JP5407355B2 - 電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高性能で高品位な電解質膜を高い生産性で製造する方法に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつエネルギー効率が高く、環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や二輪車および船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池の代替として、あるいは二次電池の充電器として、またあるいは二次電池との併用(ハイブリッド)により、携帯電話などの携帯機器やパソコンおよび緊急時の発電機、レジャー用の発電機などへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)においては、水素ガスを燃料とする従来の高分子電解質型燃料電池(以下、PEFCと記載する場合がある)に加えて、メタノールなどの燃料を直接供給する直接型燃料電池も注目されている。
従来このような高分子電解質型燃料電池の高分子電解質膜として“ナフィオン”(R)(デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜が使用されてきた。しかし、これらのパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマー膜は直接型燃料電池においてはメタノールなどの燃料透過が大きく、電池出力やエネルギー効率が十分でないという問題があった。またパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマーは、フッ素を使用するという点から価格も非常に高いものである。さらに、水素を燃料として80℃以上で運転する燃料電池においても耐熱性が不足し、軟化してしまうことから十分な発電特性を得ることができなかった。
一方、このような欠点を克服するため、非フッ素系で芳香族環を含んだポリマーにイオン性基を導入した電解質膜が種々提案されている。このような電解質膜は一般的に耐熱性が高く、剛性が高いため、溶融成形が困難であり、膜状に成形加工する場合は、ポリマー溶液を作製し、基材等に塗工して溶媒を乾燥させる方法がとられてきた。
また、電解質膜としてのプロトン交換能力を発揮させるために、ポリマー骨格の芳香族環に酸性基を導入することが知られている。しかし、単に芳香族環に酸性基を導入したポリマーでは、上記燃料電池の発電特性や耐久性を高めることは困難であり、種々の提案がなされている。
特許文献1では、溶媒に溶解困難なポリマー骨格の電解質膜を作製するため、溶媒への可溶性を付与するため保護基(加水分解性基)を導入した酸性基を有する電解質の前駆体を合成し、溶液製膜後に保護基を加水分解などで脱保護し、ポリマー骨格の構造規則性を高めることによって、プロトン伝導性と耐久性が優れた電解質膜が得られている。
このような製造過程で加水分解が必要でかつ酸性基を有する電解質ポリマーを膜の形状に如何にして効率よくカールや皺、表面欠陥を発生させずに加工し、連続的に製造することが工業的に重要である。
これに対し、特許文献2、3では有機ポリマーフィルムを基材(支持体)から剥離せず液処理をする工程が提案されており、具体的な実施例では先にポリマーをスルホン酸型とした後に、基材上に溶液製膜し、残存した溶媒を水中で連続洗浄する方法の各種提案がなされている。
ここで、特許文献4では支持体に金属塩にしたイオン性基を含有した高分子電解質膜を製膜し、膜を支持体から剥離することなく無機酸含有酸性液に接触させ、イオン性基を酸型に変換する方法が提案されている。
特開2006−561103号 特開2006−7717号公報 特開2005−21172号公報 特開2008−181856号公報
特許文献2,3においては先に電解質膜をスルホン酸型化したものを溶液製膜しており、例え基材から剥離せずに液処理しても、製造工程で製造ラインに存在の金属イオンがスルホン酸と交換し所望のプロトン伝導が得られない問題や、電解質が酸型なので製造ラインを耐酸化しなくてはならない問題、ラインのロール類と電解質膜との接触を防止しなくてはならない問題などへの特別な対策が必要であり、製造コストが高くなる要因となる。
特許文献4ではイオン性基が金属塩の状態で製膜し、製膜後に無機酸含有酸性液に接触させ、イオン性基を酸型に変換する方法であり、上記の3つの問題は解消されるが、ただ無機酸含有酸性液と接触させるだけでは、酸性液の浸透が不十分で、処理に長時間を要し生産を高めることができない上、プロトン交換も不十分となり所望のプロトン伝導が達成できなかった。また、特許文献4では膜を支持体から剥離することなく無機酸含有酸性液に接触させているので、さらにプロトン交換が不十分になりやすい。
