JP5427243B2 - 後輪操舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、四輪自動車の後輪の舵角を変更制御できる後輪操舵制御装置に関する。
従来、車両の旋回性などを向上させる目的で、後輪の舵角を制御する4輪操舵装置が種々提案されている。例えば、低速走行時には、前輪の転舵角と後輪の舵角を逆位相にして最小回転半径を小さくすることができ、高速走行時には、前輪の転舵角と後輪の舵角を同位相にして車線変更などの際の操縦性を高めることができる。また、左右の後輪のトー角を独立に制御する技術として、油圧機構によるアクチュエータを用いたもの、油圧機構に代えて送りねじ機構によるアクチュエータを用いたものも提案されている(例えば、特許文献1の図1〜図6参照)。
また、特許文献2には、SBW(Steer By Wire)式の操舵装置において、転舵輪(前輪)の方向を変更制御するためにステアリングロッドを軸方向に駆動するステアリングモータが設けられ、運転者が操作する操向ハンドルからの操舵角の情報にもとづいて制御装置がステアリングモータを制御する技術が開示されている。そして、その操舵装置によれば、運転者の操舵に応じた前輪の転舵角目標値に対して転舵輪の実転舵角が追従遅れを有する状態で、運転者が操舵方向を反転させた場合であっても、この時点で測定される前輪の実転舵角を転舵角目標値に反映させることで、運転者の操舵方向と、前輪の実転舵角に従う車両の旋回方向との対応関係が逆転してしまうことを防止する技術が開示されている。
特開2008−201173号公報 特開2006−69259号公報(図4)
しかしながら、特許文献2の技術は、SBW式の操舵装置に関する技術であり、そのまま後輪舵角制御装置に適用することができない。
従来、後輪操舵制御装置においてサスペンションジオメトリによってはアクチュエータに大きな推力が求められる場合がある。アクチュエータの出力増大のためのモータ大型化は、車両へ搭載配置上難しいため、減速機の減速比を大きくすることで、推力を確保しているという、後輪操舵制御装置特有の前輪転舵装置とは異なる点があるためである。そして、減速機の減速比を大きくすることによってアクチュエータの応答性、つまり、後輪の舵角変更速度、または後輪のトー角変更速度が低下してしまうため、後輪の舵角指示値の変化速度の絶対値が大きい場合または後輪のトー角指示値の変化速度の絶対値が大きい場合は、後輪の実舵角や実トー角の追従遅れを生じる問題がある。
特に、後輪操舵制御装置において後輪の舵角指示値またはトー角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合、後輪の舵角指示値の向きと後輪の実舵角の動き、または後輪のトー角指示値の向きと後輪の実トー角の動きが逆転することがあり、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせるという問題があった。
そこで、本発明は、前記問題を解決する後輪操舵制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため請求の範囲第1項に係る発明は、車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、制御手段は、アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する舵角指示値算出手段と、舵角指示値算出手段から入力され後輪の舵角指示値の値に対して、アクチュエータ制御手段に入力する後輪の舵角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
目標値設定更新手段は、後輪の舵角指示値と前回設定した後輪の舵角目標値との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前回設定した後輪の舵角目標値に加算して新たな後輪の舵角目標値として設定して前記目標値更新制御をし、
指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように目標値変化量を所定の最大値に設定して前回設定した後輪の舵角目標値に加算し、目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第1項に係る発明によれば、目標値設定更新手段は、後輪の舵角指示値と前回設定した後輪の舵角目標値との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前回設定した後輪の舵角目標値に加算して新たな後輪の舵角目標値として設定して目標値更新制御をする。そして、目標値設定更新手段は、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように目標値変化量を設定して前回設定した後輪の舵角目標値に加算して目標値更新制御をする。従って、後輪の舵角指示値に対してアクチュエータ制御手段に出力される後輪の舵角目標値に追従遅れがあっても、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったときは、それまでの追従遅れを無視して、それまでと反対方向に最大速度となるように後輪の舵角を変更制御する。その結果、後輪の舵角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、後輪の舵角指示値の変化に追従する後輪の舵角制御ができ、車両挙動の遅れによる運転者の違和感を防止できる。
請求の範囲第2項に係る発明は、請求の範囲第1項に記載の後輪操舵制御装置において、目標値設定更新手段は、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出することで、目標値更新制御を開始した後、後輪の舵角目標値が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、後輪の舵角目標値を中立位置にホールドするように後輪の舵角目標値を設定して前記目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第2項に係る発明によれば、前記指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、アクチュエータをそれまでと反対方向に最大速度となるように後輪の舵角の目標値を更新制御を開始した後、後輪の舵角目標値が対応する後輪の舵角指示値よりも早く中立位置に達したのを検出した時点で、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達するまで後輪の舵角目標値を中立位置にホールド制御する。その結果、後輪の舵角指示値が中立位置に戻る際に、後輪の舵角目標値がオーバーシュート、つまり、後輪の実舵角がオーバーシュートして、車両の直進への収斂遅れによる違和感を生じさせることを防止できる。
請求の範囲第3項に係る発明は、車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、制御手段は、アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する指示値算出手段と、指示値算出手段から入力された後輪の舵角指示値の入力を受けて、アクチュエータが追従可能なように、必要に応じて所定の最大値以下に制限された第1の目標値変化量を設定する目標値速度制限手段と、算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変化したことを検出した場合、第2の目標値変化量を、変化した新たな増減方向であって、所定の最大値に設定する切り返し時目標値変化量設定手段と、目標速度制限手段から入力された第1の目標値変化量と、切り返し時目標値変化量設定手段から入力された第2の目標値変化量のうちの一方を目標値変化量として出力する出力選択手段と、出力選択手段から入力された前記目標値変化量と、前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値としてアクチュエータ制御手段に出力する目標値更新手段と、を有し、
前記目標値速度制限手段は、入力された後輪の舵角指示値と、前回設定した後輪の舵角目標値との差分である追従誤差が、所定の最大値を超えている場合に第1の目標値変化量を所定の最大値に制限し、追従誤差が所定の最大値を超えていない場合は、追従誤差をそのまま第1の目標値変化量とし、
指示値増減判定手段が、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合は、出力選択手段は、第2の目標値変化量を目標値変化量として選択出力し、
目標値更新手段は、出力選択手段から入力された目標値変化量と、前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値としてアクチュエータ制御手段に出力することを特徴とする。
請求の範囲第3項に係る発明によれば、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合、出力選択手段が、入力された第1の目標値変化量から入力された第2の目標値変化量に切替えて目標値変化量として選択出力し、目標値更新手段が、出力選択手段から入力された目標値変化量と、前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値としてアクチュエータ制御手段に出力する。従って、目標値更新手段が目標速度制限手段から出力選択手段に入力された第1の目標値変化量に基づいてそれまでアクチュエータ制御手段に後輪の舵角目標値を出力し、後輪の舵角指示値に対して追従遅れがあっても、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったときは、出力選択手段が、切り返し時目標値変化量設定手段から入力された後輪の第2の舵角目標値に切り替え目標更新手段に出力する。その結果、後輪の舵角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、後輪の舵角指示値の変化に追従する後輪の舵角制御ができ、車両挙動の遅れによる運転者の違和感を防止できる。
請求の範囲第4項に係る発明は、請求の範囲第3項に記載の後輪操舵制御装置において、制御手段は、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変化したことを検出した場合に、出力選択手段が、第2の目標値変化量を目標値変化量として選択出力した後、後輪の舵角目標値が中立位置に達したことを検出する切り返し時中立検出手段と、舵角目標値変化量をゼロに置き換えるホールド手段と、をさらに有し、
目標値更新手段は、出力選択手段において、第2の目標値変化量を目標値変化量として選択出力した後、切り返し時中立検出手段において後輪の舵角目標値が中立位置に達したことを検出した時点において、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、ホールド手段に舵角目標値変化量をゼロに置き換えさせ、前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値として前記アクチュエータ制御手段に出力することを特徴とする。
請求の範囲第4項に係る発明によれば、目標値更新手段は、出力選択手段において、第2の目標値変化量を目標値変化量として選択出力した後、切り返し時中立検出手段において後輪の舵角目標値が中立位置に達したことを検出したとき、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達していない場合は、ホールド手段に舵角目標値変化量をゼロに置き換えさせる。その結果、後輪の舵角指示値が中立位置に戻る際に、後輪の舵角目標値がオーバーシュート、つまり、後輪の実舵角がオーバーシュートして、車両の直進への収斂遅れによる違和感を生じさせることを防止できる。
請求の範囲第5項に係る発明は、車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータと、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、後輪のトー角を左右独立に変更可能な後輪操舵制御装置において、制御手段は、それぞれのアクチュエータを独立に制御可能とするアクチュエータ制御手段と、少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて左右後輪のそれぞれのトー角指示値を算出するトー角指示値算出手段と、トー角指示値算出手段から入力され左右の後輪それぞれのトー角指示値の値に対して、アクチュエータ制御手段に入力する左右の後輪のそれぞれのトー角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、算出された左右の後輪のそれぞれのトー角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
目標値設定更新手段は、左の後輪のトー角指示値と前回設定した左の後輪のトー角目標値、および右の後輪のトー角指示値と前回設定した右の後輪のトー角目標値の2組に対し、左右独立にそれぞれに、
後輪のトー角指示値と前回設定した後輪のトー角目標値との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前回設定した後輪のトー角目標値に加算し、新たな左右後輪のトー角目標値として設定して目標値更新制御をし、
