JP6463453B1 - 撚線導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造が容易で、かつ、撚線導体の断面形状を真円状に近い形状とすることができる撚線導体を提供する。
【解決手段】
最外層14と、最外層14の内側に設けられた内層16を有し、内層16を、中心線11と、中心線11の外周部に素線を周方向に配設して形成した層12,13を、径方向に複数設けて構成するとともに、内層16を構成する素線を、全て同じ内層線4で構成し、最外層14を、内層線4の径より細い径の細径線2と、細径線2の径より大きい径の太径線3で構成し、太径線3の径を、内層線4の径とは異なるように形成するとともに、太径線3の少なくとも一部の径を、内層線4の径より大きく形成し、細径線2を、内層16の最も外側に位置する最外内層13において、その径方向の最も外側である頂点部に位置する内層線の外側に配設し、隣接する細径線2,2間に、太径線3を複数配設した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、撚線導体に関するものである。
従来、電線等に使用される撚線導体を構成する各々の素線は、一般的に、全て断面円形の丸線で、かつ、同一径である。この素線として銅線が主として用いられ、その銅線に、錫、ニッケル、銀、或いはアルミ、各種合金をメッキしたものが使用されている。
37本の素線で構成される撚線導体は、一般的に、図3に示すように、全て同じ素線102を用いて構成されているとともに、撚線導体101における中心の1本の素線102を核として、その周囲を6本の素線102が覆い囲んで第1内層103を形成し、更に、その外周を12本の素線102が覆い囲んで第2内層104を形成し、その周囲を18本の素線102が覆い囲んで最外層105を形成し、それを同一方向に撚ることで形成されている。この撚線導体101を従来技術1とする。
素線102が全て、断面円形で、かつ、同一径であることから、素線102を、標準心線配列で配列して撚線導体101を形成すると、その外周形状は、図3に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。
一般的に、撚線導体101は、外周部に絶縁材を被覆した後に、電線等(被覆線)として使用される。被覆線の断面形状は、略真円形状であることが望まれている。一方、絶縁材は、耐圧特性の点から撚線導体の外周部に略均一に被覆されることが望ましい。また、資源の有効利用、被覆線の軽量化の観点から、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれている。
また、撚線導体の断面形状を真円状とすることで、柔軟で可撓性に優れたものとすることができる。
このように、撚線導体を、圧縮することなく若しくは低い圧縮率で、断面形状を真円状となるように構成されたもののうち、例えば、4層以上で構成された撚線導体として、図4,図5に示すように、少なくとも最外層202,302及び、その最外層202,302に接するように内側に設けられた最外内層203,303は、線径の異なる複数種類の素線204〜206,304〜308を用いて構成された撚線導体201,301が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この撚線導体2を従来技術2とする。
特開2009−266670号公報 特開2016−207345公報
上記従来技術2の撚線導体201,301は、最外内層203,303を、複数種類の素線204〜206,304〜308で構成したことにより、素線204〜206,304〜308を所定の位置に配列することが難しく、安定して撚線導体201,301を製造することは困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術2の撚線導体201,301より製造が容易で、かつ、撚線導体の断面形状を真円状に近い形状とした撚線導体を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、最外層と、該最外層の内側に設けられた内層を有し、
前記内層を、中心線と、該中心線の外周部に6本の内層線を周方向に配設して構成した第1内層と、該第1内層の外側に12本の層線を周方向に配設して構成した第2内層と、該第2内層の外側に18本の層線を周方向に配設して構成した外内層で構成するとともに、前記内層を構成する素線を、全て同じ内層線で構成し、
最外層を、前記内層線の径より細い径の細径線と、該細径線の径より大きく、かつ、前記内層線の径より小さい径の第1太径線と、前記内層線の径より大きい径の第2太径線で構成し、
前記細径線を、前記内層の最も外側に位置する最外内層において、その径方向の最も外側である頂点部に位置する内層線の外側に配設し、隣接する細径線間に、前記第1太径線を周方向に2本配設するとともに、この2本の第1太径線間に、前記第2太径線を配設したことを特徴とするものである。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記最外層を構成する素線は、外側から圧縮変形されていることを特徴とするものである。
本発明の撚線導体は、最外層と、最外層の内側に設けられた内層で構成し、内層を、全て同じ内層線で構成したことにより、最外層の素線の位置が所定の位置に配置されていればよく、従来技術2のものよりも、製造が容易となり、歩留まりが高くなり、製造コストを削減できる。
る。
本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。 本発明の実施例2に係る撚線導体の横断面図。 従来技術1に係る撚線導体の横断面図。 従来技術2に係る撚線導体の一例の横断面図。 従来技術2に係る撚線導体の他例の横断面図。
[実施例1]
