JPH07237225A - アルミ金型及びその補修方法 - Google Patents

アルミ金型及びその補修方法

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JPH07237225A
JPH07237225A JP2951794A JP2951794A JPH07237225A JP H07237225 A JPH07237225 A JP H07237225A JP 2951794 A JP2951794 A JP 2951794A JP 2951794 A JP2951794 A JP 2951794A JP H07237225 A JPH07237225 A JP H07237225A
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mold
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Yasuyuki Nakaoka
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型加工ミスや設計変更があっても、容易に
対処でき、補修部が成形品に転写されない充填部材を入
込む方式による補修方法を提供する。 【構成】 アルミ金型1の補修用穴1aに、溶体化処理
あるいは過時効によって軟化した熱処理型アルミ合金か
らなる補修充填部材2aを挿入押圧して穴を埋める。そ
の後、時効硬化処理、あるいは溶体化処理後時効硬化処
理を行い補修充填部材を硬化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂製品を成形するた
めのアルミ合金からなるアルミ金型及びその補修方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂製品を成形する際用いられる
金型は、鋼材を加工して作製したものが一般的である
が、この金型を加工するには、素材が硬いために時間が
非常に長くなり、切削工具の寿命も短いといった問題を
有していた。そこで、近年、機械加工性及び、熱伝導性
に優れたアルミ合金材を用いてアルミ金型の高速製作が
行なわれつつある。
【0003】しかしながら、アルミ金型を製作及び使用
する際に、下記に記す2つの欠点があった。第1に金型
の製作に不可避な加工ミスや金型製作段階における設計
変更に対処できる金型の補修技術がないことである。従
来、金型を補修するためには、溶接や充填部材を入れ込
むといった方式がとられてきた。例えば、アルミ合金の
溶接については特開平5−208295号公報、特開平
5−208295号公報に記載されている。しかし、ア
ルミ合金に肉盛溶接することは非常に難しく、特殊な技
能、熟練を要する上、溶接を行なうと図12の断面模式
図に示すような溶接部9周辺のひけ11やピンホール1
0の発生が生じ、これらを避けることは非常に難しい。
また、充填部材を挿入した場合、図13の断面図に示す
ように充填部材と金型の隙間が完全に埋まらず、金型と
充填部材との境界線が残存する。これらの、溶接部や充
填部材を挿入した箇所が樹脂製品をモールドする金型の
キャビティー部であると、成形品にこれらの補修部が転
写されてしまうといった欠点があった。さらに、特開平
1−186297号公報にはんだめっきを施し肉盛りし
てアルミ合金製部材のくぼみを補修する方法について開
示されているが、アルミニウム合金に強固な付着力では
んだ付けする事が困難であるばかりか、はんだ材は非常
に軟らかいため耐摩耗性に著しく劣るといった欠点があ
った。
【0004】第2はアルミ合金が軟らかいため、金型使
用の際、樹脂成形時にアルミ金型の表面が摩耗して、ア
ルミ金型の寿命が短くなる欠点を有していた。そこで、
従来より、アルミ金型表面に低コストで耐摩耗性に優れ
た硬質膜の施されたアルミ金型が提案され、この点につ
いては解決されている。図14は例えば特開昭63―1
88022号公報に示されたこの種のアルミ金型を示す
断面図である。図において、1は所定の型に製作された
一対のアルミ合金からなるアルミ金型、8はこれらアル
ミ金型の表面に施されたNi−Pからなる硬質膜であ
る。12はアルミ金型によって形成される樹脂性の成形
品である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、金型
の加工ミスや金型製作段階における設計変更に対処でき
るアルミ金型の補修技術が必要とされている。しかし、
従来の溶接法は著しく困難であり、ピンホール等の発生
が不可避であった。また、充填部材を入れ込むといった
方法においても同様であるが、成形品に補修部が転写さ
れてしまうといった欠点があった。満足のいくアルミ金
型の補修方法がなかった。
【0006】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、その目的とするところは、金型加
工ミスや設計変更があっても、容易に対処でき、特にそ
の補修部がキャビティーであっても、成形品に転写され
ない充填部材を入込む方式による補修方法を提供するこ
とである。更に、別の目的とするところは補修部の表面
を硬質化させ、長寿命のアルミ金型を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
アルミ金型の補修方法は、アルミ金型に補修部を含む補
修用穴を明け、この穴に金型を構成するアルミ合金より
軟らかい金属、例えば溶体化処理あるいは過時効によっ
て軟化した熱処理型アルミ合金、純アルミ、他の軟らか
