JP4911770B2 - 耐擦り傷性に優れたアニオン型電着塗料 - Google Patents

耐擦り傷性に優れたアニオン型電着塗料 Download PDF

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Description

本発明は、アニオン型電着塗料に関するものである。より詳しくは耐擦り傷性に優れた塗膜を提供できることに特徴があり、アルミニウム素材の電着塗装に適用される。
陽極酸化処理したアルミニウム素材は軽量でかつ強度が強く、さらには耐食性に優れることから、ビルや住宅の窓枠、ドアー、エクステリア等の建材関係に広く使用されている。アルミニウム素材の塗装には、ワンコートで仕上がり性の良いアニオン型電着塗料が一般的に使用されている。そのアニオン型電着塗料としては、カルボキシル基および水酸基を含有する水性アクリル樹脂にメラミン樹脂架橋剤を配合し、水分散してなるメラミン硬化型電着塗料が代表的であり、現在では艶有りタイプの塗装や艶消しタイプの塗装が行われている。このような中、解決すべき課題の一つとして擦り傷対策の問題がある。
耐擦り傷性改良については、塗膜の硬度を高めるという観点から、比較的硬度の高いシリケート系材料を混合使用するという技術がある。特許文献1では、4官能性のシリケート化合物共存下に水分散性ビニル系共重合体を製造し、塗料用の樹脂を得るという方法であり、密に架橋されるため塗膜表面の耐擦り傷性改良には有効であるが、深い傷、例えばアルミサッシ同士の接触による塗膜剥がれ、あるいはレール作動による塗膜剥がれの課題に対しては効果がなく、また耐候性、塗料の安定性が不十分である。特許文献2はコロイダルシリカとカルボキシル基含有アクリル樹脂を反応させて、耐擦り傷性を向上させる技術であるが、特許文献1と同様に深い傷に対して効果が少ない。特許文献3はイオン性樹脂に分子状態で分散しているポリシロキサンを併用する技術であり、耐候性、耐酸性雨性はある程度の性能が得られるが、耐擦り傷性は不十分である。
これらの技術とは別に、樹脂粒子を使用する技術が考案されている。特許文献4ではフッ素樹脂粒子を使用するという方法であり、塗膜表面の耐擦り傷性改良だけではなく、深い傷に対してもある程度効果がある。しかしフッ素樹脂粒子は高価であり、また副資材との密着性に問題が生じる。特許文献5は硬質樹脂粒子を使用するという方法であり、塗膜表面の耐擦り傷性改良には有効であるが、深い傷に対しては効果がない。このように従来技術においては、耐擦り傷性の問題改良が不十分であり、性能改良が求められている。
一方、電着塗料にワックスを併用する特許文献については、下記の特許文献6あるいは7がある。しかし特許文献6においては、ワックスを併用して艶消しを達成することを目的としており、擦り傷性が改良されることは全く記述されていない。艶消しを達成するためのワックスの使用量は塗膜形成成分に対して、3〜50重量%であるとされている。また特許文献7については、二段重合により製造される艶消し用の特殊なビニル樹脂に、補助的にワックスを組み合わせて、均一な艶消し外観を得、乳白性やアルミ材下地ダイスマーク隠蔽性を与えるためのもので、比較例において、一段重合で製造される樹脂ではワックスを併用しても、目標とする乳白性やアルミ材下地ダイスマーク隠蔽性は達成されないとされている。これについても特許文献6と同様、擦り傷性が改良されることは全く記述されていない。
特開平11−315254号公報 特開平11−172165号公報 特開平11−209694号公報 特開2001−329209号公報 特開2001−342425号公報 特開昭61−143595公報 特開平8−113735号公報
上述したように、従来の耐擦り傷性改良技術においては、例えばアルミサッシを段ボール等の梱包材料で梱包する際、あるいは梱包された塗装物の輸送を行う際に、塗膜と梱包材料が擦れて塗膜表面に傷が付くという問題はある程度解決されるが、特に深い傷に対しては有効な手段ではなかった。本発明はこのような課題を十分解決させるためになされた。
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のビニル共重合体をベースとしたアニオン型電着塗料に、特定の水分散性ワックスを配合することによって、耐擦り傷性に優れたアニオン型電着塗料を確立することに成功し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(A)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、および、その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を共重合した酸価10〜150KOHmg/g樹脂固形分(以下も同様)、水酸基価20〜200KOHmg/g樹脂固形分(以下も同様)、重量平均分子量が10,000〜100,000のビニル共重合体、(B)アミノ樹脂および、(C)平均粒径が0.3μm以上、3μm以下である水分散性ワックスの配合量が、(A)ビニル共重合体と(B)アミノ樹脂の合計100重量部に対して0.1〜1.5重量部含まれることを特徴とするアニオン型電着塗料である。
