JP2004230595A - 多層樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多層樹脂成形品およびその製造方法において、製造工数を低減し製造コストを低減すること,発泡樹脂の漏出を防ぎ多層樹脂成形品の外観を良好なものとすること,多層樹脂成形品の形状を所望のものとすること,多層樹脂成形品を種々の樹脂材料の組み合わせで形成すること。
【解決手段】多層樹脂成形品を、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもつものとし、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されているものとする。また、多層樹脂形成品の製造方法を、サンドイッチ成形法にて表皮層,発泡層および連結層を形成する工程を含む方法とする。
【選択図】図5
【解決手段】多層樹脂成形品を、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもつものとし、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されているものとする。また、多層樹脂形成品の製造方法を、サンドイッチ成形法にて表皮層,発泡層および連結層を形成する工程を含む方法とする。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表皮材と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品としては、従来より種々のものが知られている。このような多層樹脂成形品は、一般的には、基材と表皮材とを別々に形成し、その間隙に発泡樹脂層を形成することで製造がなされている。(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載される多層樹脂成形品は、第1工程で基材または表皮層の一方を形成し、第2工程で基材または表皮層の他方を形成し、第3工程で基材および表皮層の間に発泡層を成形したものであるが、このような製造方法で多層樹脂成形品を製造する場合、基材を成形する工程,表皮層を成形する工程,発泡層を成形する工程の3工程が必要となり、製造工数が多いことから高い製造コストを要する問題があった。
【0004】
また、表皮層,発泡層,基材の各層の剥離を防止するためには、各層の密着性を確保する必要がある。このため、発泡層を形成するための樹脂材料として、表皮層および基材の両方に対して溶着する材料を選択する必要があり、各層を構成する樹脂材料の組み合わせが制限される問題があった。
【0005】
また、発泡層の形成を、表皮層と基材との間隙に発泡層の樹脂材料を注入しておこなうことから、表皮層と基材とが液密に配置されていない場合、発泡層の樹脂材料が表皮層と基材との間隙より漏出し、多層樹脂成形品の外観に異常が発生する場合があった。
【0006】
この漏出を防止するために、表皮層と基材とを一部シール付けして液密に配置する方法や、表皮層と基材とを一部重ね合わせて発泡層の樹脂材料の発泡圧力等でこの重ね合わせた部分をシールする方法や、表皮層と基材とを成形型内で一部圧着させつつ成形をおこなう方法等、種々の製造方法が開発されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
しかし、表皮層と基材とを一部シール付けする方法は工数が増加して製造コストが高くなる問題がある。
【0008】
また、表皮層と基材とを一部重ね合わせて発泡層の樹脂材料の発泡圧力等でこの重ね合わせた部分をシールする方法は、製造する多層樹脂成形品の形状によっては良好なシールが得られず、発泡層の樹脂材料が漏出する場合があった。
【0009】
表皮層と基材とを成形型内で一部圧着させつつ成形をおこなう方法は、表皮材と基材とに圧着するための糊代部分を設ける必要があることから、多層樹脂成形品の形状が制約される問題がある。
【0010】
さらに、これらの何れの方法においても、表皮層,発泡層,基材の各層の剥離を防止するためには、発泡層を表皮層と基材との両方に溶着する材料で形成する必要があり、各層を構成する樹脂材料の組み合わせが制限される問題は依然解決されていなかった。
【0011】
また、成形品の形状や用途によっては、圧着された部分の全周をトリミングし所定形状に形成することが必要となるが、この場合、トリミングに要する工数が多大となり、製造コストが増大する問題があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−1582号公報
【特許文献2】
特開平8−85118号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、製造工数を低減し製造コストを低減すること,発泡樹脂の漏出を防ぎ多層樹脂成形品の外観を良好なものとすること,多層樹脂成形品の形状を所望のものとすること,多層樹脂成形品を種々の樹脂材料の組み合わせで形成することを実現する多層樹脂成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の多層樹脂成形品は、表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品であって、上記発泡層と上記基材との間隙には、上記表皮層と同一材料であり上記基材と溶着した連結層をもち、上記表皮層,上記発泡層および該連結層はサンドイッチ成形で形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、表皮層,発泡層,連結層がサンドイッチ成形で形成されていることから、発泡層の漏出が防止される。さらに、サンドイッチ成形により形成されることで、発泡層が表皮層および連結層の層間に封入され固定されて形成される。このため、表皮層および連結層を形成する材料と、基材を形成する材料とが互いに溶着するものであれば、これらの層を発泡層と溶着しないような材料を用いて形成することが可能となる。したがって、剥離を防ぎつつ、表皮層,連結層,発泡層および基材を形成する樹脂材料を種々の組み合わせから選択することが可能となる。
