JP2004066243A - 軽合金射出成形機用部材 - Google Patents

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Shigeru Hirakawa
平川 茂
Kenichiro Shimizu
清水 健一郎
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Abstract

【課題】射出成形機用部材の溶損やクラックなどが起きやすい部位を局部的に堅牢にできる、または、たとえ局部的に溶損やクラックなどの不具合が生じても、容易に再生、補修できる軽合金射出成形機用部材を提供する。
【解決手段】溶融した軽合金を射出成形する射出成形機に用いられる部材であって、溶融金属と接触する少なくとも一部分に耐溶損性材料を銀ろうで接合したことを特徴とする。また、銀ろうは溶融開始温度が650℃以上であるものを用いることを特徴とする。また、接合する耐溶損性材料は、コバルト基合金、鉄基合金、コバルト基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料、鉄基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料のいずれかからなることを特徴とする。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウムなどの軽合金を射出成形する射出成形機に用いられるシリンダ、ノズル、スクリュ、プランジャなどにも適用できる軽合金射出成形機用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金の成形加工は、ダイキャスト法が幅広く用いられているが、近年作業環境の改善や成形加工効率を高めるため、射出成形法の適用が普及しつつある。溶融マグネシウムの温度は約600℃であるため、射出成形機用部材は高温状態で長期間安定して使用できることが要求される。
【0003】
マグネシウムなどの軽合金を射出する射出成形機用部材として、例えば特許第2862799号公報には、ニッケル基耐熱性合金で基材を構成すると共に、該基材の射出用溶融金属との接触部表面に、ステライト等のCo基合金を遠心鋳造法やHIP法を用いて被覆したことが記載されている。
【0004】
また、本発明の軽合金用途とは対象が異なるが、特開平11−179768号公報には、プリプラ式射出成形機の可塑化シリンダにおける逆流防止弁について、弁体表面の樹脂流による摩耗、繰り返し行われる閉弁時の接触によるシール部の摩耗を抑制するために、ボロン合金からなる硬質材料をろう付けにより弁体の外殻部に取り付けた逆流防止弁が開示されている。ろう材の種類は明らかでないが、通常のろう付けでは、プラスティック樹脂流に対してはろう接合が剥がれたりしないが、プラスティック樹脂流に比べて格段に温度の高い軽合金に対しては耐用できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
軽合金射出成形では、スクリュ押出し時の溶融金属の流動や、スクリュとシリンダ間の摺動により、長期に亘って使用すると、特に射出内圧が高いシリンダの射出出口側先端に近い部位が溶融金属の漏れにより激しく溶損し、ときにはクラックが発生することがあった。これらの不具合が起きた場合、不具合箇所の周囲を加工除去して、再び遠心鋳造法やHIP法を施して修復することは困難であり従来は射出成形機部材を新品に取り替えて対処していたが、経済的に不利という問題があった。
【0006】
したがって、本発明はこのような事情に鑑みて、射出成形機用部材の溶損やクラックなどが起きやすい部位を局部的に堅牢にできる、または、たとえ局部的に溶損やクラックなどの不具合が生じても、容易に再生、補修できる軽合金射出成形機用部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶融した軽合金を射出成形する射出成形機に用いられる部材であって、溶融金属と接触する少なくとも一部分に耐溶損性材料を銀ろうで接合したことを特徴とする。
【0008】
前記本発明において、銀ろうは溶融開始温度が650℃以上であるものを用いることが好ましい。また、接合する耐溶損性材料は、コバルト基合金、鉄基合金、コバルト基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料、鉄基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料のいずれかからなるものが好ましい。
【0009】
【作用】
本発明の軽合金射出成形機用部材は、激しい溶損やクラックなどが起きやすい部位に硬質の耐溶損性材料を銀ろうで容易に接合できる。また、溶損やクラックなどが発生した場合でも、不具合箇所を除去した後、本体とは別に用意した耐溶損性材料を銀ろう付けすることにより、容易に再生、補修ができる。
【0010】
本発明における銀ろうは、溶融開始温度が650℃以上であるものを用いることにより、軽合金射出成形機用部材の使用温度より高いため、射出成形機の使用中に銀ろうが溶融することがなく、耐溶損性材料のろう付け接合が剥がれることを防止できる。
