JP2010082843A - 樹脂発泡成形品の製造方法及び樹脂発泡成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1分割型40と第2分割型48とで形成される第1キャビティ50に、発泡樹脂材料55を射出して充填し、その後第1分割型40を後退移動させて第1キャビティ50を拡大し、発泡樹脂材料55を発泡させて、表皮とその内側の発泡層を芯材12に一体に積層して成る樹脂発泡成形品を製造するに際し、第1分割型40に芯材12を貫通する複数の凸型部46を設けておいて、これら凸型部46にて発泡層を冷却し、脱型までの時間を短縮化する。
【選択図】 図3
Description
この製造方法は、自動車のドアトリムその他の自動車の内装品その他の製造方法に好適な方法として近年広く用いられるようになってきている。
例えば下記特許文献1,特許文献2にその製造方法が開示されている。
図5はその具体例を示している。
ここでは先ず第2キャビティ203に芯材用の熱可塑性の樹脂材料を射出して芯材204を板状に成形する。
図6(I)はこのときの状態を示している。
この製造方法では、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料210を射出して第1キャビティ208に充填し、しかる後、第1分割型200を型開き方向に図中上向きに所定ストローク後退移動させ、第1キャビティ208を拡大させる。
またこのとき金型の内面に沿って、詳しくは第2分割型206の内面に沿って表皮215が形成される。
この表皮215は、熱可塑性樹脂の基材が金型の内面で冷却され固化することによって生ずる。
これは、樹脂の発泡層217の断熱性が高くて放熱し難いため、即ち金型による発泡層217の冷却が効き難いため、更には発泡層217と第1分割型200との間には樹脂製の芯材204が介在していて、第1分割型200による発泡層217の冷却が、板状の樹脂の芯材204を介して行われることとなって冷却の効率が低いため、発泡終了後においてこれを冷却し、固化させるまでに長い時間を要してしまうことによる。
この特許文献3に開示のものでは、問題解決のために金型に冷却ガスの通路を設け、そこに冷却ガスを供給し流通させることで冷却時間を早めるようにしている。
しかしながらこの場合、金型構造が複雑化するとともに、冷却のためにガス供給装置や排出装置を設けておかなければならず、全体として装置コストが高くなるとともに、樹脂発泡成形品の製造工程が複雑化してしまう。
このとき、芯材を保持した第1分割型には複数の凸型部が設けてあって、これら凸型部が、芯材を貫通して発泡層の成形空間まで達しているため、これら複数の凸型部の部分において、発泡層を金型によって直接的に冷却することができる。
即ち本発明の製造方法では、第1分割型の複数の凸型部によって、芯材に板厚方向に貫通した凹所を複数形成することとなるため、芯材の重量を軽減でき、樹脂発泡成形品全体の重量を軽量化することができる。
また芯材成形のための材料を節減することができ、材料コストもまた低減することができる。
但し貫通の凹所の占める割合が過大になると、芯材による形状保持機能が損なわれるため、貫通の凹所の割合については芯材に求められる形状保持機能に応じて決定することとなる。
またこの樹脂発泡成形品は、2色成形且つ発泡射出成形にてこれを製造する際に、芯材の凹所を貫通した第1分割型の凸型部によって、発泡層を金型にて直接的に冷却し、冷却速度を速めることができる効果を奏する。
図1において、10は自動車のドアトリムその他自動車の内装品等に好適に用いられる樹脂発泡成形品で、この樹脂発泡成形品10は、硬質の熱可塑性樹脂から成る芯材12と、芯材12に積層された熱可塑性樹脂の発泡層14と、発泡層14と同じ材質の樹脂から成り、発泡層14の外表面を全体的に覆うソリッド樹脂から成る表皮16とを積層状態に一体に有している。
図中10-1は、樹脂発泡成形品10における膨出部を表している。
また図中12-1,14-1,16-1は樹脂発泡成形品10の膨出部10-1に対応した芯材12,発泡層14,表皮16におけるそれぞれの膨出部を表している。
この芯材12は、膨出部12-1の図中左端と右端から下向きに垂下した形状の縦の折曲げ部18,20と、その折曲げ部18,20の下端から直角且つ図中左向きと右向きとに折れ曲った鍔部22,24を有している。図中26,28はそれら鍔部22,24の側端面を表している。
ここで芯材12における鍔部22の側端面26と、表皮16の縦の壁34の外面とは、図中左右方向において同じ位置に位置している。即ち側端面26と表皮16の縦の壁34の外面とは上下方向に同一面(面一面)を成している。
即ち側端面28と表皮16の縦の壁36の外面とは上下方向に同一面(面一面)を成している。
またTPEとしてスチレン系(スチレン・ブロック・コポリマー(SBC)),オレフィン系(TPO),ウレタン系(TPU),ポリエステル系(TPEE),ポリアミド系(TPAE),1,2-ポリブタジエン系,塩ビ系(TPVC),フッ素系その他のものを用いることが可能であるが、ここでは特に好適なものとしてオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)が用いられている。
尚、芯材12は硬質のものであることが必要で、ここではロックウェル硬度(Rスケール)が80〜100、或いは100〜120程度のものが用いられているが、この芯材12としてはロックウェル硬度で50以上のものを用いるのが望ましい。
尚、芯材12はここではその厚みが2.3mmである。芯材12としては厚みが1.5mm以上であることが望ましい。
具体的には、物理的発泡法として溶融状態の基材樹脂に、窒素や二酸化炭素等の発泡性ガスを物理的に強制的に注入し、これを射出成形後に発泡させる方法、或いは熱分解により発泡性ガスを放出する発泡剤を樹脂材料中に加えておいて、射出成形後においてこれを熱分解させて発泡させる方法の何れも可能である。