いアルミ合金等からなる補修充填部材を押圧挿入して穴
を埋め、面一に形成するものである。
【0008】また、アルミ金型の補修用穴に、溶体化処
理あるいは過時効によって軟化した熱処理型アルミ合金
からなる補修充填部材を押圧挿入して穴を埋めた後、時
効硬化処理、あるいは溶体化処理後時効硬化処理を行い
上記補修充填部材を硬化するようにしたものである。
【0009】本発明の請求項3に係るアルミ金型の補修
方法は、熱処理型アルミ合金からなるアルミ金型に補修
部を含む補修用穴を明け、上記金型を溶体化処理あるい
は過時効によって軟化させた状態で 上記穴に補修充填
部材を押圧挿入し穴を埋めた後、時効硬化処理、あるい
は溶体化処理後時効硬化処理を行い上記金型を硬化する
ようにしたものである。
【0010】本発明の請求項4に係るアルミ金型の補修
方法は、補修用穴を明けた金型を加熱した状態で上記穴
に補修充填部材を挿入して穴を埋めるようにしたもので
ある。
【0011】本発明の請求項5のアルミ金型は、一部に
補修充填部材が挿入され、上記金型と補修充填部材との
境界部にめっき膜が形成されたものである。
【0012】本発明の請求項6に係るアルミ金型の補修
方法は、アルミ金型に補修部を含む補修用穴を明け、こ
の穴に嵌合する補修充填部材を上記穴に挿入した後、上
記補修充填部材の少なくとも嵌合面の一部にめっきを施
し、上記金型と補修充填部材との隙間を埋めるようにし
たものである。
【0013】また、補修充填部材は、純アルミあるいは
アルミ合金からなり、補修用穴との嵌合面の少なくとも
一部にジンケート処理を施したものである。
【0014】さらに、ジンケート処理を施して形成した
亜鉛膜を覆うめっきを施したものである。
【0015】本発明の請求項9に係るアルミ金型の補修
方法は、アルミ金型に補修部を含む補修用穴を明け、こ
の穴に嵌合し、少なくとも嵌合面の一部がニッケル基合
金あるいは銅基合金で形成された補修充填部材を上記穴
に挿入した後、少なくとも上記穴と補修充填部材との境
界部を加熱、望ましくはアルミ合金の固液共存層の温度
範囲に加熱するものである。
【0016】本発明の請求項10に係るアルミ金型は、
一部に補修充填部材が挿入され、上記金型と補修充填部
材との境界部に低融点金属が充填されたものである。
【0017】本発明の請求項11に係るアルミ金型の補
修方法は、アルミ金型に補修部を含む補修用穴を明け、
この穴に予め低融点金属を配置しておき、上記アルミ金
型を加熱して上記低融点金属を溶融させて、上記低融点
金属が溶融した状態で上記穴に上記補修充填部材を挿入
するようにしたものである。
【0018】さらに、本発明の請求項12に係る発明
は、アルミ金型表面の少なくとも補修充填部材を挿入し
た部分を金属膜で被覆したものである。
【0019】
【作用】本発明の請求項1に係るアルミ金型の補修方法
においては、補修充填部材を金型のアルミ合金より軟ら
かい金属で形成しているので、補修用穴に挿入する際に
補修充填部材が容易に塑性変形し、金型との間に隙間を
生ずることなく穴を埋める。補修充填部材による補修部
が成形品に転写されるのを防止する。
【0020】また、溶体化処理あるいは過時効によって
軟化した熱処理型アルミ合金からなる補修充填部材を穴
に挿入し、その後、時効硬化処理、あるいは溶体化処理
後時効硬化処理を行なうようにしたので、補修充填部材
挿入時には補修充填部材が容易に塑性変形し、隙間なく
穴を埋めることができ、補修充填部材は最終的に硬くな
り、耐摩耗性が向上し寿命が延びる。さらに金型と補修
充填部材を均質な素材で形成でき、成形時の両者間の弾
性変形量の差等を抑制でき、補修部の成形品への転写を
より良好に防止できる。
【0021】本発明の請求項3に係るアルミ金型の補修
方法においては、熱処理型アルミ合金からなるアルミ金
型を軟化させた状態で穴に補修充填部材を挿入している
ので、補修充填部材周辺の金型が容易に塑性変形し、補
修充填部材と金型との間に隙間を生ずることなく穴を埋
める。その後、硬化処理を行なっているので金型は最終
的に硬くなる。
【0022】本発明の請求項4に係るアルミ金型の補修
方法においては、アルミ金型を加熱した状態、即ち膨張
している状態で補修充填部材を挿入するので、常温に戻
すと、金型が収縮し、その際、金型の補修充填部材周辺
部や補修充填部材が塑性変形し、補修充填部材と金型と
の隙間を埋める。
【0023】本発明の請求項5に係るアルミ金型におい
ては、めっき膜が金型と補修充填部材との隙間を埋め
る。
【0024】本発明の請求項6に係るアルミ金型の補修
方法においては、アルミ金型の穴に嵌合する補修充填部
材を挿入した後、補修充填部材の嵌合面の一部にめっき
を施すことにより、補修充填部材と金型の隙間へ金属が
析出し、比較的低温かつ変形レスで、隙間を埋めること
ができる。
【0025】また、純アルミあるいはアルミ合金からな
る補修充填部材の嵌合面にジンケート処理を施すことに
より、純アルミあるいはアルミ合金からなる補修充填部
材と金型との隙間へめっきされ隙間を埋める。
【0026】さらに、ジンケート処理を施して形成した
亜鉛膜を覆うめっきを施したので、補修充填部材の取り
扱いが容易になる。
【0027】本発明の請求項9に係るアルミ金型の補修
方法においては、補修充填部材の少なくとも嵌合面の一
部をニッケル基合金あるいは銅基合金で形成し、これを
金型の穴に挿入した後、少なくとも上記穴と補修充填部
材との境界部を加熱することにより、補修充填部材と金
型が拡散により一体化して、補修充填部材と金型の隙間
を埋める。
【0028】本発明の請求項10に係るアルミ金型にお