図1は、撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図で、各素線の基となる線材の断面形状と素線の断面形状が同一とした場合の模式図である。なお、各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
実施例1に示す撚線導体1は、図1に示すように配列された総数37心の素線を、軸方向に撚ることにより成形されたものである。この素線は、細径線(素線)2と、太径線(素線)3と、内層線(素線)4の3種類により構成されている。
また、撚線導体1は、中心に位置する1本の内層線4により構成された中心線11と、この中心線11の外周を覆い囲むように配置された6本の内層線4により構成された第1内層12と、この第1内層12の外周を覆い囲むように配置された12本の内層線4により構成された最外内層13と、この最外内層13の外周を覆い囲むように配置された12本の太径線3と6本の細径線2からなる総計18本により形成された最外層14で構成されている。また、中心線11と第1内層12と最外内層13により、内層16が構成されている。
なお、細径線2と、太径線3と、内層線4は、夫々直径の異なる断面円形(丸形)の線材を基にして形成されたものである。これらの線材としては、従来と同様に、銅線やこの銅線に、錫、ニッケル、銀をメッキしたもの、或いはアルミ線、各種合金線等が使用できる。
細径線2の直径dは、内層線4の直径dより小さく形成され、内層線4の直径dは、太径線3の直径dより小さく形成されている。すなわち、太径線3の直径dは、細径線2の直径dと内層線4の直径dより大きく形成されている。
内層16を構成する中心線11、第1内層12、最外内層13は、全て同じ内層線4で構成され、内層16は、総数19本の内層線4を、標準心線配列で配列して構成されており、内層16の外形状は、図1に示すように、略六角形状に形成されている。
最外層14を形成する各細径線2は、図1に示すように、最外内層13を構成する内層線4のうち、中心線11の中心Aから最も遠い位置に位置し、最外内層13の頂部13Aを構成する内層線4Aの外側で、かつ、中心線11の中心と、頂部13Aを構成する内層線4Aを結んだ線上に略位置するように配置されている。
最外層14を構成する太径線3は、図1に示すように、周方向に隣接する細径線2,2間に、周方向に2本配設されている。
そして、前記のように形成された撚線導体1の外周に絶縁材を被覆して、電線等に使用できる。
上記の構成により、撚線導体1の外形形状は、略真円形状に近い形状とすることができる。すなわち、中心線11の中心Aから最外層14を形成する太径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線2の最外縁端Cまでの距離L2が略同一となるように形成されている。つまり、最外層14を形成する全ての細径線2、太径線3の最外縁端B、Cは、図1に示すように、中心線11の中心Aから太径線3の最外縁端Bまでの距離L1を半径とする真円線に近い位置に位置するように形成されている。
例えば、
=0.72d ・・・(1)
=1.05d ・・・(2)
の関係式を満たすように設定することにより、撚線導体1を圧縮することなく形成しても、撚線導体1の中心点Aから太径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心点Aから細径線2の最外縁端Cまでの距離L2が略同一で、かつ、各素線を、隣接する略全ての素線と相互に接触させることができる。
本実施例1の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
撚線導体1の外形形状を圧縮することなく、略真円形状とし、かつ、素線2〜4が、隣接する略全ての素線2〜4と接触することができる。
撚線導体1の外形が略真円形状で、絶縁材の被覆を外周全体にわたって、厚みを薄く、かつ、略均一化することができ、絶縁材の減量を図り、コストを低減することができる。
内層16を構成する中心線11、第1内層12、最外内層13を、全て同じ内層線4で構成したことにより、撚線導体1を構成する素線2,3,4の種類を、従来技術2の撚線導体201,301と比較して少なくでき、各素線2,3,4の配設が容易であり、撚線導体1の製造が容易であるとともに、品質を安定化することができる。
また、内層16を全て同じ内層線4で構成したことにより、撚線導体1の製造を行っている途中に、最外内層13と最外層14との位置関係が周方向にずれたとしても、撚線導体1の製造に与える影響は少なく、上記従来技術2の撚線導体201,301と比較して、容易、かつ、安定して、撚線導体1を製造することができる。
なお、前記実施例1の撚線導体1を構成する素線は、細径線2の直径dは、内層線4の直径dより小さく形成され、内層線4の直径dは、太径線3の直径dより小さく形成されていれば、任意の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体1を構成することができる。また、その最外層14の外周部から圧縮ダイス等により圧縮して、撚線導体1を形成するようにしてもよい。
この圧縮により、最外層14を形成する素線2,3の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体1を製造する際に行っても良いし、撚線導体1を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
[実施例2]
図2は、本発明の実施例2を示すものである。
図2は、撚線導体21の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図で、各素線の基となる線材の断面形状と素線の断面形状が同一とした場合の模式図である。なお、各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
