JP2006076124A - 熱可塑性樹脂組成物発泡成形体の成形装置および方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物発泡成形体の成形装置および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、シェアエッジ構造の金型を用いてキャビティ容積を拡大し発泡成形体を得た場合に、成形体端部形状もしくは他部品と接触部および接続部を目的の形状にした射出発泡成形体を提供することにある。
【解決手段】可動金型Bと固定金型Aを備えた金型に熱可塑性樹脂を充填し、可動金型を移動してキャビティCの容積を拡大し、発泡成形体を得る樹脂の成形方法であって、金型内部の樹脂が接する部分のうち一部分のキャビティ厚さが可動型の移動によって変化しない構造を有することを特徴とする発泡成形金型および発泡成形方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、発泡剤を混ぜた溶融した熱可塑性樹脂を成形機に取付けたキャビティ内に射出することで、発泡した成形体を得る射出成形方法およびその装置に関する。
熱可塑性樹脂を用いた射出成形方法において、材料削減、軽量化等を目的として発泡を行うことが従来から検討されてきており、射出発泡成形を行う方法として、シェアエッジと呼ばれる印籠形状の金型を用いることで、キャビティ容積を拡大し発泡する方法が知られている。
発泡成形体を成形する方法として、発泡剤を含有した熱可塑性樹脂を供給・可塑化させキャビティ内に充填後、キャビティ容積を拡大することで外観良好な、発泡成形体を得る射出発泡方法が特許文献1に提案されている。
また、成形品端部形状を所定の形状にするために端末部に寸開長さ分の未発泡部分を形成させるために、型端部に溝を設け冷却を進展させ、未発泡部位を形成させる方法が特許文献2に提案されている。
特開2002−120252 特開2004−195897
本発明の目的は、シェアエッジ構造の金型を用いてキャビティ容積を拡大し発泡成形体を得た場合に、成形体端部形状もしくは他部品と接触部および接続部を目的の形状にした射出発泡成形体を提供することにある。
しかしながら、従来行われている可動金型を移動させ、キャビティ容積を拡大して成形体を得る方法は、成形体全体の発泡に対して成形体端部は溶融樹脂充填時の冷却で固化するために、成形体端部が未発泡状態となり発泡部分との境で凸状の湾曲を発生するため、端部については目的とする形状の発泡成形体を得ることはできなかった。
また、成形体表面にシボを持ち端部が立壁形状を成す場合、上記の凸状の膨らみは発生しないが、キャビティ容積を拡大した場合、キャビティ容積拡大に伴う金型移動長さ分シボの掛からない面が成形体の外周に発生し、希望の成形体が得られなかった。
また、端末部に溝を設けて冷却を促進させ未発泡部を作り形状を良好にする方法は、端部が立壁に近く比較的剛性が有る場合においては効果が比較的高いが、その場合においても未発泡部に続く固化層(スキン層)の厚みが薄いため、コアバックにおける発泡でその境目に僅かに変形を生じる。また、成形品の厚みが比較的薄い場合は、この未発泡層が形成部位も薄くしないと未発泡領域の厚みに対する割合が大きくなり発泡不良を起こし形状不良の原因となり、薄くしすぎても未発泡部の形状が十分に得られない。
本発明者らは上記課題及び従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果本発明に到達した。すなわち本発明は、下記発泡成形方法および成形金型に係る;
(1)可動金型と固定金型を備えた金型に熱可塑性樹脂を充填し、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡成形体を得る樹脂の成形方法であって、金型内部の樹脂が接する部分のうち一部分のキャビティ厚さが可動型の移動によって変化しない構造を有することを特徴とする発泡成形方法。