いては、低融点金属が金型と補修充填部材との隙間を埋
める。
【0029】本発明の請求項11に係るアルミ金型の補
修方法においては、アルミ金型に明けた穴に予め配置し
ておいた低融点金属を加熱して溶融させた状態で、この
穴に補修充填部材を挿入することにより、補修充填部材
と金型の隙間に低融点金属が充填され、隙間を埋める。
【0030】さらに、本発明の請求項12においては、
アルミ金型表面の少なくとも補修充填部材を挿入した部
分を金属膜で被覆したので、補修充填部材の材料がアル
ミ金型の材料と異なっていても、高圧力で成形の際の補
修充填部材と金型の弾性変形量の差を抑制でき、補修部
が成形品に転写されない。また、金型表面に形成する金
属膜が硬質の場合、耐摩耗性も向上する。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。 実施例1.図1(a)(b)は本発明の実施例1の請求項1
に係るアルミ金型の補修方法を工程順に示すもので、
(a)は補修充填部材挿入前のアルミ金型と補修充填部材
を示す斜視図、(b)は補修後の補修部を示す断面図であ
る。図において、1はアルミ合金の7075材(ビッカ
ース硬さHv=175)からなるアルミ金型で、補修部
を含む円柱状の補修用穴1aが明けられている。2aは
軟化させた熱処理型アルミ合金製補修充填部材で、この
場合は熱処理型アルミ合金の7075材で溶体化処理を
行ない軟化(Hv=120)させたもので、補修用穴1
aの穴径より僅かに大きい(例えば10μm程大きい)
径を有する円柱状で、穴1aに挿入しやすいように先端
部が斜めに切り欠かれている。
【0032】まず、金型1の補修部、例えば不良部を切
削して不良部を含む円柱状の補修用穴1aを明ける。こ
の穴に、480℃で1時間加熱後、水冷して溶体化処理
を行ない軟化させた熱処理型アルミ合金の7075材か
らなる補修充填部材2aを挿入し、押圧する。この補修
充填部材2aは軟らかく、径が金型1の補修用穴1aよ
り僅かに大きく形成されており、穴1aに挿入押圧した
際に容易に塑性変形して、金型1と補修充填部材2a間
に隙間を生じることなく穴1aを埋め、金型キャビティ
表面を面一に形成する。上述したように、このアルミ金
型の補修方法によれば、アルミ金型と補修充填部材との
隙間をなくせる、即ち境界線を消去できるため、成形し
た樹脂製品に補修部が転写されない。たとえ、樹脂製品
を形作る金型のキャビティー部に補修充填部材による補
修を行なっても、製品に補修充填部材線が転写されず、
意匠的にも優れたものが得られた。アルミ金型化できな
かった最大の欠点が解消され、金型の製作時間の短縮に
よる低コスト化が可能なアルミ金型の適用が拡大でき
る。
【0033】なお、この実施例では補修充填部材2aを
溶体化処理して軟化させる場合について示したが、例え
ば300℃で10時間加熱して、過時効によって軟化
(Hv=80)させるようにしてもよい。また、補修充
填部材2aは7075材に限定されることなく、他の7
000系(Al−Zn−Mg系)合金でも良く、また2
000系(Al−Cu−Mg系)合金や6000系(A
l−Mg−Si系)合金の熱処理型アルミ合金でも良
い。また、アルミ金型は7075材に限定されることな
く、他の7000系(Al−Zn−Mg系)合金でも良
く、また2000系(Al−Cu−Mg系)合金や60
00系(Al−Mg−Si系)合金の熱処理型アルミ合
金でも良い。更に、アルミ金型は非熱処理型アルミ合金
でも良く、即ち、5000系(Al−Mg系)合金で、
例えば、5083材や5052材等でも、また、300
0系(Al−Mn系)合金や4000系(Al−Si
系)合金でもよいことは言うまでもない。さらに、上記
実施例では、補修充填部材2aが円柱状で穴1aに挿入
しやすいように挿入側端部がテーパ状で細くなったもの
を示したが、全体がテーパ状の円錐台形状であってもよ
く、挿入しにくくなるがテーパのない円柱であってもよ
い。また補修用穴1aもテーパを有し、奥が狭くなった
形状であってもよく、同様の作用効果を奏する。さらに
また、補修充填部材2a挿入押圧後の時点で既に補修部
が面一となるように構成した場合について示したが、補
修充填部材2aが金型1表面から飛び出していてもよ
く、後ほど切削等によりこの部分を除去し、面一とする
ようにしてもよい。
【0034】実施例2.図2は本発明の実施例2の請求
項1,2に係る補修充填部材による補修後のアルミ金型
の補修部を示す断面図である。図において、1はアルミ
合金の7075材からなるアルミ金型、2bは上記実施
例1と同様の形状で、穴1aに挿入された後、時効硬化
処理により硬化させた熱処理型アルミ合金製補修充填部
材で、この場合は熱処理型アルミ合金の7075材であ
る。まず、上記実施例と同様、金型1の補修部に補修用
穴1aを明ける。この穴に、480℃で1時間加熱後、
水冷して溶体化処理を行ない軟化させた熱処理型アルミ
合金の7075材からなる補修充填部材2aを挿入し、
押圧する。補修充填部材が軟らかい状態(ビッカース硬
さHv=120)で補修充填部材を挿入するため、補修
充填部材が容易に塑性変形して、図1(b)に示すように
金型と補修充填部材の隙間がなくなる。その後、120
℃で24時間加熱後、空冷して時効硬化させた(図
2)。補修充填部材2bの硬さはHv=175に回復し
ていた。
【0035】上記と同様の効果を奏するとともに、補修
充填部材2bは金型1と同素材であり、しかも時効硬化
により、硬さがアルミ金型と同じHv=175に回復し
ており、両者間の差がなく、補修部の成形品への転写を
より良好に防止できる。なお、本実施例においても上記
