JP5386977B2 - 金属錯体複合体を用いた燃料電池用触媒、並びに膜電極接合体、燃料電池、及び酸化還元触媒 - Google Patents

金属錯体複合体を用いた燃料電池用触媒、並びに膜電極接合体、燃料電池、及び酸化還元触媒 Download PDF

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Description

本発明は、導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなる非白金の高活性な酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池に関する。
エネルギー変換の高効率化や環境負荷低減を目的とした発電システムとして、水素やアルコールなどを電気化学的に反応させて電気エネルギーを直接得ることができる燃料電池が注目されている。この燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩形(MCFC)、リン酸形(PAFC)、固体酸化物形(SOFC)、固体高分子形(PEFC)等がある。これらの中でPEFCは、常温でも動作可能であり、小型軽量化や高出力密度の実現が可能であることから、電気自動車の駆動電源、家庭定置用コジェネレーションやポータブル機器用電源として期待されている。
電極触媒層内における電極反応は、電解質と燃料ガス、触媒層が同時に存在する三相界面において進行する。そのため、電極反応の促進を図るためには、反応ガスとイオン伝導体、電子導電体、触媒が同時に接触するような構造を作りこむ必要がある。例えば、比表面積の大きなカーボンブラックに、微粒子化、かつ、比表面積を大きくした白金や白金合金を担持させ、さらにイオン伝導性のポリマーを被覆することで、三相界面の3次元化を行うことにより、三相界面を増大させている。例えば特許文献1では、金属イオンを含む液相に担体粒子を分散させた反応系中で、前記イオンを、モル比で表して8倍以上の酢酸、又は50〜105倍の2−プロパノールで還元して、0.4〜1.5nmの微細な金属微粒子の担持体を検討している。しかし、微粒子化した白金や白金合金は表面エネルギーが非常に大きく分散不安定であるため、凝集しやすく、凝集すると三相界面が減少するため触媒活性が低下するという問題がある。また、白金は有限資源であり、極めて高価であるため、製造コストが高くなる。
白金代替として非白金金属を用いた電極触媒の開発も進められている。例えば、特許文献2では、導電性材料(担体となるカーボンなど)表面にピロール、ピリジン、アニリン、チオフェンなどの重合体を形成させ、それらとCo、Feなどの金属を錯体化させた後、高温焼成処理した触媒を検討している。熱処理により、導電性材料と金属錯体間が強密着し、電子移動を効率的にさせることが可能となるが、反応ガスやイオン導電体と接する導電性材料表面の触媒のみ活性サイトとして働き、内側に積層された触媒は活性サイトとして寄与しない。また、熱処理により、導電性物質が凝集し、微細孔が形成されると微細孔内部に反応ガスやイオン導電体が十分に拡散できず、又は、生成水の排出が困難となり十分な発電特性が得られない。
特許文献3では高温焼成を必要としないジチオオキサミド誘導体からなる配位子とCu、Feなどの金属からなる配位高分子金属錯体を検討している。しかしながら、更に優れた触媒活性や耐久性を持つ燃料電池用触媒の開発が求められている。
特開2007−254873号公報 特開2005−66592号公報 特開2007−173173号公報
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的は、導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなる非白金の高活性な酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸素から水までの4電子還元を効果的に触媒するコバルトポルフィリンの活性中心である金属−N4構造を含有する、導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理することにより、高活性の酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池として提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成よりなる。
1.導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなることを特徴とする燃料電池用触媒。
2.複素環化合物が分子内に−NH、=NH、=N−から選択される化学構造を含むことを特徴とする前記1.に記載の燃料電池用触媒。
3.複素環化合物がオキサゾール骨格、チアゾール骨格、イミダゾール骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の化学構造を含む前記1又は2.に記載の燃料電池用触媒。
4.前記導電性物質を酸化処理し、導電性物質表面に形成させた官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなることを特徴とする前記1〜3.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
5.前記導電性物質表面の官能基が酸性基であることを特徴とする前記1〜4.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
6.前記導電性物質表面の酸性基がカルボキシル基であることを特徴とする前記1〜5.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
7.前記導電性物質が炭素系担体であることを特徴とする前記1〜6.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
8.前記炭素系担体が、活性炭、熱分解炭素、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノクラスター、及びカーボンナノホーンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記1〜7.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
