JP2015020343A - 射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】サンドイッチ成形品において、表層の厚みが部分的に異なるように成形することができる射出成形方法を提供する。【解決手段】第1金型2及び第2金型4の少なくとも一方に、予め成形した基材層9gをインサートする基材層インサート工程と、第1金型2と第2金型4とを型締めし、形成される金型キャビティ9aに、非発泡性の第1樹脂9bを第1樹脂ゲート9dから射出充填し、金型キャビティ9aを第1樹脂9bで満たす第1射出充填工程と、第1射出充填工程の完了後に、金型キャビティ9aの容積を所定量だけ拡張させる金型キャビティ拡張工程と、金型キャビティ拡張工程の開始後に、金型キャビティ9a内の第1樹脂9b内に第2樹脂10bを第2樹脂ゲート10dから射出充填する第2射出充填工程と、を備える射出成形方法によって達成される。【選択図】図3
Description
本発明は、表層及び内層からなるサンドイッチ成形品の射出成形方法に関する。
従来から、表層と、この表層に内包された内層とからなるサンドイッチ成形品が知られている。サンドイッチ成形品は、樹脂成形品における、異材、同材、異色、同色様々な組み合わせからなる多層成形品の一つである。このようなサンドイッチ成形品は、1つの層の一方の表面にのみ別層が積層される多層成形品とは異なり、内層が表層に内包される多層成形品であるため、内包される内層は略完全に表層には露出せず、樹脂成形品自体の外観性や意匠性は表層で確保可能なことから、近年、プラスチック製資源ごみや廃棄プラスチック等を原料とする、コストダウンや環境対応に適したリサイクル樹脂等が内層に採用されたサンドイッチ成形品が、自動車のバンパーや輸送・物流用パレット、あるいは、コンテナボックス等、使用樹脂量が多い大物部品用の樹脂形品として採用されている。また、サンドイッチ成形品は、表層による製品外観性の確保と共に、内層に発泡性樹脂や機能性樹脂を採用することによる、軽量化や電磁波遮断機能等の付加価値を必要とする部材にも採用されている。
サンドイッチ成形品を成形する射出成形方法(コ・インジェクション法)としては、主に、多段成形方法と同時成形方法の2つの方法が知られている。多段成形方法は、表層用溶融樹脂を金型キャビティ内に射出充填させた後、内層用溶融樹脂を表層用溶融樹脂内に射出充填させ、これら2つの溶融樹脂で金型キャビティを満たす方法である(特許文献1)。同時成形方法は、表層用溶融樹脂を金型キャビティ内に射出充填させた後、表層用溶融樹脂と内層用溶融樹脂とを、表層用溶融樹脂が外周側で、その中心に内層用溶融樹脂が配置されるような層流状態で、先に射出した表層用溶融樹脂内に射出充填させ、これら2つの溶融樹脂で金型キャビティを満たす方法である(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の射出成形方法も含め、サンドイッチ成形品を成形する一般的な射出成形方法においては、表層用樹脂及び内層用樹脂の射出充填工程において、それぞれの樹脂で金型キャビティ内を満たす過程が、それぞれの樹脂の射出充填工程の開始及び完了のタイミングに多少の差異はあっても、最終的に、金型キャビティ内において略同時に進行する、それぞれの樹脂の自由流動に依存するため、表層及び内層は、金型キャビティの内面に対して直交する方向に、略一定の厚みの比率(表層の厚み:内層の厚み=X:Y)となって形成される。その結果、表層はサンドイッチ成形品の略全面において略同一の厚みで成形される。このように、サンドイッチ成形品を成形する一般的な射出成形方法においては、サンドイッチ成形品の表層の厚みを部分的に異なるように成形することは困難であった。
また、上記のような表層用樹脂及び内層用樹脂の略同時に進行する自由流動に起因する樹脂反転不良の発生を防止するには、サンドイッチ成形品の容積に対する内層用樹脂の充填比率を低く抑えざるを得ず、内層用樹脂の充填比率を高くすることができない。サンドイッチ成形品におけるこの低い内層用樹脂の充填比率は、表層を薄く成形したい場合の阻害要因であり、また、サンドイッチ成形品の部位によっては、内層が存在せずに表層のみで形成される要因となる。特に後者は、意図的に制御された結果ではなく、それぞれの樹脂の自由流動に依存した結果であって、成形サイクル毎の再現性は低い。そのため、このような部位が形成されたサンドイッチ成形品は成形不良品として処理され、サンドイッチ成形品の生産効率を低下させる。ここで、樹脂反転不良とは、内層用樹脂が表層用樹脂内ではなく表層用樹脂の外に射出充填される、あるいは、内層用樹脂が表層用樹脂内に射出充填された後、射出充填途中に、表層用樹脂の内部から外部へ流動してしまう不良である。
一方で、近年、サンドイッチ成形品の表層を部分的に、例えば、表面側と裏面側(意匠面と非意匠面)とで、それぞれの厚みが異なるように成形したい、すなわち、サンドイッチ成形品の厚み方向(一般的には、射出成形機の長手方向)において、内層をサンドイッチ成形品の表面側、あるいは、裏面側のいずれか一方に偏芯させた状態で成形したいとする要求や、表面側の一部や裏面側の一部、あるいは、その両面の一部の表層を、同じ面の他の表層より厚く成形したいとする要求がある。具体的には、前者は、表面側(意匠面側)の表層は、表層用樹脂の触感等(直接的に接触して感じる直接的触感)を活かすために薄肉で成形し、裏面側(非意匠面側)の表層は、サンドイッチ成形品の全体の剛性確保や、他の部品への取り付け剛性等の確保のため、表面側よりも厚肉で成形することが要求される場合等であり、後者は、このような厚肉部位を、必要に応じて、表面側の一部や裏面側の一部、あるいは、その両面の一部の表層に形成させることが要求される場合である。
また、表面側の表層を薄肉で成形することで、内層用樹脂の機能を表層側に活かすことができる。例えば、内層用に軟質系樹脂材料を採用し、あるいは、これを更に発泡膨張させることによりソフト感を付与させた場合、表層用に耐傷付き性機能を有する硬質系樹脂材料を用いた場合でも、内層のソフト感を、薄肉で成形させた表層を介して得ることができる。
一方、電磁波遮断性・制振性・吸音性・難燃性等の機能性を有する樹脂を採用し、樹脂成形品にこれらの機能性を付与させる場合、これら機能性樹脂は比較的高価であり、また、成形時に熱劣化を受けて製品外観性を損なう可能性もある。そのため、これらの機能性樹脂を内層に採用し、使用樹脂量を必要最小限に抑えると共に、安価な樹脂材料を製品意匠面となる表層に採用してサンドイッチ成形品を成形したいとする要求もある。この場合においても、内層に採用する樹脂の機能性を十分に発揮するため、表面側の表層を薄肉とし、製品剛性確保のため、裏面側の表層を厚肉とすることが望ましく、結果的に、内層を表面側の偏芯させた配置となる。
複数の機能性を有するこのような樹脂成形品は、サンドイッチ成形品ではなく積層成形品によっても得ることができる。例えば、表面側の、軟質系樹脂を発泡膨張させた層と、裏面側の、強化添加剤などで強度を付与させた硬質系樹脂を厚肉で成形させた層とを積層成形させた積層成形品を採用することにより、軟質(ソフト感・意匠性)と硬質(製品剛性)との異なる機能性を、樹脂成形品に付与させることは可能である。しかしながら、このような積層成形品は、表面側の層が軟質系樹脂のため、成形後の後処理(後工程)でなければ、耐傷付き性を付与させることは困難である。そして、表面側の層に機能性樹脂を、裏面側の層に安価な樹脂を採用する積層成形品では、樹脂の種類により相違するが、裏面側の層はもちろん、表面側の層にも十分な意匠性を付与させることが難しい場合がある。そのため、意匠面の品質の確保が難しい、あるいは、カバー部品等で、非意匠面側も視界に入る部材や、製品の表裏両面がほぼ意匠面となるような部材においては、製品表裏の外観性や触感の差異による品質低下が大きいという問題がある。
本発明は、上記したような要求や問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、サンドイッチ成形品において、表層の厚みが部分的に異なるように成形することができる射出成形方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1の射出成形方法は、金型キャビティを形成可能な第1金型及び第2金型を用いて、表層と内層とからなるサンドイッチ成形品を成形する射出成形方法であって、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、非発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の完了後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させる金型キャビティ拡張工程と、
