JP5400984B1 - ブラシの製造方法及びブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】ブラシ毛が芯線の周りに複数の螺旋を形成しながら放射状に広がるブラシを熟練なくして、効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】コイル状の弾性線材からなる毛材6とこの毛材の輪の中に通された金属製の芯線2とからなる複数の毛材・芯線組み合わせ体7を形成する。組み合わせ体7と同数の他の金属製の芯線3を用意する。組み合わせ体7の芯線2と他の芯線3とを接近させ、撚りの回転方向に交互に配置することにより、芯線集合体8を形成する。芯線集合体8を軸線方向に連続的に撚ることにより、毛材の多数のループ9が芯線2,3の撚りに沿って長手方向に螺旋状に配列された撚線体10を形成する。撚線体10の毛材のループ9を切断し、複数の螺旋状のブラシ毛5の列を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、長手方向に連続的に撚られた複数の金属製の芯線の間に、当該芯線の撚りに沿って螺旋状に並ぶブラシ毛の列を有するブラシの製造方法と、この方法により製造されたブラシに関する。
従来、撚られた金属製の芯線の間に、その撚りに沿って螺旋状に並んで保持されたブラシ毛を有するブラシが、工業用、医療用、民生用等、種々の目的に使用されている。この形式のブラシは、用途に応じて1mm以下から100mm以上まで、大きさは様々であるが、いずれも同様の方法で製造される。
特許文献1には、ブラシ毛が二重の螺旋状に配列された、磁気ディスク用基板の内周端面を研磨するブラシの製造方法が開示(図2B参照)されている。この研磨ブラシは、4本の芯線における異なる2箇所の芯線間に毛材を挟み込み、これら芯線を互いに捻ることによって構成される。このブラシは、毛材の列のなす螺旋が二重螺旋となり、「ダブルスパイラルブラシ」と称される。
一方、特許文献2には、2つの円筒状コイルの中にそれぞれ芯線を通し、その芯線にねじりを加えたねじりブラシが記載されている。また特許文献3には、2ないし4本の螺旋状に巻かれたブラシ毛となる繊維に、それぞれ軸部材を挿入し、両軸部材を捻り合わせてブラシ軸とし、ブラシ軸の周りに、繊維の多数のループを螺旋状に配列し、隣接するループの列間に螺旋状の溝を形成するマスカラブラシの製造方法が開示(図14参照)されている。
特開2006−15450号公報 実用新案登録第3009324号公報 特開2006−262984号公報
特許文献1に記載されたブラシの製造方法においては、芯線の撚りにしたがって、毛材が中央部でほぼV字状に折れ曲がる必要がある。ところが、用途に応じて、より剛性のある毛材が採用されるとき、芯線に撚りをかけるだけでは毛材が折れ曲がらないことがあり、この場合には芯線の撚りが不均一に膨らんで、ブラシ毛の列を整然と螺旋状に並べることができない。そこで、ブラシ毛の中央に位置する2本の芯線に強い力をかけることにより、ブラシ毛を折り曲げて芯線間を密着させつつ、芯線に撚りをかけるという作業が必要になる。この作業は、熟練を要し、効率の悪い作業であるという問題点がある。
特許文献2、3に記載されたブラシの製造方法では、芯線を撚るときに、螺旋状のブラシ毛の繊維同士が直接接触することになるため、隣接する輪の間に互いに他方の輪が不規則に入り込んで螺旋の配列が不規則になる。ブラシ毛の繊維の太さが異なる場合や、螺旋が密着していない場合にこの現象が著しい。材質の異なるブラシ毛の繊維を用いる場合には、均一な配列が得られない。
したがって、本発明は、ループ状のブラシ毛あるいは放射状に延びる湾曲したブラシ毛が、芯線の周りに複数の螺旋列を形成するブラシを熟練なしに、効率よく製造する方法を提供することを目的としている。
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のブラシの製造方法は、コイル状に成形された弾性線材からなる毛材6とこの毛材6の輪の中に通された金属製の芯線2とからなる複数の毛材・芯線組み合わせ体7を形成する工程と、この組み合わせ体7と同数の他の金属製の芯線3を用意する工程と、組み合わせ体7の芯線2と他の芯線3とを接近させて、撚りの回転方向に交互に配置することにより、芯線集合体8を形成する工程と、この芯線集合体8を軸線方向に連続的に撚る工程とを含み、それにより、毛材の多数のループ9が芯線2,3の撚りに沿って長手方向に螺旋状に配列されたブラシが形成される。
本発明の他のブラシの製造方法は、前記全ての工程の後に、毛材6のループ9を切断する追加的工程を含み、それにより、ブラシ毛が、芯線に対してほぼ直交方向に湾曲して放射状に延出するブラシを形成する。
本発明の方法により、ループ状のブラシ毛の列が、芯線の周りに整然と複数の螺旋を形成して並ぶブラシを熟練なしに、効率よく製造することができる。
本発明の他の方法により、湾曲して放射状に広がるブラシ毛の列が、芯線の周りに整然と複数の螺旋を形成して並ぶブラシを熟練なしに、効率よく製造することができる。
本発明に係るブラシを示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図1のブラシの製造過程を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図1のブラシの製造過程を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図1のブラシの製造過程又は他のブラシの完成体を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。 本発明に係るさらに他のブラシの製造過程又はさらに他のブラシの完成体を示す平面図である。
