JP5820408B2 - 含窒素カーボンアロイとその製造方法、カーボンアロイ触媒および燃料電池 - Google Patents
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Description
そのため、白金を大幅に低減した触媒や、白金を使用することなく形成された触媒の技術開発が進められている。例えば、樹脂等の前駆体に、コバルトフタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属錯体を混合して重合した重合物を焼成して得たカーボンアロイを用いた触媒が提案されている。
特許文献1には、シアノ基を有する含窒素結晶性有機化合物と、無機金属塩としての塩化コバルトや塩化鉄とを含む前駆体を焼成して得たカーボンアロイを、燃料電池用非白金触媒に用いることについて記載がある。この文献では、含窒素結晶性有機化合物との和を100質量部としたとき、無機金属および無機金属塩から選択される少なくとも1つの範囲が0.001〜45質量部と記載されている。
特許文献2には、スクロースと、転移金属前駆体とシリカ粒子とを含む前駆体を焼成して得られた燃料電池用触媒用炭素に関する記載がある。この文献における転移金属前駆体の添加量はスクロース1モルに対して0.3〜3モル比、シリカ粒子の添加量はスクロース1モルに対して0.25〜2モル比と記載されており、例えばシリカ粒子とスクロースとの和を100質量部とするとシリカ粒子が30〜81質量部と換算される。
非特許文献2〜5には、含窒素有機化合物と塩化亜鉛とを含む前駆体を焼成して得られた燃料電池触媒用多孔性炭素に関する製造方法が記載されている。
非特許文献6には、含窒素有機化合物の塩と塩化鉄とを含む前駆体を焼成する方法が記載されている。しかしながら、燃料電池用非白金触媒に関する記載はなされていなかった。
特許文献3には、4−フタルイミドなどのニトロ含有、アミノ含有芳香族化合物の少なくとも1種、及び遷移金属塩の少なくとも1種を含む混合物を、実質的な不活性雰囲気下にて熱分解して、金属含有ポリマーを形成する工程と、前記金属含有ポリマーを窒素含有活性剤の存在下で加熱することによって活性化して、金属含有燃料電池カソード触媒を形成する工程とからなる、燃料電池カソード触媒の製造方法が記載されている。
特許文献1に記載のカーボンアロイは、添加する金属塩の量が少なく、生成した金属の酸洗浄除去による比表面積増加が少なく、触媒活性が低いため、触媒活性向上の点で改善が求められることがわかった。
特許文献2に記載の燃料電池用触媒は、含窒素有機化合物を用いていないため、触媒活性に不満が残るものであることがわかった。
非特許文献2〜5に記載のカーボンアロイは、多孔質炭素を生成するが触媒活性として満足する性能を持ち合わせていないことが分かった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、用いている塩化亜鉛が昇温時、275℃で溶融塩となるため、含窒素有機化合物が塩化亜鉛に配位した際極めて比表面積が小さく触媒活性部位を形成できない。または、塩化亜鉛は1000℃以下で熱分解によりZnを生成させることができず、含窒素有機化合物が触媒活性部位を形成することができないためと予想される。
非特許文献6に記載の方法では、添加する塩化鉄の量が少ないため、多孔質炭素を得ることができず、触媒活性が向上しないことがわかった。
特許文献3に記載の燃料電池カソード触媒は、触媒活性を満足するものではなく改善が求められることがわかった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、特許文献3では、4−フタルイミドなどのニトロ含有、アミノ含有芳香族化合物を用いている。昇温過程でニトロ基は脱離揮散してしまいグラファイトに窒素が導入されず、アミノ基はニトリル基と反応して、金属−ニトリル基の配位による触媒活性部位の形成ができず、4−フタルイミドは安定であり、開環できないため、金属に配位してグラファイトに窒素が導入されず、良好な含窒素カーボンアロイが形成できなかったためと予想される。
以上の結果、本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題は以下の手段により解決することができる。
前記含窒素有機化合物が下記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
一般式(2)
*−CN
[2] [1]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記β−ジケトン金属錯体が、下記一般式(6)で表されることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記β−ジケトン金属錯体がアセチルアセトン鉄(II)、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記無機金属塩がハロゲン化物であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記無機金属塩の金属種が、FeまたはCoであることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記一般式(1)中、Qが、5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記Qが、ベンゼン環またはピリジン環、またはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記含窒素有機化合物が、一般式(7)または(8)あるいはそれらの2量体以上の多量体で表わされる化合物であることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程が含まれることが好ましい。
[10] [9]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程が含まれることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記前駆体がさらに導電助剤を含むことが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法で製造されたことを特徴とする含窒素カーボンアロイ。
[13] [12]に記載の含窒素カーボンアロイは、Brunauer−Emmett−Teller法による比表面積が670m2/g以上であることが好ましい。
[14] [12]または[13]に記載の含窒素カーボンアロイを含有するカーボンアロイ触媒。
[15] [14]に記載のカーボンアロイ触媒において、前記含窒素カーボンアロイの乾燥後の塗布量が0.05mg/cm2以上であることが好ましい。
[16] [14]または[15]に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする膜/電極接合体。
[17] [14]または[15]に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする燃料電池。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を含む前駆体を焼成する工程を含み、前記含窒素有機化合物が前記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であることを特徴とする。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、本発明の製造方法により得られる含窒素カーボンアロイは、無機金属塩の加熱分解により新たに生成したナノ金属クラスターを鋳型に、含窒素有機化合物がナノ金属クラスター表面で炭素化し、空隙が生成されたものである。このため、ナノ金属クラスターを酸洗浄で除去することにより、含窒素カーボンアロイの比表面積を大きくすることができる。
本発明の製造方法では、含窒素カーボンアロイを生成する際に無機金属塩が熱分解してナノ金属微粒子が生成し、この金属と含窒素有機化合物とが相互作用するとともに、触媒活性サイトが形成される。そのため、極めて官能基密度が高くなり、比表面積が大きくなることにより、触媒活性サイト数が飛躍的に増加し、電流密度(ORR活性)が向上していると考えられる。
1)含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を混合して前駆体を調製する工程、
2)不活性雰囲気下で室温から炭素化温度まで毎分1℃以上1000℃以下で昇温する昇温工程、
3)500℃〜1000℃まで、0.1〜100時間保持する炭素化工程、
4)炭素化温度から室温まで冷却する冷却工程を含んでいることが好ましい。
5)炭素化処理後に、カーボンアロイを室温まで冷却した後、粉砕処理を行ってもよい。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は前記焼成工程の後に、
6)焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する工程を含むことが好ましい。
7)前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことがより好ましい。
以下、本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法について、以上の工程を順に説明する。
前記含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を混合して前駆体を調製する工程に用いられる、前駆体の成分について説明する。
前記前駆体の調製には、前記含窒素有機化合物が用いられる。
前記含窒素有機化合物は、前記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物である。
*−CN