【0016】
さらに、得られた多層樹脂成形品は、少ない工数で所望の形状に形成されたものとなる。
【0017】
また、上記基材は剛性を有する樹脂材料で形成され、上記表皮層および上記連結層は軟質の樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層と基材との間隙に発泡層が配置され、該発泡層と該基材との間隙に該表皮層と同一材料であり該基材と溶着した連結層をもつ多層樹脂成形品を製造する方法であって、
上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂をキャビティ内に注入し次いで発泡樹脂を注入し発泡成形するサンドイッチ成形法にて上記表皮層,上記発泡層および上記連結層を形成するサンドイッチ工程を含むことを特徴とする。
【0019】
この構成によると、多層樹脂成形品の製造方法が、サンドイッチ成形法にて上記表皮層,上記発泡層および上記連結層を形成する工程を含むことから、発泡層の漏出を防止するとともに、表皮層,連結層,発泡層および基材を形成する樹脂材料を種々の組み合わせから選択することが可能となり、多層樹脂成形品を少ない工数で所望の形状に形成することが可能となる。
【0020】
また、上記サンドイッチ工程は、予め形成した基材を一対の成形型の一方に配置し、該成形型を閉型して該基材と他方の型との間でキャビティを形成し、該キャビティ内に上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂を注入し、次いで発泡樹脂を上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂内に注入し発泡成形する工程を含む工程とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる多層樹脂成形品は、表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品である。本発明の多層樹脂成形品は、車両のインストルメントパネル,ドアトリム等の車両の内装部材や、これに限らず種々の樹脂製品に適用することができる。
【0022】
本発明の多層樹脂成形品は、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもち、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されているものである。
【0023】
表皮層および連結層は、基材と溶着可能な樹脂材料で形成されるものであればよく、例えば基材をオレフィン材であるPP(ポリプロピレン)で形成する場合には、表皮層および連結層は軟質オレフィン材であるTPO(熱可塑性ポリオレフィン)などの樹脂材料で形成することが好ましい。
【0024】
基材を形成する材料としては、成形品の剛性を確保するためには硬質材を用いることが望ましく、例えば、基材材料としてPP(ポリプロピレン)などの比較的軟質の樹脂材料を用いる場合には、タルク,炭酸カルシウム,マイカ等やガラス繊維,カーボン繊維等をさらに添加して用いることが好ましい。また、表皮層は、触感を確保するためには軟質樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
本発明の多層樹脂成形品は、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されたものである。ここで、サンドイッチ成形とは、先ず、外層を形成する樹脂材料をキャビティ内に注入し、次いでこの樹脂材料層の内部に内層を形成する樹脂材料を注入し、これらの樹脂材料を冷却固化することで外層の内部に内層が形成された3層構造の樹脂成形体を形成する方法である。本発明の多層樹脂成形品は、既知のサンドイッチ成形法で形成することができ、例えば、後述する本発明の多層樹脂成形品の製造方法で形成することができる。
【0026】
表皮層、発泡層および連結層がサンドイッチ成形で形成されていることから、発泡層は表皮層および連結層に封入された状態でキャビティ内に充填されて成形されたものとなる。このことから、発泡層は表皮層および連結層に常に囲まれた状態で成形されることとなり、表皮層および連結層の間隙から発泡樹脂が漏出することが防止される。また、発泡樹脂の漏出が防止されることから、表皮層および基材には、互いに液密に圧着するための糊代部分を設ける必要がなく、多層樹脂成形品の形状を所望の形状に設計することが可能となる。
【0027】
また、発泡層は表皮層および連結層とともにサンドイッチ成形で形成され、表皮材及ぶ連結層の層間に封入され固定されていることから、発泡層の材料として表皮層および連結層と溶着しないような材料を用いる場合にも、これら各層が剥離することが防止される。
【0028】
なお、表皮層および連結層は基材と溶着する材料で形成されていることから、連結層と基材との間にも剥離が生じることはない。したがって、本発明の多層樹脂成形品においては、表皮層,連結層,発泡層,基材の各層を形成するための樹脂材料の選択の幅が広がるため、材料コストの低減が可能となり、また、多層樹脂成形品を種々の意匠や機能を有するものとすることが可能となる。
