本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(画像形成装置の構成)
図3は、本発明の実施例1における電源装置を用いた画像形成装置を示す構成図である。
この画像形成装置1は、例えば,電子写真式のカラー画像形成装置であり、4色の各現像器2(例えば、ブラック現像器2K、イエロー現像器2Y、マゼンタ現像器2M、及びシアン現像器2Cの4チャンネル)がそれぞれ着脱可能に装着されている。各色(即ち、各チャンネル)の現像器2(=2K,2Y,2M,2C)は、各チャンネルの感光体ドラム32(=32K,32Y,32M,32C)にそれぞれ接した各チャンネルの帯電ローラ36(=36K,36Y,36M,36C)によってそれぞれ一様に帯電される。帯電された各チャンネルの感光体ドラム32は、各チャンネルの発光素子(以下「LED」という。)ヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)の発光によってそれぞれ潜像を形成される。
各チャンネルの現像器2内の各チャンネルの供給ローラ33(=33K,33Y,33M,33C)が、各チャンネルの現像ローラ34(=34K,34Y,34M,34C)にトナーを供給し、各チャンネルの現像ブレード35(=35K,35Y,35M,35C)により、各チャンネルの現像ローラ34表面に一様にトナー層が形成され、各チャンネルの感光体ドラム32上にトナー像が現像される。各チャンネルの現像器2内の各チャンネルのクリーニングブレード37(=37K,37Y,37M,37C)は、転写後の残トナーをクリーニングする。
各チャンネルのトナーカートリッジ4(=4K,4Y,4M,4C)は、各チャンネルの現像器2にそれぞれ着脱可能に取り付けられ、内部のトナーを各チャンネルの現像器2にそれぞれ供給可能な構造になっている。各チャンネルの転写ローラ5(=5K,5Y,5M,5C)は、転写ベルト8の裏面から転写ニップ部にバイアスが印加可能に配置されている。転写ベルト駆動ローラ6、及び転写ベルト従動ローラ7は、転写ベルト8を張架しローラの駆動によって記録媒体である用紙15を搬送可能な構造になっている。
転写ベルトクリーニングブレード11は、転写ベルト8上のトナーを掻き落とせるようになっていて、掻き落とされたトナーが転写ベルトクリーナ容器12に収容される。用紙カセット13は、画像形成装置1に着脱可能に取り付けられ、用紙15が積載される。ホッピングローラ14は、用紙15を用紙カセット13から搬送する。レジストローラ16及び17は、用紙15を転写ベルト8に所定のタイミングで搬送する。定着器18は、用紙15のトナー像を熱と加圧によって定着する。用紙ガイド19は、用紙15を排紙トレー20にフェースダウンで排出する。
レジストローラ16及び17と転写ベルト従動ローラ7との間には、用紙検出センサ40が配置されている。用紙検出センサ40は、接触又は非接触にて用紙15の通過を検出するものである。この用紙検出センサ40のセンサ位置から転写ニップ部までの距離と用紙搬送スピードの関係から求まる時間より、電源装置が転写を行う時の転写バイアス印加タイミングが決定される。
図4は、図3の画像形成装置1における制御回路の構成を示すブロック図である。
この制御回路は、ホストインタフェース部51を有し、このホストインタフェース部51がコマンド/画像処理部52に対してデータを送受信する。コマンド/画像処理部52は、LEDヘッドインタフェース部53に対して画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部53は、プリンタエンジン制御部60によってヘッド駆動パルス等が制御され、各チャンネルのLEDヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)を発光させる。
プリンタエンジン制御部60は、用紙検出センサ40の検出結果に基づき、高圧制御部100に対して帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアス等の制御値を送る。高圧制御部100は、帯電バイアス発生部170と、現像バイアス発生部180と、転写バイアス発生部190とに信号を送る。帯電バイアス発生部170、及び現像バイアス発生部180は、各チャンネルの現像器2(=2K,2Y,2M,2C)の各帯電ローラ36(=36K,36Y,36M,36C)及び各現像ローラ34(=34K,34Y,34M,34C)に対してバイアスを印加する。転写バイアス発生部190は、各チャンネルの転写ローラ5(=5K,5Y,5M,5C)に対して転写バイアスを印加する。用紙検出センサ40は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
プリンタエンジン制御部60は、記憶手段71に記憶された情報に基づき、ホッピングモータ72、レジストモータ73、ベルトモータ74、定着器ヒータモータ75、及び各チャンネルのドラムモータ76(=76K,76Y,76M,76C)を所定のタイミングで駆動する。定着器ヒータ77は、サーミスタ78の検出値に応じてプリンタエンジン制御部60によって温度制御される。
(電源装置の構成)
図1は、本発明の実施例1における電源装置の概略を示すブロック図である。
高圧出力の目標電圧を設定する設定手段であるプリンタエンジン制御部60は、リセット信号RESETを出力する出力ポートOUT1、及びシリアル通信手段61等を有し、これらの出力ポートOUT1及びシリアル通信手段61に、本実施例1の電源装置80が接続されている。
本実施例1の電源装置80は、例えば、図4中の高圧制御部100及び転写バイアス発生部190により構成され、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT1から供給される制御信号であるリセット信号RESETと、シリアル通信手段61から供給される制御信号とを入力してDCの高圧電圧を生成し、転写4チャンネルであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の出力負荷ZL(=ZLC,ZLM,ZLY,ZLK)である各色の転写ローラ5(=5C,5M,5Y,5K)に対して転写バイアスを供給する装置である。なお、図1において、転写4チャンネルについて並置されているブロックについては重ねて図示され、複数のチャンネルで共通の部分については1つのブロックとして図示されている。
電源装置80は、各チャンネル共通の一定周波数(例えば、50MHz)の基準クロック(以下単に「クロック」という。)CLKを発生する発振器90と、各チャンネル共通のDC24Vを供給するDC電源95とを有し、その発振器90の出力側に、各チャンネル共通の高圧制御部100が接続されている。DC電源95及び高圧制御部100の出力側には、各チャンネルの圧電トランス高圧回路200(=200C,200M,200Y,200K)が接続されている。
各チャンネルの高圧制御部100は、プリンタエンジン制御部60から供給される制御信号に基づき、発振器90から供給されるクロックCLKを分周して4チャンネルの圧電トランス駆動パルス(以下単に「駆動パルス」という。)S100(=S100C,S100M,S100Y,S100K)を出力する回路である。この各高圧制御部100は、クロックCLKを入力するクロック入力ポートCLK_INと、プリンタエンジン制御部60のシリアル通信手段61に接続されたシリアル通信手段101と、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT1から出力されるリセット信号RESETを入力するリセット入力ポートIN11と、論理H/Lで表される4チャンネルの第1の比較結果S270(=S270C,S270M,S270Y,S270K)を入力する4チャンネルの入力ポートIN12(IN12C,IN13M,IN12Y,IN12K)と、論理H/Lで表される4チャンネルの第2の比較結果S280(=S280C,S280M,S280Y,S280K)を入力する4チャンネルの入力ポートIN13(=IN13C,IN13M,IN13Y,IN13K)と、4チャンネルの駆動パルスS100を出力する4チャンネルの出力ポートOUT11(=OUT11C,OUT11M,OUT11Y,OUT11K)と、4チャンネルのデジタル信号を出力する4チャンネルの出力ポートOUT12(=OUT12C,OUT12M,OUT12Y,OUT12K)と、4チャンネルのデジタル信号を出力する4チャンネルの出力ポートOUT13(=OUT13C,OUT13M,OUT13Y,OUT13K)等を有している。
この各チャンネルの高圧制御部100は、例えば、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるエーシック(Application Specific Integrated Circuit、以下「ASIC」という。)、中央処理装置(以下「CPU」という。)を内蔵したマイクロプロセッサ、あるいは、ユーザが独自の論理回路を書き込むことができるゲートアレイの一種であるフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array、以下「FPGA」という。)等により構成されている。
4チャンネルの圧電トランス高圧回路200(=200C,200M,200Y,200K)は、4チャンネルの高圧制御部100の各出力ノードOUT11及びDC電源95の出力側に接続されたスイッチング手段である4チャンネルの圧電トランス駆動回路210(=210C,210M,210Y,210K)と、4チャンネルの圧電トランス220(=220C,220M,220Y,220K)と、整流手段である4チャンネルの整流回路230(=230C,230M,230Y,230K)と、電圧変換手段である4チャンネルの出力電圧変換手段240(=240C,240M,240Y,240K)と、4チャンネルのデジタル/アナログコンバータ(以下「DAC」という。)250(=250C,250M,250Y,250K)と、4チャンネルの三角波発生手段260(=260C,260M,260Y,260K)と、比較手段である4チャンネルの第1の電圧比較手段270(=270C,270M,270Y,270K)と、4チャンネルの第2の電圧比較手段280(=280C,280M,280Y,280K)とを有している。三角波発生手段260及び第2の電圧比較手段280は、出力電圧S240をデジタル値に変換するデジタル変換手段を構成している。
各チャンネルの圧電トランス駆動回路210は、高圧制御部100における各チャンネルの出力ノードOUT11から出力される各チャンネルの駆動パルスS100と、DC電源95から供給されるDC24Vとに基づき、スイッチング素子を用いて駆動電圧を出力する回路であり、この出力側に各チャンネルの圧電トランス220が接続されている。各チャンネルの圧電トランス220は、セラミック等の圧電振動子の共振現象を利用して駆動電圧の昇圧を行いACの高電圧を出力するトランスであり、この出力側に各チャンネルの整流回路230が接続されている。
各チャンネルの整流回路230は、各チャンネルの圧電トランス220から出力されたACの高電圧をDCの高電圧に変換して各チャンネルの出力負荷ZLへ供給する回路である。この各チャンネルの整流回路230の出力側には、各チャンネルの出力電圧変換手段240が接続されている。各チャンネルの出力電圧変換手段240は、各チャンネルの整流回路230から出力される各DC高電圧をDC低電圧の各出力電圧S240(=S240C,S240M,S240Y,S240K)に変換する回路であり、この出力側に各チャンネルの第1の電圧比較手段270及び第2の電圧比較手段280が接続されている。
