上記従来構成のうち前者の構成では、手動操作手段の操作指令により電源切り条件が満たされたときに載置状態検出手段が載置状態を検出している場合には、異常対策制御手段への電力供給を継続することにより、異常が発生していない場合には、その後、使用者が被加熱物を載置部から持ち上げたり別の場所に移したりする被加熱物の載置状態変更作業を行うことにより載置状態検出手段にて非載置状態が検出されると、載置状態継続時間の積算値がリセットされることになるから、異常が発生していないにも拘らず不必要に異常対策処理が行われることがない。
説明を加えると、この種の加熱調理器における使用形態としては一般的に次のような使用形態が考えられる。つまり、使用者は、載置部に被加熱物を載置したのち、加熱調理を開始すべく電源入り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行い加熱調理を行う。この加熱調理の実行中において、使用者が上述したような被加熱物の載置状態変更作業を行うことが多く、又、加熱調理が終了すると、使用者は、電源切り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行い、その直後に調理物を取り出す等のために被加熱物の載置状態変更操作を行うことが多いと考えられる。しかし、使用者によっては加熱調理中に上記したような被加熱物の載置状態変更作業を行わない場合もある。
従って、上記従来構成のうち前者の構成においては、電源切り条件が満たされたときに載置状態検出手段が載置状態を検出している場合であっても、異常対策制御手段への電力供給を継続するようにして、使用者が加熱調理を停止すべく電源切り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行った後に、上記したような被加熱物の載置状態変更操作を行うと、載置状態検出手段にて非載置状態が検出されて載置状態継続時間の積算値がリセットされることになる。従って、異常が発生していないにも拘らず不必要に異常対策処理が行われるおそれが少ないものとなるのである。
しかしながら、加熱調理器の使用形態としては、上述したような一般的な使用形態とは異なる使用形態で使用されることもある。例えば、加熱調理が終了して、加熱調理を停止すべく電源切り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行った後に、使用者が被加熱物の載置状態変更操作を行なわずにそのまま被加熱物を放置しておくという使用形態もあるが、このような使用形態であれば、電源切り条件が満たされた後に、載置状態継続時間の積算が引き続き行われて異常対策制御手段への電力の供給が長い時間にわたって継続することがある。
その結果、上記従来構成のうち前者の構成では、加熱調理器の使用者による使用形態によっては、電源切り条件が満たされたときに前記載置状態検出手段により前記載置状態が検出される場合に、異常対策制御手段への電力供給状態が長い時間にわたり継続することがあり、異常対策制御手段における電力消費が多くなる不利がある。特に、電源として電池を備えるものでは、電池が短期に消耗して交換時期が短くなる等、使い勝手が悪いものとなる。
一方、上記従来構成のうち後者の構成では、電源切り条件が満たされたときに異常対策制御手段への電力供給を停止させるので電力消費は抑制されるものの、この構成においては、上記したような異常が発生していないにも拘らず加熱調理器の使用に伴って定期的に上記したような異常対策処理が行われることがあるといった不利がある。
説明を加えると、加熱調理の実行中に使用者が上述したような被加熱物の載置状態変更作業を行う場合には、そのことにより載置状態検出手段にて非載置状態が検出されることになり載置状態継続時間の積算値がリセットされるので、異常が発生していなければ異常対策処理が行われることはない。しかしながら、異常対策制御手段に電力供給が行われて加熱調理を実行しているときに使用者が上述したような被加熱物の載置状態変更作業を行わない使用形態になる場合がある。このような使用形態であれば、異常対策制御手段に電力供給が行われている間に載置状態検出手段が非載置状態を検出することがないから、前記載置状態継続時間の積算値がリセットされずに積算され続けることになる。
その結果、上記従来構成のうち後者の構成では、加熱調理器の使用者による使用形態によっては、前記載置状態検出手段が異常でないにも拘らず、前記載置状態継続時間が異常判別用設定時間に達して不要な異常対策処理を実行するという不利がある。
特に、電源入り条件や電源切り条件を満たすための手動操作手段として、電源スイッチに代えて、加熱手段への加熱の実行及び停止を指令する加熱指令操作部を利用して、加熱手段への加熱の開始に伴って電源入り条件が満たされ、加熱の停止に伴って電源切り条件が満たされる構成にするものでは、載置状態検出手段が異常でないにも拘らず不要な異常対策処理を実行するおそれが大となるものであった。
本発明の目的は、電力消費を抑制することが可能でありながらも、異常が発生していないにも拘らず不必要に異常対策処理が行われることがないようにすることが可能となる加熱調理器を提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、加熱手段にて加熱される被加熱物を載置する載置部に被加熱物が載置されている載置状態であるか載置されていない非載置状態であるかを検出する載置状態検出手段と、
前記載置状態検出手段により前記載置状態が継続して検出されている載置状態継続時間を積算し、その載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間に達すると異常対策処理を実行する異常対策制御手段と、
手動操作手段の操作指令により電源入り条件が満たされると前記異常対策制御手段に電力を供給し、且つ、前記手動操作手段の操作指令により電源切り条件が満たされると前記異常対策制御手段への電力の供給を遮断する電源制御手段とを備えて構成されている加熱調理器であって、
前記異常対策制御手段が、
電力の供給が遮断されているときにも前記載置状態継続時間の積算値を保持する形態で、且つ、電力が供給されているときに前記載置状態検出手段にて前記非載置状態が検出されると前記積算値をリセットする形態で、電力が供給されているときに前記載置状態検出手段により前記載置状態が検出されていると前記載置状態継続時間を積算するように構成され、
前記電源制御手段が、
前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされた場合、前記異常対策制御手段への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出された遅延動作解除条件が満たされている状態で前記電源切り条件が満たされた場合、及び、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間よりも短い時間に設定された遮断条件変更用設定時間以下のときに前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段への電力の供給を遮断し、且つ、
前記載置状態継続時間の積算値が前記遮断条件変更用設定時間を超えている状態で且つ前記異常対策制御手段への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されていない状態で前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段への電力の供給を継続して、前記電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する、又は、前記設定遅延時間が経過するまでの間において前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されると、前記異常対策制御手段への電力の供給を遮断するように構成されている点にある。