(2)可動金型と固定金型を備えた発泡成形金型であって、熱可塑性樹脂を充填し、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡成形体を得るにあたり、金型内部の樹脂が接する部分のうち一部分のキャビティ厚さが可動型の移動によって変化しない構造を有することを特徴とする発泡成形金型。
さらに本発明は、前記金型内部の樹脂が接する部分が成形品の端部であるときに好適に用いられる。また、可動金型または固定金型端部にスライドコア機構を配し、スライドコアの端部と成形体の表面の間隔を一定に保つようにした構造を持つ(1)に記載の発泡成形方法及び(2)に記載の発泡成形金型は、本発明の好ましい形態である。
本発明による熱可塑性樹脂の成形装置および方法を用いることで、従来の成形方法では解決できなかった成形体や開口部の端部に発生する湾曲、端部へのシボ付けができないという問題を解消した発泡成形体を得ることが可能となる。
さらにスピーカーグリルや他部品の取付穴、クリップ座のような他部品への取付部等、他部品と接続される部分にも、キャビティ容積拡大時にキャビティ厚みが変化しないようにすることで形状を目的としたものにすることが可能である。
また、このように目的形状の成形体を得るとともにコアバックによる容積拡大を防止する部分は発泡倍率を低く抑えることができ、発泡に伴う成形体の強度低下および衝撃性低下をも防ぐことが可能となり、成形体の一部分の強度を変えた成形体も成形が可能となる。
本発明の装置は、意匠面となる成形体表面側のキャビティ金型にスライドコアを配しスライドコア端面とコア金型でシェアエッジを成すようにした金型、裏面側となるコア金型にスライドコアを配し成形体表面側となるキャビティ金型にスライドコアを押し付ける構造を有する金型、もしくはスライドコアの一部にアンダーカット部を彫り込んで、キャビティ容積拡大時に成形体をスライドコア側に保持することのできる金型を使用する。
スライドコアでシェアエッジ構造を形成する場合、金型のシェアエッジ部分を油圧シリンダで移動可能にし、型締時にスライドコアと可動金型、固定金型からなるキャビティに発泡剤を溶解した溶融樹脂を充填し、キャビティ容積を拡大することで発泡成形体を得ることができる。このとき、キャビティの容積拡大後の発泡体厚さは、成形体として機能を満たせば端部等の形状保持部分との厚さが同じである必要は無い。
また、キャビティ容積は通常可動金型の移動によって拡大されるが、金型自体は固定させておき、金型内の入れ子を移動させることで容積を拡大して発泡させる構造でも構わない。
スライドコア機構を配した金型から対向する金型面へスライドコアを押し付けるように配置する場合は端部だけでなく成形体の表面に存在する開口部周辺やスピーカーグリルのような穴周辺の凸状の湾曲等が防止できる。また、成形体に開口部等の穴を持たず、他部品との接触部、接続部を持つ形状においては逆にスライドコア機構を配した金型やスライドコアにアンダーカット部分をつくり、キャビティ容積拡大時に成形体をスライドコアを配した金型側に保持する構造を用いることで発泡に伴う形状変形を防止することが可能となる。
このスライドコアはキャビティ容積拡大に伴う発泡時に成形機の可動金型もしくは固定金型とスライドコア間を一定に保つことで成形体端部、他製品との接触部もしくは接続部を目的形状に成形することができる。この間隔の保持方法は、対向する金型に押し当てる方法を用いることで、スライドコアの位置を制御するような機構は必要無く、金型の構造をあまり複雑にする必要が無い。
端部におけるスライドコアの樹脂と接する部分の幅は5〜20mmが好ましい。上記範囲を外れると良好な発泡体が得られないことがある。
この成形における射出開始時のキャビティクリアランスは1.0mm〜樹脂充填量までの間で設定する。充填樹脂量に比べキャビティ容積が小さい場合、可動金型を後退させながら必要な樹脂量の充填を行うこととする。樹脂充填後のキャビティクリアランスをd1、発泡後のキャビティクリアランスをd2とするとき、d1/d2は通常1.1〜2.5、好ましくは1.5〜2.0である。
ここでスライドコアを移動させる駆動源としては、油圧シリンダのみに限定されるものではなく、エアシリンダ、モーター、スプリング、金型開閉に伴うアンギュラピン、傾斜スライド、カム、リンク等による駆動も用いることができる。
