JP2013232401A - 含窒素カーボンアロイとその製造方法、カーボンアロイ触媒および燃料電池 - Google Patents

含窒素カーボンアロイとその製造方法、カーボンアロイ触媒および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化還元活性が高いか、反応電子数が多い含窒素カーボンアロイを提供する。
【解決手段】含窒素有機化合物と、Fe,Co,Ni,Mn及びCrを含む無機金属塩とβ−ジケトン金属錯体とを含む前駆体焼成工程を含み、含窒素有機化合物が式1で表わされる化合物及び互変異性体、塩又は水和物である含窒素カーボンアロイの製造方法(Qは5〜7員環の芳香族環又ヘテロ環;Rは式2〜5の置換基;nは1〜4;R1〜R8は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、又は隣り合う置換基によるヘテロ環)
Figure 2013232401

【選択図】なし

Description

本発明は含窒素カーボンアロイ、その製造方法及びそれを用いたカーボンアロイ炭素触媒および燃料電池に関する。
固体高分子電解質形燃料電池の電極触媒は、高い酸素還元触媒活性と導電性を兼ね備えた特徴を有する必要がある。従来、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等を用いる貴金属系触媒が、高い酸素還元活性を有する触媒として、例えば自動車や家庭用電熱併給システム等に使用される固体高分子電解質形燃料電池に用いられてきた。しかし、このような貴金属系触媒は高コストであるため、さらなる普及が難しくなっているのが現状である。
そのため、白金を大幅に低減した触媒や、白金を使用することなく形成された触媒の技術開発が進められている。例えば、樹脂等の前駆体に、コバルトフタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属錯体を混合して重合した重合物を焼成して得たカーボンアロイを用いた触媒が提案されている。
非特許文献1には、シアノ基を有する含窒素多環式有機化合物と、有機金属錯体としてのグルコン酸第二鉄・2水和物と、鋳型金属酸化物前駆体としての酢酸マグネシウム・4水和物を混合し、焼成した燃料電池用非白金触媒が開示されている。有機金属錯体の添加量は含窒素多環式有機化合物と有機金属錯体との和の1質量%Feと記載されており、鋳型金属酸化物前駆体の添加量は酢酸マグネシウム換算で含窒素多環式有機化合物の50質量%と記載されている。
特許文献1には、シアノ基を有する含窒素結晶性有機化合物と、無機金属塩としての塩化コバルトや塩化鉄とを含む前駆体を焼成して得たカーボンアロイを、燃料電池用非白金触媒に用いることについて記載がある。この文献では、含窒素結晶性有機化合物との和を100質量部としたとき、無機金属および無機金属塩から選択される少なくとも1つの範囲が0.001〜45質量部と記載されている。
特許文献2には、スクロースと、転移金属前駆体とシリカ粒子とを含む前駆体を焼成して得られた燃料電池用触媒用炭素に関する記載がある。この文献における転移金属前駆体の添加量はスクロース1モルに対して0.3〜3モル比、シリカ粒子の添加量はスクロース1モルに対して0.25〜2モル比と記載されており、例えばシリカ粒子とスクロースとの和を100質量部とするとシリカ粒子が30〜81質量部と換算される。
非特許文献2〜5には、含窒素有機化合物と塩化亜鉛とを含む前駆体を焼成して得られた燃料電池触媒用多孔性炭素に関する製造方法が記載されている。
非特許文献6には、含窒素有機化合物の塩と塩化鉄とを含む前駆体を焼成する方法が記載されている。しかしながら、燃料電池用非白金触媒に関する記載はなされていなかった。
特許文献3には、4−フタルイミドなどのニトロ含有、アミノ含有芳香族化合物の少なくとも1種、及び遷移金属塩の少なくとも1種を含む混合物を、実質的な不活性雰囲気下にて熱分解して、金属含有ポリマーを形成する工程と、前記金属含有ポリマーを窒素含有活性剤の存在下で加熱することによって活性化して、金属含有燃料電池カソード触媒を形成する工程とからなる、燃料電池カソード触媒の製造方法が記載されている。
特開2011−225431号公報 特開2009−40673号公報 特表2010−524195号公報
Jun Maruyamaら, Carbon, 48, 3271(2010) Pieer Kuhnら, J. Am. Chem. Soc., 130, 13333(2008) Pieer Kuhnら, Macromolecules., 42, 319(2009) Carine E. Chan−Thawら, Nanolett., 10, 537(2010) Parminder Kaurら, ACS Catal., 1, 819(2011) Jiayin Yuanら, Chem. Mater., 22, 5003(2010)
しかしながら、本発明者がこれらの文献に記載の製造方法を検討した結果、いずれも不満が残るものであることがわかった。具体的には、非特許文献1に記載のカーボンアロイは酸素還元活性が低いものであった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、酢酸マグネシウム・4水和物の融点は80℃であり、酢酸マグネシウム・4水和物の熱分解生成物である酢酸マグネシウムの融点は2852℃であり、いずれも焼成した含窒素有機化合物が触媒活性を形成する最適な温度範囲で融解することはないためと予想される。
特許文献1に記載のカーボンアロイは、添加する金属塩の量が少なく、生成した金属の酸洗浄除去による比表面積増加が少なく、触媒活性が低いため、触媒活性向上の点で改善が求められることがわかった。
特許文献2に記載の燃料電池用触媒は、含窒素有機化合物を用いていないため、触媒活性に不満が残るものであることがわかった。
非特許文献2〜5に記載のカーボンアロイは、多孔質炭素を生成するが触媒活性として満足する性能を持ち合わせていないことが分かった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、用いている塩化亜鉛が昇温時、275℃で溶融塩となるため、含窒素有機化合物が塩化亜鉛に配位した際極めて比表面積が小さく触媒活性部位を形成できない。または、塩化亜鉛は1000℃以下で熱分解によりZnを生成させることができず、含窒素有機化合物が触媒活性部位を形成することができないためと予想される。
非特許文献6に記載の方法では、添加する塩化鉄の量が少ないため、多孔質炭素を得ることができず、触媒活性が向上しないことがわかった。
特許文献3に記載の燃料電池カソード触媒は、触媒活性を満足するものではなく改善が求められることがわかった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、特許文献3では、4−フタルイミドなどのニトロ含有、アミノ含有芳香族化合物を用いている。昇温過程でニトロ基は脱離揮散してしまいグラファイトに窒素が導入されず、アミノ基はニトリル基と反応して、金属−ニトリル基の配位による触媒活性部位の形成ができず、4−フタルイミドは安定であり、開環できないため、金属に配位してグラファイトに窒素が導入されず、良好な含窒素カーボンアロイが形成できなかったためと予想される。
本発明の目的は、上記の問題点を解決するものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、酸化還元活性が十分に高いか、酸化還元反応の反応電子数が多い含窒素カーボンアロイの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の構造の含窒素有機化合物と、特定の無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を用いて調製した前駆体を焼成することによって、酸素還元反応(ORR)活性が向上した含窒素カーボンアロイを製造することができることを見出した。特にグラファイトを形成するための炭素源かつ、金属に配位してグラファイトに窒素が導入される際の窒素源として、シアノ基の炭素が重要と予想し、シアノ基または脱水・縮合・分解等によりシアノ基を容易に生成する置換基を有する含窒素有機化合物を用いることで、酸素還元反応(ORR)活性が向上した含窒素カーボンアロイを製造することができることを見出した。また、特許文献3に記載のイミドの場合、5員環構造が安定であり、開環することができず、金属と配位することができないため、本発明の方法に不適であることも見出した。
以上の結果、本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題は以下の手段により解決することができる。
[1] 含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩とβ−ジケトン金属錯体とを含む前駆体を焼成する工程を含み、
前記含窒素有機化合物が下記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
Figure 2013232401
(一般式(1)においてQは5〜7員環の芳香族環またはヘテロ環を表し、Rは、下記一般式(2)〜(5)で表される置換基を表し、nは1から4の整数を表す。)
一般式(2)
*−CN
Figure 2013232401
(一般式(3)〜(5)中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または隣り合う2つの置換基で形成されるヘテロ環を表し、*はQへの結合部を表す。)
[2] [1]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記β−ジケトン金属錯体が、下記一般式(6)で表されることが好ましい。
Figure 2013232401
(一般式(6)中、Mは金属を示し、R1およびR3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、また、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1、R2、R3は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。nは0以上の整数を示し、mは1以上の整数を示す。この化合物においては、金属Mの原子又はイオンに対して、β−ジケトン又はそのイオンが配位又は結合している。)
[3] [1]または[2]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記β−ジケトン金属錯体がアセチルアセトン鉄(II)、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記無機金属塩がハロゲン化物であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記無機金属塩の金属種が、FeまたはCoであることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記一般式(1)中、Qが、5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記Qが、ベンゼン環またはピリジン環、またはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記含窒素有機化合物が、一般式(7)または(8)あるいはそれらの2量体以上の多量体で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2013232401
(一般式(7)および(8)中、n1は1〜5の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。)
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程が含まれることが好ましい。
[10] [9]に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程が含まれることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記前駆体がさらに導電助剤を含むことが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の含窒素カーボンアロイの製造方法で製造されたことを特徴とする含窒素カーボンアロイ。
[13] [12]に記載の含窒素カーボンアロイは、Brunauer−Emmett−Teller法による比表面積が670m2/g以上であることが好ましい。
[14] [12]または[13]に記載の含窒素カーボンアロイを含有するカーボンアロイ触媒。
[15] [14]に記載のカーボンアロイ触媒において、前記含窒素カーボンアロイの乾燥後の塗布量が0.05mg/cm2以上であることが好ましい。
[16] [14]または[15]に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする膜/電極接合体。
[17] [14]または[15]に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする燃料電池。
本発明によれば、酸化還元活性が十分に高いか、酸化還元反応の反応電子数が多い含窒素カーボンアロイの製造方法を提供することにある。なお、本発明により製造された含窒素カーボンアロイは、炭素触媒として使用することができ、該炭素触媒は、燃料電池や環境触媒の用途に応用することができる。
本発明のカーボンアロイを用いた燃料電池の概略構成図である。 本発明のカーボンアロイを用いた電気二重層キャパシタの概略構成図である。
また、本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子又は沃素原子)、ヒドロキシ基、シアノ基、脂肪族基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アリール基(置換する位置は問わない)、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、脂肪族オキシ基(アルコキシ基又は、アルキレンオキシ基、エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、脂肪族カルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルスルファモイルアミノ基、オキサモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、メルカプト基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホニルウレイド基、アリールスルホニルウレイド基、ヘテロ環スルホニルウレイド基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルファモイル基、アリールスルファモイル基、ヘテロ環スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルフォニルスルファモイル基又はその塩、カルバモイルスルファモイル基、スルホンアミド基、脂肪族ウレイド基、アリールウレイド基、ヘテロ環ウレイド基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ジアゾ基、アゾ基、ヒドラジノ基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、ジアリールオキシホスフィニル基、シリル基(例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、シリルオキシ基(例えばトリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ボロノ基、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)等を挙げることができる。これらの置換基群は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基から選択される基を挙げることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[含窒素カーボンアロイの製造方法]
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を含む前駆体を焼成する工程を含み、前記含窒素有機化合物が前記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であることを特徴とする。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、本発明の製造方法により得られる含窒素カーボンアロイは、無機金属塩の加熱分解により新たに生成したナノ金属クラスターを鋳型に、含窒素有機化合物がナノ金属クラスター表面で炭素化し、空隙が生成されたものである。このため、ナノ金属クラスターを酸洗浄で除去することにより、含窒素カーボンアロイの比表面積を大きくすることができる。