分子内に前記一般式(2)〜(5)で表される構造の少なくとも1つを有することで、焼成して得られる含窒素カーボンアロイにおいて、C、N、金属からなる高酸素還元活性を有する活性点が生成すると考えられる。
本発明では、前記一般式(1)中、Qは、5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
さらに前記一般式(1)中、Qは、芳香族環または芳香族ヘテロ環であることが好ましい。不飽和結合が存在することで、後述する各種の相互作用によりカーボンアロイ骨格を形成しやすくなる。
R51〜R56の表す置換基として好ましいものは、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子など)およびヘテロアリール基(ピリジル基など)である。その中でも、R51〜R56の表す置換基としてハロゲン原子およびヘテロアリール基が好ましく、塩素原子およびピリジル基がより好ましい。なお、複素環の中で、ヘテロ環内に窒素が含まれることが好ましく、これにより、含窒素有機化合物の結晶構造に由来したエッジ部に規則正しく窒素が配列するため遊離した金属イオンが配位することができる。
*−CN
その中でも、前記R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
前記R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
前記R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、互いに結合して環を形成してもよい。R7およびR8が互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環、ピロリドン環等が挙げられる。好ましくは、ピロリドン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、であり、より好ましくはピロール環またはピロリドン環である。
なお、前記一般式(4)で表される構造を含む前記一般式(1)で表される化合物としては、特開2011−225431号公報中において一般式(1)で表されている化合物を挙げることができる。
但し、前記一般式(7)または(8)で表される化合物は、シアノ基以外の置換基を有していてもよいが、シアノ基のみを有することが好ましい。
ここで言う結晶構造とは結晶中の分子の配列様式・配置様式のことをいう。言い換えると、結晶構造は単位格子の繰り返し構造からなり、分子はこの単位胞内の任意の部位に配置して、配向をしている。また、結晶中、分子は均一な様体をなしている。すなわち、結晶中の官能基の配置が均一であるため、分子の各相互作用は、単位胞内もしくは単位胞外で同一である。たとえば、積層構造を有する含窒素有機化合物の場合、芳香環、複素環、縮合多環、縮合複素多環、不飽和基(C≡N基、ビニル基、アリル基、アセチレン基)等は相互作用(例えば芳香環はface−to−faceでπ−π相互作用(π−πスタック))が生じる。これらの環や基における不飽和結合由来の炭素のSP2軌道もしくはSP軌道が分子間で規則正しく等間隔で重なることで積層し、積層カラム構造を形成する。
また、前記含窒素有機化合物は低分子化合物でありながら結晶性を有し、熱に対してフォノン(量子化された格子振動)により振動緩和され耐熱性を有することが好ましい。そのため分解温度が炭素化温度まで保持され、分解物の気化が低減されて炭素化され、カーボンアロイ骨格が形成される。
ここで、ΔTGは前記含窒素有機化合物および前記無機金属塩との混合物のTG−DTA測定において、窒素を毎分100mL流通下、30℃から1000℃まで毎分10℃で昇温した際、室温(30℃)における質量を基準にした400℃での質量減少率を指す。
顔料は分子間でπ−π相互作用により、積層カラム構造を形成し、積層カラム間を水素結合又はファンデルワールス相互作用により、分子間距離が規定された均一な構造を有するため、結晶内の熱伝達が容易に達成される効果を有する。また、低分子化合物でありながら結晶性を有し、熱に対してフォノン(量子化された格子振動)により振動緩和され耐熱性を有する。そのため分解温度が炭素化温度まで保持され、分解物の気化が低減されて炭素化が達成される効果を有する。
なかでも、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、オキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料、また染料を金属イオンで顔料化したレーキ顔料等の顔料が好ましく、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料(後述)がより好ましい。これらの顔料を焼成すると分解生成するベンゾニトリル(Ph−CN)骨格が反応活性種となり、より高い酸素還元反応活性を有するカーボンアロイ触媒が生成するからである。また金属種(M)が共存することによりPh−CN…Mの錯体を形成し、更に高酸素還元反応活性なカーボンアロイが生成する。
前記前駆体の調製には、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩が用いられ、前記前駆体には前記前駆体中に含まれる前記含窒素有機化合物と前記無機金属塩の合計(但し、合計には水和水の質量を含める)に対して、前記無機金属塩(但し、ここでいう無機金属塩には水和水の質量を含める)は、45質量%を超えて含まれることが好ましい。これにより、窒素原子との相互作用によって、より高い酸素還元活性を有するカーボンアロイが生成し得る。含窒素有機化合物を含む有機材料を焼成することにより、含窒素有機化合物が分解し、生成した分解生成物が気相中で含窒素カーボンアロイ触媒が形成される。その際に、気相中に金属が近傍に存在すると、分解生成物は金属と相互作用(錯体を形成)し、含窒素カーボンアロイ触媒の性能が更に向上する。また、窒素原子(N)を構成元素として含む含窒素有機化合物に添加されている特定の遷移金属化合物の触媒作用等により、窒素原子(N)が炭素触媒表面に高濃度に固定化された含窒素カーボンアロイを形成し、この窒素原子(N)と相互作用した遷移金属化合物を含んだ炭素微粒子が形成されることが好ましい。なお、後述する酸処理によって一部の窒素原子(N)と相互作用した遷移金属化合物が脱落してもよい。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記無機金属塩がハロゲン化物であることが好ましい。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記前駆体はβ−ジケトン金属錯体を含む。前記前駆体にβ−ジケトン金属錯体を添加することにより、高いORR活性が得られることに加えて、高反応電子数を示すカーボンアロイ触媒を得ることができる。
前記β−ジケトン金属錯体としては、基礎錯体工学研究会編、錯体化学−基礎と最新の話題−、講談社サイエンティフィク(1994)に記載されている化合物を例示することができ、具体的には金属イオンに配位子が配位した化合物を好ましく例示することができる。なお、β−ジケトン金属錯体は、多様な配位子の配位数をとることができ、配位幾何異性体でもよいし、金属イオンの価数が異なってもよい。また、β−ジケトン金属錯体は、金属−炭素結合を有する有機金属化合物でもよい。
軸配位しても良い溶媒として、ピリジン、アセトニトリル、アルコール等が例示されるが、軸配位するものであればどの様なものでも良い。
前記配位子として好ましいものは、単座配位子(ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジン(py)、トリフェニルホスフィン、カルボン酸等)、二座配位子(エチレンジアミン(en)、β‐ジケトナート(アセチルアセトナート(acac)、ピバロイルメタン(DPM)、ジイソブトキシメタン(DIBM)、イソブトキシピバロイルメタン(IBPM)、テトラメチルオクタジオン(TMOD))、トリフルオロアセチルアセトナート(TFA)、ビピリジン(bpy)、フェナントレン(phen)等)、多座配位子(エチレンジアミンテトラ酢酸イオン(edta))等)である。
本発明では、前駆体に導電助剤を添加して焼成しても良いし、カーボンアロイに添加してもよい。導電性助剤が均一に分散されるため好ましくは導電助剤を添加して焼成する方が好ましい。
本発明の製造方法は、含窒素有機化合物とFe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩とを含む前駆体を炭素化温度まで加熱処理することが好ましい。
炭素化処理の焼成温度は、含窒素有機化合物が熱分解及び炭素化する温度であれば特に制限されないが、炭素化温度の上限は1000℃である必要がある。炭素化温度が1000℃を超える場合には、炭素骨格中に窒素が残留し難いため、N/C原子比が低下し、酸素還元反応活性が低くなる傾向にある。更に、炭化物の収率が著しく低減し、炭化物が収率よく製造できない場合がある。
反応温度の下限は400℃であることが好ましく、500℃であることがより好ましく、600℃であることが更に好ましい。反応温度を400℃以上にすることによって、十分に炭化が進んで高い触媒性能を有するカーボンアロイが得られる。また、反応温度が1000℃以下であれば炭素骨格中に窒素が残留し、所望のN/C原子比とすることでき、十分な酸素還元反応活性が得られる。
本発明の製造方法が後述する再焼成工程を含む場合、再焼成工程をはじめの炭素化処理を行う温度よりも高温で行う観点から、炭素化処理の焼成温度は、400〜900℃であることが好ましく、500〜850℃であることがより好ましく、600〜800℃の範囲であることが更に好ましい。
続いて、第二段階の処理を行うことで、有機材料の分解反応と炭素化反応を連続して行うことができるばかりでなく、分解生成物と金属とが相互作用して、金属を、より活性が高い状態で安定化することができる。例えば鉄イオンを、2価の状態で含むものとすることができる。その結果、高い酸素還元性能を有するカーボンアロイを製造することができる。
