JP4023781B2 - 艶消しアニオン型電着塗膜 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタン系接着剤およびシリコーン系シーリング材との接着性に優れた、艶消しアニオン型電着塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、陽極酸化処理したアルミニウム材は軽量でかつ強度が強く、さらには耐食性に優れることから、ビルや住宅の窓枠、ドアー、エクステリア等の建材関係に広く使用されている。アルミニウム材の塗装には、ワンコートで仕上がり性の良いアニオン型電着塗料が一般的に使用されてきた。近年中でも艶消し仕様が強く求められ、カルボキシル基および水酸基を含有する水性アクリル樹脂とメラミン樹脂架橋剤をベースとしたアニオン型電着塗料から、艶消し塗膜を得る方法が代表的に用いられている。
【0003】
しかしながら、最近アルミニウム建材のニーズが多様化し、多色化、あるいは新意匠が求められている。特に一般住宅向けのドアー材、窓枠材の室内側の面においては、それぞれの部屋の雰囲気に合わせるべく、各種の模様が印刷されたラミネート材を貼り付けるという技術が普及して来ている。ラミネート材を貼り付けるために接着剤を電着塗膜に塗布し使用するが、従来技術においては、電着塗膜に接着剤を塗布した場合、塗膜上での接着剤の広がりが不充分なため、接着剤がはじいたりして充分な接着力が得られにくいという問題点があり、改良が求められている。
現在のところ最も一般的に使用される接着剤は、主剤がウレタン変性をしたあるいは変性しないポリエステルポリオールで、硬化剤としてポリフェニルポリメチレン系ポリイソシアネートを組み合わせたものであり、中でもこのウレタン系接着剤において特に上記の問題が顕著である。
またアルミニウム建材においては、各種シーリング材が使用されており、このシーリング材、特にシリコーン系シーリング材との接着性の確保も重要な課題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はラミネート材用ウレタン系接着剤およびシリコーン系シーリング材と良好な接着性を有し、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性、硬度等の塗膜性能、および塗膜の仕上り外観にも優れる、艶消しアニオン型電着塗膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するため電着塗膜の物性について、鋭意検討を行った。その結果一般的に使用されるラミネート材を貼り付けるためのウレタン系接着剤と良好な接着性を得るためには、塗膜の表面エネルルギーが非常に重要な要素であることを本発明者らは見出した。具体的には下記式で求められる塗膜の表面エネルギーは30dyne/cm以上が必要である。一方シリコーン系シーリング材はウレタン系接着剤とは逆に一般的に表面エネルギーが大きくなると接着力が低下する。このことを克服し、表面エネルギーが30dyne/cm以上の塗膜において、シリコーン系シーリング材と充分な接着性を得るためには、塗膜にHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを存在させる必要がある。本発明者らは上記の結果をベースに、ラミネート材用ウレタン系接着剤およびシリコーン系シーリング材との接着性が両立する条件を見出した。すなわち本発明は、アニオン型電着塗料をアルミニウム素材に電着塗装して得られる塗膜で、水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有し、硬化塗膜の表面エネルギーが30dyne/cm以上である艶消しアニオン型電着塗膜に関するものである。
【0006】
塗膜の表面エネルギー(γ)とは、塗膜表面上の任意の長さに垂直に働く力で表される。塗膜の表面エネルギーは流動パラフィン及び脱イオン水を使用して、電着塗膜との間に形成される接触角を測定し、下記式を用いて計算される。
γ=γd+γp
γd=8.2(1+COSθp)2
γp=[36.4(1+COSθw)−√21. 8γd]2 /51. 0
上記式において、θpは電着塗膜と流動パラフィンの接触角、θwは電着塗膜と脱イオン水の接触角を表す。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の艶消しアニオン型電着塗料をアルミニウム素材に塗装して得られる電着塗膜で、かつ水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有する、表面エネルギーが30dyne/cm以上である艶消し電着塗膜およびその塗膜を作製するための電着塗料、電着塗装方法について詳細に説明する。
【0008】
ラミネート材を貼り付けるためのウレタン結合を有する接着剤と、艶消し電着塗膜が、良好な接着性を有するためには、塗膜の表面エネルギーが30dyne/cm以上必要である。なぜなら、ウレタン結合は凝集力エネルギーが大きい結合であり、そのためウレタン結合を有する接着剤は大きな表面エネルギーを有しており、通常40dyne/cm前後である。このような接着剤を、はじきが無く、均一に電着塗膜に塗布するためには電着塗膜の表面エネルギーができるだけ大きい方が好ましく、少なくとも30dyne/cm以上が必要で、32dyne/cm以上がより好ましい。