本発明で目的とした端部形状を成形するためのスライドコアは外周全体に配置しても良いが、端部形状が問題とならない部分においては使用する必要は無く、外周の一部のみに配置することも可能である。
発泡に用いる熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン類を好適に用いる事が出来る。
発泡材料は公知のものを用いる事ができ、重曹、クエン酸やアゾジカルボンアミド等の熱分解型化学発泡剤や、炭酸ガス、窒素ガスなどの物理発泡剤をあげることができる。
本発明の構成を図を用いて説明する。
図2は熱可塑性樹脂の射出成形機に使用される溶融樹脂を冷却・固化し成形体を成形する金型を示し、溶融した樹脂を充填するためのランナ、スプル、ゲート等の経路を設けた固定金型A、固定金型と対を成しキャビティを形成する可動金型BおよびスライドコアDから構成されている。
図2に示すように、可動金型Bに接する部分を表面、固定金型Aに接する部分を裏面とする成形体において、可動金型Bには成形体端部の厚さを一定とするため、可動金型BのキャビティC端面は、キャビティの可動金型側とスライドコアDで挟まれた一定の厚さLを成す領域で外周を取り囲んでおり、このスライドコアDの端面と固定型は、溶融樹脂充填時の樹脂漏れを防止するためのシェアエッジ構造を成している。
上記構成の成形装置において、図2左に示す如く金型を閉じた状態で外周部のスライドコアを移動させ、可動金型B・固定金型A・スライドコアDで溶融樹脂の漏れないキャビティ空間を作り出し、発泡剤を混ぜ合わせた溶融樹脂Eをキャビティ内に充填させた後、図2右の様にキャビティ空間を拡大させ、成形体を発泡させる。このとき可動型を移動させた後のキャビティ厚さL’を初期の端部キャビティ厚さLと等しくすることで、端部が目的形状の発泡成形体を得ることができる。
これに対し従来の発泡金型を用いる方法では、金型内に充填された樹脂は端部では冷却固化速度が速いため、図1左の樹脂充填状態からキャビティ空間を拡大したときに、図1右に示す様に端部の樹脂が金型の動きに追従できず、形状不良の原因となる。
なおスライドコアは図3から5に示すように固定金型(コア型)側にあってもよく、図6から8に示すように可動金型(キャビティ型)側にあってもよい。
また成形品に貫通穴がある場合は、穴の周囲を目的形状とするため、図9および10に示す様にスライドコアが充填樹脂を貫通しても良い。この場合もスライドコアは固定金型と可動金型のどちらにあってもよいことは言うまでもない。
また成形品端部は図2のような単純な形状に限定されず、部品取り付け部等を有していても良い。例えばスライドコアと固定金型または可動金型を図11および12に示す様な形状に加工することにより、L字型の部品取り付け部を有する成形品を得ることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
実施例のより具体的例を挙げると、射出成形用金型として、製品寸法が200mm×400mmのダイレクトゲートを持つ平板状の成形体を得る金型を使用した装置を使用する。この装置に取付けた金型は可動金型とスライドコアの間隔L2がキャビティ厚さ3mmとなるような位置に、外周を4分割したスライドコアを配し、それを油圧シリンダで移動可能にした構造を成し、スライドコアの端部への突き出し量L3は3mmとなっている。
射出成形機としてキャビティの間隔(成形体厚み)を成形機のモーターにより微調整でき、一般的なスクリュを持つ型締力350Tの射出成形機を用いた。
成形材料としてはブロックポリプロピレン(三井化学(株)製、MFR:60g/10分(230℃))を用い、金型温度50℃、冷却時間40秒、射出時の樹脂温度200℃になるように設定した。また、発泡剤は、熱分解型の化学発泡剤を使用している。化学発泡剤はマスタバッチ形式で材料に3部添加・混合し、供給を行なった。
発泡剤を添加した材料を射出成形機のホッパから投入し、射出時の金型クリアランスL1は、1.2mmに設定し、金型に溶融樹脂が未発泡でキャビティ間隙にフル充填になるように樹脂充填圧力で金型を後退させ、充填後の樹脂量が1.7mmになるようにした。