指示値増減判定手段において、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値変化量を所定の最大値に設定して、前回設定した当該の後輪のトー角目標値に加算して目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第5項に係る発明によれば、目標値設定更新手段は、入力された左右の後輪のトー角指示値に左右の後輪のトー角目標値を追従させるように設定して目標値更新制御をするとともに、指示値増減判定手段において、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値変化量を設定して、前回設定した当該の後輪のトー角目標値に加算して目標値更新制御をする。従って、当該の後輪のトー角指示値に対してアクチュエータ制御手段に出力される当該の後輪のトー角目標値に追従遅れがあっても、当該の後輪の舵角指示値の増減方向が変わったときは、それまでの追従遅れを無視して、それまでと反対方向に最大速度となるように後輪のトー角を変更制御する。その結果、後輪のトー角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、後輪のトー角指示値の変化に追従する後輪のトー角制御ができ、車両挙動の遅れによる運転者の違和感を防止できる。
請求の範囲第6項に係る発明は、請求の範囲第5項に記載の後輪操舵制御装置において、目標値設定更新手段は、指示値増減判定手段において、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出することで、目標値更新制御を開始した後、当該の後輪のトー角目標値が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールドするように当該の後輪のトー角目標値を設定して目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第6項に係る発明によれば、目標値設定更新手段が、指示値増減判定手段において、前記左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値を所定の最大値に設定して目標値更新制御を開始した後、当該の後輪のトー角目標値が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールドする。その結果、後輪のトー角指示値が中立位置に戻る際に、後輪のトー角目標値がオーバーシュート、つまり、後輪の実トー角がオーバーシュートして、車両の直進への収斂遅れによる違和感を生じさせることを防止できる。
請求の範囲第7項に係る発明は、車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、制御手段は、アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する舵角指示値算出手段と、後輪の実舵角に係わる情報を取得する後輪実舵角取得手段と、舵角指示値算出手段から入力され後輪の舵角指示値の値に対して、アクチュエータ制御手段に入力する後輪の舵角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
目標値設定更新手段は、後輪の舵角指示値と後輪実舵角取得手段が取得した後輪の実舵角との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、後輪の実舵角に加算して新たな後輪の舵角目標値として設定して前記目標値更新制御し、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように目標値変化量を所定の最大値に設定して後輪の実舵角に加算し、目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第7項に係る発明によれば、目標値設定更新手段は、後輪の舵角指示値と後輪の実舵角との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、後輪の実舵角に加算して新たな後輪の舵角目標値として設定して目標値更新制御をする。指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように目標値変化量を設定して後輪の実舵角に加算して目標値更新制御をする。従って、後輪の舵角指示値に対して後輪の実舵角に追従遅れがあっても、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったときは、それまでの追従遅れを無視して、それまでと反対方向に最大速度となるように後輪の実舵角を変更制御する。その結果、後輪の舵角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、後輪の舵角指示値の変化に追従する後輪の舵角制御ができ、車両挙動の遅れによる運転者の違和感を防止できる。
請求の範囲第8項に係る発明は、請求の範囲第7項に記載の後輪操舵制御装置において、目標値設定更新手段は、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出することで、目標値更新制御を開始した後、後輪の実舵角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、後輪の実舵角を中立位置にホールドするように後輪の舵角目標値を設定して目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第8項に係る発明によれば、指示値増減判定手段において、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように後輪の舵角目標値を所定の最大値に設定して目標値更新制御を開始した後、後輪の実舵角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、後輪の実舵角を中立位置にホールド制御する。その結果、後輪の舵角指示値が中立位置に戻る際に、後輪の舵角目標値がオーバーシュート、つまり、後輪の実舵角がオーバーシュートして、車両の直進への収斂遅れによる違和感を生じさせることを防止できる。
請求の範囲第9項に係る発明は、車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータと、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、後輪のトー角を左右独立に変更可能な後輪操舵制御装置において、制御手段は、それぞれのアクチュエータを独立に制御可能とするアクチュエータ制御手段と、少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて左右後輪のそれぞれのトー角指示値を算出するトー角指示値算出手段と、左右後輪の実トー角に係わる情報を取得する実トー角情報取得手段と、トー角指示値算出手段から入力され左右の後輪それぞれのトー角指示値の値に対して、アクチュエータ制御手段に入力する左右の後輪のそれぞれのトー角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、入力された左右の後輪のそれぞれのトー角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
目標値設定更新手段は、左の後輪のトー角指示値と実トー角情報取得手段が取得した左の後輪の実トー角、および右の後輪のトー角指示値と実トー角情報取得手段が取得した右の後輪の実トー角、の2組に対し、左右独立にそれぞれに、
後輪のトー角指示値と後輪の実トー角との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、後輪の実トー角に加算し、新たな左右の後輪のトー角目標値として設定して目標値更新制御をし、
指示値増減判定手段において、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値変化量を所定の最大値に設定して当該の後輪の実トー角に加算して目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第9項に係る発明によれば、目標値設定更新手段は、、左右独立にそれぞれに、後輪のトー角指示値と後輪の実トー角との差分を目標値変化量として算出するとともに、算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、後輪の実トー角に加算し、新たな左右の後輪のトー角目標値として設定して目標値更新制御をする。そして、指示値増減判定手段において、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値変化量を所定の最大値に設定して当該の後輪の実トー角に加算して目標値更新制御をする。従って、後輪の舵角指示値に対して後輪の実トー角に追従遅れがあっても、後輪の舵角指示値の増減方向が変わったときは、それまでの追従遅れを無視して、それまでと反対方向に最大速度となるように後輪の舵角を変更制御する。その結果、後輪の舵角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、後輪の舵角指示値の変化に追従する後輪の舵角制御ができ、車両挙動の遅れによる運転者の違和感を防止できる。
請求の範囲第10項に係る発明は、請求の範囲第9項に記載の後輪操舵制御装置において、目標値設定更新手段は、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出することで、目標値更新制御を開始した後、当該の後輪の実トー角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールドするように当該の後輪のトー角目標値を設定して目標値更新制御をすることを特徴とする。
請求の範囲第10項に係る発明によれば、目標値設定更新手段は、左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように当該の後輪のトー角目標値を所定の最大値に設定して目標値更新制御を開始した後、当該の後輪の実トー角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールド制御する。その結果、後輪の舵角指示値が中立位置に戻る際に、後輪の実トー角がオーバーシュートして、車両の直進への収斂遅れによる違和感を生じさせることを防止できる。
本発明によれば、後輪の舵角指示値の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせない後輪操舵制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る後輪操舵制御装置を含む操舵システムを備えた四輪自動車の全体概念図である。 操舵システムの操舵制御ECUとトー角変更装置の概略制御機能構成図である。 第1の実施形態におけるトー角変更制御ECUの機能ブロック構成図である。 第1の実施形態におけるトー角変更制御ECUのトー角目標速度制限部の詳細な機能ブロック構成図である。 従来技術におけるトー角切り返し時の制御の作用説明図である。 トー角切り返し制御の作用説明図である。 トー角切り返し制御後のホールド制御の作用説明図である。 第2の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるトー角変更制御ECUの機能ブロック構成図である。 第3の実施形態におけるトー角変更制御ECUのトー角目標速度制限部の詳細な機能ブロック構成図である。 従来技術におけるトー角切り返し時の制御の作用説明図である。 トー角切り返し制御の作用説明図である。 トー角切り返し制御後のホールド制御の作用説明図である。 第4の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。 第4の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。
《第1の実施形態》
図1から図4を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る後輪操舵制御装置を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る後輪操舵制御装置を含む操舵システムを備えた四輪自動車の全体概念図である。
図1に示すように、操舵システム100は、前輪1L,1Rを転舵させる操向ハンドル3による操舵を電動機4で補助する電動パワーステアリング装置110、操向ハンドル3の操作角と車速とに応じて後輪2L,2Rのトー角(後輪の舵角)をそれぞれ独立にアクチュエータ30L,30Rによって変更させるトー角変更装置120L,120R、電動パワーステアリング装置110およびトー角変更装置120L,120Rを制御する操舵制御装置130(以下、操舵制御ECUと称する)、操作角センサS、車速センサSなどを含んで構成されている。ここで、トー角変更装置120L,120Rと操舵制御ECU130に含まれる後記するトー角指示値演算部(舵角指示値算出手段)71が、請求の範囲に記載の「後輪操舵制御装置」に対応する。
(電動パワーステアリング装置)
電動パワーステアリング装置110は、図1に示すように操向ハンドル3が設けられたメインステアリングシャフト3aと、中間シャフト(図示せず)と、ピニオン軸7とが、2つのユニバーサルジョイント(図示せず)によって連結され、また、ピニオン軸7の下端部に設けられたピニオンギア7aは、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して左右の前輪1L,1Rが連結されている。この構成により、電動パワーステアリング装置110は、操向ハンドル3の操作時に車両の進行方向を変えることができる。ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9,9は転舵機構を構成する。
なお、ピニオン軸7はその上部、中間部、下部を3つの軸受(図示せず)を介してステアリングギアボックス(図示せず)に支持されている。
また、電動パワーステアリング装置110は、操向ハンドル3による操舵力を軽減するための補助操舵力を供給する電動機4を備えており、この電動機4の出力軸に設けられたウォームギア5aが、ピニオン軸7に設けられたウォームホイールギア5bに噛合している。
すなわち、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとで減速機構が構成されている。また、電動機4の回転子と電動機4に連結されてているウォームギア5aとウォームホイールギア5bとピニオン軸7とラック軸8とラック歯8aとタイロッド9,9などにより、ステアリング系が構成されている。
