JP4609290B2 - 樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
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そのため、従来は、上記ヒケの発生による意匠面の外観品質低下を防止できるよう、上記厚肉部を意匠面の裏側面から切り離した位置に設定して、移動型等を組み込んだ高価で複雑な金型を用いて成形する等の対策が実施されている。
該樹脂成形品の成形時に使用する金型のパーティング部に隣接する位置に形成されるエッジ部と上記厚肉部との間に、上記裏面から突出するガスシール部を有しており、該ガスシール部と上記厚肉部との間には上記一般部が配置されており、上記金型内にて成形される際に、上記樹脂成形品の上記裏面側における上記厚肉部と上記ガスシール部との間の上記一般部に対面して導入された加圧ガスが上記パーティング部から漏れることを上記ガスシール部の存在によって抑制するよう構成されており、
該ガスシール部は、突出方向の頂点部又は上記エッジ部側の側面の少なくとも一方に、凹凸状又は階段状の変形部を有しており、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面は、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面となっており、該テーパ面の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品にある(請求項1)。
すなわち、上記変形部の存在により、製造時における加圧処理を実施する際に、加圧ガスが上記ガスシール部と金型のキャビティ面との間を通って金型のパーティング部に到達するまでのルートを、上記変形部がない場合よりも複雑な形状でかつ長いものとすることができる。これにより、加圧ガスがパーティング部から漏れ出ることを抑制することができ、加圧ガスによるヒケ防止効果が十分に発揮される。それ故、得られた本発明の樹脂成形品は、ヒケのない非常に優れた外観品質を有するものとなる。
該樹脂成形品の成形時に使用する金型のパーティング部に隣接する位置に形成されるエッジ部と上記厚肉部との間に、上記裏面から突出するガスシール部を有しており、該ガスシール部と上記厚肉部との間には上記一般部が配置されており、上記金型内にて成形される際に、上記樹脂成形品の上記裏面側における上記厚肉部と上記ガスシール部との間の上記一般部に対面して導入された加圧ガスが上記パーティング部から漏れることを上記ガスシール部の存在によって抑制するよう構成されており、
該ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が設けられており、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面は、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面となっており、該テーパ面の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品にある(請求項5)。
すなわち、上記絞り部の存在により、製造時における加圧処理を実施する際に、成形品裏面側にガスシール部の充分な突出高さを設けることができない場合であってもシール効果を発揮することができる。これにより、加圧ガスが上記金型のパーティング部から漏れ出ることを抑制することができ、加圧ガスによるヒケ防止効果が十分に発揮される。それ故、得られた本発明の樹脂成形品は、ヒケのない非常に優れた外観品質を有するものとなる。
上記金型の上記キャビティには、該金型のパーティング部と、上記厚肉部を成形するための厚肉部形成部との間に、上記樹脂成形品の裏面から突出するガスシール部を形成するためのガスシール部形成部を設けてあり、該ガスシール部形成部と上記厚肉部形成部との間には上記一般部を形成するための一般部形成部を設けてあり、
該ガスシール部形成部には、形成しようとする上記ガスシール部の突出方向の頂点部又は上記パーティング部側の側面の少なくとも一方に対応する位置に、凹凸状又は階段状の金型変形部を設けてあり、
上記加圧処理は、上記厚肉部形成部と上記ガスシール部形成部との間の上記一般部形成部に上記加圧ガスを導入することにより行い、
上記金型の上記ガスシール部形成部は、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面が、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面を形成するためのテーパ面形成部を有しており、該テーパ面形成部の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法にある(請求項6)。
すなわち、上記金型変形部の存在により、その中に充填された樹脂との境界に生じるパーティング部までのルートが、上記金型変形部がない場合よりも複雑な形状でかつ長いものとなる。これにより、加圧ガスがパーティング部から漏れ出ることを抑制することができ、加圧ガスによるヒケ防止効果が十分に発揮される。それ故、本発明の製造方法によれば、ヒケのない非常に優れた外観品質を有する樹脂成形品を製造することができる。
上記金型の上記キャビティには、該金型のパーティング部と、上記厚肉部を成形するための厚肉部形成部との間に、上記樹脂成形品の裏面から突出するガスシール部を形成するためのガスシール部形成部を設けてあり、該ガスシール部形成部と上記厚肉部形成部との間には上記一般部を形成するための一般部形成部を設けてあり、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が形成されるように、裏面に対応するキャビティ面を意匠面側に向けて突出させた絞り部形成部を設けてあり、
上記加圧処理は、上記厚肉部形成部と上記ガスシール部形成部との間の上記一般部形成部に上記加圧ガスを導入することにより行い、