電着塗膜に接着剤が均一に塗布されない状態でラミネート材を貼り付けると、部分的にはある程度の接着力を有するものの、殆ど接着力(ピーリング強度)が0という部分もあり、いわゆるハシリ現象を起こす。このような場合、実際のラミネート材の剥離は接着力が0の部分から発生するので実用に耐えない。
【0009】
一方シリコーン系シーリング材との接着については、前述のとおり塗膜の表面エネルギーが大きくなる程、ウレタン結合を有する接着剤とは異なり接着力が低下する。表面エネルギーが30dyne/cm以上の塗膜において、シリコーン系シーリング材と充分な接着性を得るためには、塗膜中にシリコーン系シーリング材と類似の構造単位を有する、特定のポリエーテル変性シリコーンオイルを存在させることが必要である。特定のポリエーテル変性シリコーンオイルとは具体的には、水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルである。
【0010】
水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルが塗膜に存在する場合は、シリコーンオイルでありながら、塗膜の表面エネルギーが30dyne/cm以上確保でき、電着塗膜にウレタン結合を有する接着剤を塗布した場合、塗膜上での接着剤の広がりが充分確保されるため、接着剤がはじいたりせず充分な接着力が得られる。従って、該塗膜はウレタン系接着剤およびシリコーン系シーリング材のいずれにおいても良好な接着性が得られる。
【0011】
水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルが塗膜に存在すると塗膜の表面エネルギーは、30dyne/cm以上が確保される。その理由はシリコーンオイルが表面に濃縮されることが少ないためと推定している。逆に、HLBが13より小さいポリエーテル変性シリコーンオイルを使用すると、該シリコーンオイルが塗膜表面に濃縮されるため、電着塗膜の表面エネルギーを30dyne/cm以上に維持することが難しい。以上より、ラミネート材用ウレタン系接着剤およびシリコーン系シーリング材のいずれにおいても高い接着力を確保するためには、電着塗膜は表面エネルギーが30dyne/cm以上で、且つ水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有する必要がある。
【0012】
〔ポリエーテル変性シリコーンオイル〕
本発明に使用されるポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンを主鎖とし、その主鎖の(両)末端もしくは側鎖の一部にポリアルキレンオキサイドなどのポリエーテルで変性したシリコーンオイルが代表的であり、該シリコーンオイルは水酸基を有し且つHLBは13以上のものが選ばれる。
【0013】
該ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば日本ユニカー株式会社製の商品名として、L−7604(HLB=13、水酸基当量1000)、FZ−2163(HLB=13、水酸基当量1100)、FZ−2161(HLB=16、水酸基当量1000)などを挙げることができる。これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0014】
該ポリエーテル変性シリコーンオイルの配合割合は、艶消しアニオン型電着塗料の樹脂固形分100重量部当たり、0.01〜1重量部、特に0.02〜0.5重量部が好ましい。更には0.03〜0.3重量部が好ましく、この場合、X線光電子分光装置を使用して塗膜表面のケイ素濃度を測定するとおよそ0.5〜2%である。また、0.01重量部未満になるとシリコーンシーリング材との接着性が低下する。一方、1重量部を超えると製品コストが高くなる。
【0015】
本発明の電着塗膜を作製する方法について述べる。使用する電着塗料を例示すると、ビニル共重合体およびメラミン樹脂をベースとする艶消しアニオン型電着塗料であり、水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有している。
【0016】
〔ビニル共重合体〕
本発明に使用される、ビニル共重合体は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体およびその他の親水性不飽和単量体、架橋官能基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、並びに、その他のα,β−エチレン性不飽和単量体を共重合したものである。
【0017】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、ビニル共重合体に水分散性、電気泳動性を付与するものである。例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等が挙げられる。これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、ビニル共重合体中の酸価が好ましくは10〜150mgKOH/g固形分、より好ましくは20〜100mgKOH/g固形分となるような範囲で使用される。ビニル共重合体の酸価が10未満では充分な水分散安定性が得られず、また150を超えると電気泳動性、塗膜析出性が低下し、塗膜の耐水性、耐アルカリ性が低下する。
【0019】