第1特徴構成によれば、異常対策制御手段は、電力が供給されているときに、載置状態検出手段により載置部に被加熱物が載置されている載置状態が検出されると、その載置状態が継続して検出されている載置状態継続時間を積算することになる。又、電力が供給されているときに載置状態検出手段にて載置部に被加熱物が載置されていない非載置状態が検出されると載置状態継続時間の積算値をリセットする。
そして、電源制御手段は、手動操作手段の操作指令により電源入り条件が満たされると異常対策制御手段に電力を供給するが、異常対策制御手段への電力の供給を遮断するときには、電源切り条件が満たされたときの載置状態検出手段の検出結果に応じて電力供給を遮断するタイミングが異なることになる。
つまり、載置状態検出手段にて非載置状態であることが検出されているときに手動操作手段の操作指令により電源切り条件が満たされると、このように載置状態検出手段にて非載置状態であることが検出されるときは載置状態検出手段が正常に作動している状態であると考えられるから、電源切り条件が満たされると異常対策制御手段への電力の供給を遮断するのである。
一方、前記異常対策制御手段への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出された遅延動作解除条件が満たされている状態で前記電源切り条件が満たされた場合には、この場合においても、載置状態検出手段が正常に作動している状態であると考えられるから、電源切り条件が満たされると異常対策制御手段への電力の供給を遮断するのである。
そして、載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間よりも短い時間に設定された遮断条件変更用設定時間以下のときに電源切り条件が満たされると、異常対策制御手段への電力の供給を遮断する。又、前記載置状態継続時間の積算値が前記遮断条件変更用設定時間を超えている状態で且つ前記異常対策制御手段への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されていない状態で前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段への電力の供給を継続して、前記電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する、又は、前記設定遅延時間が経過するまでの間において前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されると、前記異常対策制御手段への電力の供給を遮断するのである。
説明を加えると、前記載置状態検出手段にて載置状態であることが検出されているときには、載置部に被加熱物が載置されているか、又は、載置部に被加熱物が載置されていないにも拘らず載置状態検出手段が載置状態であると誤検出している、すなわち、故障等による異常が発生していることが考えられるが、載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間よりも短い時間に設定された遮断条件変更用設定時間以下であれば、載置状態検出手段にて載置状態であることが検出されているときに電源切り条件が満たされると、異常対策制御手段への電力の供給を遮断するのである。
異常が発生しておらず載置部に被加熱物が載置されている状態で電源切り条件が満たされるような場合であれば、加熱調理が繰り返し行われるときに、加熱調理の実行中において使用者が被加熱物の載置状態変更作業を行うことにより、載置状態継続時間の積算値がリセットされることが考えられるから、載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間よりも短い時間であれば、電源切り条件が満たされると異常対策制御手段への電力の供給を遮断することにより電力消費を極力抑制するのである。
一方、前記載置状態継続時間の積算値が前記遮断条件変更用設定時間を超えている状態で且つ前記異常対策制御手段への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出手段にて前記非載置状態であることが検出されていない状態で前記電源切り条件が満たされた場合には、その電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する間だけ電力供給の遮断を遅延させるのである。
加熱調理器の使用形態として、加熱調理が終了して電源切り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行い、その直後に調理物を取り出す等のために、使用者が被加熱物を載置部から持ち上げたり別の場所に移したりする被加熱物の載置状態変更作業を行うような使用形態で使用されたような場合であれば、前記設定遅延時間が経過するまでの間に、使用者が被加熱物を載置部から持ち上げたり別の場所に移したりする被加熱物の載置状態変更作業を行うと、そのことにより載置状態検出手段にて非載置状態であることが検出されることになる。
ちなみに、前記設定遅延時間としては、上記したような使用形態において、電源切り条件が満たされてから使用者が上記したような被加熱物の載置状態変更操作を行うまでの経過時間として予測される時間、例えば数分〜10分間程度に設定されることになる。
そして、前記設定遅延時間が経過するまでの間において載置状態検出手段にて非載置状態であることが検出されると、載置状態継続時間の積算値をリセットして異常対策制御手段への電力の供給を遮断することになる。その結果、載置状態検出手段にて異常が発生していないにも拘らず不必要な異常対策処理を実行することを回避することが可能となる。つまり、使用者が電源切り条件を満たすための手動操作手段の操作指令を行った直後に上記したような被加熱物の載置状態変更操作を行うことがあるから、そのことを利用して、異常が発生していない場合においては、使用者の操作により載置状態継続時間の積算値がリセットされるようにしているのである。
一方、載置状態検出手段にて非載置状態であることが検出されることなく設定遅延時間が経過すると、載置状態継続時間の積算値をリセットすることなく異常対策制御手段への電力の供給を遮断するが、このときは、載置状態検出手段が故障する等、異常が発生していることも考えられるから、載置状態継続時間の積算値はそのまま保持しておき、次回の電力供給開始の際にその積算値に加算して前記載置状態継続時間を積算することになる。
上記したように、異常が発生していない状態であれば、電源切り条件が満たされたときに載置状態検出手段にて載置状態であることが検出されても、長い時間にわたり異常対策制御手段への電力の供給が継続することがないから、電力消費を抑制することができる。特に、電源として電池を備えるものであれば、電池の電力消費を抑制して電池の交換時期をできるだけ長くして使い勝手がよいものになる。そして、載置状態検出手段が故障する等、異常が発生している場合には、電力供給が遮断されたのちにもリセットすることなく載置状態継続時間を積算することで、載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間に達するまで積算されて異常対策処理を実行することになる。
