JP5423591B2 - パワーモジュール用基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この製造方法では、まずセラミックス基板の一方の面にAl−Si系等のろう材を介して回路層となる金属層を積層し、セラミックス基板の他方の面にろう材を介して放熱層となる金属層を積層して、これを積層方向に加圧するとともに加熱し、セラミックス基板と回路層及び放熱層とを接合する。
次に、放熱層のセラミックス基板が接合されている面とは反対側の面に、ろう材を介してヒートシンクの天板部を積層し、積層方向に加圧するとともに加熱して、放熱層とヒートシンクとを接合するようにしている。
一方、放熱層とヒートシンクとの間の接合方法としては、高価な設備が不要で比較的容易に安定したろう付けが可能なフラックスろう付け法として、フッ化物系のフラックスをろう材面に塗布してろう材面の酸化物を除去し、非酸化性雰囲気中で加熱して接合するノコロックろう付け法の適用が検討されている。
また、金属層にヒートシンクを接合する場合にも、余剰分のフラックスがはみ出すことがあるが、同様に、フラックスが突出部の反対側へ回り込むことが防止され、突起部とヒートシンクの表面との間で金属層の側面部に余剰分のフラックスを保持させることができる。
これにより、金属層の側面部でろう材とフラックスとの接触を防止し、フラックスがセラミックス基板と金属層との間に到達することを防止することができるので、接合部でのろう材とフラックスとの反応を防いでセラミックス基板と金属層との剥離を防止することができ、接合信頼性を高めることができる。
図1は、本発明の第1実施形態のパワーモジュール用基板3を用いたパワーモジュール1を示している。この図1のパワーモジュール1は、パワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4とから構成される。
セラミックス基板2は、例えば、AlN(窒化アルミニウム)、Si3N4(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl2O3(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、その厚さは例えば635μmとされる。
このパワーモジュール用基板3においては、放熱層となる金属層7に緩衝機能を持たせたるため、回路層となる金属層6よりも肉厚に形成されたものを用いている。例えば、金属層6の厚さは600μm、金属層7の厚さは1600μmとされる。
なお、金属層6と電子部品4との接合には、Sn−Ag−Cu系,Zn−Al系もしくはPb−Sn系等のはんだ材等が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と金属層6の端子部との間は、アルミニウムからなるボンディングワイヤ(図示略)により接続される。
このろう付けにおいては、図2に示すように、加圧によりセラミックス基板2と金属層7との間から余剰分のろう材Sが押し出されることがある。しかしながら、突起部9によってろう材を付着させることのできる側面部7a上の距離が長く設けられていることから、金属層7の側面部7aを伝わる余剰分のろう材は突起部9を超えることが抑制され、突起部9の上方の範囲で、金属層7の側面部7aに付着し保持される。
ノコロックろう付け法は、ろう材面にフッ化物系のフラックスを塗布して、非酸化性雰囲気中で加熱して、ろう付けする方法である。
フラックスには、KAlF4、K2AlF5、K3AlF6等が用いられ、これらのフラックスがはんだ表面の酸化物を除去する働きをする。
金属層7とヒートシンク5とのろう付け時においても、余剰分のフラックスFが接合部からはみ出すことがあるが、突起部9によってフラックスFを付着させることのできる側面部7aの表面積が大きく形成され、その厚さ方向に沿う表面上の距離が長く設けられているとともに、その突起部9によってフラックスFの流れが塞き止められるので、余剰分のフラックスFは突起部9より先に流れることが防止され、突起部9の下方の範囲で、金属層7の側面部7aに付着し保持される。
このとき、突起部9は余剰分のフラックスF及び余剰分のろう材Sが互いに突起部9の反対側に回り込むことを防止するため、接合面からはみ出すフラックスF及びろう材Sの量に対して十分な保持能力を有するようにその大きさが設定されている。例えば、側面部7aからの突出量hは0.1〜0.3mmであり、突起部9の厚さtは0.1〜0.5mmとされる。そのため、フラックスF及びろう材Sが突起部9を超えて接触することはなく、フラックスFがセラミックス基板2と金属層7との接合部を侵食することを防ぐことができる。
この場合、複数の凸条で構成された突起部90によって金属層70の側面部70aの表面積をさらに大きくすることができる。そのため、余剰分のフラックスFとろう材Sとが互いに接触するまでの距離が長くなっており、側面部70aでのフラックスF及びろう材Sの保持能力が向上している。これにより、セラミックス基板2と金属層70との界面にフラックスが入り込むことを抑制でき、接合部の剥離を防止することができる。
この場合も、複数の菱形目が側面部71aの表面積を大きくしており、余剰分のフラックスFとろう材Sとが接触するまでの距離を長くしている。そして、菱形目の間に余剰分のフラックスFやろう材Sを付着させて保持させることで、フラックスFとろう材Sとの接触を防止し、セラミックス基板2と金属層71との接合部にフラックスが到達することを防ぐことができる。
また、この第3実施形態のパワーモジュール用基板では、突起部91を金属層71の側面部71aの全面に設けた菱形目によって構成したが、セラミックス基板2とヒートシンク5との間にろう材S及びフラックスFを付着させるのに十分な距離を確保することができる場合には、突起部91をセラミックス基板2及びヒートシンク5の表面から離間させて設けてもよい。
第2実施形態及び第3実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態のものと同じであり、共通部分に同一符号を付して説明を省略する。
例えば、上記実施形態では、突起部を金属層の側面部に加工を施すことによって一体に設けたが、側面部にフランジ状の金属枠を固着するなどして、金属層の側面部に別部品を固着することにより設けてもよい。
また、複数の凸条を設ける場合、厚さ方向に直交する方向以外にも、厚さ方向に交差する方向に設けてもよい。その交差方向の角度は、側面部の厚さ、ろう材やフラックスの余剰量、突起部の突出量等に応じて設定すればよい。
また、パワーモジュール用基板を、セラミックス基板、金属層及びヒートシンクが接合されたものとして説明したが、本発明のパワーモジュール用基板には、セラミックス基板の両面に金属層が積層され、その一方の金属層の側面部に突起部が設けられた状態のものでヒートシンクを有しない構成のものも含まれる。
2 セラミックス基板
3,30,31 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ヒートシンク
6,7,70,71 金属層
7a,70a,71a 側面部
8 はんだ接合層
9,90,91 突起部
15 筒体
15a 天板部
16 流路
17 縦壁
Claims (4)
- セラミックス基板の両面に金属層が積層されるとともに、その一方の金属層にヒートシンクが接合されたパワーモジュール用基板であって、前記一方の金属層の側面部から突出する突起部が前記側面部の全周にわたって設けられており、前記突起部は、菱形目形状によって構成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
- 請求項1に記載の前記パワーモジュール用基板の前記ヒートシンクが接合された金属層とは反対側の金属層に電子部品が接合されていることを特徴とするパワーモジュール。
- セラミックス基板の両面にろう材を介して金属層を重ね合わせ加圧するとともに加熱し接合した後、一方の金属層とヒートシンクとをノコロック接合法により接合するパワーモジュール用基板の製造方法であって、前記一方の金属層として、その側面部から突出する突起部が全周にわたって設けられ、該突起部が菱形目形状によって構成されている金属層を用いることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
- セラミックス基板の両面に、回路層となる金属層と、放熱層となる金属層とが積層されたパワーモジュール用基板であって、前記放熱層となる金属層の側面部から突出する突起部が前記側面部の全周にわたって設けられており、前記突起部は、菱形目形状によって構成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
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