また、水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体は、塗膜の表面エネルギーを確保するために重要であり塗膜の焼き付けに際して、メラミン樹脂と反応して硬化性を付与するものである。例示すると、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、およびこれらのラクトン変性物等が挙げられ、1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
このような水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体はビニル共重合体中の水酸基価が好ましくは60〜200mgKOH/g固形分、より好ましくは80〜200mgKOH/g固形分となるような範囲で使用される。水酸基価が60未満では塗膜の表面エネルギーを30dyne/cm以上に確保することが難しく、ラミネート材用接着剤との充分な接着力が得られない。また200を超えると塗膜が脆化し、耐水性が低下する。
【0021】
また、塗膜の表面エネルギーを30dyne/cm以上を確保するために上記の水酸基含有不飽和単量体以外の親水性不飽和単量体を共重合するのが好ましい。例示するとメトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、等のポリエーテル変性アクリル系不飽和単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルN―ビニルー2−ピロリドン等のビニル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、n−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアミド系単量体が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
また、架橋官能基含有α,β−エチレン性不飽和単量体は、ビニル共重合体中に安定的に不溶性のミクロゲルを生成させ、艶消し性能を付与するものである。例示すると、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、β−メチル置換グリシジルアクリルレート、β−メチル置換グリシジルメタクリルレート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、後述する方法で水分散化した後、分散粒子内にミクロゲルを生成させ光沢の低減化を図る。特にアセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレートについては、ホルムアルデヒドを併用することでミクロゲルの生成が促進されるので、ホルムアルデヒドを併用することが好ましい。
【0023】
さらに、塗膜の表面エネルギーを30dyne/cm以上に保ちながらその他のモノマーの共重合が可能である。具体的な化合物を例示すると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等のビニル単量体が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
ビニル共重合体の好ましい重量平均分子量は、10,000〜100,000であり、より好ましくは20,000〜70,000である。重量平均分子量が10,000以下の場合は、塗膜耐久性が充分に得られず、また100,000以上の場合は、水分散性が低下する。
【0025】
上述したようなビニル共重合体は、前記の各単量体を溶液重合、非水性分散重合、塊状重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法で重合することによって得られるが、特に溶液重合が好ましく、反応温度としては通常40〜170℃が選ばれる。
【0026】
反応溶剤としては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の親水性溶剤を用いるのが好ましい。また、重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、公知のものを用いることができる。
【0027】
〔メラミン樹脂〕
本発明に使用されるメラミン樹脂は、メチロール基の少なくとも一部を低級アルコールでアルコキシ化したアルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂である。より好適なメラミン樹脂はメチルエーテルとブチルエーテルを併用した混合エーテル型メラミン樹脂であり、前記ビニル共重合体との組合せで塗膜の表面エネルギーが30dyne/cm以上の艶消し電着塗膜が容易に得られる。メラミン樹脂のメチルエーテル/ブチルエーテルの比率は70/30〜20/80が特に好ましい。また1種のメラミン樹脂であっても、また2種以上のメラミン樹脂が組み合わされても問題はない。
【0028】
アルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂を例示すると、三井サイテック株式会社製のサイメル266、232、235、238、236、マイコート548、住友化学工業株式会社製のスミマールM−66B、三和ケミカル株式会社製のニカラックMX−40、MX−45等があるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明のメラミン樹脂の使用量の好ましい範囲は、ビニル共重合体100重量部に対し30〜100重量部である。この範囲より少ない場合は、塗膜の架橋が不充分なため硬度、機械特性、耐溶剤性、耐薬品性等が低下し、ラミネート接着性も悪化する。逆に100重量部を超える場合は、ビニル共重合体との親和性が不充分になり、水分散液の安定性不良、分散粒径の不均一化、電着後の水洗性不良、撥水現象、塗膜の光沢ムラ、乳白化等の問題が生じると共に、過剰のメラミン樹脂が、硬化しないで可塑剤として残存する為、硬度不足とラミネート接着性不良が起こり、好ましくない。