従って、第1特徴構成によれば、電力消費を抑制することが可能でありながらも、異常が発生していないにも拘らず不必要に異常対策処理が行われることがないようにすることが可能となる加熱調理器を提供できるに至った。
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記異常対策制御手段が、電力が供給されているときに前記載置状態検出手段にて前記非載置状態が検出されて前記積算値をリセットした場合に、その積算値をリセットしてから電力供給が遮断されるまでの間は前記載置状態検出手段により前記載置状態が検出されることがあっても前記載置状態継続時間の積算を実行しないように構成されている点にある。
第2特徴構成によれば、前記異常対策制御手段は、電力が供給されているときに載置状態検出手段にて非載置状態が検出されると前記載置状態継続時間の積算値をリセットすることになるが、このように載置状態検出手段にて非載置状態が検出される状態というのは、載置状態検出手段が正常に作動している状態であると考えられるから、載置状態検出手段の異常を検出するための前記載置状態継続時間の積算処理を実行しないのである。
このように載置状態検出手段が正常に作動している状態であると考えられるときには、載置状態継続時間の積算処理を行わないようにするので、前積算値が不必要に積算されることを抑制して、不必要に異常対策処理が行われることを回避し易いものとなる。
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記電源制御手段が、前記載置状態継続時間の積算値が長いときの方が短いときよりも長くする形態で前記設定遅延時間を変更設定するように構成されている点にある。
第3特徴構成によれば、前記載置状態継続時間の積算値が長いときの方が短いときよりも前記設定遅延時間を長くするように変更設定するので、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間よりも充分短い状態であれば、電力供給を遅延させる時間を短めにして電力消費を抑制することができる。
そして、載置状態継続時間の積算値が長くなって異常判別用設定時間に近づいている状態であれば、設定遅延時間を長くすることで、被加熱物が持ち上げられたり別の場所に移す処理が行われることで載置状態検出手段により非載置状態を検出する確率を高めて、できるだけ載置状態継続時間の積算値をリセットさせるようにして、異常が発生していないときには無駄な異常対策処理を実行することを回避させ易いものになる。
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記異常対策制御手段が、前記異常対策処理として、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間に達すると、報知手段にて前記載置部から被加熱物を上げることを促す案内情報を報知する報知処理を実行し、且つ、その報知処理を開始してからの経過時間が報知用設定時間を経過しても前記載置状態検出手段にて前記載置状態であることが検出されているときは、前記加熱手段による加熱作動を牽制する加熱作動牽制処理を実行するように構成されている点にある。
第4特徴構成によれば、異常対策制御手段は、前記異常対策処理として、載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間に達すると、報知手段にて載置部から被加熱物を上げることを促す案内情報を報知させるので、使用者は、その案内情報により異常が発生していることを認識できる。従って、使用者に対して載置部から被加熱物を上げる処理を促すことにより、被加熱物が載置部から上げられたり別の場所に移すことが行われることになる。
又、前記報知処理を開始してからの経過時間が報知用設定時間を経過しても前記載置状態検出手段にて前記載置状態であることが検出されているときは、例えば、載置状態検出手段が故障する等、異常が発生しているおそれがあると考えられるから、そのようなときは、異常対策制御手段が前記加熱作動牽制処理を実行するので、使用者が加熱作動を行う指令をしても加熱手段による加熱作動が牽制されることになり使用上の安全性が向上することになる。
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記加熱手段が複数備えられ、
前記手動操作手段として、前記複数の加熱手段の夫々に対して各別に加熱の実行及び停止を指令する複数の加熱指令操作部が備えられ、
前記電源制御手段が、
前記複数の加熱指令操作部の少なくともいずれか1つが加熱の実行を指令している加熱運転状態から前記複数の加熱指令操作部の全てが加熱の停止を指令する全停止状態に切り換わると前記電源切り条件が満たされたとし、前記全停止状態から前記加熱運転状態に切り換わると前記電源入り条件が満たされたとするように構成されている点にある。
第5特徴構成によれば、被加熱物を加熱する加熱手段が加熱指令操作部により各別に加熱の実行及び停止を指令可能な状態で複数備えられ、又、前記手動操作手段として、複数の加熱手段の夫々に対して各別に加熱の実行及び停止を指令する複数の加熱指令操作部が備えられる。
そして、電源制御手段は、全ての加熱手段が加熱停止している全停止状態から複数の加熱指令操作部の少なくともいずれか1つが加熱の実行を指令している加熱運転状態に切り換わると、異常対策制御手段への電源の供給が必要な状態であるから電源入り条件が満たされたとする。又、電源制御手段は、前記加熱運転状態から前記全停止状態に切り換わると、異常対策制御手段への電源の供給は不要であるから電源切り条件が満たされたとするのである。
例えば、電源切り条件及び電源入り条件を指令するための専用の電源入切操作手段等を設ける場合であれば、加熱手段の加熱の停止指令を指令したのちに、電源入切操作手段の操作による電源切り指令を指令する操作を忘れることも考えられ、そのことにより異常対策制御手段への電源の供給が不測に長く継続してしまうおそれがあるが、加熱手段の加熱の実行及び停止を指令するために備えられる加熱指令操作部を有効利用して、電源切り条件及び電源入り条件を満たすことを判断するようにしたので、加熱手段の加熱停止を指令することにより電源切り条件が満たされるので、操作忘れに起因して異常対策制御手段への電源の供給が長く続くことによる電力消費を抑制できる利点がある。又、電源切り条件及び電源入り条件を指令するための専用の電源入切操作手段等を設ける必要がなく、構成を簡素化できる利点もある。
〔参考の第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明に係る加熱調理器の参考の第1実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、ガスコンロは、3つのコンロバーナ1a,1b,1c、及び、グリルバーナ2を備えるグリル部3を備えたビルトインタイプのガスコンロにて構成されており、3つのコンロバーナ1a,1b,1cは標準バーナ1aと、小バーナ1bと、高火力バーナ1cとによって構成されている。
又、図1に示すように、グリル部3の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成され、ガラス製のトッププレート5にてガスコンロ上面が覆われており、このトッププレート5の上部に、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に対応して、夫々にて加熱する被加熱物(鍋など)を載置する載置部としての五徳6が載置支持されている。トッププレート5の裏面側に、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々の火力、並びに、グリルバーナ2の点消火状態を表示する天面表示部70が、トッププレート5を通して視認可能なように設けられている。