前記金型キャビティ拡張工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える。
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、非発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の完了後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させる金型キャビティ拡張工程と、
前記金型キャビティ拡張工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える。
上記の目的を達成するため、本発明に係る第2の射出成形方法は、金型キャビティを形成可能な第1金型及び第2金型を用いて、表層と内層とからなるサンドイッチ成形品を成形する射出成形方法であって、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の開始後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させ、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂を発泡させる第1樹脂拡張発泡成形工程と、
前記第1射出充填工程の完了後で、かつ、前記第1樹脂拡張発泡成形工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える。
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の開始後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させ、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂を発泡させる第1樹脂拡張発泡成形工程と、
前記第1射出充填工程の完了後で、かつ、前記第1樹脂拡張発泡成形工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える。
本発明に係る射出成形方法において、前記第2樹脂が発泡性樹脂であって、第2射出充填工程の開始後に、前記金型キャビティの容積を、更に所定量だけ拡張させ、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に射出充填させた前記第2樹脂を発泡させる第2樹脂拡張発泡成形工程を備えるとしても良い。
本発明に係る射出成形方法において、前記金型キャビティの拡張は、射出成形機の型開閉機構による型開閉動作、及び、金型内可動部の移動動作の少なくとも一つにより行われるとしても良い。
本発明によれば、サンドイッチ成形品において、表層の厚みが部分的に異なるように成形することができる射出成形方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至図3を参照しながら、本発明の実施例1に係る射出成形方法を説明する。図1(a)乃至図1(c)は、実施例1に係る射出成形方法の成形工程の前半を示す金型の概略断面図である。図1(a)が基材層インサート工程、図1(b)が基材層インサート工程の完了時、図1(c)が第1射出充填工程を示す。図2(a)乃至図2(c)は、実施例1に係る射出成形方法の成形工程の後半を示す金型の概略断面図である。図2(a)が金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の開始時、図2(b)が金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の完了時、図2(c)が製品取出工程を示す。図3(a)乃至図3(c)は、実施例1に係る射出成形方法の各成形工程中のサンドイッチ成形品を示す概略断面図である。図3(a)が第1射出充填工程完了後のサンドイッチ成形品、図3(b)が金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の開始時のサンドイッチ成形品、図3(c)が製品冷却工程の完了後のサンドイッチ成形品を示す。図10は、実施例1に係る射出成形方法の基材層の別のインサート形態を示す金型の概略断面図である。
実施例1に係る射出成形方法に用いる射出成形機は、図1(a)に示すように、金型キャビティ9aを形成可能な固定金型2(第1金型)及び可動金型4(第2金型)と、サンドイッチ成形品9の表層の一部を形成する非発泡性の第1樹脂9bを可塑化(溶融化)して後述する金型キャビティ9a内に射出充填可能な第1射出ユニット17と、内層を形成する非発泡性の第2樹脂10bを可塑化して、同じく金型キャビティ9a内に射出充填可能な第2射出ユニット18とを備える。ここで、図1他において、第2射出ユニット18が、固定金型2の上方に配置され、第1射出ユニット17が、固定金型2の金型キャビティ9aを形成する側の面の反対面(図面右側)に配置されているが、第1射出ユニット17及び第2射出ユニット18は、それぞれが、固定金型2に射出充填可能に配置されれば、並行型配置、V字型配置、W字型配列、斜め型配置及びL字型配置等の公知の配置が可能であり、2つの射出ユニットの配置について本発明に係る制約はない。市販されている後付け用の射出ユニットにより必要な射出充填量が確保できるのであれば、汎用の射出成形機にそれら後付け用の射出ユニットを追加する形態であっても良い。
固定金型2は、ベース(図示せず)に立設された固定盤(図示せず)に取り付けられている。また、固定金型2は、第1射出ユニット17から射出された第1樹脂9bが金型キャビティ9a内に向けて流動する第1樹脂流路9cと、この第1樹脂流路9cの金型キャビティ9a内に連通されるゲート部分に設けられたゲートバルブ(樹脂遮断開放切替弁/第1樹脂ゲート)9dと、第2射出ユニット18から射出された第2樹脂10bが、金型キャビティ9a内に向けて流動する第2樹脂流路10cと、この第2樹脂流路10cの金型キャビティ9a内に連通されるゲート部分に設けられたゲートバルブ10d(第2樹脂ゲート)とを有している。可動金型4は、可動盤(図示せず)に、固定金型2に対向するように取り付けられ、図示しない型開閉機構により射出成形機の長手方向(以下、型開閉方向という)に移動可能に配置されている。尚、本実施例1において、第1樹脂流路9c及び第2樹脂流路10cは、ホットランナーで構成されているものとする。
固定金型2及び可動金型4は、それぞれの金型の分割面(金型分割面、パーティング面、割面と呼称されることもある)がシェアエッジ構造となっており、射出成形機の型開閉機構による型開閉動作で、金型キャビティの容積を可変させることができる。シェアエッジ構造とは、くいきり構造、あるいはインロー構造等と呼称されることもあり、金型の分割面を形成する嵌合部の構造として一般的に知られた構造であり、型開閉方向に伸びて、互いに摺動しながら挿脱することのできる嵌合部を、固定金型と可動金型の間に形成することによって、金型キャビティ内に射出充填された溶融樹脂が、所定量、金型を型開きさせても金型外に漏れ出すのを防止することができる構造である。
本実施例1においては、型締めにより、固定金型2及び可動金型4の間に形成される金型キャビティ9aの容積を、可動金型4の型開きにより拡張させる。しかしながら、この可動金型4の型開きによる金型キャビティ9aの容積の拡張部分も含め、固定金型2及び可動金型4の間に形成される空間を、その型開き量に依らず、金型キャビティ9aと呼称するものとする。また、この金型キャビティ9a内で成形させる成形体を、射出充填させる樹脂に依らず、サンドイッチ成形部9hと呼称するものとする。
