JP6435308B2 - 撚線導体 - Google Patents

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本発明は、撚線導体に関するものである。
従来、電線等に使用される撚線導体として、図7に示すように、断面円形の第1素線101を、同一円周上に配置して形成した最外層102と、その内側に第2素線103を周方向に複数配置して第1外層104を形成し、この2層で外層105を形成し、この外層105の中心側に中空部106を形成した撚線導体107が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−158331号公報
上記、従来技術の撚線導体107は、断面が円形で、かつ、中実の素線101,103を使用しているために、撚線導体107を大径化すると、重量が重くなる問題がある。
また、外層105が2層で構成され、その内側の第1外層104を構成する素線103の外径よりも外側の最外層102を構成する素線101の外径が大きく形成されているために、柔軟性に劣るという問題も指摘されている。
そこで、本発明は、上記従来技術の撚線導体よりも軽量化できるとともに、柔軟性を向上させた撚線導体を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数層からなる外層を有し、該外層の内側に中空部を形成し、
前記外層の最外層は、中心部に中空部を有する撚線からなる構成部材を複数本周方向に配置して形成され、
前記最外層を構成する構成部材の数と、最外層以外の各層を構成する構成部材の数を同じとし、
前記最外層を構成し、かつ、周方向に隣り合う構成部材間の谷間部に、外層を構成するとともに、前記最外層の内側に設けられた構成部材を配設したことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記最外層を構成する構成部材の外径を、最外層以外の各層を構成する構成部材の外径より大きく形成したことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記最外層を構成する構成部材が、複数層で構成されていることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記最外層を構成する構成部材の数が5つ以上であることを特徴とするものである。
本発明の撚線導体は、最外層を構成する構成部材を、その中心部に中空部を有する撚線で構成したことにより、従来技術の撚線導体107と比較して、軽量化を図ることができるとともに、柔軟性等の物理特性を向上することができる。
本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。 本発明の実施例2に係る撚線導体の横断面図。 本発明の実施例3に係る撚線導体の一例を示す横断面図。 本発明の実施例4に係る撚線導体の一例を示す横断面図。 本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。 本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。 従来技術に係る撚線導体の横断面図。
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した横断面図で、その各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
撚線導体1は、最外層2と第1外層3の2層からなる外層5を有し、外層5の内側部には、撚線導体1の軸方向全体わたって形成された中空からなる親撚中空部7が形成されている。
最外層2は、図1に示すように、10本の第1構成部材11を周方向に配置して構成されている。夫々の第1構成部材11は、子撚外層12と、この子撚外層12の内側に形成された子撚中空部13を有する撚線(第1撚線)15で構成されている。子撚外層12は、15本の素線12aを周方向に配置して形成されるとともに、1層で構成されている。また、子撚中空部13は、軸方向全体わたって形成された中空部で構成されている。なお、子撚外層12を構成する素線12aの本数は、子撚中空部13を形成することができる本数であれば、15本以外にも任意の数で構成することができる。
第1外層3は、図1に示すように、最外層2の内側に設けられ、10本の第2構成部材17を周方向に配置して構成されている。夫々の第2構成部材17は、断面が略円形の1本の素線18で構成されている。
第1外層3を構成する素線18は、最外層2を構成するとともに、周方向に隣接する第1撚線15と15の間に形成される谷間部16に位置するように配置され、素線18は、外側に位置する第1構成部材11,11に当接している。
最外層2を構成する第1撚線15の外径は、第1外層3を構成する素線18の外径よりも大きくなるように設定されている。
各素線12a,18の基となる線材としては、裸銅線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線等の銅線、この銅線に、錫、ニッケル、銀等をメッキしたもの、アルミ線、各種合金線、及び、エナメル線、リッツ線、ホルマル線等の絶縁被覆されたもの等を使用することができる。第1構成部材11の素線12aと第2構成部材17の素線18は、同じ素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
次に、撚線導体1の製造方法について説明する。
先ず、特開2008−09122号公報に記載の製造方法などの任意の製造方法で、かつ、任意の圧縮率を用いて子撚りをかけながら、第1構成部材11である第1撚線15を製造する。
次に、10本の第1撚線15と、10本の素線18を、図示しない目板を通して、第1撚線15と素線18が、所定の配列となるようにして図示しない集線ダイスに均等に寄せ集められる。
この集線ダイスにおいて、子撚り方向と同じ方向に親撚りをかけながら、撚線導体1を製造する。目板を通過する時点では、第1撚線15と素線18に撚りはかけず、集線ダイスにおいて撚りをかけるようになっている。これにより、第1撚線15の撚りがほどけることなく、撚線導体に対して親撚りをかけることができ、撚線導体1の形状を良好に形成することができる。
