JP5441508B2 - 内外装用アルミニウム材料、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、耐食性をより向上させる用途には、表面に合成樹脂塗膜を施したアルミニウム塗装材が用いられている。
内外装材の基材がアルミニウム材料の場合には、光触媒分解機能を有する物質を塗膜中に含有させて基材表面に塗布する方法が取られる。
以上の状況から、有機物分解能力が高いがベース樹脂は分解されず、短時間で親水性を示す塗膜を施した内外装用アルミニウム材料が求められている。
上記光触媒層は、シリコーン樹脂よりなるベース樹脂に光触媒粒子を分散させてなり、
上記シリコーン樹脂は、上記光触媒粒子を含むことなく上記シリコーン樹脂のみからなる塗膜を形成した際の水との接触角が85°以下であり、
上記光触媒粒子の含有量は、10PHR〜80PHRであり、
上記シリコーン樹脂は、少なくとも、一般式SiZ 4 (Zは、加水分解性基、又はシロキサン結合により他のケイ素原子と結合している残基のいずれかを表す)で表される4官能性ケイ素構造単位としてのQ単位を全シロキサン単位に対して10モル%以上含有するアルコキシオリゴマーと、速乾性シリコーンレジンとを含有してなるシリコーン樹脂用塗料を用いて形成されていることを特徴とする内外装用アルミニウム材料にある(請求項1)。
すなわち、上記シリコーン樹脂は、上記光触媒粒子を含むことなく上記シリコーン樹脂のみからなる塗膜を形成した際の水との接触角が85°以下である。このような特定の親水性特性を有する上記シリコーン樹脂よりなるベース樹脂に光触媒粒子を分散させて形成された光触媒層は、詳しいメカニズムは必ずしも明らかではないが、後述する実施例により知られるように、ベース樹脂が光触媒粒子の光励起による超親水化を阻害せず、短時間で親水化することができる。
このように、本発明によれば、短時間で親水性を示し、親水持続性を有する内外装用アルミニウム材料を得ることができる。そして、この内外装用アルミニウム材料を用いれば、汚れの付着を抑制して長期間外観特性を維持することができると共に、内装に用いれば、シックハウス対策等にも有効である。
このように、本発明によれば、短時間で親水性を示し、親水持続性を有する内外装用アルミニウム材料を製造することができる。
上記基材としては、種々のアルミニウム材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)を用いることができる。その材質は、具体的な用途に応じて変更できる。
また、基材は、いわゆる板材であってもよいし、押出型材であってもよい。内外装材は平面上の部分を露出することが多いので、基材に用いる押出型材としては、板状部分を有するものが好適である。また、基材が板材の場合には、加工が容易であるので、広い用途に適用可能である。
上記シリコーン樹脂は、上記光触媒粒子を含むことなく上記シリコーン樹脂のみからなる塗膜を形成した際の水との接触角が85°以下であれば、いずれのシリコーン樹脂も用いることができる。
シリコーン樹脂の水との接触角が85°を超える場合には、紫外線の照射により光触媒層が親水性を示すのに長時間を要し、実用性に欠ける。より好ましくは、上記シリコーン樹脂は、水との接触角が70°以下である。
また、このシリコーン樹脂用塗料を用いた製造方法としては、上述した第2の発明がある。
なお、上記Zは、加水分解性基、又はシロキサン結合により他のケイ素原子と結合している残基のうち1種でもよいが、2種以上の組み合わせであってもよい。
そして、Zで表される加水分解性基は、従来から公知のものを使用することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基等が挙げられる。
そして、化学安定性、コスト、安全性の観点から、上記光触媒粒子は、酸化チタンを用いることが好ましい。
また、上記酸化チタンは、アパタイト等で表面処理を施したものを使用してもよい。
添加する光触媒粒子は、分散剤によって、水に分散されたものを用いることが好ましい。分散剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、無機系分散剤等が挙げられる。
上記光触媒粒子の含有量が10PHR未満の場合には、光触媒粒子が表面に十分に露出しないため、光を当てても完全親水化しないおそれがある。一方、光触媒粒子の含有量が樹脂固形分濃度80PHRを超える場合には、塗膜の密着性が得られないおそれがある。
上記光触媒粒子の含有量は、好ましくは、20〜50PHRである。