実施例1に係る射出成形方法は、図1(a)に示すように、型開き状態において、固定金型2の金型キャビティ9aを形成させる面に、サンドイッチ成形品9の表層の一部を形成する、基材層樹脂8bからなる基材層9gをインサートさせる基材層インサート工程により成形サイクルが開始される。具体的には予め、別の射出成形機及び金型で成形させた基材層9gを、産業用ロボット等で構成される基材層インサート機構91により、型開き状態において、固定金型2の金型キャビティ9aを形成させる面にインサートさせる。インサートさせた基材層9gは、固定金型2の金型キャビティ9aを形成させる面に、図示しない位置保持手段等で固定され、後述する第1射出充填工程において、金型キャビティ9a内に射出充填させる第1樹脂9bの樹脂流動下においても、その位置が保持される。
後述するように、基材層インサート工程により金型キャビティ9a内にインサートさせる基材層9gには、サンドイッチ成形部9hが積層され、サンドイッチ成形品9の表層となるため、サンドイッチ成形部9hの表層となる第1樹脂9bと同じ樹脂、あるいは、同樹脂との融着(固着)強度が十分に得られる樹脂が採用されることが好ましい。この基材層9gは、サンドイッチ成形品9の表面及び裏面(意匠面及び非意匠面)のいずれの面であっても良い。このように、この基材層9gをサンドイッチ成形品9の表面及び裏面のいずれかの表層、あるいは、表層の一部分とすることにより、サンドイッチ成形品9において、表層の厚みが部分的に、すなわち、表面と裏面とで、あるいは、同じ面の表層において異なるように成形することができる。
また、本実施例1においては、説明及び図を簡単にするため、基材層9gを、金型キャビティ9aの、型開閉方向と直交する面全体に及ぶ平板状とし、後述するサンドイッチ成形部9hが、型開閉方向と直交する面全体に積層されるものとしたが、当然ながら、実際の成形において、基材層9gが、固定金型2側及び可動金型4の少なくとも一方の側に凹凸を有する所定の形状であっても良い。更に、図10に示すように、基材層9gが、サンドイッチ成形品の表側面及び裏面側の両方の面の部分的な厚肉の表層、例えば、取付部位等となるように、固定金型2及び可動金型4の両方にインサートさせても良い。このように、サンドイッチ成形部9hに対して、基材層9gの形状やインサート位置に特に制約はなく、サンドイッチ成形品の表側と裏側とだけでなく、同じ面の表層において、基材層9gをサンドイッチ成形品の表層の一部とすることにより、任意で、表層の厚みを部分的に異なるように成形することができる。
本実施例1の説明に戻る。基材層インサート工程後、図1(b)に示すように、可動金型4を図示しない型開閉機構により固定金型2に型閉じさせ、固定金型2側に保持させた基材層9g及び可動金型4の間に、金型キャビティ9aを形成させる。この型閉じ状態において、第1樹脂流路9cのゲートバルブ9dと、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dとが、金型キャビティ9a内に開放可能な状態となる。
本実施例1においては、基材層インサート工程により、基材層9gを固定金型2に保持させるものとしたが、固定金型2に保持させた基材層9gを介して後述する第1射出充填工程を行わせる場合、予め、基材層9gの、ゲートバルブ9dと接触する部分に、基材層9gを厚み方向に貫通する開口部を形成させておけば良い。また、基材層9gを可動金型4に保持させる場合は、第1樹脂流路9cのゲートバルブ9dと、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dとを、固定金型2及び基材層9g間に形成される金型キャビティ9a内に開放可能に配置させれば良く、それぞれの樹脂流路の固定金型2内での取り回し(配置)が容易になる。
本実施例1の説明に戻る。可動金型4を固定金型2に型閉じさせた後、図1(c)に示すように、第1樹脂流路9cのゲートバルブ9dを開放させて、第1射出ユニット17から第1樹脂流路9cを介して、第1樹脂9bを金型キャビティ9a内に射出充填させる(第1射出充填工程)。この第1射出充填工程は、前述したサンドイッチ成形部9hの表層のなる第1樹脂9bを射出充填させる工程であり、金型キャビティ9aの型開閉方向の厚み、すなわち、固定金型2にインサートさせた基材層9gと、対向する可動金型4の金型キャビティ9aを形成させる面との距離をα(アルファ)とする。第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dは閉じられており、金型キャビティ9a内に射出充填させた第1樹脂9bが第2樹脂流路10cに逆流することはない。尚、第1射出充填工程の間、可動金型4には所定の型締力が維持される。
ここで、金型キャビティ9a内にインサートさせた基材層9gの容積を除いて、可動金型4を固定金型2に型閉じさせた状態において形成される金型キャビティ9aの容積は、第1射出充填工程により、金型キャビティ9aに射出充填される第1樹脂9bで略100%満たされる値とする。すなわち、第1射出充填工程は、金型キャビティ9a内が第1樹脂9bで略100%満たされるフルパック状態で行われる。これにより、金型キャビティ9aに射出充填させた第1樹脂9b(サンドイッチ成形部9h)は、図3(a)に示すように、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)との接触面(外周面)及び基材層9gとの接触面に形成されるスキン層9eと、その内部がまだ溶融状態の溶融層9fで構成される状態となる。尚、第1射出充填工程が、金型キャビティ9a内が第1樹脂9bで略100%満たされるフルパック状態で行われることが重要であって、本実施例1のように固定金型2及び可動金型4が、所定の型締力が付与された型閉じ状態(型締状態)である必要は必ずしもない。図示しない型開閉機構(型締装置)において、第1射出充填工程における第1樹脂9bの射出充填力に抗する型締力が付与され、可動金型4の位置保持が可能であれば、シェアエッジ構造等を有する金型においては、金型が少し開いた状態で第1射出充填工程が行われても良い。
また、第1射出充填工程において、基材層9gに連続する金型キャビティ9aに、サンドイッチ成形部9hの表層用樹脂として射出充填させる第1樹脂9bに対して、先に説明したように、基材層9gを形成する基材層樹脂8bに、第1樹脂9b、あるいは、第1樹脂9bとの融着(固着)強度が十分に得られる樹脂を採用することにより、基材層9gとサンドイッチ成形部9hとの融着(固着)性に問題はない。更に、第1射出充填工程後のサンドイッチ成形部9hの冷却固化収縮を鑑み、第1射出充填工程では、金型キャビティ9aの容積より、少なくとも冷却固化収縮分だけ多く第1樹脂9bを射出充填させる方が、基材層9gとサンドイッチ成形部9hのスキン層9eとの融着(固着)強度、及び、サンドイッチ成形部9hのスキン層9eへの高い転写性を確保する上で好ましい。
次に、第1射出充填工程の完了後に、図2(a)に示すように、金型キャビティ9aの容積を、基材層9gの容積と合わせて製品容積になるまで拡張させる(金型キャビティ拡張工程)。具体的には、図1(c)に示す状態(型閉じ状態)から、可動金型4を図示しない型開閉機構により固定金型2から、距離β(ベータ)まで型開きさせる。そして、この金型キャビティ拡張工程の開始後に、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dを開放させ、第2射出ユニット18から第2樹脂流路10cを介して、内層を形成する非発泡性の第2樹脂10bをサンドイッチ成形部9h内に射出充填させる(第2射出充填工程)。この第2射出充填工程の開始時における内層用の第2樹脂10bの流動状態を図3(b)に示す。
金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程は、金型キャビティ拡張工程に連動させて、すなわち、金型キャビティ9aの容積拡張率に連動させて、第2射出充填工程において射出充填させる内層用の第2樹脂10bの射出充填量が制御されても良い。また、逆に、第2射出充填工程に連動させて、すなわち、内層用の第2樹脂10bの射出充填量に連動させて、金型キャビティ拡張工程における金型キャビティ9aの容積拡張率が制御されても良いし、双方が連動するように制御され、第2射出充填工程による第2樹脂10bの射出充填がフルパック状態で行われれば良い。また、この金型キャビティ拡張工程中及び同工程後において、第2射出充填工程の間、可動金型4には、第2射出充填工程による射出圧力に対抗する型締力が維持される。