【0029】
さらに、表皮層,発泡層,連結層はサンドイッチ成形によって1工程で形成されるため、得られた多層樹脂成形品は製造工数が低減されて安価に製造されたものとなる。
【0030】
本発明の多層樹脂成形品において、基材は剛性を有する樹脂材料で形成され、表皮層および連結層は軟質の樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0031】
この場合、多層樹脂成形品を自動車内装品に適用した場合などに、剛性を有する基材が製品に必要な剛性を担保し、軟質の表皮材が触感を担保することで、好適に使用されるものとなる。
【0032】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層と基材との間隙に発泡層が配置され、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもつ多層樹脂成形品を製造する方法であり、本製造方法によって上述した多層樹脂成形品を製造することができる。
【0033】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層および連結層を形成する樹脂をキャビティ内に注入し次いで発泡樹脂を注入し発泡成形するサンドイッチ成形法にて表皮層,発泡層および連結層を形成するサンドイッチ工程を含む。
【0034】
本製造方法において、サンドイッチ工程は、上述したサンドイッチ成形法で表皮層,連結層および発泡層を形成する工程である。
【0035】
また、サンドイッチ工程は、予め形成した基材を一対の成形型の一方に配置し、該成形型を閉型して該基材と他方の型との間でキャビティを形成し、該キャビティ内に表皮層および連結層を形成する樹脂を注入し、次いで発泡樹脂を表皮層および連結層を形成する樹脂内に注入し発泡成形する工程を含む工程とすることができる。この場合、予め形成され成形型内に配置された基材がサンドイッチ成形によって形成された表皮層,発泡層および連結層と溶着した多層樹脂成形品を容易に成形することが可能である。
【0036】
また、これに限らず、2色成形等の既知の成形法により成形型内に形成された基材に、表皮,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法を用いて一体的に形成することもできる。あるいは予めサンドイッチ成形法により一体的に形成された表皮層,連結層および発泡層のうち連結層の上層に基材を形成することもできる。さらに、予めサンドイッチ成形法により一体的に形成された表皮層,連結層および発泡層と、予め形成された基材とを接着,溶着等の既知の方法で一体化することも可能である。
【0037】
何れの場合も、表皮層,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、製造工数を低減することができ製造コストを低減することが可能となる。
【0038】
また、表皮層,連結層および発泡層がサンドイッチ成形法で形成されていることから、上述したように、発泡層を形成する発泡樹脂が表皮材および基材の間隙より漏出することが防止され、良好な外観の多層樹脂成形品を容易に形成することができる。
【0039】
さらに、表皮層,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、発泡層は表皮層および連結層に封入され固定された状態で形成されるため、剥離のない成形品を容易に形成することが可能となる。
【0040】
そして、発泡層は表皮層および連結層に封入された状態で形成されるため、得られた成形品は、トリミング等の後処理を必要としないか非常に限られた部分のみにおこなうだけで済むため、製造工数がさらに低減し製造コストをさらに低減することが可能となる。
【0041】
また、発泡層を表皮層および連結層と溶着しないような樹脂材料で形成することが可能となり、表皮層および連結層を形成する樹脂材料は基材を形成する樹脂材料とのみ溶着するような材料を用いればよく、表皮層および連結層,発泡層,基材を形成する樹脂材料の選択の幅が広がることとなり、原料コストを低減することや、多層樹脂成形品を所望の意匠・機能に形成することが可能となる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
【0043】
(実施例1)
本発明の実施例1の多層樹脂成形品を示す模式断面図を図1に示す。
【0044】
本実施例1の多層樹脂成形品1は、タルク30重量部を添加したポリプロピレンを材料とする基材2と、TPOを材料とする表皮層3および連結層5と、発泡ポリプロピレンを材料とする発泡層6とを有する。表皮層3,連結層5および発泡層6はサンドイッチ成形によって形成され、連結層5と基材2とが溶着されることで表皮層3,連結層5および発泡層6と基材2とが一体化されている。
【0045】
本実施例1の多層樹脂成形品1によると、発泡層6が表皮層3および連結層5に封入されて形成されていることから、表皮層3と基材2との間隙からの発泡層6の漏出が防止されて、良好な外観が得られる。
【0046】
また、発泡層6が表皮層3および連結層5に封入されこれらの層間に固定されていることから、発泡層6を表皮層3および連結層5と溶着しないような材料で形成する場合にも各層間の剥離が防止される。したがって、表皮層3および連結層5,発泡層6,基材2を形成する樹脂材料を種々の組み合わせのものすることが可能となる。
【0047】
(実施例2)
本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図を図2〜図5に示す。