電動機4は、例えば、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータであり、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するものである。
また、電動パワーステアリング装置110は、電動機4を駆動する電動機駆動回路23と、電動機4の回転角を検出するレゾルバ25と、ピニオン軸7に加えられるピニオントルクを検出するトルクセンサSと、ピニオン軸7の回転角を検出する操作角センサSと、トルクセンサSの出力を増幅する差動増幅回路21と、車両の速度(車速)を検出する車速センサSとを備えている。
そして、操舵システム100の操舵制御ECU130は、電動パワーステアリング装置110の機能部である電動機4を駆動制御する後記する電動パワーステアリング制御部130a(図2参照)を有している。
電動機駆動回路23は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、電動パワーステアリング制御部130aからのDUTY(DU,DV,DW)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機4を駆動するものである。
また、電動機駆動回路23は図示しないホール素子を用いて3相の電動機電流を検出する機能を備えている。
車速センサSは、車両の車速VSを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速信号VSを出力する。
操舵制御ECU130の機能構成については、電動パワーステアリング装置110の制御とトー角変更装置120L,120Rの制御とをまとめて後記する。
(トー角変更装置)
次に、トー角変更装置の構成を簡単に説明する。
トー角変更装置120L,120Rは、車両の左右の後輪2L,2Rにそれぞれ取り付けられるものである。トー角変更装置120Lは、アクチュエータ30L,トー角変更制御装置(以下、トー角変更制御ECUと称する)37LAを備えている。同様に、トー角変更装置120Rは、アクチュエータ30R、トー角変更制御ECU37RAを備えている。ここで、トー角変更制御ECU37LA,37RAは、請求の範囲に記載の「アクチュエータ制御手段」に対応する。
アクチュエータ30L,30Rは、例えば、特開2008―201173号公報の図3、図4に記載されているような後輪2L,2Rへの取り付け方法および構成である。アクチュエータ30L,30Rは、それぞれ電動機31、減速機構(図示せず)、送りねじ部(図示せず)などを備えて構成されている。
電動機31は、正逆両方向に回転可能なブラシモータやブラシレスモータなどで構成されている。減速機構は、例えば、2段のプラネタリギア(図示せず)などが組み合わされて構成されている。
また、アクチュエータ30L,30Rには、送りねじ部の伸縮量(後輪の実舵角に係る情報、実トー角に係る情報)を検出するストロークセンサ38が設けられている。このストロークセンサ38は、例えば、マグネットが内蔵され、磁気を利用して位置を検出できるようになっている。このように、ストロークセンサ38を用いて位置を検出することにより、後輪2L,2Rのトーイン、トーアウトの舵角(トー角)を個別に高精度に検出できるようになっている。
そして、中立位置から左側を向いたトー角をマイナス(−)、中立位置から右側を向いたトー角をプラス(+)と定義しておく。
また、アクチュエータ30Lにはトー角変更制御ECU37LAが、アクチュエータ30Rにはトー角変更制御ECU37RAが、それぞれ一体に取り付けられている。トー角変更制御ECU37LA,37RAは、それぞれアクチュエータ30L,30Rのケース本体に固定され、ストロークセンサ38とコネクタなどを介して接続されている。トー角変更制御ECU37LA,37RAには、車両に搭載された図示しないバッテリなどの電源から電力が供給される。また、操舵制御ECU130、電動機駆動回路23にも前記とは別系統でバッテリなどの電源から電力が供給される(図示せず)。
(操舵制御ECU)
次に、図2を参照しながら操舵制御ECUの機能を説明する。
図2は操舵システムの操舵制御ECUとトー角変更装置の概略制御機能構成図である。
操舵制御ECU130は、図示しないCPU,ROM,RAMなどを備えるマイクロコンピュータおよび周辺回路などから構成されている。
図2に示すように操舵制御ECU130は、電動パワーステアリング装置110を制御する電動パワーステアリング制御部130aと、後輪2L,2Rのトー角の指示値(以下、「トー角指示値」と称する)を演算するトー角指示値演算部(舵角指示値算出手段)71を備えている。
ここで、トー角指示値は、請求の範囲に記載の「後輪の舵角指示値」に対応する。
(電動パワーステアリング制御部)
電動パワーステアリング制御部130aは、詳細な説明を省略するが、特開2002−59855号公報の図2に記載されているような電動機4を駆動制御するための目標電流信号を設定し、その信号をイナーシャ補正し、さらにダンピング補正し、補正された目標電流を、電動機駆動回路の出力電流をフィードバック制御して、電動機駆動回路23にDUTY(DU,DV,DW)信号を出力する。
(トー角指示値算出部)
次に、図2を参照しながら後輪トー角指示値算出部について説明する。
トー角指示値演算部71は、車速信号VSと、操向ハンドル3の操作角(転舵状態量)θとから左右の後輪2L,2Rのそれぞれのトー角指示値αTL1、αTR1を生成し、左右の後輪2L,2Rのそれぞれのトー角変更を制御するトー角変更制御ECU37LA,37RAにトー角指示値αTL1、αTR1を入力する。このトー角指示値αTL1、αTR1の生成は、予め左右の後輪2L,2Rごとに設定されたトー角テーブル71aを操作角θ、操作角θの角速度ω、車速VSとにもとづいて参照することによって行われる。ここで操向ハンドル3の操作角θは、請求の範囲に記載の「前輪の転舵状態量」に対応する。
なお、角速度ωはトー角指示値演算部71内で操作角θを微分して求める。
例えば、次式(1)、(2)のように設定される。
αTL1=K(VS,ω,θ)・θ ・・・・(1)
αTR1=K(VS,ω,θ)・θ ・・・・(2)
ここで、K(VS)、K(VS)は車速VS、操作角θおよび角速度ωに依存する前後輪操舵比であり、後輪のトー角指示値αTL1、αTR1が、車速が所定の低速の範囲では、操向ハンドル3の操作角θに応じて後輪2L,2Rが逆位相に、小回りがしやすいように各後輪のトー角指示値αTL1,αTR1が生成される。
前記所定の低速の範囲を超える高速の範囲では、角速度ωの絶対値が所定の値以下で、かつ、操作角θが左右の所定の範囲以内の場合は、操作角θに応じて同位相に各後輪のトー角指示値αTL1、αTR1が設定される。
しかし、前記所定の低速の範囲を超える高速の範囲で、角速度ωの絶対値が所定の値を超えるか、または、操作角θが左右の所定の範囲を超える大きな操作角θの場合は、操作角θに応じた逆位相に各後輪のトー角指示値αTL1、αTR1が設定される。
《トー角変更制御ECU》
次に、図3を参照しながらトー角変更制御ECUの詳細な構成を説明する。図3は、第1の実施形態におけるトー角変更制御ECUの機能ブロック構成図である。トー角変更制御ECU37LA,37RAは、同じ構成であるのでトー角変更制御ECU37RAを例に説明する。
図3に示すように、トー角変更制御ECU37RAはアクチュエータ30R、つまり電動機31を駆動制御する機能を有し、制御部81Aと電動機駆動回路88とで構成されている。また、トー角変更制御ECU37RAは、操舵制御ECU130と通信線を介して接続されている。
制御部81Aは、CPU,RAM,ROMなどを備えるマイクロコンピュータおよび周辺回路などから構成されており、実トー角変換部82、トー角目標速度制限部84A、目標電流算出部86、電動機制御信号生成部87を有している。
実トー角変換部82は、ストロークセンサ38からのストローク位置信号を読み込んで、ストローク位置を実トー角α1Rに変換し、目標電流算出部86に入力する。
トー角目標速度制限部84Aは、まず、基本機能として操舵制御ECU130のトー角指示値演算部71からのトー角指示値(後輪の舵角指示値)αTR1を一定周期、例えば、100msecで読み込んで、トー角指示値αTR1の変化に対して制限処理を行ったり、トー角指示値αTR1の切り返し変化に対して追従を加速するための切り返し制御処理を行ったり、切り返し制御処理によるトー角指示値αTR1より速いトー角目標値(後輪の舵角目標値)αTR2Aの中立位置に到達時のホールド制御を行ったりする。これらの制御は、前記した一定周期で行なわれる。このトー角目標速度制限部84Aの詳細な制御処理の方法については、図5から図7を参照して後記する。
目標電流算出部86は、トー角目標速度制限部84Aから入力されるトー角目標値αTR2Aと、実トー角変換部82からの後輪2Rの実トー角α1Rとにもとづいて、フィードバック制御の目標電流信号を算出して、電動機制御信号生成部87に出力する。
ここで、目標電流信号とは、アクチュエータ30Rを所望の速度で実トー角α1Rを所望のトー角目標値αTR2Aに追従制御するのに必要な電流信号である。
このようにトー角目標速度制限部84Aから目標電流算出部86に入力されたトー角目標値αTR2に対して実トー角α1Rをフィードバックして、目標電流信号を設定することにより、後輪2Rの転舵に要する電流値が車速VS、路面環境、車両の運動状態、タイヤの磨耗状態などによって変化するのをフィードバックして、トー角指示値αT1に追従制御することができる。
電動機制御信号生成部87は、目標電流算出部86から目標電流信号が入力され、電動機駆動回路88に電動機制御信号を出力する。この電動機制御信号は、電動機31に供給する電流値と電流を流す方向を含む信号である。電動機駆動回路88は、FET(Field Effect Transistor)のブリッジ回路などで構成され、電動機制御信号にもとづいて電動機31に電動機電流を供給する。
なお、トー角変更制御ECU37LAでは、前記したトー角変更制御ECU37RAにおけるトー角指示値αTR1をトー角指示値αTL1に、トー角目標値αTR2をトー角目標値αTL2に、実トー角α1Rを実トー角α1Lに、後輪2Rを後輪2Lに、アクチュエータ30Rをアクチュエータ30Lに読み替える。
ここで、トー角変更制御ECU37LA,37RAおよびトー角指示値演算部71は、請求の範囲に記載の「後輪操作制御装置における制御手段」を構成する。
《トー角目標速度制限部》
次に、図4を参照しながら、適宜、図3を参照してトー角目標速度制限部84Aの詳細な機能について説明する。図4は、第1の実施形態におけるトー角変更制御ECUのトー角目標速度制限部の詳細な機能ブロック構成図である。図4の説明では、トー角変更制御ECU37LA,37RAのそれぞれのトー角目標速度制限部84Aを代表的に説明するため、トー角指示値(後輪の舵角指示値)αT1、トー角目標値(後輪の舵角目標値)αT2A、一次遅れ補正後のトー角目標値αT2P、追従誤差ΔαT1A、トー角目標値変化量(舵角目標値変化量)ΔαT2と称するが、トー角変更制御ECU37LAに対しては、具体的にはトー角指示値(後輪の舵角指示値)αTL1、トー角目標値(後輪の舵角目標値)αT2LA、一次遅れ補正後のトー角目標値αT2PL、追従誤差ΔαTL1A、トー角目標値変化量(舵角目標値変化量)ΔαTL2を意味し、トー角変更制御ECU37RAに対しては、具体的にはトー角指示値(後輪の舵角指示値)αTR1、トー角目標値(後輪の舵角目標値)αT2RA、一次遅れ補正後のトー角目標値αT2PR、追従誤差ΔαTR1A、トー角目標値変化量(舵角目標値変化量)ΔαTR2を意味する。
トー角目標速度制限部84Aは、減算部51A、固定値出力部52、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54、最大値選択部55、切り返し制御部56A、ホールド制御部57A、加算部58A、一次遅れ補正部59Aを有している。
減算部51Aは、トー角指示値演算部71から入力されるトー角指示値αT1から、トー角目標速度制限部84Aにおける繰り返し演算処理のにおける前回出力したトー角目標値αT2Aを減算して、追従誤差ΔαT1Aを算出し、最小値選択部53および切り返し制御部56Aの後記する追従誤差符号判定部61に入力する。この前回出力したトー角目標値αT2Aは、具体的には、前回出力したトー角目標値αT2Aを一次遅れ補正部59Aで一次遅れ補正された前回のトー角目標値αT2Pとして減算部51Aに入力される。
固定値出力部52は、トー角指示値αT1の変化に対してトー角目標値変化量ΔαT2を+側(右側)に追従させる最大値を制限するための所定値、例えば、「+2」の信号を発生させて、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54および切り返し制御部56Aの後記する乗算部64に入力する。
最小値選択部53は、追従誤差ΔαT1Aと、トー角目標変化量の+側の最大値「+2」とのうちの小さい方の値を選択して、最大値選択部55に入力する。固定ゲイン演算部54は、固定値出力部52から入力された所定値、例えば、「+2」の信号に対して、「−1」のゲイン演算をして、つまり、「−2」の信号を得て最大値選択部55に入力する。これは、固定ゲイン演算部54が、トー角指示値αT1の変化に対してトー角目標値変化量ΔαT2をマイナス側(左側)に追従させる最大値を制限するための所定値、「−2」の信号を発生させていることを意味する。固定値出力部52から出力される所定値は、必要に応じて車速依存にすることもある。トー角目標値変化量ΔαT2の最大値を車速ごとに設定することで、例えば、高速にてトー角指示値αが発散した場合に、トー角目標値αT2Aの設定を車両の運転において安定な領域に規制できる。
最大値選択部55は、最小値選択部53から入力された前記した小さい方の値と、マイナス側の最大値「−2」のうちの大きい方の値を選択し、切り返し制御部56Aの後記する二値選択部66に選択される一方の値(端子66cへの入力値)として入力する。ここで、端子66cへの入力値が、請求の範囲に記載の「第1の目標値変化量」に対応する。