高圧制御部100における各チャンネルの出力ノードOUT13に接続された各チャンネルのDAC250は、各出力ノードOUT13から出力された各チャンネルのデジタル信号をアナログ信号に変換し、4チャンネル0〜3.3VのDC出力電圧S250(=S250C,S250M,S250Y,S250K)を10bitの分解能で出力する回路であり、この出力側に各チャンネルの三角波発生手段260、第1の電圧比較手段270及び第2の電圧比較手段280が接続されている。
各チャンネルの三角波発生手段260は、高圧制御部100における各チャンネルの出力ポートOUT12から出力されたデジタル信号と、各チャンネルのDAC250の各出力電圧S250(=S250C,S250M,S250Y,S250K)とを入力し、各デジタル信号に基づき、各出力電圧S250の2倍の電圧ピークを有する各チャンネルの三角波S260(=S260C,S260M,S260Y,S260K)を生成し、各チャンネルの第2の電圧比較手段280へ出力する回路である。
各チャンネルの第1の電圧比較手段270は、各出力電圧変換手段240の出力電圧S240と各DAC250の出力電圧S250とを比較し、各H/Lの比較結果S270を高圧制御部100の各入力ポートIN12へ出力する回路である。各チャンネルの第2の電圧比較手段280は、各出力電圧変換手段240の出力電圧S240と各三角波S260とを比較し、各H/Lの比較結果S280を高圧制御部100の各入力ポートIN13へ出力する回路である。
なお、高圧制御部100は、電源装置80内に設けられているが、プリンタエンジン制御部60内の大規模集積回路(以下「LSI」という。)中に設けても良い。
図2は、図1の電源装置80における詳細な構成例を示す回路図である。更に、図5は、図2中の圧電トランス220における出力電圧/周波数の特性図である。
図2では、説明を簡単にするために、高圧制御部100において、4チャンネルの入力ポートIN12C,IN12M,IN12Y,IN12Kのうちの1チャンネル分の入力ポートIN12と、4チャンネルの入力ポートIN13C,IN13M,IN13Y,IN13Kのうちの1チャンネル分の入力ポートIN13と、4チャンネルの出力ポートOUT11C,OUT11M,OUT11Y,OUT11Kのうちの1チャンネル分の出力ポートOUT11と、4チャンネルの出力ポートOUT12C,OUT12M,OUT12Y,OUT12Kのうちの1チャンネル分の出力ポートOUT12と、4チャンネルの出力ポートOUT13C,OUT13M,OUT13Y,OUT13Kのうちの1チャンネル分の出力ポートOUT13とが図示されている。更に、4チャンネルの同一回路構成の圧電トランス高圧回路200C,200M,200Y,200Kのうちの1チャンネル分の圧電トランス高圧回路200が図示されている。
図2に示すように、プリンタエンジン制御部60のシリアル通信手段61と、高圧制御部100のシリアル通信手段101とは、3本の信号線(例えば、SCLK1線、SDI1線、及びSDO1線)により接続されている。
SCLK1線は、後述する転送データに同期したクロックをプリンタエンジン制御部60から高圧制御部100へ出力するシリアルクロックSCLK1の信号線である。SDI1線は、高圧制御部100にデータを入力するシリアルデータインプット信号SDI1であって、シリアルクロックSCLK1に同期してデータをプリンタエンジン制御部60から高圧制御部100へ送信する信号線である。更に、SDO1線は、高圧制御部100からシリアルクロックSCLK1に同期して出力されるシリアルデータアウトプット信号SDO1であって、シリアルクロックSCLK1に同期してデータを送信する信号線である。
この3線式のシリアル通信は、公知の通信であるので詳細は省く。画像形成装置1の高圧出力のオン/オフ(以下「ON/OFF」という。)タイミングの精度はmsecオーダであるので、シリアル通信によるμsecオーダでの通信速度であっても問題はない。
高圧制御部100にクロックCLKを供給する発振器90は、電源91から供給されるDC3.3Vにより動作して発振周波数50MHzのクロックCLKを発生する回路であり、DC3.3Vが印加される電源端子VDD、DC3.3Vが印加される出力イネーブル端子OE、クロックCLKを出力するクロック出力端子CLK_OUT、及び接地されたグランド端子GNDを有している。クロック出力端子CLK_OUTは、抵抗92を介して、高圧制御部100のクロック入力ポートCLK_INに接続されている。
クロックCLKに同期して動作する高圧制御部100において、駆動パルスS100を出力する出力ポートOUT11には、圧電トランス高圧回路200内の抵抗201を介して、圧電トランス駆動回路210が接続され、この圧電トランス駆動回路210にDC電源95が接続されている。DC電源95は、例えば、図示しない低圧電源装置から商用電源であるAC100Vを変圧整流することにより供給されるDC24Vの電源である。
圧電トランス駆動回路210は、スイッチング素子であるパワートランジスタ(例えば、NチャネルパワーMOSFET(以下「NMOS」という。)211を有し、このNMOS211のゲート・ソース間に、短絡防止用の抵抗212が接続されている。NMOS211のドレインは、インダクタ(コイル)213を介してDC24VのDC電源95に接続されている。NMOS211のドレイン・ソース間には、コンデンサ214が並列に接続され、このコンデンサ214及びインダクタ213により共振回路が構成されている。NMOS211のゲートに、高圧制御部100からの駆動パルスS100が入力されると、このNMOS211によりDC24Vがスイッチングされ、これが共振回路により共振されてピークがAC100V程度の正弦半波の駆動電圧が出力される。
共振回路の出力側には、圧電トランス220の1次側の入力端子221が接続され、この2次側の出力端子222から、NMOS211のスイッチング周波数に応じて0〜数kVのAC高電圧が出力される構成になっている。2次側の出力端子222の出力電圧特性は、図5に示すように、周波数によって異なり、NMOS211のスイッチング周波数により昇圧比が決定される。
即ち、圧電トランス220の出力電圧/周波数特性は、図5に示すように、ある圧電トランス220−1においては、周波数fxで出力電圧が極大値を取り、別の圧電トランス220−2においては、周波数fyで出力電圧が極大値を取る。このように、圧電トランス220−1,220−2の製造ばらつきによって、異なる周波数特性を有している。これは、製造時の圧電トランス220の大きさにばらつきが生じるためであり、ばらつきの範囲は例えば周波数にして±4%程度である。本実施例1において、出力電圧の制御は、周波数が高い図5の右側の特性を有する周波数で圧電トランス220を駆動し、駆動周波数を下げていくことにより、出力電圧を上昇させ、結果、出力電流も増大させ、目標の出力電流を得るような制御を行う構成になっている。
圧電トランス220の2次側の出力端子222には、AC/DC変換用の整流回路230が接続されている。整流回路230は、圧電トランス220の2次側の出力端子222から出力されたAC高電圧をDC高電圧に変換して出力する回路であり、ダイオード231,232及びコンデンサ233により構成されている。整流回路230の出力側には、抵抗234を介して出力負荷ZLである転写ローラ5が接続されると共に、出力電圧変換手段240が接続されている。
出力電圧変換手段240は、整流回路230から出力されたDC高電圧(例えば、DC0〜7000V)を分圧してDC低電圧(例えば、DC0〜3.3V)を出力する回路であり、DC高電圧を分圧する分圧抵抗241(例えば、100MΩ)及び分圧抵抗242(例えば、47kΩ)と、CRフィルタを構成する抵抗243及びコンデンサ244とを有している。CRフィルタを構成する抵抗243及びコンデンサ244は、出力電圧のリップル成分を低減する機能を有している。出力電圧変換手段240の出力側には、第1及び第2の電圧比較手段270,280が接続されている。
高圧制御部100の出力ノードOUT13には、信号線(例えば、シリアルクロックSCLK2用信号線、及びシリアルデータSDO2用信号線)を介してDAC250が接続されている。DAC250は、出力ノードOUT13からシリアルクロックSCLK2に同期して出力されるシリアルデータSDO2を、分解能10bitでアナログ信号に変換し、4チャンネルの出力電圧S250(例えば、0〜3.3V)を三角波発生手段260及び第1の電圧比較手段270へ出力する回路である。
三角波発生手段260は、演算増幅器(以下「オペアンプ」という。)261及び抵抗262−1,262−2で構成される負帰還増幅回路と、プルアップ抵抗262−3〜262−6と、NPNトランジスタ(以下「NPNTR」という。)263−1〜263−4と、抵抗264−1〜264−4及び抵抗264−5〜264−9で構成されるR2R回路と、NPNTR263−1〜263−4のベース抵抗266−1〜266−4と、出力側の抵抗264−10及びコンデンサ265とを有する回路である。
この三角波発生手段260では、DAC250の出力電圧S250がオペアンプ261の+入力端子に入力され、このオペアンプ261及び抵抗262−1,262−2によって構成される負帰還増幅回路により、4倍の電圧に増幅される。増幅された電圧は、プルアップ抵抗262−3〜262−6でプルアップされ、NPNTR263−1〜263−4のコレクタがプルアップされる。プルアップされた電圧は、抵抗264−1〜264−4及び抵抗264−5〜264−9で構成されるR2R回路(即ち、前者の抵抗264−1〜264−4と後者の抵抗264−5〜264−9それぞれ等しい抵抗値にて前者と後者の抵抗値比が2:1である回路)に供給される。供給される電圧は、高圧制御部100における4チャンネルの出力ノードOUT12から出力される信号により、抵抗266−1〜266−4を介してNPNTR263−1〜263−4のベースがオン/オフされることにより切り替えられる。このR2R回路により、0VからDAC250の出力電圧S250の2倍の電圧範囲の三角波S260を、4bit分解能(即ち、0〜15段階)で、第2の電圧比較手段280へ出力できるようになっている。
出力電圧変換手段240の出力側に接続された第1、第2の電圧比較手段270,280のうち、第1の電圧比較手段270は、コンパレータ271及びプルアップ抵抗272を有している。コンパレータ271は、この+入力端子がDAC250の出力端子に接続され、−入力端子が出力電圧変換手段240の出力端子に接続されている。コンパレータ271の出力端子は、プルアップ抵抗272を介して、DC3.3Vの電源91に接続されている。コンパレータ271は、+入力端子に入力される出力電圧S250と、−入力端子に入力される出力電圧S240とを比較し、+入力端子側の出力電圧S250が−入力端子側の出力電圧S240より高い場合にオープンコレクタ出力となって、抵抗272によりプルアップされた比較結果S270(=3.3VのHレベル)を出力し、−入力端子側の出力電圧S240が+入力端子側の出力電圧S250より高い場合に比較結果S270(=Lレベル)を出力し、高圧制御部100における入力ポートIN12に入力するようになっている。