9.前記導電性物質のBET比表面積が200〜2000m/gであることを特徴とする前記1〜8.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
10.金属が遷移金属であることを特徴とする前記1〜9.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
11.金属が、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ruからなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属である前記1〜10.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
12.ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、アルゴン、窒素、アンモニア、アセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の雰囲気で、300〜1200℃で熱処理してなることを特徴とする前記1〜11.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
13.マイクロ波を照射し、熱処理することを特徴とする前記1〜11.のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
14.前記燃料電池用触媒において、イオン伝導性のポリマーで被覆されることを特徴とする前記1〜13.のいずれかに記載のポリマー被覆燃料電池用触媒。
15.前記燃料電池用触媒を用いたことを特徴とする前記1〜14.のいずれかに記載の膜電極接合体。
16.前記膜電極接合体を用いたことを特徴とする前記15.に記載の燃料電池。
17.前記1〜13.のいずれかに記載の燃料電池用触媒を用いたことを特徴とする酸化還元触媒。
本発明によると、酸素から水までの4電子還元を効果的に触媒するコバルトポルフィリンが熱処理により活性が向上すること(非特許文献1)に鑑みてなされた、コバルトポルフィリンの活性中心である金属−N4構造を含有する導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなる、高活性の酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池を提供することができる。
高分子論文集,63(3),182−188,2006
本発明によると、複素環化合物と、金属からなる金属錯体が導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体は、導電性物質−複素環化合物−金属という形で安定に結合し、電子を共有しているため、電子移動を効率的にさせることが可能である。そのため、導電性に優れた前記金属錯体複合体を熱処理することにより、さらに導電性や耐久性を向上させることが可能となる。
本発明によると、前記金属錯体複合体は導電性物質表面に金属錯体が化学結合するため、導電性物質表面上の活性サイトを有効に活用することができる。さらに、熱処理による導電性物質同士の凝集を抑制し、微細孔の形成を抑制する。これにより、燃料電池用触媒とイオン導電性ポリマーが効率よく近接でき、触媒利用効率が増加する。また、微細孔内部表面が反応場全体に占める割合が低くなると燃料ガスの拡散、及び/又は、反応生成水の排出が容易になる。よって、導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理することにより非白金の高活性な酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における燃料電池用触媒は、導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなることを特徴とする。
本発明において、金属錯体複合体は、格別の制限はないが、導電性物質を酸化処理して、表面に官能基を形成させ、当該官能基と複素環化合物を化学結合させた後、金属溶液を加えることで調製することができる。また、導電性物質の官能基と複素環化合物を化学結合させた後、塩基を加えて脱プロトン処理をした後、金属溶液を加えても構わない。
導電性物質の酸化処理方法は、格別の制限はないが、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などの酸化剤による湿式酸化やオゾン、窒素酸化物、空気、酸素などによる気相酸化、低温プラズマによる酸化処理、過酸化水素水による湿式酸化処理等が挙げられるが、好ましくは塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などの酸化剤による湿式酸化である。気相酸化や低温プラズマによる酸化処理、過酸化水素水による湿式酸化処理はチャネリング現象などにより均一に酸化処理することが難しく、更にヒドロキシル基の生成が多くなり、カルボキシル基の生成量が少なくなる。
導電性物質の酸化処理により、表面に付加される酸性基として、格別の制限はないが、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホン基等が挙げられるが、複素環化合物と化学結合させることを考慮すると、好ましくはカルボキシル基である。
本発明において、複素環化合物は金属イオンと金属−N4構造を形成できるものであれば格別の制限はないが、好ましくは分子内に−NH、=NH、=N−から選択される化学構造を含む複素環化合物である。これは、酸素から水までの4電子還元を効果的に触媒するコバルトポルフィリンが活性中心として金属−N4構造を有した平面構造の配位子を持つことに鑑みてなされたものである。
分子内に−NH、=NH、及び/又は=N−を含む複素環化合物として、格別の制限はないが、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ビスベンゾオキサゾール、メチルベンゾオキサゾール、ヒドロキシベンゾオキサゾール、アミノベンゾオキサゾール、メチルビスベンゾオキサゾール、ヒドロキシビスベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ヒドロキシベンゾチアゾール、メチルベンゾチアゾール、アミノベンゾチアゾール、ビスベンゾチアゾール、ヒドロキシビスベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、メチルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾイミダゾール、ビスベンゾイミダゾール、メチルビスベンゾイミダゾール、フェニルビスベンゾイミダゾール等が挙げられる。