本発明の製造方法では、含窒素カーボンアロイを生成する際に無機金属塩が熱分解してナノ金属微粒子が生成し、この金属と含窒素有機化合物とが相互作用するとともに、触媒活性サイトが形成される。そのため、極めて官能基密度が高くなり、比表面積が大きくなることにより、触媒活性サイト数が飛躍的に増加し、電流密度(ORR活性)が向上していると考えられる。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記前駆体を焼成する工程が、
1)含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を混合して前駆体を調製する工程、
2)不活性雰囲気下で室温から炭素化温度まで毎分1℃以上1000℃以下で昇温する昇温工程、
3)500℃〜1000℃まで、0.1〜100時間保持する炭素化工程、
4)炭素化温度から室温まで冷却する冷却工程を含んでいることが好ましい。
5)炭素化処理後に、カーボンアロイを室温まで冷却した後、粉砕処理を行ってもよい。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は前記焼成工程の後に、
6)焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する工程を含むことが好ましい。
7)前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことがより好ましい。
以下、本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法について、以上の工程を順に説明する。
<前駆体の調製工程>
前記含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩と、β―ジケトン金属錯体を混合して前駆体を調製する工程に用いられる、前駆体の成分について説明する。
(含窒素有機化合物)
前記前駆体の調製には、前記含窒素有機化合物が用いられる。
前記含窒素有機化合物は、前記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物である。
Figure 2013232401
一般式(1)においてQは5〜7員環の芳香族環またはヘテロ環を表し、Rは、下記一般式(2)〜(5)で表される置換基を表し、nは1から4の整数を表す。
一般式(2)
*−CN
Figure 2013232401
一般式(3)〜(5)中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または隣り合う2つの置換基で形成されるヘテロ環を表し、*はQへの結合部を表す。
前記含窒素有機化合物は、一般式(1)で表され、分子内に前記一般式(2)〜(5)で表される構造の少なくとも1つ及び不飽和結合を有する有機化合物である。
分子内に前記一般式(2)〜(5)で表される構造の少なくとも1つを有することで、焼成して得られる含窒素カーボンアロイにおいて、C、N、金属からなる高酸素還元活性を有する活性点が生成すると考えられる。
一般式(1)においてQは5〜7員環の芳香族環またはヘテロ環を表す。但し、Qは5〜7員環の芳香族環またはヘテロ環を一部に含む縮合環であってもよい。
本発明では、前記一般式(1)中、Qは、5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることが好ましい。
さらに前記一般式(1)中、Qは、芳香族環または芳香族ヘテロ環であることが好ましい。不飽和結合が存在することで、後述する各種の相互作用によりカーボンアロイ骨格を形成しやすくなる。
一般式(1)中、Qが表す5または6員環の芳香族環またはヘテロ環としては、下記一般式(A−1)〜(A−20)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2013232401
Figure 2013232401
一般式(A−1)〜(A−20)中、R51〜R56のうち少なくとも一つは一般式(1)におけるRとの連結部を表し、R51〜R56のうちRとの連結部以外の基はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合して5又は6員環を形成してもよい。また、縮合複素多環化合物であってもよい。
51〜R56の表す置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R51〜R56の置換基として、好ましくはアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子又は沃素原子)、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基又はスルホニル基等であり、より好ましくはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子又は沃素原子)、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいウレイド基、脂肪族オキシ基等である。
51〜R56の表す置換基として好ましいものは、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子など)およびヘテロアリール基(ピリジル基など)である。その中でも、R51〜R56の表す置換基としてハロゲン原子およびヘテロアリール基が好ましく、塩素原子およびピリジル基がより好ましい。なお、複素環の中で、ヘテロ環内に窒素が含まれることが好ましく、これにより、含窒素有機化合物の結晶構造に由来したエッジ部に規則正しく窒素が配列するため遊離した金属イオンが配位することができる。
51〜R56の中に含まれる水素原子の数は、1〜4個であることが好ましく、2〜4個であることがより好ましい。
前記一般式(A−1)〜(A−20)中、前記一般式(1)で表される化合物のQの好ましい構造は前記一般式(A−1)〜(A−6)で表される構造である。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記Qがベンゼン環またはピリジン環、またはそれらを含む縮合環であることがより好ましい。
前記一般式(1)におけるRは、下記一般式(2)〜(5)で表される置換基を表す。
一般式(2)
*−CN
Figure 2013232401
一般式(3)〜(5)中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または隣り合う2つの置換基で形成されるヘテロ環を表し、*はQへの結合部を表す。
前記一般式(2)〜(5)で表される構造が含まれることにより、分解生成物中にCN結合が生成し、このCNと金属とが相互作用することによって、炭素化まで窒素が保持される。そのため、カーボンアロイのグラフェン内に窒素が導入されやすくなり、酸素還元反応活性に優れるため好ましい。
前記R1〜R8が表す各基の好ましい範囲は、水素原子または前述の置換基の項で述べた基を挙げることができる。
その中でも、前記R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
前記R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
前記R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、互いに結合して環を形成してもよい。R7およびR8が互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環、ピロリドン環等が挙げられる。好ましくは、ピロリドン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、であり、より好ましくはピロール環またはピロリドン環である。
前記一般式(1)で表される化合物中、好ましいRは前記一般式(2)または(3)で表される構造である。
なお、前記一般式(4)で表される構造を含む前記一般式(1)で表される化合物としては、特開2011−225431号公報中において一般式(1)で表されている化合物を挙げることができる。
前記一般式(1)におけるnは1から4の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
本発明では、前記含窒素有機化合物が、一般式(7)または(8)あるいはそれらの2量体以上の多量体で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2013232401
一般式(7)および(8)中、n1は1〜5の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。n1は1〜4であることが好ましく、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。n2は1〜4であることが好ましく、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。
但し、前記一般式(7)または(8)で表される化合物は、シアノ基以外の置換基を有していてもよいが、シアノ基のみを有することが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013232401
また、前記含窒素有機化合物は、分子が規則的に配列しやすいという結晶性を有する観点から、含窒素結晶性有機化合物であることが好ましい。但し、含窒素結晶性有機化合物は含窒素金属錯体以外であることが好ましい。含窒素金属錯体は、精製が困難であり、含窒素配位子と金属錯体の組成比が一定であるため、焼成時に分解した際、含窒素配位子の分解速度と配位金属錯体の気化速度の制御ができず、目的とする含窒素カーボンアロイを得ることが難しい。含窒素金属錯体と低分子有機化合物とを混ぜ合わせたとしても、含窒素金属錯体結晶が分解し、金属が直接還元を被るため、生成した近接金属同士が凝集結晶化しやすくなる。酸洗浄により金属が除去されてしまうため、得られる含窒素カーボンアロイが不均一になるため求める機能が低減する。
前記含窒素結晶性有機化合物は、π−π相互作用、配位結合、電荷移動相互作用、及び水素結合より選択される2つ以上の結合又は相互作用により結晶構造を形成していることが好ましい。結晶構造を形成した低分子化合物を用いることにより分子間相互作用を向上させて、含窒素カーボンアロイを得る際の焼成時の気化を抑制することができるためである。
ここで言う結晶構造とは結晶中の分子の配列様式・配置様式のことをいう。言い換えると、結晶構造は単位格子の繰り返し構造からなり、分子はこの単位胞内の任意の部位に配置して、配向をしている。また、結晶中、分子は均一な様体をなしている。すなわち、結晶中の官能基の配置が均一であるため、分子の各相互作用は、単位胞内もしくは単位胞外で同一である。たとえば、積層構造を有する含窒素有機化合物の場合、芳香環、複素環、縮合多環、縮合複素多環、不飽和基(C≡N基、ビニル基、アリル基、アセチレン基)等は相互作用(例えば芳香環はface−to−faceでπ−π相互作用(π−πスタック))が生じる。これらの環や基における不飽和結合由来の炭素のSP2軌道もしくはSP軌道が分子間で規則正しく等間隔で重なることで積層し、積層カラム構造を形成する。
さらにこの積層カラム構造において、隣接する積層カラム間は水素結合またはファンデルワールス相互作用により、分子間距離が規定された均一な構造を有する。このため、結晶内の熱伝達が容易に達成される効果を有する。
また、前記含窒素有機化合物は低分子化合物でありながら結晶性を有し、熱に対してフォノン(量子化された格子振動)により振動緩和され耐熱性を有することが好ましい。そのため分解温度が炭素化温度まで保持され、分解物の気化が低減されて炭素化され、カーボンアロイ骨格が形成される。
結晶性の化合物は焼成時に配向が制御できることから、均一な炭素材料となるため好ましい。
含窒素有機化合物は、さらに融点が25℃以上であることが好ましい。融点が25℃未満であると、焼成時に耐熱性に寄与する空気層が存在せず、温度と蒸気圧の関係から沸騰もしくは突沸してしまい、炭素材料を得ることができない。
前記含窒素有機化合物は、分子量が60〜2000であることが好ましく、100〜1500であることがより好ましく、130〜1000であることが特に好ましい。
前記含窒素有機化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、後述する無機金属塩以外の含窒素有機化合物中の金属含有量は10ppm以下であることが好ましい。なお、分子量を上記範囲とすることで、焼成前の精製が容易となる。
前記含窒素有機化合物の窒素含率は、0.1質量%〜55質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%であることがより好ましく、更に4質量%〜20質量%であることが特に好ましい。上記範囲で窒素原子(N)を含有する化合物を使用することにより、別途窒素源となる化合物を導入する必要がなく、結晶エッジに規則正しく窒素原子と金属が均一に位置して、窒素と金属が相互作用しやすくなる。これにより窒素原子と金属の組成比がより高酸素還元活性を有する組成比となり得る。
また、含窒素有機化合物は、窒素雰囲気下で400℃におけるΔTGが−95%〜−0.1%である難揮発性化合物であることが好ましく、−95%〜−1%である難揮発性化合物であることがより好ましく、−90%〜−5%であることが特に好ましい。含窒素有機化合物は、焼成時に気化しないで、炭素化する難揮発性化合物であることが好ましい。
ここで、ΔTGは前記含窒素有機化合物および前記無機金属塩との混合物のTG−DTA測定において、窒素を毎分100mL流通下、30℃から1000℃まで毎分10℃で昇温した際、室温(30℃)における質量を基準にした400℃での質量減少率を指す。
前記含窒素有機化合物は、前記一般式(1)で表される構造の顔料であることも好ましい。
顔料は分子間でπ−π相互作用により、積層カラム構造を形成し、積層カラム間を水素結合又はファンデルワールス相互作用により、分子間距離が規定された均一な構造を有するため、結晶内の熱伝達が容易に達成される効果を有する。また、低分子化合物でありながら結晶性を有し、熱に対してフォノン(量子化された格子振動)により振動緩和され耐熱性を有する。そのため分解温度が炭素化温度まで保持され、分解物の気化が低減されて炭素化が達成される効果を有する。
なかでも、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、オキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料、また染料を金属イオンで顔料化したレーキ顔料等の顔料が好ましく、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料(後述)がより好ましい。これらの顔料を焼成すると分解生成するベンゾニトリル(Ph−CN)骨格が反応活性種となり、より高い酸素還元反応活性を有するカーボンアロイ触媒が生成するからである。また金属種(M)が共存することによりPh−CN…Mの錯体を形成し、更に高酸素還元反応活性なカーボンアロイが生成する。
(無機金属塩)
前記前駆体の調製には、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩が用いられ、前記前駆体には前記前駆体中に含まれる前記含窒素有機化合物と前記無機金属塩の合計(但し、合計には水和水の質量を含める)に対して、前記無機金属塩(但し、ここでいう無機金属塩には水和水の質量を含める)は、45質量%を超えて含まれることが好ましい。これにより、窒素原子との相互作用によって、より高い酸素還元活性を有するカーボンアロイが生成し得る。含窒素有機化合物を含む有機材料を焼成することにより、含窒素有機化合物が分解し、生成した分解生成物が気相中で含窒素カーボンアロイ触媒が形成される。その際に、気相中に金属が近傍に存在すると、分解生成物は金属と相互作用(錯体を形成)し、含窒素カーボンアロイ触媒の性能が更に向上する。また、窒素原子(N)を構成元素として含む含窒素有機化合物に添加されている特定の遷移金属化合物の触媒作用等により、窒素原子(N)が炭素触媒表面に高濃度に固定化された含窒素カーボンアロイを形成し、この窒素原子(N)と相互作用した遷移金属化合物を含んだ炭素微粒子が形成されることが好ましい。なお、後述する酸処理によって一部の窒素原子(N)と相互作用した遷移金属化合物が脱落してもよい。
コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、クロムの塩は、炭素触媒の触媒活性を向上させるナノサイズのシェル構造を形成することに優れ、その中でも特に、コバルト、鉄は、ナノサイズのシェル構造を形成することに優れるため好ましい。また、炭素触媒に含有されたコバルト、鉄は、炭素触媒中において触媒の酸素還元活性を向上させることができる。遷移金属として最も好ましくは鉄である。鉄含有含窒素カーボンアロイは立上り電位が高く、反応電子数(後述)がコバルトよりも高く、燃料電池の耐久性を比較的向上させるためである。なお、炭素触媒の活性を阻害しない限り、遷移金属以外の元素(例えば、ホウ素、アルカリ金属(Na,K,Cs)、アルカリ土類(Mg,Ca,Ba)、鉛、スズ、インジウム、タリウム等)が1種類以上含まれてもよい。