図1及び図2に示すように、ガスコンロ前側面には、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cとグリルバーナ2との点火及び消火や火力調節と各種の設定とを指令する手動操作部Sが設けられ、マイクロコンピュータを備えて各種の制御を実行するように構成された運転制御部Hが手動操作部Sにて指令された運転状態に基づいて、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cとグリルバーナ2を制御するように構成されている。
図2に示すように、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々には、点火プラグ7及び着火状態を検出する熱電対8が設けられており、グリルバーナ2は上面バーナ2aと左右一対の下面バーナ2b,2cとを備えた両面バーナにて構成されて、上面バーナ2a及び左右一対の下面バーナ2b,2cの夫々にも点火プラグ7及び着火状態を検出するための熱電対8等が備えられている。
又、標準バーナ1a及び高火力バーナ1cの夫々には、図2及び図3に示すように(但し、図3では標準バーナ1aについて示す)、五徳6に被加熱物が載置されている載置状態であるか載置されていない非載置状態であるか否かを検出する載置状態検出手段としての載置状態検出部Dが設けられている。
この載置状態検出部Dは、五徳6に載置される被加熱物の底部が当接するのに伴って押し下げられて前記載置状態を検出するための載置状態検出位置とその載置状態検出位置よりも上方であって前記非載置状態を検出するための非載置状態検出位置とにわたって上下動自在で、且つ、前記非載置状態検出位置に復帰付勢される上下可動部9bを備えた伸縮機構9と、その上下可動部9bが前記載置状態検出位置に位置する状態を検出することにより前記載置状態を検出し、且つ、上下可動部9bが前記非載置状態検出位置に位置する状態を検出することにより前記非載置状態を検出する検出部としての被加熱物検出スイッチ10を備えて構成されている。
前記伸縮機構9について、説明を加えると、この伸縮機構9は、図3に示すように、ケーシングに対して固定された案内支持部9aに上下可動部9bをバネ(図示省略)にて上方に復帰付勢した状態で上下方向に移動自在に支持して構成されている。
そして、五徳6上に被加熱物が載置されていないときは、上下可動部9bが、復帰付勢力により、上端が五徳6における被加熱物を受け止める上端部よりも突出する状態の前記非載置状態検出位置に復帰する伸状態となり、五徳6上に被加熱物が載置されるに伴って、上下可動部9bが被加熱物の底部により押し下げられて前記載置状態検出位置に位置する縮状態となる。
前記被加熱物検出スイッチ10は、伸縮機構9の上下可動部9bが五徳6上に載置された被加熱物により押し下げられて前記載置状態検出位置に位置するとオンし、五徳6上に載置された被加熱物が上げられて上下可動部9bが上方に復帰して前記非載置状態検出位置に位置するとオフになるように設けられている。
つまり、被加熱物検出スイッチ10がオンの状態で、上下可動部9bが前記載置状態検出位置に位置する状態が検出されて前記載置状態が検出され、被加熱物検出スイッチ10がオフの状態で、上下可動部9bが前記非載置状態検出位置に位置する状態が検出されて前記非載置状態が検出される構成となっている。
更に、図2に示すように、前記小バーナ1bにも、標準バーナ1a高火力バーナ1c夫々と同様に、前記伸縮機構9が設けられ、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に対応する伸縮機構9の上下可動部9bの上端部内には、温度センサ11が設けられ、五徳6上に載置された被加熱物の底部が上下可動部9bの上端に当接した状態で、この温度センサ11により被加熱物の温度を検出するように構成されている。又、図示を省略するが、グリル部3には、グリル庫内の温度を検出する温度センサが設けられている。
前記標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cとグリルバーナ2とへのガス供給構成について説明すると、図2に示すように、元ガス供給路12には元ガス電磁弁13が設けられ、この元ガス供給路12から、標準バーナ用分岐路14a、小バーナ用分岐路14b、高火力バーナ用分岐路14c、グリルバーナ用分岐路14dの4系統に分岐しており、グリルバーナ2へのグリルバーナ用分岐路14dは、さらに、上面バーナ用の分岐路と下面バーナ用分岐路とに分岐してそれらの分岐路には夫々、オリフィスof付きの流路15と開閉式電磁弁16を備えたバイパス路17が設けられている。そして、標準バーナ用分岐路14a、小バーナ用分岐路14b、高火力バーナ用分岐路14c、及び、グリルバーナ用分岐路14dの夫々には、ステッピングモータ19(図4参照)の駆動によってガス量を調整して前記各バーナの燃焼量(火力)を調整する流量制御弁18が備えられている。
この流量制御弁18は、図4に示すように、駆動源としてのステッピングモータ19と、このステッピングモータ19の回転操作をスライド移動操作に変更させるネジ送り式の移動操作機構20と、ガス通過用の挿通孔21が形成されたスライド閉子22と、複数のガス通過用の調整孔23を形成した流量調整板24等を備えて構成されている。そして、前記スライド閉子22と流量調整板24とによってガス量を変更可能な流量調整部25が構成されている。つまり、図4に示すようにガス流路を遮蔽する状態でスライド閉子22と流量調整板24とがバネ26によって圧接される状態で相対的にスライド自在に設けられ、ステッピングモータ19を駆動することでスライド閉子22をスライド移動させながら、図5に示すように、スライド閉子22に形成された挿通孔21が流量調整板24の調整孔23と重なり合う面積合計を変更させることで、バーナへのガス供給量を変更調整自在な構成となっている。尚、前記スライド閉子22のスライド移動量はスライド移動検出センサ27によって検出される構成となっている。
図1、図6及び図7に示すように、ガスコンロ前側面には、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に対応して、バーナ1a,1b,1cの点火指令を指令する点火指令状態とバーナ1a,1b,1cの消火指令を指令する消火指令状態とに切り換え自在な点消火指令部28、バーナ1a,1b,1cの燃焼量(火力)の調節を指令する人為操作式の燃焼量調節操作部29、及び、調理の設定を指令する設定入力パネル50が設けられ、並びに、グリルバーナ2に対して、点火及び消火や火力調整を指令するための設定入力パネル60が設けられている。又、設定入力パネル50及び設定入力パネル60は開閉式になっている。
前記3つの点消火指令部28及び3つの燃焼量調節操作部29は同じ構成であるから、そのうちの標準バーナ1aに対する点消火指令部28及び燃焼量調節操作部29を代表として構成を以下に説明し、他のものについては説明を省略する。
図6及び図7に示すように、点火指令及び消火指令を指令する加熱指令操作部としての押し操作式の点消火スイッチ32が前面パネル38の内部に設けられ、前面パネル38に形成した挿通孔39を通して裏面側から挿通する状態で円筒状の回転操作部31が設けられている。そして、この回転操作部31は、その回転軸心方向の移動により、前記点消火スイッチ32を消火指令を指令する消火指令状態に操作する消火指令用に押し込み位置と、その押し込み位置よりも突出して点消火スイッチ32を点火指令を指令する点火指令状態に操作する点火指令用の突出位置とに切り換え自在に構成され、且つ、前記突出位置にて前記燃焼量を調整すべく回転操作自在に構成されている。
