JP2016178005A - 複合体、複合体の製造方法及び燃料電池触媒 - Google Patents

複合体、複合体の製造方法及び燃料電池触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、より高い酸素還元反応活性を有する複合体を提供することを課題とする。さらに本発明は、複合体の製造方法及び燃料電池触媒を提供することも課題とする。
【解決手段】本発明の複合体は、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブとを含み、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部は、骨格材料に担持され、含窒素カーボンナノチューブの直径をAとして、骨格材料の理論細孔径をBとした場合、A>Bである。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合体及び燃料電池触媒に関する。具体的には、本発明は、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブを含む複合体であって、所定の構造を有する複合体に関する。さらに、本発明は、このような複合体を用いた燃料電池触媒に関する。
従来、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等を用いる貴金属系触媒は、高い酸素還元反応活性を有する触媒として、例えば自動車や家庭用電熱併給システム等に使用される固体高分子電解質型燃料電池に用いられてきた。しかし、このような貴金属系触媒は高コストであるため、白金を大幅に低減した触媒や、白金を使用することなく形成された触媒の技術開発が進められている。
白金を使用することなく形成され得る触媒としては、炭素触媒が知られている。例えば、特許文献1には、s-トリアジン環誘導体と金属との複合体からなる固体高分子型燃料電池触媒が開示されている。また、特許文献2には、分子量が60〜2000の含窒素複素環化合物と無機金属又は無機金属塩を焼成して製造される含窒素カーボンアロイ触媒が開示されている。特許文献3には、含窒素複素環化合物、金属錯体及びMOF(Metal−Organic frameworks)等の骨格材料の混合物を焼成して製造される含窒素カーボンアロイ触媒が開示されている。特許文献3では、含窒素複素環化合物としてTPTZ(2,4,6−トリ(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン)が用いられている。
また、導電性の有機材料として、カーボンナノチューブ等のナノ導電性材料が知られている。このような導電性材料は燃料電池用の触媒等として利用することが検討されている。例えば、特許文献4には、炭素及び窒素を含む含窒素有機化合物と、金属塩を含む懸濁液を用いて含窒素カーボンナノチューブを製造する方法が開示されている。非特許文献1には、含窒素カーボンナノチューブを燃料電池触媒として利用する方法が開示されている。
特開2007−175578号公報 特開2011−225431号公報 特表2014−512251号公報 特表2011−506255号公報
Science,2009,323,760.
上述した含窒素カーボンアロイ触媒は、白金を用いなくとも触媒活性を発揮することができるため、炭素触媒として用いられている。また、上述した含窒素カーボンナノチューブも炭素触媒として用いられている。
しかしながら、近年の燃料電池等の用途では、さらに高い酸素還元反応活性を有することが求められる場合があり、従来の含窒素カーボンアロイ触媒等にはさらなる改善が求められていた。そこで本発明者らは、より高い酸素還元反応活性を有する含窒素カーボンアロイ(以下、複合体ともいう)を製造することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブを含む複合体において、所定の構造となるように含窒素カーボンナノチューブを担持させ、かつ、含窒素カーボンナノチューブの直径と、骨格材料の理論細孔径との関係を所定条件とすることにより、より高い酸素還元反応活性を有する複合体が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブとを含み、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部は、骨格材料に担持され、含窒素カーボンナノチューブの直径をAとして、骨格材料の理論細孔径をBとした場合、A>Bである複合体。
[2]含窒素カーボンナノチューブの直径が10nm以上である[1]に記載の複合体。
[3]含窒素カーボンナノチューブの長さが80nm以上である[1]又は[2]に記載の複合体。
[4]骨格材料は、ゼオライト型イミダゾール骨格材料である[1]〜[3]のいずれかに記載の複合体。
[5]含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種とを含む前駆体を、400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程を含む複合体の製造方法。
[6]一次焼成する工程の後に、900℃以上で二次焼成する工程を含む[5]に記載の複合体の製造方法。
[7]二次焼成する工程の後に、二次粉砕する工程と、再焼成する工程とをさらに含む[6]に記載の複合体の製造方法。
[8]再焼成する工程は、900〜1500℃で焼成する工程である[7]に記載の複合体の製造方法。
[9]再焼成する工程の前に、脱気及び窒素置換する工程をさらに含む[7]又は[8]に記載の複合体の製造方法。
[10]二次粉砕する工程の後に、酸洗浄工程及び乾燥工程をさらに含む[7]に記載の複合体の製造方法。
[11]一次焼成する工程の前に、前駆体を粉砕する工程をさらに含む[5]に記載の複合体の製造方法。