通常なら、トー角目標速度制限部84Aは、このように最小値選択部53と最大値選択部55で追従誤差ΔαT1Aを最大最小の制限処理(min−max処理ともいう)した結果に一次遅れ補正された前回のトー角目標値αT2Pを加算部58Aで加算して、トー角目標速度制限部84Aから目標電流算出部86への今回のトー角目標値αT2Aとして出力する。しかし、本実施形態では、トー角目標速度制限部84Aは、さらに、後記する切り返し制御部56Aにおいてトー角目標変化量ΔαT2として最大値ΔαTmaxを発生させて出力する切替制御(切り返し制御)や、切り返し制御後に、後記するホールド制御部57Aにおいてトー角指示値αT1より先行した前回のトー角目標値αT2Pの中立位置への到達に対して、トー角指示値αT1がトー角目標値αT2Pに追いつくのを待たせるホールド制御を行う。この切り返し制御部56Aおよびホールド制御部57Aの詳細な機能については後記する。
ここで、減算部51A、固定値出力部52、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54、最大値選択部55が、請求の範囲に記載の「目標値速度制限手段」に対応し、追従誤差符号判定部61、乗算部64,56が、請求の範囲に記載の「切り返し時目標値変化量設定手段」に対応し、二値選択部66が、請求の範囲に記載の「出力選択手段」に対応し、加算部58Aが、請求の範囲に記載の「目標値更新手段」に対応する。
また、減算部51A、固定値出力部52、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54、最大値選択部55、追従誤差符号判定部61、乗算部64,65、二値選択部66およびホールド制御部57A、加算部58Aが、請求の範囲に記載の「目標値設定更新手段」に対応する。
そして、加算部58Aは、ホールド制御部57Aからの出力に、一次遅れ補正部59Aからの一次遅れ補正された前回のトー角目標値αT2Pを加算して、目標電流算出部86にトー角目標値αT2Aを入力する。ここで、一次遅れ補正部59Aにおける補正定数は、トー角目標速度制限部84Aにおける繰り返し演算の周期に伴う時間遅れにもとづいて設定される。
(切り返し制御部)
次に、図4を参照しながら、適宜、図6を参照して切り返し制御部56Aの詳細な機能を説明する。
切り返し制御部56Aは、追従誤差符号判定部61、トー角指示値微分部(指示値増減方向判定手段)62、トー角指示値速度符号判定部(指示値増減方向判定手段)63、乗算部64,65、二値選択部66を含んで構成されている。
追従誤差符号判定部61は、減算部51Aから入力された追従誤差ΔαT1Aのプラス(+)、ゼロ、マイナス(−)の符号を判定し、それらの判定結果に対応して、+1,0,−1の値を乗算部65に入力する。
トー角指示値微分部62は、トー角指示値αT1を時間微分してトー角指示値速度α′T1を算出し、トー角指示値速度符号判定部63に入力する。
トー角指示値速度符号判定部63は、トー角指示値速度α′T1のプラス(+)、ゼロ、マイナス(−)の符号を判定し、それらの判定結果に対応して、+1,0,−1の値を乗算部64,65に入力する。
乗算部64は、固定値出力部52からの「+2」の信号と、トー角指示値速度符号判定部63からの判定結果に対応した+1,0,−1のいずれかの値とを乗算し、二値選択部66の選択される他方の値(端子66dへの入力値)として入力する。
ここで、端子66dへの入力値が、請求の範囲に記載の「第2の目標値変化量」に対応する。
乗算部65は、追従誤差符号判定部61からの判定結果に対応した+1,0,−1のいずれかの値と、トー角指示値速度符号判定部63からの判定結果に対応した+1,0,−1のいずれかの値とを乗算し、その結果の制御値CS1を二値選択部66の制御入力(端子66aへの入力値)として入力するとともに、制御値CS1をホールド制御部57Aの後記する符号一致判定部77に入力する。
図4において二値選択部66は、アナログ回路の表現形式で端子66c,66dに入力された二値の中から一方を、端子66aに入力される制御値CS1に応じて可動接点66bが選択接続する制御ロジック回路を示している。具体的には、制御値CS1が−1のときだけ可動接点66bは、端子66dと接続する、つまり、乗算部64からの入力値を選択する。制御値CS1が−1以外の0,+1のときは、可動接点66bは、端子66cと接続する、つまり、最大値選択部55からの入力値を選択する。
二値選択部66において選択された値は、ホールド制御部57Aの後記する二値選択部92に選択される一方の値(端子92cへの入力値)として入力される。
ここで、乗算部65から二値選択部66に入力される制御値CS1が−1のときとは、追従誤差符号判定部61から出力される追従誤差ΔαT1Aの符号と、トー角指示値速度符号判定部63から出力されるトー角指示値速度α′T1の符号とがが互いにプラス、マイナス逆の場合であり(図6の(b)参照)、そのとき切り返し制御がON状態となり、二値選択部66における可動接点66bは、端子66dと接続する。乗算部65から二値選択部66に入力される制御値CS1が−1以外のときは、切り返し制御がOFF状態となり、二値選択部66における可動接点66bは、端子66cと接続する。
そして、乗算部65から二値選択部66に入力される制御値CS1が−1のときに、乗算部64から二値選択部66における端子66dへの入力値(図6の(b)に表示の「切り返し制御出力値」)は、トー角指示値速度α′T1と同じ符号を有するトー角目標変化量ΔαT2としては最大値ΔαTmaxの+2または−2のいずれかの値である。
従って、乗算部65から二値選択部66に入力される制御値CS1が−1のときに、後記する二値選択部92の端子92cへの入力値は、+2または−2のいずれかの値として入力される。
(ホールド制御部)
次に、図4を参照しながら、適宜、図7を参照してホールド制御部57Aの詳細な機能を説明する。
ホールド制御部57Aは、トー角指示値符号判定部73、目標トー角符号判定部74A、乗算部75、固定値出力部76,78,91、符号一致判定部77、符号不一致判定部79、二値選択部92を含んで構成されている。
トー角指示値符号判定部73は、操舵制御ECU130のトー角指示値演算部71からのトー角指示値αT1(具体的にはトー角指示値αTL1,αTR1)の符号、プラス、ゼロ、マイナスを判定して、それに対応させて+1,0,−1のいずれかの値を乗算部75に入力する。
目標トー角符号判定部74Aは、一次遅れ補正部59Aからの一次遅れ補正された前回のトー角目標値αT2Pの符号、プラス、ゼロ、マイナスを判定して、それに対応させて+1,0,−1のいずれかの値を乗算部75に入力する。
乗算部75では、トー角指示値符号判定部73からの入力値と目標トー角符号判定部74Aからの入力値を乗算して、その結果を符号不一致判定部79に入力する。
固定値出力部76は、切り返し制御部56Aにおいて切り返し制御がONの状態を示す制御値CS1が、−1の値を出している状態を検出するための、比較基準の所定値、「−1」の信号を発生させて、符号一致判定部77に入力する。
符号一致判定部77は、乗算部65から入力される制御値CS1の値が固定値出力部76から入力される値−1と一致するか否かを判定し、一致したときだけ、一致したことを示す制御値CS2として、例えば、+1の値を発生し、一致しないときは一致しないことを示す制御値CS2として、例えば、−1の値を発生し、符号不一致判定部79に入力する。
固定値出力部78は、符号不一致判定部79において符号不一致を判定するための、所定の基準値「+1」の信号を発生させて、符号不一致判定部79に入力する。
符号不一致判定部79は、制御値CS2が+1のときだけ、固定値出力部78からの入力値+1と乗算部75から入力される値(+1,0,−1のいずれかの値)とが不一致か否かを判定し、不一致のときは、出力として制御値CS3をホールド制御ONを意味する+1として発生し、不一致でないときは制御値CS3をホールド制御OFFを意味する−1として発生し、二値選択部92の制御入力(端子92aへの入力値)として入力する。
固定値出力部91は、ホールド制御部57Aにおいてホールド制御するために、トー角目標変化量ΔαT2をゼロに設定するための0(ゼロ)の値の信号を発生させて、二値選択部92のが選択する他方の入力値(端子92dへの入力値)として入力する。
図4において二値選択部92は、アナログ回路の表現形式で端子92c,92dに入力された二値の中から一方を、端子92aに入力される制御値CS3に応じて可動接点92bが選択接続する制御ロジック回路を示している。具体的には、制御値CS3が+1のときだけ可動接点92bは、端子92dと接続する、つまり、固定値出力部91からの入力値0(ゼロ)を選択する。制御値CS3が−1のときは、可動接点92bは、端子92cと接続する、つまり、切り返し制御部56Aの二値選択部66からの出力値を選択する。
二値選択部92において選択された値は、加算部58Aに入力される。
ここで、符号不一致判定部79から二値選択部92に入力される制御値CS3が+1のときとは、切り返し制御部56Aにおける切り返し制御がON状態のときに、トー角指示値αT1の符号と一次遅れ補正された前回のトー角目標値αT2Pの符号が不一致、つまり、プラス、マイナス逆か、少なくとも一方がゼロの場合であり(図7の(b)参照)、そのときホールド制御がON状態となり、二値選択部92における可動接点92bは、端子92dと接続し、0(ゼロ)の値を加算部58Aに出力する。
ここで、トー角指示値符号判定部73、目標トー角符号判定部74A、乗算部75、固定値出力部76,78、符号一致判定部77、符号不一致判定部79は、請求の範囲に記載の「切り返し時中立検出手段」対応し、固定値出力部91、二値選択部92が、請求の範囲に記載の「ホールド手段」に対応する。
このような場合は、図7の(a)の曲線L1に示すトー角指示値αT1の時間推移の変化に対して、前回のトー角目標値αT2Pとの追従誤差ΔαT1Aの符号がプラスまたはマイナスのまま変化せず、例えば、時間t2においてトー角指示値速度α′T1の符号がプラスからマイナスに変化した場合に、本実施形態では切り返し制御がON状態になって、二値選択部66からの出力は最大値ΔαTmaxの−2の値となり、二値選択部92においても、可動接点92bは端子92dに接続を維持していて、−2の値をトー角目標変化量ΔαT2として出力し、そのまま時間t4Bに到る場合に発生する。その結果、時間t4Bにおいて目標指示値αT1よりもトー角目標値αT2Aの方が早く中立位置(値ゼロ)となってしまうことがありうる。そこで、目標指示値αT1よりもトー角目標値αT2Aの方が早く中立位置(値ゼロ)となってしまったときは、トー角目標変化量ΔαT2として二値選択部92から出力するトー角目標変化量ΔαT2をゼロとして、加算部58Aに出力するようにする。そうするとトー角目標値αT2Aは、その間位置を中立位置にホールド制御されて、トー角指示値αT1の値と矛盾する逆方向までのトー角目標値αT2Aのオーバーシュートを防止できる。つまり、実トー角αも、目標電流算出部86(図3参照)によりトー角目標値αT2Aに追従するようにその間位置を中立位置にホールド制御されて、トー角指示値αT1の値と矛盾する逆方向までの実トー角αのがオーバーシュートするのを防止できる。
図5は、従来技術におけるトー角切り返し時の制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値とトー角目標値の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号の変化を示すタイムチャートである。従来技術においては、時間t1からトー角指示値αT1が所定の速度以上で変化して追従誤差ΔαT1Aが大きくなると、トー角目標変化量(トー角目標速度)は、上限値(本実施形態の最大変化量の値“2”に対応)に設定され、トー角目標値αT2Cをトー角指示値αT1に追従させようとする。そして、時間t3でトー角指示値αT1にトー角目標値αT2Cが追い着いた後に、逆符号となった追従誤差ΔαT1Aに応じてトー角目標値αT2Cを追従させようとする。このような、制御では、A部の時間t2以降トー角指示値αT1が時間t2以前と逆方向に変化しているにも拘らず、トー角目標値αT2Cは時間t2以前のままの方向に変更制御され、運転者に違和感を与えてしまう。
これは、図5において時間t4〜t7の制御の場合のB部においても同様である。また、従来の制御では、C部の時間t7〜t8のようにトー角指示値αT1がゼロ(中立位置)に戻っていても、まだトー角目標値αT2Cがゼロに速やかに戻らず、追従遅れを示し、車両の旋回運動が続き、運転者に違和感を与える問題があった。
そこで、特許文献2におけるSBW式の操舵装置における前輪の転舵角制御の技術を後輪のトー角制御に適用すると、時間t2の時点で、トー角目標値をt2の時点の実トー角αに置き換え、同時に追従誤差ΔαT1Aを補正する制御となる。しかし、このようなトー角目標値αT2Cを置き換え、追従誤差ΔαT1Aを補正する制御としても、追従誤差ΔαT1Aの大きさおよびその符号に応じた制御としているので、トー角変更装置120L,120Rに用いられているアクチュエータ30L,30Rにおける減速機構の減速比が大きい場合、実トー角αの追従は遅く、トー角指示値αT1の切り返しに十分追従できない。
次に、図6を参照して本実施形態におけるトー角指示値αT1の切り返しの際の実トー角αの追従制御方法を説明する。図6は、トー角切り返し制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値とトー角目標値の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号変化、並びに切り返し制御のON,OFFの状態、切り返し制御がON状態のときの切り返し制御出力値の変化を示すタイムチャートである。
本実施形態によれば、図6の(a)に曲線L3Aに示すように時間t1からトー角指示値αT1が所定の速度以上で変化して追従誤差ΔαT1Aが大きくなると、最大値選択部55においてトー角目標変化量(トー角目標速度)は、アクチュエータ30が追従可能な上限値(本実施形態の最大変化量の値“2”に対応)に制限設定され、トー角目標値αT2Aをトー角指示値αT1に追従させようとする。