第2の電圧比較手段280は、コンパレータ281及びプルアップ抵抗282を有している。コンパレータ281は、この+入力端子が、抵抗264−10を介して抵抗264−5,264−6に接続されると共に、コンデンサ265を介してグランドGNDに接続され、−入力端子が、出力電圧変換手段240の出力端子に接続されている。コンパレータ280の出力端子は、プルアップ抵抗272を介して、DC3.3Vの電源91に接続されている。コンパレータ281は、+入力端子に入力される三角波S260の電圧と、−入力端子に入力される出力電圧S240とを比較し、+入力端子側の三角波S260の電圧が−入力端子側の出力電圧S240より高い場合にオープンコレクタ出力となって、抵抗282によりプルアップされた比較結果S280(=3.3VのHレベル)を出力し、−入力端子側の出力電圧S240が+入力端子側の三角波S260の電圧より高い場合に比較結果S280(=Lレベル)を出力し、高圧制御部100における入力ポートIN13に入力するようになっている。
(電源装置内の制御部の構成)
図6は、図2中の高圧制御部100を示す構成図である。
高圧制御部100は、例えば、ASICにより構成されており、ハードウェア記述言語等により記述されてASIC化されている。
高圧制御部100は、50MHzのクロックCLKが入力される256分周器102を有している。256分周器102は、50MHzのクロックCLKを256分周し、195.3kHz、5.12μsec周期のパルスを5bitカウンタ103及び4チャンネルの5bitカウンタ106へそれぞれ出力する回路である。5bitカウンタ103は、前記5.12μsec周期のパルスをカウントする5bitのカウンタであり、最上位bit(以下「MSB」という。)を選択信号としてセレクタ105へ出力し、下位4bitをそのセレクタ105と否定ゲート(以下「NOTゲート」という。)104に入力し、更に、オーバフロー時に論理Hをデータラッチ回路(以下「Dラッチ」という。)107−1へ出力し、それ以外では論理Lを出力する回路である。
NOTゲート104は、5bitカウンタ103から入力された4bitをH/L反転させてセレクタ105へ出力する回路である。セレクタ105は、5bitカウンタ103のMSBが選択信号として入力され、5bitカウンタ103の下位4bit又はNOTゲート104の出力4bitを4チャンネルの出力ポートOUT12へ出力する回路である。5bitカウンタ106は、入力ポートIN13から入力される4チャンネルの比較結果S280のH期間を256分周器102の出力パルスにてカウントし、又、5bitカウンタ103から出力されるオーバフロー信号でカウント値が0にクリア(CLR)されるカウンタであり、この出力側にDラッチ107−1が接続されている。Dラッチ107−1は、5bitカウンタ103のオーバフロー信号(SET)により、5bitカウンタ106の出力5bitをラッチする回路であり、この出力側にセレクタ110−1が接続されている。
セレクタ110−1は、タイマ116から出力される2bitデータに応じて、4チャンネルのDラッチ107−1の出力5bitのうち1チャンネルの出力5bitをテーブルレジスタ111−1へ出力する回路である。テーブルレジスタ111−1は、セレクタ110−1の出力5bitとテーブルレジスタ111−3の出力2bitとの値に応じて、8bit値を乗算器112へ出力する回路である。テーブルレジスタ111−3は、セレクタ110−2の出力7bitが入力され、この出力7bit値に応じた出力2bitをテーブルレジスタ111−1へ出力する回路である。セレクタ110−2の出力側には、テーブルレジスタ111−2も接続されている。テーブルレジスタ111−2は、セレクタ110−2の出力7bitが入力され、この出力7bit値に応じた出力8bitを乗算器112へ出力する回路である。この乗算器112の入力側に接続されたテーブルレジスタ111−1〜111−3等は、周波数制御値の可変幅を変更する変更手段を構成している。
乗算器112は、テーブルレジスタ111−1の出力8bitと、テーブルレジスタ111−2の出力8bitとを乗算し、16bitの乗算結果を演算器114−1へ出力する回路である。この乗算器112及び演算器114−1により、駆動パルスS100の駆動周波数を決定する周波数制御値を制御するスイッチング制御手段を構成している。
4チャンネルの比較結果S270が入力される入力ポートIN12には、9bitカウンタ108が接続されている。9bitカウンタ108は、入力ポートIN12から入力される4チャンネルの比較結果S270のH期間を、50MHzのクロックCLKにてカウントし、又、駆動パルスS100の立ち上がりエッジでクリアされる回路であり、この出力側にDラッチ107−2が接続されている。Dラッチ107−2は、入力ポートIN11から入力されるリセット信号RESETにより0にクリア(CLR)され、駆動パルスS100の立ち上がりエッジで、9bitカウンタ108の出力9bitをラッチする回路である。
シリアル通信手段101及び出力ポートOUT13には、通信データ処理部109が接続されている。通信データ処理部109は、シリアル通信手段101によるデータに応じて出力する4チャンネルのON/OFF信号S109とシリアルクロックSCLK1及びシリアルデータSDA1とを制御して、DAC250から出力される4チャンネルの出力電圧S250を制御するものである。
Dラッチ107−2の出力側には、4チャンネルの比較器113が接続されている。比較器113は、Dラッチ107−2の出力9bitと、19bitレジスタ119−2の上位9bit出力値とを比較し、2bit出力値を下記のようにして演算器114−1へ出力する。
(Dラッチ107−2の値)≧(19bitレジスタ119−2の上位9bit値−5)の場合に00bを出力し、
(19bitレジスタ119−2の上位9bit値−5)>(Dラッチ107−2の値)≧(19bitレジスタ119−2の上位9bit値×0.5)の場合に01bを出力し、
(19bitレジスタ119−2の上位9bit値×0.5)>(Dラッチ107−2の値)>5の場合に10bを出力し、
5≧(Dラッチ107−2の値)の場合に11bを出力する。
セレクタ110−2及び演算器114−1には、タイマ116を介して周期値記憶用メモリ115が接続されている。周期値記憶用メモリ115は、制御周期を決定する13bitの周期値(例えば、140μsecに相当する値である7000(1B58hex))を記憶するフラッシュメモリ等のメモリである。周期値は、50MHzのクロックCLKの誤差に応じて可変設定可能な値となっている。タイマ116は、13bitのカウンタを備え、0000〜07FF、0800〜0FFF、1000〜17FF、1800〜1FFFへとカウントアップする間に、セレクタ110−1及び110−2への2bit出力値を00、01、10、11bと変化させ、2bit値を変化させた所定時間後に4bitのパルスを順次演算器114−1へ出力し、更に、カウントアップした値が前記516周期値と等しくなった時に13bit値に0000hexをセットする回路である。
演算器114−1には、9bitのカウンタ上限値レジスタ117、9bitのカウンタ下限値レジスタ118、及び19bitレジスタ119−1が接続されている。19bitレジスタ119−1は、駆動パルスS100における駆動周波数の初期値と、駆動周波数を決定する周波数制御値とを記憶する記憶手段としての機能を有している。演算器114−1は、19bitレジスタ119−1の19bit値が入力され、この値に対して演算を行い、演算結果を19bitレジスタ119−1へ出力して更新する機能を有している。
演算器114−1における演算は、リセット信号RESETの入力時、カウンタ下限値レジスタ118の9bit値に、下位10bitに0をセットした値が設定され、比較器113の出力2bitに応じて乗算器112の出力値もしくは1を加減算する。加減算結果の上位9bitがカウンタ上限値レジスタ117の9bit値を超えた場合には、上位9bit値をカウンタ上限値レジスタ117の値として下位10bitを0とし、カウンタ下限値レジスタ118の9bit値を下回った場合には、上位9bit値をカウンタ下限値レジスタ118の値として下位10bitを0とする。比較器113の出力2bit値と演算の関係は、以下の通りである。本実施例1では、下限値は180hex、上限値は1CFhexである。
比較器113の出力値00b:乗算器112の出力値16bitを加算
比較器113の出力値01b:乗算器112の出力値1を加算
比較器113の出力値10b:乗算器112の出力値1を減算
比較器113の出力値11b:乗算器112の出力値16bitを減算
19bitレジスタ119−1は、演算器114−1の出力19bit値をラッチして保持する機能を有し、この19bitレジスタ119−1と保持手段である補正値レジスタ120とに、演算器114−2が接続されている。補正値レジスタ120は、8bitのレジスタであり、4チャンネル分の各チャンネルの補正値を符号付き値として保持する機能を有している。演算器114−2は、19bitレジスタ119−1で、補正値レジスタ120の出力8bitを19bitのbit18−0のうちbit13−7に対して加減算するものである。例えば、19bitレジスタ119−1の出力値が60000hexで、補正値レジスタ120の値が01hexの場合は、60080hexとなり、補正値レジスタ120の値がFFhexの場合は、5FF80hexとなる。
演算器114−2には、19bitレジスタ119−2が接続され、この19bitレジスタ119−2に、比較器113、1加算器121、分周セレクタ122、及び誤差保持レジスタ125が接続されている。分周セレクタ122及び誤差保持レジスタ125は、誤差拡散法による2値化手段を構成している。更に、分周セレクタ122には、分周手段である分周器123が接続され、この分周器123に、出力セレクタ124及び誤差保持レジスタ125が接続されている。
19bitレジスタ119−2は、演算器114−2の出力19bit値をラッチして保持し、上位9bitを1加算器121と分周セレクタ122へ出力し、下位10bitを誤差保持レジスタ125へ出力する回路である。誤差保持レジスタ125は、10bitのレジスタと1bitのフラグとにより構成され、リセット信号RESETの入力で10bit値及びフラグ1bit共に0にクリアされ、19bitレジスタ119−2の出力10bit値を、分周器123の出力パルスの立ち上がりエッジでレジスタ値に加算して保持し、更に、加算時にオーバフローが発生した場合には、フラグ1bitを1とし、そうでない場合は、フラグ1bitを0とするレジスタである。
1加算器121は、19bitレジスタ119−2の出力9bit値に1加算した9bit値を、分周セレクタ122へ出力するものである。分周セレクタ122は、誤差保持レジスタ125の出力1bitが選択信号selectとして与えられ、この選択信号selectにより、19bitレジスタ119−2の出力9bitと1加算器121の出力9bitとを切り替える回路である。この分周セレクタ122は、選択信号selectがHの場合には、1加算器121の出力値を分周器123へ出力し、選択信号selectがLの場合には、19bitレジスタ119−2の出力値を分周器123へ出力する。
分周器123は、分周セレクタ122から出力される9bit値のカウントのパルスをデューティ30%で出力セレクタ124へ出力する回路である。出力セレクタ124は、通信データ処理部109から出力されるON/OFF信号S109がHの場合に、分周器123から入力される駆動パルスS100を出力し、ON/OFF信号S109がLの場合に、グランド電位のLを出力する機能を有している。