【0048】
本実施例2の多層樹脂成形品1の製造方法は、実施例1の多層樹脂成形品1を製造する方法であり、以下に示す工程によっておこなわれる。
【0049】
(第1工程)
第1工程は基材2を形成する工程であり、通常の射出装置を用いてタルク30重量部を添加した溶融PPを射出成形することで基材2を形成した。
【0050】
(第2工程)
第2工程は第1工程で形成した基材2の表面に表皮層3,発泡層6および連結層5を形成する工程であり、図2〜5に示す第1の成形型7と、第1の射出装置8および第2の射出装置10を備えたサンドイッチ成形装置11を用いておこなわれる。
【0051】
図2に示すように、第1の工程で形成された基材2を第1の成形型7の型面12に配置し、第1の射出装置8にTPOを投入し加熱・溶融させた。また、第2の射出装置10にPPを投入し加熱・溶融させた。このとき、第1の射出装置8のノズルヘッド13および第2の射出装置10のノズルヘッド15は閉状態とした。
【0052】
次に、図3に示すように、第1の射出装置8のノズルヘッド13を開状態とし、第1の成形型7の型内に表皮層3および連結層5の材料である溶融TPO16を所定量注入した。注入が終了すると、図4に示すように、第1の射出装置8のノズルヘッド13を閉状態とし、第2の射出装置10のノズルヘッド15を開状態として発泡樹脂材料である発泡ポリプロピレン17を注入した。発泡ポリプロピレン17は、溶融TPO16の中央部に注入された後に発泡し、溶融TPO16を矢印a方向に押圧した。発泡ポリプロピレン17によって押圧された溶融TPO16は、図中矢印a方向に進行した。本実施例においては、この押圧方向aの端部にタブ18が設けられているため、押圧された溶融TPO16はタブ18内に排出される。このため、発泡ポリプロピレン17による矢印a方向への発泡・押圧は溶融TPO16によって干渉されることなく良好におこなわれ、第1の成形型7の型内には3層の樹脂層が形成された。発泡ポリプロピレン17の注入が終了すると、第2の射出装置10のノズルヘッド15を閉状態とし、溶融TPO16および発泡ポリプロピレン17を冷却・固化することによって、表皮層3,発泡層6および連結層5を基材2と一体的に形成した。なお、このとき基材2と連結層5とは接触面20より溶着し一体化されたものとなっている。なお、本実施例においては発泡樹脂材料として発泡ポリプロピレンを用いたが、本発明における発泡樹脂は発泡ポリプロピレンに限らず、ABS,熱可塑性ウレタン等の種々の樹脂材料を用いることができる。
【0053】
最後に、タブ18内で固化した捨て袋部21を切除して実施例1の多層樹脂成形品1を形成した。
【0054】
本実施例2の多層樹脂成形品の製造方法によると、表皮層3,連結層5および発泡層6をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、製造工数を低減することができ製造コストを低減することが可能となる。
【0055】
また、発泡層6をサンドイッチ成形により表皮層3および連結層5と同時に形成することから、発泡樹脂が表皮材および基材2の間隙より漏出することが防止される。さらに、発泡層6は表皮層3および連結層5に封入され固定された状態で形成されるため、剥離のない成形品を容易に形成することが可能となる。このため、発泡層6を表皮層3および連結層5と溶着しないような樹脂材料で形成することが可能となり、表皮層3および連結層5,発泡層6,基材2を形成する樹脂材料の選択の幅が広がることとなる。
【0056】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の多層樹脂成形品は、製造工数の低減により製造コストが低減されたものとなる。また、発泡層の漏出が防止されて良好な外観を示すものとなる。
【0057】
また、表皮層および連結層,発泡層,基材を、剥離を抑えつつ種々の材料により形成されたものとすることが可能となる。
【0058】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法によると、製造工数を低減し製造コストを低下することが可能となる。
【0059】
また、表皮層および基材の間隙からの発泡樹脂層の漏出を容易に防止することが可能となるため、少ない工数で製造ロスを抑えることが可能となる。
【0060】
そして、剥離を抑えつつ、表皮層および連結層,発泡層,基材を形成する樹脂材料を種々のものより選択して使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の多層樹脂成形品の模式断面図である。
【図2】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図3】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図4】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図5】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【符号の説明】
1:多層樹脂成形品 2:基材 3:表皮層 5:連結層 6:発泡層 7:第1の成形型 8:第1の射出装置 9:第2の射出装置 11:サンドイッチ成形装置 12:型面 13:第1の射出装置のノズルヘッド 15:第2の射出装置のノズルヘッド 16:溶融TPO 17:発泡ポリプロピレン 18:タブ 20:接触面
