JP5396796B2 - 発泡成形品の製造方法及び発泡成形品 - Google Patents
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Description
この製造方法は、自動車のドアトリムその他の自動車の内装品その他の製造方法に好適な方法として近年広く用いられるようになってきている。
例えば下記特許文献1,特許文献2にその製造方法が開示されている。
図7はその具体例を示している。
ここでは先ず第2キャビティ203に芯材用の熱可塑性の樹脂材料を射出して芯材204を成形する。
図8(I)はこのときの状態を示している。
この製造方法では、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料210を射出して第1キャビティ208に充填し、しかる後、第1分割型200を型開き方向に図中上向きに所定ストローク後退移動させ、第1キャビティ208を拡大させる。
またこのとき金型の内面に沿って、詳しくは第2分割型206の内面に沿って表皮215が形成される。
この表皮215は、熱可塑性樹脂の基材が金型の内面で冷却され固化することによって生ずる。
更にバリを除去した部分が製品の外観に影響を及ぼしてしまう。
また上記ヒケの問題は製品が厚肉部分を有している場合に特に発生し易く、このことが製品の設計に際しての制約となってしまう。即ち設計の自由度を阻害する要因となってしまう。
図9は、芯材204が発泡層217から外部に延び出した取付部216を有する場合の製造方法を比較例として示したもので、この場合には、第1分割型200と第2分割型206の他に中型218を設けておかなければならない。
そのため、それら第1分割型200,第2分割型206とは別体で中型218を構成しておいて、型開き後に中型218を図中右方向にスライド移動させることで発泡成形品を脱型せざるを得ない。
尚図において、220は第2分割型206の摺動面214に対応した中型218の摺動面を示している。
また本発明の他の目的は、発泡成形品の成形用の金型の構造を簡素化し得て金型に要するコストを低減でき、また発泡成形品の成形のための工数を少なくし得て、発泡成形品のコストを低減することのできる発泡成形品の製造方法及び発泡成形品を提供することを目的とする。
また樹脂内圧低下による不良発生を防止できるため、発泡成形品の肉厚を厚くすることができ、発泡成形品の形状設計の自由度も高まる利点が得られる。
更に第2分割型の第2摺動面の相手側の第1摺動面となるのは、金型に比べて柔らかい芯材の縦の面であるため、第2分割型の第2摺動面が摺動を繰り返すことによって摩耗により擦り減ってしまうといった問題も生じない。
この場合において発泡成形品を脱型するためには、中型を一旦溝から浮き上らせるように移動させた上でなければ、型開き方向と直角方向に中型をスライド移動させることができず、金型の分解工程が極めて複雑となってしまう。
その際、発泡樹脂材料がそれら摺動面を通じて外部に漏出するのを良好に防止することができる。
即ち発泡成形品を成形した後に第1分割型と第2分割型とを型開きすることで、支障無く発泡成形品を脱型することが可能となる。
尚、本発明では上記熱可塑性樹脂の基材として熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
図1において、10は自動車のドアトリムその他自動車の内装品等に好適に用いられる樹脂の発泡成形品で、この発泡成形品10は、硬質の熱可塑性樹脂から成る芯材12と、芯材12に積層された熱可塑性樹脂の発泡層14と、発泡層14と同じ材質の樹脂から成り、発泡層14の外表面を全体的に覆うソリッド樹脂から成る表皮16とを積層状態に一体に有している。
図中12-1,14-1,16-1は発泡成形品10における膨出部10-1に対応した芯材12,発泡層14,表皮16におけるそれぞれの膨出部を表している。
この芯材12は、膨出部12-1の図中左端から下向きに垂下した形状の縦の折曲げ部18と、その縦の折曲げ部18の下端から直角且つ図中左向きに折れ曲った鍔部20とを有している。図中22はその鍔部20の側端面を表している。
ここで芯材12における鍔部20の側端面22と、表皮16の縦の壁26の外面とは、図中左右方向において同じ位置に位置している。即ち側端面22と表皮16の壁26とは、上下方向に同一面(面一面)を成している。