実施例と同様、補修充填部材を過時効によって軟化(ビ
ッカース硬さHv=80)させて、穴1aに挿入しても
よい。過時効によって軟化したものは、例えば480℃
で1時間加熱後、水冷して溶体化処理を行ない、続いて
120℃で24時間加熱後、空冷して時効硬化させれ
ば、硬さもHv=175に回復する。また、上記実施例
と同様、補修充填部材は7075材に限定されることな
く、上記の熱処理型アルミ合金でも良い。また、アルミ
金型も7075材に限定されることなく、上記実施例と
同様、上記熱処理型アルミ合金及び非熱処理型アルミ合
金でも良い。
【0036】実施例3.図3は本発明の実施例3の請求
項1に係る補修後のアルミ金型の補修部を示す断面図で
ある。図において、1はアルミ合金の7075材からな
るアルミ金型、2cは上記実施例1と同様の形状で、熱
処理型アルミ合金の7075材(ビッカース硬さHv=
175)材より軟らかい5083材(ビッカース硬さH
v=85)である。上記実施例と同様、金型1の補修部
に補修用穴1aを明け、この穴に補修充填部材2cを挿
入する。この補修充填部材2cは軟らかいため、金型1
に押圧挿入した際に、補修充填部材2cが容易に塑性変
形して、金型と補修充填部材の隙間を埋め、隙間がなく
なる。補修部の成形品への転写を防止する。なお、本実
施例では、アルミ金型がアルミ合金の7075材で、補
修充填部材が5083材の場合を示したが、これらのア
ルミ合金の組み合わせに限定されることなく、補修充填
部材の硬さが金型の硬さより軟らかければ良い。上述の
アルミ合金に限らず、純アルミや他の金属も用いられ
る。
【0037】実施例4.図4は本発明の実施例4の請求
項3に係る補修後のアルミ金型の補修部を示す断面図で
ある。図において、1bは補修用穴1aを明けた熱処理
型アルミ合金の7075材からなるアルミ金型、2は上
記実施例と同様の形状の熱処理型アルミ合金の7075
材からなる補修充填部材である。熱処理型アルミ合金の
7075材からなる金型1bを480℃で1時間加熱
後、水冷して溶体化処理を行ない軟化させ、軟化した金
型1bの補修充填部材を挿入するためにあけた穴1aの
穴径より僅かに大きい径の補修充填部材2を挿入し、1
20℃で24時間加熱後、空冷して時効硬化させた。金
型1bが軟らかい状態(ビッカース硬さHv=120)
で補修充填部材2を挿入するため、金型1bが容易に塑
性変形して、金型1bと補修充填部材2の隙間がなくな
る。また、その後、時効硬化させており、金型1bの硬
さもHv=175に回復する。上記実施例と同様、補修
後のアルミ金型には金型と補修充填部材との隙間がな
く、補修部の成形品への転写は見られなかった。しか
も、補修充填部材2と金型1bとは同一素材で、硬さが
同じで、両者間の差がなく、補修部の成形品への転写を
より良好に防止できる。
【0038】なお、本実施例では金型1bを溶体化処理
して軟化させる場合について示したが、例えば300℃
で10時間加熱して、過時効によって軟化(Hv=8
0)させるようにしてもよい。過時効によって軟化した
ものは、例えば480℃で1時間加熱後、水冷して溶体
化処理を行ない、続いて120℃で24時間加熱後、空
冷して時効硬化させれば、硬さもHv=175に回復す
る。また、アルミ金型1bは7075材に限定されるこ
となく、他の7000系(Al−Zn−Mg系)合金で
も良く、また2000系(Al−Cu−Mg系)合金や
6000系(Al−Mg−Si系)合金の熱処理型アル
ミ合金でも良い。さらに、補修充填部材2は7075材
に限定されることなく、他のアルミ合金、純アルミやア
ルミ以外の材料でもよいことは言うまでもない。
【0039】実施例5.図5(a)(b)は本発明の実施例
5の請求項4に係るアルミ金型の補修方法を工程順に示
すもので、(a)は金型加熱時におけるアルミ金型補修部
の断面図、(b)はアルミ金型の温度が常温に戻った状
態、補修後の補修部を示す断面図である。図において、
1はアルミ合金の7075材からなるアルミ金型、2は
アルミ合金の7075材からなり、金型1に明けられた
補修用穴1aに嵌合する円柱状の補修充填部材である。
アルミ金型1を150℃で30分間加熱して熱膨張させ
て、この状態で補修充填部材2を穴1aに挿入する(図
5a)。その後、アルミ金型の温度を常温に戻す。加熱
してアルミ金型1が膨張した状態で補修充填部材2を挿
入するため、穴1aに容易に補修充填部材2を挿入で
き、金型が常温に戻り収縮した際に塑性変形して、金型
と補修充填部材の隙間を埋める。上記実施例と同様、補
修後のアルミ金型は金型と補修充填部材の隙間がなく、
補修部の成形品への転写が見られなかった。なお、アル
ミ金型は7075材に限定されることなく、他の熱処理
型アルミ合金でも良く、また、非熱処理型アルミ合金で
も良い。更に、補修充填部材は7075材に限定される
ことなく、他のアルミ合金、純アルミやアルミ以外の材
料でもよいことは言うまでもない。
【0040】実施例6.図6、図7(a)(b)は本発明の
実施例6の請求項5〜7に係るアルミ金型の補修方法を
工程順に示すもので、図6は補修充填部材挿入前のアル
ミ金型と補修充填部材を示す斜視図、図7(a)は補修充
填部材挿入めっき付着後の補修部を示す断面図、図7
(b)は金型表面から飛び出している補修充填部材を除去
後の補修部を示す断面図である。図において、1はアル
ミ合金の7075材からなるアルミ金型、2はアルミ合
金の7075材からなり、金型1に明けられた補修用穴
1aに嵌合する円柱状で、嵌合面にジンケート処理によ
って約1μmの亜鉛の膜3を形成させた補修充填部材、