本発明においては塗膜表面の浅い傷のみならず、深い傷防止に特に有効であり、その他の特性(耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、機械特性、塗装作業性、塗料安定性等)は従来塗料と変わらない。
次に、本発明の電着塗料およびその電着塗装方法について詳細に説明する。
〔(A)ビニル共重合体〕
本発明に使用される(A)ビニル共重合体中のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、ビニル共重合体に水分散性、電気泳動性を付与するものである。例示すればアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等が挙げられる。これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、ビニル共重合体の酸価が好ましくは10〜150、より好ましくは20〜100となるような範囲で使用される。ビニル共重合体の酸価が10未満では十分な水分散安定性が得られにくく、また150を超えると電気泳動性、塗膜析出性が低下し、塗膜の耐水性、耐アルカリ性が低下する。
また水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体は、塗膜の焼き付けに際して、メラミン樹脂と反応して硬化性を付与するものである。例示すると2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート等および、これらのラクトン変性物が挙げられ、1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
このような水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体はビニル共重合体の水酸基価が好ましくは20〜200、より好ましくは40〜160となるような範囲で使用される。水酸基価が20未満では十分な硬化性が確保されず、また200を超えると塗膜が脆化し、耐水性が低下して十分な性能が得られにくい。
その他のα,β−エチレン性不飽和単量体については、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、あるいはその他のビニル単量体およびアミド系単量体を用いることができる。具体的な化合物を例示すると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、n−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアミド系単量体が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
また架橋官能基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体を用い、ビニル共重合体中に安定的に不溶性のミクロゲルを生成させ、艶消し性能を付与することもできる。例示するとアセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−メチル置換グリシジルアクリレート、β−メチル置換グリシジルメタクリレート等が挙げられ、後述する方法で水分散化した後、分散粒子内にミクロゲルを生成させ光沢の低減化を図る。特にアセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレートについては、ホルムアルデヒドを併用することでミクロゲルの生成が促進されるので好ましい。
ビニル共重合体の重量平均分子量(艶消しのため後工程でミクロゲルを生成させる場合は、ミクロゲル生成前の分子量について)は10,000〜100,000であり、より好ましくは20,000〜70,000である(重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定でポリスチレン換算による数値である。以下共重合体等の分子量についての記載はすべてGPCでのポリスチレン換算分子量を表すものとする。)。重量平均分子量が10,000以下の場合は、塗膜の耐擦り傷性、耐久性が十分に得られず、また100,000以上の場合は、水分散性が低下し、塗料の取り扱い性が不良になる。
上述したようなビニル共重合体は、前記の各単量体を溶液重合、非水性分散重合、塊状重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法で重合することによって得られるが、特に溶液重合が好ましく、反応温度としては通常40〜170℃が選ばれる。
反応溶剤としては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の親水性溶剤を用いるのが好ましい。また、重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、公知のものを用いることができる。
