成し(工程S2)、外筒11内に新しい内筒12を焼嵌めし(工程S3)、外筒11の溶射層又は肉盛り溶接層8を円筒状外形に加工(研削)する(工程S4)。溶射又は肉盛り溶接により外筒11は加熱されるので、新しい内筒12の焼嵌め前に溶射層又は肉盛り溶接層8を形成するほうが良い。上記の通り、図11の工程で拡径層をメッキ層に代えても良い。
(C) 再生の全工程
本発明の再生方法には、図13に示す第一の方法(図示の例では拡径層8としてメッキ層を用いる。)と、図14に示す第二の方法(図示の例では拡径層8として溶射層又は肉盛り溶接層を用いる。)とがある。いずれの場合も、再生の全工程は本発明に必須でない工程を含み、また上記工程以外の工程は順序を変えても良い。従って、図13及び図14に示す工程は全て必須であるわけではなく、またそれらの順序も限定的でない。
(1) 第一の方法例
(a) 第一回目の再生の場合
図12は新規に組み立てた(再生していない)スリーブ1を示す。未再生のスリーブ1では、外筒11の円環状保持面11e,11fに拡径層8が形成されていない。セラミックス製内筒11の消耗の程度が所定のレベルに達すると、まず外筒11から後端リング部材3を取り外す(工程S1)。次に、先端リング部材2だけを300〜400℃の温度に加熱し、外筒11から先端リング部材2を焼外す(工程S2)。さらに、スリーブ1を550〜700℃の温度に加熱して外筒11から内筒12を焼外した後(工程S3)、同じ温度で外筒11に新しい内筒12を焼嵌めする(工程S4)。古い内筒12の焼外しと新しい内筒12の焼嵌めは同じ温度で良いので、連続的に行うことができる。なお、輻射熱を利用する加熱装置にスリーブ1を入れると、スリーブの外側から先に昇温されるので、先端リング部材2の焼外しと、内筒12の焼外しを連続的に行うこともできる。必要に応じて研削により内筒12の両端面と外筒11の両端面を合わせる。
メッキ層8を形成する前に、外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削する(工程S5)。これにより円環状保持面11e,11fの真円度が高まるので、メッキ層8の厚さを必要最小限にすることができる。円筒状外形に研削した2つの円環状保持面11e,11fにメッキ層8を形成する(工程S6)。メッキ層8は、組み立てたスリーブ1をメッキ浴に浸漬した状態で行うので、メッキする部分以外をマスキングしなければならない。マスキングには例えばマスキングテープを使用することができる。
メッキ層8はCrメッキ層又はNiメッキ層であるのが好ましい。Crメッキ層は、(1) Crメッキの必要な部分以外をビニールテープ、アルミテープ等でマスキングし、(2) 表面を脱脂し、(3) メッキ浴に浸漬してエッチングを行って表面を活性化させ、(4) 電解Crメッキを行い、最後に(5) 洗浄及び乾燥することにより形成することができる。また、Niメッキ層は無電解Niメッキ法又は電解Niメッキ法により形成することができる。無電解Niメッキ法では通電を行わず、メッキ浴に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子により、Ni皮膜を析出させる。これ以外はCrメッキ法と同じで良い。
外筒11の先端部11aに先端リング部材2を焼嵌めする(工程S7)。先端リング部材2は焼外したものを使用しても良いが、新しいものを使用しても良い。いずれにしても、焼嵌めした先端リング部材2の先端面を、ダイカストマシンに合致するように所定のサイズに切削加工する(工程S8)。
先端リング部材2をボルト51,51により外筒11の鍔状凸部11cに螺着する(工程S9)。これにより、スリーブ1に溶湯を供給して先端リング部材2が加熱されても、ズレを防止できる。
外筒11に焼嵌めされた内筒12及び先端リング部材2の内面を研削加工し、面一にする(工程S10)。これにより、スリーブ1内をプランジャチップはスムーズに摺動することができる。
新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の外周面は僅かに変形しているので、円環状保持面11e,11fの真円度も低下している。円環状保持面11e,11fが十分に真円でないと、ダイカストマシンの保持部材にしっかりと固定できないので、運転中にガタが生じる。そのため、新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の円環状保持面11e,11f上に形成したメッキ層8を円筒状外形に加工する(工程S11)。加工には、例えば切削、研削又は研磨を用いることができる。以下の例で研削を用いる場合でも、勿論限定的でなく、切削又は研磨を用いても良い。本発明の方法によりメッキ層8の形成及び加工を行うと、一回の再生で外径が減少してもその程度は非常に小さいので、外筒11のサイズがダイカストマシンの保持部材のサイズと合わなくなるまでの再生回数を著しく多くすることができる。
最後に、外筒11の後端面11bにボルト31により後端リング部材3を固定する(工程S12)。
(b) 二回目以降の再生の場合
再生したスリーブ1を再度再生する場合、外筒11の2つの円環状保持面11e,11fには既に拡径層(メッキ層)8が設けられている。メッキ層8があると、その上にさらにメッキ層を形成しようとしても密着性が十分でない。そこで、工程S5及びS6を、古いメッキ層8を除去するとともに、土台の円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削し、次いで露出した円筒状外形となった2つの円環状保持面11e,11fに新しいメッキ層8を形成するように変更する。これ以外の工程は第一回目の再生の場合と同じで良い。