4は補修充填部材嵌合面に付着されるめっき膜、この場
合はニッケルめっき膜である。
【0041】補修充填部材2の補修用穴1aとの嵌合面
にジンケート処理によって約1μmの亜鉛の膜3を形成
させる。ジンケート処理した表面は亜鉛がアイランド状
に析出しているため、大気中に曝すとアルミ合金が酸化
してめっきが析出しなくなるため、この補修充填部材2
を金型の補修用穴1aに水中で挿入する。その後、補修
充填部材2の嵌合面にニッケルめっきを付ける(図7
a)。前述のように補修充填部材2嵌合面にニッケルめ
っきが析出しやすいようにしてあるため、金型1と補修
充填部材2の隙間をニッケルめっき膜4が埋めている。
その後、金型1表面から飛び出している補修充填部材を
研削、研磨で除去する(図7b)。補修充填部材による
補修部の金型表面はニッケルめっきによるニッケルの析
出により、連続化する。補修後のアルミ金型は金型と補
修充填部材の隙間がなく、補修部の成形品への転写は見
られなかった。比較的低温かつ変形レスで、隙間を埋
め、金型の補修を行える。
【0042】なお、本実施例ではニッケルめっきの場合
を示したが、ニッケルめっきに限定されることなく、銅
めっき等の他のめっきでも良い。また、本実施例ではア
ルミ金型と補修充填部材の隙間の表面近傍のみをめっき
で埋めているが、境界の全域に渡り隙間を埋めるように
してもよい。また、本実施例では補修充填部材は707
5材のアルミ合金を示したが、他のアルミ合金でも良
く、純アルミでも良い。アルミ金型は7075材に限定
されることなく、他の熱処理型アルミ合金でも良く、非
熱処理型アルミ合金でも良い。さらに、本実施例では、
補修充填部材挿入直後は補修充填部材2が金型1表面か
ら飛び出しており、最終的にこの部分を除去する場合に
ついて示したが、これに限定されず、補修充填部材挿入
時点で既に補修充填部材部は面一となってもよい。さら
にまた、補修充填部材挿入は本実施例で示したように水
中で行なうのが望ましいが、特に限定されず、ジンケー
ト処理によって形成される膜質によっては、大気中で行
なっても良い。
【0043】実施例7.図8(a)(b)は本発明の実施例
7の請求項5〜8に係るアルミ金型の補修方法を工程順
に示すもので、(a)は補修充填部材挿入めっき付着後の
補修部を示す断面図、(b)は金型表面から飛び出してい
る補修充填部材を除去後の補修部を示す断面図である。
図において、1はアルミ合金の7075材からなるアル
ミ金型、2はアルミ合金の7075材からなり、金型1
に明けられた補修用穴1aに嵌合する円柱状で、嵌合面
にジンケート処理によって約1μmの亜鉛膜3を形成さ
せた後、めっき膜、この場合は銅ストライクめっきで約
1μmの銅の膜5を形成させた補修充填部材である。上
記実施例6と同様に補修充填部材2の嵌合面にジンケー
ト処理によって約1μmの亜鉛膜3を形成させる。その
後、銅ストライクめっきで約1μmの銅の膜5を形成さ
せる。銅ストライクめっきを施すと、アルミ合金は酸化
しにくくなり、取り扱いが容易になる。特に、水中で取
り扱わなければならない必要性がなくなり、大気中に放
置しておいてもよくなる。この補修充填部材2を金型1
にあけた補修用穴1aに挿入する。その後、補修充填部
材嵌合面にニッケルめっきを付ける(図8a)。前述の
ように補修充填部材2嵌合面にニッケルめっきが析出し
やすいようにしてあるため、金型1と補修充填部材2の
隙間をニッケルめっき4で埋めることができる。その
後、金型1表面から飛び出している補修充填部材を研
削、研磨で除去する(図8b)。補修部の金型表面はニ
ッケルめっきによるニッケルの析出により、連続化す
る。本実施例においては上記実施例と同様、比較的低温
かつ変形レスで、隙間を埋めることができ、補修後のア
ルミ金型には補修充填部材との隙間がなく、補修部の成
形品への転写は見られなかった。さらに、水中で取り扱
わなくてもよく、取り扱いが容易になる。
【0044】なお、亜鉛膜3を保護するめっき膜5が銅
めっきの場合を示したが、銅に限らずニッケル等、他の
めっきでもよい。また、めっき膜4もニッケルめっきに
限定されることなく、銅めっき等、他のめっきでも良
く、アルミ金型と補修充填部材の隙間の表面近傍のみを
めっきで埋めているが、境界の全域に渡り隙間を埋める
ようにしてもよい。また、本実施例では補修充填部材2
の材質は7075材のアルミ合金の場合を示したが、他
の上記したアルミ合金でも良く、純アルミでも良い。さ
らに、補修充填部材2の材質はめっきの析出し易い鉄等
でも良い。その場合は、ジンケート処理や銅ストライク
めっき等の処理が不要となる。補修充填部材2をアル
ミ、アルミ合金以外の材料で形成し、アルミ合金からな
るアルミ金型1に、上記補修充填部材2を挿入し、続い
て補修充填部材2の嵌合面にめっきを行なうので、補修
充填部材の取り扱いが容易になる上、上記実施例と同
様、比較的低温かつ変形レスで、補修充填部材と金型の
隙間へ金属が析出し、隙間を埋めることができる。ま
た、アルミ金型は7075材のアルミ合金に限定される
ことなく、他の上記熱処理型アルミ合金でも良く、非熱
処理型アルミ合金でも良い。さらにまた、上記実施例と
同様、補修充填部材2挿入時点で既に補修部は金型表面
と面一となっていてもよい。
【0045】実施例8.図9は本発明の実施例8の請求
項9に係る補修後のアルミ金型の補修部を示す断面図で
ある。図において、1はアルミ合金の5083材からな
るアルミ金型、2はアルミ合金の5083材からなり、
金型1に明けられた補修用穴に嵌合する嵌合面に銅膜が
形成された円柱状の補修充填部材、6は拡散層である。