このように、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程が連動制御されることにより、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dと、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)及び基材層9gとの接触面に形成された、サンドイッチ成形部9hのスキン層9eとを密着させた状態を維持させることができる。これにより、ゲートバルブ10d部分及びサンドイッチ成形部9hのスキン層9eにおける樹脂反転不良の発生を防止しつつ、表層用の第1樹脂9bのスキン層9eを内層用の第2樹脂10bの射出圧力により貫通させて、同樹脂を第1樹脂9b内に射出充填させることができる。更に、金型キャビティ9aの容積拡張により、第1樹脂9b内への第2樹脂10bの射出充填抵抗を、金型キャビティ内における溶融樹脂の自由流動と同程度まで軽減させることができ、サンドイッチ成形部9hの容積に対する内層用の第2樹脂10bの充填比率の向上を図ることができる。ここで、第1樹脂9b内への第2樹脂10bの射出充填抵抗を更に低下させるために、金型キャビティ拡張工程をある程度先行させてから、第2射出充填工程を行わせても良い。金型キャビティ拡張工程を先行させることにより、拡張された金型キャビティの容積に応じて、第1樹脂9bの溶融層9fはその容積が膨張し、樹脂圧力が低下するため、同溶融層9fへの射出充填抵抗は更に低下する。
また、サンドイッチ成形部9hの外周面に形成されたスキン層9eは、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)や、基材層9gの可動金型4側の面と接触により瞬時に冷却固化された薄い層である。このスキン層9eは、サンドイッチ成形部9h内に射出充填させる第2樹脂10bの樹脂反転不良を防止できる強度を有するものの、完全に固化している層ではなく、その温度が樹脂軟化点温度、あるいは、ガラス固化温度以上で、冷却固化が進行中の、層方向にゴム状の弾性挙動を示す薄膜のような層である。そのため、金型キャビティ拡張工程における金型キャビティ9aの容積拡張(サンドイッチ成形部9hの体積拡張)に追従可能である。一方、サンドイッチ成形部9hのスキン層9eに連続する、溶融状態部分を含む第1樹脂9b部分は、スキン層9eから進行する冷却固化により、最終的には、サンドイッチ成形部9hの表層となる。
ここで、第1射出充填工程と同様に、サンドイッチ成形部9hの冷却固化収縮を鑑み、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の連動制御においては、両工程を略同時に完了させるか、金型キャビティ拡張工程の完了後、第2射出充填工程を完了させることが好ましい。また、第2射出充填工程においても、金型キャビティ拡張工程後の金型キャビティ9aの容積より、少なくともそれら冷却固化収縮分だけ多く第2樹脂10bを射出充填させる方が、基材層9gと、サンドイッチ成形部9hのスキン層9eとの融着(固着)強度、及び、サンドイッチ成形部9hのスキン層9e及び基材層9gへの高い転写性を確保する上でより好ましい。
金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の完了後、図2(b)に示すように、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dを閉じ、基材層9g及びサンドイッチ成形部9hに所定の型締力を付与させた状態で、これらを冷却固化させると、固定金型2側の表層(基材層9g+サンドイッチ成形部9hの表層)と、可動金型4側の表層(サンドイッチ成形部9hの表層)との厚みが異なるサンドイッチ成形品9が成形される(製品冷却固化工程)。この製品冷却固化工程の完了後のサンドイッチ成形品9を図3(c)に示す。図の関係上、冷却固化状態の内層用の第2樹脂10bを溶融状態と同じ斜線で示す。
サンドイッチ成形品9の冷却固化が完了した後、図2(c)に示すように、可動金型4を図示しない型開閉機構により固定金型2から型開きさせ、図示しない製品取出手段によりサンドイッチ成形品9を射出成形機外へ搬出させ、成形サイクルが終了する。
以上説明したように、図1(a)乃至図2(c)までの工程を繰り返すことにより、固定金型2側の表層(基材層9g+サンドイッチ成形部9hの表層)と、可動金型4側の表層(サンドイッチ成形部9hの表層)の厚みが異なるサンドイッチ成形品9を連続して成形させることができる。また、サンドイッチ成形部の容積に対する内層用の第2樹脂の充填比率の向上を図ることができるため、表層を薄く制御するのに好適である。実施例1においては、サンドイッチ成形品9の構成上、基材層9g+サンドイッチ成形部9hの表層で構成される固定金型2側の表層の方が、サンドイッチ成形部9hの単一の表層で構成される可動金型4側の表層より厚いサンドイッチ成形品、すなわち、第2樹脂10bからなる内層が、型開閉方向の可動金型4側に偏芯したサンドイッチ成形品となる。また、基材層9gを金型キャビティ9aの、型開閉方向と直交する面全体ではなく、図10に示すような部分的な形状にすれば、同じ面であっても、表層の厚みが部分的に異なるサンドイッチ成形品となる。
本発明に係る射出成形方法においては、基材層9gからなる表層とサンドイッチ成形部9hの表層とに異なる樹脂を使用することができるため、それぞれの表層に異なる機能を持たせることが可能となる。具体的には、サンドイッチ成形部9hの表層側を意匠面とし、軟質系樹脂材料を採用することによりソフト感を付与させる場合に、非意匠面側の表層となる基材層9gに同じ軟質系樹脂を使用して、取付剛性を確保することは難しい。しかしながら、非意匠面側の表層となる基材層9gに、意匠面側の表層に採用した樹脂よりも、高い剛性を有する樹脂を採用すれば、非意匠面側の表層の厚肉化を抑えながら、必要な取付剛性を確保することが可能となる。また、サンドイッチ成形品において、表層の一部の色を変えたい場合、基材層9gに、サンドイッチ成形部9hの表層と同種類の樹脂であっても色違いの樹脂を採用すれば、サンドイッチ成形品の表裏が色違い、あるいは、図10に示すように、サンドイッチ成形品の表裏両方の面が部分的に色違いのサンドイッチッチ成形品が成形できる。同様に、表層の一部の機能を変えたい場合、基材層9gに、サンドイッチ成形部9hの表層と異なる機能を有する樹脂を採用すれば、サンドイッチ成形品の表裏が、あるいは、図10に示すように、サンドイッチ成形品の表裏両面が、部分的に異なる機能を有するサンドイッチッチ成形品、例えば、表層の一部にのみ、すべり止め機能や、静電気防止の導通性等の機能を持たせたサンドイッチ成形品の成形が可能である。
また、第1射出充填工程及び第2射出充填工程における射出充填がフルパック状態で行われるため、このサンドイッチ成形品9の表層は、表裏両面(固定金型2側及び可動金型4側)共に、金型キャビティ9aの意匠の高い転写性が確保され、表層用の第1樹脂9b内へ内層用の第2樹脂10bを射出充填させる際の樹脂反転不良の発生も防止できる。更に、表層用の第1樹脂9b及び内層用の第2樹脂10bはそれぞれ独立したゲート(ゲートバルブ)から金型キャビティ9aや金型キャビティ拡張部90a内に射出充填させるため、2種類の樹脂を層流にするミキシングノズル等が不要であり、内層用の第2樹脂10bの射出圧力で、表層用の第1樹脂9bのスキン層9eを貫通させるため、内層用の第2樹脂10b用の特殊なゲート構造やゲートバルブ等も不要である。したがって、これらゲート部やゲート部に連通する樹脂流路の配置の制約が少なく、金型の設計が容易となる。
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の実施例2に係る射出成形方法を説明する。図4(a)乃至図4(c)は、実施例2に係る射出成形方法の第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程を示す金型の概略断面図である。図4(a)が第1樹脂拡張発泡成形工程、図4(b)が第2射出充填工程の開始時、図4(c)が第2射出充填工程の完了時を示す。図5(a)乃至図5(e)は、実施例2に係る射出成形方法の第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程他の各成形工程中のサンドイッチ成形品を示す概略断面図である。図5(a)が第1射出充填工程の完了後のサンドイッチ成形品、図5(b)が第1樹脂拡張発泡成形工程中のサンドイッチ成形品、図5(c)が第2射出充填工程開始時のサンドイッチ成形品、図5(d)が第2射出充填工程の完了時のサンドイッチ成形品、図5(e)が製品冷却工程の完了後のサンドイッチ成形品を示す。