溶融樹脂の充填完了からキャビティ容積を拡大するコアバックと呼ばれる可動側の移動までの時間は0.5秒であり、コアバック速度は20mm/secとした。また、コアバックによる成形体の発泡厚さは3mmとなるように可動金型を移動した
上記の条件で、射出発泡成形を行った成形体は、セル径が200〜300μmで、成形体の表面形状および端部形状ともに問題が無かった。
従来の発泡成型金型による成形体端部の例を示す図である 本発明の発泡成型金型による成形体端部の例を示す図である 本発明の発泡成型金型においてコア型(固定型)にスライドコアを配する場合を示す図である コア型にスライドコアを配する場合において樹脂充填状態を示す図である コア型にスライドコアを配する場合において発泡状態を示す図である 本発明の発泡成型金型においてキャビティ型(可動型)にスライドコアを配する場合を示す図である キャビティ型にスライドコアを配する場合において樹脂充填状態を示す図である キャビティ型にスライドコアを配する場合において発泡状態を示す図である 成形品に貫通穴が有りコア型にスライドコアを配する場合において樹脂充填状態を示す図である 成形品に貫通穴が有りコア型にスライドコアを配する場合において発泡状態を示す図である 部品取付け部が有りコア型にスライドコアを配する場合において樹脂充填状態を示す図である 部品取付け部が有りコア型にスライドコアを配する場合において発泡状態を示す図である
符号の説明
L:溶融樹脂充填時の金型移動方向のキャビティ厚さ
L’:金型移動後の金型移動方向のキャビティ厚さ
A:固定金型
B:可動金型
C:キャビティ
D:スライドコア
E:充填樹脂(成形体)
F:油圧シリンダ
G:スプル
L1:キャビティ面の溶融樹脂の充填厚さ
L2:意匠面に接した金型移動方向に平行な面の長さ(成形体端部厚さ)
L3:スライドコア突き出し量

Claims (6)

  1. 可動金型と固定金型を備えた金型に熱可塑性樹脂を充填し、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡成形体を得る樹脂の成形方法であって、金型内部の樹脂が接する部分のうち一部分のキャビティ厚さが可動型の移動によって変化しない構造を有することを特徴とする発泡成形方法。
  2. 可動金型と固定金型を備えた発泡成形金型であって、熱可塑性樹脂を充填し、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡成形体を得るにあたり、金型内部の樹脂が接する部分のうち一部分のキャビティ厚さが可動型の移動によって変化しない構造を有することを特徴とする発泡成形金型。
  3. 前記金型内部の樹脂が接する部分のうち、成形体の端部にあたる部分のキャビティ厚さが可動型の移動で変化しない構造を有することを特徴とする請求項2に記載の発泡成形金型。
  4. 可動金型または固定金型端部にスライドコア機構を配し、スライドコアの端部と成形体の表面の間隔が可動型の移動で変化しない構造を有することを特徴とする請求項2に記載の発泡成形金型。
  5. 可動金型または固定金型端部にスライドコア機構を配し、スライドコアを対向する金型表面に押し付けることで、キャビティ容積拡大時にもキャビティの厚さを一定に保つ構造とした、請求項2に記載の発泡成形金型。
  6. 可動金型または固定金型端部にスライドコア機構を配し、スライドコアによりアンダーカットを形成して、キャビティ容積を拡大したときに発泡成形体をスライドコア側の金型に保持することが可能な、請求項2に記載の成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009226866A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Mazda Motor Corp 発泡樹脂成形品の成形方法及び成形装置
CN103781612A (zh) * 2011-09-01 2014-05-07 佳能株式会社 发泡成型零件制造方法、发泡成型零件和发泡模具

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