無機金属塩としては、特に限定はされないが、水酸化物、酸化物、窒化物、硫酸化物、亜硫酸化物、硫化物、スルホン化物、カルボニル化物、硝酸化物、亜硝酸化物、ハロゲン化物等とすることができる。好ましくは対イオンがハロゲンイオン、硝酸イオン又は硫酸イオンである。対イオンがハロゲンイオン、硝酸イオン又は硫酸イオンであるハロゲン化物、硝酸化物、又は硫酸化物であれば、加熱分解時に生成した炭素表面で炭素と結合し、比表面積を増大させるため好ましい。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記無機金属塩がハロゲン化物であることが好ましい。
また無機金属塩は結晶水を含むことができる。無機金属塩が結晶水を含むことにより熱伝導率が向上するため、均一に焼成可能になる点で好ましい。結晶水を含む無機金属塩としては、例えば、塩化コバルト(III)含水塩、塩化鉄(III)含水塩、塩化コバルト(II)含水塩、塩化鉄(II)含水塩を好適に使用することができる。
本発明の含窒素カーボンアロイは前記前駆体中に含まれる前記含窒素有機化合物と前記無機金属塩の合計(但し、合計には水和水の質量を含める)に対して、前記無機金属塩(但し、ここでいう無機金属塩には水和水の質量を含める)が45質量%を超えて含まれることが好ましく、45質量%を超えて85質量%以下含まれることがより好ましく、45質量%を超えて70質量%以下含まれることがさらに好ましい。
この範囲にすることによって、高い酸素還元反応活性(ORR活性)を有するカーボンアロイが生成し得る。
ORR活性は、実施例にて詳述する方法により電流密度を求め、これをORR活性値として測定することができる。高出力を得るために、酸素還元する際の電流密度値が低いことが好ましく、具体的には、−400μA/cm2以下が好ましく、−500μA/cm2以下がより好ましく、−600μA/cm2以下が更に好ましく、最も好ましくは−700μA/cm2以下である。
なお、焼成前の有機材料において、含窒素有機化合物と無機金属塩は均一分散させる必要がないという利点を有する。すなわち、含窒素有機化合物が焼成分解した際に、その分解生成物と無機金属塩等の気化物が接触していれば、酸素還元反応活性を有する活性種が形成すると考えられるため、室温での含窒素有機化合物と無機金属塩との混合状態にカーボンアロイの酸素還元反応活性は影響を受けない。
なお、無機金属塩の粒径は、直径0.001μm以上100μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.01μm以上10μm以下である。無機金属塩の粒径をこの範囲内にすることで、含窒素有機化合物と均一に混合させることが可能となり、含窒素有機化合物が分解生成時に錯体を形成しやすくなる。
(有機金属錯体(β−ジケトン金属錯体))
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記前駆体はβ−ジケトン金属錯体を含む。前記前駆体にβ−ジケトン金属錯体を添加することにより、高いORR活性が得られることに加えて、高反応電子数を示すカーボンアロイ触媒を得ることができる。
前記β−ジケトン金属錯体としては、基礎錯体工学研究会編、錯体化学−基礎と最新の話題−、講談社サイエンティフィク(1994)に記載されている化合物を例示することができ、具体的には金属イオンに配位子が配位した化合物を好ましく例示することができる。なお、β−ジケトン金属錯体は、多様な配位子の配位数をとることができ、配位幾何異性体でもよいし、金属イオンの価数が異なってもよい。また、β−ジケトン金属錯体は、金属−炭素結合を有する有機金属化合物でもよい。
本発明で用いられるβ−ジケトン金属錯体は、下記一般式(6)で表される化合物およびその互変異性体を示す。
Figure 2013232401
一般式(6)中、Mは金属を示し、R1およびR3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、また、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1、R2、R3は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。nは0以上の整数を示し、mは1以上の整数を示す。この化合物においては、金属Mの原子又はイオンに対して、β−ジケトン又はそのイオンが配位又は結合している。
好ましい金属としては、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、クロムを挙げることができ、より好ましくはコバルト、鉄、さらに好ましくは鉄である。
1、R2、R3の置換基を有していてもよい炭化水素基における「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式(ヘテロ環式)炭化水素基、およびこれらが複数個結合した基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などのアルキル基(C1-6アルキル基等);アリル基などのアルケニル基(C2-6アルケニル基等)などが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基(3〜15員のシクロアルキル基等);シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基(3〜15員のシクロアルケニル基等);アダマンチル基などの橋かけ炭素環式基(炭素数6〜20程度の橋かけ炭素環式基等)などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基(アリール基)などが挙げられる。複素環式(ヘテロ環式)炭化水素基としては、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素五員環炭化水素基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基の含窒素六員環炭化水素基;ピロリジジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、イソインインドリニル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、キノリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基等の含窒素縮合二環系炭化水素基;カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、アンチリジニル基等の含窒素縮合三環系炭化水素基;含酸素単環系、含酸素多環系、含硫黄系、含セレン・テルル環系炭化水素基などが挙げられる。
前記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ基などのアルコキシ基(C1-4アルコキシ基等);ヒドロキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C1-4アルコキシ−カルボニル基等);アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基などのアシル基(C1-10アシル基等);シアノ基;ニトロ基などが挙げられる。
1、R2、R3が、それぞれ互いに結合して形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環などの5〜15員のシクロアルカン環又はシクロアルケン環などが挙げられる。
1、R3としては、アルキル基(C1-6アルキル基等)、アルケニル基(C2-6アルケニル基等)、シクロアルキル基(3〜15員のシクロアルキル基等)、シクロアルケニル基(3〜15員のシクロアルケニル基等)、アリール基(C6-15アリール基等)、置換基を有するアリール基(p−メチルフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基などの置換基を有するC6-15アリール基等)などが好ましい。R2としては、水素原子、アルキル基(C1-6アルキル基等)、アルケニル基(C2-6アルケニル基等)、シクロアルキル基(3〜15員のシクロアルキル基等)、シクロアルケニル基(3〜15員のシクロアルケニル基等)、アリール基(C6-15アリール基等)、置換基を有するアリール基(p−メチルフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基などの置換基を有するC6-15アリール基等)などが好ましい。
一般式(6)で表される化合物において、金属の価数nは、0価、1価、2価、3価等のいずれであってもよいが、通常2価または3価である。金属が2価又は3価の場合には、β−ジケトンは、対応するアニオンであるβ−ジケトナートとして配位する。金属の価数をnとした場合、通常、配位数mは同一である。ただし、金属に溶媒等を軸配位させても良く、その場合、金属の価数nと配位数mが異なっても良い。
軸配位しても良い溶媒として、ピリジン、アセトニトリル、アルコール等が例示されるが、軸配位するものであればどの様なものでも良い。
β−ジケトン鉄錯体は、市販のものをそのまま、または精製して使用してもよいし、調製して使用してもよい。また、反応系中で発生させて使用することもできる。反応系中で発生させる場合には、例えば、鉄の塩化物、水酸化物とアセチルアセトン等のβ−ジケトンを添加すればよい。この際、必要に応じてアンモニア、アミン類、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、カルボン酸塩などの塩基を添加することができる。
β−ジケトン鉄錯体の添加量は、通常0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜10モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%程度である。
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法において、前記前駆体は、β−ジケトン金属錯体を単独で用いてもよく、β−ジケトン金属錯体と他の有機金属錯体を混合して用いてもよい。
他の有機金属錯体の金属イオンとして好ましいものは、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、クロムのイオンである。
前記配位子として好ましいものは、単座配位子(ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジン(py)、トリフェニルホスフィン、カルボン酸等)、二座配位子(エチレンジアミン(en)、β‐ジケトナート(アセチルアセトナート(acac)、ピバロイルメタン(DPM)、ジイソブトキシメタン(DIBM)、イソブトキシピバロイルメタン(IBPM)、テトラメチルオクタジオン(TMOD))、トリフルオロアセチルアセトナート(TFA)、ビピリジン(bpy)、フェナントレン(phen)等)、多座配位子(エチレンジアミンテトラ酢酸イオン(edta))等)である。
本発明で用いることができるβ−ジケトン金属錯体を含む有機金属錯体として下記のものを例示することができる。例えば、β−ジケトン金属錯体(ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)2]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)[Fe(acac)3]、ビス(アセチルアセトナト)コバルト(II)[Co(acac)2]、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)[Co(acac)3]、トリス(ジピバロイルメタン)鉄(III)[Fe(DPM)3]、トリス(ジピバロイルメタン)コバルト(III)[Co(DPM)3]、トリス(ジイソブトキシメタン)鉄(III)[Fe(DIBM)3]、トリス(ジイソブトキシメタン)コバルト(III)[Co(DIBM)3]、トリス(イソブトキシピバロイルメタン)コバルト(III)[Co(IBPM)3]、トリス(テトラメチルオクタジオン)鉄(III)[Fe(TMOD)3]、トリス(テトラメチルオクタジオン)コバルト(III)[Co(TMOD)3])、トリス(1,10−フェナントロリナート)鉄(III)塩化物[Fe(phen)3]Cl2、トリス(1,10−フェナントロリナート)コバルト(III)塩化物[Co(phen)3]Cl2、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)酸鉄(II)[Fe(salen)]、 N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)酸コバルト(II)[Co(salen)]、トリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)塩化物[Fe(bpy)3]Cl2、トリス(2,2’−ビピリジン)コバルト(II)塩化物[Co(bpy)3]Cl2、金属フタロシアニン(MPc)、酢酸鉄[Fe(OAc)2]酢酸鉄[Fe(OAc)2]を挙げることができる。その中でもβ−ジケトナート鉄錯体(ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)2]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)[Fe(acac)3]、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(DPM)2]、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)[Fe(DIBM)2]、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(IBPM)2]、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)[Fe(TMOD)2])、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)酸鉄(II)[Fe(salen)]、トリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)塩化物[Fe(bpy)3]Cl2、鉄フタロシアニン(MPc)、酢酸鉄[Fe(OAc)2]、ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)2]が好ましく、本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法では、前記有機金属錯体がβ‐ジケトナート鉄(II)錯体であるアセチルアセトン鉄(II)ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(DPM)2]、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)[Fe(DIBM)2]、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(IBPM)2]、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II) [Fe(TMOD)2]であることが特に好ましい。
(導電助剤)
本発明では、前駆体に導電助剤を添加して焼成しても良いし、カーボンアロイに添加してもよい。導電性助剤が均一に分散されるため好ましくは導電助剤を添加して焼成する方が好ましい。
前記導電助剤としては、特に限定はされないが、例えば、ノーリット(NORIT社製)、ケッチェンブラック(Lion社製)、バルカン(Cabot社製)、ブラックパール(Cabot社製)、アセチレンブラック(Chevron社製)(いずれも商品名)等のカーボンブラック、黒鉛をはじめ、C60やC70等のフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボン繊維等の炭素材料が挙げられる。
導電助剤の添加率は、前駆体の全体質量に対して、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。導電助剤を多く添加しすぎると、系中で無機金属塩から生成する金属の凝集・成長が不均一になり目的とする多孔性含窒素炭素を得ることができないため、不適である。
<昇温工程・炭素化工程>
本発明の製造方法は、含窒素有機化合物とFe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩とを含む前駆体を炭素化温度まで加熱処理することが好ましい。
この炭素化温度までの加熱処理において、昇温処理の部分をまとめて不融化処理とする。
炭素化処理の焼成温度は、含窒素有機化合物が熱分解及び炭素化する温度であれば特に制限されないが、炭素化温度の上限は1000℃である必要がある。炭素化温度が1000℃を超える場合には、炭素骨格中に窒素が残留し難いため、N/C原子比が低下し、酸素還元反応活性が低くなる傾向にある。更に、炭化物の収率が著しく低減し、炭化物が収率よく製造できない場合がある。
反応温度の下限は400℃であることが好ましく、500℃であることがより好ましく、600℃であることが更に好ましい。反応温度を400℃以上にすることによって、十分に炭化が進んで高い触媒性能を有するカーボンアロイが得られる。また、反応温度が1000℃以下であれば炭素骨格中に窒素が残留し、所望のN/C原子比とすることでき、十分な酸素還元反応活性が得られる。