またTPEとしてスチレン系(スチレン・ブロック・コポリマー(SBC)),オレフィン系(TPO),ウレタン系(TPU),ポリエステル系(TPEE),ポリアミド系(TPAE),1,2-ポリブタジエン系,塩ビ系(TPVC),フッ素系その他のものを用いることが可能であるが、ここでは特に好適なものとしてオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)が用いられている。
尚、芯材12は硬質のものであることが必要で、ここではロックウェル硬度(Rスケール)が80〜100、或いは100〜120程度のものが用いられているが、この芯材12としてはロックウェル硬度で50以上のものを用いるのが望ましい。
尚、芯材12はここではその厚みが2.3mmである。芯材12としては厚みが1.5mm以上であることが望ましい。
具体的には、物理的発泡法として溶融状態の基材樹脂に、窒素や二酸化炭素等の発泡性ガスを物理的に強制的に注入し、これを射出成形後に発泡させる方法、或いは熱分解により発泡性ガスを放出する発泡剤を樹脂材料中に加えておいて、射出成形後においてこれを熱分解させて発泡させる方法の何れも可能である。
ここでは発泡成形品10を2色成形によって成形し、金型の一部を共通に用いて先ず芯材12を成形した後、続いて発泡層14及び表皮16を連続して成形し、それらを一体化する。
図2は、先ず芯材12を成形する際の方法を示している。
図において、芯材12を成形する金型は雄型としての第1分割型40と、雌型としての第3分割型42との分割構造とされており、それら第1分割型40と第3分割型42とによって、芯材12の形状に対応した形状の第2キャビティ44が形成されている。
芯材12を成形したら、第1分割型40と第3分割型42とを図中上下方向に型開きする。
このとき、成形された芯材12は第1分割型40の側に残りそこに保持される。
図3に示しているように、発泡層14及び表皮16を成形する金型は、図2に示す第1分割型40と、第2分割型46との分割構造をなしている。
即ち、発泡層14及び表皮16を成形する発泡射出成形用の金型は、芯材12成形用の第1分割型40を共通の金型として備えている。
具体的には芯材12成形用の図2の第3分割型42と、図3の第2分割型46とを取り替えることで、発泡層14及び表皮16の発泡射出成形用の金型が構成される。
この状態で、第1分割型40と第2分割型46とによって発泡層14及び表皮16に対応した形状の第1キャビティ50が形成される。
図中52は、芯材12の上記の側端面22を第1摺動面として、これに摺動する第2分割型46側の第2摺動面を表している。
また54は、芯材12における縦の折曲げ部28の外面56を第1摺動面として、これに摺動する第2分割型46側の第2摺動面を表している。
尚図中P1,P2はパーティングラインを示している。
尚、第2分割型46には芯材12の取付部30に備えられた溝32に対して凹凸嵌合する凸部58が一体に備えられている。
図4(II)はこのときの状態を表している。
尚、170℃以上の高温状態で射出機から第1キャビティ50内に充填された発泡樹脂材料は、その高い射出圧に基づいて図4(II)に示す型締状態の下ではそこに含有された発泡剤のほとんどがガス化することはなく、従ってこの状態では発泡を生じない。
また熱可塑性樹脂の基材が冷却状態の金型の内面に接することで、そこで基材が冷却固化し、図1に示す表皮16を形成する。
そしてこの表皮16の内側に、発泡樹脂材料の発泡によって図1に示す発泡層14が形成される。
また第2分割型46側の図中右側の第2摺動面54は、芯材12における折曲げ部28の外面56を第1摺動面としてこれに対し摺動する。
ここで第1分割型40の相対的な後退移動のストロークは芯材12の厚み、具体的には側端面22の図4中上下方向の高さ以下のストロークで最終の後退位置まで移動する。
芯材12の厚み即ち側端面22の高さが予めそのように定めてある。
このとき、芯材12の溝32に凹凸嵌合していた第2分割型46の凸部58もまた、溝32から図中上向きに相対的に大きく離間し、凸部58と溝32との凹凸嵌合が解除される。
従ってこの状態で発泡成形品10を容易に金型から脱型することができる。詳しくはこれを保持した第1分割型40から脱型することができる。
図中218は、第1分割型40A,第2分割型46Aとは別体に分割構造で構成された中型で、220は中型218に形成された第1摺動面、214は第2分割型46Aに形成された第2摺動面である。
ここでは芯材12の溝32に凹凸嵌合する凸部58Aが、中型218に一体に構成されている。