上記金型の上記ガスシール部形成部は、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面が、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面を形成するためのテーパ面形成部を有しており、該テーパ面形成部の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法にある(請求項10)。
すなわち、上記絞り部形成部の存在により、製造時における加圧処理を実施する際に、成形品裏面側にガスシール部の充分な突出高さを設けることができない場合であってもシール効果を発揮することができる。これにより、加圧ガスがパーティング部から漏れ出ることを抑制することができ、加圧ガスによるヒケ防止効果が十分に発揮される。それ故、本発明の製造方法によれば、ヒケのない非常に優れた外観品質を有する樹脂成形品を製造することができる。
本発明の実施例に係る樹脂成形品及びその製造方法につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例で製造する樹脂成形品は、図6に示すごとく、意匠面81と反対側の裏面82から突出した厚肉部としてのリブ85を部分的に有する樹脂成形品8である。なお、この樹脂成形品8に機能上必須の厚肉部は、上記の一箇所のリブ85だけであり、後述するガスシール部87は、製造時のヒケ発生防止のために積極的に設けるものである。
すなわち、樹脂成形品8は、その成形時に使用する金型1(図1)のパーティング部19に隣接する位置に形成されるエッジ部86と上記厚肉部85との間に、上記裏面82から突出するガスシール部87を有しており、金型1内にて成形される際に、樹脂成形品8の裏面82側における厚肉部85とガスシール部87との間に導入された加圧ガスがパーティング部19から漏れることをガスシール部87の存在によって抑制するよう構成されている。
そして、本例のガスシール部87は、突出方向の頂点部に、凹凸状の変形部875を有している。より具体的には、ガスシール部87の頂点部には、上記変形部として、内方に窪んだ凹部871を設けてある。
また、このガス導入路155は、図1〜図4に示すごとく、厚肉部形成部25とガスシール部形成部27の間において導入するように配置してある。
得られた樹脂成形品8は、図6に示すごとく、意匠面81における厚肉部85の位置に対応する部分にヒケが全く生じておらず、外観品質が非常に優れたものであった。
比較例1は、図9に示すごとく、実施例1の場合と同様の厚肉部85を有する樹脂成形品802であって、上記ガスシール部を設けない場合の例である。
上記樹脂成形品802を作製するには、図7に示すごとく、実施例1の場合のガスシール部形成部27を有していない点以外は実施例1の場合と同様の構造の金型102を用いる。この場合には、図8に示すごとく、加圧ガス7が、パーティング部19から漏れ出ることにより、十分な加圧処理を行うことができず、ヒケ99が最終的に生じてしまった。すなわち、図9に示すごとく、得られた樹脂成形品802においては、目標形状位置990から後退してヒケ99が生じてしまった。
比較例2は、図12に示すごとく、実施例1の場合と同様の厚肉部85を有する樹脂成形品803であって、上記ガスシール部87を設けるものの、その頂点に変形部を設けずに、フラット頂点部870を設ける場合の例である。
上記樹脂成形品803を作製するには、図10に示すごとく、実施例1の金型1におけるガスシール部形成部27を有するが、金型変形部275を有しておらず、フラット頂点形成部270を有する点が実施例1と異なる金型103を用いて、実施例1と同様の成形を行った例である。
この場合には、図11に示すごとく、加圧ガス7による加圧効果がある程度得られ、成形品の形状は一応維持できたが、パーティング部19から加圧ガス7の漏れがあった。漏れ量は上記比較例1の場合よりも少なかった。しかし、この加圧ガス7の漏れがあるために、加圧ガスによる押圧効果が少なからず実施例1の場合よりも低下していると考えられる。
したがって、製品の形状によっては、上記の加圧ガスの漏れによる押圧効果の低下によって、品質問題を生じるおそれがある。
比較例2と実施例1との対比によって、ガスシール部87の変形部871の存在が、加圧ガスの漏れ対策に有効であることがわかる。
本例では、実施例1におけるガスシール部87の変形部等の変更例を示す。
図13に示す例は、実施例1と基本形状が同じ樹脂成形品において、ガスシール部87のエッジ部86側の側面に、変形部として、頂点部876から基端部879に行く途中でエッジ部86側に向けて突出する段部877を設けた例である。具体的には、頂点部876の幅寸法W3を1mm、段部877の幅寸法W2を1mm、段部876の頂点部からの深さL3を1mm、段部876から基端部までの長さL4を4mmとした。
図15に示す例は、上記図14に示した例に、実施例1の変形部871を追加して変形部871と絞り部3の両方を設けた例である。
これら図12、図13に示した例のガスシール部を設けた場合にも、実施例1と同様に、加圧処理時の加圧ガスの漏れを確実に防止することができる。
15 キャビティ
151、152 キャビティ面
19 パーティング部
3 絞り部
7 加圧ガス
8、802、803 樹脂成形品
81 意匠面
82 裏面
85 厚肉部
86 エッジ部
87 ガスシール部
871 変形部(凹部)
877 変形部(段部)
878 テーパ面
Claims (10)
- 意匠面と反対側の裏面から突出した厚肉部と、上記意匠面を形成すると共に上記厚肉部よりも厚みが薄い一般部とを有する樹脂成形品において、
該樹脂成形品の成形時に使用する金型のパーティング部に隣接する位置に形成されるエッジ部と上記厚肉部との間に、上記裏面から突出するガスシール部を有しており、該ガスシール部と上記厚肉部との間には上記一般部が配置されており、上記金型内にて成形される際に、上記樹脂成形品の上記裏面側における上記厚肉部と上記ガスシール部との間の上記一般部に対面して導入された加圧ガスが上記パーティング部から漏れることを上記ガスシール部の存在によって抑制するよう構成されており、