【発明の属する技術分野】本発明は、表皮材と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品としては、従来より種々のものが知られている。このような多層樹脂成形品は、一般的には、基材と表皮材とを別々に形成し、その間隙に発泡樹脂層を形成することで製造がなされている。(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載される多層樹脂成形品は、第1工程で基材または表皮層の一方を形成し、第2工程で基材または表皮層の他方を形成し、第3工程で基材および表皮層の間に発泡層を成形したものであるが、このような製造方法で多層樹脂成形品を製造する場合、基材を成形する工程,表皮層を成形する工程,発泡層を成形する工程の3工程が必要となり、製造工数が多いことから高い製造コストを要する問題があった。
【0004】
また、表皮層,発泡層,基材の各層の剥離を防止するためには、各層の密着性を確保する必要がある。このため、発泡層を形成するための樹脂材料として、表皮層および基材の両方に対して溶着する材料を選択する必要があり、各層を構成する樹脂材料の組み合わせが制限される問題があった。
【0005】
また、発泡層の形成を、表皮層と基材との間隙に発泡層の樹脂材料を注入しておこなうことから、表皮層と基材とが液密に配置されていない場合、発泡層の樹脂材料が表皮層と基材との間隙より漏出し、多層樹脂成形品の外観に異常が発生する場合があった。
【0006】
この漏出を防止するために、表皮層と基材とを一部シール付けして液密に配置する方法や、表皮層と基材とを一部重ね合わせて発泡層の樹脂材料の発泡圧力等でこの重ね合わせた部分をシールする方法や、表皮層と基材とを成形型内で一部圧着させつつ成形をおこなう方法等、種々の製造方法が開発されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
しかし、表皮層と基材とを一部シール付けする方法は工数が増加して製造コストが高くなる問題がある。
【0008】
また、表皮層と基材とを一部重ね合わせて発泡層の樹脂材料の発泡圧力等でこの重ね合わせた部分をシールする方法は、製造する多層樹脂成形品の形状によっては良好なシールが得られず、発泡層の樹脂材料が漏出する場合があった。
【0009】
表皮層と基材とを成形型内で一部圧着させつつ成形をおこなう方法は、表皮材と基材とに圧着するための糊代部分を設ける必要があることから、多層樹脂成形品の形状が制約される問題がある。
【0010】
さらに、これらの何れの方法においても、表皮層,発泡層,基材の各層の剥離を防止するためには、発泡層を表皮層と基材との両方に溶着する材料で形成する必要があり、各層を構成する樹脂材料の組み合わせが制限される問題は依然解決されていなかった。
【0011】
また、成形品の形状や用途によっては、圧着された部分の全周をトリミングし所定形状に形成することが必要となるが、この場合、トリミングに要する工数が多大となり、製造コストが増大する問題があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−1582号公報
【特許文献2】
特開平8−85118号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、製造工数を低減し製造コストを低減すること,発泡樹脂の漏出を防ぎ多層樹脂成形品の外観を良好なものとすること,多層樹脂成形品の形状を所望のものとすること,多層樹脂成形品を種々の樹脂材料の組み合わせで形成することを実現する多層樹脂成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の多層樹脂成形品は、表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品であって、上記発泡層と上記基材との間隙には、上記表皮層と同一材料であり上記基材と溶着した連結層をもち、上記表皮層,上記発泡層および該連結層はサンドイッチ成形で形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、表皮層,発泡層,連結層がサンドイッチ成形で形成されていることから、発泡層の漏出が防止される。さらに、サンドイッチ成形により形成されることで、発泡層が表皮層および連結層の層間に封入され固定されて形成される。このため、表皮層および連結層を形成する材料と、基材を形成する材料とが互いに溶着するものであれば、これらの層を発泡層と溶着しないような材料を用いて形成することが可能となる。したがって、剥離を防ぎつつ、表皮層,連結層,発泡層および基材を形成する樹脂材料を種々の組み合わせから選択することが可能となる。
【0016】
さらに、得られた多層樹脂成形品は、少ない工数で所望の形状に形成されたものとなる。
【0017】
また、上記基材は剛性を有する樹脂材料で形成され、上記表皮層および上記連結層は軟質の樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層と基材との間隙に発泡層が配置され、該発泡層と該基材との間隙に該表皮層と同一材料であり該基材と溶着した連結層をもつ多層樹脂成形品を製造する方法であって、
上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂をキャビティ内に注入し次いで発泡樹脂を注入し発泡成形するサンドイッチ成形法にて上記表皮層,上記発泡層および上記連結層を形成するサンドイッチ工程を含むことを特徴とする。
【0019】