(画像形成装置の全体の動作)
図3及び図4において、画像形成装置1は、図示しない外部機器からホストインタフェース部51を介してPDL(Page Description Language、ページ記述言語)等で記述された印刷データが入力されると、この印刷データは、コマンド/画像処理部52によってビットマップデータ(画像データ)に変換され、LEDヘッドインタフェース部53及びプリンタエンジン制御部60へ送られる。プリンタエンジン制御部60により、サーミスタ78の検知値に応じて定着器18内のヒータ77が制御され、定着器18内の熱定着ローラが所定の温度になり、印字動作が開始される。
給紙カセット13にセットされた用紙15は、ホッピングローラ14で給紙される。以降説明する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ16,17によって用紙15が転写ベルト8上に搬送される。各色の現像器2(=2K,2Y,2M,2C)において、電子写真プロセスにより、各感光体ドラム32(=32K,32Y,32M,32C)にトナー像が形成される。この時、前記ビットマップデータに応じて各LEDヘッド3(=3K,3M,3Y,3C)が点灯される。各色の現像器2によって現像されたトナー像は、電源装置80から各転写ローラ5(=5K,5Y,5M,5C)に印加された高電圧のDCバイアスにより、転写ベルト8上を搬送される用紙15に転写される。用紙15に4色のトナー像が転写された後、定着器18によって定着されて排紙される。
(電源装置の動作)
先ず、図1の電源装置80における概略の動作を説明する。
図1の電源装置80は、例えば、4出力の転写高圧用の電源装置である。カラー画像形成装置1において、転写はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4チャンネル出力となり、4チャンネルとも同じ構成となるので、1チャンネルのみ説明する。
プリンタエンジン制御部60は、シリアル通信手段61により、高圧制御部100のシリアル通信手段101に対して所定のコマンド・データを送信する。このコマンド・データは、高圧出力チャンネルを指定するコマンドと、高圧目標電圧値に対応する10bitデータであり、高圧出力に先立って送信される。データ値は、DAC250の出力電圧S250に対応するものである。高圧制御部100の出力ポートOUT11は、Lレベルを維持する。
高圧制御部100は、シリアル通信手段61,101から高圧出力オンを指示するコマンドを受信すると、発振器90から供給されるクロックCLKを分周した駆動パルスS100を、出力ポートOUT11から圧電トランス駆動回路210へ出力する。高圧制御部100は、入力ポートIN12から入力される電圧比較手段270の比較結果S270における単位時間当たりのH/L時間により分周比を変化させ、入力ポートIN13から入力される電圧比較手段280の比較結果S280における単位時間当たりのH/L時間により分周比を変化させる割合を変化させる。
圧電トランス駆動回路210は、高圧制御部100の出力ポートOUT11から出力される駆動パルスS100によって、DC電源95から供給されるDC24Vの電圧をスイッチングすることにより、圧電トランス220の1次側を駆動してこの2次側からACの高電圧を発生させる。発生したACの高電圧は、整流回路230により整流されてDCの高電圧に変換され、出力負荷ZLへ供給されると共に、出力電圧変換手段240に与えられる。出力電圧変換手段240は、DCの高電圧を47/(100000+47)に変換して降圧し、DCの低電圧からなる出力電圧S240を電圧比較手段270,280へ与える。
電圧比較手段270は、DAC250の出力電圧S250と、出力電圧変換手段240の出力電圧S240とを比較し、比較結果S270を高圧制御部100の入力ポートIN12へ入力する。更に、電圧比較手段280は、三角波発生手段260から発生した三角波S260の電圧と、出力電圧S250とを比較し、比較結果S280を高圧制御部100の入力ポートIN13へ入力する。例えば、出力電圧5kVが目標制御電圧の場合、プリンタエンジン制御部60のシリアル通信手段61から高圧制御部100のシリアル通信手段101へ、目標電圧値のデータとして2D8hexが送信される。高圧制御部100では、出力ポートOUT13からDAC250の所定のチャンネルへ、デジタル値の2D8hexをセットする。
DAC250は、デジタル値の2D8hexをアナログの出力電圧2.35Vに変換し、電圧比較手段270へ出力する。高圧制御部100は、出力電圧変換手段240の出力電圧S240がDAC250の出力電圧S250と等しくなるように、出力ポートOUT11から出力する駆動パルスS100の出力周波数を制御する。又、DAC250の出力電圧S250は、三角波発生手段260によりピークが4.70Vの三角波S260に変換され、電圧比較手段280に入力される。電圧比較手段280は、三角波S260の電圧と出力電圧変換手段240の出力電圧S240とを比較し、三角波発生周期でパルス幅変調信号(以下「PWM信号」という。)からなる比較結果S280を出力し、高圧制御部100の入力ポートIN13に入力する。
高圧制御部100は、入力されたPWM信号からなる比較結果S280のデューティにより、出力電圧変換手段240の出力電圧S240が、0〜目標電圧〜2倍の目標電圧のいずれの状態であるか検知し、目標電圧から離れている程周波数の制御量(即ち、単位時間当たりの分周比)の変更量を大きくし、目標電圧付近では単位時間当たりの分周比の変更量を小さくすることにより、短時間で目標電圧となるように制御し、且つオーバシュートのない立ち上がり制御を実現する。
図7は、図2の電源装置80内における4チャンネルの出力ポートOUT12の出力波形、抵抗264−10の入力波形、及び三角波S260の電圧波形を示す図である。更に、図8は、図2の電源装置80内における高圧制御部100の駆動パルスS100、圧電トランス駆動回路210の出力パルス、出力電圧変換手段240の出力電圧S240、三角波S260の電圧、DAC250の出力電圧S250、及び比較結果S270,S280の電圧の波形を示す図である。
次に、図7及び図8を参照しつつ、図2の電源装置80における詳細な動作を説明する。
プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT1から高圧制御部100の入力ポートIN11へ出力されるリセット信号RESETをLにして、高圧制御部100の諸処の設定をリセットする。このリセット動作により、出力ポートOUT11から出力される駆動パルスS100の分周比等の値が初期値に設定される。高圧制御部100は、初期値にてクロック入力ポートCLK_INから入力されるクロックCLKを初期値の分周比、ONデューティ30%で分周する。但し、プリンタエンジン制御部60から高圧オンのコマンドを受信するまでは、高圧制御部100の出力ポートOUT11には分周された駆動パルスS100が出力されず、出力ポートOUT11はLレベルに保持される。
プリンタエンジン制御部60は、シリアル通信手段61により、同期用のシリアルクロックSCLK1を出力すると共に、このシリアルクロックSCLK1に同期してシリアルデータSDI1を出力し、高圧出力目標電圧を設定する任意のコマンドとDAC出力値である10bitデータを、高圧制御部100のシリアル通信手段101へ送信する。例えば、プレバイアス1kVの場合には0.47Vの比較電圧となるので、この場合3.3V、10bitであるので、送信データは092hexとなる。高圧制御部100及びDAC250には、図示しない3.3V電源電圧が供給される。又、コンパレータ271,281、及びオペアンプ261の電源端子には、図示しない24V電源及びグランドGNDが接続されている。
高圧制御部100のクロック入力ポートCLK_INには、抵抗92を介して発振器90が接続されている。発振器90は、グランド端子GNDが接地され、電源端子VDDと出力イネーブル端子OEに電源91のDC3.3Vが供給され、電源投入直後から、周波数50MHz、周期20nsecのクロックCLKがクロック出力端子CLK_OUTから出力される。出力ポートOUT11がLレベルに保持されている間は、NMOS211がオフしているので、圧電トランス220の1次側の入力端子221にはDC電源95から供給されるDC24Vがそのまま印加される。
この状態では、DC電源95の電流値はほぼ0であり、圧電トランス220も振動してないので、圧電トランス220の2次側の出力端子222の電圧は0Vである。そのため、整流回路230の出力電圧は0Vであり、出力電圧変換手段240の出力電圧S240も0Vである。コンパレータ271は、DAC250の出力電圧S250の0.47Vが+入力端子に入力され、出力電圧変換手段240の出力電圧S240が−入力端子に入力され、両出力電圧S250及びS240が比較される。コンパレータ271の+入力端子の電圧の方が高いので、このコンパレータ271はオープンコレクタ出力となり、抵抗272を介して電源91のDC3.3Vによりプルアップされ、高圧制御部100の入力ポートIN12にはHレベルが入力される。
同様に、コンパレータ281の−入力端子には、出力電圧変換手段240の出力電圧S240が入力され、+入力端子には、三角波発生手段260から出力された三角波S260の電圧が入力される。三角波発生手段260には、高圧制御部100の出力ポートOUT12から出力された4チャンネルのデジタル信号が入力される。出力ポートOUT12から出力される4チャンネルのデジタル信号は、図7で示す波形となり、4チャンネルの出力ポートOUT12の出力信号がHの場合に、NPNTR263−1〜263−4にべ−ス電流が流れ、抵抗264−1〜264−4がグランドGNDに接続される。4チャンネルの出力ポートOUT12の出力信号がLの場合に、抵抗262−3〜262−6でプルアップされたオペアンプ261の出力電圧が供給される。オペアンプ261は、抵抗262−1,262−2によってDAC250の出力電圧S250を4倍に増幅する。
抵抗264−1〜264−4と抵抗264−5〜264−9との抵抗値比は2:1であり、R2Rを構成している。そのため、出力ポートOUT12の4bitが0000b〜1111bに変化する際に0.94V〜0Vが16段階で出力され、抵抗264−10及びコンデンサ265で構成されたCRフィルタにより波形整形されて、コンパレータ281の+入力端子に入力される。これらの出力ポートOUT12の出力信号、抵抗264−10に入力されるR2R出力電圧、及びCRフィルタから出力される三角波S260の電圧波形が、図7に模式的に示されている。コンパレータ281の−入力端子のレベルが0Vなので、抵抗282によるプルアップにより、ほぼHレベルに近いデューティ100%弱の163.8μsec周期のPWM波形が、比較結果S280としてコンパレータ281から出力される。出力されたPWM波形は、高圧制御部100の入力ポートIN13に入力され、前記163.8μsec周期でサンプリングされ、デューティを32段階で検出する。この出力0Vの初期状態では、1Fhexとなる。
所定のタイミング、即ち、感光体ドラム32と転写ベルト8が駆動され、帯電、現像バイアスがオンされた後、用紙15が転写ローラ5と感光体ドラム32のニップ部に到達する前に、プリンタエンジン制御部60は高圧制御部100に高圧のオンを指示するコマンドをシリアル通信手段61により送信する。高圧制御部100は、前記受信データ処理後直ちに出力ポートOUT11から、初期値にて分周された駆動パルスS100を出力する。