【0030】
本発明の艶消し電着塗料の調製は、ビニル共重合体およびメラミン樹脂を40〜100℃で攪拌混合し、有機アミンあるいは無機塩基等の塩基性物質で中和した後、20〜80℃で脱イオン水と撹拌混合して乳化分散し、HLBが10以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを添加し攪拌混合するのが一般的な方法である。更に必要に応じて、加温反応を行ったり、あるいは脱イオン水、または親水性溶剤を一部含有する脱イオン水で希釈し、艶消しタイプの電着塗装に供せられる。
【0031】
前述の塩基性物質は、ビニル共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を中和して水分散化するための物質であり、例示すると、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアルキレンポリアミン、アンモニア、エチレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。このような塩基性物質による中和率は30〜120%が適当であるが特に50〜100%であると水分散性が良好で、光沢ムラを生じないので好ましい。
【0032】
また、電着塗料の調製には更に必要に応じて、硬化触媒、消泡剤やレベリング剤といった界面活性剤、等の添加剤を用いてもよい。また、本発明の技術は、顔料と併用して着色タイプの電着塗料にも適用可能である。
【0033】
〔電着塗装方法〕
電着塗装を実施する場合における、塗料の固形分濃度は4〜20重量%が適当である。4重量%より低い場合には、必要な塗膜厚を得るのに長時間を要し、20重量%を超えると浴液の状態が不安定となり、塗装系外に持ち出される塗料量も多く問題となる。
【0034】
塗装方法については、被塗物を陽極として電着塗装を行うが、塗装電圧は30〜350V、好ましくは50〜300Vであり、通電時間は0.5〜7分、好ましくは1〜5分である。電圧が高いほど通電時間は短く、逆に電圧が低いほど通電時間は長くなる。塗装電圧は通電と同時に設定電圧をかける方法、あるいは徐々に設定電圧まで上げていく方法のどちらでもかまわない。電着塗装された被塗物は必要により水洗し、次いで150〜200℃で15〜60分間加熱し、最終塗膜を得る。塗膜厚は5〜30μmが好ましい。また、得られる塗膜は、平滑性や均一性等の外観に優れ、機械特性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の性能にも優れたものとなる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明について実施例を挙げ、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表中の配合量は特別な記載のない限り、重量部を表す。
【0036】
〔ビニル共重合体の製造〕
製造例1〜4(樹脂液A1〜A4の製造)
撹拌装置、温度計、単量体の滴下装置、還流冷却装置を有する反応装置を準備する。表1に示す配合に従って、(1)と(2)を反応装置に仕込み、撹拌下に還流温度まで上昇させ、(3)〜(13)を予め均一に混合した後、3時間かけて滴下した。温度は90℃を維持した。滴下終了してから、1.5時間経過後に(14)を加えて、更に90℃で1.5時間反応を継続して、樹脂固形分65%の透明で粘稠な樹脂液A1〜A4を得た。それらの酸価(mgKOH/g固形分)、水酸基価(mgKOH/g固形分)、重量平均分子量も表1に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004023781
【0038】
使用原料
PME−400:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
AAEM :アセトアセトキシエチルメタクリレート
γ−MPTMS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
β−MGMA :β−メチル置換グリシジルメタクリレート
【0039】
〔分散樹脂液B1〜B8の製造〕
撹拌装置、温度計、還流冷却装置を有する反応装置を準備し、表2および表3に示す配合に従って(1)〜(5)を仕込み、60℃で1時間撹拌混合した。これに(6)を加えた後、(7)を徐々に添加して乳化分散樹脂液のB1〜B8を得た。分散樹脂液B1とB7については、さらに(8)の37%ホルマリンを添加して50℃で4時間保温し、ミクロゲル化の反応を行った。分散樹脂液B2〜B3、B5〜B6はこのままで既にミクロゲルが生成している。分散樹脂液B4とB8については、75℃で10時間保温してミクロゲル化の反応を行った。最後にそれぞれに(9)〜(11)を加えて、分散樹脂液(樹脂固形分30%)を調製した。
尚、(5)のサイメル238は三井サイテック株式会社製混合エーテル型メラミン樹脂で固形分100%である。
(9)のL−7604は日本ユニカー株式会社製のポリエーテル変性シリコーンオイルでありHLB=13である。
