JP2005288745A - 射出成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
突出部が所望の取付強度を有し、軽量化の図られた、表面にヒケが発生しない射出成形品を得るための射出成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】
発泡剤が含有された樹脂をコアバック可能な金型内に射出する。本体形成用キャビティの型接触面表面及びボス形成用キャビティに充填された樹脂が冷却、固化後、可動型をコアバックし、溶融状態の樹脂内においてコア生成を行い、発泡部を得る。
【選択図】図3
突出部が所望の取付強度を有し、軽量化の図られた、表面にヒケが発生しない射出成形品を得るための射出成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】
発泡剤が含有された樹脂をコアバック可能な金型内に射出する。本体形成用キャビティの型接触面表面及びボス形成用キャビティに充填された樹脂が冷却、固化後、可動型をコアバックし、溶融状態の樹脂内においてコア生成を行い、発泡部を得る。
【選択図】図3
Description
本発明は見栄えの良い車両用射出成形品の製造方法に関する。
従来、サイドモール等の車両用射出成形品においては、車両への取り付け時に位置決めを行うための取付用ボスや、車両取付用のクリップ及びクリップ座が、成形品裏面に形成されているものがある。この取付用ボス等の突出部を有することにより成形品には肉厚の異なる部位が形成され、この肉厚偏差により成形品意匠面にヒケが発生しやすい。このヒケ防止手段として、突出部を成形品成形後に別ピースとして取り付ける、突出部の根元を薄肉にする、成形品全体の肉厚を厚くする等、様々な手段が講じられている。しかし、いずれの手段も工数がかかったり、コストが高くなったりと、好ましいものではない。また、製品としても外観品質が得にくい、重量が重くなるなどの問題があった。
一方、近年車両の燃費向上を目的として、車両用樹脂成形品には更なる軽量化が要求されている。この軽量化のため、成形品を発泡成形方法により形成する手段がある。さらには必要箇所のみ発泡させることのできる、部分発泡成形方法が考えられる。そして先行技術1には、この部分発泡成形用金型装置およびこれを用いた部分発泡成形方法が開示されている。
特開平10-180825この先行技術には、非発泡部分作成用金型ブロックと発泡部分作成用金型ブロックとがそれぞれ独立して進退駆動可能なように構成された、部分発泡射出成型用金型装置が開示されている。この金型装置を利用して成形を行なうと、表面には金型転写性に優れたスキン層を有し、コア層のみを発泡させた表面外観の良好な部分発泡成形品を得る事ができるという。しかし、この先行技術においては未発泡部形成用金型ブロックと、発泡部形成用金型ブロックとを各々独立して作動させる機構が必要となる。また、この先行技術により形成された成形品は未発泡部と発泡部とで肉厚が異なるため、境界部付近において肉厚偏差によるヒケの発生が予測される。しかし、このヒケ防止手段については何ら開示されていない。サイドモールのような車両用外装部品は、その外観品質が厳しく要求されるものであるため、この先行技術を転用して見栄えのよい樹脂成形品を得ることは困難である。本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところはボス等の突出部のような肉厚偏差を生じさせる箇所を部分的に有する成形品であっても、意匠面にヒケ等が発生して外観品質を低下させることが無く、かつ軽量化の図られた射出成形品の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の本発明に係る取付用のボスを有する射出成形品の製造方法は、突出部形成用キャビティと本体部形成用キャビティを有する成形型内に発泡剤が含有された、または不活性ガスが溶融された樹脂を射出する工程と、突出部形成用キャビティ全体と本体部形成用キャビティの型接触部分とが固化した状態で、本体部形成用キャビティを拡張し、突出部上部に位置する本体部内部の樹脂を発泡させる工程とからなることを特徴とする。