本実施例1では、初期値は384分周であり、1周期7.68μsec、ONデューティ29%である。出力ポートOUT11から出力された駆動パルスS100によってNMOS211がスイッチングされ、インダクタ213とコンデンサ214及び圧電トランス220により、この圧電トランス220の1次側の入力端子には、数十Vの半波正弦波形が印加される。この波形が図8に模式的に示されている。
高圧制御部100の入力ポートIN12に入力される電圧がHレベルの状態では、前記分周比を384分周から所定周期である140μsec毎に加算していく。加算される結果、周波数が低くなり、図5の模式図で示される特性で明らかなように、電源装置80の出力電圧が上昇してゆく。出力電圧の上昇に伴い、高圧制御部100の入力ポートIN13に入力される163.8μsec周期のPWM波形のデューティが小さくなってゆく。デューティが100%から目標電圧であるデューティ50%となるまで、所定の設定値によって分周比可変幅が大〜小へと変化してゆき、ついには目標電圧付近にて入力ポートIN12の電圧が矩形波となったところで、前記可変幅を最小分解能に落としてデューティが50%以上か否かで分周比設定値を加減算することにより、目標電圧にて定電圧制御される。以上の動作により、用紙先端が感光体ドラム32と転写ローラ5のニップ部に到達する前に、プレバイアスの1000Vが印加される。
次に、所定のタイミング、即ち用紙検出センサ40が用紙15を検出した後、用紙15が転写ローラ5と感光体ドラム32のニップ部に到達するタイミングで、プリンタエンジン制御部60は転写高圧出力指示値を7000Vとなるように10bit値3Fbhexを高圧制御部100へ送信する。高圧制御部100は、出力ポートOUT13からDAC250へ、前記設定値をシリアルデータとして送信してDAC250の出力電圧S250の3.29Vを得る。ここで再度、コンパレータ271の比較結果S270はHとなり、コンパレータ281の比較結果S280であるPWMデューティも50%から93%となり、前記同様、周波数を下げる方向に制御を行い、結果、圧電トランス出力7000Vを得る。
更に、用紙検出センサ40が用紙後端を検出した所定時間後、即ち用紙15が感光体ドラム32と転写ローラ5とのニップ部を通過する直前に、紙間バイアスである1000Vとすべく、前記同様、DAC250の出力電圧S250を0.47Vに設定する。結果、コンパレータ271の比較結果S270がLレベルになると共に、コンパレータ281の比較結果S280であるPWMデューティが0%となり、今度は周波数を上げる方向に制御され、1000Vの目標電圧となったところでコンパレータ271の比較結果S270が矩形波となり、コンパレータ281の比較結果S280であるデューティが50%となる。
以降、次の用紙15がある場合には、前記同様のフローにて再度7000Vに制御され、最終用紙15の場合には、プリンタエンジン制御部60からのコマンドにより、高圧制御部100がDAC250の設定値を000hexとし、DAC250の出力電圧S250も0Vとなる。続いてプリンタエンジン制御部60から転写高圧出力停止のコマンドが送信され、高圧制御部100は出力ポートOUT11をLにする。結果、圧電トランス220の駆動が停止し、高圧出力がオフする。
図9−1(a)〜(c)、図9−2(a)〜(f)及び図9−3(a)〜(f)は、本実施例1の電源装置80における出力電圧特性を示す波形図であり、横軸は時間、及び縦軸は電圧である。
例えば、図9−1(a)〜(c)において、図9−1(a)に示すように、プレバイアスである出力1000Vは、オンしてから15msec後に目標の90%に立ち上がる。図9−1(b)に示すように、プレバイアスの出力1000Vから7000Vに立ち上げる場合には、DAC250の出力電圧S250の値を0.47Vから3.29Vに変化させた19msec後に、目標の90%に立ち上がる。参考に0Vから7000Vに変化させる場合の波形が図9−1(c)に示されている。この場合も19msecで目標の90%電圧に立ち上がる。
以上説明したように、低い出力電圧から高い出力電圧まで短時間で立ち上げるために、制御周波数の変化量を、制御周波数及び目標に対する出力電圧によって異なる値として制御している。以降にその詳細を説明する。
(電源装置内の高圧制御部の動作)
図10は図6中のタイマ116の出力信号を示すタイミングチャート、図11−1(a)、(b)及び図11−2(c)、(d)は図6中のテーブルレジスタ111−1の入出力値を示す図、図12−1(a)、(b)及び図12−2(c)、(d)は図6中のテーブルレジスタ111−2の入出力値を示す図、図13は図6中のテーブルレジスタ111−3の入出力値を示す図である。更に、図14−1及び図14−2は、図2中の圧電トランス駆動回路210の出力特性を示す図である。
これらの図10〜図14を参照しつつ、電源装置80内における図6の高圧制御部100の動作を説明する。
プリンタエンジン制御部60から高圧制御部100の入力ポートIN11にリセット信号RESETが入力されると、各カウンタ値等が初期化される。演算器114−1は、カウンタ下限値レジスタ118の9bit値を上位9bit、下位10bitには0とした19bit値を初期値として、19bitレジスタ119−1へ出力し、この19bitレジスタ119−1がその出力値を保持する。初期値の19bit値は、60000hexとなる。
4チャンネルの補正値レジスタ120は、各8bitの符号付きデータを保持する。例えば、ここで4チャンネルの補正値レジス120に保持された補正値シアン(C)が00hex、補正値マゼンタ(M)が08hex、補正値イエロー(Y)がFFhex、補正値ブラック(K)が01hexとする。4チャンネルの演算器114−2は、19bitレジスタ119−1の値と補正値レジスタ120の値とを加減算して、加減算結果を4チャンネルの19bitレジスタ119−2へ出力する。4チャンネルの19bitレジスタ119−2は、前記加減算結果の値を保持する。4チャンネルの19bitレジスタ119−2に保持されたシアン(C)は60000hex、マゼンタ(M)は60400hex、イエロー(Y)は5FF80hex、及びブラック(K)は60080hexとなり、それぞれ補正値に80hexを乗算した値が加減算される。
1加算器121によって分周セレクタ122には、19bitレジスタ119−2の上位9bit値と、1加算器121の前記9bit値に1加算された値とが入力される。その値は、それぞれシアン(C)が180/181hex、マゼンダ(M)が181/182hex、イエロー(Y)が17F/180hex、及びブラック(K)が180/181hexとなる。初期状態、即ちリセット信号RESETの入力後では、19bitレジスタ119−2の上位9bit値、例えばシアン(C)の場合、180hexが分周器123に入力される。分周器123は、0〜180hexまでクロックCLKをカウントする毎に駆動パルスS100を出力させる。分周器123は、クロックCLKの立ち上がりでカウントアップする9bitカウンタを備え、分周セレクタ122からの9bit出力値、及び9bit出力値を約30%にした値、正確には9bit出力値の1/4値、l/32値、1/64値の和、即ち分周セレクタ122の9bit出力値をそれぞれ右シフト2bit、右シフト5bit、右シフト6bitした値との比較を行い、分周セレクタ122の出力値の30%値と等しくなった時に分周器出力値をLレベルにし、分周セレクタ出力値と等しくなった時に分周器出力値をHレベルにすると同時にカウンタを0にクリアする。
以上の動作によって、分周器123は、クロックCLKを分周セレクタ出力値で分周した周波数で約30%のONデューティの駆動パルスS100を出力する。出力セレクタ124は、ON/OFF信号S109がオンであるHレベルになった場合に駆動パルスS100を出力し、そうでない場合は出力Lレベルを保持する。
19bitレジスタ119−2の下位10bitは、小数点以下の分周比を示すカウンタである。分周比は180hex(384)分周である19bit値60000hexから開始し、181hex(385)分周である19bit値60400hexとなるまでの間、小数点以下を示す値の誤差を加算し、誤差加算結果が1以上となった時にパルスの分周比を1加算された方を選択する。
例えば、19bitレジスタ119−2の値が60200hexの場合、整数部9bit値は180hex、小数部10bitは200hexとなる。この状態にて誤差保持レジスタ125の値が000hex(10bit)、オーバフローフラグ0の場合、19bitレジスタ119−2の9bit値が分周セレクタ122で選択されて分周器123に入力され、180hex(384)分周、130.208kHzの駆動パルスS100が出力される。
出力される駆動パルスS100は、圧電トランス駆動回路210に印加されると同時に、誤差保持レジスタ125にも入力される。誤差保持レジスタ125は、000hex(10bit)値と、19bitレジスタ119−2の下位10bitの200hexとを加算し、加算結果200hexを保持し、オーバフローフラグをLレベルにする。以降同様に、次のパルス出力時は小数部200hexと誤差保持レジスタ値200hexとを加算して400hexとなり、10bitレジスタ値の保持レンジは000〜3FFとなるので、誤差保持レジスタ125の値を000hexとして、オーバフローフラグをHレベルにする。出力されるパルスの周波数指示値は、整数部が180hex(384)で、小数部が200hex(512)であり、実数値としては384.5となる。上記説明したように、この場合は384分周のパルスと385分周のパルスが交互に出力され、分周比平均は384.5となる。
又、小数部が180hexである場合は、誤差保持レジスタ値は000hex、180hex、300hex、080hexとなり、300hexから080hexとなる時にオーバフローフラグがHレベルになる。整数部がNとした場合にN分周、N分周、N分周、N+1分周と分周比が変化し、分周比平均は最終的にN+(384/1024)となる。
19bitレジスタ119−1の分周比指示値は、以下のようにして、乗算器112により更新される。
通信データ処理部109がON/OFF信号S109をLレベルにしている間は、出力セレクタ124はLレベルを出力し、圧電トランス駆動回路210がオフ状態となる。
画像形成装置1は印字動作を開始し、転写バイアスのプレバイアスを出力するために、最初にプレバイアス電圧に相当する10bit値を所定のコマンドで、プリンタエンジン制御部60から高圧制御部100へシリアル通信手段61にて送信する。高圧制御部100内の通信データ処理部109は、前記コマンド・データを受信すると、シリアルクロックSCLK2及びシリアルデータSDA2により、10bitのデータをDAC250に設定する。設定方法は、前記同様シリアル通信による。例えば、DAC250の出力レンジ0〜3.3V、出力電圧範囲0〜7025Vとなるように各回路定数が設定されたとする。この場合、図2中の抵抗241は100MΩ、抵抗242は47kΩとなる。プレバイアスである転写目標電圧を1000Vとした場合、10bit設定値は092hexとなる。4色共同じ電圧値であれば、前記092hexをそれぞれ4チャンネル分、DAC250に送信し、DAC250は4チャンネルに0.47VのDC出力電圧S250を出力する。
この時点においては、高圧電圧は未だ出力されておらず、図2中の出力電圧変換手段240の出力電圧S240はほぼ0Vであり、電圧比較手段270の比較結果S270がHレベルである。