[12]含窒素有機化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である[5]〜[11]のいずれかに記載の複合体の製造方法;
一般式(1)中、Qは、少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団を表し、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、少なくとも1つのRは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表す;nは0〜4の整数を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、nは1〜4の整数を表す;
一般式(2)中、*はQへの結合部を表す;
一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を構成してもよい;*はQへの結合部を表す。
[13]含窒素有機化合物は、下記一般式(3−1)で表される化合物である[5]〜[11]のいずれかに記載の複合体の製造方法;
一般式(3−1)中、L〜Lは、それぞれ独立に連結基、単結合または二重結合を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表し、L〜Lの少なくとも1つは複素芳香族基を有する連結基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。
[14]有機金属錯体は、金属アセタート錯体またはβ−ジケトン金属錯体である[5]〜[13]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[15]無機金属塩の金属種が、Feである[5]〜[14]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[16][5]〜[15]のいずれかに記載の方法で製造された複合体。
[17][1]〜[4]及び[16]のいずれかに記載の複合体を用いた燃料電池触媒。
本発明によれば、十分に高い酸素還元反応活性を有する複合体を得ることができる。このため、本発明の複合体は、炭素触媒として好ましく使用することができ、例えば、燃料電池触媒や環境触媒に好ましく用いられる。
図1は、本発明の複合体を用いた燃料電池の概略構成図である。 図2は、本発明の複合体を用いた電気二重層キャパシタの概略構成図である。 図3は、実施例8で得られた複合体のSEM(scanning electron microscope)写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子又は沃素原子)、ヒドロキシ基、シアノ基、脂肪族基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アリール基(置換する位置は問わない)、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、脂肪族オキシ基(アルコキシ基又は、アルキレンオキシ基、エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、脂肪族カルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルスルファモイルアミノ基、オキサモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、メルカプト基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホニルウレイド基、アリールスルホニルウレイド基、ヘテロ環スルホニルウレイド基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルファモイル基、アリールスルファモイル基、ヘテロ環スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルフォニルスルファモイル基又はその塩、カルバモイルスルファモイル基、スルホンアミド基、脂肪族ウレイド基、アリールウレイド基、ヘテロ環ウレイド基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ジアゾ基、アゾ基、ヒドラジノ基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、ジアリールオキシホスフィニル基、シリル基(例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、シリルオキシ基(例えばトリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ボロノ基、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)等を挙げることができる。これらの置換基群はさらに置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基から選択される基を挙げることができる。
(複合体)
本発明は、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブとを含む複合体に関する。本発明の複合体においては、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部は、骨格材料に担持されている。また、含窒素カーボンナノチューブの直径をAとして、骨格材料の理論細孔径をBとした場合、A>Bである。
なお本発明の複合体は、炭素触媒として好ましく用いられるため、含窒素カーボンアロイと呼ぶこともできる。