また、金属塩の状態のイオン性基を酸型化が不十分なだけでなく、本発明の加水分解性基を有する電解質前駆体においては、加水分解の進行が不十分で、構造規則性が低下し、電解質膜として発電時の耐久性が低下する傾向があった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、加水分解性基やイオン性基の金属塩を含有するポリマーの加水分解やイオン性基の酸型化(プロトン交換)を効率よく進行させ、高い構造規則性と高いプロトン伝導性が両立でき、カールや皺、表面欠陥が発生しにくい、工業生産性に優れた電解質膜の製造方法を提供することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、加水分解性基およびイオン性基の金属塩を含有するポリマーと溶媒を含む溶液を基材上に塗布する工程、該溶媒を蒸発させ電解質膜前駆体を得る工程、酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる工程、遊離酸の洗浄工程、液滴除去工程、乾燥工程を有する電解質膜の製造方法において、酸性溶液と接触させる前の電解質膜前駆体中の溶媒濃度が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする電解質膜の製造方法である。
本発明によれば、ポリマー骨格の構造規則性とプロトン伝導が優れた、高品位な電解質膜を、効率よくカールや皺、表面欠陥を発生させずに加工し、連続的に製造する事ができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の電解質膜の製造方法は、加水分解性基およびイオン性基の金属塩を含有するポリマーと溶媒を含む溶液を基材上に塗布する工程、該溶媒を蒸発させ電解質膜前駆体を得る工程、酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる工程、遊離酸の洗浄工程、液滴除去工程、乾燥工程を有する電解質膜の製造方法において、酸性溶液と接触させる前の電解質膜前駆体中の溶媒濃度が5重量%以上、50重量%以下であることが必要である。
本発明は、電解質膜前駆体の加水分解性基を効率よく加水分解し、かつ、イオン性基の金属塩を効率よくプロトン交換する方法として、酸性溶液との効率的な接触が必要であり、特に工業的な連続処理では膜中へ効率よく酸性溶液が浸透することと、加水分解された副生成物やプロトン交換した塩などが膜外へ効率よく溶出できることが重要である。発明者らは、最も工業的に実現可能な方法として、溶液製膜であることを利用し、酸性溶液と接触させる前の電解質膜前駆体中の溶媒濃度を5重量%以上、50重量%以下に制御することで、加水分解性基の加水分解とイオン性基の金属塩のプロトン交換の効率を高めることができ、加水分解の十分に進行させることよって構造規則性を高め、電解質膜としての寸法安定性の向上が図れ、連続製造時の皺や表面欠陥が少なく、高性能で高品位な電解質膜を高い生産性で製造する事ができる技術の発明に至った。
特に、電解質膜としての酸性基密度が1.0mmol/g以上の膜を連続的に作製する際には、基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触を行なうことが好ましい。基材から剥離せず酸性溶液に接触させることで、膨潤による膜の破断や乾燥時の皺や表面欠陥を防止でき、酸性基密度が1.5mmol/g以上、3.5mmol/g以下の電解質膜を連続的に製造する場合は基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触することが特に好ましい。また、電解質膜としての厚みが薄い場合も、酸性基密度の大小に関わらず、基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触を行なうことが好ましい。電解質膜前駆体単独では液体膨潤時の機械的強度が低下し製造時の膜の破断が発生しやすくなり、乾燥時に皺が入り表面欠陥が発生しやすくなるので、該現象を防止するための搬送系が高価になる傾向にある。例えば、乾燥時で厚み50μm以下の電解質膜を製造する場合は、電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触を行なうことが好ましく、厚み30μm以下ではより好ましい。
これら、高酸性基密度、薄膜の電解質膜の場合、電解質膜前駆体を基材から剥離することなく酸性溶液との接触を行なうことが好ましいが、酸性溶液の浸透や副生成物の溶出は電解質膜の片面からしか行えないので、電解質膜前駆体の加水分解性基を効率よく加水分解し、かつ、イオン性基の金属塩をプロトン交換するためには、本発明の酸性溶液と接触させる前の電解質膜前駆体中の溶媒濃度を5重量%以上、50重量%以下に制御することがより重要となる。
通常の高分子膜の溶液製膜は、ポリマーを溶媒に溶解し、基材に流延塗布し、加熱乾燥することにより溶剤蒸発を除去する。この際、溶剤はできる限り除去することで、フィルムの性能や品質の向上を図るが、本発明の電解質膜の製造方法は、この溶剤の蒸発をコントロールし、電解質膜前駆体中の溶媒濃度を5重量%以上、50重量%以下の範囲とする。5重量%以上で酸性溶液の浸透が良好となり、50重量%以下で電解質膜としての強度が十分となる。好ましくは8重量%以上、さらに好ましくは10%以上である。また、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
電解質膜前駆体中の溶媒濃度をコントロールする要因としては、使用する装置によって大きく依存するが、連続製膜の場合は、乾燥炉の温度、風量、塗工速度等、適宜実験的に条件を決めることによって実現可能である。