この請求項1に記載の方法によると、突出部及び成形品の表面を発泡させることなく発泡成形品が得られる。つまり突出部上部の発泡部形成工程においては、セル生成による内部圧力の発生により、型接触部分での転写性が高まり、肉厚の異なる境界部付近においてもヒケの発生が抑制され、表面外観に優れ、軽量化が図られた射出成形品を得る事ができる。また、突出部はほとんど発泡部を有していないので、取付位置に対する取付精度が高いものとすることができる。また、位置決めとしての所望の強度を有することができる。
また、請求項2に記載の発明は、取付用のボスは略円筒形状を成していることを特徴とする。この請求項2に記載の発明により、請求項1に記載の発明に加え、突出部形成用キャビティの樹脂がより早く固化されるため、成形品の成形サイクルを短縮することができる。
更に、請求項3に記載の発明は、本体部内部の全体が発泡していることを特徴とする。この発明によると、成形品全体にわたって、発泡による軽量化の効果をもたらすことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、樹脂射出工程に先だって、少なくとも本体部形成用キャビティにはカウンタープレッシャーがかけられていることを特徴とするものである。この請求項4に記載の発明によると、成形品の表面に発泡部が形成されるのをより確実に防ぐことができる。
また、請求項2に記載の発明は、取付用のボスは略円筒形状を成していることを特徴とする。この請求項2に記載の発明により、請求項1に記載の発明に加え、突出部形成用キャビティの樹脂がより早く固化されるため、成形品の成形サイクルを短縮することができる。
更に、請求項3に記載の発明は、本体部内部の全体が発泡していることを特徴とする。この発明によると、成形品全体にわたって、発泡による軽量化の効果をもたらすことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、樹脂射出工程に先だって、少なくとも本体部形成用キャビティにはカウンタープレッシャーがかけられていることを特徴とするものである。この請求項4に記載の発明によると、成形品の表面に発泡部が形成されるのをより確実に防ぐことができる。
(実施例1)
以下、図面を参照しつつ、実施例に基づいて、本発明の製造方法につき具体的に説明する。図1は本発明に係る射出成形方法に用いられる金型装置(2)を示す断面図である。この装置を用いて図5及び図6に示すような、スキン層(5)及び発泡部(4)からなり、突出部としての取付用のボス部(3)を有する射出発泡成形品(1)を製造することができる。図2は図1に示す金型装置内に、発泡剤が含有された発泡樹脂(13)を充填している過程を示すものである。図3は図2に示す発泡樹脂充填後、ボス形成用キャビティ全体と、本体部形成用キャビティの型接触面の樹脂が冷却、固化し、成形品の表面にスキン層(5)が形成された状態を表すものである。図4はスキン層形成後、型開きを行なって、発泡部(4)を得る工程を示すものである。
まず、図1に示すように、本発明に使用する金型装置(2)は、固定型(10)及び可動型(20)とからなり、固定型には本体部形成用キャビティ(11)が、可動型にはボス形成用キャビティ(12)がそれぞれ形成されている。この金型装置(2)において、可動型全体が図示しない型締用油圧シリンダーによって固定型へ向けて前進又は後退せしめられ、型閉じ、型開きが行われるようになっている。成形においては、まず、可動型を固定型側へ前進させ、型締を行う。本発明では、型閉じ状態の本体部形成用キャビティの厚みは、成形品の所定の厚みより薄く設定されている。また、ボス形成用キャビテイの肉厚(L)は本体部形成用キャビティの肉厚よりも薄いものとなっている。この型締めを行った後、図示しないガス供給装置により、本体部形成容キャビティ及びボス形成用キャビテイ内に、ガス体を供給する。このガス体により型締状態のキャビティ内は加圧状態とされ、キャビティ内には、いわゆるカウンタープレッシャーが作用している。