撚線導体1の最外層2は、上記のように、中心部に子撚中空部13を有する第1撚線15を周方向に配置して形成されているため、第1撚線15と同じ外径を有する中実の素線を周方向に配置して形成した上記従来技術の撚線導体と比較して、撚線導体1を軽量化できるとともに、柔軟性を向上させることができる。
また、撚線導体1は、2層で構成されるとともに、最外層2を構成する第1撚線15と15の谷間部16に素線18を配置したことで、緻密な配置構造とすることができ、撚線導体1を細径化できるとともに、その撚形態が安定する。
また、撚線導体1は、内部に親撚中空部7を有するため柔軟性が良い。
また、最外層2を構成する第1撚線15を軟質材、第1外層3を構成する素線18を硬質材で構成するなど、最外層2と第1外層3を構成する材質を変えることにより、撚線導体1の物理特性をより向上することが期待できる。
[実施例2]
上記実施例1においては、その最外層2を構成する第1構成部材11を1層からなる第1撚線15で構成したが、図2に示すように、その最外層2を構成する第1構成部材21を、子撚最外層22と子撚第1外層23の2層からなる第1撚線25を用いて、撚線導体20としてもよい。
子撚最外層22は、上記実施例1における第1撚線15の子撚外層12と同様に形成されている。子撚第1外層23は、子撚最外層22に設けられ、15本の素線23aを周方向に配置して形成され、素線23aは、子撚最外層22を構成する隣接する素線22aと22aの谷間部26に位置するように配設されている。
子撚最外層22を構成する素線22aの線径は、子撚第1外層23を構成する素線23aの線径よりも大きく設定されている。
なお、子撚最外層22を構成する素線22aの数と、子撚第1外層23を構成する素線23aの数は、素線22a,23aの数が同じに設定され、かつ、子撚中空部13を形成できれば、15本以外にも任意の数とすることができる。
また、子撚最外層22を構成する素線22aの材質と、子撚第1外層23を構成する素線23aの材質は、同じとしてもよいし、異なる材質で構成してもよい。
子撚第1外層23の内側には、図2に示すように、子撚中空部24が形成されている。
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を発揮することができる。
本実施例2おいては、更に、最外層2を2層からなる第1撚線25で構成したことにより、第1撚線25を、上記実施例1の第1撚線15よりも低い圧縮率で成形することができるために、より撚線導体20の柔軟性などの物理特性を上記実施例1の撚線導体1よりも向上することができる。
[実施例3]
上記実施例1又は2においては、第1外層3の第2構成部材17を、中実の1本の素線18で構成したが、図3に示すように、中空部を有する撚線で構成した撚線導体30としてもよい。
本実施例3の第2構成部材37は、例えば、図3に示すように、7本の素線38aを周方向に配置して構成された1層からなる子撚外層38bと、この子撚外層38bの内側に形成されるとともに、軸方向全体わたって形成された中空からなる子撚中空部38cを有する撚線(第2撚線)38で構成されている。なお、子撚外層38bは、図3に示す例では、7本で構成したが、子撚中空部38cを構成できれば、7本以外人も任意の数の素線38aを用いて構成することができる。
第2構成部材37は、図3に示すように、少なくとも1層で構成された子撚外層38bとその内側部に形成された子撚中空部38cを有すればよく、子撚外層38bを複数層で構成してもよい。
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用、効果を発揮することができる。
本実施例3おいては、更に、第1外層3を構成する第2構成部材37を、子撚中空部38cを有する撚線38で構成したことにより、撚線導体30の柔軟性などの物理特性を上記実施例1,2の撚線導体1,20よりも向上させることができる。
[実施例4]
上記実施例1〜3の撚線導体1,20,30は、最外層2と第1外層3の2層からなる外層5で構成したが、この外層は、その内部に親撚中空部7が形成されていれば、3層以上の複数層で構成してもよい。
その他の構造は、上記実施例1〜3と同様であるため説明を省略する。
本実施例4においても、上記実施例1〜3と同様の作用、効果を発揮することができる。
[実施例5]
上記実施例1〜4においては、第1構成部材11,21と、第2構成部材17,37の数を同じ10本としたが、5本以上であれば任意の数に設定することができる。
例えば、図4に示すように、第1構成部材11,21と、第2構成部材17,37の数を同じ5本としてもよいし、図5に示すように、第1構成部材11,21と、第2構成部材17,37の数を同じ8本としてもよいし、図6に示すように、第1構成部材11,21と、第2構成部材17,37の数を同じ9本としてもよい。
その他の構造は、上記実施例1〜4と同様であるため説明を省略する。
本実施例5においても、上記実施例1〜4と同様の作用、効果を発揮することができる。
1,20,30 撚線導体
2 最外層
5 外層
7 中空部
11,21 最外層を構成する構成部材
17,37 最外層以外の各層を構成する構成部材

Claims (4)

  1. 複数層からなる外層を有し、該外層の内側に中空部を形成し、
    前記外層の最外層は、中心部に中空部を有する撚線からなる構成部材を複数本周方向に配置して形成され、
    前記最外層を構成する構成部材の数と、最外層以外の各層を構成する構成部材の数を同じとし、
    前記最外層を構成し、かつ、周方向に隣り合う構成部材間の谷間部に、外層を構成するとともに、前記最外層の内側に設けられた構成部材を配設したことを特徴とする撚線導体。
  2. 前記最外層を構成する構成部材の外径を、最外層以外の各層を構成する構成部材の外径より大きく形成したことを特徴とする請求項1記載の撚線導体。
  3. 前記最外層を構成する構成部材が、複数層で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の撚線導体。
  4. 前記最外層を構成する構成部材の数が5つ以上であることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の撚線導体。
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