【0011】
また、耐溶損性材料として、コバルト基合金、鉄基合金、コバルト基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料または、鉄基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料を適宜選択することが好ましい。これらの材料は、溶融した軽合金に対して優れた耐溶損性、耐クラック性を具備する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は軽合金射出成形機用部材であるシリンダの概略断面図を示す。図1において、1はシリンダ本体、2は中空円筒状のシリンダ母材でありニッケル基耐熱合金からなる、3はシリンダ母材2の内面にHIP法により被覆させた耐溶損性にすぐれた被覆層である。被覆層3は、重量%でC:2.9%、Si:0.5%、Mn:0.5%、Cr:10.9%、B:1.6%、Co:70.7%からなるCo基合金を用いた。
【0013】
このような構成からなるシリンダにおいて、シリンダ本体1の射出出口側の端面部6にある被覆層3にクラック7が発生した場合について説明する。
まず、図2に示すようにシリンダ端面部6の母材2と被覆層3の一部を、リング状に加工して、不具合部であるクラック7を除去した。
【0014】
次いで、図3に示すように被覆層3と同一組成からなるCo基合金を用いて、加工除去部8の形状に合わせたリング状の耐溶損性材料5を作製した。そして、耐溶損性材料5を加工除去部に挿入し、耐溶損性材料5とシリンダ本体1との間の隙間に重量%で、Ag:39〜41%、Cu:29〜31%、残部Znからなる銀ろう材4を介装した。
【0015】
銀ろう材4を介装した後、銀ろう材4が隙間全体に行き渡るようにシリンダ1全体を約930℃に加熱して銀ろう材4を溶融させた。これにより、耐溶損性材料5をシリンダ本体1に溶着させた。その後、仕上加工を行いシリンダ本体1の再生作業を完了した。
【0016】
この図3に示す本発明の軽合金射出成形機用シリンダを用いて、マグネシウム合金の射出成形を行ったところ、長期間使用において、銀ろう材の溶融や溶損によって、接合した耐溶損性材料がシリンダから剥落することは認められず、優れた耐久性を示した。
【0017】
また、本発明の他の実施形態として、耐溶損性材料5を被覆層3と同一のCo基合金で形成するのではなく被覆層3とは異なる材質、たとえば重量%で、WC:70%、Co:30%のサーメット材料などCo基合金の被覆層3とは材料の異なるものを用いてもよい。また、シリンダ以外にも射出成形機に用いられるノズル、スクリュ、プランジャなどにも適用できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、射出成形機用部材の溶損やクラックなどが起きやすい部位を局部的に容易に堅牢にできる。また、たとえ溶損やクラックなどの不具合が生じても、容易に再生、補修できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軽合金射出成形機用シリンダの概略断面図である。
【図2】軽合金射出成形機用シリンダの端面部を加工除去後の概略断面図である。
【図3】本発明の軽合金射出成形機用シリンダの概略断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ本体、2 シリンダ母材、3 被覆層、4 銀ろう材、
5 耐溶損性材料、6 シリンダ端面部、7 クラック、8 加工除去部

Claims (3)

  1. 溶融した軽合金を射出成形する射出成形機に用いられる部材であって、溶融金属と接触する少なくとも一部分に耐溶損性材料を銀ろうで接合したことを特徴とする軽合金射出成形機用部材。
  2. 前記銀ろうの溶融開始温度が650℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の軽合金射出成形機用部材。
  3. 前記耐溶損性材料が、コバルト基合金、鉄基合金、コバルト基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料、鉄基合金にセラミックスを分散させたサーメット系材料のいずれかからなることを特徴とする請求項1または2に記載の軽合金射出成形機用部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008221220A (ja) * 2007-03-08 2008-09-25 Hitachi Metals Ltd ダイカストマシン用スプールブッシュ
JP2010120072A (ja) * 2008-11-21 2010-06-03 Hitachi Metals Tool Steel Ltd ダイカスト鋳造装置
JP2014065042A (ja) * 2012-09-24 2014-04-17 Japan Steel Works Ltd:The 金属射出成形機シリンダおよび金属射出成形方法

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