そして、時間t2でトー角指示値αT1が時間t2以前と逆方向に変化する(切り返される)と、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値(図6の(b)における切り返し制御出力値に対応)となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された−2の値の最大変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標変化量ΔαT2として加算部58Aに入力され、そこで一次遅れ補正されたトー角目標値αT2Pと加算され、トー角目標値αT2Aとして目標電流算出部86に入力される。このように、時間t2でトー角指示値αT1が切り返されると直ちに、トー角指示値変化速度α′T1と同じ符号の最大変化量ΔαTmaxに設定される。つまり、時間t2で最大速度でトー角目標値αT2Aを中立方向に変化させる制御を行う。その結果、単に、追従誤差ΔαT1に応じてmin−max処理された追従誤差ΔαT1Aをトー角目標値変化量ΔαT2とする従来技術よりもより早いタイミングで、実トー角αの切り返し制御ができる。従って、後輪のトー角の切り返しを伴うような車両の旋回運動において、運転者に違和感を与えることなく、後輪のトー角を制御できる。
そして、このままの制御では、切り返し制御が時間t6BまでON状態になるので、トー角指示値αT1の変化によっては、トー角目標値αT2Aの方がトー角指示値αT1の示す方向よりも早く左方向に変化してしまうおそれがある。これを、補正するのがホールド制御部57A(図4参照)の機能である。
ちなみに、ホールド制御部57Aの機能が無いときは、図6の曲線L3Aに示すように、追従誤差ΔαT1Aの符号がt6B経過後マイナスになり、トー角指示値速度α′T1の符号マイナスと一致して、初めて切り返し制御がOFFとなる。そして、時間t6Bから時間t5までは、通常の追従誤差ΔαT1Aの値をmin−max処理されたトー角目標変化量ΔαT2でトー角指示値αT1にトー角目標値αT2Aを追従制御する。その後、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると、時間t2以降と同様に、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された+2の値(図6の(b)における切り返し制御出力値に対応)の最大変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標変化量ΔαT2として加算部58Aに入力され、そこで一次遅れ補正されたトー角目標値αT2Pと加算され、トー角目標値αT2Aとして目標電流算出部86に入力される。このように、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると直ちに、トー角指示値変化速度α′T1と同じ符号の最大変化量ΔαTmaxに設定される。つまり、時間t5で最大速度でトー角目標値αT2Aを中立方向に変化させる制御を行う。
また、時間t7以降においてトー角指示値αT1がゼロに戻ると、そのとき乗算部65の出力する制御値CS1が0となり、切り返し制御部56Aにおける切り返し制御がOFFとなり、通常のmin−max処理されたトー角目標変化量ΔαT2でトー角目標値αT2Aをゼロに収斂させる。従って、切り返し制御部56Aの機能だけでは、切り返し制御がON状態になってから、トー角目標値αT2Aがトー角指示値αT1よりもオーバーシュートしてしまうという問題が残っている。
なお、図6の(a)には、参考のため図5の(a)に示した曲線L2Aも記載してある。
次に、図7を参照して本実施形態におけるトー角指示値αT1の切り返し制御後のホールド制御の方法を説明する。図7は、トー角切り返し制御後のホールド制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値とトー角目標値の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号変化、並びに、切り返し制御のON,OFFの状態、切り返し制御がON状態のときの切り返し制御出力値、トー角目標値符号、ホールド制御のON,OFFの状態、ホールド制御出力値の変化を示すタイムチャートである。
本実施形態のように、ホールド制御部57Aを設け、切り返し制御がON状態の場合(制御値CS1が−1の場合)に、トー角指示値αT1の符号と前回のトー角目標値αT2Aの符号(図4では一次遅れ補正されたトー角目標値αT2Pの符号)とが不一致のとき、例えば、時間t4Bにおいてトー角目標値αT2Aの符号がプラスからゼロに変わると、符号不一致判定部79は、ホールド制御ONの状態とする制御値CS3を二値選択部92に入力して、二値選択部92がトー角目標変化量ΔαT2としてそれまでΔαTmaxの値(−2)を出力していたのを止めて0(ゼロ)の値を出力するように切替させる(図7の(a)の曲線L4A参照)。そして、切り返し制御がON状態がまだ継続し、トー角目標値αT2Aはゼロ(中立位置に)に維持され、時間t4でトー角指示値αT1がゼロに追いついて、符号不一致判定部79において、符号判定結果が不一致では無くなったと判定したとき、ホールド制御をOFFとする。また、乗算部65の出力する制御値CS1も略同時に、−1以外の値(0または+1)となり、切り返し制御もOFF状態となる。
その後、図7の(a)の曲線L4Aに示すように通常の追従誤差ΔαT1Aの値をmin−max処理しされたトー角目標変化量ΔαT2でトー角指示値αT1にトー角目標値αT2Aを追従制御する。その後、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると、時間t2以降と同様に、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された+2の値(図7の(b)における切り返し制御出力値に対応)である最大変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標変化量ΔαT2として加算部58Aに入力され、そこで一次遅れ補正されたトー角目標値αT2Pと加算され、トー角目標値αT2Aとして目標電流算出部86に入力される。
さらに、時間t7Bでトー角目標値αT2Aの符号がマイナスからゼロに変わると、符号不一致判定部79は、ホールド制御ONの状態とする前記した時間t4Bと同様に制御値CS3を二値選択部92に入力して、二値選択部92がトー角目標変化量ΔαT2としてそれまでΔαTmaxの値(−2)を出力していたのを止めて0(ゼロ)の値を出力するように切替させる(図7の(a)の曲線L4A参照)。そして、切り返し制御がON状態がまだ継続し、トー角目標値αT2Aはゼロ(中立位置に)に維持され、時間t7でトー角指示値αT1がゼロに追いついて、符号不一致判定部79において、符号判定結果が不一致では無くなったと判定したとき、ホールド制御をOFFとする。また、乗算部65の出力する制御値CS1も略同時に、−1以外の値(0または+1)となり、切り返し制御もOFF状態となる。
この後、トー角指示値αT1が0に維持されると、通常の追従誤差ΔαT1Aの値をmin−max処理しされたトー角目標変化量ΔαT2でトー角指示値αT1にトー角目標値αT2Aを追従設定する制御となり、トー角目標値αT2Aが図6の時間t7に示すようなオーバーシュートをすることなく、ゼロ(中立位置)に収斂する。
このように、ホールド制御部57Aを設けて機能させることにより、トー角指示値αT1の切り返しがある場合に、応答性の速い実トー角αの制御ができるとともに、トー角指示値αT1よりも先行して中立方向に戻るトー角目標値αT2Aが中立位置を通り越すオーバーシュートすることをを防止できる。つまり、トー角目標値αT2Aに実トー角αが追従して、トー角指示値αT1の示す左右方向と反対方向にまで実トー角αがオーバーシュートするということを防止できる。
その結果、本実施形態によれば、トー角指示値αT1(具体的にはトー角指示値αT1L,αT1R)の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせない後輪操舵制御装置を提供することができる。
《第2の実施形態》
前記第1の実施形態では、トー角目標速度制限部84Aを図4に示すような機能ブロック構成で説明したが、それに限定されるものではない。図8、図9を参照しながら第2の実施形態に係る後輪操舵制御装置におけるトー角指示値αT1に対するトー角目標値αT2Aの更新制御(目標値更新制御)の方法について説明する。
図8、図9は第2の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。
第2の実施形態におけるトー角目標速度制限部84Aは、図3に示すようにトー角変更制御ECU37RA,37LAに含まれる制御部81Aのマイクロコンピュータがプログラムを実行して実現される機能である。このトー角目標値αT2Aの更新制御は一定の周期でトー角目標速度制限部84Aにおいて処理される。
本実施形態でも第1の実施形態と同様にトー角変更制御ECU37LA,37RAのそれぞれのトー角目標速度制限部84Aを代表的に説明するため、トー角指示値αT1、トー角目標値αT2A、前回出力のトー角目標値αT2P、追従誤差ΔαT1A、トー角目標値変化量ΔαT2と称するが、トー角変更制御ECU37LAに対しては、具体的にはトー角指示値αTL1、トー角目標値αT2LA、前回出力のトー角目標値αT2PL、追従誤差ΔαTL1A、トー角目標値変化量ΔαTL2を意味し、トー角変更制御ECU37RAに対しては、具体的にはトー角指示値αTR1、トー角目標値αT2RA、前回出力のトー角目標値αT2PR、追従誤差ΔαTR1A、トー角目標値変化量ΔαTR2を意味する。
ステップS01では、操舵制御ECU130のトー角指示値演算部71において一定の周期でトー角指示値αT1を計算してトー角変更制御ECU37RA,37LAのトー角目標速度制限部84Aに出力されたトー角指示値αT1を読み込む。ステップS02では、トー角目標速度制限部84Aにおいて前回出力したトー角目標値αT2Pを読み込む。この前回出力したトー角目標値αT2Pは、繰り返し処理における前回の処理で後記するステップS14において一時記憶されたものである。
ステップS03では、トー角指示値αT1とトー角目標値αT2Pとの差を追従誤差ΔαT1Aとして算出する(ΔαT1A=αT1−αT2P)。ステップS04では、トー角指示値αT1の増減方向σT1を判定する{σT1=sign(α′T1)}。ここで、α′T1は、トー角指示値の時間微分値であり、第1の実施形態におけるトー角指示値速度α′T1を示す。ちなみに、sign関数は、数値が負のとき−1、数値が正のとき+1、数値が0(ゼロ)のとき0(ゼロ)を出力する符号判定の関数である。
ステップS05では、追従誤差ΔαT1Aの符号σΔαを判定する{σΔα=sign(ΔαT1A)}。ステップS06では、ステップS04において判定した符号σT1とステップS05で判定した符号σΔαの積が負値か否かをチェックする(「σT1・σΔα<0?」)。符号σT1と符号σΔαの積が負の場合(Yes)は、結合子(A)に従って、図9のステップS10へ進み、符号σT1と符号σΔαの積が0(ゼロ)以上の場合(No)は、ステップS07へ進む。
ステップS07では、追従誤差ΔαT1Aの絶対値が、所定の正の値Δαmaxより大きいか否かをチェックする(「|ΔαT1A|>最大変化量Δαmax?」)。
追従誤差ΔαT1Aの絶対値が、所定の正の値Δαmaxより大きい場合(Yes)は、ステップS09へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS08へ進む。
ステップS08では、トー角目標値変化量ΔαT2をmax−mini処理をしない通常出力とする。具体的には、トー角目標値変化量ΔαT2をステップS03において算出された追従誤差ΔαT1Aとする(ΔαT2=ΔαT1A)。ステップS09では、トー角目標値変化量ΔαT2をmax−mini処理をしたレートリミット出力とする。具体的には、トー角目標値変化量ΔαT2を、前記した所定の正の値Δαmaxに、ΔαT1Aの符号を付した値とする{ΔαT2=(Δαmax)・sign(ΔαT1A)}。
ステップS08、ステップS09の後、結合子(B)に従って、図9のステップS13に進む。
ステップS06から結合子(A)に従ってステップS10へ進むと、トー角指示値αT1の符合とステップS02において読み込んだ前回出力したトー角目標値αT2Pの符号が不一致か否かをチェックする(「sign(αT1)≠sign(αT2P)?」)。
トー角指示値αT1の符合と前回出力したトー角目標値αT2Pの符号が不一致の場合(Yes)は、ステップS12へ進み、一致の場合(No)は、ステップS11へ進む。ステップS11では、トー角目標値変化量ΔαT2を最大速度で切り返し出力する。具体的には、トー角目標値変化量ΔαT2を、前記した所定の正の値Δαmaxに、トー角指示値速度α′T1の符号を付した値とする{ΔαT2=(Δαmax)・sign(α′T1)}。ステップS12では、トー角目標値変化量ΔαT2をホールド出力とする。具体的には、トー角目標値変化量ΔαT2をゼロとする(「トー角目標値変化量ΔαT2=0」)。
ステップS11、ステップS12の後、ステップS13へ進む。
ステップS13では、トー角目標値αT2Aを計算して目標電流算出部86へ出力する(「αT2A=αT2P+ΔαT2」)。具体的には、ステップS02において読み込んだ前回出力のトー角目標値αT2Pに、スッテップS08,S09,S11,S12のいずれかにおいて設定されたトー角目標値変化量ΔαT2を加算して今回出力のトー角目標値αT2Aとする。ステップS14では、ステップS13において今回出力のトー角目標値αT2Aを前回出力したトー角目標値αT2Pとして一時記憶する。
以上でトー角目標速度制御部84Aにおいてトー角目標値αT2Aを設定する一連の繰り返し処理が終了する。