該ガスシール部は、突出方向の頂点部又は上記エッジ部側の側面の少なくとも一方に、凹凸状又は階段状の変形部を有しており、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面は、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面となっており、該テーパ面の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品。 - 請求項1において、上記ガスシール部の頂点部には、上記変形部として、内方に窪んだ凹部を設けてあることを特徴とする樹脂成形品。
- 請求項1又は2において、上記ガスシール部の上記エッジ部側の側面には、上記変形部として、上記頂点部から基端部に行く途中で上記エッジ部側に向けて突出する段部を設けてあることを特徴とする樹脂成形品。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が設けられていることを特徴とする樹脂成形品。
- 意匠面と反対側の裏面から突出した厚肉部と、上記意匠面を形成すると共に上記厚肉部よりも厚みが薄い一般部とを有する樹脂成形品において、
該樹脂成形品の成形時に使用する金型のパーティング部に隣接する位置に形成されるエッジ部と上記厚肉部との間に、上記裏面から突出するガスシール部を有しており、該ガスシール部と上記厚肉部との間には上記一般部が配置されており、上記金型内にて成形される際に、上記樹脂成形品の上記裏面側における上記厚肉部と上記ガスシール部との間の上記一般部に対面して導入された加圧ガスが上記パーティング部から漏れることを上記ガスシール部の存在によって抑制するよう構成されており、
該ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が設けられており、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面は、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面となっており、該テーパ面の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品。 - 意匠面と反対側の裏面から突出した厚肉部と、上記意匠面を形成すると共に上記厚肉部よりも厚みが薄い一般部とを有する樹脂成形品を製造するに当たり、金型のキャビティ内に樹脂を射出充填した直後に、充填樹脂の裏面側から上記一般部に対面して加圧ガスを上記キャビティ内に導入することにより、上記充填樹脂の意匠面をキャビティ面に押し付ける加圧処理を行う樹脂成形品の製造方法において、
上記金型の上記キャビティには、該金型のパーティング部と、上記厚肉部を成形するための厚肉部形成部との間に、上記樹脂成形品の裏面から突出するガスシール部を形成するためのガスシール部形成部を設けてあり、該ガスシール部形成部と上記厚肉部形成部との間には上記一般部を形成するための一般部形成部を設けてあり、
該ガスシール部形成部には、形成しようとする上記ガスシール部の突出方向の頂点部又は上記パーティング部側の側面の少なくとも一方に対応する位置に、凹凸状又は階段状の金型変形部を設けてあり、
上記加圧処理は、上記厚肉部形成部と上記ガスシール部形成部との間の上記一般部形成部に上記加圧ガスを導入することにより行い、
上記金型の上記ガスシール部形成部は、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面が、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面を形成するためのテーパ面形成部を有しており、該テーパ面形成部の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 請求項6において、上記ガスシール部の頂点部に対応する位置には、上記金型変形部として、内方に突出した凸部を設けてあることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
- 請求項6又は7において、上記ガスシール部の上記エッジ部側の側面に対応する位置には、上記金型変形部として、上記頂点部から基端部に行く途中で上記エッジ部側に向けて後退する段部を設けてあることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれか1項において、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が形成されるように、裏面に対応するキャビティ面を意匠面側に向けて突出させた絞り部形成部を設けてあることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
- 意匠面と反対側の裏面から突出した厚肉部と、上記意匠面を形成すると共に上記厚肉部よりも厚みが薄い一般部とを有する樹脂成形品を製造するに当たり、金型のキャビティ内に樹脂を射出充填した直後に、充填樹脂の裏面側から上記一般部に対面して加圧ガスを上記キャビティ内に導入することにより、上記充填樹脂の意匠面をキャビティ面に押し付ける加圧処理を行う樹脂成形品の製造方法において、
上記金型の上記キャビティには、該金型のパーティング部と、上記厚肉部を成形するための厚肉部形成部との間に、上記樹脂成形品の裏面から突出するガスシール部を形成するためのガスシール部形成部を設けてあり、該ガスシール部形成部と上記厚肉部形成部との間には上記一般部を形成するための一般部形成部を設けてあり、
上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面の基端部に隣接して、上記一般部の裏面から窪んだ絞り部が形成されるように、裏面に対応するキャビティ面を意匠面側に向けて突出させた絞り部形成部を設けてあり、
上記加圧処理は、上記厚肉部形成部と上記ガスシール部形成部との間の上記一般部形成部に上記加圧ガスを導入することにより行い、
上記金型の上記ガスシール部形成部は、上記ガスシール部の上記厚肉部側の側面が、基端部から頂点部に近づくにつれて上記厚肉部から離れる方向に傾斜したテーパ面を形成するためのテーパ面形成部を有しており、該テーパ面形成部の傾き角度は1°〜45°であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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