256分周器102は、50MHzのクロックCLKを256分周して195.3kHz、5.12μsec周期のパルスを出力する。出力されたパルスは、5bitカウンタ103にてカウントアップされ、5bitのMSBを反転指示信号としてセレクタ105へ出力することにより、下位4bitが増減を繰り返すように切り替えられる。結果、カウント値は0000、0001、0010・・・1110、1111、1111、1110・・・0010、0001、0000bと変化し、この4bit値が三角波発生手段260へ出力される。結果、図7で示されるタイミングの波形が出力ポートOUT12から出力され、三角波発生手段260からピークが0.94Vの三角波S260が出力される。整流回路230の出力電圧は、ほぼ0Vであるので、電圧比較手段280の比較結果S280としてHレベルが出力される。
9bitカウンタ108は、電圧比較手段270の比較結果S270をカウントする。出力セレクタ124から駆動パルスS100が出力されない初期状態では、電圧比較手段270の比較結果S270がHレベルであるので、9bitカウンタ108はカウントアップを繰り返す。Dラッチ107−2は、出力セレクタ124から駆動パルスS100が出力されないので、リセット信号RESETによるリセット時にセットされた9bit値000hexを保持する。前記9bit値000hexは、比較器113へ出力され、19bitレジスタ119−2の上位9bitと比較される。比較器113は、以下のような比較を行い、比較結果を演算器114−1へ出力する。
(Dラッチ107−2の値)≧(19bitレジスタ119−2の上位9bit値−5)の場合に00bを出力し、
(19bitレジスタ119−2の上位9bit値−5)>(Dラッチ107−2の値)≧(19bitレジスタ119−2の上位9bit値×0.5)の場合に01bを出力し、
(19bitレジスタ119−2の上位9bit値×0.5)>(Dラッチ107−2の値)>5の場合に10bを出力し、
5≧(Dラッチ107−2の値)の場合に11bを出力する。
比較器113の2bit出力値は11bとなり、下記関係より、演算器114−1は、乗算器112の出力値を減算することとなる。
比較器113の出力値00b:乗算器112の出力16bit値を加算
比較器113の出力値01b:乗算器112の出力1を加算
比較器113の出力値10b:乗算器112の出力1を減算
比較器113の出力値11b:乗算器112の出力16bit値を減算
演算器114−1は、初期値状態では初期値=カウンタ下限値であるので、19bitレジスタ119−1は、乗算器112の出力値によらずその初期値=カウンタ下限値を保持する。後述するが、乗算器112の出力値は、1以上の16bit整数値である。
入力ポートIN13に接続された5bitカウンタ106は、電圧比較手段280における比較結果S280のH期間を、256分周器102の出力パルスでカウントする。即ち、5bitカウンタ106は、前記出力パルスの立ち上がりエッジで比較結果S280がHレベルならばカウントアップを行い、Lレベルでは値を保持し、又、5bitカウンタ103のオーバフロー時に0にクリアされる。5bitカウンタ106は、整流回路230の出力電圧がほぼ0Vである初期状態では、電圧比較手段280の比較結果S280がほぼHレベルであるので、カウント値を0から順次カウントアップし、1Fhexまでカウントした所で、5bitカウンタ103のオーバフローによって0にクリアされると同時に、その1Fhex値がDラッチ107−1にラッチされる。
タイマ116は、13bitのカウンタにより構成され、クロックCLKをカウントしてカウントアップを行い、図10に示すように、所定周期の信号をセレクタ110−1,110−2及び演算器114−1へ出力する。タイマ116は、カウント値が、メモリ115に記憶された周期値と等しくなった時にカウント値を0にクリアする。タイマ116において、セレクタ110−1及び110−2に対する出力2bitは、800hex即ち2048クロック周期毎に00、01、10、11bと出力値を変化させ、前記カウント値13bitを0にクリアする時に、この2048カウントのカウント値も0にリセットする。これにより、図10に示す波形の信号が出力される。更に、タイマ116は、前記出力2bitの変化に合せて、図10の下に示す4チャンネル(C,M,Y,K)の信号を演算器114−1へ出力する。
以上の動作によってセレクタ110−1は、140μsec周期でシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各チャンネルのDラッチ107−1の出力信号を選択してテーブルレジスタ111−1へ出力する。
又、タイマ116からの出力2bitにより、セレクタ110−2は、19bitレジスタ119−1の上位9bitのうちの下位7bit、即ちbit18−10のうちbit16−10、例えば9bit値が180hexの場合は、7bit値00hex、1C0hexの場合は、40hexをそれぞれ選択してテーブルレジスタ111−2,111−3へ出力する。
テーブルレジスタ111−3は、図13に示すように、7bitの入力値に対して2bit値を出力する。初期状態の場合は7bit値が00hexであるので2bit値00bを出力する。テーブルレジスタ111−1は、セレクタ110−1の5bit出力値の1Fhexと、テーブルレジスタ111−3の2bit出力値00bとが入力され、図11−1(a)、(b)及び図11−2(c)、(d)に示すように、8bit値E0hexを乗算器112へ出力する。又、テーブルレジスタ111−2は、セレクタ110−2の7bit出力値00hexが入力され、図12−1(a)、(b)及び図12−2(c)、(d)に示すように、8bit値80hexを乗算器112へ出力する。
乗算器112は、テーブルレジスタ111−1及び111−2の2つの8bit値を乗算して、16bit値7000hexを演算器114−1へ出力する。演算器114−1は、比較器113の出力値が11bであるので、19bitレジスタ119−1の値60000hexから7000hexを減算して59000hexを得、この上位9bit値164hexがカウンタ下限値の9bit値180hexより小さいので、180hexを上位9bit、下位10bitを000hexとする60000hexを19bitレジスタ119−1へ出力する。
次に、プレバイアスを印加するために、プリンタエンジン制御部60は、高圧制御部100に所定のコマンドで命令を送信する。高圧制御部100内の通信データ処理部109は、ON/OFF信号S109である選択信号selectをHにして、出力セレクタ124から駆動パルスS100を出力させる。この駆動パルスS100により、圧電トランス駆動回路210を介して圧電トランス220が駆動され、高圧出力値が徐々に立ち上がる。同時にDラッチ107−2へ駆動パルスS100が入力されることにより、駆動パルスS100毎に9bitカウンタ108のカウント値がDラッチ107−2にラッチされる。駆動パルスS100出力直後は高圧出力値が0V付近であるので、Dラッチ107−2は、電圧比較手段270の比較結果S270におけるHレベルを9bitカウンタ108にてカウントした値、即ち19bitレジスタ119−2の上位9bit値に近い値を保持することとなる。そのため、比較器113の出力値は、11bから00bへと切り替わり、演算器114−1が、19bitレジスタ119−1の保持値を加算する。
加算した結果、これまで説明した動作にて駆動パルスS100の周波数が下がり、高圧出力値が上昇する。高圧出力値上昇に伴い、電圧比較手段280の比較結果S280における163.8μsec周期のPWMデューティが減少し、Dラッチ107−1の保持値である5bit値が、初期値の1Fhexから1E、1D、1Chex・・・へと減少していく。又、19bitレジスタ119−1の値が加算される結果、セレクタ110−2へ出力される7bit値も00、01、02hex・・・へと増加する。
本実施例1の圧電トランス駆動回路210の出力特性が図14−1及び図14−2に示されている。図14−2に示すように、駆動開始周波数である130kHzから120kHzまでは、周波数変化に対する電圧変化が少なく、110kHzに近づくと電圧が急峻に増加する。このような出力特性から、130kHzの開始周波数付近では、図12−1及び図12−2のテーブルレジスタ111−2出力値に示すように、駆動周波数を決定する19bitレジスタ119−1の更新時の加算量を大きくしている。
例えば、図12−1、図12−2において、入力値7bitが00hexであるところは19bitレジスタ119−1の上位9bitが180hexであり、駆動周波数では130.2kHzであり、入力値7bitが47hexであるところは19bitレジスタ上位9bitが1C7hexであり、駆動周波数では109.7kHzである。周波数によって単位周波数変化当たりの出力電圧変化量が異なるために、周波数変化に対して出力電圧変化が小さい領域で19bitレジスタ119−1の加算値が大きくなるようにテーブルレジスタ111−2のテーブルを設定している。このテーブル値は、実験により得た値である。
又、図11−1及び図11−2のテーブルレジスタ111−1入出力値に示すように、Dラッチ107−1の5bit値は、初期値1Fhex値から目標電圧に近づくに従って減少し、目標電圧で10hexとなる。これにより、目標電圧から離れている状態では、周波数制御値の変化量を大きくし、目標電圧付近では変化量を小さくする。結果、目標電圧到達までの時間を短縮し、且つ目標電圧到達時のオーバシュートを防ぐことが可能となる。又、この図11−1及び図11−2のテーブル値は、周波数制御値によって最適なテーブルを切り替えるようになっていて、図13のテーブルレジスタ111−3入出力値に示すように、テーブルレジスタ111−3の入力値7bitが00〜2Fhex即ち周波数で130.2〜115.7kHz、30〜3Fhex即ち周波数で115.7〜111.6kHz、40〜4Ahex即ち周波数で111.6〜108.9kHz、及び4B〜7Fhex即ち108.9kHz以下の4段階にてテーブルを切り替えて行く。
なお、本実施例1では、Dラッチ107−1の分解能5bit、テーブルの選択を4種類としているが、この値に限らず、更に分解能を高めて多くのテーブルを保持してもよい。
駆動周波数を順次下げる方向に制御して行くと、Dラッチ107−1の出力値が10hexとなり、電圧比較手段270における比較結果S270の波形が矩形波となり、結果、Dラッチ107−2の保持値が以下の2条件のいずれかとなる。
(19bitレジスタ119−1の上位9bit値−5)>(Dラッチ107−2)≧(19bitレジスタ119−1の上位9bit値×0.5)の場合に、Dラッチ107−2が01bを保持し、
(19bitレジスタ119−1の上位9bit値×0.5)>(Dラッチ107−2)>5の場合に、Dラッチ107−2が10bを保持する。
この状態で19bitレジスタ119−1を1ずつ加算又は減算して制御することにより、目標電圧である1000Vの定電圧制御が行われる。図9−1(a)に、1000V立ち上がり時の波形が示されている。