を示す。
を示す。
実施例2に係る射出成形方法が実施例1に係る射出成形方法と異なる点は、第1樹脂が発泡性の樹脂である点と、この点に起因して、実施例1の金型キャビティ拡張工程に相当する第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程の実施タイミングが若干異なる点である。これらの点以外は、実施例1に係る射出成形方法と基本的に同じであるため、その詳細な説明は省略、又は、実施例1を引用して説明し、相違点についてのみ詳細に説明する。また、金型及び射出成形機においても、非発泡性の第1樹脂9bが発泡性の第1樹脂9b’に変更される以外は実施例1において説明したものと基本的に同じものを用いることができるため、説明を省略する。尚、この非発泡性の第1樹脂9b及び発泡性の第1樹脂9b’の差異に起因して、実施例1の説明と区別する対象については、実施例1と同じ符号に”’(アポストロフィ)”を付して区別するものとする。
ここで、本実施例2においては、第1樹脂9b’が化学発泡剤を含む発泡性の樹脂であることを前提に説明する。第1樹脂9b’が物理発泡剤を含む発泡性の樹脂であっても良いが、その場合、表層用の第1樹脂9b’に適宜、物理発泡剤を混入させるための構成要件が、金型、あるいは、射出成形機に必要となる。しかしながら、これらの構成要件は本発明に直接関係ないため、その説明は省略する。
実施例2に係る射出成形方法は、まず、実施例1に係る射出成形方法と同様の方法により基材層インサート工程を行い、金型キャビティ9a内に基材層9gをインサートさせる。また、同じく、実施例1と同様の方法により、固定金型2側に保持させた基材層9g及び可動金型4の間の金型キャビティ9aに、第1射出ユニット17から、発泡性の第1樹脂9b’を射出充填させる(第1射出充填工程)。これら工程の説明及び図示は省略する。
ここで、一般的なサンドイッチ成形品の射出成形方法では、発泡セルのスキン層への表出等の問題で、表層用に発泡性の樹脂材料は採用されることが少ない。同様に、表層の一部となる基材層9gの成形において、あえて発泡性の樹脂を採用する必然性はない。しかしながら、実施例1の第1射出充填工程と同様に、基材層成形における基材層樹脂8bの射出充填をフルパック状態で行わせることにより、例え、基材層樹脂8bが発泡性の樹脂であっても、金型キャビティ内に射出充填させた基材層樹脂8b(基材層9g)の略全面に型締力を略均一に付与させて、基材層樹脂8b内での発泡セルの発生及びスキン層形成時における発泡セルのスキン層への表出を抑制させ、非発泡性の樹脂と同様に、表層用の樹脂として採用することができる。また、基材層成形において、所定の型締力を付与させた状態で冷却固化させれば、発泡ガスは基材層9g内に圧縮状態で封じ込められ、発泡ガスや発泡セルが成形後の基材層9gから表出する虞はない(未発泡状態のまま冷却固化される)。また、本実施例2においては、基材層9gを発泡層のない成形体(表層)としたが、実施例1において説明したように、基材層成形において、基材層樹脂8bを発泡させる拡張発泡成形方法を行って、基材層9gを、発泡層を内包する発泡成形体(表層)とすることも可能である。一方、上記のような、発泡性の樹脂を採用したフルパック状態での射出充填は、サンドイッチ成形部9h’の表層に発泡性の第1樹脂9b’を採用する本実施例2の場合にも有効である。
すなわち、第1射出充填工程においても、金型キャビティ9aへの発泡性の第1樹脂9b’の射出充填をフルパック状態で行わせるため、金型キャビティ9a内の第1樹脂9b’(サンドイッチ成形部9h’)内での発泡セルの発生及びスキン層9e’形成時における発泡セルのスキン層9e’への表出を抑制させることができる。そのため、図5(a)に示すように、第1射出充填工程の完了後、サンドイッチ成形部9h’は、発泡セルが表出していないスキン層9e’と、その内部が、発泡セルの発生が抑制された、まだ溶融状態の第1樹脂9b’とで構成される状態である。また、この状態における、金型キャビティ9aの型開閉方向の厚み、すなわち、固定金型2にインサートさせた基材層9gと、対向する可動金型4の金型キャビティ9aを形成させる面との距離は、実施例1と同じα(アルファ)とする。
本実施例2の第1射出充填工程における、第1樹脂9b’内での発泡セルの発生及び発泡セルのスキン層9e’への表出をより確実に抑制させるため、金型キャビティ9a内を、空気、窒素等の加圧ガスを注入することにより、発泡性の第1樹脂9b’の発泡膨張圧力以上の圧力で予め与圧させ、その後、発泡性の第1樹脂9b’を射出充填させる、所謂、ガス・カウンター・プレッシャー法を併用して採用しても良い。
次に、図4(a)に示すように、第1射出充填工程の開始後(すなわち、第1射出充填工程の途中、又は、第1射出充填工程の完了後)に、金型キャビティ9aの容積を、基材層9gの容積と合わせて製品容積になるまで拡張させ、金型キャビティ9a内の、溶融状態の発泡性の第1樹脂9b’(サンドイッチ成形部9h’)を発泡させる(第1樹脂拡張発泡成形工程)。具体的には、実施例1の図1(c)に示す状態(型閉じ状態)から、可動金型4を図示しない型開閉機構により固定金型2から、距離β(ベータ)まで型開きさせる。
この第1樹脂拡張発泡成形工程により、サンドイッチ成形部9h’のスキン層9e’は、スキン層9e’に連続する、発泡セルの発生が抑制された、まだ溶融状態の第1樹脂9b’側へ冷却固化が進行し、その厚みをわずかに増して(0.1〜0.5mm程度)、最終的にサンドイッチ成形部9h’の表層となる(未発泡状態)。説明上、以後も、このサンドイッチ成形部9h’の表層をスキン層9e’と呼称する。一方、サンドイッチ成形部9h’のスキン層9e’内部の、発泡セルの発生が抑制された、まだ溶融状態の第1樹脂9b’は、その略全部において発泡セルが発生・成長する。その結果、サンドイッチ成形部9h’は、図5(b)に示すように、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)及び基材層9gとの接触面に形成されるスキン層9e’(表層)及び同スキン層9e’に連続する、発泡セルを含む発泡層9f’とで構成される状態となる。
次に、第1射出充填工程の完了後で、かつ、第1樹脂拡張発泡成形工程の開始後(すなわち、第1樹脂拡張発泡成形工程の途中、又は、第1樹脂拡張発泡成形工程の完了後)に、図4(b)に示すように、第2樹脂流路10cのゲートバルブ10dを開放させ、第2射出ユニット18から第2樹脂流路10cを介して、内層を形成する非発泡性の第2樹脂10bをサンドイッチ成形部9h’(表層用の第1樹脂9b’)内に射出充填させる(第2射出充填工程)。この第2射出充填工程の開始時における内層用の第2樹脂10bの流動状態を図5(c)に示す。
ここで、本実施例2に係る射出成形方法の第1射出充填工程及び第1樹脂拡張発泡成形工程において成形させたサンドイッチ成形部9h’内の発泡層9f’は、実施例1に係る射出成形方法の第1射出充填工程において、フルパック状態で金型キャビティ9a内に射出充填させた非発泡性の第1樹脂9bに対して、その強度及び密度が低い。そのため、図5(c)に示すように、サンドイッチ成形部9h’のスキン層9e’をその射出圧力で貫通させた内層用の第2樹脂10bは、そのまま、その射出圧力と樹脂流動により、発泡層9f’内の発泡セル内の発泡ガスを圧縮しながら、発泡セル内に充填され、又は、発泡層9f’の強度及び密度が低い部位から順次、発泡セルを破壊しながら、第1樹脂9b’に代わって置換されていく。一方、サンドイッチ成形部9h’のスキン層9e’が、その厚みをわずかに増してサンドイッチ成形部9h’の表層(未発泡状態)となることは先に説明したとおりである。
この、発泡層9f’が内層用の第2樹脂10bに置換される工程をもう少し詳細に説明する。化学発泡剤を使用した場合、形成された発泡層内の発泡セル内の発泡ガス圧力は、化学発泡剤の種類や成形条件により相違するが、一般的に0.3〜0.5MPa(樹脂温度200℃)とされている。これに対して、射出充填樹脂圧力(射出圧力)は、樹脂の種類や成形条件により相違するが、一般的に30MPa〜50MPa、あるいは、それ以上とされている。