(2) 第二の方法例
(a) 第一回目の再生の場合
上記の通り、溶射又は肉盛り溶接により外筒11が加熱されるので、図14のフローチャートに示す通り、拡径層8の形成(工程S5)の後に、外筒11に新しい内筒12を焼嵌めする(工程S6)。溶射の場合、溶射する部分以外をマスキングしなければならない。肉盛り溶接の場合、マスキングは必須ではないが、肉盛り溶接する部分以外をマスキングしても良い。マスキングには例えばマスキングテープを使用することができる。ただし、肉盛り溶接層はメッキ層に比べて成膜速度が速くて厚く形成できるので、事前に円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削しなくても良い(工程S4を省略しても良い)。その他の工程については、第一の例と同じで良い。
(b) 二回目以降の再生の場合
メッキ層と異なり、古い溶射層又は肉盛り溶接層に新しい溶射層又は肉盛り溶接層が良く密着するので、工程S4で外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを研削する際に古い溶射層又は肉盛り溶接層を完全に除去する必要はない。その他の工程については、第一の例と同じで良い。
(3) 第三の方法例
二回目以降の再生では、拡径層8としてメッキ層を用いる場合と、溶射層又は肉盛り溶接層を用いる場合とを組合せても良い。具体的には、(a) 再生すべきスリーブ1の外筒11にメッキ層が形成されている場合、メッキ層を除去した後に再度メッキ層を形成しても良いが、溶射層又は肉盛り溶接層を形成しても良く、また(b) 再生すべきスリーブ1の外筒11に溶射層又は肉盛り溶接層が形成されている場合、円環状保持面11e,11fを研削した後に再度溶射層又は肉盛り溶接層を形成しても良いが、メッキ層を形成しても良い。メッキ層と溶射層又は肉盛り溶接層とを組合せて用いると、円環状保持面11e,11fが研削により低くなった場合に、溶射又は肉盛り溶接により高くすることができるので、再生回数をより多くすることができる。
(4) 変更例
拡径層8がメッキ層、溶射層及び肉盛り溶接層のいずれであっても、図5〜図9に示す第二〜第六の例のダイカスト用スリーブの場合、変更箇所に応じて工程も変更する。
(a) 第二の例のダイカスト用スリーブ(図5)の場合
外筒11の先端部11aにも拡径層9を形成するので、円環状保持面11e,11fに拡径層8を形成する際に拡径層9も形成すれば良い。
(b) 第三の例のダイカスト用スリーブ(図6)の場合
先端リング部材2をボルト51,51により鍔状凸部11cに螺着する工程を、ボルト52により外筒11に固定する工程に変更すれば良い。
(c) 第四の例のダイカスト用スリーブ(図7)の場合
外筒11の先端部11aにも拡径層9を形成するとともに、先端リング部材2をボルト52により外筒11に固定すれば良い。
(d) 第五の例のダイカスト用スリーブ(図8)の場合
外筒11の滑らかな外周面に2つの拡径層8を形成するので、鍔状凸部11cを有さない外筒11を用いれば良い。
(e) 第六の例のダイカスト用スリーブ(図9)の場合
鍔状凸部11cを有さない外筒11の外周面全体に1つの拡径層8を形成すれば良い。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
Ni:32.6質量%、Co:14.9質量%、Al:0.8質量%、及びTi:2.3質量%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を焼結してなる高強度低熱膨張性金属製の外筒11(外径130 mm、内径90 mm、長さ400 mm、拡径層なし)と、Si3N4:87質量%、Y2O3:6質量%、Al2O3:4質量%、及びAlN:3質量%に原料配合して焼結してなるサイアロン製の内筒12(外径90 mm、内径60 mm、長さ400 mm)と、熱間工具鋼からなる先端リング部材2及び後端リング部材3とからなる図1に示す構造のスリーブ1を、型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、内筒12が交換レベルに消耗するまでアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した。外筒11の室温〜300℃におけるヤング率は150 GPaであり、室温〜300℃における平均熱膨張係数は3×10-6/℃であった。
内筒12が消耗したスリーブ1を再生するために、図13に示すフローチャートに従って、まず外筒11から後端リング部材3を取り外した(工程S1)後、先端リング部材2だけを400℃の温度に加熱して外筒11から先端リング部材2を焼外した(工程S2)。さらに、スリーブ1を700℃の温度に加熱して外筒11から内筒12を焼外し(工程S3)、直ちに同じ温度で外筒11に新しい内筒12を焼嵌めした(工程S4)。なお、内筒12の両端部を研削して外筒の面と合わせた。
新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削した(工程S5)。外筒の円筒状外形は、軸方向の複数個所で測定した真円度が10μmとなるようにした。その後、2つの円環状保持面11e,11f以外をマスキングし、それらの円筒状研削面に、60℃のサージェント浴を用いて60 A/dm2の電流密度で、厚さ60μmのCrメッキ層8を形成した(工程S6)。Crメッキ層8の組成は、酸素0.4質量%、水素0.05質量%、残部Crであった。