本発明の製造方法が後述する再焼成工程を含む場合、再焼成工程をはじめの炭素化処理を行う温度よりも高温で行う観点から、炭素化処理の焼成温度は、400〜900℃であることが好ましく、500〜850℃であることがより好ましく、600〜800℃の範囲であることが更に好ましい。
炭素化処理においては、被処理物を400℃〜1000℃で、0.1時間〜100時間保持し、より好ましくは1時間〜10時間保持する。10時間を超えて炭化処理しても処理時間に相応する効果は得られない場合がある。
炭素化処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガスまたは非酸化性ガス流通下で行うことが好ましい。ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分であることが好ましく、内径36mmφ当たり0.05〜1.0リットル/分であることがより好ましく、内径36mmφ当たり0.1〜0.5リットル/分のガスを流通させることが特に好ましい。毎分0.01リットル以下で焼成した場合、焼成時に副生したアモルファス状炭素を留去することができず、生成する含窒素カーボンアロイの処理温度低下を引き起こす。また、毎分2.0リットル以上で焼成した場合、炭化する前に基質が気化してしまい含窒素カーボンアロイが生成しないため好ましくない。流速がこの範囲であると、好適に目的とする含窒素カーボンアロイを得ることができるので好ましい。
第一段階で高温度での炭化処理を行うと、カーボンアロイの収率が低減するが、得られるカーボンアロイの結晶子サイズがそろい、そのため金属が均一に分布し、活性が高い状態が保持される。結果として、優れた酸素還元性能を有するカーボンアロイの製造が可能となる。
またこの昇温処理を二段階に分けて昇温しても良い。より具体的には、比較的低温での第一段階の処理を行うことで、熱に不安定な不純物成分、溶媒等を除去することができる。
続いて、第二段階の処理を行うことで、有機材料の分解反応と炭素化反応を連続して行うことができるばかりでなく、分解生成物と金属とが相互作用して、金属を、より活性が高い状態で安定化することができる。例えば鉄イオンを、2価の状態で含むものとすることができる。その結果、高い酸素還元性能を有するカーボンアロイを製造することができる。
更に、第二段階の処理を行うことで、続く炭素化処理における処理温度を上げることができ、炭素構造の規則性がより高められたカーボンアロイを得ることが可能になる。その結果、カーボンアロイの導電性が向上し、高い酸素還元性能が得られ、また、触媒としての耐久性も向上する。
第一段階の温度まで昇温するのは、熱に安定な構造だけを保持し、第二段階の処理に向けて余熱操作を行うためである。第二段階で、炭素化温度まで昇温するのは、適切なカーボンアロイを得るためである。一方、炭素化温度を超えると炭化が過剰に進み、適切なカーボンアロイが得られない場合があることに加え、収率が低下するおそれがある。
第一段階の昇温処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気とは、窒素ガスや希ガス雰囲気下などのガス雰囲気をいう。なお、酸素が含まれていたとしても、被処理物を燃焼させない程度まで酸素量を制限した雰囲気であればよい。当該雰囲気は、閉鎖系又は新たなガスを流通させる流通系の何れであってもよく、好ましくは流通系とする。流通系とする場合には、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分のガスを流通させることが好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.05〜1.0リットル/分のガスを流通させることがより好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.1〜0.5リットル/分のガスを流通させることが特に好ましい。
第一段階の昇温処理では、含窒素有機化合物と無機金属塩等とを含む有機材料を100℃〜500℃まで昇温することが好ましく、150℃〜400℃まで昇温することが更に好ましい。こうすることにより、均一な予備炭化物が得られる。
第一段階の昇温処理は、含窒素有機化合物と無機金属塩等とを含む有機材料を炭化装置等に挿入した後に常温から所定温度まで昇温してもよいし、或いは、所定温度の炭化装置等へ有機材料を挿入してもよい。好ましくは、第一段階の昇温処理は、常温から所定温度まで昇温するのがよい。常温から所定温度まで昇温する場合には、昇温速度を一定にすることが好ましい。より具体的には、昇温速度は毎分1℃以上1000℃以下で昇温することが好ましく、毎分1℃以上500℃以下で昇温することがより好ましい。
第二段階の昇温処理は、第一段階の昇温処理の終了後にそのまま温度を上げて第二段階の昇温処理を行ってもよい。また、一旦室温まで冷却した後に温度を上げ、第二段階の昇温処理を行ってもよい。また、第一段階の昇温処理後に予備炭化物を室温まで冷却した際には、均一に粉砕してもよいし、更に成形してもよいし、酸洗浄をして金属を除去してもよい。均一に粉砕して、酸洗浄を行うことが好ましい。
より具体的には、昇温速度は毎分2℃以上1000℃以下で昇温することが好ましく、毎分5℃以上500℃以下で昇温することがより好ましい。
第二段階の昇温処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、流通系とする場合には、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分のガスを流通させることが好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.05〜1.0リットル/分のガスを流通させることがより好ましく、ガスの流速は、内径36mmφ当たり0.1〜0.5リットル/分のガスを流通させることが特に好ましい。
なお、第二段階のガス流量は、第一段階でのガス流量と異なっていても良い。
炭素化処理は、賦活剤の存在下で行うことが好ましい。賦活剤の存在下、高温で炭化処理することにより、カーボンアロイの細孔が発達して表面積が増大し、カーボンアロイの表面における金属の露出度が向上することにより、触媒としての性能が向上する。なお、炭化物の表面積は、N2吸着量により測定することができる。
使用できる賦活剤としては、特に制限されないが、例えば、二酸化炭素、水蒸気、空気、酸素、アルカリ金属水酸化物、塩化亜鉛、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができ、更に好ましくは、二酸化炭素、水蒸気、空気、酸素からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。二酸化炭素や水蒸気などの気体賦活剤は、第二炭化処理の雰囲気中に2〜80モル%、好ましくは10〜60モル%含有させればよい。2モル%以上であれば十分な賦活効果が得られる一方で、80モル%を超える場合には賦活効果が顕著になり炭化物の収率が著しく低減し、効率よく炭化物を製造することができなくなるおそれがある。また、アルカリ金属水酸化物等の固体賦活剤は、固体の状態で被炭化物と混合してもよく、或いは、水等の溶媒で溶解又は希釈した後、被炭化物を含浸するか、或いはスラリー状にして被炭化物に練り込んでもよい。液体賦活剤は、水等で希釈した後、被炭化物を含浸するか或いは被炭化物に練り込めばよい。
炭素化後に窒素原子を導入することもできる。このとき、窒素原子を導入する方法としては、液相ドープ法、気相ドープ法、又は、気相−液相ドープ法を用いて行うことができる。例えば、カーボンアロイに窒素源であるアンモニア雰囲気下で200℃以上800℃以下、5分以上180分以下保持することにより、熱処理して、炭素触媒の表面に窒素原子を導入することができる。
<冷却工程・粉砕処理>
また、炭素化処理後に、カーボンアロイを室温まで冷却した後、粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理は当業者に公知のいずれの方法でも行うことができ、例えば、ボールミル、機械粉砕等を用いて粉砕することができる。
<酸洗浄工程>
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程を含むことが好ましい。生成したカーボンアロイ触媒の表面上の金属を酸洗浄することにより、ORR活性を飛躍的に向上させることができる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、この酸洗浄処理により、最適な多孔性を有する多孔性含窒素カーボンアロイを得ることができるためと予想される。
酸洗浄処理としては、強酸又は弱酸を含む、任意の水性ブロンステッド(プロトン)酸を酸洗浄工程内で用いることができる。更に、無機酸(鉱酸)又は有機酸を用いることができる。好適な酸の例としては、HCI、HBr、HI、H2SO4、H2SO3、HNO3、HClO4、[HSO4-、[HSO3-、[H3O]+、H2[C24]、HCO2H、HCIO3、HBrO3、HBrO4、HIO3、HIO4、FSO3H、CF3SO3H、CF3CO2H、CH3CO2H、B(OH)3、など(これらの任意の組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
また、特表2010−524195号公報に記載の方法を本発明でも用いることができる。
<再焼成工程>
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことが好ましい。このような再焼成工程により、含窒素カーボンアロイを電極に塗布したときの塗布量の増加に伴って電流密度を向上させることができ、ORR活性を向上させることができる。なお、酸処理工程を経ていない従来のカーボンアロイ(例えば、特開2011−225431号公報に記載のカーボンアロイの700℃焼成品)は、塗布量を増加しても、あまり電流密度に向上が見られない。
再焼成工程をはじめの炭素化処理を行う温度よりも高温で行う観点から、再焼成工程の焼成温度の上限は、1000℃以下であり、焼成温度の下限は500℃以上であることが好ましく、600℃以上であることがより好ましく、700℃以上であることが更に好ましい。
[含窒素カーボンアロイ]
本発明の含窒素カーボンアロイは、本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法で製造される。
上記前駆体の焼成により得られた本発明の含窒素カーボンアロイは、窒素が導入されている含窒素カーボンアロイである。本発明のカーボンアロイには、炭素がsp2混成軌道により化学結合し、二次元に広がった六角網面構造を持つ炭素原子の集合体であるグラフェンが存在することが好ましい。
更に、本発明のカーボンアロイにおいて、炭素触媒中の表面窒素原子の含有量は表面の炭素に対して原子比(N/C)で0.05以上0.3以下であることがより好ましい。窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.05未満の場合には、金属と結合する有効な窒素原子の数が減少し、十分な酸素還元触媒特性が得られなくなる。また、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.4を超える場合には、カーボンアロイの炭素骨格の強度が低下し、また電気伝導性が低下する。
また、カーボンアロイの骨格は、少なくとも炭素原子及び窒素原子により形成されていればよく、その他の原子として水素原子や酸素原子等を含んでいてもよい。その場合、その他の原子と炭素原子及び窒素原子との原子比((その他の原子)/(C+N))は0.3以下であることが好ましい。
比表面積分析は、カーボンアロイを所定の容器に入れて液体窒素温度(−196℃)に冷却し、容器内に窒素ガスを導入して吸着させ、その吸着等温線から単分子吸着量と吸着パラメーターを算出し、窒素の分子占有断面積(0.162cm2)から試料の比表面積を算出して求めるBET(Brunauer−Emmett−Teller)法により求めることができる。
カーボンアロイの細孔形状は特に制限されず、例えば、表面のみに細孔が形成されていても、表面のみならず内部にも細孔が形成されていてもよい。内部にも細孔が形成されている場合には、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状又は六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
カーボンアロイの比表面積は、90m2/g以上であることが好ましく、350m2/g以上であることがより好ましく、670m2/g以上であることが特に好ましい。ただし、触媒活性部位(少なくともCとNと金属イオンを構成要件とする金属配位物、あるいは配置空間(場))が高密度に生成・形成した場合は上記範囲外でもよい。
細孔奥まで酸素が十分に行き届き、十分な酸素還元触媒特性が得られる観点からは、カーボンアロイの比表面積は、3000m2/g以下であることが好ましく、2000m2/g以下であることがより好ましく、1300m2/g以下であることが特に好ましい。
本発明のカーボンアロイの形状は、酸化還元反応活性を有する限り特に限定はされない。例えば、シート状、繊維状、ブロック状、柱状、粒子状、球状以外の多くの楕円、扁平、角型など、大きく歪んだ構造等が挙げられる。分散がし易いという観点から、好ましくはブロック状、粒子状である。
更に、本発明のカーボンアロイを溶媒に分散させることにより、カーボンアロイを含有するスラリーを作製することができる。これにより、例えば、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材の作製を容易する際に、カーボンアロイが溶媒に分散されたスラリーを支持材料に塗布して焼成、乾燥させて、任意の形状に加工した炭素触媒を形成することができる。このようにカーボンアロイをスラリーとすることにより、炭素触媒の加工性が向上し、容易に電極触媒や電極材として用いることができる。
本発明の燃料電池用カーボンアロイ触媒は、前記含窒素カーボンアロイの乾燥後の塗布量が0.01mg/cm2以上であることが好ましく、0.02〜100mg/cm2であることがより好ましく、0.05〜10mg/cm2であることが特に好ましい。
溶媒としては、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒を適宜選択して使用することができる。例えば蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)等一般的な極性溶媒を単独又は複数混合して使用することができる。また、燃料電池の電極触媒を作製する際に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。
<含窒素カーボンアロイの用途>
本発明の含窒素カーボンアロイの用途は、構造材料、電極材料、ろ過材料、触媒材料など特に限定されないが、キャパシタやリチウム2次電池などの蓄電装置の電極材料として用いることが好ましく、高い酸素還元反応活性を有することを特徴とする燃料電池や亜鉛空気電池、リチウム空気電池などの炭素触媒として用いることがより好ましい。また、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備えた電極膜接合体において、上記触媒を該触媒層に含むことができる。更に、上記電極膜接合体は、燃料電池に備えることができる。
(燃料電池)
図1に本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を用いた燃料電池10の概略構成図を示す。炭素触媒はアノード電極及びカソード電極に適用されている。
燃料電池10は、固体高分子電解質14を挟むように、対向配置されたセパレータ12、アノード電極触媒(燃料極)13、カソード電極触媒(酸化剤極)15及びセパレータ16とから構成される。固体高分子電解質14としては、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽イオン交換樹脂膜が用いられる。また、炭素触媒をアノード電極触媒13及びカソード電極触媒15として、固体高分子電解質14の双方に接触させることにより、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15に炭素触媒を備えた燃料電池10が構成される。上述の炭素触媒を固体高分子電解質の双方の面に形成し、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15を電極反応層側で固体高分子電解質14の両主面にホットプレスにより密着することにより、MEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化させる。
従来の燃料電池では、集電体としての機能も有する多孔質のシート(例えば、カーボンペーパー)からなるガス拡散層を、セパレータとアノード及カソード電極触媒との間に介在させていた。これに対して図1の燃料電池10では、比表面積が大きく、更に、気体の拡散性が高い炭素触媒がアノード及びカソード電極触媒として用いることができる。上述の炭素触媒を電極として使用することにより、ガス拡散層が無い場合にも炭素触媒にガス拡散層の作用を持たせ、アノード及びカソード電極触媒13,15とガス拡散層とを一体化した燃料電池を構成することができるため、ガス拡散層を省略することによる燃料電池の小型化や、コストの削減が可能となる。