ここで、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が骨格材料に担持されている状態とは、骨格材料の外縁部(輪郭形成端)が視野領域に入るように、異なる10箇所の領域でSEM画像を撮影した際に、少なくとも1箇所において含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が同一の視野領域に観察される状態をいう。なお、複合体はカーボンテープに貼り付けて観察し、測定機器には、日立ハイテクノロジーズ社製S5500型FE-SEM装置を用いる。SEM画像の測定条件は、加速電圧2kVで、×20,000倍、×100,000倍または×300,000倍とする。なお、倍率は適宜最適なものを選択する。
上記条件でSEM画像を撮影した際に、骨格材料の外縁部(輪郭形成端)と含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が同一視野内に観測される状態とは、骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が接した状態又は近接した状態であることを意味する。本明細書においては、このような状態を、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が骨格材料に担持されていると定義することができる。
なお、骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が近接した状態にある場合は、骨格材料と含窒素カーボンナノチューブの最短距離が100nm以下であることをいう。
また、本明細書における骨格材料の理論細孔径(B)は、X線構造解析により得られた結晶構造から求めることができる。具体的には、Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,1557.に開示されている方法で、理論細孔径を算出することができる。ここでは、X線構造解析により得られた結晶構造から原子の座標が算出され、さらに、原子のvan der Waals半径から空孔の有効直径を算出することができる。本明細書においては、この空孔の有効直径を理論細孔径とする。
なお、本発明においては、含窒素カーボンナノチューブを担持している骨格材料の理論細孔径を上述した理論細孔径(B)とする。骨格材料が複数種含まれる場合、最も理論細孔径の大きいものを上述した理論細孔径(B)とする。
上記の方法で、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料の理論細孔径を算出することができる。本発明では、金属有機骨格材料として、ゼオライト型イミダゾール骨格材料を好ましく用いることができ、例えば、ZIF−8では、理論細孔径は1.25nmと算出される。
また、[Zn(14bdc)(dabco)]の理論細孔径は0.75nmと算出される。ここで、14bdc は、1,4-benzenedicarboxylate, dabco もしくは、1,4-diazabicyclo[2.2.2]octaneである。
[M(dobdc)]の理論細孔径は1.00nmと算出される。ここで M は、Mg2+, Mn2+, Co2+, Ni2+, Fe2+, Zn2+であり、dobdcは、2,5−dioxido−1,4−benzene dicarboxylate,MOF−74である。
[Cu(L)(triethylenediamine)0.5]n の理論細孔径は1.08nmと算出される。ここで、Lは、1,1’−biphenyl−4,4’−carboxylateである。
[Cu(L)(triethylenediamine)0.5]n の理論細孔径は0.75nmと算出される。ここで、L は、terephthalaeである。
含窒素カーボンナノチューブの直径(A)の測定方法はSEM写真(×300,000倍)を撮影し、含窒素カーボンナノチューブの外径をノギスで計測する。
なお、本明細書において、含窒素カーボンナノチューブの直径とは、含窒素カーボンナノチューブの外径を意味する。また、本明細書において、含窒素カーボンナノチューブの直径は、5本の含窒素カーボンナノチューブにおいて、各々異なる3箇所の直径を測定した際の平均値である。なお、直径を測定する含窒素カーボンナノチューブは、骨格材料に担持されているものから選択される。
含窒素カーボンナノチューブの直径をAとして、骨格材料の理論細孔径をBとした場合、A>Bであればよく、A>3×Bであることがより好ましく、A>5×Bであることがさらに好ましく、A>10×Bであることが特に好ましい。本発明では、このような直径の太い含窒素カーボンナノチューブが担持された複合体を得ることができるため、複合体の導電性を向上させることができる。これにより、複合体の酸素還元反応(ORR(Oxygen Reduction Reaction))活性を高めることができる。
本発明の複合体においては、焼成前の骨格材料の理論細孔径(B)と焼成後に形成される含窒素カーボンナノチューブの直径(A)を比較している。しかし、実際の複合体においては、骨格材料も焼成されており、焼成後の骨格材料の結晶性は崩壊(Defect化)しており、細孔径も広がっている。そして、このような広がった細孔径から含窒素カーボンナノチューブが伸びているものと考えられる。焼成後の複合体においては、広がった細孔径から含窒素カーボンナノチューブが伸びるため、含窒素カーボンナノチューブの直径は、焼成前の骨格材料の理論細孔径よりも大きくなっている。なお、焼成後の骨格材料の細孔径と、含窒素カーボンナノチューブの直径は同程度であると考えられる。
本発明では、複合体は、所定の条件で焼成されてなり、骨格材料の結晶性は崩壊(Defect化)しており、崩壊(Defect化)した骨格材料が含窒素カーボンナノチューブを担持している。本発明では、複合体がこのような構造を有することで、酸素還元反応(ORR)活性を高めることができるものと考えられる。なお、導電性は、崩壊(Defect化)した骨格材料よりも、担持されている含窒素カーボンナノチューブの方が高く、これにより、複合体の酸素還元反応(ORR)活性が効果的に高められているものと考えられる。