導電性物質として、優れた電子伝導性を有し、かつ、酸化処理によりカルボキシル基を付加できる物質であれば特に制限はないが、好ましくは炭素系担体、より好ましくは活性炭、熱分解炭素、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノクラスター、及びカーボンナノホーンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、特に好ましくはカーボンファイバー、カーボンブラックよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
比表面積は、常法に従い、窒素吸着等温線(液体窒素温度における吸着等温線)から算出されたものであり、BET法により算出した。
本発明における導電性担体のBET比表面積は200〜2000m/gであり、好ましくは250〜1800m/g、より好ましくは500〜1500m/gである。本発明では、比表面積が高く、かつ、導電性が優れた担持体を用いることで、金属錯体複合体のπ電子系との相互作用が増幅され、電子移動を更に向上させることができるため、高活性の酸化還元触媒、特に、燃料電池において優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、又は、前記燃料電池用触媒をイオン伝導性のポリマーで被覆したポリマー被覆燃料電池用触媒、並びにこれら燃料電池用触媒を用いた膜電極接合体、及び燃料電池を提供することができる。BET比表面積200m/g未満では、導電性物質表面に形成される凹凸、微細孔による炭素網面の欠陥、エッジ部分の量が不十分であり、優れた発電特性が発現しない。逆に、2000m/gを超えると微細孔が形成され、その微細孔内部表面が反応場全体に占める割合が高くなるため、酸素の拡散等の物質移動が律速、及び/又は、反応生成水の排出が困難となり、発電特性は劣化してしまう可能性がある。
金属は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遷移金属から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。これら金属が酸化還元の活性サイトと考えられるため、酸性下における酸素還元の理論電位値と金属のレドックス準位値とが近いものが好ましい点を考慮すると、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ruが好ましい。また、金属は1種類の金属から構成されていても良いし、2種類以上の金属の混合状態から構成されていても構わない。
本発明における金属溶液としては、金属の塩、例えば、酢酸塩、アセチルアセトン塩、カルボニル塩、シュウ酸塩、炭酸塩、シクロオクタジエン塩、アセトニトリル塩といった有機塩型のものや、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩といったハロゲン塩型のものや、硫酸塩、硝酸塩、アンモニア塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート塩などといった無機塩型のもの、好ましくは、シュウ酸塩、酢酸塩、アセチルアセトン塩、硝酸塩、硫酸塩を溶媒に溶解させることにより得ることができる。溶媒は、金属の塩を溶解できるものであれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、2−プロパノールといったアルコール類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドといったアミド系溶媒、さらにはアセトニトリル、水等の溶媒が挙げられ、又、単一でも良いし、混合溶媒でも構わない。
本発明における塩基として、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。
上記工程を行う際のガス雰囲気下は、大気中、酸素中、不活性ガス中のいずれでも可能であり、その選択は、配位高分子金属錯体の金属の目的の酸化数による。用いる金属において、低酸化状態の価数を増やしたい場合は、不活性ガス中下で行うことが好ましく、逆に、高酸化状態の価数を増やしたい場合は、大気中、酸素中下で行うことが好ましい。
本発明における導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体としては下記(化1)、(化2)のものが挙げられる。
Figure 0005386977
Figure 0005386977
上記式(化1)、(化2)におけるYは、導電性物質表面の官能基との結合部位であり、当該導電性物質表面に化学結合した複素環化合物は任意の割合で含まれていても構わない。
上記式(化1)、(化2)におけるMは、金属であり、当該複素環化合物と錯体を形成する金属は1種類の金属から構成されていても良いし、2種類以上の金属の混合状態から構成されていても構わない。
本発明の燃料電池用触媒は、格別の制限はないが、例えば、前記金属錯体複合体を熱処理することにより調製できる。
本発明における熱処理は、格別の制限はないが、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、アルゴン、窒素、アンモニア、アセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の雰囲気で、300〜1200℃、好ましくは400〜900℃、より好ましくは500〜700℃で30分〜4時間、好ましくは1〜3時間、より好ましくは1〜2時間行う。本発明では、熱処理を行うことにより導電性や耐久性を向上させ、高活性の酸化還元触媒、特に、優れた発電特性を示す燃料電池用触媒、並びにこの燃料電池用触媒を用いた燃料電池用電極、及び燃料電池を提供することができる。熱処理温度が300℃より低い場合や30分より短時間の場合は、導電性や耐久性の向上が不十分であり、1200℃より高い場合や4時間より長時間の場合は、触媒の熱分解が起こる。