上記セパレータ12,16は、アノード及びカソード電極触媒層13,15を支持すると共に燃料ガスH2や酸化剤ガスO2等の反応ガスの供給・排出を行う。そして、アノード及びカソード電極触媒13,15にそれぞれ反応ガスが供給されると、両電極に備えられた炭素触媒と固体高分子電解質14との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電力が発生する。
上記電気化学反応において、
カソード側:O2+4H++4e-→2H2
アノード側:H2→2H++2e-
の反応が起こり、アノード側で生成されたH+イオンは固体高分子電解質14中をカソード側に向かって移動し、e-(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。一方、カソード側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、アノード側から移動してきたH+イオン及びe-とが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
(蓄電装置)
次に、本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を電極材に適用した蓄電装置について説明する。図2に該炭素触媒を用いた、蓄電容量に優れた電気二重層キャパシタ20の概略構成図を示す。
図2に示した電気二重層キャパシタ20は、セパレータ23を介して、分極性電極である第1の電極21及び第2の電極22が対向し、外装蓋24aと外装ケース24bの中に収容されている。また、第1の電極21及び第2の電極22は、それぞれ集電体25を介して、外装蓋24aと外装ケース24bに接続されている。また、セパレータ23には、電解液が含浸されている。そして、ガスケット26を介して電気的に絶縁させた状態で、外装蓋24aと外装ケース24bとをかしめて密封させて電気二重層キャパシタ20が構成されている。
図2の電気二重層キャパシタ20において、上述の炭素触媒を第1の電極21及び第2の電極22に適用することができる。そして、電極材に炭素触媒が適用された電気二重層キャパシタを構成することができる。上述の炭素触媒は、ナノシェル炭素が集合した繊維状の構造を有し、更に、繊維径がナノメートル単位であるため比表面積が大きく、キャパシタにおいて電荷が蓄積する電極界面が大きい。更に、上述の炭素触媒は、電解液に対して電気化学的に不活性であり、適度な電気導電性を有する。このため、キャパシタの電極として適用することにより、電極の単位体積あたりの静電容量を向上させることができる。
また、上述のキャパシタと同様に、例えば、リチウムイオン二次電池の負極材等のように、炭素材料から構成される電極材として上述の炭素触媒を適用することができる。そして、炭素触媒の比表面積が大きいことにより、蓄電容量の大きな二次電池を構成することができる。
(環境触媒)
次に、本発明のカーボンアロイを、白金等の貴金属を含む環境触媒の代替品として使用する例について説明する。
汚染空気に含まれる汚染物質を(主にガス状物質)等を分解処理により除去するための排ガス浄化用触媒として、白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物されて構成された触媒材料による環境触媒が用いられている。これらの白金等の貴金属を含む排ガス浄化用触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。上述の炭素触媒は、酸素還元反応触媒作用が付与されているため、汚染物質等の被処理物質の分解機能を有する。このため、上述の炭素触媒を用いて環境触媒を構成することにより、白金等の高価な貴金属類を使用する必要がないため、低コストの環境触媒を提供することができる。また、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの被処理物質を分解する処理面積を大きくすることができ、単位体積あたりの分解機能が優れた環境触媒を構成できる。
なお、上述の炭素触媒を担体として、従来の環境触媒に使用されている白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物を担持させることにより、より分解機能等の触媒作用に優れた環境触媒を構成することができる。なお、上述の炭素触媒を備える環境触媒は、上述の排ガス浄化用触媒だけでなく、水処理用の浄化触媒として用いることもできる。
また、本発明のカーボンアロイは、広く化学反応用の触媒として使用することができ、中でも白金触媒の代替品として使用することができる。つまり、白金等の貴金属を含む化学工業用の一般的なプロセス触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。このため、上述の炭素触媒によれば、白金等の高価な貴金属類を使用することなく、低コストの化学反応プロセス触媒を提供することができる。更に、上述の炭素触媒は、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの化学反応効率に優れた化学反応プロセス触媒を構成することができる。
このような化学反応用の炭素触媒は、例えば、水素化反応用触媒、脱水素反応用触媒、酸化反応用触媒、重合反応用触媒、改質反応用触媒、水蒸気改質用触媒等に適用することができる。更に具体的には、「触媒調製(講談社)白崎高保、藤堂尚之共著、1975年」等の触媒に関する文献を参照し、各々の化学反応に炭素触媒を適用することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<含窒素カーボンアロイの物性評価方法>
(BET法による比表面積測定)
酸洗浄前の含窒素カーボンアロイ試料、および酸洗浄後に単離した含窒素カーボンアロイ試料について、試料前処理装置(日本ベル社製、BELPREP−flow(商品名))を用いて、含窒素カーボンアロイ試料を200℃、3時間、真空下で乾燥した。
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−miniII(商品名))を用いて、含窒素カーボンアロイの比表面積を簡易測定条件で測定した。
比表面積は、装置備え付けの解析プログラムを用いて、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により求めた。
[比較例1]
<塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(C1C)>
(塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製、前記化合物(B−9)) 2.372gに、塩化コバルト(II)6水和物(和光純薬社製)を0.728g添加後、メノウ乳鉢で混合し、塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物(C1A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C733、分子量:129.119
元素分析(計算値):C,65.11;H,2.34;N,32.54
(不融化及び炭素化処理)
塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物(C1A)3.0142gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C1B)0.4037gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(C1B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C1B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C1C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C1C)を比較例1の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
1.カーボンアロイ塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性(電流密度評価)
(カーボンアロイ塗付電極の作製)
得られた比較例1の含窒素カーボンアロイ材料10mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)110mgと溶媒としての水2.4mL、1−プロパノール(IPA)1.6mLを加え、7mmφのアタッチメントを接続した超音波ホモジナイザー(日精社製、US−150T(商品名))で30分間分散させた。回転リングディスク電極(北斗電工社製HR2−RD1−Pt8/GC5(商品名))を用い、含窒素カーボンアロイ分散液を含窒素カーボンアロイが0.05mg/cm2になるようにカーボン電極上に塗布し、室温で乾燥させて、カーボンアロイ塗付電極を得た。
(カーボンアロイ塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性測定)
Automatic Polarization System(北斗電工(株)社製、HZ−3000(商品名))に回転電極装置(北斗電工(株)社製、HR−201(商品名))を接続し、作用極は前記で得られたカーボンアロイ塗付電極、対極と参照極はそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて以下の手順により測定した。
A.カーボンアロイ材料塗付電極のクリーニングのため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/s、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転速度1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
C.酸素還元活性測定のため、酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元活性として採用した。得られたボルタモグラム(電圧−電流密度曲線)から、電圧0.7V vs.NHEの時の電流密度を求め、これをORR活性値とした。
得られた結果を下記表1に記載した。
2.カーボンアロイ塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性(立上り電位評価)と酸素還元反応の反応電子数
(カーボンアロイ塗付電極の作製)
得られた比較例1の含窒素カーボンアロイ材料10mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)110mgと溶媒としての水2.4mL、1−プロパノール(IPA)1.6mLを加え、7mmφのアタッチメントを接続した超音波ホモジナイザー(日精社製、US−150T(商品名))で30分間分散させた。回転リングディスク電極(北斗電工社製HR2−RD1−Pt8/GC5(商品名))を用い、含窒素カーボンアロイ分散液を0.5mg/cm2になるようにカーボン電極上に塗布し、室温で乾燥させて、カーボンアロイ塗付電極を得た。
(カーボンアロイ塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性(立上り電位評価)と酸素還元反応の反応電子数の評価)
立上り電位を酸素還元反応活性測定から、また酸素還元反応における反応電子数を、過酸化水素発生量の測定により、以下の方法によって求めた。
Automatic Polarization System(北斗電工(株)社製、HZ−3000(商品名))に回転電極装置(北斗電工(株)社製、HR−201(商品名))を接続し、作用極は前記の回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)で、対極と参照極はそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて以下の手順により測定した。
A.カーボンアロイ材料塗付電極のクリーニングのため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/s、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、20℃、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転速度1500rpmで回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)のリニアースイープボルタンメトリーを各々測定した。
C.酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを、回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)で各々測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元活性として採用した。得られたボルタモグラム(電圧−電流密度曲線)から、電流密度1mA/cm2の時の電位(vs.NHE)を求め、これを触媒活性の指標であるカーボンアロイ塗付電極の立上り電位とした。
E.Cの回転リングディスク電極(カーボンアロイ塗付電極と白金リングディスク電極)の測定データからBの測定データを各々減算し、各電位に対する電流値(ID,IR)を算出した。
A. Ohmaら、Electrochimica Acta,55,8829(2010)の手法により下式に従い、H22発生割合(%)を算出した。
Figure 2013232401
次いで、酸素還元反応電子数を下式に従い算出した。
・酸素還元反応電子数=4×(1−H22生成割合(%)/100%)+2×H22発生割合(%)/100%
得られた結果を下記表1に記載した。
[比較例2]
<塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(C2C)>
(塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 0.955gに、塩化鉄(II)4水和物99.9%(和光純薬社製)を0.245g添加後、メノウ乳鉢で混合し、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(C2A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(C2A)3.0116gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C2B)0.6538gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(C2B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C2B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C2C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C2C)を比較例2の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた比較例2の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。それらの結果を、下記表1に記載した。
[比較例3]
<DCPyの炭素材料合成(C3C)>
[不融化および炭素化処理]
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.000gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却したところ、炭素材料を得ることができなかった。
[比較例4]
<FePc添加DCPy混合物の炭素材料合成(C4C)>
(FePc添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)1.788gに、鉄フタロシアニン(FePc、東京化成社製)1.312g添加後、メノウ乳鉢で混合し、FePc添加DCPy混合物(C4A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C3216FeN8、分子量:568.368
元素分析(計算値):C,67.62;H,2.84;Fe,9.83;N,19.71
(不融化及び炭素化処理)
FePc添加DCPy混合物(C4A)1.0345gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C4B)0.1327gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(C4B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C4B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C4C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C4C)を比較例4の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた比較例4の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[比較例5]