金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料の細孔形状は特に制限されず、例えば、表面のみに細孔が形成されていても、表面のみならず内部にも細孔が形成されていてもよい。内部にも細孔が形成されている場合には、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状又は六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。また、焼成前後において細孔径の形状が変化してもよい。
本発明の複合体に含まれる含窒素カーボンナノチューブの直径は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、25nm以上であることが特に好ましい。本発明では、含窒素カーボンナノチューブの直径が上記範囲であるため、より効果的に複合体の酸素還元反応(ORR)活性を高めることができる。なお、上記直径を有する含窒素カーボンナノチューブは、骨格材料に担持されているものである。
国際純正応用化学連合(IUPAC)の触媒分野において、マイクロ孔とは直径2nm以下の細孔で定義され、同様に直径2〜50nmの細孔をメソ孔、直径50nm以上の細孔をマクロ孔と定義されている。上記定義からすると、含窒素カーボンナノチューブはメソ孔またはマクロ孔を有することが好ましい。
また、含窒素カーボンナノチューブの長さは、80nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
このように、本発明の複合体に含まれる含窒素カーボンナノチューブの長さは長く、このことによっても、複合体の酸素還元反応(ORR)活性を高めることができるものと考えられる。
含窒素カーボンナノチューブの長さは、10本の異なる含窒素カーボンナノチューブの長さの平均である。含窒素カーボンナノチューブの長さは、SEM写真(×20,000倍又は×100,000倍)を撮影し、含窒素カーボンナノチューブの先端から終端までの直径の中央部を線で結び、キルビメータでその線の長さを計測することで測定できる。なお、上記長さを有する含窒素カーボンナノチューブは、骨格材料に担持されているものである。
本発明の複合体においては、骨格材料及び含窒素カーボンナノチューブは、均一に分散していることが好ましい。ここで、均一に分散している状態とは、骨格材料の外縁部(輪郭形成端)が視野領域に入るように、異なる10箇所の領域でSEM画像を撮影した際に、5箇所以上において含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が同一の視野領域に観察される状態をいう。さらに、8箇所以上において、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が同一の視野領域に観察されることが好ましい。
骨格材料は、さらに金属を担持することが好ましい。ここで、骨格材料が金属を担持する状態とは、骨格材料と金属が接している状態をいい、すなわち複合体が金属を含有する状態と同じことをいう。このような金属は、SEM−EDX(Scanning Electron Microscope / Energy Dispersive X-ray Spectroscopy),TEM−EELS(Transmission Electron Microscope Electron Energy-Loss Spectroscopy)等の元素マッピングをすることにより、検出することができる。また、骨格材料は0価金属を担持することがより好ましく、この場合、XANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)、χスペクトル、XRD(X-ray diffraction)により、0価金属を検出することができる。
複合体は、金属を0.01 atomic%以上含有していることが好ましく、0.1atomic%以上含有していることがより好ましく、0.2atomic%以上含有していることがさらに好ましい。金属としては、Fe,Coであることが好ましく、Feであることがさらに好ましい。上記金属種が上記数値範囲内含有されることにより、酸素還元反応活性が高い複合体が得られる。
本発明の複合体において、表面窒素原子の含有量は表面の炭素に対して原子比(N/C)で0.02〜0.5であることがより好ましい。窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を上記範囲内とすることにより、金属と結合する有効な窒素原子の数を確保することができ、十分な酸素還元触媒特性が得られる。また、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を上記範囲内とすることにより、複合体の炭素骨格の強度を高めることができ、電気伝導性の低下を抑制することができる。
本発明の複合体の形状は、酸素還元反応活性を有する限り特に限定はされない。例えば、シート状、繊維状、板状、柱状、ブロック状、粒子状、球状以外の多くの楕円、扁平、角型など、大きく歪んだ構造等が挙げられる。分散がし易いという観点から、好ましくはブロック状、粒子状であるが、後述するようにスラリーを塗布して乾燥させる場合は、チキソ性を付与する観点から、繊維状、板状、柱状が好ましい。
さらに、本発明の複合体を溶媒に分散させることにより、複合体を含有するスラリーを作製することができる。これにより、例えば、燃料電池の電極触媒(燃料電池触媒)や、蓄電装置の電極材の作製をする際に、複合体が溶媒に分散されたスラリーを支持材料に塗布して焼成、乾燥させて、任意の形状に加工した炭素触媒を形成することができる。このように複合体をスラリーとすることにより、炭素触媒の加工性が向上し、電極触媒や電極材として用いることができる。
(複合体製造の原料)
本発明の複合体の製造方法は、含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種とを含む前駆体を、400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程を含む。