先に説明した第2射出充填工程においては、このような発泡層9f’内の発泡セル内の発泡ガス圧力と、内層用の第2樹脂10bの射出充填圧力との大きな圧力差により、第2樹脂10bのサンドイッチ成形部9h’内への射出充填時に、発泡セル内の発泡ガスがその射出充填抵抗を増加させる要因となることはなく、発泡セル内のほとんどの発泡ガスは、製品品質に全く影響しない程度の容積まで容易に圧縮され、内層用の第2樹脂10b内に残留する。また、ごく一部が、破壊された発泡セルの残骸と共に、第2樹脂10b中に再融解され、第2樹脂10b中に取り込まれたまま冷却固化され、発泡ガスとしては存在しなくなる。
その結果、使用する樹脂の組み合わせや、製品形状及び成形条件により、図5(d)に示すように、サンドイッチ成形部9h’の発泡層9f’の容積(発泡層9f’が発泡層でない溶融層である場合に対する、発泡層9f’の発泡セルによる密度低下分、又は、発泡倍率分)を略完全に、内層用の第2樹脂10bに置換させることが可能となる。そのため、発泡層9f’の容積(密度低下分、又は、発泡倍率分)から、サンドイッチ成形部9h’の未発泡部分の容積、すなわち、サンドイッチ成形部9h’の表層の厚みを所定精度で制御することが可能になる。一方、サンドイッチ成形品9’の表面及び裏面の少なくとも一方の表層となる基材層9gは、予め、任意の形状で、且つ、任意の肉厚で成形させたものを、型開閉方向の固定金型2側、又は、可動金型4側にインサートさせることが可能であるため、本実施例2に係る射出成形方法においては、サンドイッチ成形品において、表層の厚みが部分的に異なるように成形することができるだけでなく、それぞれの表層の厚みを所定精度で制御することが可能となる。
また、サンドイッチ成形部9h’の発泡層9f’の容積を略完全に、内層用の第2樹脂10bに置換させることが困難で、サンドイッチ成形部9h’の表層が、未発泡の第1樹脂9b’及び発泡層9f’の外周面部分の一部が混在する場合であっても、発泡層9f’の容積から、サンドイッチ成形部9h’の表層の厚みを所定精度で推測することは可能である。
第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程の完了後、図4(c)に示すように、金型キャビティ9a内の基材層9g及びサンドイッチ成形部9h’に所定の型締力を付与させた状態で、これらを冷却固化させると、サンドイッチ成形品9’が成形される(製品冷却固化工程)。この製品冷却固化工程の完了後のサンドイッチ成形品9’を図5(e)に示す。図の関係上、冷却固化状態の内層用の第2樹脂10bを溶融状態と同じ斜線で示す。
サンドイッチ成形品9’の冷却固化が完了した後、図示はしていないが、可動金型4を図示しない型開閉機構により、固定金型2から型開きさせ、図示しない製品取出手段によりサンドイッチ成形品9’を射出成形機外へ搬出させ、成形サイクルが終了する。
以上説明したように、実施例1と同様の基材層インサート工程、第1樹脂射出充填工程、実施例1の金型キャビティ拡張工程に相当する第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程の後、図4(a)乃至図4(c)に至る工程を繰り返すことにより、固定金型2側の表層(基材層9g+サンドイッチ成形部9h’の表層)と、可動金型4側の表層(サンドイッチ成形部9h’の表層)の厚みが異なるサンドイッチ成形品9’を連続して成形させることができる。
このように、実施例2に係る射出成形方法は、第2射出充填工程において、強度及び密度が低い、サンドイッチ成形部9h’の発泡層9f’に内層用の第2樹脂10cを射出充填させるため、実施例1のように、表層用に非発泡性の第1樹脂9bを採用した場合に対して、内層用の第2樹脂10cの射出充填抵抗を更に低下させることができる。これにより、内層用の第2樹脂10cによる樹脂反転不良を防止しつつ、サンドイッチ成形部9h’の容積に対する内層用の第2樹脂10cの充填比率の更なる向上を図ることができるため、表層を薄く制御するのに更に好適である。また、サンドイッチ成形品の表面と裏面とで、それぞれの表層の厚みが異なるように成形することができるだけでなく、それぞれの表層の厚みを所定精度で制御することが可能となる。
次に、図6及び図7を参照しながら、本発明の実施例3に係る射出成形方法を説明する。図6(a)及び図6(b)は、実施例3に係る射出成形方法の金型キャビティ拡張工程、第2射出充填工程及び第2樹脂拡張発泡成形工程を示す金型の概略断面図である。図6(a)が金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の完了時、図6(b)が第2樹脂拡張発泡成形工程を示す。図7(a)乃至図7(c)は、実施例3に係る射出成形方法の金型キャビティ拡張工程、第2射出充填工程及び第2樹脂拡張発泡成形工程他の各成形工程中のサンドイッチ成形品を示す概略断面図である。図7(a)が金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程完了時のサンドイッチ成形品、図7(b)が第2樹脂拡張発泡成形工程中のサンドイッチ成形品、図7(c)が製品冷却工程の完了後のサンドイッチ成形品を示す。
実施例3に係る射出成形方法が実施例1に係る射出成形方法と異なる点は、第2樹脂が発泡性の樹脂である点と、この点に起因して、第2射出充填工程の開始後に、金型キャビティ拡張部を更に所定量だけ拡張させる第2樹脂拡張発泡成形工程を備える点である。これらの点以外は、実施例1に係る射出成形方法と基本的に同じであるため、その詳細な説明は省略、又は、実施例1を引用して説明し、相違点についてのみ詳細に説明する。また、金型及び射出成形機においても、非発泡性の第2樹脂10bが発泡性の第2樹脂10b’に変更される以外は実施例1において説明したものと基本的に同じものを用いることができるため、説明を省略する。尚、この非発泡性の第2樹脂10b及び発泡性の第2樹脂10b’の差異に起因して、実施例1の説明と区別する対象については、実施例1と同じ符号に”’(アポストロフィ)”を付して区別するものとする。
ここで、本実施例3においては、第2樹脂10b’が化学発泡剤を含む発泡性の樹脂であることを前提に説明する。第2樹脂10b’が物理発泡剤を含む発泡性の樹脂であっても良いが、その場合、表層用の第2樹脂10b’に適宜、物理発泡剤を混入させるための構成要件が、金型、あるいは、射出成形機に必要となる。しかしながら、これらの構成要件は本発明に直接関係ないため、その説明は省略する。
実施例3に係る射出成形方法は、まず、実施例1に係る射出成形方法と同様の方法により基材層インサート工程を行い、金型キャビティ9a内に基材層9gをインサートさせる。また、同じく、実施例1と同様の方法により、固定金型2側に保持させた基材層9g及び可動金型4の間の金型キャビティ9aに、第1射出ユニット17から、非発泡性の第1樹脂9bを射出充填させる(第1射出充填工程)。これら工程の説明及び図示は省略する。尚、この状態における、金型キャビティ9aの型開閉方向の厚み、すなわち、固定金型2にインサートさせた基材層9gと、対向する可動金型4の金型キャビティ9aを形成させる面との距離は、実施例1と同じα(アルファ)とする。
次に、実施例1と同様の方法により、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程を連動制御にて行わせる。ここで、本実施例3の金型キャビティ拡張工程においては、金型キャビティ9aの容積を、基材層9gの容積と合わせて製品容積になるまで拡張させず、製品容積未満までの拡張に留める。この時の型開き量をβ’(β’<β)とする。このようにして、図6(a)に示すように、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程を完了させる。図6(a)は、本実施例3において、実施例1の図2(b)に相当する状態である。
尚、実施例1と同様に、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程が連動制御され、第2射出充填工程による第2樹脂10b’の射出充填がフルパック状態で行われるため、サンドイッチ成形部9h’内に射出充填させた内層用の第2樹脂10b’は、この段階においては未発泡状態である。金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の完了時のサンドイッチ成形品9’(基材部9g+サンドイッチ成形部9h’)を図7(a)に示す。図7(a)は、本実施例3において、実施例1の図3(b)に示す、内層用の第2樹脂10bをサンドイッチ成形部内に射出充填する第2射出充填工程の開始状態が進行し、同工程が完了した状態に相当する。