その後、先端リング部材2を400℃の温度に加熱して、外筒11の先端部11aに焼嵌めした(工程S7)。焼嵌めした先端リング部材2の先端面を所定のサイズに切削加工した(工程S8)後、先端リング部材2を鍔状凸部11cに螺着した(工程S9)。
外筒11に焼嵌めされた内筒12及び先端リング部材2の内面を面一に研削加工した(工程S10)。新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の外周面は僅かに変形しているので、メッキ層8の外形が円筒になるように、平均で約10μm研削した(工程S11)。メッキ層は、軸方向の複数個所で測定した真円度が10μmとなるようにした。最後に、外筒11の後端面11bにボルト31により後端リング部材3を固定した(工程S12)。
再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、鋳造サイクルタイム2分でアルミニウム合金をダイカスト成形に使用した結果、100,000ショット以上の安定した射出を行うことができ、外筒11と内筒12との間に焼嵌め効果の低減は全く認められなかった。また内筒12の内面に溶損、摩耗、焼付き、クラック等は発生せず、スリーブ1内の溶湯の温度降下、及びプランジャチップの摩耗もなかった。
実施例2
実施例1で再生したスリーブ1を、内筒12が交換レベルに消耗するまでアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した後、再度再生した。二回目の再生では、新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削すること(工程S5)により、メッキ層8を除去した後さらに円環状保持面11e,11fを僅かに除去した。次いで、工程S6で円環状保持面11e,11fの露出面に厚さ110μmのメッキ層8をあらためて形成した。メッキ層8を円筒状外形にするためにした研削の平均深さは約10μmであった。二回再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例3
内筒12が消耗した実施例1と同じスリーブ1を、拡径層8としてCrメッキ層の代わりに厚さ60μmの純Niメッキ層を形成した以外実施例1と同じ方法により再生した。Niメッキ層は、50℃のスルファミン酸ニッケル浴を用いて30 A/dm2の電流密度で形成した。再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例4
実施例3で再生したスリーブ1を、内筒12が交換レベルに消耗するまでアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した後、再度再生した。二回目の再生では、新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削する際に(工程S5)、Niメッキ層8も除去した。研削した平均深さは約100μmであった。あらためて円環状保持面11e,11fの露出面に形成したNiメッキ層8の厚さは110μmであった。その他の工程については、実施例3と同じにした。二回再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例5
内筒12が消耗した実施例1と同じスリーブ1を、拡径層8に溶射層を用いて、図14に示すフローチャートに従って再生した。工程S5で粉末式フレーム溶射法により2つの円環状保持面11e,11f上に形成した溶射層は、Cr-Niの組成を有し、厚さ200μmであった。溶射層8の形成の後に、外筒11に新しい内筒12を焼嵌めした(工程S6)。その他の工程については、実施例1と同じにした。溶射層8を円筒状外形にするために研削した平均深さは約100μmであった。再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例6
実施例5で再生したスリーブ1を、内筒12が交換レベルに消耗するまでアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した後、再度再生した。二回目の再生では、新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削する際に(工程S5)、溶射層8も除去した。あらためて円環状保持面11e,11fの露出面に形成した溶射層8の厚さは250μmであった。また、溶射層8を円筒状外形にするために研削した平均深さは約150μmであった。その他の工程については、実施例5と同じにした。二回再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例7
内筒12が消耗した実施例1と同じスリーブ1を、拡径層8に肉盛り溶接層を用いて、図14に示すフローチャートに従って再生した。工程S5で2つの円環状保持面11e,11fの研削面上に、鉄系溶接棒を用いて厚さ1 mmの肉盛り溶接層を形成した。肉盛り溶接層8の形成の後に、外筒11に新しい内筒12を焼嵌めした(工程S6)。円環状保持面11e,11fの露出面に形成した肉盛り溶接層8の厚さは平均1 mmであった。また、溶射層8を円筒状外形にするために研削した平均深さは約500μmであった。その他の工程については、実施例1と同じにした。再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