図8、図9に示すフローチャートにおけるステップS04は、請求の範囲に記載の「指示値増減方向判定手段」に、ステップS05〜S09は、「第1の目標値変化量を設定する目標値速度制限手段」に、S10,S11は、「切り返し時目標値変化量設定手段」にそれぞれ対応する。特に、ステップS06,S10は、「切り返し時中立検出手段」に、ステップS12は、「ホールド手段」に、ステップS13は、「出力選択手段」および「目標値更新手段」にそれぞれ対応する。
本実施形態によれば、前記した第1の実施形態と同様に、図7の(a)に示すようにトー角指示値αT1の推移を示す曲線L1に対応して、トー角目標値αT2Aが曲線L4Aのように設定制御されて推移すると、時間t2、時間t5において、ステップS10,S11へ進み、トー角目標値変化量ΔαT2を所定値(最大値)Δαmaxとし、つまり、アクチュエータ30L,30Rの可能な最大速度でトー角目標値αT2Aをトー角指示値αT1の変化する中立方向に変化させることができる。従って、トー角目標値αT2Aの設定の制御において図5に示す従来技術の場合よりも早いタイミングで切り返し制御できる。そして、目標電流算出部86(図3参照)においてトー角指示値αT1の切り返し制御に対応して最大速度でトー角目標値αT2Aに追従させるように実トー角αを切り返し制御でき、後輪のトー角指示値αT1の向きと後輪の実トー角αの動きが逆転して、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせるという問題が解消される。
また、図7の(a)に示すように切り返し制御が開始された時間t2以降、または時間t5以降において、トー角目標値αT2Aが先行してトー角指示値αT1よりも早く中立位置に達したとき(時間t4Bまたは時間t7Bに達した場合)、ステップS10からステップS12へ進み、トー角目標値変化量ΔαT2=0として、トー角目標値αT2Aの値をホールドさせる。
このように、トー角指示値αT1の切り返しがある場合に、ステップS10からステップS11へ進んで応答性の速い実トー角αの制御ができるとともに、テップS10からステップS12へ進むことにより、トー角指示値αT1よりも先行して中立方向に戻るトー角目標値αT2Aが中立位置を通り越すオーバーシュートすることを防止できる。つまり、トー角目標値αT2Aに実トー角αが追従して、トー角指示値αT1の示す左右方向と反対方向にまで実トー角αがオーバーシュートするということを防止できる。
その結果、本実施形態によれば、トー角指示値αT1(具体的にはトー角指示値αT1L,αT1R)の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせい後輪操舵制御装置を提供することができる。
《第3の実施形態》
次に、図1、図2、図10、図11を参照しながら適宜、図3、図4を参照して本発明の第3の実施形態に係る後輪操舵制御装置を説明する。図10は、第3の実施形態におけるトー角変更制御ECUの機能ブロック構成図で、図11は、第3の実施形態におけるトー角変更制御ECUのトー角目標速度制限部の詳細な機能ブロック構成図である。
本実施形態では、図1、図2において( )内に示したように第1の実施形態におけるトー角変更制御ECU37LA.37RAがトー角変更制御ECU37LB,37RBに置き換わる。
特に、図3に示すように第1の実施形態におけるトー角変更制御ECU37LAの制御部81Aでは、実トー角変換部82にて算出された実トー角α1Lがトー角目標速度制限部84Aには入力されていなかったのが、図10に示すように本実施形態におけるトー角変更制御ECU37LBの制御部81Aでは、トー角目標速度制限部84Bにも入力されている。同様に、図3に示すように第1の実施形態におけるトー角変更制御ECU37RAの制御部81Aでは、実トー角変換部82にて算出された実トー角α1Rがトー角目標速度制限部84Aには入力されていなかったのが、図10に示すように本実施形態におけるトー角変更制御ECU37RBの制御部81Aでは、トー角目標速度制限部84Bにも入力されている。
そして、本実施形態におけるトー角目標速度制限部84Bでは、図11に示すように第1の実施形態における減算部51A、切り返し制御部56A、ホールド制御部57A、加算部58A、一次遅れ補正部59Aが、それぞれ減算部51B、切り返し制御部56B、ホールド制御部57B、加算部58B、一次遅れ補正部59Bに置き換わっている。
以下、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明し、重複する説明を省略する。
減算部51Bは、トー角指示値演算部71から入力されるトー角指示値αT1から、実トー角変換部82からの実トー角αを一次遅れ補正部59Bで一次遅れ補正された実トー角α(以下では、単に「実トー角α」と称する)を減算して、追従誤差ΔαT1Bを算出し、最小値選択部53および切り返し制御部56の追従誤差符号判定部61に入力する。
切り返し制減算部51Bは、第1の実施形態における切り返し制減算部51A同じ構成であるが、追従誤差符号判定部61に入力されるのが追従誤差ΔαT1Bである点が異なる。
そして、加算部58Bは、ホールド制御部57Bから出力されるトー角目標値変化量ΔαT2に、一次遅れ補正部59Bからの一次遅れ補正された実トー角αを加算して、目標電流算出部86にトー角目標値αT2Bを入力する。ここで、一次遅れ補正部59Bにおける補正定数は、主に電動機駆動回路88および電動機31の時定数と、前記したアクチュエータ30(図3では30L,30Rと表示)の減速機の減速比とを考慮して設定される。
また、本実施形態におけるホールド制御部57Bでは、第1の実施形態におけるホールド制御部57Aの目標トー角符号判定部74Aの代わりに、実トー角符号判定部74Bを有している。実トー角符号判定部74Bは、一次遅れ補正部59Bからの一次遅れ補正された実トー角α(具体的には一次遅れ補正された実トー角α2L,α2R(図示せず)を入力されて、実トー角αの符号、プラス、ゼロ、マイナスを判定して、それに対応させて+1,0,−1のいずれかの値を乗算部75に入力する。
ここで、トー角変更制御ECU37LB,、37RBおよびトー角指示値演算部71は、請求の範囲に記載の「後輪操作制御装置における制御手段」を構成し、特に、トー角変更制御ECU37LB,37RBは、請求の範囲に記載の「アクチュエータ制御手段」に対応する。また、ストロークセンサ38が、請求の範囲に記載の「後輪実舵角取得手段、実トー角情報取得手段」に対応し、アクチュエータ30L,30Rの、送りねじ部の伸縮量が請求の範囲に記載の「後輪の実舵角に係る情報、実トー角に係る情報」に対応する。
また、トー角指示値αT1は、請求の範囲に記載の「後輪の舵角指示値」、トー角目標値αT2Bは「後輪の舵角目標値」に、トー角目標値変化量ΔαT2は、「舵角目標値変化量」に対応する。さらに、切り返し制御部56Bのトー角指示値微分部62、トー角指示値速度符号判定部63が、請求の範囲に記載の「指示値増減方向判定手段」に対応する。
また、減算部51B、固定値出力部52、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54、最大値選択部55、追従誤差符号判定部61、乗算部64,65、二値選択部66およびホールド制御部57B、加算部58Bが、請求の範囲に記載の「目標値設定更新手段」に対応する。
また、第1の実施形態と同様に、減算部51B、固定値出力部52、最小値選択部53、固定ゲイン演算部54、最大値選択部55が、「目標値速度制限手段」に対応し、追従誤差符号判定部61、乗算部64,56が、「切り返し時目標値変化量設定手段」に対応し、二値選択部66が、「出力選択手段」に対応し、加算部58Bが、「目標値更新手段」に対応する。
本実施形態の作用を図12から図14を参照しながら説明する。図12は、従来技術におけるトー角切り返し時の制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値と実トー角の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号の変化を示すタイムチャートである。従来技術においては、アクチュエータ30L,30Rの減速比が大きい場合、曲線L2Bに示したように時間t1からトー角指示値αT1が所定の速度以上で変化して追従誤差ΔαT1Bが大きくなると、トー角目標値変化量(トー角目標速度)は、上限値(本実施形態の最大変化量の値“2”に対応)に設定され、実トー角αをトー角指示値αT1に追従させようとする。そして、時間t3でトー角指示値αT1に実トー角αが追い着いた後に、逆符号となった追従誤差ΔαT1Bに応じて実トー角αを追従させようとする。このような、制御では、D部の時間t2以降トー角指示値αT1が時間t2以前と逆方向に変化しているにも拘らず、実トー角αは時間t2以前のままの方向に変更制御され、運転者に違和感を与えてしまう。
これは、図12において時間t4〜t7の制御の場合のE部においても同様である。また、従来の制御では、F部の時間t7〜t8のようにトー角指示値αT1がゼロ(中立位置)に戻っていても、まだ実トー角αがゼロに速やかに戻らず、追従遅れを示し、車両の旋回運動が続き、運転者に違和感を与える問題があった。
次に、図13を参照して本実施形態におけるトー角指示値αT1の切り返しの際の実トー角αの追従制御方法を説明する。図13は、トー角切り返し制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値と実トー角の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号変化、並びに切り返し制御のON,OFFの状態、切り返し制御がON状態のときの切り返し制御出力値の変化を示すタイムチャートである。
本実施形態によれば、図13の(a)に曲線L3Bに示すように時間t1からトー角指示値αT1が所定の速度以上で変化して追従誤差ΔαT1Bが大きくなると、最大値選択部55においてトー角目標値変化量ΔαT2(トー角目標速度)は、アクチュエータ30が追従可能な上限値(本実施形態の最大変化量の値“2”に対応)に制限設定され、実トー角αをトー角指示値αT1に追従させようとする。
そして、時間t2でトー角指示値αT1が時間t2以前と逆方向に変化する(切り返される)と、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値(図13の(b)における切り返し制御出力値に対応)となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された−2の値の最大変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標値変化量ΔαT2として加算部58Bに入力され、そこで一次遅れ補正された実トー角αと加算され、目標トー角αT2Bとして目標電流算出部86に入力される。このように、時間t2でトー角指示値αT1が切り返されると直ちに、トー角指示値変化速度α′T1と同じ符号の最大変化量ΔαTmaxに設定される。つまり、時間t2で最大速度で実トー角αを中立方向に変化させる制御を行う。その結果、単に、追従誤差ΔαT1Bに応じてmin−max処理された追従誤差ΔαT1Bをトー角目標値変化量ΔαT2とする従来技術よりもよりも早いタイミングで、実トー角αの切り返し制御ができる。従って、後輪のトー角の切り返しを伴うような車両の旋回運動において、運転者に違和感を与えることなく、後輪のトー角を制御できる。
そして、このままの制御では、切り返し制御が時間t6BまでON状態になるので、トー角指示値αT1の変化によっては、実トー角α1の方がトー角指示値αT1の示す方向よりも早く左方向に切ってしまうおそれがある。これを、補正するのがホールド制御部57B(図11参照)の機能である。
ちなみに、ホールド制御部57Bの機能が無いときは、図13の曲線L3Bに示すように、追従誤差ΔαT1Bの符号がt6B経過後マイナスになり、トー角指示値速度α′T1の符号マイナスと一致して、初めて切り返し制御がOFFとなる。そして、時間t6Bから時間t5までは、通常の追従誤差ΔαT1Bの値をmin−max処理されたトー角目標値変化量ΔαT2でトー角指示値αT1に実トー角αを追従制御する。その後、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると、時間t2以降と同様に、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された+2の値(図13の(b)における切り返し制御出力値に対応)の最大変化変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標値変化量ΔαT2として加算部58Bに入力され、そこで一次遅れ補正された実トー角αと加算され、目標トー角αT2Bとして目標電流算出部86に入力される。このように、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると直ちに、トー角指示値変化速度α′T1と同じ符号の最大変化量ΔαTmaxに設定される。つまり、時間t5で最大速度で実トー角αを中立方向に変化させる制御を行う。
また、時間t7以降においてトー角指示値αT1がゼロに戻ると、そのとき乗算部65の出力する制御値CS1が0となり、切り返し制御部56Bにおける切り返し制御がOFFとなり、通常のmin−max処理されたトー角目標値変化量ΔαT2で実トー角αをゼロに収斂させる。従って、切り返し制御部56Bの機能だけでは、切り返し制御がON状態になってから、実トー角αがトー角指示値αT1よりもオーバーシュートしてしまうという問題が残っている。
なお、図13の(a)には、参考のため図12の(a)に示した曲線L2Bも記載してある。
次に、図14を参照して本実施形態におけるトー角指示値αT1の切り返し制御後のホールド制御の方法を説明する。図14は、トー角切り返し制御後のホールド制御の作用説明図であり、(a)は、トー角指示値と実トー角の時間推移のを変化を示す説明図、(b)は、(a)の時間推移に対応させたトー角指示値、トー角指示値速度および追従誤差それぞれの符号変化、並びに、切り返し制御のON,OFFの状態、切り返し制御がON状態のときの切り返し制御出力値、実トー角符号、ホールド制御のON,OFFの状態、ホールド制御出力値の変化を示すタイムチャートである。