溶剤濃度は電解質膜前駆体の重量をW1、同じ電解質膜前駆体を60℃の温水中で8時間水洗し、さらに100℃で8時間真空乾燥後の重量をW2とした時に下記式1で計算して求めることができる。
電解質膜前駆体中の溶媒濃度(重量%)=(W1−W2)/W1×100 (式1)
また、本発明では便宜上、溶剤以外の成分、例えば吸湿した水分や、水で抽出される成分および揮発性添加剤は残存溶剤として取り扱う。
本発明の電解質膜前駆体の、イオン性基の金属塩としては特に公知のものを採用できるが、スルホン酸基(−SO2(OH))、硫酸基(−OSO2(OH))、スルホンイミド基(−SO2NHSO2R(Rは有機基を表す。))、ホスホン酸基(−PO(OH)2)、リン酸基(−OPO(OH)2)、カルボン酸基(−CO(OH))、等の金属塩から選択される一種以上を好ましく採用することができる。これらの基は2種類以上含むことができる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基のいずれかの金属塩を有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基の金属塩を有することが最も好ましい。
スルホン酸基の金属塩を例に挙げると−SO3M型(Mは金属)であり、酸性溶液との接触でプロトンに置換してスルホン酸基とする。前記の金属Mはスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。
また、金属イオンの替わりに、アルコキシ基に置換されているものが含まれていても、酸性溶液でプロトン交換可能であれば使用しても差し支えない。
本発明のイオン性基の金属塩の含有量は、プロトンに交換した後のイオン性基密度として、プロトン伝導性および燃料クロスオーバー抑制の点から0.5〜3.5mmol/gが好ましく、より好ましくは1〜3.3mmol/g、さらに好ましくは1.5〜3.1mmol/gである。イオン性基密度を0.5mmol/g以上とすることにより、伝導度すなわち燃料電池の出力性能を維持することができ、また3.5mmol/g以下とすることで、燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な燃料遮断性および含水時の機械的強度を得ることができる。
ここで、イオン性基密度とは、電解質膜の単位乾燥重量当たりに導入された酸性基のモル量であり、この値が大きいほどイオン伝導が高い傾向にある。例えば、イオン性基がスルホン酸基の場合、スルホン酸基密度は、元素分析、中和滴定、キャピラリー電気泳動あるいは核磁気共鳴スペクトル法等により測定が可能である。スルホン酸基密度測定の容易さや精度の点で、元素分析が好ましく、通常はこの方法で分析を行う。ただし、スルホン酸基以外に硫黄源を含む場合など元素分析法では正確なスルホン酸基密度の算出が困難な場合には中和滴定法やキャピラリー電気泳動法を用いるものとする。さらに、これらの方法でもスルホン酸基密度の決定が困難な場合においては、核磁気共鳴スペクトル法を用いることが可能である。
本発明に使用できる電解質ポリマーの例としてイオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレンなどの、イオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられる。ここで、イオン性基については前述のとおりである。
これらポリマーの合成方法は、前記した特性や要件を満足できれば特に限定されるものではなく、例えば重合して得たポリマーに酸性基の金属塩または誘導体を導入してもよく、モノマーに酸性基の金属塩を導入後、該モノマーを重合して得ても構わない。
また、本発明の電解質膜前駆体は加水分解性基とイオン性基を含有することが必要である。ここでの加水分解性基とは、少なくとも一部を後の工程で除去または変性することを目的に一次的に導入される置換基の一種であり、溶液製膜を可能にするため加水分解性基を付与する。本発明は本来溶媒に難溶な結晶能があるポリマーユニットを有する電解質膜の製造に好適であり、溶液製膜過程での結晶化を阻害する目的で加水分解性基導入する。
例えば結晶性のポリエーテルケトンのケトン部位にアセタールまたはケタール部位で保護し、立体障害により結晶性を崩し溶媒に可溶化することが挙げられる。この、ポリエーテルケトンの芳香環の一部にイオン性基を導入した加水分解性基とイオン性基を含有する電解質とすることにより、電解質前駆体溶液の作製と基材への塗工が容易になり、加水分解性基を酸処理で加水分解しケトン結合に戻すことにより、耐水性、耐溶剤性の優れた電解質膜を得ることができる。また、加水分解性基は加熱、電子線などで除去することも可能である。さらに、本発明と同じ思想で、可溶性を付与するために加水分解性基以外の保護基を採用しても差し支えないが、電解質膜の連続生産性の観点から加水分解性基が最も好ましい。具体例としては、特開2006−561103号公報等に記載の加水分解性基とイオン性基を含有する電解質が挙げられる。
本発明で電解質前駆体を溶解する溶液は適宜実験的に選択できるが、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられ、単独でも二種以上の混合物でもよい。また、電解質前駆体溶液の粘度調整にメタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、パークロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化炭化水素系溶媒、などの各種低沸点溶剤も混合して使用できる。