本発明における熱処理は、格別の制限はないが、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、アルゴン、窒素、アンモニア、アセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の雰囲気、又は、減圧条件下で、マイクロ波を照射し、熱処理してもよい。マイクロ波を用いることにより、前記炭素系担体が加熱され、炭素系担体が配位高分子金属錯体を内部から加熱するため、配位高分子金属錯体を高速加熱することができる。使用するマイクロ波の波長は0.1〜100cmの範囲が好ましく、周波数は300MHz〜30GHzの範囲が好ましい。また、照射条件として、格別の制限はないが、アーキングの発生を抑えるために、28GHz等の高周波で、1分〜3時間照射することが好ましい。
本発明のポリマー被覆燃料電池用触媒は、格別の制限はないが、前記手法により調製した燃料電池用触媒に少量の超純水及びイソプロパノールとナフィオン(登録商標)などのイオン伝導性ポリマー溶液を加え、均一になるまで攪拌することで調製することができる。
本発明におけるイオン伝導性ポリマーとしては、良好なイオン伝導性を示すポリマーであれば特に限定されないが、好ましくはフッ素樹脂、又は炭化水素樹脂、さらに好ましくはスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体である。
本発明の膜電極接合体は、前記手法により調製した燃料電池用触媒、または、ポリマー被覆燃料電池用触媒ペーストをカーボンペーパーに金属付着量が0.01〜0.2mg/cmになるように、より好ましくは0.05〜0.1mg/cmになるように、アプリケーターを用いて均一に塗布、乾燥してカソード用のガス拡散層を作製し、同様の手法で、白金触媒を担持したアノード用の触媒層付ガス拡散層を作製し、前記2種類の触媒層付ガス拡散層の間に、触媒層がプロトン交換膜に接するようにプロトン交換膜を挟み、ホットプレス機により作製することができる。
本発明の燃料電池は、前記の膜電極接合体を燃料電池セルに組み込んで、アノード側には水素ガスを、カソード側には酸素を供給することにより作製できる。
以下に実例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
(比表面積)
金属錯体複合体の比表面積はASAP2010(micromeritics社)を用い、BET法により算出した。液体窒素温度(77K)における窒素吸着等温線の測定結果から下式(1)、(2)により単分子層吸着量を算出し、窒素の分子占有面積(0.162nm)より比表面積を算出するBET多点法により実施した。
Figure 0005386977
Figure 0005386977
ここで各記号の意味は、p:平衡圧、p:飽和蒸気圧、v:平衡圧pにおける吸着量、v:単分子層吸着量、C:固体表面と吸着質との相互作用の大きさに関する定数(BET定数)、S:比表面積、およびσ:窒素単分子占有面積である。
(発電特性)
デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液に、調製した燃料電池用触媒と少量の超純水及びイソプロパノールを加え、均一になるまで攪拌し、ポリマー被覆燃料電池用触媒ペーストを調製した。このポリマー被覆燃料電池用触媒ペーストを、別途疎水化した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に金属付着量が0.1mg/cmになるようにアプリケーターを用いて均一に塗布、乾燥して、カソード用の触媒層付ガス拡散層を作製した。同様の手法で、市販の40%白金触媒担持カーボンを用いて、別途疎水化した前記カーボンペーパー上に電極触媒層を形成することで、アノード用の触媒層付ガス拡散層を作製した(0.4mg−白金/cm)。前記2種類の触媒層付ガス拡散層の間に、触媒層がプロトン交換膜に接するように膜を挟み、ホットプレス機により180℃、3分間加熱することで膜電極接合体(以下MEAと略記する場合もある)を作製した。このMEAを用い、評価用燃料電池セルに組み込んで、アノード側には水素ガスを、カソード側には酸素を供給し、セル温度80℃、常圧、水素利用率を70%、酸素利用率を40%とし、ガス加湿は水素及び酸素を85℃のバブラーを通して行い、電流−電圧特性試験を実施した。
(導電性物質の湿式酸化処理)
導電性物質として、優れた電子伝導性を有し、かつ、酸化処理によりカルボキシル基を付加できる物質であれば特に制限はないが、炭素系担体10gに過硫酸ナトリウム50gを溶解した水溶液350mlを加え、60℃で10時間撹拌した。この酸化反応液から限外濾過膜(旭化成社製AHP−1010、分画分子量50000)により反応液中に残存する塩を分離したのち、濃縮精製した。次いで、真空乾燥機にて110℃で乾燥後、ミキサーで粉砕して、酸化処理した炭素系担体を得た。
(実施例1)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンブラック0.8gとo−フェニレンジアミン0.48gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、硝酸コバルト(II)六水和物0.65gを溶解したメタノール溶液5mlを滴下して、還流反応を1時間行った後、放冷し、ベンゾイミダゾール金属錯体がカーボンブラック表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をメタノールで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体を窒素雰囲気、5℃/分で550℃まで加熱し、550℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンファイバー(平均直径:100nm)0.8gと2−アミノ−p−クレゾール塩酸塩0.71gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末に水20mlを加え、しばらく撹拌した後、酢酸コバルト(II)四水和物0.47gを溶解した水溶液5mlを滴下した。その後、酢酸マンガン(II)四水和物0.27gを溶解した水溶液5mlを滴下し、還流反応を6時間行った後、放冷し、メチルベンゾオキサゾール金属錯体がカーボンファイバー表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体を水で十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