得られたビニル共重合体を水分散化するために、ビニル共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性物質、例えば有機アミンあるいは無機塩基で中和する。かかる塩基性物質としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアルキレンポリアミン、アンモニア、エチレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。このような塩基性物質による中和率は30〜120%が適当であるが、特に50〜100%であると水分散性が良好で、光沢ムラを生じないので好ましい。
〔(B)アミノ樹脂〕
本発明に使用される(B)アミノ樹脂としては、従来から公知のメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、中でも好適なものは、メチロール基の少なくとも一部を低級アルコールでアルコキシ化したアルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂であって、低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の1種または2種以上が使用できる。また1種のメラミン樹脂であっても、また2種以上のメラミン樹脂が組み合わされても問題はない。
アルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂を例示すると、日本サイテックインダストリーズ(株)製のサイメル266、232、235、238、236、285−100、マイコート506、508、(株)三和ケミカル製のニカラックMX−40、MX−45等があるが、これらに限定されない。
本発明の(B)アミノ樹脂の使用量の好ましい範囲は、固形分比で(A)ビニル共重合体100重量部に対し30〜100重量部である。この範囲より少ない場合は、塗膜の架橋が不十分なため機械特性、耐溶剤性、耐薬品性等が低下し、逆に多い場合はビニル共重合体との親和性が不十分になり、水分散液の安定性不良、分散粒径の不均一化、電着後の水洗性不良、撥水現象、塗膜の光沢ムラ、乳白化等の問題が生じる。
〔(C)水分散性ワックス〕
本発明に使用される(C)水分散性ワックスに用いられるワックスとしては、例えば木ロウ、カルナバワックス、石油系のマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、鉱物系のモンタンワックスなどの天然ワックスやポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィン系ワックス等があげられ、これらを親水性溶剤に溶解したものを水中に機械的に分散させたもの、界面活性剤や高分子乳化剤などを用いて水中に乳化分散させたもの、ワックスにα,β−不飽和カルボン酸を共重合させてカルボキシル基を導入し、有機アミンあるいは無機塩基で中和して水中に乳化分散させたものを用いることが出来る。その中で特に好ましいワックスはポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンである。
これらを配合することにより塗膜表面の擦り傷のみならず、アルミサッシ同士の接触による塗膜剥がれ、あるいはレール作動による塗膜剥がれなどの深い傷防止においてもきわめて効果を発揮する。その試験方法としては後述(実施例)のスクラッチ傷つき試験で評価を行った。
本発明に使用される(C)水分散性ワックスを用いることにより、ワックス成分が高濃度に凝集した領域とそれ以外の領域から成る海島構造を有する電着塗膜を得ることができる。本発明により得られる電着塗膜においては、ワックス高濃度領域が塗膜表面にスリップ性を付与し、アルミサッシ同士の接触時やレール作動時に塗膜にかかる負荷を緩和するため、耐擦り傷性が大幅に向上すると推定している。またワックス高濃度領域は塗膜表面側から基材側の間で均一に存在しているため、アルミサッシ同士の接触やレール作動時にかかる負荷による塗膜の磨耗や塗膜剥れのような深い傷の防止などにおいても、きわめて効果を発揮すると推定している。
従って本発明に使用される(C)水分散性ワックスの平均粒径は特に重要であり、擦り傷防止性能と塗料の安定性、塗装作業性、塗膜外観などの点から粒径の範囲が決定される。具体的には0.3μm以上、3μm以下のものが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、3μm以下のものであり、さらに好ましくは0.7μm以上、3μm以下のものである。平均粒径が0.3μm未満の水分散性ワックスでは電着塗膜中で凝集性が低く均一に分散して海島構造を有する電着塗膜を得ることができず、本発明のような耐擦り傷性に優れた電着塗膜を得ることができない。平均粒径が3μmより大きい水分散性ワックスでは塗料中の(A)ビニル共重合体あるいは(B)アミノ樹脂との親和性が不十分になり、得られる電着塗料の安定性不良、経時の凝集化、電着塗装後における水洗性不良、撥水現象、塗膜の光沢ムラ、乳白化、耐薬品性の低下等の問題が生じる。