実施例2に示す撚線導体21は、図2に示すように配列された総数61本の素線を、軸方向に撚ることにより成形されたものである。この素線は、細径線(素線)22と、第1太径線(素線)23と、第2太径線(素線)24と、内層線(素線)25の4種類により構成されている。
また、撚線導体21は、中心に位置する1本の内層線25により構成された中心線31と、この中心線31の外周を覆い囲むように配置された6本の内層線25により構成された第1内層32と、この第1内層32の外周を覆い囲むように配置された12本の内層線25により構成された第2内層33と、この第2内層33の外周を覆い囲むように配置された18本の内層線25により構成された最外内層34と、この最外内層34の外周を覆い囲むように配置された6本の細径線22と、12本の第1太径線23と、6本の第2太径線24とからなる総計24本により形成された最外層35で構成されている。また、中心線31と第1内層32と第2内層33と最外内層34により、内層36が構成されている。
なお、細径線22と、第1太径線23と、第2太径線24と、内層線25は、夫々直径の異なる断面円形(丸形)の線材を基にして形成されたもので、実施例1と同様の線材を用いることができる。
細径線22の直径d11は、内層線25の直径d12より小さく形成され、第1太径線23の直径d13と、第2太径線24の直径d14は、細径線22の直径d11より大きく形成されている。また、第1太径線23の直径d13は、内層線25の直径d12より小さく形成され、第2太径線24の直径d14は、内層線25の直径d12より大きく形成されている。第1太径線23と第2太径線24は、その直径d13,d14が、細径線22の直径d11より大きく形成された太径線である。
内層36を構成する中心線31、第1内層32、第2内層33、最外内層34は、全て同じ内層線25で構成され、内層36は、総数37本の内層線25を、標準心線配列で配列して構成されており、内層36の外形状は、図2に示すように、略六角形状に形成されている。
最外層35を形成する各細径線22は、図2に示すように、最外内層34を構成する内層線25のうち、中心線31の中心Dから最も遠い位置に位置し、最外内層34の頂部34Aを構成する内層線25Aの外側で、かつ、中心線31の中心と、頂部33Aを構成する内層線25Aを結んだ線上に略位置するように配置されている。
最外層35を構成する第1太径線23は、図2に示すように、周方向に隣接する細径線22,22間に、周方向に離間して2本配設されている。
最外層35を構成する第2太径線24は、図2に示すように、周方向に隣接する第1太径線23,23間に1本配設されている。
そして、前記のように形成された撚線導体21の外周に絶縁材を被覆して、電線等に使用できる。
上記の構成により、撚線導体21の外形形状は、略真円形状に近い形状とすることができる。すなわち、中心線31の中心Dから最外層35を形成する第2太径線24の最外縁端Eまでの距離L3と、中心線31の中心Dから最外層35を形成する細径線22の最外縁端Fまでの距離L4が略同一となるように形成されている。つまり、最外層35を形成する全ての細径線22、第2太径線24の最外縁端E、Fは、図2に示すように、中心線31の中心Dから第2太径線24の最外縁端Eまでの距離L3を半径とする真円線に近い位置に位置するように形成されている。
例えば、
11=0.68d12 ・・・(3)
13=0.99d12 ・・・(4)
14=1.17d12 ・・・(5)
の関係式を満たすように設定することにより、撚線導体21を圧縮することなく形成しても、撚線導体21の中心点Dから第2太径線24の最外縁端Eまでの距離L3と、中心点Dから細径線22の最外縁端Fまでの距離L4が略同一で、かつ、各素線が、隣接する略全ての素線と相互に接触させることができる。
なお、前記実施例2の撚線導体21を構成する素線は、細径線22の直径d11は、内層線25の直径d12より小さく形成され、第1太径線23の直径d13と、第2太径線24の直径d14は、細径線22の直径d11より大きく形成されていれば、任意の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体21を構成することができる。また、その最外層35の外周部から圧縮ダイス等により圧縮して、撚線導体21を形成するようにしてもよい。
この圧縮により、最外層35を形成する素線22,23,24の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体21を製造する際に行っても良いし、撚線導体21を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
1、21 撚線導体
2,22 細径線
3 太径線
4,25 内層線
13,34 最外内層
14,35 最外層
16,36 内層
23 第1太径線(太径線)
24 第2太径線(太径線)

Claims (2)

  1. 最外層と、該最外層の内側に設けられた内層を有し、
    前記内層を、中心線と、該中心線の外周部に6本の内層線を周方向に配設して構成した第1内層と、該第1内層の外側に12本の層線を周方向に配設して構成した第2内層と、該第2内層の外側に18本の層線を周方向に配設して構成した外内層で構成するとともに、前記内層を構成する素線を、全て同じ内層線で構成し、
    最外層を、前記内層線の径より細い径の細径線と、該細径線の径より大きく、かつ、前記内層線の径より小さい径の第1太径線と、前記内層線の径より大きい径の第2太径線で構成し、
    前記細径線を、前記内層の最も外側に位置する最外内層において、その径方向の最も外側である頂点部に位置する内層線の外側に配設し、隣接する細径線間に、前記第1太径線を周方向に2本配設するとともに、この2本の第1太径線間に、前記第2太径線を配設したことを特徴とする撚線導体。
  2. 前記最外層を構成する素線は、外側から圧縮変形されていることを特徴とする請求項記載の撚線導体。
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