本実施形態のように、ホールド制御部57Bを設け、切り返し制御がON状態の場合(制御値CS1が−1の場合)に、トー角指示値αT1の符号と実トー角αの符号(図11では一次遅れ補正された実トー角αの符号)とが不一致のとき、例えば、時間t4Bにおいて実トー角αの符号がプラスからゼロに変わると、符号不一致判定部79は、ホールド制御ONの状態とする制御値CS3を二値選択部92に入力する。それを受けて、二値選択部92がトー角目標値変化量ΔαT2としてそれまでΔαTmaxの値(−2)を出力していたのを止めて0(ゼロ)の値を出力するように切替させる(図14の(a)の曲線L4B参照)。そして、切り返し制御がON状態がまだ継続し、実トー角α1はゼロ(中立位置に)に維持され、時間t4でトー角指示値αT1がゼロに追いついて、符号不一致判定部79において、符号判定結果が不一致では無くなったと判定したとき、ホールド制御をOFFとする。また、乗算部65の出力する制御値CS1も略同時に、−1以外の値(0または+1)となり、切り返し制御もOFF状態となる。
その後、図14の(a)の曲線L4Bに示すように通常の追従誤差ΔαT1Bの値をmin−max処理しされたトー角目標値変化量ΔαT2でトー角指示値αT1に実トー角αを追従制御する。その後、時間t5でトー角指示値αT1が切り返されると、時間t2以降と同様に、乗算部65から出力される制御値CS1が−1の値となり、二値選択部66からは、乗算部64で算出された+2の値(図14の(b)における切り返し制御出力値に対応)である最大変化量ΔαTmaxの値が、二値選択部92の一方に入力(端子92cへ入力)される。それを受けて二値選択部92では、端子92cへ入力された値がトー角目標値変化量ΔαT2として加算部58Bに入力され、そこで一次遅れ補正された実トー角αと加算され、トー角目標値αT2Bとして目標電流算出部86に入力される。
さらに、時間t7Bで前記した時間t4Bと同様に、実トー角αの符号がマイナスからゼロに変わると、符号不一致判定部79は、ホールド制御ONの状態とする制御値CS3を二値選択部92に入力する。それを受けて二値選択部92がトー角目標値変化量ΔαT2としてそれまでΔαTmaxの値(−2)を出力していたのを止めて0(ゼロ)の値を出力するように切替させる(図14の(a)の曲線L4B参照)。そして、切り返し制御がON状態がまだ継続し、実トー角α1はゼロ(中立位置に)に維持され、時間t7でトー角指示値αT1がゼロに追いついて、符号不一致判定部79において、符号判定結果が不一致では無くなったと判定したとき、ホールド制御をOFFとする。また、乗算部65の出力する制御値CS1も略同時に、−1以外の値(0または+1)となり、切り返し制御もOFF状態となる。
この後、トー角指示値αT1が0に維持されると、通常の追従誤差ΔαT1Bの値をmin−max処理しされたトー角目標値変化量ΔαT2でトー角指示値αT1に実トー角αを追従制御となり、実トー角αが図12の時間t7に示すようなオーバーシュートをすることなく、ゼロ(中立位置)に収斂する。
このように、ホールド制御部57Bを設けて機能させることにより、トー角指示値αT1の切り返しがある場合に、応答性の速い実トー角αの制御ができるとともに、トー角指示値αT1よりも実トー角αが先行し過ぎて、トー角指示値αT1の示す左右方向と反対方向にまで実トー角αがオーバーシュートするということを防止できる。
その結果、本実施形態によれば、トー角指示値αT1(具体的にはトー角指示値αT1L,αT1R)の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせない後輪操舵制御装置を提供することができる。
《第4の実施形態》
前記第3の実施形態では、トー角目標速度制限部84Bを図11に示すような機能ブロック構成で説明したが、それに限定されるものではない。図15、図16を参照しながら第4の実施形態に係る後輪操舵制御装置におけるトー角指示値αT1に対するトー角目標値αT2Bの更新制御(目標値設定更新制御)の方法について説明する。
図15、図16は第4の実施形態におけるトー角目標値の更新制御の流れを示すフローチャートである。
第4の実施形態におけるトー角目標速度制限部84Bは、図10に示すようにトー角変更制御ECU37RB,37LBに含まれる制御部81Bのマイクロコンピュータがプログラムを実行して実現される機能である。このトー角目標値αT2Bの更新制御は一定の周期でトー角目標速度制限部84Bにおいて処理される。
本実施形態でも第3の実施形態と同様にトー角変更制御ECU37LB,37RBのそれぞれのトー角目標速度制限部84Bを代表的に説明するため、トー角指示値αT1、トー角目標値αT2B、実トー角α、一次遅れ補正された実トー角α、追従誤差ΔαT1B、トー角目標値変化量ΔαT2と称するが、トー角変更制御ECU37LAに対しては、具体的にはトー角指示値αTL1、トー角目標値αT2LB、実トー角目標値α2L、一次遅れ補正された実トー角α2L、追従誤差ΔαTL1B、トー角目標値変化量ΔαTL2を意味し、トー角変更制御ECU37RBに対しては、具体的にはトー角指示値αTR1、トー角目標値αT2RB、実トー角目標値αT2PR、一次遅れ補正された実トー角α2R、追従誤差ΔαTR1B、トー角目標値変化量ΔαTR2を意味する。
図15、図16に示す第4の実施形態におけるフローチャートのステップS21〜S33は、第2の実施形態におけるフローチャートのステップS01〜S13にそれぞれほぼ対応し、第2の実施形態におけるステップS14に対応するステップが削除されたものとなっている。
第4の実施形態のフローチャートと第2の実施形態におけるフローチャートの前記以外の差異は、ステップS02の「前回出力したトー角目標値αT2Pを読み込み」を、ステップS22の「実トー角αT1を読み込んで、一次遅れ補正をし、補正された実トー角αとする」と読み替え、ステップS03、S05、S07,S08およびS09の「追従誤差ΔαT1A」をステップS23,S25,S27,S28およびS29において「追従誤差ΔαT1B」に読み替え、ステップS03およびS10の「前回出力したトー角目標値αT2P」をステップS23およびS30において「一次遅れ補正された実トー角α」、ステップS13の「トー角目標値αT2A」をステップS33において「トー角目標値αT2B」に読み替えた点である。
図15、図16に示すフローチャートにおけるステップS24は、請求の範囲に記載の「指示値増減方向判定手段」に対応する。特に、ステップS25〜S29は、第2の実施形態における「第1の目標値変化量を設定する目標値速度制限手段」に、S30,S31は、「切り返し時目標値変化量設定手段」に、ステップS26,S30は、「切り返し時中立検出手段」に、ステップS32は、「ホールド手段」に、ステップS33は、「出力選択手段」および「目標値更新手段」にそれぞれ対応する。
本実施形態によれば、前記した第3の実施形態と同様に、図14の(a)に示すようにトー角指示値αT1の推移を示す曲線L1に対応して、トー角目標値αT2Bが曲線L4Bのように設定制御されて推移すると、時間t2、時間t5において、ステップS30,S31へ進み、トー角目標値変化量ΔαT2を所定値(最大値)Δαmaxとし、つまり、アクチュエータ30L,30Rの可能な最大速度でトー角目標値αT2Bをトー角指示値αT1の変化する中立方向に変化させることができる。従って、トー角目標値αT2Bの設定の制御において図12に示す従来技術の場合よりも早いタイミングで切り返し制御できる。そして、目標電流算出部86(図10参照)においてトー角指示値αT1の切り返し制御に対応して最大速度でトー角目標値αT2Bに追従させるように実トー角αを切り返し制御でき、後輪のトー角指示値αT1の変化と後輪の実トー角αの動きが逆転して、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせるという問題が解消される。
また、図14の(a)に示すように切り返し制御が開始された時間t2以降、または時間t5以降において、実トー角αが先行してトー角指示値αT1よりも早く中立位置に達したとき(時間t4Bまたは時間t7Bに達した場合)、ステップS30からステップS32へ進み、トー角目標値変化量ΔαT2=0として、トー角目標値αT2Bの値をホールドさせる。
このように、トー角指示値αT1の切り返しがある場合に、ステップS30からステップS31へ進んで応答性の速い実トー角αの制御ができるとともに、テップS30からステップS32へ進むことにより、トー角指示値αT1よりも先行して中立方向に戻る実トー角αを生じる場合でも、中立位置を通り越すオーバーシュートすることをを防止できる。つまり、トー角目標値αT2Bに実トー角αが追従して、トー角指示値αT1の示す左右方向と反対方向にまで実トー角αがオーバーシュートするということを防止できる。
その結果、本実施形態によれば、トー角指示値αT1(具体的にはトー角指示値αT1L,αT1R)の速い切り返しの出力が生じるような速い切り返し操舵を運転者が行った場合にも、車両挙動の遅れによる違和感を生じさせい後輪操舵制御装置を提供することができる。
(変形例)
本発明の前記した第1から第4の実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記第1から第4の実施形態に係る後輪操舵制御装置では、2つのトー角変更装置120L,120R(図1参照)を有し、それぞれ後輪のトー角を左右独立に変更できる構成としたがそれに限定されるものではなく、本発明は、1つのアクチュエータで後輪1L,2R(図1参照)を同一方向に操舵する後輪操舵制御装置を含む。その場合は、後輪操舵制御装置は、前記した後輪トー角装置120L,120Rの代わりに1つの後輪トー角装置を有しており、その後輪トー角装置は1つのトー角変更制御ECUを有している構成とすることで容易に実現できる。
(2)前記した第1から第4の実施形態におけるトー角指示値演算部71において用いる操向角θの代わりに、図1に破線枠で示すように前輪転舵角検出センサ(前輪転舵状態量取得手段)SFSを設けて、前輪転舵角δを検出して用いるようにし、目標電流算出部86においても前輪転舵角δを用いて目標電流値を算出するようにしても良い。
(3)前記した第1から第4の実施形態において、左右のトー角変更装置120L,120は個別のトー角変更制御ECU37LA(37LB),37RA(37RB)を有するものとした、また、操舵制御ECU130とも別個に設けるものとしたがそれに限定されるものではない。
(3a)この3つのECUの機能のCPUで構成する部分を1つのCPUで対応する構成としても良い。
(3b)また、2つのトー角変更制御ECU37LA(120LB),37RA(120RB)の機能のCPUで構成する部分を1つのCPUで対応する構成としても良い。
(4)第1から第4の実施形態に係る後輪操舵制御装置に信号を信号を出力する電動パワーステアリング装置110には、操向ハンドル3と前輪1L,1Rとが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(Steer By Wire)式のものが含まれる。
1L,1R 前輪
2L,2R 後輪
3 操向ハンドル
30L,30R アクチュエータ
37LA,37RA,37LB,37RB トー角変更制御ECU(アクチュエータ制御手段、制御手段)
38 ストロークセンサ(後輪実舵角取得手段)
51A,51B 減算部(目標値設定更新手段、目標値速度制限手段)
52 固定値出力部(目標値設定更新手段、目標値速度制限手段)
53 最小値選択部(目標値設定更新手段、目標値速度制限手段)
54 固定ゲイン演算部(目標値設定更新手段、目標値速度制限手段)
55 最大値選択部(目標値設定更新手段、目標値速度制限手段)
56A,56B 切り返し制御部
57A、57B ホールド制御部(目標値設定更新手段)
58A 加算部(目標値設定更新手段、目標値更新手段)
61 追従誤差符号判定部(目標値設定更新手段、切り返し時目標値変化量設定手段)
62 トー角指示値微分部(指示値増減方向判定手段)
63 トー角指示値速度符号判定部(指示値増減方向判定手段)
64,65 乗算部(目標値設定更新手段、切り返し時目標値変化量設定手段)
66 二値選択部(目標値設定更新手段、出力選択手段)
71 トー角指示値演算部(舵角指示値算出手段、制御手段)
73 トー角指示値符号判定部(切り返し時中立検出手段)
74A 目標トー角符号判定部(切り返し時中立検出手段)
74B 実トー角符号判定部(切り返し時中立検出手段)
75 乗算部(切り返し時中立検出手段)
76,78 固定値出力部(切り返し時中立検出手段)
77 符号一致判定部(切り返し時中立検出手段)
79 符号不一致判定部(切り返し時中立検出手段)
81A,81B 制御部
84A,84B トー角目標速度制限部
91 固定値出力部(ホールド手段)
92 二値選択部
120L,120R トー角変更装置(後輪操舵制御装置)
130 操舵制御ECU
FS 前輪転舵角センサ
操作角センサ

Claims (10)

  1. 車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、該アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、
    少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する舵角指示値算出手段と、
    該舵角指示値算出手段から入力され前記後輪の舵角指示値の値に対して、前記アクチュエータ制御手段に入力する後輪の舵角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、
    前記算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
    前記目標値設定更新手段は、