説明を加えると、回転操作部31は、押し操作される毎に回転軸心方向に移動して、図示しない位置保持機構によって、前面パネル38とほぼ面一になる押し込み位置と前方に突出する突出位置とに切り換え自在に構成され、回転操作部31が前記突出位置に切り換えられているときに、正転方向及び逆転方向の夫々にその軸心周りで回動操作可能となるように構成されている。そして、この回転操作部31が押し込み位置に切り換えられるとそれに伴って点消火スイッチ32がOFF(オフ)状態となり、回転操作部31が突出位置に切り替えられるとそれに伴って点消火スイッチ32がON(オン)状態となるように連動して切り換わる構成となっている。図2に示すように、この点消火スイッチ32の切り換え信号は運転制御部Hに入力されており、運転制御部Hはこの点消火スイッチ32がON状態に切り換わると標準バーナ1aの燃焼作動を開始し、OFF状態に切り換わると標準バーナ1aの燃焼作動を停止するように構成されている。
又、前面パネル38の内部には、回転操作部31の回転操作に伴ってパルス信号を出力するパルス発生手段としてのロータリーエンコーダ33が設けられている。つまり、このロータリーエンコーダ33の操作軸34に前記回転操作部31が一体回動自在に且つ軸心方向での相対移動を許容する状態で接続されている。このロータリーエンコーダ33は、回転操作部31の一方向への回転操作に伴って2つのパルス信号のうちの一方のパルス信号が他方のパルス信号より位相が進み、回転操作部31の他方向への回転操作に伴って前記他方のパルス信号が前記一方のパルス信号より位相が進む状態で、回転操作部31の回転操作に伴って互いに異なる位相の2つのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、このロータリーエンコーダ33は、2つの出力端子を備えており、その2つの出力端子から上述したような位相の異なるパルス信号が出力される構成である。このようなロータリーエンコーダ33は周知のものであるから詳細な構成についての説明は省略する。
図1に示すように、前面パネル38の外面側において各回転操作部31の周囲には火力を表示する複数のLEDランプ35を並べる状態で火力を表示する前面火力表示部36が設けられている。この前面火力表示部36は複数のLEDランプ35をレベルメータとして用いて、回転操作部31にて設定された燃焼量(火力)の大きさを燃焼量の大きさに応じた数のLEDランプ35を点灯させて表示する構成となっている。この実施形態では、火力の大きさが最小火力から最大火力まで、標準バーナ1a及び高火力バーナ1cでは5段階に変更調整でき、小バーナ1cでは3段階に変更調整できる構成となっているので、標準バーナ1a及び高火力バーナ1cの夫々に対応する前面火力表示部36は、5個のLEDランプ35にて構成され、小バーナ1cに対応する前面火力表示部36は、3個のLEDランプ35にて構成されている。
つまり、標準バーナ1a及び高火力バーナ1cの夫々は、その燃焼量を5段階の設定燃焼量に調節できるように構成され、又、小バーナ1cは、その燃焼量を3段階の設定燃焼量に調節できるように構成されている。
又、前記設定入力パネル60には、グリルバーナ2に対し点火及び消火を指令するための加熱指令操作部としての点消火スイッチ61(図10参照)が備えられている。又、図示はしないが、グリルバーナ2の火力を強弱2段に切り換える火力切換スイッチ等も備えられている。
図1及び図9に示すように、前記天面表示部70は、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対応する3個の天面火力表示部71と、グリルバーナ2に対応するグリル燃焼表示部73とから構成されている。
前記天面火力表示部71は、前面火力表示部36と同構成であり、複数のLEDランプ72をレベルメータとして用いて回転操作部31にて設定された燃焼量(火力)の大きさを燃焼量の大きさに応じた数のLEDランプ72を点灯させて表示する構成となっている。又、前記グリル燃焼表示部73は、1個のLEDランプ74から構成され、グリルバーナ2を点火させるとその燃焼状態をLEDランプ74を点灯させて表示する構成となっている。
そして、運転制御部Hは、図2に示すように、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対応するロータリーエンコーダ33にて発生するパルス信号に基づいて、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対する燃料供給量を調整するように標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対する流量制御弁18の作動を制御するよう構成されている。つまり、運転制御部Hは、ロータリーエンコーダ33から出力される前記パルス信号に基づいて、回転操作部31の回転操作方向並びに回転操作量を判別するとともに、その判別した回転操作方向並びに回転操作量に対応させて標準バーナ1a等の燃焼量を調整することになるが、そのとき、ロータリーエンコーダ33から出力される2つのパルス信号のデータを予め定めた設定単位時間毎に繰り返し読み込み、その読み込まれた前記2つのパルス信号のデータにおけるデータパターンに基づいて、回転操作部31の回転操作方向並びに回転操作量を判別するように構成されている。つまり、前記回転操作部31及びロータリーエンコーダ33により、前記燃焼量調節操作部29が構成されている。
又、運転制御部Hは、図2に示すように、前記手動操作部Sにて指令された各種制御指令に基づいて、前記元ガス弁12、流量制御弁18及び点火プラグ7等の夫々に駆動信号を与えて夫々の作動を制御するように構成され、さらには、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対応するロータリーエンコーダ33にて発生するパルス信号に基づいて、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々の火力を標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1c夫々に対応する前面火力表示部36及び天面火力表示部71にて表示するように構成されている。
又、図2に示すように、各種情報を音声にて報知する報知手段としてのスピーカ37が備えられており、運転制御部Hは、各種情報をこのスピーカ37により報知させるように構成されている。
そして、このコンロでは、前記載置状態検出部Dにより前記載置状態が継続して検出されている載置状態継続時間を積算し、その載置状態継続時間の積算値が異常判別用設定時間に達すると異常対策処理を実行する異常対策制御手段100と、手動操作手段の操作指令により電源入り条件が満たされると前記異常対策制御手段100に電力を供給し、且つ、前記手動操作手段の操作指令により電源切り条件が満たされると前記異常対策制御手段100への電力の供給を遮断する電源制御手段PKとを備えて構成されている。