実施例8
実施例7で再生したスリーブ1を、内筒12が交換レベルに消耗するまでアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した後、再度再生した。二回目の再生では、新しい内筒12を焼嵌めした外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削する際に(工程S5)、肉盛り溶接層8も除去した。改めて円環状保持面11e,11fの露出面に形成した肉盛り溶接層8の厚さは平均1 mmであった。また、溶射層8を円筒状外形にするために研削した平均深さは約800μmであった。その他の工程については、実施例7と同じにした。二回再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に装着し、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、実施例1と同じ結果が得られた。
1・・・ダイカスト用スリーブ
11・・・外筒
11a・・・先端部
11b・・・後端面
11c・・・鍔状凸部
11d・・・開口部
11e,11f・・・円環状保持面
12・・・内筒
12a・・・開口部
2・・・先端リング部材
3・・・後端リング部材
31,51,52・・・ボルト
7・・・溶湯の供給口
8・・・拡径層
9・・・拡径層
30・・・ダイカストマシンの保持部材

Claims (11)

  1. 20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10 -6 〜5×10 -6 /℃であり、20℃から600℃までの平均熱膨張係数が5×10 -6 /℃以上であり、かつ20℃〜500℃の温度における引張強さが590 MPa以上である高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、セラミックスからなる内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブを再生する方法であって、前記外筒から使用済みの内筒を焼外した後、前記外筒内に新しい内筒を焼嵌めする前又は後に前記外筒の外周面に拡径層を形成し、前記外筒内に前記新しい内筒を装着した後に前記拡径層を円筒状外形に加工することを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記拡径層がメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層であることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記拡径層が硬質金属のメッキ層であることを特徴とする方法。
  4. 請求項3に記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記メッキ層がCrメッキ層又はNiメッキ層であることを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、焼外した後の外筒の外周面にCrメッキ層がある場合、前記Crメッキ層を除去した後に新しいCrメッキ層を形成することを特徴とする方法。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記拡径層が硬質金属のメッキ層である場合、新しい内筒を焼嵌めした後の前記外筒の外周面に前記メッキ層を形成することを特徴とする方法。
  7. 請求項2に記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記拡径層が溶射層又は肉盛り溶接層である場合、新しい内筒を焼嵌めする前の前記外筒の外周面に前記溶射層又は肉盛り溶接層を形成することを特徴とする方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、二回目以降の再生の場合、古い拡径層を除去した後で新しい拡径層を形成することを特徴とする方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記外筒を形成する高強度低熱膨張性金属が、Fe-Ni-Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであることを特徴とする方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のダイカスト用スリーブの再生方法において、前記内筒を形成するセラミックスが窒化珪素質焼結体であることを特徴とする方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の方法により再生されたダイカスト用スリーブであって、前記外筒の外周面にメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層が残留していることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
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