予め乳鉢で粉砕した上記金属錯体複合体を減圧条件下で28GHzのマイクロ波を1時間照射して熱処理し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンナノホーン(管状部直径:約2〜3nm、管状部長さ:30nm)0.8gと2−ヒドロキシ−4−メトキシアニリン塩酸塩0.78gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、酢酸銅(II)一水和物0.44gを溶解したメタノール溶液5mlを滴下して、還流反応を3時間行った後、放冷し、メトキシベンゾオキサゾール金属錯体がカーボンナノホーン表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をメタノールで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体をアンモニア雰囲気、5℃/分で700℃まで加熱し、700℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンナノチューブ(平均直径:75nm)0.8gと2−アミノベンゼンチオール0.56gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末に炭酸ナトリウム0.47gと水20mlを加え、しばらく撹拌した後、塩化鉄(III)六水和物0.60gを溶解した水溶液5mlを滴下して、還流反応を1時間行った。その後、放冷し、ベンゾチアゾール金属錯体がカーボンナノチューブ表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をメタノールで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体をアンモニア雰囲気、5℃/分で600℃まで加熱し、600℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例5)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンブラック0.8gと1−アミノ−2−ナフトール塩酸塩0.87gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、酢酸コバルト(II)四水和物0.28gを溶解したメタノール溶液5mlを滴下した。その後、酢酸ニッケル(II)四水和物0.28gを溶解した水溶液5mlを滴下し、還流反応を6時間行った後、放冷し、ナフトオキサゾール金属錯体がカーボンブラック表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体を水で十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体をアルゴン雰囲気、5℃/分で700℃まで加熱し、700℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例6)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンブラック0.8gと1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩1.26gを加え、60℃で30分間撹拌した。次に、安息香酸0.54gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、硝酸コバルト(II)六水和物2.60gを溶解したメタノール溶液5mlを滴下して、還流反応を2時間行った後、放冷し、p−フェニルビスベンゾイミダゾール金属錯体がカーボンブラック表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をメタノールで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体を窒素雰囲気、5℃/分で650℃まで加熱し、650℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例7)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンブラック0.8gと2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール 二塩酸塩1.09gを加え、60℃で30分間撹拌した。次に、安息香酸0.54gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にN,N−ジメチルホルムアミド20mlを加え、しばらく撹拌した後、水素化ナトリウム0.21gを加えた。次に、銅(II)アセチルアセトナート2.32gを溶解したN,N−ジメチルホルムアミド溶液10mlを滴下して、還流反応を1時間行った後、放冷し、p−フェニルビスベンゾチアゾール金属錯体がカーボンブラック表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をN,N−ジメチルホルムアミドで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体をアンモニア雰囲気、5℃/分で600℃まで加熱し、600℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例8)
116%のポリリン酸30.00gにアルゴン雰囲気下、前記手法で酸化処理を行ったカーボンブラック0.8gと2−メチル−4,6−ジアミノレゾルシン 二塩酸塩1.01gを加え、60℃で30分間撹拌した。次に、安息香酸0.54gを加え、60℃で30分間撹拌した。さらに100℃まで昇温させ、21時間撹拌した。この反応液を水1L中へ再沈して、粉末を吸引ろ過より取り出した。当該粉末を水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。
乳鉢で粉砕した上記粉末にメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、水素化ナトリウム0.21gを加えた。次に、酢酸ニッケル(II)四水和物2.21gを溶解したメタノール溶液10mlを滴下して、還流反応を1時間行った後、放冷し、p−フェニルビスベンゾオキサゾール金属錯体がカーボンブラック表面に化学結合した金属錯体複合体を吸引ろ過より取り出した。当該金属錯体複合体をメタノールで十分に洗浄した後、真空乾燥し、ミキサーで粉砕した。