前記異常対策制御手段100が、電力の供給が遮断されているときにも前記載置状態継続時間の積算値を保持する形態で、且つ、電力が供給されているときに載置状態検出部Dにて前記非載置状態が検出されると前記積算値をリセットする形態で、電力が供給されているときに前記載置状態検出手段により前記載置状態が検出されていると前記載置状態継続時間を積算するように構成され、前記電源制御手段PKが、載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされると異常対策制御手段100への電力の供給を遮断し、且つ、載置状態検出部Dにて前記載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされると、異常対策制御手段100への電力の供給を継続して、前記電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する、又は、前記設定遅延時間が経過するまでの間において載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されると、異常対策制御手段100への電力の供給を遮断するように構成されている。
ちなみに、この設定遅延時間としては、電力消費量が多くならないように、手動操作手段の操作にて電源切り条件が満たされてから被加熱物が持ち上げられたり移動させるのに要すると予測される時間、例えば数分〜10分間程度に設定することになる。
又、前記異常対策制御手段100が、前記異常対策処理として、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間に達すると、報知手段としてのスピーカ37にて五徳から被加熱物を上げることを促す案内情報を報知する報知処理を実行し、且つ、その報知処理を開始してからの経過時間が報知用設定時間を経過しても載置状態検出部Dにて前記載置状態であることが検出されているときは、加熱手段としての標準バーナ1や高火力バーナ1cによる加熱作動を牽制する加熱作動牽制処理を実行するように構成されている。
具体的な構成について説明すると、図10に示すように、各コンロバーナ1a,1b,1cに対する3個の点消火スイッチ32及びグリルバーナ2に対する1個の点消火スイッチ61の合計4個の点消火スイッチ32,61が前記手動操作手段に対応しており、前記運転制御部Hを利用して前記異常対策制御手段100が構成されている。つまり、前記運転制御部Hは、電源が供給されている間は、載置状態検出部Dにより前記載置状態が継続して検出されている載置状態継続時間を積算し、その載置状態継続時間の積算値が載置状態継続異常判別用設定時間に達すると異常対策処理を実行するように構成されている。
又、運転制御部Hは、電力の供給が遮断されているときにも前記載置状態継続時間の積算値を保持する形態で、且つ、電力が供給されているときに載置状態検出部Dにて前記非載置状態が検出されると前記積算値をリセットする形態で、前記載置状態継続時間を積算するように構成されている。図10に示すように、電力の供給が遮断されているときにも積算値を保持するために不揮発性メモリMeが備えられ、運転制御部Hは、電力の供給が遮断される直前にそのときの積算値をこの不揮発性メモリMeに書き込み記憶させるよう構成されている。
そして、電源40から運転制御部Hに対して電力を供給する電力供給状態と電力供給を遮断する遮断状態とに切換自在な断続切換回路41が設けられ、この断続切換回路41は、前記手動操作手段としての、各コンロバーナに対する3個の点消火スイッチ32及びグリルバーナ2に対する1個の点消火スイッチ61の合計4個の点消火スイッチの少なくともいずれか1つがオン操作されると、電源入り条件が満たされたとして、遮断状態から電力供給状態に切り換わるように構成されている。
前記断続切換回路41は、電源40から運転制御部Hへの電源供給線を断続するスイッチングトランジスタ42と、このスイッチングトランジスタ42をオン状態とオフ状態とに切り換える駆動回路43とを備えて構成され、運転制御部Hに電力が供給されずに動作していない状態であっても、いずれかの点消火スイッチ32,61がオンすると、スイッチングトランジスタ42が導通状態に切り換わるように構成され、運転制御部Hに電力が供給される状態に切り換わる構成となっている。
そして、前記各点消火スイッチ32,61の操作情報は運転制御部Hにも入力されており、運転制御部Hは、前記4個の点消火スイッチ32,61の全てのものがオフするまでスイッチングトランジスタ42を導通状態に維持すべく駆動回路43に対して電源保持信号を出力するように構成されている。つまり、運転制御部Hは4個の点消火スイッチ32,61の全てのものがオフすると、電源切り条件が満たされたとして電源保持信号の出力を停止するのである。
従って、運転制御部Hを利用して電源供給状態を管理する電源管理手段101が構成され、この電源管理手段101及び断続切換回路41により電源制御手段PKが構成されている。
次に、前記運転制御部Hの制御について説明を加える。
尚、本発明に係る制御は、前記標準バーナ1a及び前記高火力バーナ1cを対象にして実行することになるが、標準バーナ1a及び高火力バーナ1c夫々を対象にした運転制御部Hの制御動作は同様であるので、以下では、標準バーナ1aを対象にした制御動作について説明して、高火力バーナ1cを対象にした制御動作の説明は省略する。
又、前記元ガス電磁弁13は、標準バーナ1a、小バーナ1b、高火力バーナ1c及びグリルバーナ2のうちの少なくとも一つに対応する点消火スイッチ32がON状態のときは開弁し、標準バーナ1a、小バーナ1b、高火力バーナ1c及びグリルバーナ2夫々に対応する点消火スイッチ32の全てがOFF状態のときは、閉弁状態に維持するので、以下の説明では、この元ガス電磁弁13の制御については説明を省略する。
以下、図11及び図12に示すフローチャートに基づいて、前記運転制御部Hの制御動作を説明する。
4個の点消火スイッチ32,61のうちのいずれかがオン操作されて電源から電力が供給されると、運転制御部Hは、前記不揮発性メモリMeの記憶内容を読み込み、断続切換回路41に電源入状態を保持するための電源保持信号を出力する(ステップ1,2)。そして、載置状態検出部Dが前記載置状態、すなわち被加熱物有りの状態を検出しているときは、その載置状態が継続して検出されている載置状態継続時間を積算し、前記非載置状態、すなわち被加熱物が無い状態を検出しているときは、前記載置状態継続時間の積算値Tkを零にリセットする(ステップ3,4,5)。
そして、前記載置状態継続時間の積算値Tkが異常判別用設定時間Tsに達していないときは、標準バーナについての燃焼制御を実行する(ステップ6,7)。
図12に示すように、この燃焼制御では、流量制御弁18を開弁させ、点火プラグ7に駆動信号を与えて点火作動させることにより、標準バーナ1aを点火させる点火処理を行い(ステップ71,72)、ロータリーエンコーダ33から出力される前記パルス信号に応じた段階の火力に対応する燃焼量になるように流量制御弁18の開度を調節することにより、火力調整を行いながら標準バーナ1aの燃焼を継続させる(ステップ73)。又、消火指令があれば消火処理を実行する(ステップ74)。
燃焼作動を実行中に載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出すると、標準バーナ1aの燃焼量を前記5段階の火力のうちの最下段の火力よりも1段上の火力に対応する不存在時燃焼量に低下させるように流量制御弁18の開度を調節し、標準バーナ1aに対応する前面火力表示部36及び天面火力表示部71を同様に点滅させることにより、五徳6に被加熱物が載置されていない状態で標準バーナ1aが燃焼しているという異常状態であることを報知する(ステップ75,76,77)。
前記載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出してからの経過時間が不存在判別時間に達するまでは、標準バーナ1aの燃焼量を前記不存在時燃焼量に低下させている状態を継続し(ステップ78)、その間において、載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出すると元の火力に戻して燃焼状態を継続し、前記不存在判別時間が経過しても載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出している場合は消火処理を実行する(ステップ79)。