しかるに図1〜図5に示した本実施形態の製造方法によれば、単に第1分割型40と第2分割型46とを図中上下方向に型開きするだけで、簡単に発泡成形品10を金型から取り出すことができる。
またたとえ第2分割型46の第2摺動面52と芯材12の側端面22との間に万一隙間を生ぜしめたとしても、発泡成形品10の成形毎に芯材12が新しく入れ替わるため、その漏れを1回限りのものとなすことができる。
12 芯材
14 発泡層
16 表皮
18,28 折曲げ部
22 側端面
30 取付部
32 溝
40 第1分割体
42 第3分割体
44 第2キャビティ
46 第2分割体
50 第1キャビティ
52,54 第2摺動面
56 外面
Claims (5)
- 型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、ロックウェル硬度(Rスケール)が50以上の剛性を有する硬質の樹脂製の芯材を一方の該第1分割型に重ねてセットし保持させた状態で、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して該第1キャビティに充填し、しかる後前記芯材を保持した前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、前記基材が金型内面で固化して形成された表皮と、該発泡樹脂材料の発泡にて形成された、該表皮の内側の発泡層及び前記芯材を積層状態に一体に有する発泡成形品を製造する発泡成形品の製造方法において、
前記第1分割型の前記相対的な後退移動時に前記第1キャビティを閉鎖しつつ該第1分割型に対して相対移動する、該第1キャビティを形成する前記第2分割型の凹形状の内面の型開閉方向に延びる縦の第2摺動面を、型締状態で前記第1分割型に金属接触させることなく前記芯材の該型開閉方向に延びる縦の外面に弾性接触させて前記第1キャビティを閉鎖し、且つ該第1キャビティの拡大のための前記第1分割型と第2分割型との相対移動の全ストロークに亘って、該縦の外面を第1摺動面として前記第2摺動面を前記第1分割型に金属接触させることなく摺動させることで、該第1キャビティを閉鎖状態に維持するようになし、
板状をなす前記芯材は、その厚みを前記相対移動のストローク以上の厚みとなし、該芯材の側端面を前記第1キャビティの端に位置させて、該側端面を前記縦の外面をなす第1摺動面として前記第2摺動面を摺動させるようになしたことを特徴とする発泡成形品の製造方法。 - 請求項1において、前記芯材に前記第1キャビティ内の端位置で前記型開閉方向の折曲げ部が設けてあり、該折曲げ部の外面を前記縦の外面をなす前記第1摺動面として、前記第2摺動面を摺動させるようになしたことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
- 請求項2において、前記芯材には、前記第1キャビティから外部に延びた取付部が設けてあり、且つ前記折曲げ部は前記第1分割型の相対的な後退方向に折曲げられているとともに、該取付部には該折曲げ部に続いて該折曲げ部の折曲げ方向且つ前記型開閉方向に凹陥した形状の溝が備えてあることを特徴とする発泡成形品の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記第1分割型と、前記第2分割型とは別の第3分割型とを型締めして、それら第1分割型と第3分割型とで形成される第2キャビティに前記芯材用の熱可塑性樹脂を射出し、該芯材を成形した後、該第3分割型と前記第2分割型とを取り替えてそれら第1分割型と第2分割型とで形成される前記第1キャビティに、前記発泡樹脂材料を充填及び発泡させて、前記表皮と発泡層とを成形し前記芯体に一体化させることを特徴とする発泡成形品の製造方法。
- 硬質の樹脂製の板状の芯材に対して、熱可塑性樹脂の発泡層と表皮とが一体に積層してあり、且つ該芯材は該発泡層及び表皮の端位置で該発泡層の厚み方向且つ該発泡層から離れる方向に折れ曲った折曲げ部と、該折曲げ部に続いて外部に延び出した取付部とを有しており、該取付部は該折曲げ部に続いて前記発泡層の厚み方向且つ該折曲げ部の折曲げ方向に凹陥した形状の溝を備えているとともに、該折曲げ部における外面の、該折曲げ方向とは反対方向の延長面上に前記表皮の縦の外面が位置していることを特徴とする発泡成形品。
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