JP5402732B2 - 樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 - Google Patents
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いる。LSI等の電子部品を搭載する積層板においても小型軽量化の要求は強くなってい
る。小型軽量化のためには導体回路幅を小さくすることや、スルーホール径を小さくしメ
ッキ厚さを薄くすることが必要である。しかし、メッキ厚さを薄くすると熱衝撃時にメッ
キクラックが発生するおそれがあり、接続信頼性が低下することがある。このため、積層
板には耐熱性が要求され、また、厚み方向の線膨張係数が小さいことが要求される。
係数を両立できる(例えば、特許文献1参照。)。しかし、一方でジシクロペンタジエン
型エポキシ樹脂は導体回路金属との密着性が劣る欠点がある。
良好な積層板を得ることができる樹脂組成物、及び、これを用いたプリプレグと積層板を
提供するものである。
(1)基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、ジシアンジアミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物とを含有し、かつ、前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂全体の70〜90重量%であり、前記ジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して1.5〜3.5重量部であり、前記分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜12重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記(1)に記載の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
(3)上記(2)に記載のプリプレグを1枚以上成形してなることを特徴とする積層板。
ミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物を含有する樹脂組成物、及び
、これを用いたプリプレグ、積層板であり、従来のものと比較して、十分な耐熱性、低線
膨張係数、密着性を発現できる。
る樹脂組成物であって、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、ジ
シアンジアミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物を含有することを
特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上述の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴と
するものである。
また、本発明の積層板は、上述のプリプレグを1枚以上成形してなることを特徴とする
ものである。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
用いる。これにより、樹脂組成物等の耐熱性を向上させることができ、線膨張係数を低く
できる。
定されないが、下記一般式で表されるジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂を
好適に用いることができる。
0.2〜4.0であるものを用いることが好ましい。これにより、耐熱性と低吸水性を発
現できる。
脂全体の60〜90重量%が好ましく、特に70〜80重量%が好ましい。ジシクロペン
タジエン型エポキシ樹脂の含有量が上記下限値未満であると耐熱性を向上させる効果が低
下する場合があり、上記上限値を超えると密着性が低下する場合がある。
エポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを用いることができる。エポキシ樹脂として臭素化
エポキシ樹脂を用いると、エポキシ樹脂の特性を低下させることなく難燃化でき好ましい
。
性を維持したまま密着性を向上させることができる。
ラス転移点が高くなる。また、ジシアンジアミドに窒素原子が含まれるため、密着性が向
上する。
シ樹脂に対する溶解性が悪い。このためジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を充分に硬
化させるのに必要なジシアンジアミドを加えると、樹脂組成物中でジシアンジアミドが析
出し、未反応のジシアンジアミドが積層板中にも残存するため、耐熱性が悪化する問題が
ある。また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂に溶解するだけの量のジシアンジアミ
ドでは、硬化が不充分となり耐熱性が悪化する問題がある。
1つ有する芳香族アミノ化合物を用いることを特徴とする。これにより、耐熱性を低下さ
せることなく、密着性を付与することができる。
本発明の樹脂組成物においては、ジシアンジアミドとともに分子内にアミノ基を1つ有
する芳香族アミノ化合物を用いるので、ジシアンジアミドとしては、ジシクロペンタジエ
ン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂(以下、単に「エポキシ樹脂」ということがある)
に溶解できるだけの量を用いることができる。これにより、未反応のジシアンジアミドが
析出することによる耐熱性の低下を防止することができる。
また、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物は、そのアミノ基により、エ
ポキシ樹脂のエポキシ基と反応するため、樹脂中に未反応のエポキシ基が残存することが
なく充分な耐熱性を付与することができる。
さらに、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物は、その1分子に対し、エ
ポキシ基2つとしか反応しないため、樹脂の硬化過程において樹脂組成物の粘度が上がり
にくいという特徴を有する。これにより、エポキシ樹脂に対するジシアンジアミドの溶解
度を実質的に低下させることがなく、配合したジシアンジアミドをエポキシ樹脂と効率的
に反応させることができる。
本発明の樹脂組成物は、このように、ジシアンジアミドと分子内にアミノ基を1つ有す
る芳香族アミノ化合物とが各々有する単独の効果だけでなく、両者を併用することによる
上記の相乗効果をも有するものである。そして、ジシアンジアミドの溶解性が低いジシク
ロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いた場合でも、その低線膨張性とともに、積層板に高
い密着性、耐熱性を付与することができるものである。
て1.5〜3.5重量部、特に2.0〜3.0重量部が好ましい。含有量が上記下限値未
満であると樹脂の密着性が低下し、上記上限値を超えるとジシアンジアミドが析出し半田
耐熱性が低下する場合がある。
例えば、o-アニシジン、m-アニシジン、p-アニシジン、アニリン、2,4-キシリジン
、3,4-キシリジン、クレシジン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、ア
ミノベンズアルデヒド、アミノベンゾニトリル、ニトロアニリンなどが挙げられる。
これらの中でも、o-アニシジン、m-アニシジン、p-アニシジンを用いると、沸点が
高く、作業性の点から好ましい。
が、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜12重量部が好ましく、特に5〜10重量部
が好ましい。
含有量が上記下限値未満であると、エポキシ樹脂の硬化が充分でなく、積層板の耐熱性
が低下することがある。一方、上記上限値を超えると、硬化反応に関与できない芳香族ア
ミノ化合物が多くなるため、同様に耐熱性が低下する場合がある。
樹脂と、ジシアンジアミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物を必須
成分として含有するが、本発明の目的に反しない範囲において、その他の樹脂、イミダゾ
ール化合物などの硬化促進剤、カップリング剤、その他の成分を添加することは差し支え
ない。
本発明のプリプレグは、上述の樹脂組成物を基材に含浸させてなるものである。これに
より、耐熱性等の各種特性に優れたプリプレグを得ることができる。
本発明のプリプレグで用いる基材としては、例えばガラス繊布、ガラス不繊布等のガラ
ス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維
基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられ
る。これら基材の中でも強度、吸水率の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材が好
ましい。
に溶解して樹脂ワニスを調製し、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーター装置に
より樹脂ワニスを基材に塗布する方法、樹脂ワニスをスプレー装置により基材に吹き付け
る方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。
これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、基材を
樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布装置を使用することができる。
が望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を
示す溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる
。
上記樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されないが、上記樹脂組成物の固形分40〜8
0重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材
への含浸性を更に向上できる。
上記基材に前記樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃で乾燥させる
ことによりプリプレグを得ることができる。
本発明の積層板は、上述のプリプレグを少なくとも1枚成形してなるものである。これ
により、
優れた耐熱性を有し、厚み方向の線膨張係数が小さく、密着性が良好な積層板を得ること
ができる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ね
る。
また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するとき
は、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを
重ねる。
次に、プリプレグと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ること
ができる。
上記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150
〜200℃が好ましい。
また、上記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.
5〜4MPaが好ましい。
はない。
(1)樹脂ワニスの調製
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ当量270、大日本インキ化学工業社
製HP-7200H)75.5重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキ
シ当量400、大日本インキ化学工業社製153)24.5重量部、ジシアンジアミド2
.3重量部、p-アニシジン7.4重量部、2-メチルイミダゾール0.1重量部にジメチ
ルホルムアミドを加え、不揮発分濃度55重量%となるように樹脂ワニスを調製した。
上述の樹脂ワニスを用いて、ガラス繊布(厚さ0.18mm、日東紡績社製)100重
量部に対して、樹脂ワニスを固形分で80重量部含浸させて、150℃の乾燥炉で5分間
乾燥させ、樹脂含有量44.4重量%のプリプレグを作製した。
上記プリプレグを6枚重ね、上下に厚さ35μmの電解銅箔を重ねて、圧力4MPa、
温度200℃で120分間、220℃で60分間加熱加圧成形を行い、厚さ1.2mmの
両面銅張積層板を得た。
ジシアンジアミドの配合量を2.7重量部、p-アニシジンの配合量を5.3重量部と
した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ及び積層板を得た。
ジシアンジアミドの配合量を3.0重量部、p-アニシジンの配合量を3.2重量部と
した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ及び積層板を得た。
分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物としてo-アニシジンを用いた以外
は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ及び積層板を得た。
分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物を用いず、硬化剤としてジシアンジ
アミドのみを用い、表1の配合量とした以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し
、プリプレグ及び積層板を得た。
分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物を用いず、分子内にアミノ基を2つ
有するジアミノジフェニルメタンを用い、表1の配合量とした以外は実施例1と同様にし
て樹脂ワニスを調製し、プリプレグ及び積層板を得た。
ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂の代わりに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
を用い、表1の配合量とした以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレ
グ及び積層板を得た。
、評価方法と共に以下に示す。得られた結果を表1に示す。
1.原材料
(1)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ当量270、商品名:大日本イン
キ化学工業社製HP-7200H)
(2)臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量400、臭素化率49%、
商品名:大日本インキ化学工業社製153)
(3)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210、商品名:大日本イン
キ化学工業社製N-690)
(1)ガラス転移温度
ガラス転移温度は粘弾性法によりtanδのピーク温度から求めた。
厚み方向線膨張係数はTMA(熱機械分析)で測定し、50℃から150℃の平均値を
示した。
半田耐熱性は、JIS C 6481に準拠して測定した。測定は、煮沸2時間の吸湿
処理を行った後、260℃の半田槽に120秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた
。
ピール強度は、JIS C 6481に準拠して測定した。
エポキシ樹脂と、ジシアンジアミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合
物とを含有する本発明の樹脂組成物を用いた積層板であり、耐熱性、厚み方向の線膨張係
数、密着性に優れていた。
これに対して比較例1は硬化剤としてジシアンジアミドのみを用いたが、ジシアンジア
ミドが析出し、半田耐熱性や密着性が低下した。比較例2は分子内にアミノ基を2つ有す
る芳香族アミノ化合物を用いたが、エポキシ樹脂の硬化が充分でなく、半田耐熱性が低下
した。また、比較例3はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いなかったので、厚み
方向の線膨張係数が劣る結果となった。
低線膨張係数、密着性の要求されるプリント配線板に適する。
Claims (3)
- 基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、ジシアンジアミドと、分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物とを含有し、かつ、前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂全体の70〜90重量%であり、前記ジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して1.5〜3.5重量部であり、前記分子内にアミノ基を1つ有する芳香族アミノ化合物の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜12重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項2に記載のプリプレグを1枚以上成形してなることを特徴とする積層板。
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