まず、補修充填部材2の嵌合面にジンケート処理によっ
て約1μmの亜鉛の膜を形成させ、続いて、銅ストライ
クめっきで約1μmの銅の膜を形成させる。この補修充
填部材2を金型1の補修用穴に挿入する。その後、例え
ば600℃程度で加熱することにより穴と補修充填部材
との境界部に拡散層を形成させて、連続化する。補修充
填部材による補修部の金型表面は拡散層が形成され連続
化し、補修後のアルミ金型は補修充填部材との隙間がな
く、補修部の成形品への転写は見られなかった。
【0046】なお、加熱は金型全体を加熱しても良く、
補修部の金型表面に炭酸ガスレーザなどの高密度エネル
ギー熱源を照射するようにしてもよい。また、本実施例
では補修充填部材2の材質がアルミ合金の5083材の
場合を示したが、他のアルミ合金でも良く、純アルミで
も良い。そして、補修充填部材2の表面に銅を析出させ
る場合について示したが、銅に限らず、銅基合金やニッ
ケル基合金を析出させるようにしても良い。更に、補修
充填部材2はアルミ合金や純アルミ表面に銅やニッケル
等を形成したものでなくても、銅基合金あるいはニッケ
ル基合金で形成したものでも良い。また、これらの合金
は比較的容易にめっきできる上、拡散層を形成し易く、
本プロセスを行なうのに、取り扱い容易な合金であるこ
とが判明した。さらに、アルミ金型は5083材に限定
されることなく、他の非熱処理型アルミ合金でも良く、
熱処理型アルミ合金でも良い。
【0047】実施例9.本発明の実施例9の請求項9に
係る金型の補修方法について、上記実施例8の図9を参
照して説明する。1はアルミ合金の7075材からなる
アルミ金型、2はアルミ合金の7075材からなり、金
型の補修用穴1aとの嵌合面に銅膜が形成された円柱状
の補修充填部材、6は拡散層である。上記実施例8と同
様に、補修充填部材2の嵌合面にジンケート処理により
約1μmの亜鉛の膜を形成し、銅ストライクめっきで約
1μmの銅の膜を形成し、これを金型1の穴に挿入す
る。その後、476℃以上に加熱することにより拡散層
を形成させて、連続化する。アルミ合金の7075材は
476℃以上で固液共存層になるため、この温度以上で
拡散速度が急激に上がる。上記実施例8と同様の効果を
奏するとともに、拡散層6形成、即ち金型の補修が比較
的低温で速やかに行う事が出来る。なお、加熱は上記実
施例8と同様、金型全体でも補修部でも良く、高密度エ
ネルギー熱源を照射するようにしてもよい。また、アル
ミ金型は7075材に限定されず、他の熱処理型アルミ
合金、非熱処理型アルミ合金でも良い。さらに、本実施
例では補修充填部材2の材質がアルミ合金の7075材
の場合を示したが、上記実施例8と同様、他のアルミ合
金、純アルミでも良く、銅に限らず、銅基合金やニッケ
ル基合金を析出させるようにしても良い。更に銅基合金
あるいはニッケル基合金で形成したものでも良い。
【0048】実施例10.図10(a)(b)は本発明の実
施例10の請求項10,11に係るアルミ金型の補修方
法を工程順に示すもので、(a)は補修充填部材挿入前の
補修部を示す断面図、(b)は補修充填部材挿入後の補修
部を示す断面図である。図において、1はアルミ合金の
7075材からなるアルミ金型、7は低融点金属、この
場合は33Sn−34Pb−33Bi(融点:140
℃)合金である。金型1に明けられた補修用穴1aに予
め33Sn−34Pb−33Bi合金7を載置してお
き、この33Sn−34Pb−33Bi合金7が140
℃以上になるようにアルミ金型1を加熱して溶融させ
(図10a)、溶融した状態で7075材からなる補修
充填部材2を挿入する(図10b)。 低融点金属7が
溶融した状態で補修充填部材2を挿入するため、金型1
と補修充填部材2の隙間に容易に低融点金属2が充填さ
れ、隙間が埋められる。その後、金型表面から飛び出し
た部分を除去すれば良い。上記実施例と同様、アルミ金
型と補修充填部材との隙間をなくせるので、補修部の成
形品への転写は見られなかった。なお、本実施例では、
低融点金属7として33Sn−34Pb−33Bi合金
(融点:140℃)を用いたが、この合金に限定され
ず、他の63Sn−37Pb合金(融点:183℃)等
でも良い。また、本実施例では補修充填部材の材質とし
て7075材を示したが、特に限定されないのはいうま
でもなく、他のアルミ合金、純アルミでも良く、アルミ
合金以外の銅等でも良い。また、本実施例では、アルミ
金型としてアルミ合金の7075材を示したが、707
5材に限定されることなく、他の熱処理型アルミ合金で
も良く、非熱処理型アルミ合金でも良い。さらに、本実
施例では、補修充填部材挿入直後は補修充填部材が金型
表面から飛び出しており、最終的にこの部分を除去する
場合を示したが、これに限定されず、補修充填部材挿入
時点で既に補修部が面一となっていてもよい。
【0049】実施例11.図11は本発明の実施例11
の請求項12に係る補修後のアルミ金型の補修部を示す
断面図である。図において、1はアルミ合金の7075
材からなるアルミ金型、2はアルミ合金の5083材か
らなる補修充填部材、8は金属膜、この場合はNi−P
めっき膜である。本実施例ではアルミ金型1の補修充填
部材2による補修部の表面をNi−Pめっき膜8で被覆
しているので、高圧力で成形する際の補修充填部材2と
金型1の弾性変形量の差を抑制でき、補修充填部材が成
形品に転写されない。更に、補修部表面を硬質化でき、
耐摩耗性が向上し、金型寿命が延びる。なお、補修充填
部材による補修部の表面を覆う金属膜にNi−P合金を
示したが、金属膜であれば良く、Ni−B合金でも良
く、クロム合金等なんでも良い。補修部の表面を覆う金