<FeAA2添加DCPy混合物の炭素材料合成(C5C)>
(FeAA2添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)2.334gに、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.766g添加後、メノウ乳鉢で混合し、FeAA2添加DCPy混合物(C5A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C1014Fe14、分子量:254.061
元素分析(計算値):C,47.27;H,5.55;Fe,21.98;O,25.19
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2添加DCPy混合物(C5A)2.7681gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(C5B)1.3326gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(C5B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(C5B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C5C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C5C)を比較例5の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた比較例5の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。それらの結果を、下記表1に記載した。
[実施例1]
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物の炭素材料合成(1C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物の調製)
下記構造のDCPN(Aldrich社製、前記化合物(B−3)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.255g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(1A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C82Cl22、分子量:197.02
元素分析(計算値):C,48.77;H,1.02;Cl,35.99;N,14.22
(不融化及び炭素化処理)
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPN混合物(1A)3.0316gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(1B)1.0661gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(1B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(1B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(1C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(1C)を実施例1の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例1の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例2]
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の炭素材料合成(2C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の調製)
下記構造のTCB(東京化成工業社製、前記化合物(B−4)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を0.74g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.034g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(2A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C1024、分子量:178.15
元素分析(計算値):C,67.42;H,1.13;N,31.45
(不融化及び炭素化処理)
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物(2A)1.0311gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(2B)0.1731gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(2B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(2B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(2C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(2C)を実施例2の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例2の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例3]
<鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の炭素材料合成(3C)>
(鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物の調製)
TCB(東京化成工業社製、前記化合物(B−4)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)を1.99g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)を0.179g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(3A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
鉄(II)アセチルアセテート、塩化鉄(II)4水和物添加TCB混合物(3A)3.1770gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(3B)1.2056gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定)
炭素材料(3B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(3B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(3C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(3C)を実施例3の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例3の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例4]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物の炭素材料合成(4C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物の調整]
3,4−ピリジルジアミド(PyDA、東京化成工業社製、前記化合物(B−15)) 4.00gに、塩化鉄(II)4水和物、99.9%(和光純薬社製)2.80g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.26gを添加後、メノウ乳鉢で混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物(4A)を得た。
Figure 2013232401
分子式:C7732、分子量:165.15
元素分析(計算値):C,50.91;H,4.27;N,25.44;O,19.38
[不融化及び炭素化処理]
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加PyDA混合物(4A)3.1820gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(4B)0.5936gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定]
炭素材料(4B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(4B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(4C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(4C)を比較例6の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例4の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例5]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(5C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(5A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(5A)3.0986gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(5B)0.7323gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(5B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(5C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(5C)を実施例5の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例5の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例6]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(6C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.40g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(6A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(6A)3.0689gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(6B)0.5789gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(6B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(6C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(6C)を実施例6の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例6の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例7]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(7C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(7A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(7A)3.1581gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(7B)0.9312gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(7B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(7C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(7C)を実施例7の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例7の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例8]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(8C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 3.20g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(8A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(8A)3.0806gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(8B)0.8857gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(8B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(8C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(8C)を実施例8の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例8の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例9]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(9C)>
塩化鉄(II)4水和物99.9% 3.60g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(9A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(9A)3.0843gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(9B)0.9681gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(9B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(9C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(9C)を実施例9の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例9の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例10]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(10C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 6.30g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 6.30g、鉄(II)アセチルアセトナート(FeAA2、Aldrich社製)0.4024gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(10A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(10A)3.0228gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(10B)0.8442gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(10B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(10C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(10C)を実施例10の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例10の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例11]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(11C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.40g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.179gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(11A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(11A)3.0474gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(11B)0.9342gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(11B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(11C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(11C)を実施例11の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例11の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例12]
<FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(12C)>
(FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00g、鉄(III)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA3、Aldrich社製)0.355gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(12A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(12A)3.1380gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(12B)0.8470gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(12B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(12C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(12C)を実施例12の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例12の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例13]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(13C)>
(FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
塩化鉄(II)4水和物99.9% 4.00g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)64.40g、鉄(II)アセチルアセトナート、99.95%(FeAA2、Aldrich社製)0.4024gを添加後、機械粉砕・混合し、FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(13A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(13A)3.0375gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(13B)0.5624gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(13B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(13C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(13C)を実施例13の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例13の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例14]
<Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(14C)>
(Fe(DPM)2の調製)
Inorg.Chem.1965,4,920−921.に記載の方法を改良して下記の手順に従い、Fe(DPM)2を調整した。
窒素雰囲気下、500 mlの3口フラスコに、9.0 gのFeSO4・7H2O、1.4gのNa224、135 mlの窒素脱気水を添加後、14.9gのDPMを270mlのメタノールに溶解し、窒素脱気溶液を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に、97mlの1規定のNaOH水溶液を加えた。得られた結晶をろ過し、水、ヘキサンで洗浄後、乾燥させ、Fe(DPM)2を11.7g、85%収率で得た。
Figure 2013232401
(Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
上述のFe(DPM)2 0.425g,塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(14A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
Fe(DPM)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(14A)0.9913gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(14B)0.1418gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(14B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(14C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(14C)を実施例14の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例14の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例15]
<Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(15C)>
(Fe(TMOD)2の調製)
Inorg.Chem.1965,4,920−921.に記載の方法を改良して下記の手順に従い、Fe(TMOD)2を調整した。
窒素雰囲気下、500mlの3口フラスコに、3.0gのFeSO4・7H2O、0.47gのNa224、45mlの窒素脱気水を添加後、5.4gのTMODを90mlのメタノールに溶解し、窒素脱気溶液を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に、32mlの1規定のNaOH水溶液を加えた。得られた結晶をろ過し、水、ヘキサンで洗浄後、乾燥させ、Fe(TMOD)2を40g、89%収率で得た。
Figure 2013232401
(Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
上述のFe(TMOD)2 0.4531g,塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(15A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
Fe(TMOD)2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(15A)1.0463gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(15B)0.0852gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(15B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(15C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(15C)を実施例15の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例15の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例16]
<Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(16C)>
(Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の調製)
Fe(TMOD)3(豊島製作所社製)0.4024g、塩化鉄(II)4水和物99.9% 2.80g、3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製) 4.00gを添加後、機械粉砕・混合し、Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(16A)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
Fe(TMOD)3、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物(16A)3.0632gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(16B)0.8058gを得た。
(粉砕・酸洗浄処理)
炭素材料(16B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(16C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(16C)を実施例16の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例16の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例17]
<FeAA2、塩化コバルト(II)6水和物添加DCPy混合物の炭素材料合成(17C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例10の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例17の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例10の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(10C)0.5178gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から900℃まで毎分5℃昇温、900℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(17B)0.4750gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理]
炭素材料(17B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(17C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(17C)を実施例17の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例17の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例18]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の再焼成および酸処理(18C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例10の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例18の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例10の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(10C)0.4036gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(18B)0.2927gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理]
炭素材料(18B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(18C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(18C)を実施例18の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例18の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例19]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の粉砕、再焼成および酸処理(19C)>
(粉砕処理)
実施例7の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例19の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例7の含窒素カーボンアロイとして製造した酸洗浄済み炭素材料(7C)をワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間機械粉砕し、炭素材料粉砕品(7D)を得た。
(不融化及び炭素化処理)
炭素材料粉砕品(7D)0.5086gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(19B)0.3802gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理]
炭素材料(19B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(19C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(19C)を実施例19の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例19の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例20]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物の炭素材料の再焼成および酸処理(20C)>
(不融化及び炭素化処理)
実施例7の含窒素カーボンアロイの再焼成を以下の手順で行い、実施例20の含窒素カーボンアロイを製造した。
実施例7の炭素材料粉砕品(7D)0.5032gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
昇温時に窒素を止め、30℃から1000℃まで毎分5℃昇温、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(20B)0.3194gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理]
炭素材料(20B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(20C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(20C)を実施例20の含窒素カーボンアロイとした。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例20の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例21]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物の炭素材料合成(21C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物の調整]