(10)のSH−28PAは東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のポリエーテル変性シリコーンオイルでありHLB=7である。
また、分散樹脂液B5〜B8は比較例用であり、B5とB7はポリエーテル変性シリコーンオイルを含まない場合、B6とB8はHLBが10より小さいポリエーテル変性シリコーンオイルを含む場合である。
【0040】
【表2】
Figure 0004023781
【0041】
【表3】
Figure 0004023781
【0042】
〔電着塗料C1〜C8の製造〕
上記の分散樹脂液B1〜B8に脱イオン水を加えて固形分を10%に調製した後、トリエチルアミンを加えてpHを8.0に調整して、それぞれに相当する電着塗料C1〜C8を得た。
【0043】
〔電着塗装および塗膜性能評価〕
(実施例1〜4、比較例1〜4)
上記で得られた電着塗料(実施例1〜4はそれぞれの電着塗料C1〜C4、比較例1〜4はそれぞれの電着塗料C5〜C8を使用)を塩化ビニル製の浴槽に入れ、陰極をSUS304鋼板とし、6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アルマイト膜厚=9μm)を施し、更に黒色に電解着色した後、常法により湯洗されたアルミニウム材を陽極(被塗物)として電着塗装を行った。電着塗装の具体的条件は浴温22℃、極間距離12cm、極比(+/−)2/1として、常法により、130Vで塗膜厚が10μmとなる様に通電し、電着終了後洗浄し、引き続いて185℃で30分間焼き付けた。得られた塗膜を性能評価し、結果を表4および表5に示した。
【0044】
【表4】
Figure 0004023781
【0045】
【表5】
Figure 0004023781
【0046】
塗装材の評価方法は次の通りである。
(1)表面エネルギー :電着塗装したアルミニウム材に流動パラフィン、脱イオン水を各々滴下し、協和界面科学株式会社製、接触角測定装置LCD−400S型を使用して、電着塗膜と流動パラフィンの接触角θp及び、電着塗膜と脱イオン水の接触角θwを測定する。前記した表面エネルギーを求める式に測定した接触角を代入し、表面エネルギー[dyne/cm]を計算する。
(2)塗膜表面のケイ素濃度:ファイ株式会社製、X線光電子分光装置5300MC型、X線源としてMgKα線を使用して、塗膜表面の炭素、チッ素、酸素、ケイ素原子それぞれの光電子強度を測定し、相対濃度値合計が100%になるように正規化した値を各元素の表面濃度[%]とした。
(3)光沢値 :グロスメーターで60°鏡面反射率[%]を測定。
(4)鉛筆硬度 :JIS K−5400−8.4.2(鉛筆手かき法)に準拠。破れ判定。
(5)碁盤目付着性 :JIS K−5400−8.5.2(碁盤目テープ法)に準じた方法で判定。結果の数値は碁盤目数100個中の剥がれずに残存した碁盤目数を示した。
(6)耐アルカリ性 :1%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃で120時間浸漬後に塗面状態を観察。
(7)耐酸性 :5%の硫酸水溶液に20℃で120時間浸漬後に塗面状態を観察。
(8)ラミネート接着性 :接着剤を塗布した25mm幅のオレフィン製ラミネート材を電着塗装したアルミニウム材に貼り付け、5kgのゴムローラーで圧着した後、室温で3日間放置する。その後、引っ張り試験機を使用して、塗装材とラミネート材の180°剥離試験を行った時のピーリング強度を測定する(引っ張り速度:200mm/分)。この時4kg以上のピーリング強度がある場合、ラミネート接着性の評価は良好と判定し○と表示した。4kgより小さい場合は×と表示した。また、試験に使用したウレタン系接着剤は、コニシ株式会社製の主剤KU−2Nと硬化剤KU−662を重量比100:6で混合したものを使用した。接着剤塗布量は乾燥前で100μmである。
(9)シーリング適性 :シリコーンシーリング材(信越化学工業株式会社製、商品名、シーラント45)を電着塗装したアルミニウム材に付け、室温で7日間放置する。その後、シーリング材を手で引っ張り凝集破壊の有無を確認する。評価は次のように表示した。
○:シーリング材がアルミニウム材に残った。凝集破壊した。
×:シーリング材がアルミニウム材に残らず、きれいにはがれた。凝集破壊しなかった。
(10)促進耐候性 :塗装材をJIS K5400−9.8.1に準じたサンシャインウエザーメーターで4000時間テスト後の光沢保持率を測定。評価は次のように表示した。保持率85%以上を○とした。
【0047】
【発明の効果】
本発明の艶消しアニオン型電着塗膜を適用することにより、塗膜外観および塗膜性能に優れ、特にラミネート材用ウレタン系接着剤との接着性およびシリコーン系シーリング材との接着性の両方に優れた、艶消し電着塗膜を提供することが可能となった。

Claims (2)

  1. アニオン型電着塗料をアルミニウム素材に電着塗装して得られる塗膜で、水酸基を有しHLBが13以上のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有し、硬化塗膜の表面エネルギーが30dyne/cm以上である艶消しアニオン型電着塗膜。
  2. 硬化塗膜の表面エネルギーが32dyne/cm以上である請求項1記載の艶消しアニオン型電着塗膜。
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