次に、図6(b)に示すように、第2射出充填工程の開始後(すなわち、第2射出充填工程の途中、又は、第2射出充填工程の完了後)に、金型キャビティ9aの容積を、基材層9gの容積と合わせて製品容積になるまで拡張させ、サンドイッチ成形部9h’内の発泡性の第2樹脂10b’を発泡させる(第2樹脂拡張発泡成形工程)。具体的には、図6(a)に示す状態(型開き量:距離β’)から、可動金型4を図示しない型開閉機構により固定金型2から、更に距離β(ベータ)まで型開きさせる。これにより、サンドイッチ成形部9h’は、図7(b)に示すように、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)及び基材層9gとの接触面に形成されるスキン層9e及び同スキン層9eに連続する、冷却固化が進行中の、溶融状態部分を含む第1樹脂9bと、発泡セルを含む発泡層10f’とで構成される状態となる。
第2樹脂拡張発泡成形工程の完了後、図示はしていないが、金型キャビティ9a内の基材層9g及びサンドイッチ成形部9h’に所定の型締力を付与させた状態で、これらを冷却固化させると、サンドイッチ成形品9’が成形される(製品冷却固化工程)。この製品冷却固化工程の完了後のサンドイッチ成形品9’を図7(c)に示す。図の関係上、冷却固化状態の内層用の第2樹脂10b’の発泡層10f’を発泡時と同じ表記で示す。
サンドイッチ成形品9’の冷却固化が完了した後、図示はしていないが、可動金型4を図示しない型開閉機構により、固定金型2から型開きさせ、図示しない製品取出手段によりサンドイッチ成形品9’を射出成形機外へ搬出させ、成形サイクルが終了する。
以上説明したように、実施例1と同様の基材層インサート工程、第1射出充填工程、金型キャビティ拡張工程及び第2射出充填工程の後、図6(a)及び図6(b)に至る工程を繰り返すことにより、固定金型2側の表層(基材層9g+サンドイッチ成形部9h’の表層)と、可動金型4側の表層(サンドイッチ成形部9h’の表層)の厚みが異なり、且つ、内層が発泡層10f’(第2樹脂10b’)から成るサンドイッチ成形品9’を連続して成形させることができる。
このように、実施例3に係る射出成形方法は、内層用の第2樹脂に発泡性の樹脂を採用し、第2射出充填工程の開始後に、第2樹脂拡張発泡成形工程を行わせることにより、サンドイッチ成形品の表面と裏面とで、それぞれの表層の厚みが異なるように成形することができるだけでなく、内層を発泡層とすることができる。このようなサンドイッチ成形品は、実施例1及び実施例2に係る射出成形方法により成形させるサンドイッチ成形品より、更に軽量化等、発泡層の機能を有する機能を必要とする場合に好適である。
尚、本実施例3においては、金型キャビティ拡張工程を、発泡性の内層用の第2樹脂10b’を発泡させずにフルショット状態で射出充填させるように第2射出充填工程と連動させて行う工程とし、内層用樹脂拡張発泡成形工程を、発泡性の第2樹脂10b’を発泡させる工程としたが、実施例1で付記したように、金型キャビティ拡張工程をある程度先行させてから、第2射出充填工程を行わせても良い。また、金型キャビティ拡張工程と内層用樹脂拡張発泡成形工程とに分けずに、発泡性の第2樹脂10b’の発泡による体積拡張も加味した金型キャビティ拡張工程を行わせ、金型キャビティ拡張工程の開始後から、第2射出充填工程において、発泡性の第2樹脂10b’を発泡させても良い。
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明の実施例4に係る射出成形方法を説明する。図8(a)及び図8(b)は、実施例4に係る射出成形方法の第1樹脂拡張発泡成形工程、第2射出充填工程及び第2樹脂拡張発泡成形工程を示す金型の概略断面図である。図8(a)が第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程の完了時、図8(b)が第2樹脂拡張発泡成形工程を示す。図9(a)及び図9(b)は、実施例4に係る射出成形方法の第1樹脂拡張発泡成形工程、第2射出充填工程及び第2樹脂拡張発泡成形工程の各成形工程中のサンドイッチ成形品を示す概略断面図である。図9(a)が第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程完了時のサンドイッチ成形品、図9(b)が第2樹脂拡張発泡成形工程中のサンドイッチ成形品を示す。
実施例4に係る射出成形方法が実施例1に係る射出成形方法と異なる点は、第1樹脂及び第2樹脂が共に発泡性の樹脂である点と、この点に起因して、第2射出充填工程の開始後に、金型キャビティを更に所定量だけ拡張させる第2樹脂拡張発泡成形工程を備える点である。すなわち、実施例4に係る射出成形方法は、実施例2に係る射出成形方法において、第2樹脂に発泡性の樹脂を採用し、第2射出充填工程の開始後に、金型キャビティを更に所定量だけ拡張させる第2樹脂拡張発泡成形工程を行うものである。
よって、これらの点以外は、実施例2に係る射出成形方法及び実施例3に係る射出成形方法の第2樹脂拡張発泡成形工程と基本的に同じであるため、その詳細な説明は省略、又は、実施例2及び実施例3を引用して説明し、相違点についてのみ詳細に説明する。また、金型及び射出成形機においても、非発泡性の第2樹脂10bが発泡性の第2樹脂10b’に変更される以外は実施例2において説明したものと基本的に同じものを用いることができるため、説明を省略する。尚、この非発泡性の第2樹脂10b及び発泡性の第2樹脂10b’の差異に起因して、実施例2の説明と区別する対象については、実施例2と同じ符号に”’(アポストロフィ)”を付して区別するものとする。
実施例4に係る射出成形方法も、まず、実施例2に係る射出成形方法と同様の方法により基材層インサート工程を行い、金型キャビティ9a内に基材層9gをインサートさせる。また、同じく、実施例2と同様の方法により、固定金型2側に保持させた基材層9g及び可動金型4の間の金型キャビティ9aに、発泡性の第1樹脂9b’を射出充填させる(第1射出充填工程)。これら工程の説明及び図示は省略する。尚、この状態における、金型キャビティ9aの型開閉方向の厚み、すなわち、固定金型2にインサートさせた基材層9gと、対向する可動金型4の金型キャビティ9aを形成させる面との距離は、実施例1と同じα(アルファ)とする。
次に、実施例2と同様の方法により、第1射出充填工程の開始後(すなわち、第1射出充填工程の途中、又は、第1射出充填工程の完了後)に、金型キャビティ9aの容積を拡張させ、金型キャビティ9a内の発泡性の第1樹脂9b’を発泡させる。ここで、本実施例4の第1樹脂拡張発泡成形工程(実施例1の金型キャビティ拡張工程に相当)においては、金型キャビティ9aの容積を、基材層9gの容積と合わせて製品容積になるまで拡張させず、製品容積未満までの拡張に留める。この時の型開き量をβ’(β’<β)とする。
次に、実施例2と同様の方法により、第1射出充填工程の完了後で、かつ、第1樹脂拡張発泡成形工程の開始後(すなわち、第1樹脂拡張発泡成形工程の途中、又は、第1樹脂拡張発泡成形工程の完了後)に、第2射出ユニット18から内層を形成する発泡性の第2樹脂10b’をサンドイッチ成形部9h’(表層用の第1樹脂9b’)内に射出充填させる(第2射出充填工程)。このようにして、図8(a)に示すように、第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程を完了させる。図8(a)は、本実施例3において、実施例2の図4(c)に相当する状態である。
尚、実施例2と同様に、第2射出充填工程による第2樹脂10b’の射出充填がフルパック状態で行われるため、サンドイッチ成形部9h’内に射出充填させた内層用の第2樹脂10b’は、この段階においては未発泡状態である。金型キャビティ第2拡張工程及び第2射出充填工程の完了時のサンドイッチ成形品9(基材部9g+サンドイッチ成形部9h’)を図9(a)に示す。