この構成によると、多層樹脂成形品の製造方法が、サンドイッチ成形法にて上記表皮層,上記発泡層および上記連結層を形成する工程を含むことから、発泡層の漏出を防止するとともに、表皮層,連結層,発泡層および基材を形成する樹脂材料を種々の組み合わせから選択することが可能となり、多層樹脂成形品を少ない工数で所望の形状に形成することが可能となる。
【0020】
また、上記サンドイッチ工程は、予め形成した基材を一対の成形型の一方に配置し、該成形型を閉型して該基材と他方の型との間でキャビティを形成し、該キャビティ内に上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂を注入し、次いで発泡樹脂を上記表皮層および上記連結層を形成する樹脂内に注入し発泡成形する工程を含む工程とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる多層樹脂成形品は、表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品である。本発明の多層樹脂成形品は、車両のインストルメントパネル,ドアトリム等の車両の内装部材や、これに限らず種々の樹脂製品に適用することができる。
【0022】
本発明の多層樹脂成形品は、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもち、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されているものである。
【0023】
表皮層および連結層は、基材と溶着可能な樹脂材料で形成されるものであればよく、例えば基材をオレフィン材であるPP(ポリプロピレン)で形成する場合には、表皮層および連結層は軟質オレフィン材であるTPO(熱可塑性ポリオレフィン)などの樹脂材料で形成することが好ましい。
【0024】
基材を形成する材料としては、成形品の剛性を確保するためには硬質材を用いることが望ましく、例えば、基材材料としてPP(ポリプロピレン)などの比較的軟質の樹脂材料を用いる場合には、タルク,炭酸カルシウム,マイカ等やガラス繊維,カーボン繊維等をさらに添加して用いることが好ましい。また、表皮層は、触感を確保するためには軟質樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
本発明の多層樹脂成形品は、表皮層,発泡層および連結層はサンドイッチ成形で形成されたものである。ここで、サンドイッチ成形とは、先ず、外層を形成する樹脂材料をキャビティ内に注入し、次いでこの樹脂材料層の内部に内層を形成する樹脂材料を注入し、これらの樹脂材料を冷却固化することで外層の内部に内層が形成された3層構造の樹脂成形体を形成する方法である。本発明の多層樹脂成形品は、既知のサンドイッチ成形法で形成することができ、例えば、後述する本発明の多層樹脂成形品の製造方法で形成することができる。
【0026】
表皮層、発泡層および連結層がサンドイッチ成形で形成されていることから、発泡層は表皮層および連結層に封入された状態でキャビティ内に充填されて成形されたものとなる。このことから、発泡層は表皮層および連結層に常に囲まれた状態で成形されることとなり、表皮層および連結層の間隙から発泡樹脂が漏出することが防止される。また、発泡樹脂の漏出が防止されることから、表皮層および基材には、互いに液密に圧着するための糊代部分を設ける必要がなく、多層樹脂成形品の形状を所望の形状に設計することが可能となる。
【0027】
また、発泡層は表皮層および連結層とともにサンドイッチ成形で形成され、表皮材及ぶ連結層の層間に封入され固定されていることから、発泡層の材料として表皮層および連結層と溶着しないような材料を用いる場合にも、これら各層が剥離することが防止される。
【0028】
なお、表皮層および連結層は基材と溶着する材料で形成されていることから、連結層と基材との間にも剥離が生じることはない。したがって、本発明の多層樹脂成形品においては、表皮層,連結層,発泡層,基材の各層を形成するための樹脂材料の選択の幅が広がるため、材料コストの低減が可能となり、また、多層樹脂成形品を種々の意匠や機能を有するものとすることが可能となる。
【0029】
さらに、表皮層,発泡層,連結層はサンドイッチ成形によって1工程で形成されるため、得られた多層樹脂成形品は製造工数が低減されて安価に製造されたものとなる。
【0030】
本発明の多層樹脂成形品において、基材は剛性を有する樹脂材料で形成され、表皮層および連結層は軟質の樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0031】
この場合、多層樹脂成形品を自動車内装品に適用した場合などに、剛性を有する基材が製品に必要な剛性を担保し、軟質の表皮材が触感を担保することで、好適に使用されるものとなる。
【0032】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層と基材との間隙に発泡層が配置され、発泡層と基材との間隙に表皮層と同一材料であり基材と溶着した連結層をもつ多層樹脂成形品を製造する方法であり、本製造方法によって上述した多層樹脂成形品を製造することができる。
【0033】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、表皮層および連結層を形成する樹脂をキャビティ内に注入し次いで発泡樹脂を注入し発泡成形するサンドイッチ成形法にて表皮層,発泡層および連結層を形成するサンドイッチ工程を含む。
【0034】
本製造方法において、サンドイッチ工程は、上述したサンドイッチ成形法で表皮層,連結層および発泡層を形成する工程である。
【0035】