以下では、本発明の複合体の製造方法に用いられる各材料について説明する。
(含窒素有機化合物)
本発明で用いられる含窒素有機化合物は、下記の一般式(1)、一般式(2−1)及び一般式(3−1)で表されるものであることが好ましい。なお、本発明の複合体の製造方法には、後述する一般式で表わされる含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩又は含窒素有機化合物の水和物が用いられてもよい。なお、後述する一般式で表わされる含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物はいずれか一種のみが用いられてもよく、二種以上が用いられてもよい。
<含窒素有機化合物(1)>
本発明で用いられる含窒素有機化合物は、下記の一般式(1)で表されるものであってもよい。
一般式(1)中、Qは、少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団を表し、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、少なくとも1つのRは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、nは1〜4の整数を表す。
一般式(2)中、*はQへの結合部を表す。
一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を構成してもよい。*はQへの結合部を表す。
一般式(1)において、Qは少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団を表す。Qは、5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環のみから構成される原子団であることが好ましく、5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環であることがより好ましい。なお、Qは、複数の5〜7員環の芳香族環及び/又は複数の5〜7員環の複素芳香族環を縮合した縮合環であってもよく、5〜7員環の芳香族環及び/又は5〜7員環の複素芳香族環が直接連結した原子団であってもよい。すなわち、原子団は少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環及び/又は5〜7員環の複素芳香族環から構成されていればよく、原子団には、5〜7員環の芳香族環及び/又は5〜7員環の複素芳香族環、5〜7員環の芳香族環及び/又は5〜7員環の複素芳香族環が縮合した縮合環、及び、5〜7員環の芳香族環及び/又は5〜7員環の複素芳香族環が直接連結した連結環が含まれる。なお、一般式(1)において、Qで表される芳香族環又は複素芳香族環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、Qは5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環であることが好ましく、5あるいは6員環の芳香族環又は5あるいは6員環の複素芳香族環であることがより好ましい。また、Qは、ベンゼン環、ピリジン環又はイミダゾール環であることがより好ましく、イミダゾール環であることがさらに好ましい。なお、Qは不飽和結合を有することで、後述する各種の相互作用により複合体骨格を形成しやすくなる。
一般式(1)中、Qが表す5あるいは6員環の芳香族環又は5あるいは6員環の複素芳香族環は、下記一般式(A−1)〜(A−20)で表される構造であることが好ましい。
一般式(A−1)〜(A−20)中、R51〜R56のうち少なくとも一つは一般式(1)におけるRとの連結部を表し、R51〜R56のうちRとの連結部以外の基はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合して5又は6員環を形成してもよい。
51〜R56で表される置換基は、置換可能な基であれば制限されないが、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基又はスルホニル基等であり、より好ましくはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子又は沃素原子)、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいウレイド基、脂肪族オキシ基等である。中でも、R51〜R56で表される置換基は、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子など)およびヘテロアリール基(ピリジル基など)であることが好ましい。
51〜R56のうちRとの連結部以外の基は水素原子であることがより好ましい。R51〜R56が表す水素原子の数は、1〜4個であることが好ましく、2〜4個であることがより好ましい。
一般式(1)において、Qは5〜7員環の含窒素複素芳香族環であることが好ましく、5又は6員環の含窒素複素芳香族環であることがより好ましい。なお、含窒素複素芳香族環には、窒素原子の他にヘテロ原子が含まれていてもよいが、ヘテロ原子として窒素原子のみが含まれていることが好ましい。これにより、含窒素有機化合物の結晶構造に由来したエッジ部に規則正しく窒素が配列するため、遊離した金属イオンが配位することができる。
一般式(1)におけるRは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、少なくとも1つのRは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表す。