上記金属錯体複合体を窒素雰囲気、5℃/分で650℃まで加熱し、650℃で2時間熱処理した。その後、室温まで放冷し、燃料電池用触媒を得た。これを乳鉢で粉砕した後、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
アルゴン雰囲気下で、インドール0.80gにメタノール5mlを加え、しばらく撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウム0.28gと水酸化ナトリウム0.30gを加え、硝酸コバルト(II)六水和物0.50gを溶解したメタノール溶液2mlを滴下して、還流反応を1日間行った。放冷した後、粉末を吸引ろ過より取り出し、メタノールで十分に洗浄した後、60℃で真空乾燥してインドール金属錯体を得た。
得られたインドール金属錯体を、導電性物質として用いるカーボンブラックの水溶液に含浸させ、ろ過、水洗を行い、100℃で乾燥させ、酸化還元触媒を調製した。これを用い、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
アルゴン雰囲気下で、ベンゾオキサゾール0.8gにメタノール20mlを加え、しばらく撹拌した後、水素化ナトリウム0.16gを加えた。次に、酢酸ニッケル(II)四水和物1.67gを溶解したメタノール溶液10mlを滴下して、還流反応を1時間行った。その後、放冷し、ベンゾオキサゾール金属錯体を吸引ろ過より取り出した。
得られたベンゾオキサゾール金属錯体を、導電性物質として用いるカーボンブラックの水溶液に含浸させ、ろ過、水洗を行い、100℃で乾燥させ、酸化還元触媒を調製した。これを用い、前記手法によりMEAを作製し、発電特性を評価した。その結果を表1に示す。
表1に示す結果の通り、本発明の熱処理した金属錯体複合体は、燃料電池用電極触媒として用いることにより、優れた発電特性を示した。
Figure 0005386977
本発明の導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理した燃料電池用触媒は、燃料電池において優れた発電特性を示し、膜電極接合体、及び燃料電池、並びに高活性の酸化還元触媒として好適に使用できる。

Claims (17)

  1. 導電性物質表面の官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなることを特徴とする燃料電池用触媒。
  2. 複素環化合物が分子内に−NH、=NH、=N−から選択される化学構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用触媒。
  3. 複素環化合物がオキサゾール骨格、チアゾール骨格、イミダゾール骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の化学構造を含む請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒。
  4. 前記導電性物質を酸化処理し、導電性物質表面に形成させた官能基と化学結合した複素環化合物と、金属からなる金属錯体複合体を熱処理してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  5. 前記導電性物質表面の官能基が酸性基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  6. 前記導電性物質表面の酸性基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  7. 前記導電性物質が炭素系担体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  8. 前記炭素系担体が、活性炭、熱分解炭素、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノクラスター、及びカーボンナノホーンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  9. 前記導電性物質のBET比表面積が200〜2000m/gであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  10. 金属が遷移金属であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  11. 金属が、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ruからなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属である請求項1〜10のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  12. ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、アルゴン、窒素、アンモニア、アセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の雰囲気で、300〜1200℃で熱処理してなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  13. マイクロ波を照射し、熱処理することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池用触媒。
  14. 前記燃料電池用触媒において、イオン伝導性のポリマーで被覆されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポリマー被覆燃料電池用触媒。
  15. 前記燃料電池用触媒を用いたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の膜電極接合体。
  16. 前記膜電極接合体を用いたことを特徴とする請求項15に記載の燃料電池。
  17. 請求項1〜13のいずれかに記載の燃料電池用触媒を用いたことを特徴とする酸化還元触媒。
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