より具体的には、昇温速度は毎分2℃以上1000℃以下で昇温することが好ましく、毎分5℃以上500℃以下で昇温することがより好ましい。
第二段階の昇温処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、流通系とする場合には、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分のガスを流通させることが好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.05〜1.0リットル/分のガスを流通させることがより好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.1〜0.5リットル/分のガスを流通させることが特に好ましい。
なお、第二段階のガス流量は、第一段階でのガス流量と異なっていても良い。
また、炭素化処理後に、カーボンアロイを室温まで冷却した後、粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理は当業者に公知のいずれの方法でも行うことができ、例えば、ボールミル、機械粉砕等を用いて粉砕することができる。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程を含むことが好ましい。生成したカーボンアロイ触媒の表面上の金属を酸洗浄することにより、ORR活性を飛躍的に向上させることができる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、この酸洗浄処理により、最適な多孔性を有する多孔性含窒素カーボンアロイを得ることができるためと予想される。
酸洗浄処理としては、強酸又は弱酸を含む、任意の水性ブロンステッド(プロトン)酸を酸洗浄工程内で用いることができる。更に、無機酸(鉱酸)又は有機酸を用いることができる。好適な酸の例としては、HCI、HBr、HI、H2SO4、H2SO3、HNO3、HClO4、[HSO4]-、[HSO3]-、[H3O]+、H2[C2O4]、HCO2H、HCIO3、HBrO3、HBrO4、HIO3、HIO4、FSO3H、CF3SO3H、CF3CO2H、CH3CO2H、B(OH)3、など(これらの任意の組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
また、特表2010−524195号公報に記載の方法を本発明でも用いることができる。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことが好ましい。このような再焼成工程により、含窒素カーボンアロイを電極に塗布したときの塗布量の増加に伴って電流密度を向上させることができ、ORR活性を向上させることができる。なお、酸処理工程を経ていない従来のカーボンアロイ(例えば、特開2011−225431号公報に記載のカーボンアロイの700℃焼成品)は、塗布量を増加しても、あまり電流密度に向上が見られない。
再焼成工程をはじめの炭素化処理を行う温度よりも高温で行う観点から、再焼成工程の焼成温度の上限は、1000℃以下であり、焼成温度の下限は500℃以上であることが好ましく、600℃以上であることがより好ましく、700℃以上であることが更に好ましい。
本発明の含窒素カーボンアロイは、本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法で製造される。
細孔奥まで酸素が十分に行き届き、十分な酸素還元触媒特性が得られる観点からは、カーボンアロイの比表面積は、3000m2/g以下であることが好ましく、2000m2/g以下であることがより好ましく、1300m2/g以下であることが特に好ましい。
本発明の燃料電池用カーボンアロイ触媒は、前記含窒素カーボンアロイの乾燥後の塗布量が0.01mg/cm2以上であることが好ましく、0.02〜100mg/cm2であることがより好ましく、0.05〜10mg/cm2であることが特に好ましい。
溶媒としては、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒を適宜選択して使用することができる。例えば蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)等一般的な極性溶媒を単独又は複数混合して使用することができる。また、燃料電池の電極触媒を作製する際に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。
本発明の含窒素カーボンアロイの用途は、構造材料、電極材料、ろ過材料、触媒材料など特に限定されないが、キャパシタやリチウム2次電池などの蓄電装置の電極材料として用いることが好ましく、高い酸素還元反応活性を有することを特徴とする燃料電池や亜鉛空気電池、リチウム空気電池などの炭素触媒として用いることがより好ましい。また、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備えた電極膜接合体において、上記触媒を該触媒層に含むことができる。更に、上記電極膜接合体は、燃料電池に備えることができる。
図1に本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を用いた燃料電池10の概略構成図を示す。炭素触媒はアノード電極及びカソード電極に適用されている。
燃料電池10は、固体高分子電解質14を挟むように、対向配置されたセパレータ12、アノード電極触媒(燃料極)13、カソード電極触媒(酸化剤極)15及びセパレータ16とから構成される。固体高分子電解質14としては、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽イオン交換樹脂膜が用いられる。また、炭素触媒をアノード電極触媒13及びカソード電極触媒15として、固体高分子電解質14の双方に接触させることにより、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15に炭素触媒を備えた燃料電池10が構成される。上述の炭素触媒を固体高分子電解質の双方の面に形成し、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15を電極反応層側で固体高分子電解質14の両主面にホットプレスにより密着することにより、MEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化させる。
上記電気化学反応において、
カソード側:O2+4H++4e-→2H2O
アノード側:H2→2H++2e-
の反応が起こり、アノード側で生成されたH+イオンは固体高分子電解質14中をカソード側に向かって移動し、e-(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。一方、カソード側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、アノード側から移動してきたH+イオン及びe-とが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
次に、本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を電極材に適用した蓄電装置について説明する。図2に該炭素触媒を用いた、蓄電容量に優れた電気二重層キャパシタ20の概略構成図を示す。
図2に示した電気二重層キャパシタ20は、セパレータ23を介して、分極性電極である第1の電極21及び第2の電極22が対向し、外装蓋24aと外装ケース24bの中に収容されている。また、第1の電極21及び第2の電極22は、それぞれ集電体25を介して、外装蓋24aと外装ケース24bに接続されている。また、セパレータ23には、電解液が含浸されている。そして、ガスケット26を介して電気的に絶縁させた状態で、外装蓋24aと外装ケース24bとをかしめて密封させて電気二重層キャパシタ20が構成されている。
次に、本発明のカーボンアロイを、白金等の貴金属を含む環境触媒の代替品として使用する例について説明する。
汚染空気に含まれる汚染物質を(主にガス状物質)等を分解処理により除去するための排ガス浄化用触媒として、白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物されて構成された触媒材料による環境触媒が用いられている。これらの白金等の貴金属を含む排ガス浄化用触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。上述の炭素触媒は、酸素還元反応触媒作用が付与されているため、汚染物質等の被処理物質の分解機能を有する。このため、上述の炭素触媒を用いて環境触媒を構成することにより、白金等の高価な貴金属類を使用する必要がないため、低コストの環境触媒を提供することができる。また、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの被処理物質を分解する処理面積を大きくすることができ、単位体積あたりの分解機能が優れた環境触媒を構成できる。
なお、上述の炭素触媒を担体として、従来の環境触媒に使用されている白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物を担持させることにより、より分解機能等の触媒作用に優れた環境触媒を構成することができる。なお、上述の炭素触媒を備える環境触媒は、上述の排ガス浄化用触媒だけでなく、水処理用の浄化触媒として用いることもできる。
このような化学反応用の炭素触媒は、例えば、水素化反応用触媒、脱水素反応用触媒、酸化反応用触媒、重合反応用触媒、改質反応用触媒、水蒸気改質用触媒等に適用することができる。更に具体的には、「触媒調製(講談社)白崎高保、藤堂尚之共著、1975年」等の触媒に関する文献を参照し、各々の化学反応に炭素触媒を適用することが可能である。
(BET法による比表面積測定)