上記アルコキシオリゴマーの含有量が樹脂固形分濃度で10%未満の場合には、親水性が不十分となり、塗膜の接触角が85°以下にならないおそれがある。一方、上記アルコキシオリゴマーの含有量が樹脂固形分濃度で90%を超える場合には、塗膜が乾燥しないおそれがある。
この場合には、塗装時の引火・爆発の危険がなくなる、臭気が低減される、また、VOC(揮発性有機化合物)ガスの発生も抑えられることから、環境面でも良いという効果を得ることができる。
この場合には、上述したように、酸化チタンの表面積が大きくなるため、酸化チタンの表面で起こる親水化や有機分解等の光触媒活性が高くなる。
この場合には、光触媒層の表面に光触媒粒子が十分に露出し、有機分解性を良好に発揮することができる。
上記塗膜表面粗さRaは、より好ましくは、0.15μm〜0.5μmである。
なお、ここでいう表面粗さRaは、JIS B0601−2001に準拠するものである。
この場合には、上記基材と、上記光触媒層との密着性を向上することができる。
本例は、本発明の内外装用アルミニウム材料にかかる実施例及び比較例として内外装用アルミニウム材料(試料E1〜試料E14、試料C1〜試料C4)を作製した。
本例の内外装用アルミニウム材料1は、図1に示すように、基材2と、該基材2の表面に形成した光触媒層3とからなる。上記光触媒層3は、シリコーン樹脂よりなるベース樹脂31に光触媒粒子32を分散させてなる。
以下、これを詳説する。
また、100〜300℃で30秒以内乾燥する速乾性シリコーンレジンとして、信越化学製X−52−8148を水溶性エマルション化させたものを用意した。
そして、JIS A1050−H26、厚さ0.5mmのアルミニウム板上に、バーコーターを用いて上記シリコーン樹脂用塗料を塗布し、200℃で乾燥させて、膜厚2μmの塗膜を作製し、下記の特性を評価した。結果を表1に示す。
シリコーン樹脂よりなる塗膜の密着性は、カッターナイフで素地まで届く4cmの切込みを入れ、そこにセロハンテープを密着させて引き剥がし、塗膜剥離の有無を確認することによって評価した。剥離が確認されない場合を合格(評価○)とし、剥離が確認された場合を不合格(評価×)とした。
シリコーン樹脂よりなる塗膜の親水性は、各試験片に純粋を2μL滴下し、それによって生じた水滴の接触角をゴニオメーターで測定することにより評価した。
接触角が85°以下の場合を合格とし、接触角が85°を超える場合を不合格とした。
上記樹脂8は、信越化学製X−52−8212を水溶性エマルション化させたもの一種からなり、シリコーン樹脂用塗料が乾燥せず、塗膜を形成することができなかった。
また、上記樹脂9は、信越化学製X−52−8148を水溶性エマルション化させたもの1種からなり、接触角が90°であり親水性が不合格であった。
その後、上記化成皮膜4の上に、バーコーターを用いて光触媒層用塗料を塗布し、200℃で乾燥させることにより、基材2の表面に表2に示す膜厚を有する光触媒層3を形成し、内外装用アルミニウム材料1(試料E1〜試料E14、及び試料C1〜試料C4)を作製した。
<表面粗さ>
表面粗さは、島津製作所製共焦点レーザー顕微鏡OLS3000を用いて測定した。
親水性評価は、内外装用アルミニウム材料の光触媒層表面に紫外線(1500μW/cm2)を連続照射し、紫外線照射後0h、24h、48h、72h、144h、240h、500h、1000hでの、塗膜と水との接触角を測定し、親水化までの時間をみることにより行った。
紫外線照射後1000hで接触角が40°以下となった場合を評価△とし、500hで接触角が40°以下となった場合を評価○とし、240hで接触角が40°以下となった場合を評価◎とした。1000hで接触角が40°超えの場合を評価×とした。評価が△、○、及び◎の場合を合格とし、評価が×の場合を不合格とする。
有機物分解性の評価は、図2に示すように、内外装用アルミニウム材料1にメチレンブルー水溶液5を接触させて紫外線6を照射することにより行った。具体的には、まず、内外装用アルミニウム材料1の光触媒層3の表面に、2cm×2cmの貫通穴を有する両面テープ7を積層した。次いで、上記内外装用アルミニウム材料1と上記両面テープ7の貫通穴とにより形成された凹部71にメチレンブルー水溶液5を入れて光触媒層3とメチレンブルー水溶液5とを接触させた。その上に厚さ1mmのPET樹脂板8を積層して、密封状態とした。この状態で、上記PET樹脂板8を介して上記メチレンブルー水溶液5に1500μW/cm2の紫外線6を1時間照射し、メチレンブルー水溶液5の色の変化を観察することにより行った。
(評価基準)
◎:青色が完全に消えた場合、
○:青色がほとんど消えた場合、
△:青色が少しでも薄くなった場合、
×:青色に全く変化が見られない場合。