全ての点消火スイッチがオフ状態になると電源切り条件が満たされたと判断するが、そのとき、標準バーナの載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出しているときは、載置状態継続時間の積算値Tkを零にリセットして、そのリセットした値を不揮発性メモリMeに書き込み、断続切換回路41に出力している電源入状態を保持するための電源保持信号の出力を停止して電源入り状態に保持する動作を解除し、断続切換回路41を遮断状態に切り換えて電源をオフする(ステップ8,9,10,13)。
電源切り条件が満たされたと判断したときに、載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出しているときは、電源供給を継続して行い、電源切り条件が満たされたと判断してから設定遅延時間(例えば3分間)が経過しても載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出している状態が継続しているときは、そのときの載置状態継続時間の積算値Tkを不揮発性メモリMeに書き込み、断続切換回路41に出力している電源入状態を保持するための電源保持信号の出力を停止して電源入り状態に保持する動作を解除し、断続切換回路41を遮断状態に切り換えて電源をオフする(ステップ11,12)。
前記載置状態継続時間の積算値Tkが異常判別用設定時間Tsに達すると、報知手段としてのスピーカ37に「鍋を上げてください」等の五徳6から被加熱物を上げることを促す案内情報を報知させ、且つ、標準バーナ1aに対応する前面火力表示部36及び天面火力表示部71を同様に点滅させる報知作動を実行する(ステップ14)。そして、その報知を開始してからの経過時間が報知用設定時間Tm(例えば48時間)を経過しても載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出しているときは、スピーカ37に「故障が発生しました」等の故障情報を報知させ、且つ、標準バーナ1aに対応する前面火力表示部36及び天面火力表示部71を同様に点滅させて異常が発生したことを報知する警報処理を実行する(ステップ15,16)。そして、この状態では点消火スイッチ32の指令による操作は受け付けない状態となる(ステップ17)。このステップ17の操作を受け付けない状態にさせる処理が加熱作動牽制処理に対応することになる。
上述したような制御を実行する加熱調理器では、五徳6に被加熱物を載置してから標準バーナ1aに点火して加熱調理を行い、調理終了後に標準バーナ1aを消火してから被加熱物を別の場所に移すという使用形態で使用されたときには、図13に示すように、点消火スイッチ32,61の夫々にて消火が指令されて電源切り条件が満たされてから前記設定遅延時間が経過するまでの間に、被加熱物を別の場所に移す作業により載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出して載置状態継続時間の積算値Tkが零にリセットされることが繰り返し行われ、異常対策処理が行われることが回避される。
一方、載置状態検出部Dの故障等により五徳6に被加熱物が載置されていないにも拘わらず被加熱物有りの状態が検出される異常が発生しているときは、図14に示すように、点消火スイッチ32,61にて消火が指令されて電源切り条件が満たされてから前記設定遅延時間が経過しても載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出することがないので、載置状態継続時間の積算値Tkは積算されて異常対策処理が行われることになる。
上述の説明では、標準バーナ1aにおける制御について説明したが、運転制御部Hは高火力バーナ1cについても同様な制御を行うことになる。つまり、この実施形態では、標準バーナ1a及び高火力バーナ1cが加熱手段に対応することになる。
〔参考の第2実施形態〕
次に、本発明に係る加熱調理器の参考の第2実施形態を説明する。
この実施形態では、前記電源制御手段PKの構成が異なる他は、参考の第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
すなわち、この実施形態では、前記電源制御手段PKが、前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされた場合、及び、前記載置状態継続時間の積算値Tkが前記異常判別用設定時間Tsよりも短い時間に設定された遮断条件変更用設定時間Th以下のときに前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段100への電力の供給を遮断し、且つ、前記載置状態継続時間の積算値Tkが前記遮断条件変更用設定時間Thを超えていれば、前記載置状態検出部Dにて前記載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段100への電力の供給を継続して、前記電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する、又は、前記設定遅延時間が経過するまでの間において前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されると、前記異常対策制御手段100への電力の供給を遮断するように構成されている。
具体的な構成について説明すると、電源入り条件が満たされて運転制御部Hに電力が供給されているときの制御は参考の第1実施形態と同じであるが、全ての点消火スイッチがオフ状態になり電源切り条件が満たされたと判断したときの制御が参考の第1実施形態とは異なる。
すなわち、運転制御部Hが次のような制御を実行する。
図15に示すように、全ての点消火スイッチ32,61がオフ状態になり電源切り条件が満たされたと判断したとき、載置状態検出部Dが被加熱物無しの状態を検出しているとき、及び、前記載置状態検出部Dにて前記載置状態であることが検出されていても、そのとき前記載置状態継続時間の積算値Tkが前記異常判別用設定時間Ts(30時間)よりも短い時間(例えば、20時間)に設定された遮断条件変更用設定時間Th以下であれば、そのときの載置状態継続時間の積算値Tkを不揮発性メモリMeに書き込み、断続切換回路41を遮断状態に切り換えて電源をオフする(ステップ34,36,33)。つまり、電力供給を継続せずに異常対策制御手段100への電力の供給を遮断するのである。
そして、電源切り条件が満たされたと判断したとき、載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出しており、しかも、そのとき前記載置状態継続時間の積算値Tkが遮断条件変更用設定時間Thを超えていれば、電源供給を継続して行い、電源切り条件が満たされたと判断してから設定遅延時間(例えば3分間)が経過しても載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出している状態が継続しているときは、そのときの載置状態継続時間の積算値Tkを不揮発性メモリMeに書き込み、断続切換回路41を遮断状態に切り換えて電源をオフする(ステップ34,35,36,33)。
〔本発明の実施形態〕
次に、本発明に係る加熱調理器の実施形態を説明する。