酸洗浄前の含窒素カーボンアロイ試料、および酸洗浄後に単離した含窒素カーボンアロイ試料について、試料前処理装置(日本ベル社製、BELPREP−flow(商品名))を用いて、含窒素カーボンアロイ試料を200℃、3時間、真空下で乾燥した。
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−miniII(商品名))を用いて、含窒素カーボンアロイの比表面積を簡易測定条件で測定した。
比表面積は、装置備え付けの解析プログラムを用いて、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により求めた。
<塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(C1C)>
(塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製、前記化合物(B−9)) 2.372gに、塩化コバルト(II)6水和物(和光純薬社製)を0.728g添加後、メノウ乳鉢で混合し、塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物(C1A)を得た。
元素分析(計算値):C,65.11;H,2.34;N,32.54
塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物(C1A)3.0142gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C1B)0.4037gを得た。
炭素材料(C1B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C1B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C1C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C1C)を比較例1の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製)
得られた比較例1の含窒素カーボンアロイ材料10mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)110mgと溶媒としての水2.4mL、1−プロパノール(IPA)1.6mLを加え、7mmφのアタッチメントを接続した超音波ホモジナイザー(日精社製、US−150T(商品名))で30分間分散させた。回転リングディスク電極(北斗電工社製HR2−RD1−Pt8/GC5(商品名))を用い、含窒素カーボンアロイ分散液を含窒素カーボンアロイが0.05mg/cm2になるようにカーボン電極上に塗布し、室温で乾燥させて、カーボンアロイ塗付電極を得た。
Automatic Polarization System(北斗電工(株)社製、HZ−3000(商品名))に回転電極装置(北斗電工(株)社製、HR−201(商品名))を接続し、作用極は前記で得られたカーボンアロイ塗付電極、対極と参照極はそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて以下の手順により測定した。
A.カーボンアロイ材料塗付電極のクリーニングのため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/s、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転速度1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
C.酸素還元活性測定のため、酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元活性として採用した。得られたボルタモグラム(電圧−電流密度曲線)から、電圧0.7V vs.NHEの時の電流密度を求め、これをORR活性値とした。
得られた結果を下記表1に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製)
得られた比較例1の含窒素カーボンアロイ材料10mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)110mgと溶媒としての水2.4mL、1−プロパノール(IPA)1.6mLを加え、7mmφのアタッチメントを接続した超音波ホモジナイザー(日精社製、US−150T(商品名))で30分間分散させた。回転リングディスク電極(北斗電工社製HR2−RD1−Pt8/GC5(商品名))を用い、含窒素カーボンアロイ分散液を0.5mg/cm2になるようにカーボン電極上に塗布し、室温で乾燥させて、カーボンアロイ塗付電極を得た。
立上り電位を酸素還元反応活性測定から、また酸素還元反応における反応電子数を、過酸化水素発生量の測定により、以下の方法によって求めた。
Automatic Polarization System(北斗電工(株)社製、HZ−3000(商品名))に回転電極装置(北斗電工(株)社製、HR−201(商品名))を接続し、作用極は前記の回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)で、対極と参照極はそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて以下の手順により測定した。
A.カーボンアロイ材料塗付電極のクリーニングのため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/s、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転速度1500rpmで回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)のリニアースイープボルタンメトリーを各々測定した。
C.酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを、回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)で各々測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元活性として採用した。得られたボルタモグラム(電圧−電流密度曲線)から、電流密度1mA/cm2の時の電位(vs.NHE)を求め、これを触媒活性の指標であるカーボンアロイ塗付電極の立上り電位とした。
E.Cの回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)の測定データからBの測定データを各々減算し、各電位に対する電流値(ID,IR)を算出した。
A. Ohmaら、Electrochimica Acta,55,8829(2010)の手法により下式に従い、H2O2発生割合(%)を算出した。
・酸素還元反応電子数=4×(1−H2O2生成割合(%)/100%)+2×H2O2発生割合(%)/100%
得られた結果を下記表1に記載した。
<塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(C2C)>
(塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 0.955gに、塩化鉄(II)4水和物99.9%(和光純薬社製)を0.245g添加後、メノウ乳鉢で混合し、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(C2A)を得た。
塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(C2A)3.0116gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C2B)0.6538gを得た。
炭素材料(C2B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C2B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C2C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C2C)を比較例2の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた比較例2の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。それらの結果を、下記表1に記載した。
<DCPyの炭素材料合成(C3C)>
[不融化および炭素化処理]
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.000gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却したところ、炭素材料を得ることができなかった。
<FePc添加DCPy混合物の炭素材料合成(C4C)>
(FePc添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)1.788gに、鉄フタロシアニン(FePc、東京化成社製)1.312g添加後、メノウ乳鉢で混合し、FePc添加DCPy混合物(C4A)を得た。
元素分析(計算値):C,67.62;H,2.84;Fe,9.83;N,19.71
FePc添加DCPy混合物(C4A)1.0345gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C4B)0.1327gを得た。
炭素材料(C4B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C4B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C4C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C4C)を比較例4の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた比較例4の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2添加DCPy混合物の炭素材料合成(C5C)>