    前記後輪の舵角指示値と前回設定した前記後輪の舵角目標値との差分を目標値変化量として算出するとともに、前記算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前記前回設定した前記後輪の舵角目標値に加算して新たな前記後輪の舵角目標値として設定して前記目標値更新制御をし、
    前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、前記アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように前記目標値変化量を前記所定の最大値に設定して前記前回設定した前記後輪の舵角目標値に加算し、前記目標値更新制御をすることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  2. 前記目標値設定更新手段は、前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出することで、前記目標値更新制御を開始した後、前記後輪の舵角目標値が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている前記後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、前記後輪の舵角目標値を中立位置にホールドするように前記後輪の舵角目標値を設定して前記目標値更新制御をすることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の後輪操舵制御装置。
  3. 車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、該アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、
    少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する指示値算出手段と、
    該指示値算出手段から入力された前記後輪の舵角指示値の入力を受けて、前記アクチュエータが追従可能なように、必要に応じて所定の最大値以下に制限された第1の目標値変化量を設定する目標値速度制限手段と、
    前記算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、
    前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変化したことを検出した場合、第2の目標値変化量を、前記変化した新たな増減方向であって、前記所定の最大値に設定する切り返し時目標値変化量設定手段と、
    前記目標速度制限手段から入力された前記第1の目標値変化量と、前記切り返し時目標値変化量設定手段から入力された前記第2の目標値変化量のうちの一方を目標値変化量として出力する出力選択手段と、
    前記出力選択手段から入力された前記目標値変化量と、前記前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値として前記アクチュエータ制御手段に出力する目標値更新手段と、を有し、
    前記目標値速度制限手段は、入力された前記後輪の舵角指示値と、前回設定した後輪の舵角目標値との差分である追従誤差が、所定の最大値を超えている場合に前記第1の目標値変化量を前記所定の最大値に制限し、前記追従誤差が所定の最大値を超えていない場合は、前記追従誤差をそのまま前記第1の目標値変化量とし、
    前記指示値増減判定手段が、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合は、前記出力選択手段は、前記第2の目標値変化量を前記目標値変化量として選択出力し、
    前記目標値更新手段は、前記出力選択手段から入力された前記目標値変化量と、前記前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値として前記アクチュエータ制御手段に出力することを特徴とする後輪操舵制御装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変化したことを検出した場合に、前記出力選択手段が、前記第2の目標値変化量を前記目標値変化量として選択出力した後、前記後輪の舵角目標値が中立位置に達したことを検出する切り返し時中立検出手段と、
    前記舵角目標値変化量をゼロに置き換えるホールド手段と、をさらに有し、
    前記目標値更新手段は、前記出力選択手段において、前記第2の目標値変化量を前記目標値変化量として選択出力した後、前記切り返し時中立検出手段において前記後輪の舵角目標値が中立位置に達したことを検出した時点において、入力されている前記後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、前記ホールド手段に前記舵角目標値変化量をゼロに置き換えさせ、前記前回の後輪の舵角目標値とを加算して、新たな後輪の舵角目標値として前記アクチュエータ制御手段に出力することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の後輪操舵制御装置。
  5. 車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータと、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記後輪のトー角を左右独立に変更可能な後輪操舵制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記それぞれのアクチュエータを独立に制御可能とするアクチュエータ制御手段と、
    少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて左右後輪のそれぞれのトー角指示値を算出するトー角指示値算出手段と、
    該トー角指示値算出手段から入力され前記左右の後輪それぞれのトー角指示値の値に対して、前記アクチュエータ制御手段に入力する左右の後輪のそれぞれのトー角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、
    前記算出された左右の後輪のそれぞれのトー角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
    前記目標値設定更新手段は、
    前記左の後輪のトー角指示値と前回設定した前記左の後輪のトー角目標値、および前記右の後輪のトー角指示値と前回設定した前記右の後輪のトー角目標値の2組に対し、左右独立にそれぞれに、
    前記後輪のトー角指示値と前回設定した前記後輪のトー角目標値との差分を目標値変化量として算出するとともに、前記算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前記前回設定した前記後輪のトー角目標値に加算し、新たな前記左右の後輪のトー角目標値として設定して前記目標値更新制御をし、
    前記指示値増減判定手段において、前記左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、前記増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、前記アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように前記当該の後輪のトー角目標値変化量を前記所定の最大値に設定して、前記前回設定した前記当該の後輪のトー角目標値に加算して前記目標値更新制御をすることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  6. 前記目標値設定更新手段は、前記指示値増減判定手段において、前記左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出したすることで、前記目標値更新制御を開始した後、前記当該の後輪のトー角目標値が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている前記当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、前記当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールドするように前記当該の後輪のトー角目標値を設定して前記目標値更新制御をすることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の後輪操舵制御装置。
  7. 車両に備わる後輪の舵角を変更するアクチュエータと、該アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記後輪の舵角を変更可能な後輪操舵制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、
    少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて後輪の舵角指示値を算出する舵角指示値算出手段と、
    後輪の実舵角に係わる情報を取得する後輪実舵角取得手段と、
    前記舵角指示値算出手段から入力され前記後輪の舵角指示値の値に対して、前記アクチュエータ制御手段に入力する後輪の舵角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、
    前記算出された後輪の舵角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
    前記目標値設定更新手段は、
    前記後輪の舵角指示値と前記後輪実舵角取得手段が取得した前記後輪の実舵角との差分を目標値変化量として算出するとともに、前記算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前記後輪の実舵角に加算して新たな前記後輪の舵角目標値として設定して前記目標値更新制御し、
    前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出した場合に、前記アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように前記目標値変化量を前記所定の最大値に設定して前記後輪の実舵角に加算し、前記目標値更新制御をすることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  8. 前記目標値設定更新手段は、前記指示値増減判定手段において、前記後輪の舵角指示値の増減方向が変わったことを検出することで、前記目標値更新制御を開始した後、前記後輪の実舵角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている前記後輪の舵角指示値が中立位置に達していないときは、前記後輪の実舵角を中立位置にホールドするように前記後輪の舵角目標値を設定して前記目標値更新制御をすることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の後輪操舵制御装置。
  9. 車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータと、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記後輪のトー角を左右独立に変更可能な後輪操舵制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記それぞれのアクチュエータを独立に制御可能とするアクチュエータ制御手段と、
    少なくとも前輪の転舵状態量にもとづいて左右後輪のそれぞれのトー角指示値を算出するトー角指示値算出手段と、
    左右後輪の実トー角に係わる情報を取得する実トー角情報取得手段と、
    前記トー角指示値算出手段から入力され前記左右の後輪それぞれのトー角指示値の値に対して、前記アクチュエータ制御手段に入力する左右の後輪のそれぞれのトー角目標値を設定して目標値更新制御をする目標値設定更新手段と、
    前記入力された左右の後輪のそれぞれのトー角指示値の増減方向を判定する指示値増減方向判定手段と、を有し、
    前記目標値設定更新手段は、
    前記左の後輪のトー角指示値と前記実トー角情報取得手段が取得した左の後輪の実トー角、および前記右の後輪のトー角指示値と前記実トー角情報取得手段が取得した右の後輪の実トー角、の2組に対し、左右独立にそれぞれに、
    前記後輪のトー角指示値と前記後輪の実トー角との差分を目標値変化量として算出するとともに、前記算出された目標値変化量を必要に応じて所定の最大値以下に制限して、前記後輪の実トー角に加算し、新たな前記左右の後輪のトー角目標値として設定して前記目標値更新制御をし、
    前記指示値増減判定手段において、前記左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出した場合に、前記増減方向が変わったことを検出された当該の後輪に対して、前記アクチュエータの動作がそれまでと反対方向で、且つ、最大速度となるように前記当該の後輪のトー角目標値変化量を前記所定の最大値に設定して前記当該の後輪の実トー角に加算して前記目標値更新制御をすることを特徴とする後輪操舵制御装置。
  10. 前記目標値設定更新手段は、前記左右の後輪のトー角指示値のいずれかの増減方向が変わったことを検出することで、前記目標値更新制御を開始した後、前記当該の後輪の実トー角が中立位置に達したのを検出した時点において、入力されている前記当該の後輪のトー角指示値が中立位置に達していないときは、前記当該の後輪のトー角目標値を中立位置にホールドするように前記当該の後輪のトー角目標値を設定して前記目標値更新制御をすることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の後輪操舵制御装置。
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