また、サンドイッチ工程は、予め形成した基材を一対の成形型の一方に配置し、該成形型を閉型して該基材と他方の型との間でキャビティを形成し、該キャビティ内に表皮層および連結層を形成する樹脂を注入し、次いで発泡樹脂を表皮層および連結層を形成する樹脂内に注入し発泡成形する工程を含む工程とすることができる。この場合、予め形成され成形型内に配置された基材がサンドイッチ成形によって形成された表皮層,発泡層および連結層と溶着した多層樹脂成形品を容易に成形することが可能である。
【0036】
また、これに限らず、2色成形等の既知の成形法により成形型内に形成された基材に、表皮,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法を用いて一体的に形成することもできる。あるいは予めサンドイッチ成形法により一体的に形成された表皮層,連結層および発泡層のうち連結層の上層に基材を形成することもできる。さらに、予めサンドイッチ成形法により一体的に形成された表皮層,連結層および発泡層と、予め形成された基材とを接着,溶着等の既知の方法で一体化することも可能である。
【0037】
何れの場合も、表皮層,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、製造工数を低減することができ製造コストを低減することが可能となる。
【0038】
また、表皮層,連結層および発泡層がサンドイッチ成形法で形成されていることから、上述したように、発泡層を形成する発泡樹脂が表皮材および基材の間隙より漏出することが防止され、良好な外観の多層樹脂成形品を容易に形成することができる。
【0039】
さらに、表皮層,連結層および発泡層をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、発泡層は表皮層および連結層に封入され固定された状態で形成されるため、剥離のない成形品を容易に形成することが可能となる。
【0040】
そして、発泡層は表皮層および連結層に封入された状態で形成されるため、得られた成形品は、トリミング等の後処理を必要としないか非常に限られた部分のみにおこなうだけで済むため、製造工数がさらに低減し製造コストをさらに低減することが可能となる。
【0041】
また、発泡層を表皮層および連結層と溶着しないような樹脂材料で形成することが可能となり、表皮層および連結層を形成する樹脂材料は基材を形成する樹脂材料とのみ溶着するような材料を用いればよく、表皮層および連結層,発泡層,基材を形成する樹脂材料の選択の幅が広がることとなり、原料コストを低減することや、多層樹脂成形品を所望の意匠・機能に形成することが可能となる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
【0043】
(実施例1)
本発明の実施例1の多層樹脂成形品を示す模式断面図を図1に示す。
【0044】
本実施例1の多層樹脂成形品1は、タルク30重量部を添加したポリプロピレンを材料とする基材2と、TPOを材料とする表皮層3および連結層5と、発泡ポリプロピレンを材料とする発泡層6とを有する。表皮層3,連結層5および発泡層6はサンドイッチ成形によって形成され、連結層5と基材2とが溶着されることで表皮層3,連結層5および発泡層6と基材2とが一体化されている。
【0045】
本実施例1の多層樹脂成形品1によると、発泡層6が表皮層3および連結層5に封入されて形成されていることから、表皮層3と基材2との間隙からの発泡層6の漏出が防止されて、良好な外観が得られる。
【0046】
また、発泡層6が表皮層3および連結層5に封入されこれらの層間に固定されていることから、発泡層6を表皮層3および連結層5と溶着しないような材料で形成する場合にも各層間の剥離が防止される。したがって、表皮層3および連結層5,発泡層6,基材2を形成する樹脂材料を種々の組み合わせのものすることが可能となる。
【0047】
(実施例2)
本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図を図2〜図5に示す。
【0048】
本実施例2の多層樹脂成形品1の製造方法は、実施例1の多層樹脂成形品1を製造する方法であり、以下に示す工程によっておこなわれる。
【0049】
(第1工程)
第1工程は基材2を形成する工程であり、通常の射出装置を用いてタルク30重量部を添加した溶融PPを射出成形することで基材2を形成した。
【0050】
(第2工程)
第2工程は第1工程で形成した基材2の表面に表皮層3,発泡層6および連結層5を形成する工程であり、図2〜5に示す第1の成形型7と、第1の射出装置8および第2の射出装置10を備えたサンドイッチ成形装置11を用いておこなわれる。
【0051】
図2に示すように、第1の工程で形成された基材2を第1の成形型7の型面12に配置し、第1の射出装置8にTPOを投入し加熱・溶融させた。また、第2の射出装置10にPPを投入し加熱・溶融させた。このとき、第1の射出装置8のノズルヘッド13および第2の射出装置10のノズルヘッド15は閉状態とした。
【0052】