(FeAA2添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)2.334gに、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.766g添加後、メノウ乳鉢で混合し、FeAA2添加DCPy混合物(C5A)を得た。
元素分析(計算値):C,47.27;H,5.55;Fe,21.98;O,25.19
FeAA2添加DCPy混合物(C5A)2.7681gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C5B)1.3326gを得た。
炭素材料(C5B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C5B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C5C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C5C)を比較例5の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた比較例5の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。それらの結果を、下記表1に記載した。
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物の炭素材料合成(1C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物の調製)
下記構造のDCPN(Aldrich社製、前記化合物(B−3)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.255g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(1A)を得た。
元素分析(計算値):C,48.77;H,1.02;Cl,35.99;N,14.22
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物(1A)3.0316gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(1B)1.0661gを得た。
炭素材料(1B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(1B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(1C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(1C)を実施例1の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例1の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の炭素材料合成(2C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の調製)
下記構造のTCB(東京化成工業社製、前記化合物(B−4)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を0.74g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.034g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(2A)を得た。
元素分析(計算値):C,67.42;H,1.13;N,31.45
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物(2A)1.0311gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(2B)0.1731gを得た。
炭素材料(2B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(2B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(2C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(2C)を実施例2の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例2の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の炭素材料合成(3C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の調製)
TCB(東京化成工業社製、前記化合物(B−4)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を1.99g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.179g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(3A)を得た。
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物(3A)3.1770gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(3B)1.2056gを得た。
炭素材料(3B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(3B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(3C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(3C)を実施例3の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例3の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物の炭素材料合成(4C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物の調整]
3,4−ピリジルジアミド(PyDA、東京化成工業社製、前記化合物(B−15)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)2.80g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.26gを添加後、メノウ乳鉢で混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物(4A)を得た。
元素分析(計算値):C,50.91;H,4.27;N,25.44;O,19.38
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物(4A)3.1820gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(4B)0.5936gを得た。
炭素材料(4B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(4B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(4C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(4C)を比較例6の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例4の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(5C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(5A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(5A)3.0986gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(5B)0.7323gを得た。
炭素材料(5B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(5C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(5C)を実施例5の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例5の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(6C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.40g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(6A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(6A)3.0689gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(6B)0.5789gを得た。