なお、本発明において平均粒径は、(株)堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910により632.8nm He−Neレーザー1mW、タングステンランプ50Wを光源として測定した値である。
本発明の水分散性ワックスは上述のような方法で作製してもよいが、市販品を用いてもよい。市販品として例を挙げると、(株)岐阜セラツク製造所製のA−375(平均粒径2μm),A−575(平均粒径2μm),ビックケミー・ジャパン(株)製AQUACER531(平均粒径2μm),AQUACER593(平均粒径2μm)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(C)水分散性ワックスの使用量の好ましい範囲は、固形分比で(A)ビニル共重合体と(B)アミノ樹脂を加えた混合物100重量部に対し0.1〜1.5重量部であり、さらに好ましい範囲は0.1〜1重量部である。この範囲より少ない場合は耐擦り傷性が十分でなく、逆に多い場合は塗料が不安定になり凝集物や沈殿物が生じて好ましくなく、また耐薬品性、基材への付着性等が低下する。
また、電着塗料の調製にはさらに必要に応じて、硬化触媒や消泡剤、レベリング剤等や界面活性剤のような通常の電着塗料に使用される添加剤類も、支障なく使用することが出来る。さらに、本発明の技術は顔料類を併用して着色タイプの電着塗料、ミクロゲル等を併用する艶消し電着塗料、あるいはミクロゲルを併用しない艶有り電着塗料ニも適用が可能である
〔電着塗料の調製〕
本発明の電着塗料は、前述の(A)ビニル共重合体、(B)アミノ樹脂および(C)水分散性ワックスを通常40〜100℃で攪拌混合した後、硬化触媒を添加し、中和用の塩基性物質を含む脱イオン水を、温度20〜80℃で撹拌混合したあと、必要に応じて加温したり、あるいは脱イオン水、または親水性溶剤を一部含有する脱イオン水で希釈して乳化分散液とすることで調製することができる。または、(A)ビニル共重合体および(B)アミノ樹脂のみを前述のように調製して乳化分散液としたあと、(C)水分散性ワックスを添加して調製してもよい。
〔電着塗装方法〕
本発明により得られる電着塗料は、必要に応じて脱イオン水、あるいは親水性溶剤を一部含有する脱イオン水で希釈し、艶消しあるいは艶有りタイプの電着塗装に供せられる。電着塗装を実施する場合における、塗料浴の固形分濃度は4〜20重量%が適当である。4重量%より低い場合には、必要な塗膜厚を得るのに長時間を要し、20重量%を超えると浴液の状態が不安定となり、塗装系外に持ち出される塗料量も多く問題となる。
塗装方法については、被塗物を陽極として電着塗装を行うが、塗装電圧は30〜350V、好ましくは50〜300Vであり、通電時間は0.5〜7分、好ましくは1〜5分である。電圧が高いほど通電時間は短く、逆に電圧が低いほど通電時間は長くなる。塗装電圧は通電と同時に設定電圧をかける方法、あるいは徐々に設定電圧まで上げていく方法のどちらでもかまわない。電着塗装された被塗物は必要により水洗し、次いで150〜200℃で15〜60分間加熱し最終塗膜を得る。塗膜厚は5〜30μmが好ましい。
本発明の電着塗装方法が適用される被塗物の素材は、導電性を有するアルミニウムあるいはアルミニウム合金素材である。また、得られる塗膜は、平滑性や均一性等の外観に優れ、機械特性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の性能にも優れたものとなる。
次に、本発明について実施例を挙げ、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお表中の配合量は特別な記載のない限り、重量部を表す。
〔ビニル共重合体の製造〕
製造例1〜4(樹脂液A1〜A4の製造)
撹拌装置、温度計、単量体の滴下装置、還流冷却装置を有する反応装置を準備する。表1に示す配合に従って、(1)と(2)を反応装置に仕込み、撹拌下に還流温度まで上昇させ、(3)〜(12)を予め均一に混合した後、3時間かけて滴下した。温度は90℃を維持した。滴下終了してから、1.5時間経過後に(13)を加えて、更に90℃で1.5時間反応を継続して、樹脂固形分65%の透明で粘稠な樹脂液A1〜A4を得た。それらの酸価、水酸基価、重量平均分子量も表1に示した。
Figure 0004911770
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定で、ポリスチレン換算による数値である。
〔分散樹脂液および電着塗料の製造〕
撹拌装置、温度計、還流冷却装置を有する反応装置を準備し、表2〜表3に示す配合に従って(1)〜(11)を仕込み、60℃で1時間撹拌混合した。これに(12)を加えた後、(13)を徐々に添加して分散樹脂液を得た。分散樹脂液B1およびB12については、さらに(14)を添加して50℃で4時間保温し、ミクロゲル化の反応を行った。分散樹脂液B2、B5、B8、B9、B10はこのままで既にミクロゲルが生成している。分散樹脂液B3については、75℃で10時間保温してミクロゲル化の反応を行った。最後にB1〜B12それぞれに(15)を加えて固形分30%の分散樹脂液を調製した。
Figure 0004911770
Figure 0004911770