属膜8は、補修充填部材による補修部の表面だけでも良
く、金型全面に形成するようにしても良い。また、本実
施例では補修充填部材の材質としてアルミ合金の508
3材を示したが、特に限定されないのは言うまでもな
く、他のアルミ合金でも良く、純アルミでも良く、アル
ミ合金以外の、例えばニッケル等でもよい。さらに、ア
ルミ金型はアルミ合金の7075材に限定されることな
く、他の熱処理型アルミ合金でも良く、非熱処理型アル
ミ合金でも良い。上記実施例の全てに適用して効果があ
る。
【0050】なお、上記全ての実施例において、金型1
の補修充填部材を挿入する補修用穴1aが止まり穴の場
合を示したが、貫通孔でもよいことは言うまでもない。
また、補修充填部材の形状も円柱に限定されず、角柱で
もよく、傾斜がついていても何でも良い。
【0051】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。
【0052】請求項1の発明によれば、アルミ金型に補
修部を含む補修用穴を明け、この穴に金型を構成するア
ルミ合金より軟らかい金属からなる補修充填部材を押圧
挿入することにより、穴に挿入する際に補修充填部材が
容易に塑性変形し、金型との間に隙間を生ずることなく
穴を埋め、アルミ金型の補修充填部材の境界線を消去で
きる。樹脂製品を形作る金型のキャビティー部に補修充
填部材による補修を行なっても、補修充填部材の境界線
を消去できるため、製品に補修充填部材線が転写される
ことなく、金型の補修が行える。これにより、金型の製
作時間の短縮による低コスト化が可能なアルミ金型の適
用が拡大する。
【0053】また、アルミ金型の補修用穴に、溶体化処
理あるいは過時効によって軟化した熱処理型アルミ合金
からなる補修充填部材を押圧挿入して穴を埋めた後、時
効硬化処理、あるいは溶体化処理後時効硬化処理を行い
上記補修充填部材を硬化するようにしたので、補修充填
部材が容易に塑性変形し、隙間なく穴を埋めることがで
き、補修充填部材は最終的に硬くなり耐摩耗性が向上し
寿命が延びる。さらに金型と補修充填部材を均質な材料
で形成できるので、補修部の成形品への転写をより良好
に防止できる。
【0054】請求項3の発明によれば、熱処理型アルミ
合金からなるアルミ金型を溶体化処理あるいは過時効に
よって軟化させた状態で 穴に補修充填部材を押圧挿入
するようにしているので、補修充填部材周辺の金型が容
易に塑性変形し、補修充填部材と金型との間に隙間を生
ずることなく穴を埋めることができる。補修部が成形品
に転写されることなく補修を行える。金型は後に時効硬
化処理、あるいは溶体化処理後時効硬化処理を行なうの
で最終的に硬くなる。
【0055】請求項4の発明によれば、補修用穴を明け
た金型を加熱した状態、即ち膨張している状態で上記穴
に補修充填部材を挿入するようにしたので、常温に戻す
と、金型が収縮し、その際、金型の補修充填部材周辺部
や補修充填部材が塑性変形し、補修充填部材と金型との
隙間を埋めることができる。補修部が成形品へ転写され
ることなく金型の補修を行える。
【0056】請求項5の発明においては、金型と挿入さ
れた補修充填部材との境界部にめっき膜を形成してお
り、めっき膜が金型と補修充填部材との隙間を埋め、成
形品に補修充填部材線が転写されないアルミ金型が得ら
れる。
【0057】アルミ金型に明けた補修用穴に嵌合する補
修充填部材を挿入した後、補修充填部材の少なくとも嵌
合面の一部にめっきを施すことにより、上記金型と補修
充填部材との隙間をめっきで埋めるようにしたものであ
る。比較的低温かつ変形レスで、補修部が成形品へ転写
されることなく補修が行える。
【0058】また、純アルミあるいはアルミ合金からな
る補修充填部材の嵌合面にジンケート処理を施すことに
より、純アルミあるいはアルミ合金からなる補修充填部
材と金型との隙間へめっきでき、隙間が埋まる。
【0059】さらに、ジンケート処理を施して形成した
亜鉛膜を覆うめっきを施したので、補修充填部材の取り
扱いが容易になる。
【0060】請求項9の発明によれば、アルミ金型に明
けた補修用穴に、少なくとも嵌合面の一部がニッケル基
合金あるいは銅基合金で形成された補修充填部材を挿入
した後、少なくとも上記穴と補修充填部材との境界部を
加熱することにより、補修充填部材と金型の拡散により
一体化して、補修充填部材と金型の隙間を埋めることが
でき、補修部が成形品へ転写されることなく補修でき
る。
【0061】請求項10の発明によれば、金型と挿入さ
れた補修充填部材との境界部に低融点金属が充填されて
おり、低融点金属が金型と補修充填部材との隙間を埋
め、成形品に補修充填部材線が転写されないアルミ金型
が得られる。
【0062】アルミ金型にあけた補修用穴に予め低融点
金属を配置し、上記アルミ金型を加熱して上記低融点金
属が溶融した状態で上記穴に上記補修充填部材を挿入す
ることにより、補修充填部材と金型の隙間に低融点金属
を充填し、隙間を埋めるようにしたので、補修部が成形
品へ転写されることなく補修できる。
【0063】さらに、請求項12の発明によれば、アル
ミ金型表面の少なくとも補修充填部材挿入部分を金属膜
で被覆することにより、補修充填部材の材料がアルミ金
型の材料と異なっていても、高圧力で成形の際の補修充
填部材と金型の弾性変形量の差を抑制でき、補修充填部
材境界線が成形品に転写されるのを防止できる。また、
金型表面に形成する金属膜が硬質の場合、耐摩耗性も向
上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のアルミ金型の補修方法を工