本発明で使用する基材としては通常公知の材料が使用できるが、ステンレスなどの金属からなるエンドレスベルト、ドラム、ポリエチレンフタレート、ポリイミド、ポリスルホンなどのポリマーからなるフィルム、硝子、剥離紙などが挙げられる。金属などは表面に鏡面処理を施したり、ポリマーフィルムなどは塗工面にコロナ処理を施したり、剥離処理をしたり、ロール状に連続塗工する場合は塗工面の裏に剥離処理を施し、巻き取った後に電解質膜と塗工基材の裏側が接着したりするのを防止することもできる。フィルム基材の場合、厚みは特に限定がないが、30μm〜200μm程度がハンドリングの観点から好ましい。
特に、基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触を行なう場合は、ポリエチレンフタレート、ポリイミド、ポリスルホンなどのポリマーからなるフィルムが好ましく使用できる。
電解質溶液の塗工方法としては、通常公知の方法が採用でき、ナイフコート、ダイレクトロールコート(コンマコート)、グラビアコート、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、バキュームダイコート、カーテンコート、フローコート、スピンコート、リバースコート、スクリーン印刷などの手法が適用でき、連続塗工はダイコートや、コンマコートが好適である。
本発明の電解質膜の製造方法において、基板上に塗工された電解質溶液の溶媒の蒸発は、基材の加熱、熱風、赤外線ヒーター等の公知の方法が選択できる。溶媒の乾燥時間は設定温度により前記残存溶媒量となるように適宜実験的に決めることができる。
本発明で得られる電解質膜の膜厚としては特に制限がないが、通常3〜200μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには3μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには500μmより薄い方が好ましい。膜厚のより好ましい範囲は5〜100μm、さらに好ましい範囲は8〜50μmである。この膜厚は、塗工方法により種々の方法で制御できる。例えば、コンマやダイレクトコーターで塗工する場合は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができ、ダイコートでは吐出圧や口金のクリアランス、口金と基材のギャップなどで制御することができる。
本発明では酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる工程を有するが、酸性溶液としては通常公知の溶液が使用でき、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸など無機酸の水溶液が好適である。特に生産性や作業性の観点から硫酸が好ましい。酸性溶液の濃度、温度は適宜実験的に決定できるが、作業性、生産性の観点からく、濃度は0.1%〜30%の水溶液が好ましく、1%〜20%がさらに好ましい。温度は、室温〜80℃の範囲で処理時間の短縮のためには40℃以上が好ましい。
酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる方法としては、基材と電解質膜前駆体を連続的に剥離しながら酸性溶液槽に導く方法や、枚葉に切断し、専用の枠に固定しバッチ式で酸性溶液槽に浸漬する方法が挙げられる。
酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる工程の後、遊離酸の洗浄工程、液滴除去工程、を有するが、これらも通常公知の方法が採用でき、遊離酸の洗浄は、水槽への浸漬、シャワーなどを組み合わせ、洗浄液がpH6〜8の範囲まで洗浄する事が好ましい。
液滴除去工程は圧空等の気体を吹き付ける方法や、布やスポンジロールや不織布ロールで液滴を吸収したり、該ロールに減圧ポンプ等を組み合わせて吸引したりする方法が好ましい。
液滴除去後の乾燥工程は主に電解質膜の水分をコントロールする目的で実施し、乾燥条件等は後の工程の要求により適宜実験的に決定されるが、皺や反り、破れ等が発生しない条件が好ましい。特に皺防止としては、枠張りや、テンターおよびサクションロールなどで膜を固定する方法が挙げられ、乾燥による膜の収縮を防ぐことができる。連続処理では、テンターおよびサクションロールが好ましい。
また、この工程では基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触させる方法も好ましい選択肢の一つである。基材から剥離しないことにより、最終の乾燥工程まで電解質膜の皺や破れを防止でき、生産性と製品品位が向上する。乾燥後に基材から酸処理後の電解質膜前駆体を剥離する事により電解質膜が得られる。
また、本発明の電解質膜前駆体溶液中には、機械的強度の向上、イオン性基の熱安定性向上、加工性の向上などの目的のために、フィラーや無機微粒子を含有しても、ポリマーや金属酸化物からなるネットワークや微粒子を形成させても差し支えない。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)電解質膜前駆体中の溶剤濃度測定