実施例7において上述の塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物8.00gに導電助剤ケッチェンブラックEC600JD 1.20g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(21A)を得た。
[不融化及び炭素化処理]
塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(21A)1.0568gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(21B)0.7858gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定]
炭素材料(21B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(21B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(21C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(21C)を実施例21の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例21の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
[実施例22]
<FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤10%添加DCPy混合物の炭素材料合成(22C)>
[FeAA2、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤10%添加DCPy混合物の調整]
実施例7において上述の塩化鉄(II)4水和物添加DCPy混合物8.00gに導電助剤ケッチェンブラックEC600JD 0.80g添加後、ワーリング社製X−TREME MX1200XTMを用いて10000rpm、50秒間混合し、塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(22A)を得た。
[不融化及び炭素化処理]
塩化鉄(II)4水和物、導電助剤15%添加DCPy混合物(22A)3.1204gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分300mL、30分間室温で流通させた。
30℃から700℃まで毎分5℃昇温、700℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素材料(22B)1.1800gを得た。
[粉砕・酸洗浄処理・比表面積測定]
炭素材料(22B)をメノウ乳鉢で粉砕し、酸無洗浄炭素材料を得た。得られた酸無洗浄炭素材料の比表面積を、BET法により測定した結果を、下記表1の酸洗浄前の欄に記載した。
炭素材料(22B)をメノウ乳鉢で粉砕して得られた酸無洗浄炭素材料を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。更に得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(22C)を得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(22C)を実施例22の含窒素カーボンアロイとした。その比表面積をBET法により測定した。その結果を、下記表1の酸洗浄後の欄に記載した。
(カーボンアロイ塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定・酸素還元反応の反応電子数)
得られた実施例22の含窒素カーボンアロイ材料を用いた以外は比較例1と同様にしてカーボンアロイ塗付電極を製造し、ORR活性値(電流密度、立上り電位)および酸素還元反応における反応電子数を測定した。その結果を、下記表1に記載した。
Figure 2013232401
上記表1より、本発明の製造方法で製造された含窒素カーボンアロイは、酸化還元活性が十分に高いか、酸化還元反応の反応電子数が多いことがわかった。さらに、本発明のより好ましい製造方法である酸洗浄を行って製造された酸洗浄後に単離した本発明の含窒素カーボンアロイは、酸洗浄前の含窒素カーボンアロイよりも酸化還元活性が向上したことがわかった。なお、このように酸洗浄後に単離することで含窒素カーボンアロイの性能が大幅に向上することは、酸洗浄前の値と酸洗浄後の値を直接比較していない特開2011−245431号公報やその他の先行技術文献からは予想できないことであった。
一方、比較例1、2、4および5より、無機金属塩および有機金属錯体のいずれ一方を含まない場合は、酸化還元活性が低く、酸化還元反応の反応電子数も少ないことがわかった。
比較例3より、無機金属塩を用いない場合は、カーボンアロイを製造することができなかった。なお、比較例3のORR活性のN.D.は炭化物を得ることができなかったことを意味する。
(燃料電池発電性能評価)
さらに、本発明の含窒素カーボンアロイ材料からカソード用非白金触媒インク(13E)、(17E)、(18E)、(20E)および、比較例のカソード用炭素材料インク(C1E)、(C2E)、(C4E)、(C5E)を調整し、このインクを用いて電極複合膜を調製後、評価用電池(Cell−1)〜(Cell−8)を組立て、電流−電圧計測を行った。
(1)触媒インクの調整
(1)−1 カソード用触媒インク(20E)の調製
0.1gの実施例20の含窒素カーボンアロイ材料(20C)、1.0gの5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、アルドリッチ社製:製品番号274704)、0.25mLの水(イオン交換水)、及び0.5mLの1−プロパノールを、超音波分散機で2.5時間分散し、カソード用非白金触媒インク(20E)を得た。
(1)−2アノード用触媒インクの調製
50質量%白金が担持された白金担持カーボン(TEC10V50E、田中貴金属工業(株)社製)0.5gをガラス容器に秤取り、0.8mLの水を加えた後、セプタムシールでガラス容器を封管し、容器内を窒素置換した。前記と同じ市販の5質量%ナフィオン4.3mLと1−プロパノール1mLを前記ガラス容器内に注入し、超音波を2.5時間照射することでアノード用触媒インクを得た。
(2)転写用触媒塗布膜の作製
(2)−1 カソード用触媒膜の調製
(1)−1で調製したカソード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、200μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、67.5mg(2.7mg/cm2)であった。
(2)−2 アノード用触媒膜の調製
(1)−2で調製したアノード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、300μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、18mg(0.24mg/cm2)であった。
(3)転写用プロトン伝導膜の調製
ナフィオン膜(NR212、デュポン社製)を8cm×8cmサイズの正方形にカットしたものを、1mol/Lの水溶液に10時間浸漬し、イオン交換水で水洗した後、乾燥し、転写用プロトン伝導膜を得た。
(4)電極複合膜の調製
10cm×10cmサイズの正方形にカットした2枚のポリイミド膜(ユーピレックス75:宇部興産社製)の間に、(2)−1で調製した触媒膜、(3)で調製したプロトン伝導膜、(2)−2で調製した触媒膜の順に重ね合わせた。この際、触媒膜がプロトン伝導膜の中央で、塗布面がプトロン伝導膜に接する向きとした。この重ね合わせたシートを210℃、15MPaで10分間プレスした。2枚のポリイミド膜から、熱圧着された膜を取り出し、カソード塗布膜とアノード塗布膜のベースであるテフロン(登録商標)シートを剥離することにより、プロトン伝導膜の両面に触媒層が転写された電極複合膜を得た。この電極複合膜を0.5mol/Lの硫酸水溶液に10時間浸漬した後、イオン交換水で水洗し、乾燥後、目的の電極複合膜を得た。
(5)評価用燃料電池の組立て
(4)で得た電極複合膜を、5cm×5cmサイズの正方形にカットした2枚のカーボンクロス(ガス拡散層ELAT BASF社製)で挟み、200μm厚みのガスケット(テプロン製)を使用して、JARI標準セル(エフシー開発(株)社製)に組み込み、触媒有効面積25cm2の燃料電池セル(Cell−1)を得た。電極複合膜の調製10cm×10cmサイズの正方形にカットした2枚のポリイミド膜(ユーピレックス75:宇部興産社製)の間に、(2)−1で調製した触媒膜、(3)で調製したプロトン伝導膜、(2)−2で調製した触媒膜の順に重ね合わせた。この際、触媒膜がプロトン伝導膜の中央で、塗布面がプトロン伝導膜に接する向きとした。この重ね合わせたシートを210℃、15MPaで10分間プレスした。2枚のポリイミド膜から、熱圧着された膜を取り出し、テフロン(登録商標)シートを剥離することにより、プロトン伝導膜の両面に触媒層が転写された電極複合膜を得た。
(6)評価用燃料電池の組立て
(4)で得た電極複合膜を、5cm×5cmサイズの正方形にカットした2枚のカーボンクロス(ガス拡散層ELAT BASF社製)で挟み、200μm厚みのガスケット(テプロン製)を使用して、JARI標準セル(エフシー開発(株)社製)に組み込み、触媒有効面積25cm2の燃料電池セル(Cell−1)を得た。
(7)発電性能評価
この燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気を供給した。水素及び空気の加湿は、水を貯めたバブラーに各ガスを通すことで行った。水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は1000ml/分、空気のガス流量は2500ml/分とし、常圧下で測定した。
燃料電池セルの電流値を0Aから16Aまで、30秒毎に変化させ、各電流での安定した電圧を計測した。
前記、(1)から(5)と同様の手順で、(1)−1で用いた実施例20のカソード用炭素材料インク(20E)の代わりに、本発明の含窒素カーボンアロイ材料から調整したカソード用非白金触媒インク(13E)、(17E)、(18E)、(および、比較例のカソード用炭素材料インク(C1E)、(C2E)、(C4E)、(C5E)を用い、評価用電池(Cell−2)〜(Cell−8)を組立て、(6)と同様に電流−電圧計測を行った。電流値2Aにおける電圧を表2に示した。
Figure 2013232401
上記表2より、本発明の製造方法で製造された含窒素カーボンアロイを用いたCell1〜4は、いずれも発電性能が高いことがわかった。
特に、本発明のより好ましい製造方法である多段階製造された本発明の含窒素カーボンアロイは、一段焼成された含窒素カーボンアロイよりも発電性能が高いことが分かった。
一方、比較例1、2、4および5の炭素材料を用いたCell5〜8より、前駆体混合物に、含窒素有機化合物と、無機金属塩または有機金属錯体のどちらか一方を含まない場合、発電性能が低いことがわかった。
無機金属塩のみを添加してなる炭素材料を用いたCell5,6よりも、無機金属塩に有機金属錯体を添加してなる炭素材料を用いたCell1〜4とすることにより、発電性能が高くなる。
さらに、有機金属錯体のみを用いたCell7,8よりも、無機金属塩に有機金属錯体を添加してなる炭素材料を用いたCell1〜4とすることにより、発電性能が高くなる。
このように有機金属錯体と無機金属塩が共存することにより発電性能が向上することは予想できなかった。
10…燃料電池、
12…セパレータ、
13…アノード電極触媒、
14…固体高分子電解質、
15…カソード電極触媒、
16…セパレータ、
20…電気二重層キャパシタ、
21…第1の電極、
22…第2の電極、
23…セパレータ、
24a…外装蓋、
24b…外装ケース、
25…集電体、
26…ガスケット

Claims (17)

  1. 含窒素有機化合物と、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち1種類以上を含む無機金属塩とβ−ジケトン金属錯体とを含む前駆体を焼成する工程を含み、
    前記含窒素有機化合物が下記一般式(1)で表わされる化合物およびその互変異性体、ならびに、それらの塩またはそれらの水和物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
    Figure 2013232401
    (一般式(1)においてQは5〜7員環の芳香族環またはヘテロ環を表し、Rは、下記一般式(2)〜(5)で表される置換基を表し、nは1から4の整数を表す。)
    一般式(2)
    *−CN
    Figure 2013232401
    (一般式(3)〜(5)中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または隣り合う2つの置換基で形成されるヘテロ環を表し、*はQへの結合部を表す。)
  2. 前記β−ジケトン金属錯体が、下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
    Figure 2013232401
    (一般式(6)中、Mは金属を示し、R1およびR3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、また、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1、R2、R3は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。nは0以上の整数を示し、mは1以上の整数を示す。この化合物においては、金属Mの原子又はイオンに対して、β−ジケトン又はそのイオンが配位又は結合している。)
  3. 前記β−ジケトン金属錯体がアセチルアセトン鉄(II)、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)であることを特徴とする請求項1または2に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  4. 前記無機金属塩がハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  5. 前記無機金属塩の金属種が、FeまたはCoであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  6. 前記一般式(1)中、Qが5または6員環の芳香族環またはヘテロ環、あるいはそれらを含む縮合環であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  7. 前記Qがベンゼン環またはピリジン環、またはそれらを含む縮合環であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  8. 前記含窒素有機化合物が、一般式(7)または(8)あるいはそれらの2量体以上の多量体で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
    Figure 2013232401
    (一般式(7)および(8)中、n1は1〜5の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。)
  9. 前記焼成工程の後に、焼成された含窒素カーボンアロイを酸で洗浄する酸洗浄工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  10. 前記酸洗浄工程の後に、酸洗浄された含窒素カーボンアロイを再焼成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  11. 前記前駆体がさらに導電助剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイの製造方法で製造されたことを特徴とする含窒素カーボンアロイ。
  13. Brunauer−Emmett−Teller法による比表面積が670m2/g以上であることを特徴とする請求項12に記載の含窒素カーボンアロイ。
  14. 請求項12または13に記載の含窒素カーボンアロイを含有するカーボンアロイ触媒。
  15. 前記含窒素カーボンアロイの乾燥後の塗布量が0.05mg/cm2以上であることを特徴とする請求項14に記載のカーボンアロイ触媒。
  16. 請求項14または15に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする膜/電極接合体。
  17. 請求項14または15に記載のカーボンアロイ触媒を用いたことを特徴とする燃料電池。
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