炭素材料(6B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(6C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(6C)を実施例6の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例6の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(7C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(7A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(7A)3.1581gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(7B)0.9312gを得た。
炭素材料(7B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(7C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(7C)を実施例7の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例7の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(8C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 3.20g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(8A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(8A)3.0806gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(8B)0.8857gを得た。
炭素材料(8B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(8C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(8C)を実施例8の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例8の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(9C)>
塩化鉄(II)4水和物99.9% 3.60g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(9A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(9A)3.0843gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(9B)0.9681gを得た。
炭素材料(9B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(9C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(9C)を実施例9の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例9の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(10C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 6.30g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 6.30g、鉄(II)アセチルアセトナート(FeAA2、Aldrich社製)0.4024gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(10A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(10A)3.0228gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(10B)0.8442gを得た。
炭素材料(10B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(10C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(10C)を実施例10の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例10の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(11C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.40g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(11A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(11A)3.0474gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(11B)0.9342gを得た。
炭素材料(11B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(11C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(11C)を実施例11の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例11の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(12C)>
(FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00g、鉄(III)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA3、Aldrich社製)0.355gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(12A)を得た。
FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(12A)3.1380gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(12B)0.8470gを得た。
炭素材料(12B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(12C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(12C)を実施例12の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例12の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(13C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)64.40g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.4024gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(13A)を得た。
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(13A)3.0375gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(13B)0.5624gを得た。
炭素材料(13B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(13C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(13C)を実施例13の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例13の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(14C)>
(Fe(DPM)2の調製)
Inorg.Chem.1965,4,920−921.に記載の方法を改良して下記の手順に従い、Fe(DPM)2を調整した。
窒素雰囲気下、500 mlの3口フラスコに、9.0 gのFeSO4・7H2O、1.4gのNa2S2O4、135 mlの窒素脱気水を添加後、14.9gのDPMを270mlのメタノールに溶解し、窒素脱気溶液を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に、97mlの1規定のNaOH水溶液を加えた。得られた結晶をろ過し、水、ヘキサンで洗浄後、乾燥させ、Fe(DPM)2を11.7g、85%収率で得た。
上述のFe(DPM)2 0.425g,塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(14A)を得た。
Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(14A)0.9913gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(14B)0.1418gを得た。
炭素材料(14B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(14C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(14C)を実施例14の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例14の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(15C)>