次に図2に示す様に、加圧状態のキャビティ内に公知の射出成形機からゲートを通じ、本体部形成用キャビティ(11)及びボス形成用キャビティ(12)に、発泡剤が含有された樹脂(13)を射出、充填する。なお、ここで充填される発泡剤が含有された樹脂とは、図示しない射出成形機内において、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、アゾジカルボンアミド等の公知の化学発泡剤を、ポリプロピレン(PP)に含有したものである。この発泡剤は射出成形機内において、樹脂の溶融時に発生する熱により分解され、Co2等のガスが発生する。射出成形においては、一般にゲート付近は樹脂の急激な圧力開放により、シルバーと呼ばれる外観不良が発生しやすいが、キャビティ内がガス体により加圧されているため、シルバー不良が発生しにくい。また樹脂の射出圧力により、発泡樹脂がセルを形成しようとするが、加圧ガス体により発泡樹脂の表面上でのコア生成が抑えられ、成形品表面には未発泡状態のスキン層が形成されて、外観品質が低下するのを抑制することができる。
樹脂の充填進行と共に、図示しない、ゲート位置とは反対側に設けられた開放弁からキャビティ内を加圧しているガス体を放出する。この加圧ガスの開放により、キャビティ内は高圧状態から大気圧まで、急速に減圧され、発泡樹脂の流動性が高まる。そのため樹脂の充填時間を短縮することができ、さらには樹脂の型転写性が向上し、フローマーク等の外観不良が解消される。このガス放出工程を、樹脂の射出、充填工程のどのタイミングで行うかは、成形品の形状、及び使用する樹脂の種類により、適宜最適なタイミングで行なえば良い。本発明では、少なくともボス形成用キャビティ及び本体形成用キャビティの型接触面が固化した後にガス体の放出を行うことにより、より確実に成形品表面に未発泡のスキン層(5)を形成することができる。
図3に示すように本体形成用キャビテイ及びボス部形成用キャビテイ内を充填させるよう所定量の樹脂が供給された後においても、本体部形成用キャビティ(11)の型接触面及び、ボス形成用キャビティ(12)全体が冷却、固化するまで一定時間、型締状態を維持する。型締状態を維持する間、本体部形成用キャビティ(12)の型接触面は冷却、固化し、その内部は未発泡の溶融状態(6)を維持する。
最後に図4の矢印に示すように、射出成形機の型締力を低下させ、可動型(20)を固定型(10)から離れるようにコアバックさせ、キャビティ内を成形品の所定の厚みとする。この時、可動型及び固定型は、いわゆる印ろう構造となっており、コアバックが行われても、キャビティ内が完全に開放されることはない。よって、コアバックした後もキャビティ内はある一定の圧力が保たれている。この一定の圧力が保持された状態での可動型の後退により、溶融状態の樹脂の内圧が低下され、発泡剤から分解された発泡核剤を起点にセルの形成を開始する。このセル生成により、本体部内部からキャビティ接触面へ向かう圧力が発生する。このことにより、更にキャビティ接触面での型転写性が向上する。この時すでに、本体形成用キャビティ(11)の型接触面及び薄肉のボス形成用キャビティ(12)内の樹脂は冷却、固化しているため、可動型の後退によっても、当該部分にはほとんど発泡部(4)が形成されることはない。
コアバックによりセル生成が開始され、一定時間後、内部樹脂のコア生成が終了し、発泡部(4)が形成される。この充分なコア生成の完了後、可動型(20)を完全に後退させ、キャビティ内を開放する。そして、図示しない突出しピン等により、得られた射出発泡成形品(1)をキャビティ内より取り出す。このようにして得られた成形品は、図5及び6に示すように、その表面は未発泡樹脂よりなるスキン層(4)が形成されており、また、肉厚偏差の境界近傍である、ボス部(3)上面においてもヒケが発生しておらず、外観に優れた成形品を得ることができる。さらに取付用ボスは発泡部を有しないため、位置決めとしての所望の強度を有しているので、取付時の信頼性が高いものとすることができる。本体部内部はその全体に渡って発泡樹脂により構成されているため、成形品全体が発泡樹脂による軽量化の作用が奏された成形品を得ることができる。
(実施例2)
図7は本願の製造方法による、別の成形品を示すものである。この成形品の基本的な製造方法は実施例1と同様であり、その説明は省略する。以下、実施例1と異なる部分について説明する。つまり、実施例2では突出部が実施例1と異なる形状となっている。実施例1では突出部をボス部としたが、実施例2における突出部は成形品裏面に一体的に形成された車両取付用のクリップ(7)である。実施例2では突出部としてのクリップ(7)上面の樹脂が発泡しており、実施例1と同様、その表面にヒケ等を発生させることがないという、同様の効果を得る事ができる。