これより、本発明によれば、短時間で親水性を示し、親水持続性を有する内外装用アルミニウム材料を得られることが分かる。
また、比較例としての試料C2〜試料C4は、ベース樹脂の親水性が低いため、紫外線照射後1000h経過後も親水化を確認することができず、不合格であった。
2 基材
3 光触媒層
31 ベース樹脂
32 光触媒粒子
Claims (14)
- 基材と、該基材の表面に形成した光触媒層とからなる内外装用アルミニウム材料であって、
上記光触媒層は、シリコーン樹脂よりなるベース樹脂に光触媒粒子を分散させてなり、
上記シリコーン樹脂は、上記光触媒粒子を含むことなく上記シリコーン樹脂のみからなる塗膜を形成した際の水との接触角が85°以下であり、
上記光触媒粒子の含有量は、10PHR〜80PHRであり、
上記シリコーン樹脂は、少なくとも、一般式SiZ 4 (Zは、加水分解性基、又はシロキサン結合により他のケイ素原子と結合している残基のいずれかを表す)で表される4官能性ケイ素構造単位としてのQ単位を全シロキサン単位に対して10モル%以上含有するアルコキシオリゴマーと、速乾性シリコーンレジンとを含有してなるシリコーン樹脂用塗料を用いて形成されていることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。 - 請求項1において、上記シリコーン樹脂用塗料は、上記アルコキシオリゴマーを樹脂固形分濃度で10〜90%含有することを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 請求項1又は2において、上記シリコーン樹脂用塗料は、水溶性エマルションタイプであることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記光触媒粒子は、平均粒径が100nm以下であるアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記光触媒層は、表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記基材と上記光触媒層との間に、下地処理層が形成されていることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 請求項1〜6のいずれか1項において、上記基材は、板材または板状部を有する押出型材であり、上記板材または板状部の厚みは0.2mm以上であることを特徴とする内外装用アルミニウム材料。
- 少なくとも、一般式SiZ 4 (Zは、加水分解性基、又はシロキサン結合により他のケイ素原子と結合している残基のいずれかを表す)で表される4官能性ケイ素構造単位としてのQ単位を全シロキサン単位に対して10モル%以上含有するアルコキシオリゴマーと、速乾性シリコーンレジンとを含有してなるシリコーン樹脂用塗料に光触媒粒子を含有させた光触媒層用塗料を準備し、該光触媒用塗料を基材の表面を覆うように塗布し、乾燥させることにより、上記光触媒粒子を10PHR〜80PHR含有する光触媒層を形成することを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8において、上記シリコーン樹脂用塗料は、上記アルコキシオリゴマーを樹脂固形分濃度で10〜90%含有することを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8又は請求項9において、上記シリコーン樹脂用塗料は、水溶性エマルションタイプであることを含有することを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8〜10のいずれか1項において、上記光触媒粒子は、平均粒径が100nm以下であるアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8〜11のいずれか1項において、上記光触媒層は、表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8〜12のいずれか一項において、上記基材と上記光触媒層との間に、下地処理層を形成することを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
- 請求項8〜13のいずれか1項において、上記基材は、板材または板状部を有する押出型材であり、上記板材または板状部の厚みは0.2mm以上であることを特徴とする内外装用アルミニウム材料の製造方法。
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