各凹所38はここでは円形の穴とされている(但し4角形状その他の形状であっても良い)。また各凹所38は、図1中等しいピッチlで左右方向に等間隔で設けられている。
この実施形態において、各凹所38は図1中の左右方向寸法が同寸法のdとされている。
従って図1に示す断面において、凹所38の寸法dを全て合せた合計の寸法は寸法L1に対して約30%である。
尚、紙面と直角方向においても凹所38は同じ寸法のものが同じピッチで設けられている。
この実施形態において、凹所38の発泡層14に対する開口面積の比率は、芯体12の発泡層14側の面の約9%程度である。
ここでは樹脂発泡成形品10を2色成形によって成形し、金型の一部を共通に用いて先ず芯体12を成形した後、続いて発泡層14及び表皮16を連続して成形し、それらを一体化する。
図2は、先ず芯材12を成形する際の方法を示している。
ここで第1分割型40には、芯材12の凹所38に対応した形状の凸型部46が、凹所38に対応した数で設けられている。
このとき、芯材12には図1に示す複数の貫通の凹所38が、第1分割型40の凸型部46によって同時に成形される。
その成形状態において、芯材12の凹所38の内周面と第1分割型40の各凸型部46の外周面とは全周に亘り密着接触していて、それらの間に隙間は生じておらず、凸型部46の外周面と凹所38の内周面との間が良好にシールされた状態にある。
このとき、成形された芯材12は第1分割型40の側に残り、そこに保持される。
図3に示しているように、発泡層14及び表皮16を成形する金型は、図2に示す第1分割型40と、第2分割型48との分割構造を成している。
即ち、発泡層14及び表皮16を成形する発泡射出成形用の金型は、芯材12成形用の第1分割型40を共通の金型として用いている。
具体的には、芯材12成形用の図2の第3分割型42と、図3の第2分割型48とを取り替えることで、発泡層14及び表皮16の発泡射出成形用の金型が構成される。
この状態で、第1分割型40と第2分割型48とによって、発泡層14及び表皮16に対応した形状の第1キャビティ50が形成される。
尚、図3(IV)においてPLは第1分割型40と第2分割型48とのパーティングラインを表している。
図3(V)はこのときの状態を表している。
ここで第1キャビティ50は、第2分割型48の第2摺動面52,54と芯材12の側端面26,28とによるシールによって閉鎖されており、第1キャビティ50に射出された発泡樹脂材料55の液が外部に漏出することはない。
また熱可塑性樹脂の基材が冷却状態の金型の内面に接することで、そこで基材が冷却固化し、図1に示す表皮16を形成する。
そしてこの表皮16の内側に、発泡樹脂材料55の発泡によって図1に示す発泡層14が形成される。
ここで第1分割型40は、芯材12の厚み、具体的には側端面26,28の図3中上下方向の高さ以下のストロークで最終の後退位置まで移動する。
芯材12の厚み、即ち側端面26,28の高さが予めそのように定めてある。
そのために発泡層14の冷却速度が速く、従って発泡層14が固化するまでの時間、即ち樹脂発泡成形品10の脱型までの時間が短縮化される。
ここにおいて図1に示す樹脂発泡成形品10が得られる。
これにより、樹脂発泡成形品10の生産効率を効果的に高めることができる。
また芯材12成形のための材料を節減することができ、材料コストもまた低減することができる。
例えば図4に示しているように、場合によって凸型部46を芯材12の厚み以上の突出高さとしておくことも可能である。このようにしておけば、図3に示す方法で発泡層14を表皮16とともに成形する際、発泡層14に対する第1分割型40による冷却の効率を一層高めることが可能となる。
その他本発明は上例以外の他の様々な形状,構造の樹脂発泡成形品の製造に適用可能であるし、また発泡層14を表皮16とともに発泡射出成形にて成形するに際し、図6に示すように第2分割型48と第1分割型40とを、それぞれの型開閉方向に延びる摺動面で金属接触させるようになすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
12 芯材
14 発泡層
16 表皮
38 凹所
40 第1分割型
42 第3分割型
44 第2キャビティ
46 凸型部
48 第2分割型
50 第1キャビティ
55 発泡樹脂材料
Claims (2)
- 型開き方向に分割された第1分割型と、第3分割型とを型締めして、それら第1分割型と第3分割型とで形成される第2キャビティに樹脂材料を射出して、硬質の熱可塑性樹脂から成る芯材を板状に成形した後、該芯材を該第1分割型に保持させた状態で該第3分割型を別体の第2分割型に取り替えて、それら第1分割型と第2分割型とで形成される第1キャビティに、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して該第1キャビティに充填し、しかる後前記芯材を保持した前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、前記基材が金型内面で固化して形成された表皮と、該発泡樹脂材料の発泡にて形成された、該表皮の内側の発泡層及び前記芯材を積層状態に一体に有する樹脂発泡成形品を得る樹脂発泡成形品の製造方法において、
前記第1分割型には、前記第2キャビティを通過して前記第3分割型まで到る凸型部を複数設け、前記芯材の成形時にそれら凸型部にて該芯材に板厚方向に貫通した複数の凹所を形成することを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。 - 熱可塑性樹脂から成る硬質の板状の芯材に対して、熱可塑性樹脂の発泡層と表皮とが一体に積層してあり、且つ前記芯材には前記発泡層まで到る貫通した複数の凹所が設けてあることを特徴とする樹脂発泡成形品。
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