JP5400265B2 - 高硬度、高耐候性の艶消し電着塗料組成物 - Google Patents
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アクリル酸あるいはメタクリル酸のフルオロアルキルエステルを基剤樹脂の共重合成分に使用するという技術もある。特許文献7がその例であるが、この場合はフッ素原子が基剤樹脂の側鎖にのみ存在するため耐候性向上効果はほとんどない。
他方、耐候性向上のために光安定剤を使用する技術がある。特許文献8、9がこれに相当し、耐候性はある程度改良されるが、従来にない高硬度、耐擦り傷性が確保され、かつ十分な耐候性が確保されるという点に関しては、まだまだ不十分で改良が必要な技術である。
[(A)ビニル共重合体]
本発明に使用するビニル重合体(A)は、(a)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、(b)水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、(c)架橋官能基としてアセチトアセチル基を含有するα,β−エチレン性不飽和単量体、および(d)その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を共重合したビニル共重合体である。
本発明に使用されるビニル共重合体(B)は、ビニル共重合体(A)とともに使用して、得られる電着塗膜の硬度を高め、耐擦り傷性を向上させるために使用されるもので、(e)ホモポリマーのTg(ガラス転移温度)が60℃以上、170℃以下のα、β−エチレン性不飽和単量体の含有率が40〜90重量%、(f)水酸基含有α、β−エチレン性不飽和単量体の含有率が5〜40重量%、および(g)その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を残りの重量部部分として共重合したビニル共重合体であり、さらに本ビニル共重合体(B)はカルボキシル基を含有することが安定な樹脂液分散体を得るためにより好ましく、その酸価は5〜100KOHmg/g(固形分)が好ましい。この場合はビニル共重合体(A)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体の項で例示した単量体を共重合するのが好ましい。しかし、ビニル共重合体(B)が酸価を有しない場合でも、得られる塗膜の性能には何らの悪影響を及ぼすものではない。
本発明に使用される(C)アミノ樹脂としては、従来から公知のメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、中でも好適なものは、メチロール基の少なくとも一部を低級アルコールでアルコキシ化したアルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂であって、低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の1種または2種以上が使用できる。また1種のメラミン樹脂であっても、また2種以上のメラミン樹脂が組み合わされても問題はない。
本発明に使用されるヒンダードアミン型の光安定剤については、分子中に少なくとも下記の化学式1に示すように1個のヒンダードピペリジン基を有する化合物である。
得られた塗膜の性能評価方法は後述するが、中でも耐擦り傷性は、鉛筆硬度の測定と共に、新東科学(株)製のHEIDON−18L連続加重式引掻強度試験器により、表面に
傷が付くあるいは傷が素地まで達する加重により評価した。また耐候性についてはメタルウェザー試験機による促進試験により、時間を追って塗膜の外観の変化を評価した。
製造例1〜2(樹脂液A1〜A2の製造)
撹拌装置、温度計、モノマー滴下装置、還流冷却装置を有する反応装置を準備する。表1に示す配合に従って、(1)と(2)を反応装置に仕込み、撹拌下に還流温度まで上昇させ、(3)〜(13)を予め均一に混合した後、3時間かけて滴下した。温度は還流温度を維持した。滴下終了から1.5時間経過後に(14)を加えて、更に同温度で1.5時間反応を継続して固形分66%の透明で粘稠な樹脂液A1〜A2を得た。それらの酸価(KOHmg/g固形分)、水酸基価(KOHmg/g固形分)、Tg(℃)、重量平均分子量も表1に示した。
アマイドNBM:(笠野興産(株)製)N−ブトキシメチルアクリルアミド
AAEM :アセトアセトキシエチルメタクリレート
製造例3〜5(樹脂液B1〜B3) 実施例用
ビニル共重合体(A)の製造例と同様に、撹拌装置、温度計、モノマー滴下装置、還流冷却装置を有する反応装置を準備する。表2に示す配合に従って、(1)を反応装置に仕込み、撹拌下に還流温度まで上昇させ、(2)〜(12)を予め均一に混合した後、3時間かけて滴下した。温度は還流温度を維持した。滴下終了から1.5時間経過後に(13)を加えて、更に同温度で1.5時間反応を継続して、固形分52%の透明で粘稠な樹脂液B1〜B3を得た。それらのTg60℃以上170℃以下の単量体量(%)、水酸基含有単量体量(%)、重量平均分子量、酸価(KOHmg/g固形分)を表2に示した。
撹拌装置、温度計、脱イオン水滴下装置、還流冷却装置を有する反応装置を準備する。表3に示す配合に従って、(1)〜(8)を反応装置に仕込み、60℃で1時間攪拌混合した。これに(9)および(10)の混合液を徐々に添加して乳化液を得た。さらに(11)を加えて、50℃にて4時間保温しミクロゲル化の反応を行った。分散樹脂液C3については、そのまま75℃で10時間保温してミクロゲル化の反応を行った。最後にそれぞれに(12)を加えて実施例用の分散樹脂液を調製した。