溶剤濃度は電解質膜前駆体の重量をW1、同じ電解質膜前駆体を60℃の温水中で8時間水洗し、さらに100℃で8時間真空乾燥後の重量をW2とした時に下記式1で計算して求める。
電解質膜前駆体中の溶媒濃度(重量%)=(W1−W2)/W1×100 (式1)
(2)電解質膜の構造規則性測定
固体13C DD/MAS NMRにより電解質膜の構造規則を測定した。試料は5mm幅に裁断し、ジルコニア製固体NMR試料管に充填して測定した。測定条件は下記する。
芳香族のメインピークである133ppmの半値幅(Hz)で判断し、この値が小さい(ピークがシャープ)程、構造規則性が高いと判断した。
1)装置:Chemagnetics社製CMX−300
Bruker社製AVANCE400
2)測定:DD/MAS法 緩和時間モード
3)測定角:13
4)観測周波数:75.497791MHz、100.6248425MHz
5)パルス幅:4.2μs、3.3μs
6)観測幅:30.03kHz、40.00kHz
7)ポイント数:観測ポイント1024、データポイント8192
8)パルス繰り返し時間:PD:150s、10s
9)化学シフト基準:シリコーンゴム(内部基準1.56ppm)
10)試料回転数:9kHz、14kHz
11)測定温度:室温
(3)電解質膜のスルホン酸基密度の測定
検体となる膜の試料を25℃の純水に24時間浸漬し、40℃で24時間真空乾燥した後、元素分析により測定した。炭素、水素、窒素の分析は全自動元素分析装置varioEL、硫黄の分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定、フッ素の分析はフラスコ燃焼・イオンクロマトグラフ法で実施した。ポリマーの組成比から単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
(4)プロトン伝導度
前処理として膜の試料を25℃の純水に24時間浸漬し、定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency ResponseAnalyzer)を使用した。サンプルは、φ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(金めっきを施したステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cmである。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。
(5)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
(6)合成例1(加水分解性基を有するモノマー)
モンモリロナイトクレイK10(150g)、ジヒドロキシベンゾフェノン99gをエチレングリコール242mL/オルトギ酸トリメチル99mL中、生成する副生成物を蒸留させながら110℃で反応させた。18h後、オルトギ酸トリメチルを66g追加し、合成48h反応させた。反応溶液に酢酸エチル300mLを追加し、濾過後、2%炭酸水素ナトリウム水溶液で4回抽出を行った。さらに、濃縮後、ジクロロエタンで再結晶する事により目的の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランを得た。
(7)合成例2(イオン性基の金属塩を有するモノマー)
次に4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50%SO3)150mL(和光純薬試薬)中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、ジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。
(8)合成例3 (加水分解性基とイオン性基の金属塩を有する電解質前駆体)
次に炭酸カリウム276g、前記合成例1で得た2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン154g、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン80g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン87g、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン274gを用いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。重合液を遠心分離(遠心力;20000G)し精製塩を除去することで精製を行い、加水分解性基とイオン性基の金属塩を有する電解質前駆体溶液を得た。このポリマーの重量平均分子量は23万であった。
得られた加水分解性基とイオン性基を有する電解質前駆体の濃度が20重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで調整し、1μmのガラス繊維製フィルターで加圧濾過し、電解質膜前駆体溶液Aとした。
実施例1