(Fe(TMOD)2の調製)
Inorg.Chem.1965,4,920−921.に記載の方法を改良して下記の手順に従い、Fe(TMOD)2を調整した。
窒素雰囲気下、500mlの3口フラスコに、3.0gのFeSO4・7H2O、0.47gのNa2S2O4、45mlの窒素脱気水を添加後、5.4gのTMODを90mlのメタノールに溶解し、窒素脱気溶液を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に、32mlの1規定のNaOH水溶液を加えた。得られた結晶をろ過し、水、ヘキサンで洗浄後、乾燥させ、Fe(TMOD)2を40g、89%収率で得た。
上述のFe(TMOD)2 0.4531g,塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(15A)を得た。
Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(15A)1.0463gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(15B)0.0852gを得た。
炭素材料(15B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(15C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(15C)を実施例15の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例15の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(16C)>
(Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
Fe(TMOD)3(豊島製作所社製)0.4024g、塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(16A)を得た。
Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(16A)3.0632gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(16B)0.8058gを得た。
炭素材料(16B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(16C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(16C)を実施例16の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例16の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(17C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例10の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例17の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例10の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(10C)0.5178gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から900℃まで毎分5℃昇温、900℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(17B)0.4750gを得た。
炭素材料(17B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(17C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(17C)を実施例17の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例17の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の再焼成および酸処理(18C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例10の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例18の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例10の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(10C)0.4036gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(18B)0.2927gを得た。
炭素材料(18B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(18C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(18C)を実施例18の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例18の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の粉砕、再焼成および酸処理(19C)>
(粉砕処理)
実施例7の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例19の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例7の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(7C)をワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間機械粉砕し、炭素材料粉砕品(7D)を得た。
炭素材料粉砕品(7D)0.5086gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(19B)0.3802gを得た。
炭素材料(19B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(19C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(19C)を実施例19の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例19の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の再焼成および酸処理(20C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例7の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例20の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例7の炭素材料粉砕品(7D)0.5032gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
昇温時に窒素を止め、30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(20B)0.3194gを得た。
炭素材料(20B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(20C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(20C)を実施例20の含窒素カーボンアロイとした。
得られた実施例20の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物の炭素材料合成(21C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物の調整]
実施例7において上述の塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物8.00gに導電助剤ケッチェンブラックEC600JD 1.20g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(21A)を得た。
塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(21A)1.0568gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(21B)0.7858gを得た。
炭素材料(21B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(21B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(21C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(21C)を実施例21の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例21の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤10%添加DCPy混合物の炭素材料合成(22C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤10%添加DCPy混合物の調整]