次に、図8(b)に示すように、第2射出充填工程の開始後(すなわち、第2射出充填工程の途中、又は、第2射出充填工程の完了後)に、サンドイッチ成形部9h’内の発泡性の第2樹脂10b’を発泡させる(第2樹脂拡張発泡成形工程)。具体的には、実施例3における第2樹脂拡張発泡成形工程と基本的に同じため、詳細な説明は省略する。第2樹脂拡張発泡成形工程中のサンドイッチ成形部9h’は、図9(b)に示すように、金型キャビティ9aの意匠(金型内面)及び基材層9gとの接触面に形成されるスキン層9e’と、発泡セルを含む発泡層10f’とで構成される状態となる。実施例2で説明したように、第1樹脂拡張発泡成形工程(実施例1の金型キャビティ拡張工程に相当)において、このスキン層9e’は、その厚みをわずかに増してサンドイッチ成形部9h’の表層(未発泡状態)を形成するが、第2樹脂拡張発泡成形工程における金型キャビティ9aの容積拡張(サンドイッチ成形部9h’の体積拡張)に追従可能である。この第1樹脂拡張発泡成形工程の完了後、実施例3と同様の工程により、サンドイッチ成形品9’が成形される(製品冷却固化工程)。この製品冷却固化工程の完了後のサンドイッチ成形品9’は、実施例3の図7(c)において、非発泡性の第1樹脂9bを発泡性の第1樹脂9b’からなるスキン層9e’(未発泡状態)に読み替えたものと同じため、図示は省略する。
以上説明したように、実施例2と同様の基材層インサート工程、第1樹脂射出充填工程、実施例1の金型キャビティ拡張工程に相当する第1樹脂拡張発泡成形工程及び第2射出充填工程の後、図8(a)及び図8(b)に至る工程を繰り返すことにより、固定金型2側の表層(基材層9g+サンドイッチ成形部9h’の表層)と、可動金型4側の表層(サンドイッチ成形部9h’の表層)の厚みが異なり、且つ、内層が発泡層10f’(第2樹脂10b’)から成るサンドイッチ成形品9’を連続して成形させることができる。
このように、実施例4に係る射出成形方法は、内層用の第2樹脂に発泡性の樹脂を採用し、第2射出充填工程の開始後に、第2樹脂拡張発泡成形工程を行わせることにより、サンドイッチ成形品の表面と裏面とで、それぞれの表層の厚みが異なるように成形することができるだけでなく、表層用に発泡性の樹脂を採用することにより、サンドイッチ成形部9h’の容積に対する内層用の第2樹脂10c’の充填比率の更なる向上を図ることができる。そのため、実施例3と同様に、内層用に発泡性樹脂を採用する場合、実施例3に係る射出成形方法により成形させるサンドイッチ成形品より、更に軽量化等、発泡層の機能を有する機能を必要とする場合に好適である。尚、本実施例4においては、第1樹脂拡張発泡成形工程と第2樹脂拡張発泡成形工程とを別々の工程としたが、実施例3で付記したように、これらの金型キャビティの容積拡張工程を分けずに、第2射出充填工程の前後においても第1樹脂拡張発泡成形工程を継続させ、第2樹脂10b’を発泡させても良い。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な方法で実施できる。例えば、実施例1乃至実施例4に係る射出成形方法において、説明及び図面を簡単にするために、シェアエッジ構造の金型を前提に、射出成形機の型開閉機構による型開閉動作で金型キャビティの容積を拡張させるものとしたが、金型キャビティの容積を拡張させる手段はこれに限定されるものではなく、金型内可動部の移動動作等、金型キャビティ内の樹脂圧力に対抗して、その容積、拡張速度、容積拡張位置保持力等を任意で制御可能な手段であれば良い。
また、実施例1乃至実施例4に係る射出成形方法において、金型キャビティ拡張工程(第1樹脂拡張発泡成形工程)、あるいは、第2樹脂拡張発泡成形工程により、基材層の容積と合わせた金型キャビティの容積が製品容積になるまで拡張させるものとしたが、実施例1及び実施例2に係る射出成形方法のように、金型キャビティ拡張工程(第1樹脂拡張発泡成形工程)まで行われる場合は、これらの金型キャビティの容積を拡張する工程において、また、実施例3及び実施例4に係る射出成形方法のように、第2樹脂拡張発泡成形工程まで行われる場合は、これら2回の金型キャビティの容積拡張工程の内、少なくとも一方の容積拡張工程において、当初設定した容積以上に金型キャビティの容積を拡張させて、より多くの樹脂を射出充填、あるいは、発泡させた後、当初設定した容積まで金型キャビティの容積を縮小させて、最終的に所望の製品が得られるようにしても良い(金型キャビティ縮小工程)。これにより、サンドイッチ成形品の一方の表層となる基材層のスキン層及び他方の表層となるサンドイッチ成形部のスキン層への、金型キャビティの意匠の転写性を更に向上させたり、サンドイッチ成形部の容積に対する内層用の第2樹脂の充填比率を更に向上させたりすることができる。
2 固定金型(第1金型)
4 可動金型(第2金型)
8b 基材層樹脂
9 サンドイッチ成形品
9’ サンドイッチ成形品
9a 金型キャビティ
9b 第1樹脂(表層用/非発泡性)
9b’ 第1樹脂(表層用/発泡性)
9c 第1樹脂流路
9d ゲートバルブ(第1樹脂ゲート)
9e’ スキン層
9g 基材層
9h サンドイッチ成形部
9h’ サンドイッチ成形部
10b 第2樹脂(内層用/非発泡性)
10b’ 第2樹脂(内層用/発泡性)
10c 第2樹脂流路
10d ゲートバルブ(第2樹脂ゲート)
17 第1射出ユニット
18 第2射出ユニット
91 基材層インサート機構
4 可動金型(第2金型)
8b 基材層樹脂
9 サンドイッチ成形品
9’ サンドイッチ成形品
9a 金型キャビティ
9b 第1樹脂(表層用/非発泡性)
9b’ 第1樹脂(表層用/発泡性)
9c 第1樹脂流路
9d ゲートバルブ(第1樹脂ゲート)
9e’ スキン層
9g 基材層
9h サンドイッチ成形部
9h’ サンドイッチ成形部
10b 第2樹脂(内層用/非発泡性)
10b’ 第2樹脂(内層用/発泡性)
10c 第2樹脂流路
10d ゲートバルブ(第2樹脂ゲート)
17 第1射出ユニット
18 第2射出ユニット
91 基材層インサート機構
Claims (4)
- 金型キャビティを形成可能な第1金型及び第2金型を用いて、表層と内層とからなるサンドイッチ成形品を成形する射出成形方法であって、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、非発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の完了後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させる金型キャビティ拡張工程と、
前記金型キャビティ拡張工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える射出成形方法。 - 金型キャビティを形成可能な第1金型及び第2金型を用いて、表層と内層とからなるサンドイッチ成形品を成形する射出成形方法であって、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に、予め成形した基材層をインサートする基材層インサート工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めし、形成される前記金型キャビティに、発泡性の第1樹脂を第1樹脂ゲートから射出充填し、前記金型キャビティを前記第1樹脂で満たす第1射出充填工程と、
前記第1射出充填工程の開始後に、前記金型キャビティの容積を所定量だけ拡張させ、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂を発泡させる第1樹脂拡張発泡成形工程と、
前記第1射出充填工程の完了後で、かつ、前記第1樹脂拡張発泡成形工程の開始後に、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に第2樹脂を第2樹脂ゲートから射出充填する第2射出充填工程と、
を備える射出成形方法。 - 前記第2樹脂が発泡性樹脂であって、第2射出充填工程の開始後に、前記金型キャビティの容積を、更に所定量だけ拡張させ、前記金型キャビティ内の前記第1樹脂内に射出充填させた前記第2樹脂を発泡させる第2樹脂拡張発泡成形工程を備える
ことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の射出成形方法。 - 前記金型キャビティの拡張は、射出成形機の型開閉機構による型開閉動作、及び、金型内可動部の移動動作の少なくとも一つにより行われる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の射出成形方法。
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- 2013-07-19 JP JP2013150131A patent/JP2015020343A/ja active Pending
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