基材として125μmのポリエチレンテレフタレート東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”を使用し連続塗工可能なコーター(コーター部;スリットダイコーター)にて電解質前駆体溶液Aを連続塗工した。塗工速度は溶媒蒸発工程温度140℃で10分間乾燥できる速度とし、溶媒蒸発後の電解質膜の厚みが30μmとなるように塗工条件を調整しロール状に巻き取った。
ロールの一部を切り出し、基材より電解質膜前駆体を剥離させた。この時、剥離性に問題なく、カールや皺、表面欠陥などは発生しなかった。この時の電解質膜の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ25重量%であった。また、上記(3)と同条件で測定した固体13C−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト約65ppmと約110ppmに加水分解性基であるケタール基由来のピークが認められ、膜の構造規則性を判定する133ppmの半値幅は680Hzであった。
次に、上記ロールの基材から電解質膜前駆体を剥離しながら、50℃に加熱した10重量%硫酸水溶液槽に0.3m/minの速度で連続的に20分間浸漬し、引き続いて遊離酸を洗浄するための水洗および水滴を除去し60℃で乾燥して電解質膜Aを得た。この時の乾燥は皺が入らないように電解質膜の両端をクリップで連続的に挟んで搬送するテンター方式を使用した。
得られた電解質膜Aのスルホン酸基密度は2.1mmol/gであり、プロトン伝導度は140mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ520Hzであり、電解質膜前駆体の値680Hzより構造規則性が高くなり、テンター部分に若干の皺が入ったが問題はなく、短時間で連続的にプロトン伝導度と構造規則性の優れた電解質膜が得られた。
実施例2
基材として125μmのポリエチレンテレフタレート東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”を使用し連続塗工可能なコーター(コーター部;スリットダイコーター)にて電解質前駆体溶液Aを連続塗工した。塗工速度は溶媒蒸発工程温度130℃で10分間乾燥できる速度とし、溶媒蒸発後の電解質膜の厚みが15μmとなるように塗工条件を調整しロール状に巻き取った。
ロールの一部を切り出し、基材より電解質膜前駆体を剥離させた。この時、剥離性に問題なく、カールや皺、表面欠陥などは発生しなかった。この時の電解質膜の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ15重量%であった。また、上記(3)と同条件で測定した固体13C−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト約65ppmと約110ppmに加水分解性基であるケタール基由来のピークが認められ、膜の構造規則性を判定する133ppmの半値幅は665Hzであった。
次に、上記ロールの基材から電解質膜前駆体を剥離せず、基材のまま、60℃に加熱した10重量%硫酸水溶液槽に0.3m/minの速度で連続的に15分間浸漬し、引き続いて遊離酸を洗浄するための水洗および水滴を除去し60℃で乾燥して電解質膜Bを得た。
得られた電解質膜Bを基材から剥離しスルホン酸基密度を測定したところ、2.05mmol/gであり、プロトン伝導度は135mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ511Hzであり、構造規則性が高くなり、短時間で連続的にプロトン伝導度と構造規則性が優れ、かつほとんど皺のない高品位な電解質膜が得られた。
実施例3
基材として100μmのポリエチレンテレフタレート東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”を使用し連続塗工可能なコーター(コーター部;スリットダイコーター)にて電解質前駆体溶液Aを連続塗工した。塗工速度は溶媒蒸発工程温度120℃で10分間乾燥できる速度とし、溶媒蒸発後の電解質膜の厚みが6μmとなるように塗工条件を調整しロール状に巻き取った。
ロールの一部を切り出し、基材より電解質膜前駆体を剥離させた。この時、剥離性に問題なく、カールや皺、表面欠陥などは発生しなかった。この時の電解質膜の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ5重量%であった。また、上記(3)と同条件で測定した固体13C−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト約65ppmと約110ppmに加水分解性基であるケタール基由来のピークが認められ、膜の構造規則性を判定する133ppmの半値幅は648Hzであった。
次に、上記ロールの基材から電解質膜前駆体を剥離せず、基材のまま、60℃に加熱した10重量%硫酸水溶液槽に0.3m/minの速度で連続的に15分間浸漬し、引き続いて遊離酸を洗浄するための水洗および水滴を除去し60℃で乾燥して電解質膜Cを得た。
得られた電解質膜Cを基材から剥離しスルホン酸基密度を測定したところ、2.07mmol/gであり、プロトン伝導度は137mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ507Hzであり、構造規則性が高くなり、短時間で連続的にプロトン伝導度と構造規則性が優れ、かつほとんど皺のない高品位な電解質膜が得られた。