実施例7において上述の塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物8.00gに導電助剤ケッチェンブラックEC600JD 0.80g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(22A)を得た。
塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(22A)3.1204gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(22B)1.1800gを得た。
炭素材料(22B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(22B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(22C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(22C)を実施例22の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
得られた実施例22の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
一方、比較例1、2、4および5より、無機金属塩および有機金属錯体のいずれ一方を含まない場合は、酸化還元活性が低く、酸化還元反応の反応電子数も少ないことがわかった。
比較例3より、無機金属塩を用いない場合は、カーボンアロイを製造することができなかった。なお、比較例3のORR活性のN.D.は炭化物を得ることができなかったことを意味する。
さらに、本発明の含窒素カーボンアロイ材料からカソード用非白金触媒インク(13E)、(17E)、(18E)、(20E)および、比較例のカソード用炭素材料インク(C1E)、(C2E)、(C4E)、(C5E)を調整し、このインクを用いて電極複合膜を調製後、評価用電池(Cell−1)〜(Cell−8)を組立て、電流−電圧計測を行った。
(1)−1 カソード用触媒インク(20E)の調製
0.1gの実施例20の含窒素カーボンアロイ材料(20C)、1.0gの5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、アルドリッチ社製:製品番号274704)、0.25mLの水(イオン交換水)、及び0.5mLの1−プロパノールを、超音波分散機で2.5時間分散し、カソード用非白金触媒インク(20E)を得た。
50質量%白金が担持された白金担持カーボン(TEC10V50E、田中貴金属工業(株)社製)0.5gをガラス容器に秤取り、0.8mLの水を加えた後、セプタムシールでガラス容器を封管し、容器内を窒素置換した。前記と同じ市販の5質量%ナフィオン4.3mLと1−プロパノール1mLを前記ガラス容器内に注入し、超音波を2.5時間照射することでアノード用触媒インクを得た。
(2)−1 カソード用触媒膜の調製
(1)−1で調製したカソード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、200μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、67.5mg(2.7mg/cm2)であった。
(2)−2 アノード用触媒膜の調製
(1)−2で調製したアノード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、300μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、18mg(0.24mg/cm2)であった。
ナフィオン膜(NR212、デュポン社製)を8cm×8cmサイズの正方形にカットしたものを、1mol/Lの水溶液に10時間浸漬し、イオン交換水で水洗した後、乾燥し、転写用プロトン伝導膜を得た。
10cm×10cmサイズの正方形にカットした2枚のポリイミド膜(ユーピレックス75:宇部興産社製)の間に、(2)−1で調製した触媒膜、(3)で調製したプロトン伝導膜、(2)−2で調製した触媒膜の順に重ね合わせた。この際、触媒膜がプロトン伝導膜の中央で、塗布面がプトロン伝導膜に接する向きとした。この重ね合わせたシートを210℃、15MPaで10分間プレスした。2枚のポリイミド膜から、熱圧着された膜を取り出し、カソード塗布膜とアノード塗布膜のベースであるテフロン(登録商標)シートを剥離することにより、プロトン伝導膜の両面に触媒層が転写された電極複合膜を得た。この電極複合膜を0.5mol/Lの硫酸水溶液に10時間浸漬した後、イオン交換水で水洗し、乾燥後、目的の電極複合膜を得た。
(4)で得た電極複合膜を、5cm×5cmサイズの正方形にカットした2枚のカーボンクロス(ガス拡散層ELAT BASF社製)で挟み、200μm厚みのガスケット(テプロン製)を使用して、JARI標準セル(エフシー開発(株)社製)に組み込み、触媒有効面積25cm2の燃料電池セル(Cell−1)を得た。電極複合膜の調製10cm×10cmサイズの正方形にカットした2枚のポリイミド膜(ユーピレックス75:宇部興産社製)の間に、(2)−1で調製した触媒膜、(3)で調製したプロトン伝導膜、(2)−2で調製した触媒膜の順に重ね合わせた。この際、触媒膜がプロトン伝導膜の中央で、塗布面がプトロン伝導膜に接する向きとした。この重ね合わせたシートを210℃、15MPaで10分間プレスした。2枚のポリイミド膜から、熱圧着された膜を取り出し、テフロン(登録商標)シートを剥離することにより、プロトン伝導膜の両面に触媒層が転写された電極複合膜を得た。
(4)で得た電極複合膜を、5cm×5cmサイズの正方形にカットした2枚のカーボンクロス(ガス拡散層ELAT BASF社製)で挟み、200μm厚みのガスケット(テプロン製)を使用して、JARI標準セル(エフシー開発(株)社製)に組み込み、触媒有効面積25cm2の燃料電池セル(Cell−1)を得た。
この燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気を供給した。水素及び空気の加湿は、水を貯めたバブラーに各ガスを通すことで行った。水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は1000ml/分、空気のガス流量は2500ml/分とし、常圧下で測定した。
燃料電池セルの電流値を0Aから16Aまで、30秒毎に変化させ、各電流での安定した電圧を計測した。
特に、本発明のより好ましい製造方法である多段階製造された本発明の含窒素カーボンアロイは、一段焼成された含窒素カーボンアロイよりも発電性能が高いことが分かった。
一方、比較例1、2、4および5の炭素材料を用いたCell5〜8より、前駆体混合物に、含窒素有機化合物と、無機金属塩または有機金属錯体のどちらか一方を含まない場合、発電性能が低いことがわかった。
無機金属塩のみを添加してなる炭素材料を用いたCell5,6よりも、無機金属塩に有機金属錯体を添加してなる炭素材料を用いたCell1〜4とすることにより、発電性能が高くなる。
さらに、有機金属錯体のみを用いたCell7,8よりも、無機金属塩に有機金属錯体を添加してなる炭素材料を用いたCell1〜4とすることにより、発電性能が高くなる。
このように有機金属錯体と無機金属塩が共存することにより発電性能が向上することは予想できなかった。
12…セパレータ、
13…アノード電極触媒、
14…固体高分子電解質、
15…カソード電極触媒、
16…セパレータ、
20…電気二重層キャパシタ、
21…第1の電極、
22…第2の電極、
23…セパレータ、
24a…外装蓋、
24b…外装ケース、
25…集電体、
26…ガスケット
Claims (11)
- 含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩とβ−ジケトン金属錯体とを含む前駆体を焼成する工程を含み、
前記含窒素有機化合物が下記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であり、
前記前駆体を焼成する工程は、前記前駆体を1000℃以下で炭素化処理する工程を含み、
前記炭素化処理する工程は、不活性雰囲気下であって、不活性ガスまたは非酸化性ガス流通下で行われ、
前記炭素化処理する工程では、前記不活性ガスまたは前記非酸化性ガスは、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分の流速で流通することを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
一般式(2)
*−CN
- 前記β−ジケトン金属錯体がアセチルアセトン鉄(II)、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)であることを特徴とする請求項1または2に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記無機金属塩がハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記無機金属塩の金属種が、FeまたはCoであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記一般式(1)中、Qが5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記Qがベンゼン環またはピリジン環、またはそれらを含む縮合環であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
- 前記前駆体がさらに導電助剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
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