プレバイアス印加後、電源装置80は、用紙検出センサ40が用紙先端を検出した所定時間後、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順で用紙転写時のバイアスを印加する。例えば、ブラック(K)が5000V、イエロー(Y)が5500V、マゼンタ(M)が6000V、シアン(C)が7000Vとした場合、ブラック(K)のDAC設定値は2D8hex、イエロー(Y)が321hex、マゼンタ(M)が36Ahex、シアン(C)が3FBhexとなり、ブラック(K)は用紙先端が感光体ドラム32Kと転写ローラ5Kのニップ部に、イエロー(Y)は用紙先端が感光体ドラム32Yと転写ローラ5Yのニップ部に、マゼンタ(M)は用紙先端が感光体ドラム32Mと転写ローラ5Mのニップ部に、シアン(C)は用紙先端が感光体ドラム32Cと転写ローラ5Cのニップ部に到達するタイミングで、プリンタエンジン制御部60からのシリアル通信によって高圧制御部100が、更にシリアル通信にてDAC250に出力値を設定する。
DAC250の出力電圧S250がそれまでの0.47Vから変化することにより、電圧比較手段270の比較結果S270は再度Hレベルとなり、電圧比較手段280における比較結果S280の5bit値も大きくなる。よって前記説明したと同様、圧電トランス220の周波数を下げるように制御が行われ、それぞれの電圧で定電圧制御される。
更に、用紙後端が感光体ドラム32とのニップ部に到達する直前に、DAC250の設定値を再度プレバイアス(用紙間バイアス)の1000V設定に変更する。今度は電圧比較手段270の比較結果S270がLレベルとなり、電圧比較手段280の比較結果S280もLレベルとなり、Dラッチ107−1の5bit値は00hexとなる。テーブルレジスタ111−1は、目標電圧に対して0〜2倍の目標電圧において、目標電圧を中心としてほぼ値が鏡像のように対となっているので、目標電圧であるプレバイアス1000Vに向かって周波数を上げる方向に制御され、高い出力電圧を立ち上げる時と同様、出力電圧が短時間で下げられる。
以降、次頁の印刷がある場合には再度、印刷バイアスを印加し、そうでない場合、もしくは最終用紙15を印刷した後はDAC250の出力電圧S250が0Vとなるように、4チャンネルのDAC設定値を000hexに設定する。これに続いて、プリンタエンジン制御部60は、転写高圧オフの信号を高圧制御部100へ送信し、高圧制御部100は、通信データ処理部109によりON/OFF信号S109をLレベルに切り替える。DAC設定値を0Vにし、ON/OFF信号S109をLレベルにするまでの間で電圧比較手段270の比較結果S270がLレベルとなるので、Dラッチ107−2がリセット時と同じ00hexを保持し、ON/OFF信号S109がLレベルとなることにより、Dラッチ107−2の更新が停止して、次の高圧出力までその値を保持する。以降、同様にして次の印刷が行われる。
図9−2(a)〜(f)及び図9−3(a)〜(f)に、本実施例1の補正値レジスタ120に保持された補正値と出力特性の関係が示されている。図9−2(a)〜(f)及び図9−3(a)〜(f)は、出力電圧4000Vの立ち上がり波形を、補正値を変更して測定したものである。
図14−1及び図14−2に示すように、出力電圧4000Vでの制御値である19bitレジスタ119−1の値は72373hexである。補正値レジスタ120に保持された補正値が+1の場合の補正された結果は723F3hex、−1の場合は722F3hexとなり、それぞれ周波数にすると±0で109.44kHz、+1で109.41kHz、−1で109.47kHzとなる。周波数分解能で0.03kHzとなる。割合としては±0.0274%である。図9−2及び図9−3から明らかなように、補正値が5ずれると無視できない大きさの特性差が現れる。5であっても周波数に対して0.137%である。0.137%は周波数にして150Hzである。以上のことより、補正分解能は最低でも100Hz以下が望ましい。
(実施例1の変形例)
本実施例1は、次の(1)〜(6)のように変形してもよい。
(1) 本実施例1では、補正値を8bit符号付きとして±3.5%の補正を可能としているが、9bitとして±7%としてもよいし、±7%で12bitとして補正分解能を8倍とする等の構成としてもよい。前記補正値による特性の変化は、同一圧電トランス220で補正値を変化させて説明したが、実際の圧電トランス220は、製造時のサイズばらつきにより周波数特性がシフトするので、制御値を基準となる圧電トランス220で求めて設定しても、物毎による特性差により立ち上がり特性に変化が生じてしまう。それを補正値にて基準となる圧電トランス220と同じ立ち上がり特性となるようにするものである。補正値はロット毎の試験データによって設定してもよいし、高圧電源のファンクションテスト等によって特性を測定した上で設定してもよい。
(2) 本実施例1では、共振周波数約108kHz、駆動周波数範囲108〜130kHzの圧電トランス220を用いたが、これよりサイズの小さな駆動周波数が高い圧電トランス220を使用してもよいし、サイズの大きな駆動周波数の低い圧電トランス220を用いてもよい。
(3) 本実施例1では、クロックCLK周波数を50MHzとしたが、20MHz等の低い周波数でも実現可能である。
(4) 本実施例1では、整数部9bit、小数部10bitで処理を行っているが、bit数についてはこの限りではない。
(5) 本実施例1では、転写4チャンネルの場合について説明したが、タイマ出力のセレクタ信号デューティを変更して、現像バイアスや帯電バイアスも同時に制御することが可能であるし、特性の異なる圧電トランス220を用いるため、複数組のテーブルレジスタや分周比設定値の上下限値を複数用意してもよい。
(6) 本実施例1では、出力最大電圧は7kVとなっているが、この電圧はダイオードの耐圧等により決定した値であって、部品選定次第では10kV等の高い出力電圧の高圧電源も容易に実現可能である。
(実施例1の効果)
本実施例1の電源装置80及びこれを用いた画像形成装置1によれば、次の(a)〜(d)のような効果がある。
(a) 本実施例1では、圧電トランス駆動周波数の可変幅を駆動周波数領域により可変することにより、圧電トランス出力周波数特性が緩やかな領域では大きな幅で変更し、特性が急峻な領域では細かく変更することによって出力電圧の立ち上がり時間を短縮することが可能となる。更に、前記と同時に目標電圧との差分が大きい領域では周波数可変幅を大きくし、目標電圧付近では小さくすることにより、出力電圧の早い立ち上がりとオーバシュートのない立ち上がりを両立し、前記可変幅を駆動周波数によって異なるものとすることで、100V程度の低い出力電圧から7kVという高い領域まで、立ち上がり速度とオーバシュートの殆どない立ち上がり特性の両立が可能となり、分周セレクタ122及び誤差保持レジスタ125等を用いた周波数2値化手法により周波数特性が急峻な共振周波数付近においても出力電圧分解能の高い、発振のない定電圧制御が可能となる。
(b) 周波数制御値に対して補正レジスタ120の補正値を用いることにより、圧電トランス220の製造ばらつきによる特性の違いを、制御パラメータ値を個々に変更することなく、共通の物を用いて制御が可能となる。
(c) 周波数制御周期を可変とすることにより、発振器90の製造ばらつきも補正レジスタ120の補正値にて補正可能となる。
(d) 安定した定電圧制御が可能になるので、環境によらず、安定した出力が可能になり、濃度段差や横筋のない安定した画像を形成することができる。
本発明の実施例2では、実施例1における図3の画像形成装置1及び図4の制御回路の構成と同様であり、実施例1における図1の電源装置80と構成が異なるので、以下、本実施例2の電源装置について説明する。
(電源装置の構成)
図15は、本発明の実施例2における電源装置80Aの概略の構成を示すブロック図であり、実施例1の電源装置80を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2の電源装置80Aは、実施例1における電源装置80と同様の発振器90及びDC電源95と、実施例1における4チャンネルの高圧制御部100及び4チャンネルの圧電トランス高圧回路200とは異なる構成の4チャンネルの高圧制御部100A及び4チャンネルの圧電トランス高圧回路200Aとを備えている。
本実施例2における4チャンネルの高圧制御部100Aは、実施例1における4チャンネルの高圧制御部100と同様に、目標電圧を設定するための設定手段であるプリンタエンジン制御部60から供給される制御信号に基づき、発振器90から供給されるクロックCLKを分周して4チャンネルの駆動パルスS100Aを4チャンネルの圧電トランス高圧回路200Aへそれぞれ出力する回路であるが、実施例1の高電圧制御部100に対して入出力ポートの構成が異なる。
即ち、本実施例2の高圧制御部100Aは、実施例1と同様に、クロック入力ポートCLK_IN、リセット信号RESETを入力するリセット入力ポートIN11、プリンタエンジン制御部60のシリアル通信手段61に接続されたシリアル通信手段101、及び、4チャンネルの駆動パルスS100Aを出力する4チャンネルの出力ポートOUT11を有しているが、実施例1の入力ポートIN12,IN13及び出力ポートOUT12,OUT13に代えて、デジタル変換手段である4チャンネルのアナログ/デジタルコンバータ(以下「ADC」という。)130が設けられている。実施例1では、DAC250の出力電圧S250と電圧比較手段270,280の比較結果S270,S280とにより、高圧出力電圧の状態を検知していたものを、本実施例2では、出力電圧変換手段240Aの出力電圧S240AをADC130に入力する構成になっている。4チャンネルのADC130は、12bit分解能3.3Vのコンバータであり、出力電圧S240Aをデジタル信号に変換する機能を有している。
本実施例2における4チャンネルの圧電トランス高圧回路200Aは、4チャンネルの高圧制御部100Aの各出力ノードOUT11及びDC電源95の出力側に接続された実施例1と同様の4チャンネルの圧電トランス駆動回路210と、この圧電トランス駆動回路210の出力側に接続された実施例1と同様の4チャンネルの圧電トランス220と、この圧電トランス220の出力側に接続された実施例1と同様の整流手段である4チャンネルの整流回路230と、この整流回路230の出力側に接続された実施例1とは異なる構成の電圧変換手段である4チャンネルの出力電圧変換手段240Aとを有している。
出力電圧変換手段240Aは、整流回路230から出力されるDC高電圧を、高圧制御部100A内のADC130にて検出可能な低レベルの出力電圧S240Aに変換する回路であり、この出力側にADC130が接続されている。この出力電圧変換手段240Aは、実施例1の出力電圧変換手段240と同様の機能を有しているが、回路構成が異なる。
図16は、図15の電源装置80Aにおける詳細な構成例を示す回路図であり、実施例1の電源装置80を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この図16では、図2と同様に、説明を簡単にするために、4チャンネルの同一回路構成の圧電トランス高圧回路200Aのうちの1チャンネル分の圧電トランス高圧回路200Aが図示されている。
圧電トランス高圧回路200A内の出力電圧変換手段240Aは、実施例1と同様に、整流回路230から出力されるDC高電圧(例えば、0〜7025V)を低電圧(例えば、0〜3.3V)に分圧する分圧抵抗241(例えば、抵抗値100MΩ)及び分圧抵抗242(例えば、抵抗値47kΩ)と、この分圧抵抗241,242の接続点とグランドGNDとの間に直列に接続された抵抗243及びコンデンサ244からなるCRフィルタとを有し、更に、このCRフィルタの出力側に、オペアンプ245によるボルテージフォロワ回路が新たに追加されている。オペアンプ245によるボルテージフォロア回路は、ADC130に入力する出力電圧S240Aのインピーダンスを変換する機能を有している。