実施例4
基材として188μmのポリエチレンテレフタレート東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”を使用し連続塗工可能なコーター(コーター部;スリットダイコーター)にて電解質前駆体溶液Aを連続塗工した。塗工速度は溶媒蒸発工程温度130℃で10分間乾燥できる速度とし、溶媒蒸発後の電解質膜の厚みが60μmとなるように塗工条件を調整しロール状に巻き取った。
ロールの一部を切り出し、基材より電解質膜前駆体を剥離させた。この時、剥離性に問題なく、カールや皺、表面欠陥などは発生しなかった。この時の電解質膜の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ50重量%であった。また、上記(3)と同条件で測定した固体13C−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト約65ppmと約110ppmに加水分解性基であるケタール基由来のピークが認められ、膜の構造規則性を判定する133ppmの半値幅は677Hzであった。
次に、上記ロールの基材から電解質膜前駆体を剥離せず、基材のまま、60℃に加熱した10重量%硫酸水溶液槽に0.1m/minの速度で連続的に45分間浸漬し、引き続いて遊離酸を洗浄するための水洗および水滴を除去し60℃で乾燥して電解質膜Dを得た。
得られた電解質膜Dを基材から剥離しスルホン酸基密度を測定したところ、2.01mmol/gであり、プロトン伝導度は129mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ515Hzであり、構造規則性が高くなり、短時間で連続的にプロトン伝導度と構造規則性が優れ、かつほとんど皺のない高品位な電解質膜が得られた。
比較例1
溶媒蒸発工程温度を150℃、30分にし、さらに200℃で10分間熱処理した以外は実施例1と同様に電解質膜前駆体を製造した。この時の電解質膜前駆体の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ3重量%であった。次に、実施例1と同様に電解質膜Cを得た。得られた電解質膜Cのスルホン酸基密度は1.7mmol/gであり、プロトン伝導度は85mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ600Hzであり、プロトン伝導度と構造規則性が実施例1の電解質膜Aと比較し明らかに劣っていた。
比較例2
溶媒蒸発工程温度を150℃、30分にし、さらに200℃で10分間熱処理した以外は実施例2と同様に電解質膜前駆体を製造した。この時の電解質膜前駆体の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ2重量%であった。次に、実施例2と同様に電解質膜Dを得た。得られた電解質膜Dのスルホン酸基密度は1.65mmol/gであり、プロトン伝導度は70mS/cmであった。膜の構造規則性を測定したところ605Hzであり、プロトン伝導度と構造規則性が実施例2の電解質膜Bと比較し明らかに劣っていた。
比較例3
溶媒蒸発工程温度を110℃、10分にした以外は実施例4と同様に電解質膜前駆体を製造したが、電解質膜前駆体膜と基材の裏面が連続巻き取り時に貼り付き、電解質膜前駆体膜表面に欠陥が発生した。この時の電解質膜前駆体の一部を採取し残存溶媒濃度を測定したところ55重量%であった。
本発明の製造方法で得られた電解質膜は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特に水素やメタノール水溶液を燃料とする燃料電池に好適であり、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、デジタルオーディオプレーヤー、各種ディスプレー類などの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体、各種ロボット、サイボーグなどの電力供給源として好ましく用いられる。特に携帯用機器では、電力供給源だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用にも使用され、さらには二次電池やキャパシタ、太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。

Claims (2)

  1. イオン性基の金属塩および加水分解性基を含有する電解質ポリマーならびに溶媒を含む溶液を基材上に塗布する工程、該溶媒を蒸発させ電解質膜前駆体を得る工程、酸性溶液と電解質膜前駆体を接触させる工程、遊離酸の洗浄工程、液滴除去工程、および乾燥工程を有する電解質膜の製造方法において、酸性溶液と接触させる前の電解質膜前駆体中の溶媒濃度が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする電解質膜の製造方法。
  2. 基材から電解質膜前駆体を剥離することなく酸性溶液との接触を行なう請求項1記載の電解質膜の製造方法。
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