表中のサイメル238、サイメル236、サイメル235は、日本サイテックインダストリーズ(株)製のメラミン樹脂である。
また、A−375、A−575は、(株)岐阜セラツク製造所製の水分散性ワックスであり、有効成分はともに40%、平均粒径はともに2μmである。
また、ザイクセンLは住友精化(株)製の水分散性ワックスであり、有効成分は25%、平均粒径0.2μmである。
また、4052E水分散体は三井化学(株)製の三井ハイワックス4052E(酸化ポリエチレン)100重量部、ブチルセロソルブ20重量部、ソルビタンモノオレエート10重量部を良く混合し、この混合物に脱イオン水203.3重量部を加えて卓上ホモミキサーを使用して8000rpmで強制乳化して得られた有効成分30%の水分散物であり、平均粒径15μmである。
〔電着塗料の製造〕
上記の分散樹脂液B1〜B12に脱イオン水を加えて固形分を10%に調製した後、トリエチルアミンを加えてpHを8.0に調製して、各々の電着塗料C1〜C12を得た。
〔電着塗装方法〕
(実施例1〜6、比較例1〜6)
上記で得られた電着塗料(実施例1〜6は電着塗料C1〜C6、比較例1〜6は電着塗料C7〜C12を使用)を塩化ビニル製の槽に入れ、陰極をSUS304鋼板とし、6063Sアルミ合金板にアルマイト処理(アルマイト膜厚=9μm)を施し、更に黒色に電解着色した後、常法により湯洗されたアルミニウム材を陽極(被塗物)として電着塗装を行った。電着塗装の具体的条件は浴温22℃、極間距離12cm、極比(+/−)2/1として、常法により、130Vで塗膜厚が10μmとなる様に通電し、電着終了後洗浄し、引き続いて185℃で30分間焼き付けた。
〔塗料性状と塗膜性能評価〕
上記で作製した電着塗料の性状と得られた電着塗膜の性能を評価し結果を表4〜表5に示した。
Figure 0004911770
Figure 0004911770
評価方法は次の通りである。
(1)塗料ろ過性:上記で得られた電着塗料を320メッシュ金網にてろ過し、ろ過残渣の有無を確認した。
○=液が問題なくろ過され、残渣がない。
△=液がややろ過されにくく、残渣が若干見られる。 ×=液がかなりろ過されにくく、残渣が多量に見られる。
(2)塗料沈降性:上記で得られた電着塗料を室温で1週間静置後にワックスの沈殿の有無を確認した。
○=沈殿なし。
△=沈殿少量あり。
×=沈殿多量あり。
(3)塗膜外観:上記で得られた電着塗膜を目視で確認した。
○=異常なし。
△=わずかにムラあり。
×=かなりムラあり。
(4)光沢値:グロスメーターで60°鏡面反射率を測定。
(5)鉛筆硬度:JIS K−5600に準拠し、破れ判定。
(6)付着性:塗膜上にカッターナイフで100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製 CT−12S)を貼り付けた後、すばやくセロハン粘着テープを引き剥がした時の付着状態を観察する。結果の数値は次のことを意味する。
100/100:塗膜の剥がれなし。
0/100:全部剥がれ。
(7)耐アルカリ性:1%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃で48時間浸漬後に塗面状態を観察。
(8)耐酸性:5%の硫酸水溶液に20℃で48時間浸漬後に塗面状態を観察。
(9)耐擦り傷性:段ボール紙に200g/cmの加重をかけて、5cmストロークで50往復摩擦した後に、塗装面の傷の付き具合を目視で評価した。
○=傷が見えない。
△=傷は見えるが、面状に白く見える程ではない。
×=傷跡が白い面状に見える。
(10)スクラッチ傷つき試験:新東科学(株)製 トライボギアTYPE18を使用して評価した。測定方法は次の通りである。測定モードは一定荷重(1kg)、圧子はボール圧子 5φmm、ストローク距離は40mm、ストローク速度は10mm/秒。圧子がアルミニウム板に到達した時のストローク回数を求めた。
本発明のアニオン型電着塗料を適用することにより、塗膜外観、塗膜性能に優れ、塗膜表面の浅い傷のみならず、深い傷防止に特に有効な塗膜を提供することが可能となった。また被塗物としては、特にアルミニウム素材の塗装に適用される。

Claims (2)

  1. (A)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を共重合した酸価10〜150KOHmg/g樹脂固形分、水酸基価20〜200KOHmg/g樹脂固形分、重量平均分子量が10,000〜100,000のビニル共重合体、(B)アミノ樹脂および、(C)水分散性ワックスから成り、(C)水分散性ワックスの平均粒径が0.3μm以上、3μm以下で、(C)水分散性ワックスの配合量が、(A)ビニル共重合体と(B)アミノ樹脂の合計100重量部に対して0.1〜1.5重量部であることを特徴とするアニオン型電着塗料。
  2. (C)水分散性ワックスの配合量が(A)ビニル共重合体と(B)アミノ樹脂の合計100重量部に対して0.1〜1重量部であることを特徴とする請求項1記載のアニオン型電着塗料。
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