サイメル236 : 日本サイテックインダストリーズ(株)製混合エーテル型メラミン樹脂 固形分100%
チヌビン123、チヌビン152:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のヒンダードアミン型光安定剤 固形分共に100%
実施例1〜3の配合において、チヌビン123あるいはチヌビン152を除く以外は同じ配合、同じ条件でそれぞれの分散樹脂液D1〜D3を得た。比較例としてはそれぞれ比較例1〜3に対応する。
実施例1〜3の配合において、樹脂液B1〜B3を除く以外は、同じ配合、同じ条件でそれぞれの分散樹脂液D4〜D6を得た。比較例としてはそれぞれ比較例4〜6が対応する。
上記の分散樹脂液C1〜C3(実施例用)およびD1〜D6(比較例用)に脱イオン水を加えて固形分を10%に調製した後、トリエチルアミンを加えてpHを8.0に調製して、それぞれに相当する電着塗料E1〜3(実施例用)およびF1〜F6(比較例用)を得た。
(実施例1〜3および比較例1〜6)
上記で得られた電着塗料(実施例1〜3はそれぞれの電着塗料E1〜E3、比較例1〜6はそれぞれの電着塗料F1〜F6を使用)を塩化ビニル製の浴槽に入れ、陰極をSUS304鋼板とし、6063Sアルミニウム合金版にアルマイト処理(アルマイト膜厚=9μm)を施し、更に黒色に電解着色した後、常法により湯洗されたアルミニウム材を陽極(被塗物)として電着塗装を行った。電着塗装の具体的条件は浴温22℃、塗装電圧130Vで、塗膜厚が10μmになるように通電し、電着終了後洗浄し、引き続いて185℃で30分間焼き付けた。得られた塗膜を性能評価し、結果を表4〜表6に示した。
(1)乳化性 :分散樹脂液のろ過を行い、ろ過残渣の有無により判定。
○:ろ過残渣なし
×:ろ過残渣多い
(2)浴液安定性:塗装評価を行った後、浴液を30℃に調整して攪拌下にて4週間保持した後、再び塗装評価を行う。初期と経時での塗装板の光沢、外観差を比較する。
○:光沢、外観ともほとんど差なし
×:光沢、外観に差あり
(3)光沢値 :グロスメーターで60°鏡面反射率[%]を測定。
(4)鉛筆硬度 :JIS−K−5600 破れ判定。
(5)碁盤目付着性 :JIS−K−5600準拠 塗膜上にカッターナイフで100個の碁盤目を作り、その上にセロハンテープを貼り付けた後、すばやくセロハンテープを引き剥がした時の密着状態を観察する。なお性能評価表中の記載は次のことを意味する。
100:剥がれなし(100/100)
0:全部剥がれ(0/100)
(6)耐アルカリ性 :20℃で1%の水酸化ナトリウム水溶液に120時間浸漬後塗面状態を観察。
(7)耐酸性 :20℃で5%の硫酸水溶液に120時間浸漬後塗面状態を観察。(8)耐擦り傷性 :段ボール紙に200g/cm2の加重をかけて、5cmのストロークで50往復塗装板を摩擦した後の傷の付き具合を目視で評価。
○:傷跡が若干見える程度。
×:傷跡が深いか、光沢が低下した面状に見える。
(9)傷付き性試験 :新東科学(株)製のHEIDON−18L連続加重式引掻強度試験器を使用し、傷発生開始時および傷素地到達時の加重を測定して評価。
(10)促進耐候性 :メタルウェザー試験機を用いて300時間、600時間で評価を行った。
ブラックパネル温度80℃(照射のみ)
湿度50% 水シャワー2時間毎、1回120秒
ランプ強度75mW/cm2ランプ距離240mm
外観評価(目視判定)
・ :異常なし
・ :光沢ムラが発生
× :クラックが発生
Claims (4)
- (A)(a)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、(b)水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、(c)架橋官能基としてアセトアセチル基を含有するα、β−エチレン性不飽和単量体、および(d)その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を共重合した、Tgが0〜50℃、酸価が10〜150KOHmg/g、水酸基価が20〜200KOHmg/gのビニル共重合体、(B)(e)ホモポリマーのTgが60℃以上、170℃以下であるα,β−エチレン性不飽和単量体40〜90重量%、(f)水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体5〜40重量%、および(g)その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を残りの部分に共重合した、Tgが50〜120℃、重量平均分子量が5000〜50000のビニル共重合体、(C)アミノ樹脂、および(D)ヒンダードアミン型の光安定剤を含有するアニオン型艶消し電着塗料組成物であって、ビニル共重合体(A)/(B)の重量比率が100/1〜100/40であるアニオン型艶消し電着塗料組成物。
- ビニル共重合体(B)において、その酸価が5〜100KOHmg/gである請求項1に記載のアニオン型艶消し電着塗料組成物。
- ヒンダードアミン型の光安定剤(D)が、その塩基定数(pKb値)が7以上のヒンダードアミンである、請求項1又は2に記載のアニオン型艶消し電着塗料組成物。
- ヒンダードアミン型の光安定剤(D)が、アミノエーテル型ヒンダードアミンである、
請求項1〜3に記載のアニオン型艶消し電着塗料組成物。
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