以上、実施例では、可動型全体をコアバックさせて発泡部を得たが、本発明は可動型全体を後退させるものに限らない。例えば、可動型を分割型とし、少なくとも突出部形成用キャビティ上が発泡するよう、部分コアバックさせることも可能である。また、実施例ではボス部が発泡部を有しないとしたが、本願でいう、発泡部を有しないとは、突出部上部における発泡部より低発泡のものを含んだものをいう。つまり、前述のコアバック時に突出部の根元に発泡部が若干形成されることがある。この場合は、突出部根元に柔軟性を付与することができ、取付位置のバラツキを吸収することができるという別の効果を奏する。実施例ではボス部の形状は円筒状としたが、これに限られるものではなく、十字状、中実の円柱状等の様々な形状とすることができる。本願によると、突出部上部にヒケが発生しにくいので、その形状にとらわれることなく、設計の自由度も向上する。実施例では突出部をボス部及びクリップとして説明したが、突出部はこれらに限られるものではなく、車両への取付用のクリップを固定するためのクリップ座、リブ、ピン等が成形品裏面に一体的に形成され、突出部を成すもの全てを含む。
また、実施例においては、樹脂充填前のキャビティ内にカウンタープレッシャーをかけたが、これは必須ではなく、場合によりこの工程を省略することも可能である。さらには、公知の型温制御手段を用い、成形サイクルを更に短縮することも可能である。また、用いる樹脂として、発泡剤を含有した樹脂の代わりに、特許第2625576号公報にて提案されている公知の不活性ガスが溶融された樹脂を使用することでも、本願における作用効果を同等に奏することができる。
以上、詳述したように、本発明の射出成形品の製造方法によれば、突出部上部であっても、その表面にヒケが発生することなく、外観不良が生じるのを防止できる。さらに、成形品としては発泡による軽量化が図られた樹脂成形品を得る事ができるという優れた効果を奏する。
以下、図面を参照しつつ、実施例に基づいて、本発明の製造方法につき具体的に説明する。図1は本発明に係る射出成形方法に用いられる金型装置(2)を示す断面図である。この装置を用いて図5及び図6に示すような、スキン層(5)及び発泡部(4)からなり、突出部としての取付用のボス部(3)を有する射出発泡成形品(1)を製造することができる。図2は図1に示す金型装置内に、発泡剤が含有された発泡樹脂(13)を充填している過程を示すものである。図3は図2に示す発泡樹脂充填後、ボス形成用キャビティ全体と、本体部形成用キャビティの型接触面の樹脂が冷却、固化し、成形品の表面にスキン層(5)が形成された状態を表すものである。図4はスキン層形成後、型開きを行なって、発泡部(4)を得る工程を示すものである。
まず、図1に示すように、本発明に使用する金型装置(2)は、固定型(10)及び可動型(20)とからなり、固定型には本体部形成用キャビティ(11)が、可動型にはボス形成用キャビティ(12)がそれぞれ形成されている。この金型装置(2)において、可動型全体が図示しない型締用油圧シリンダーによって固定型へ向けて前進又は後退せしめられ、型閉じ、型開きが行われるようになっている。成形においては、まず、可動型を固定型側へ前進させ、型締を行う。本発明では、型閉じ状態の本体部形成用キャビティの厚みは、成形品の所定の厚みより薄く設定されている。また、ボス形成用キャビテイの肉厚(L)は本体部形成用キャビティの肉厚よりも薄いものとなっている。この型締めを行った後、図示しないガス供給装置により、本体部形成容キャビティ及びボス形成用キャビテイ内に、ガス体を供給する。このガス体により型締状態のキャビティ内は加圧状態とされ、キャビティ内には、いわゆるカウンタープレッシャーが作用している。