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1において、ブラシ1は、長手方向に連続的に撚られた4本の金属製の芯線2,2,3,3からなる軸4に、螺旋状に並ぶブラシ毛5の列を保持してなる。ブラシ毛5は、各芯線2,3間に、これらの芯線2,3に対してほぼ直交する方向に湾曲して延出し、芯線2,3の撚りに沿って螺旋状に並ぶ。ブラシ毛5の列は、芯線2,3の周りに二重の螺旋をなして配列される。図1(B)に示すように、ブラシ毛5は、それぞれ芯線2により中央部を押さえられ、芯線2の両側に隣接する他の2本の芯線3との間に挟まれる。したがって、ブラシ毛4の各螺旋列の間には、芯線3が介在する。
このブラシの製造工程を図2ないし4に示す。図2において、ブラシ毛5となる弾性線材をコイル状に形成した2つの毛材6の輪の中にそれぞれ金属製の芯線2を挿通して、2つの毛材・芯線組み合わせ体7を形成する。一方、2本の他の金属製の芯線3を用意する。毛材6は、単一線材であっても撚り線材であってもよい。
図3において、組み合わせ体7の芯線2と他の芯線3とを接近させ、図3(B)に示すように、撚りの回転方向に交互に配置して結束することにより芯線集合体8を形成する。
図4において、芯線集合体8を軸線方向に連続的に撚ることにより、毛材6の多数のループ9が芯線2,3の撚りに沿って長手方向に螺旋状に配列された撚線体10を形成する。この撚線体10が、本発明の1つの実施形態としてのブラシを構成する。このブラシは、ループ状の一連のブラシ毛を有する。このブラシ10は、ブラシ毛が芯線から抜け落ちることがないので、洗浄過程における異物混入を嫌う機械装置の洗浄等に適する。
次いで、撚線体10の毛材のループ9を、図4の線Cに沿って切除することにより、図1に示す他の実施形態のブラシ1が形成される。このブラシ1は、軸4の周りにほぼ放射状に広がる2つの螺旋状のブラシ毛5の列を有する。このブラシ毛5は、ほぼ円弧状に湾曲している。なお、必要に応じ、湾曲を矯正する熱処理等を行って、直毛とすることもできる。
撚線体10を形成する工程まで、毛材6は一連であるから取り扱いが容易である。毛材6は屈折すべき方向に予め湾曲しているので、芯線2,3間の撚りによる圧力で容易に屈折する。したがって、芯線2,3の撚りが均一で、ブラシ毛5の列が整然と螺旋状に並んだブラシ1を容易に製造できる。
図5には、さらに他の実施形態のブラシの製造過程を示す。図5において、3つの毛材・芯線組み合わせ体7と、3本の芯線3とを用意する。コイル状の毛材6に通した芯線2と他の芯線3とを接近させて、撚りの回転方向に交互に配置し、芯線2,3を撚り合わせる。これで、3本の芯線2に沿って3重の螺旋状に並ぶループ状のブラシ毛列を有するブラシが形成される。また、線Cに沿ってループを切断すれは、ブラシ毛が放射状に広がる別のブラシを形成することができる。組み合わせ体7と芯線3の数を増やせば、軸4をより強靱にし、かつブラシ毛5の密度を高めることができる。いずれの場合も、組み合わせ体7と芯線3は同数とし、芯線2と芯線3とを撚りの回転方向に交互に配置することで、ブラシ毛4の各螺旋列の間に芯線3を介在させることができる。
図2における各一対の芯線2,3は、それぞれ1本の金属線材を折り返したものとすることができる。芯線3を芯線2より大径のものとすることができる。毛材6のコイルのループの形状は、円形に限らず、用途に応じて種々の形状、大きさに変更が可能である。毛材6として、太さや材質、コイルピッチの異なるものを混用することができる。また、径が大小異なるコイルを2重に重ねることができる。
1 ブラシ
2 芯線
3 芯線
4 軸
5 ブラシ毛
6 毛材
7 組み合わせ体
8 芯線集合体
9 ループ
10 撚線体

Claims (6)

  1. 長手方向に連続的に撚られた複数の金属製の芯線の間に、当該芯線の撚りに沿って螺旋状に並ぶブラシ毛の複数の列を有するブラシの製造方法であって、
    コイル状に成形された弾性線材からなる毛材と、この毛材の輪の中に通された金属製の芯線とからなる複数の毛材・芯線組み合わせ体を形成する工程と、
    前記組み合わせ体と同数の金属製の他の芯線を用意する工程と、
    前記組み合わせ体の芯線と前記他の芯線とを接近させて、撚りの回転方向に交互に配置することにより、異なる組み合わせ体の毛材同士を他の芯線により隔離した芯線集合体を形成する工程と、
    前記芯線集合体を軸線方向に連続的に撚る工程と、を含み、
    それにより、螺旋状に並ぶループ状のブラシ毛の複数の列を有するブラシを形成することを特徴とするブラシの製造方法。
  2. 請求項1に記載の全ての工程の後に、形成された前記毛材のループを切断する追加的工程を含み、
    それにより、芯線に対してほぼ直交方向に湾曲して放射状に延出するブラシ毛の列を有するブラシを形成することを特徴とするブラシの製造方法。
  3. 2本の前記組み合わせ体と2本の前記他の芯線とを撚りの回転方向に交互に配置して前記芯線集合体を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシの製造方法。
  4. 3本の前記組み合わせ体と3本の前記他の芯線とを撚りの回転方向に交互に配置して前記芯線集合体を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシの製造方法。
  5. 請求項1ないし4に記載のいずれかの方法により製造されたブラシ。
  6. 長手方向に連続的に撚られた複数の金属製の芯線の間に、当該芯線の撚りに沿って螺旋状に並ぶブラシ毛の列を有し、
    前記ブラシ毛が、湾曲し、前記芯線に対してほぼ直交方向に放射状に延出するブラシであって、
    前記複数の金属製の芯線が、請求項1に記載の毛材・芯線組み合わせ体における金属製の芯線と、当該芯線と同数の他の金属製の芯線とからなることを特徴とするブラシ
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