程順に示す図である。
【図2】本発明の実施例2の補修後のアルミ金型の補修
部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例3の補修後のアルミ金型の補修
部を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例4の補修後のアルミ金型の補修
部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例5のアルミ金型の補修方法を工
程順に示す断面図である。
【図6】本発明の実施例6のアルミ金型の補修方法を工
程順に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例6のアルミ金型の補修方法を工
程順に示す断面図である。
【図8】本発明の実施例7のアルミ金型の補修方法を工
程順に示す断面図である。
【図9】本発明の実施例8の補修後のアルミ金型の補修
部を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例10のアルミ金型の補修方法
を工程順に示す断面図である。
【図11】本発明の実施例11の補修後のアルミ金型の
補修部を示す断面図である。
【図12】従来の溶接補修部の模式断面図である。
【図13】従来の補修充填部材補修部の断面図である。
【図14】従来の補修充填部材補修部の断面図である。
【符号の説明】
1 アルミ金型 1a 補修用穴 1b アルミ金型(熱処理型アルミ合金製) 2 補修充填部材 2a 補修充填部材(軟化させた熱処理型アルミ合金
製) 2b 補修充填部材(熱処理型アルミ合金製) 2c 補修充填部材(アルミ金型より軟らかいアルミ合
金製) 3 亜鉛膜 4 めっき膜 5 銅膜 6 拡散層 7 低融点金属 8 硬質金属膜

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ合金からなるアルミ金型に補修部
    を含む補修用穴を明け、この穴に上記アルミ合金より軟
    らかい金属からなる補修充填部材を押圧挿入して穴を埋
    め、面一に形成するようにしたアルミ金型の補修方法。
  2. 【請求項2】 アルミ金型の補修用穴に、溶体化処理あ
    るいは過時効によって軟化した熱処理型アルミ合金から
    なる補修充填部材を押圧挿入して穴を埋めた後、時効硬
    化処理、あるいは溶体化処理後時効硬化処理を行い上記
    補修充填部材を硬化するようにした請求項1記載のアル
    ミ金型の補修方法。
  3. 【請求項3】 熱処理型アルミ合金からなるアルミ金型
    に補修部を含む補修用穴を明け、上記金型を溶体化処理
    あるいは過時効によって軟化させた状態で上記穴に補修
    充填部材を押圧挿入し穴を埋めた後、時効硬化処理、あ
    るいは溶体化処理後時効硬化処理を行い上記金型を硬化
    するようにしたアルミ金型の補修方法。
  4. 【請求項4】 アルミ合金からなるアルミ金型に補修部
    を含む補修用穴を明け、上記金型を加熱した状態で上記
    穴に補修充填部材を挿入して穴を埋めるようにしたアル
    ミ金型の補修方法。
  5. 【請求項5】 アルミ合金からなる金型で、一部に補修
    充填部材が挿入され、上記金型と補修充填部材との境界
    部にめっき膜が形成されていることを特徴とするアルミ
    金型。
  6. 【請求項6】 アルミ合金からなるアルミ金型に補修部
    を含む補修用穴を明け、この穴に嵌合する補修充填部材
    を上記穴に挿入した後、上記補修充填部材の少なくとも
    嵌合面の一部にめっきを施し、上記金型と補修充填部材
    との隙間を埋めるようにしたアルミ金型の補修方法。
  7. 【請求項7】 補修充填部材は純アルミあるいはアルミ
    合金からなり、補修用穴との嵌合面の少なくとも一部に
    ジンケート処理を施したものである請求項6記載のアル
    ミ金型の補修方法。
  8. 【請求項8】 嵌合面の少なくとも一部にジンケート処
    理を施した後、形成された亜鉛膜を覆うめっきを施した
    ものである請求項7記載のアルミ金型の補修方法。
  9. 【請求項9】 アルミ合金からなるアルミ金型に補修部
    を含む補修用穴を明け、この穴に嵌合し、少なくとも嵌
    合面の一部がニッケル基合金あるいは銅基合金で形成さ
    れた補修充填部材を上記穴に挿入した後、少なくとも上
    記穴と補修充填部材との境界部を加熱するようにしたア
    ルミ金型の補修方法。
  10. 【請求項10】 アルミ合金からなる金型で、一部に補
    修充填部材が挿入され、上記金型と補修充填部材との境
    界部に低融点金属が充填されていることを特徴とするア
    ルミ金型。
  11. 【請求項11】 アルミ合金からなるアルミ金型に補修
    部を含む補修用穴を明け、この穴に予め低融点金属を配
    置しておき、上記アルミ金型を加熱して上記低融点金属
    を溶融させて、上記低融点金属が溶融した状態で上記穴
    に上記補修充填部材を挿入するようにしたアルミ金型の
    補修方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    のアルミ金型表面の少なくとも補修充填部材が挿入され
    た補修部を金属膜で被覆したアルミ金型及びその補修方
    法。
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