次に図2に示す様に、加圧状態のキャビティ内に公知の射出成形機からゲートを通じ、本体部形成用キャビティ(11)及びボス形成用キャビティ(12)に、発泡剤が含有された樹脂(13)を射出、充填する。なお、ここで充填される発泡剤が含有された樹脂とは、図示しない射出成形機内において、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、アゾジカルボンアミド等の公知の化学発泡剤を、ポリプロピレン(PP)に含有したものである。この発泡剤は射出成形機内において、樹脂の溶融時に発生する熱により分解され、Co2等のガスが発生する。射出成形においては、一般にゲート付近は樹脂の急激な圧力開放により、シルバーと呼ばれる外観不良が発生しやすいが、キャビティ内がガス体により加圧されているため、シルバー不良が発生しにくい。また樹脂の射出圧力により、発泡樹脂がセルを形成しようとするが、加圧ガス体により発泡樹脂の表面上でのコア生成が抑えられ、成形品表面には未発泡状態のスキン層が形成されて、外観品質が低下するのを抑制することができる。
樹脂の充填進行と共に、図示しない、ゲート位置とは反対側に設けられた開放弁からキャビティ内を加圧しているガス体を放出する。この加圧ガスの開放により、キャビティ内は高圧状態から大気圧まで、急速に減圧され、発泡樹脂の流動性が高まる。そのため樹脂の充填時間を短縮することができ、さらには樹脂の型転写性が向上し、フローマーク等の外観不良が解消される。このガス放出工程を、樹脂の射出、充填工程のどのタイミングで行うかは、成形品の形状、及び使用する樹脂の種類により、適宜最適なタイミングで行なえば良い。本発明では、少なくともボス形成用キャビティ及び本体形成用キャビティの型接触面が固化した後にガス体の放出を行うことにより、より確実に成形品表面に未発泡のスキン層(5)を形成することができる。
図3に示すように本体形成用キャビテイ及びボス部形成用キャビテイ内を充填させるよう所定量の樹脂が供給された後においても、本体部形成用キャビティ(11)の型接触面及び、ボス形成用キャビティ(12)全体が冷却、固化するまで一定時間、型締状態を維持する。型締状態を維持する間、本体部形成用キャビティ(12)の型接触面は冷却、固化し、その内部は未発泡の溶融状態(6)を維持する。
最後に図4の矢印に示すように、射出成形機の型締力を低下させ、可動型(20)を固定型(10)から離れるようにコアバックさせ、キャビティ内を成形品の所定の厚みとする。この時、可動型及び固定型は、いわゆる印ろう構造となっており、コアバックが行われても、キャビティ内が完全に開放されることはない。よって、コアバックした後もキャビティ内はある一定の圧力が保たれている。この一定の圧力が保持された状態での可動型の後退により、溶融状態の樹脂の内圧が低下され、発泡剤から分解された発泡核剤を起点にセルの形成を開始する。このセル生成により、本体部内部からキャビティ接触面へ向かう圧力が発生する。このことにより、更にキャビティ接触面での型転写性が向上する。この時すでに、本体形成用キャビティ(11)の型接触面及び薄肉のボス形成用キャビティ(12)内の樹脂は冷却、固化しているため、可動型の後退によっても、当該部分にはほとんど発泡部(4)が形成されることはない。
コアバックによりセル生成が開始され、一定時間後、内部樹脂のコア生成が終了し、発泡部(4)が形成される。この充分なコア生成の完了後、可動型(20)を完全に後退させ、キャビティ内を開放する。そして、図示しない突出しピン等により、得られた射出発泡成形品(1)をキャビティ内より取り出す。このようにして得られた成形品は、図5及び6に示すように、その表面は未発泡樹脂よりなるスキン層(4)が形成されており、また、肉厚偏差の境界近傍である、ボス部(3)上面においてもヒケが発生しておらず、外観に優れた成形品を得ることができる。さらに取付用ボスは発泡部を有しないため、位置決めとしての所望の強度を有しているので、取付時の信頼性が高いものとすることができる。本体部内部はその全体に渡って発泡樹脂により構成されているため、成形品全体が発泡樹脂による軽量化の作用が奏された成形品を得ることができる。
(実施例2)
図7は本願の製造方法による、別の成形品を示すものである。この成形品の基本的な製造方法は実施例1と同様であり、その説明は省略する。以下、実施例1と異なる部分について説明する。つまり、実施例2では突出部が実施例1と異なる形状となっている。実施例1では突出部をボス部としたが、実施例2における突出部は成形品裏面に一体的に形成された車両取付用のクリップ(7)である。実施例2では突出部としてのクリップ(7)上面の樹脂が発泡しており、実施例1と同様、その表面にヒケ等を発生させることがないという、同様の効果を得る事ができる。