この実施形態では、前記電源制御手段PKの構成が異なる他は、参考の第2実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
すなわち、この実施形態では、前記電源制御手段PKが、前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されているときに前記電源切り条件が満たされた場合、前記異常対策制御手段100への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出された遅延動作解除条件が満たされている状態で前記電源切り条件が満たされた場合、及び、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間よりも短い時間に設定された遮断条件変更用設定時間以下のときに前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段100への電力の供給を遮断し、且つ、前記載置状態継続時間の積算値が前記遮断条件変更用設定時間を超えている状態で且つ前記異常対策制御手段100への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されていない状態で前記電源切り条件が満たされた場合には、前記異常対策制御手段100への電力の供給を継続して、前記電源切り条件が満たされたときから設定遅延時間が経過する、又は、前記設定遅延時間が経過するまでの間において前記載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されると、前記異常対策制御手段100への電力の供給を遮断するように構成されている。
具体的な構成について説明すると、電源入り条件が満たされて運転制御部Hに電力が供給され、前記載置状態検出部Dにより前記載置状態が検出されて前記載置状態継続時間の積算を実行しているときの制御は参考の第2実施形態と同じであるが、運転制御部Hに電力供給が開始され始めてから前記電源切り条件が満たされるまでの間に載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されたときの制御が参考の第2実施形態とは異なる。
すなわち、運転制御部Hが次のような制御を実行する。
図16に示すように、前記異常対策制御手段100への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に載置状態検出部Dにて前記非載置状態であることが検出されると、前記載置状態継続時間の積算値Tkを零にリセットした後は、全ての点消火スイッチ32,61がオフ状態になり電源切り条件が満たされるまで、電源入状態に保持したまま前記参考の第1実施形態における燃焼制御と同様な燃焼制御を実行し(ステップ18,19,20)、電源切り条件が満たされると、リセットした積算値を不揮発性メモリMeに書き込み、電源を遮断する(ステップ36,33)。
このように制御を実行することで、前記異常対策制御手段100への電力供給を開始してから前記電源切り条件が満たされるまでの間に、一度でも載置状態検出部にて前記非載置状態であることが検出されていると、前記電源切り条件が満たされる前記異常対策制御手段100への電力の供給が遮断されることになる。又、積算値をリセットしてから電力供給が遮断されるまでの間は前記載置状態検出部により前記載置状態が検出されることがあっても前記載置状態継続時間の積算を実行しないことになる。
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ)上記各実施形態では、前記電源制御手段PKが、前記設定遅延時間として、前記載置状態継続時間の積算値の長さに拘らず予め設定した一定時間(例えば3分間)に設定するものを例示したが、このような構成に限らず、前記電源制御手段PKが、前記載置状態継続時間の積算値が長いときの方が短いときよりも長くする形態で前記設定遅延時間を変更設定するように構成するものでもよい。
例えば、前記載置状態継続時間の積算値が短い間は前記設定遅延時間が3分間であるが、前記載置状態継続時間の積算値が長くなるほど前記設定遅延時間を長くさせて最大10分間程度にまで長くさせるように前記設定遅延時間を漸増させる形態で変更設定するようにしたり、前記設定遅延時間を段階的に長い時間に変更させる形態で変更設定するようにしてもよい。
又、前記載置状態継続時間の積算値が前記異常判別用設定時間よりも短い時間に設定した遮断条件変更用設定時間以下であれば前記設定遅延時間を零に設定し、前記載置状態継続時間の積算値が前記遮断条件変更用設定時間を超えると、前記載置状態継続時間の積算値が長くなるほど前記設定遅延時間を長い時間に変更させる形態で変更設定するようにしてもよい。
(ロ)上記各実施形態では、前記運転制御部Hを利用して電源供給状態を管理する電源管理手段101が構成され、この電源管理手段101及び断続切換回路41により電源制御手段PKが構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、前記電源管理手段101が前記異常対策制御手段100を構成する運転制御部Hとは異なる別の制御装置を用いて構成されるものでもよく、この別の制御装置が、前記異常対策制御手段100からの情報に基づいて断続切換回路41を管理する構成とするものもよい。
(ハ)上記各実施形態では、前記手動操作手段として、前記複数の加熱手段の夫々に対して各別に加熱の実行及び停止を指令する複数の加熱指令操作部が備えられる構成としたが、例えば、運転制御部Hに電源の入切を指令するための専用の電源スイッチを備える構成としてもよい。
(ニ)上記各実施形態では、バーナに対する点火処理及び燃焼量調整処理を運転制御部Hにより電気的な制御によって行う構成としたが、このような構成に代えて、手動操作にて押し操作される器具栓によって点火処理を行うとともに、熱電対の電力にて開弁状態に維持される電磁弁をガス供給状態に切り換えるような手動操作式のガスコンロでもよい。
このような手動操作式のコンロにおいては、前記異常対策処理を実行するときに、報知を開始してからの経過時間が経過しても載置状態検出部Dが被加熱物有りの状態を検出している状態であっても、その後器具栓を操作するとバーナへの点火操作が可能になるが、このような構成では、バーナへの点火が行われたのちに、設定時間(例えば、5秒)毎にブザーにて異常を報知するようにして、設定時間(例えば、1分間)経過後にバーナの燃焼を停止させるように構成してもよい。
(ホ)上記各実施形態では、前記載置状態検出部Dとして、上下可動部9bと被加熱物検出スイッチ10とを備える構成としたが、例えば、前記上下可動部9bの両横側方に振り分けて配置した磁石とリードスイッチ、及び、前記上下可動部9bが押し下げられると前記磁石と前記リードスイッチとの間に位置し且つ前記上下可動部9bが上方に復帰すると前記磁石と前記リードスイッチとの間から退出するように前記上下可動部9bに取り付けた磁性体にて構成することが可能である。
又、載置部上の被加熱物の有無により投射光が反射されるか否かにより被加熱物載置状態か被加熱物非載置状態かを検出するように構成された反射型の光センサ、あるいは、載置部上の被加熱物の有無により投射光が遮蔽されるか否かにより被加熱物載置状態か被加熱物非載置状態かを検出するように構成されたフォトインタラプタ型の光センサにて構成することが可能である。
(ヘ)前記報知手段の具体構成としては、上記の実施形態において例示したスピーカ37に限定されるものではない。例えば、前記案内情報を表示する表示装置や、ブザー、ランプ等にて構成することが可能である。又、スピーカ、表示装置、ブザー及びランプのうちの複数を用いて構成しても良い。