次に、図3に示すように、第1の射出装置8のノズルヘッド13を開状態とし、第1の成形型7の型内に表皮層3および連結層5の材料である溶融TPO16を所定量注入した。注入が終了すると、図4に示すように、第1の射出装置8のノズルヘッド13を閉状態とし、第2の射出装置10のノズルヘッド15を開状態として発泡樹脂材料である発泡ポリプロピレン17を注入した。発泡ポリプロピレン17は、溶融TPO16の中央部に注入された後に発泡し、溶融TPO16を矢印a方向に押圧した。発泡ポリプロピレン17によって押圧された溶融TPO16は、図中矢印a方向に進行した。本実施例においては、この押圧方向aの端部にタブ18が設けられているため、押圧された溶融TPO16はタブ18内に排出される。このため、発泡ポリプロピレン17による矢印a方向への発泡・押圧は溶融TPO16によって干渉されることなく良好におこなわれ、第1の成形型7の型内には3層の樹脂層が形成された。発泡ポリプロピレン17の注入が終了すると、第2の射出装置10のノズルヘッド15を閉状態とし、溶融TPO16および発泡ポリプロピレン17を冷却・固化することによって、表皮層3,発泡層6および連結層5を基材2と一体的に形成した。なお、このとき基材2と連結層5とは接触面20より溶着し一体化されたものとなっている。なお、本実施例においては発泡樹脂材料として発泡ポリプロピレンを用いたが、本発明における発泡樹脂は発泡ポリプロピレンに限らず、ABS,熱可塑性ウレタン等の種々の樹脂材料を用いることができる。
【0053】
最後に、タブ18内で固化した捨て袋部21を切除して実施例1の多層樹脂成形品1を形成した。
【0054】
本実施例2の多層樹脂成形品の製造方法によると、表皮層3,連結層5および発泡層6をサンドイッチ成形法により同時に形成することから、製造工数を低減することができ製造コストを低減することが可能となる。
【0055】
また、発泡層6をサンドイッチ成形により表皮層3および連結層5と同時に形成することから、発泡樹脂が表皮材および基材2の間隙より漏出することが防止される。さらに、発泡層6は表皮層3および連結層5に封入され固定された状態で形成されるため、剥離のない成形品を容易に形成することが可能となる。このため、発泡層6を表皮層3および連結層5と溶着しないような樹脂材料で形成することが可能となり、表皮層3および連結層5,発泡層6,基材2を形成する樹脂材料の選択の幅が広がることとなる。
【0056】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の多層樹脂成形品は、製造工数の低減により製造コストが低減されたものとなる。また、発泡層の漏出が防止されて良好な外観を示すものとなる。
【0057】
また、表皮層および連結層,発泡層,基材を、剥離を抑えつつ種々の材料により形成されたものとすることが可能となる。
【0058】
本発明の多層樹脂成形品の製造方法によると、製造工数を低減し製造コストを低下することが可能となる。
【0059】
また、表皮層および基材の間隙からの発泡樹脂層の漏出を容易に防止することが可能となるため、少ない工数で製造ロスを抑えることが可能となる。
【0060】
そして、剥離を抑えつつ、表皮層および連結層,発泡層,基材を形成する樹脂材料を種々のものより選択して使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の多層樹脂成形品の模式断面図である。
【図2】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図3】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図4】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【図5】本発明の実施例2の多層樹脂成形品の製造方法を模式的に表す図である。
【符号の説明】
1:多層樹脂成形品 2:基材 3:表皮層 5:連結層 6:発泡層 7:第1の成形型 8:第1の射出装置 9:第2の射出装置 11:サンドイッチ成形装置 12:型面 13:第1の射出装置のノズルヘッド 15:第2の射出装置のノズルヘッド 16:溶融TPO 17:発泡ポリプロピレン 18:タブ 20:接触面
Claims (4)
- 表皮層と基材の間隙に発泡層が配置された多層樹脂成形品であって、
前記発泡層と前記基材との間隙には、前記表皮層と同一材料であり前記基材と溶着した連結層をもち、
前記表皮層,前記発泡層および該連結層はサンドイッチ成形で形成されていることを特徴とする多層樹脂成形品。 - 前記基材は剛性を有する樹脂材料で形成され、前記表皮層および前記連結層は軟質の樹脂材料で形成されている請求項1に記載の多層樹脂成形品。
- 表皮層と基材との間隙に発泡層が配置され、該発泡層と該基材との間隙に該表皮層と同一材料であり該基材と溶着した連結層をもつ多層樹脂成形品を製造する方法であって、
前記表皮層および前記連結層を形成する樹脂をキャビティ内に注入し次いで発泡樹脂を注入し発泡成形するサンドイッチ成形法にて前記表皮層,前記発泡層および前記連結層を形成するサンドイッチ工程を含むことを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法。 - 前記サンドイッチ工程は、予め形成した基材を一対の成形型の一方に配置し、該成形型を閉型して該基材と他方の型との間でキャビティを形成し、該キャビティ内に前記表皮層および前記連結層を形成する樹脂を注入し、次いで発泡樹脂を前記表皮層および前記連結層を形成する樹脂内に注入し発泡成形する工程を含む請求項3に記載の多層樹脂成形品の製造方法。
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JP2015020343A (ja) * | 2013-07-19 | 2015-02-02 | 宇部興産機械株式会社 | 射出成形方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018866A patent/JP2004230595A/ja not_active Withdrawn
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