以上、実施例では、可動型全体をコアバックさせて発泡部を得たが、本発明は可動型全体を後退させるものに限らない。例えば、可動型を分割型とし、少なくとも突出部形成用キャビティ上が発泡するよう、部分コアバックさせることも可能である。また、実施例ではボス部が発泡部を有しないとしたが、本願でいう、発泡部を有しないとは、突出部上部における発泡部より低発泡のものを含んだものをいう。つまり、前述のコアバック時に突出部の根元に発泡部が若干形成されることがある。この場合は、突出部根元に柔軟性を付与することができ、取付位置のバラツキを吸収することができるという別の効果を奏する。実施例ではボス部の形状は円筒状としたが、これに限られるものではなく、十字状、中実の円柱状等の様々な形状とすることができる。本願によると、突出部上部にヒケが発生しにくいので、その形状にとらわれることなく、設計の自由度も向上する。実施例では突出部をボス部及びクリップとして説明したが、突出部はこれらに限られるものではなく、車両への取付用のクリップを固定するためのクリップ座、リブ、ピン等が成形品裏面に一体的に形成され、突出部を成すもの全てを含む。
また、実施例においては、樹脂充填前のキャビティ内にカウンタープレッシャーをかけたが、これは必須ではなく、場合によりこの工程を省略することも可能である。さらには、公知の型温制御手段を用い、成形サイクルを更に短縮することも可能である。また、用いる樹脂として、発泡剤を含有した樹脂の代わりに、特許第2625576号公報にて提案されている公知の不活性ガスが溶融された樹脂を使用することでも、本願における作用効果を同等に奏することができる。
以上、詳述したように、本発明の射出成形品の製造方法によれば、突出部上部であっても、その表面にヒケが発生することなく、外観不良が生じるのを防止できる。さらに、成形品としては発泡による軽量化が図られた樹脂成形品を得る事ができるという優れた効果を奏する。
1 射出成形品
2 金型装置
3 ボス部(突出部)
4 発泡部
5 スキン層
7 クリップ(突出部)
10 固定型
11 本体形成用キャビティ
12 ボス形成用キャビティ
20 可動型
2 金型装置
3 ボス部(突出部)
4 発泡部
5 スキン層
7 クリップ(突出部)
10 固定型
11 本体形成用キャビティ
12 ボス形成用キャビティ
20 可動型
Claims (4)
- 取付用の突出部が成形品本体部に一体的に形成されている射出成形品の製造方法において、突出部形成用キャビティと本体部形成用キャビティを有する成形型内に発泡剤が含有された、または、不活性ガスが溶融された樹脂を射出する工程と、突出部形成用キャビティ全体と本体部形成用キャビティの型接触部分とが固化した状態で、本体部形成用キャビティを拡張し、突出部上部に位置する本体部内部の樹脂を発泡させる工程とからなることを特徴とする射出成形品の製造方法。
- 前記射出成形品の前記取付用の突出部は略円筒形状を成していることを特徴とする請求項1に記載の射出成形品の製造方法。
- 前記本体部内部の全体が発泡していることを特徴とする請求項1〜2に記載の射出成形品の製造方法。
- 前記樹脂射出工程に先だって、少なくとも本体部形成用キャビティにはカウンタープレッシャーがかけられていることを特徴とする請求項1〜3に記載の射出成形品の製造方法。
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US8845228B2 (en) | 2010-03-31 | 2014-09-30 | Ts Tech Co., Ltd. | Fixing structure for two members |
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-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004103603A patent/JP2005288745A/ja not_active Withdrawn
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