(電源装置内の制御部の構成)
図17は、図16中の高圧制御部100Aを示す構成図であり、実施例1の高圧制御部100を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。更に、図18−1〜図18−16は、図17中のテーブルレジスタ111−4の入出力値を示す図である。
図17に示すように、本実施例2の高圧制御部100Aでは、実施例1の高圧制御部100における256分周器102、5bitカウンタ103、NOTゲート104、セレクタ105、4チャンネルの5bitカウンタ106、4チャンネルのDラッチ107−1,107−2、及び4チャンネルの9bitカウンタ108に代えて、4チャンネルのADC130及び4チャンネルの演算器114−3が設けられ、実施例1の通信データ処理部109に代えて、これとは機能の異なる通信データ処理部109Aが設けられ、4チャンネルの比較器113に代えて、これとは機能の異なる4チャンネルの比較器113Aが設けられ、更に、テーブルレジスタ111−1〜111−3に代えて、テーブルレジスタ111−4が設けられている。
4チャンネルのADC130は、4チャンネルの出力電圧変換手段240AのDC出力電圧S240Aを入力し、このDC出力電圧S240Aを任意の所定クロックCLKサイクル毎に12bitのデジタルデータに変換する回路であり、この出力側に、4チャンネルの演算器114−3、比較手段である比較器113A、及び実施例1と同様のセレクタ110−2が接されている。ADC130による変換周期は、制御周期の140μsecに対して2倍の周期である280μsec周期より短ければよく、制御周期と変換周期の同期が取れている必要はない。例えば、40.96μsec周期で変換して、4チャンネルで163.8μsec周期にて変換する等でよい。ADC130によるデジタルデータへの変換結果12bitは、演算器114−3へ出力され、その12bitの下位2bitを切り捨てた上位10bitが、比較器113Aへ出力され、更に、下位7bitを切り捨てた上位5bitがセレクタ110−2へ出力される。
セレクタ110−2は、実施例1に対して入出力信号の接続が異なるのみで、同様の構成であり、この出力側に、テーブルレジスタ111−4が接続されている。テーブルレジスタ111−4は、セレクタ110−1とセレクタ110−2の各々5bitの入力信号からメモリを参照して16bitのデータを選択し、選択結果を演算器114−1へ出力するものであり、このテーブルレジスタ111−4の内容が図18−1〜図18−16に示されている。
通信データ処理部109Aは、目標電圧をデジタル値として保持する機能を有し、シリアル通信手段101により受信したデータに従ってON/OFF信号S109Aを出力すると共に、目標電圧に相当する10bit値を出力するものであり、この出力側に、比較器113A、出力セレクタ124、及び演算器114−3が接続されている。通信データ処理部109Aの出力10bit値は、比較器113Aに与えられ、その下位2bitを切り捨てた上位8bitが演算器114−3に与えられる。シリアル通信手段101の内容については、実施例1と同様であり、実施例1では、目標電圧値相当の10bit値をDAC250に設定していたのに対し、本実施例2では、10bit値を前記のように直接出力していることが異なる。それ以外については、内容及びタイミングとも実施例1と同様である。
演算器114−3は、ADC130の出力12bit値と、通信データ処理部109Aから出力される目標電圧相当の10bit値のうち上位8bitとを入力し、ADC130の出力12bit値のデータを、通信データ処理部109Aから出力される8bitのデータで除算し、乗算結果の整数値を5bitでセレクタ110−1へ出力するものである。その除算は、出力セレクタ124から出力される駆動パルスS100Aの立ち上がりをトリガとして行い、出力セレクタ124からの駆動パルスS100A周期毎に値を更新し、更新以外の間は5bit値を保持する。
比較器113Aは、通信データ処理部109Aから出力されるON/OFF信号S109Aに基づき、通信データ処理部109Aの出力10bit値と、ADC130の出力10bit値とを比較し、以下の入出力の関係に従い、2bit値を演算器114−1へ出力する。
ON/OFF信号S109AがHの時:
(ADC130出力値)<(通信データ処理部109A出力値−3):00b
(通信データ処理部109A出力値−3)≦(ADC130出力値)<(通信データ処理部109A出力値):01b
(通信データ処理部109A出力値+3)<(ADC130出力値):11b
ON/OFF信号S109AがLの時:
常に:11b
高圧制御部100Aのその他の構成については、実施例1の高圧制御部100と同様である。
(実施例2の動作)
本実施例2では、図3の画像形成装置1及び図4の制御回路の動作が実施例1と同様である。以下、実施例1と異なる部分の動作を説明する。
先ず、図15及び図16示す電源装置80Aの動作を説明する。
圧電トランス高圧回路200A内の出力電圧変換手段240Aは、整流回路230から出力されたDC高電圧を分圧抵抗241,242で分圧し、この分圧した電圧を、抵抗243及びコンデンサ244からなるCRフィルタを介してリップルを所定の振幅に抑え、オペアンプ245によるボルテージフォロワを介して、出力電圧240Aを高圧制御部100A内のADC130に入力する。高圧制御部100Aは、予めシリアル通信手段101により設定された目標電圧となるように、出力ノードOUT11から出力される駆動パルスS100Aの周数数を制御して変化させ、目標電圧に到達した後、フィードバック制御により定電圧制御を行う。
次に、図17に示す高圧制御部100Aの動作を詳細に説明する。
プリンタエンジン制御部60は、シリアル通信手段61により、目標電圧のデータを高圧制御部100A内のシリアル通信手段101を介して通信データ処理部109Aへ送信する。通信データ処理部109Aは、送られてきたデータを受信し、ON/OFF信号S109Aを出力セレクタ124へ出力し、更に、目標電圧に相当する10bit値を比較器113Aへ出力すると共に、その下位2bitを切り捨てた上位8bitを演算器114−3へ出力する。
比較器113Aは、通信データ処理部109Aから出力された10bit値と、ADC130から出力された12bit値中の10bit値とを比較し、比較結果の2bit値を演算器114−1へ出力する。ON/OFF信号S109AがLの間、比較器113Aは出力2bit値を11bとするので、実施例1と同様に、分周器123に対す出力周波数の分周比が下限値で一定となる。ON/OFF信号S109AがHとなると、比較器113Aの出力2bit値は00bとなり、分周器123に対する分周比を増加させる。
ADC130は、出力電圧変換手段240Aの出力電圧S240Aを12bitのデジタル値に変換する。ADC130は、所定サイクル毎、163.8μsec周期に電圧値をデジタル値に変換し、変換周期毎に出力12bit値を更新し、更新されるまでの間は値を保持する。高圧の出力電圧が出力されていない状態では、ADC130から000hexが出力される。演算器114−3は、ADC130の出力12bit値と、通信データ処理部109Aから出力された10bit値のうちの下位2bitを切り捨てた上位8bit値とのデータ処理を行い、5bitのデータをセレクタ110−1へ出力する。
図19は、図17中の演算器114−3のデータ処理を示すフローチャートである。
図19のステップST1において、演算器114−3のデータ処理が開始されると、ステップST2において、通信データ処理部109Aの出力8bit設定値が、01hexより大きいか否かが判定され、大きければ(Y)、ステップST3へ進み、そうでなければ(N)、ステップST4へ進む。ステップST3において、ADC130の検出値が02hex以上が否かが判定され、以上であれば(Y)、ステップST5へ進み、そうでなければ(N)、ステップST6へ進む。一方、ステップST4において、ADC130の検出値12bitを設定値8bitで除算した結果の整数値(余りは切り捨て)が、20hex以上か否かが判定され、以上であれば(Y)、ステップST7へ進み、そうでなければ(N)、ステップST8へ進む。
ステップST5において、演算器114−3は、出力値5Fbitを1Fhexとして出力する。ステップST6において、演算器114−3は、入力されたADC130の検出値12bit中の下位5bitを、出力値5bitとして出力する。ステップST7において、演算器114−3は、出力値5bitを1Fhexとして出力する。又、ステップST8において、演算器114−3は、ADC130の検出値(例えば、000hex)を設定値8bitで除算した結果を出力値5bit(例えば、00hex)として出力する。その後、ステップST9において、データ処理を終了する。
以上のフローチャートにおいて、ADC130の検出周期と、演算器114−3の演算周期とは、同期が取れている必要はなく、図17のタイマ116から出力される2bitの信号周期より短い時間であればよい。演算器114−3の処理は、図19のフローチャートで説明したが、所定周期のクロックCLK周期にて処理される公知の除算回路によって演算器114−3が構成されている。
図17において、演算器114−3の出力値5bitは、セレクタ110−1へ入力される。テーブルレジスタ111−4は、図18−1〜図18−16に示されるように、セレクタ110−1の出力5bit値とセレクタ110−2の出力5bit値との組合せにて、16bit値を演算器114−1へ出力する。
その他の動作は、実施例1と同様である。なお、実施例1では、転写高圧出力をオフする直前に目標電圧設定値を000hexとして送信したが、本実施例2ではその動作を省いても問題はない。
(実施例2の変形例)
本実施例2は、次の(1)、(2)のように変形してもよい。
(1) 実施例1では、周波数と出力電圧の関係が非線形で、この特性に合わせて周波数変更幅を可変としたが、本実施例2のように、出力電圧と出力電圧変化量の関係に置き換えて制御することも可能である。
(2) 本実施例2では、演算器114−1に与える16bit値として、図18−1〜図18−16のテーブルレジスタ111−4を用いて説明したが、数式によるものとして式の係数を保持する形態に変更してもよい。
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、圧電トランス220を駆動する周波数の制御可変幅を、目標電圧との差が大きくなる程大きくし、目標電圧付近で小さくする構成にし、更に、圧電トランス220の出力電圧によって周波数可変幅を変えるようにしたので、早い立ち上がりと、オーバシュートの殆どない立ち上がりとの両立が可能となる。更に、実施例1が周波数によって可変幅を変更したことに対して、本実施例2では、出力電圧に応じて周波数可変幅を変えるようにしたので、出力負荷ZLにより出力電圧が変化する圧電トランス220において、負荷ZLが異なる条件においても、制御テーブルである同じテーブルレジスタ111−4で安定して立ち上げることが可能となる。
(その他の変形例)
本発明は、上記実施例1、2や変形例に限定されず、更に、次のような他の変形例も適用可能である。
実施例では、カラータンデム方式の画像形成装置1について説明したが、本発明は、カラーに限らずモノクロ等の画像形成装置や、複合機等の他の画像形成装置にも適用可能である。又、電源装置80,80Aは、転写用以外の他の帯電用や現像用等の高圧電源にも適用可能である。