ここで、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合とは、Qが5〜7員環の芳香族環から構成される原子団の場合、又はQが5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団であって、窒素原子を環構成原子としない複素芳香族環から構成される原子団の場合のことをいう。
一般式(2)中、*はQへの結合部を表す。
一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を構成してもよい。*はQへの結合部を表す。
Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、少なくとも1つのRは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表す。この場合、含窒素有機化合物に一般式(2)〜(5)のいずれかで表される構造が含まれることにより、分解生成物中にCN結合が生成し、このCNと金属とが相互作用することによって、炭素化まで窒素が保持される。このため、含窒素カーボンナノチューブのグラフェン内に窒素が導入されやすくなり、酸素還元反応活性を高めることができるため好ましい。
また、Qが5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団であって、窒素原子を環構成原子とする複素芳香族環から構成される原子団の場合は、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表すか、Rを有さなくてもよい。複素芳香族環に窒素が導入されている場合、含窒素カーボンナノチューブを構成する含窒素グラフェン骨格中に、窒素原子が均一に導入され、酸素還元反応活性を高めることができるためより好ましい。
一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を構成してもよい。R〜Rが置換基を有する基である場合、置換基としては上述した具体例を挙げることができる。
一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
及びRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
及びRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
また、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。RとR、RとR、RとRが互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環、ピロリドン環等が挙げられる。中でも、RとRが互いに結合して形成する環としては、ピロリドン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環が好ましく、ピロール環またはピロリドン環がより好ましい。また、RとR、RとR、RとRが互いに結合して形成された環は、さらに置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、Rの少なくとも1つは一般式(2)で表される置換基であることが好ましい。
一般式(1)において、Qは、5〜7員環の含窒素複素芳香族環であることが好ましく、この場合、Rを有さないか、Rの少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基、又は一般式(2)で表される置換基であることが好ましい。
なお、Rの少なくとも1つが一般式(4)で表される置換基である場合、含窒素有機化合物としては、特開2011−225431号公報中において一般式(1)で表されている化合物を挙げることができる。
一般式(1)において、nは0〜4の整数を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、nは1〜4の整数を表す。Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、nは1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
一般式(1)において、Qは少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団を表し、この原子団には、5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環が直接連結した連結環が含まれる。すなわち、一般式(1)で表される含窒素有機化合物は、一般式(7)又は(8)が単結合で連結した2量体以上の多量体であってもよい。
一般式(7)及び(8)中、n1は1〜5の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。n1は1〜4であることが好ましく、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。n2は1〜4であることが好ましく、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。
なお、一般式(7)または(8)で表される化合物は、シアノ基以外の置換基を有していてもよいが、シアノ基のみを有することが好ましい。
一般式(1)で表される含窒素有機化合物を以下の具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
一般式(1)で表される含窒素有機化合物の具体例におけるR及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
本発明で用いられる含窒素有機化合物が、一般式(1)で表される含窒素有機化合物の塩である場合、一般式(1)で表される含窒素有機化合物の塩は、一般式(9)で表される。
[Q] n+[Y] m− 一般式(9)
一般式(9)中、Qn+は、例えば、下記一般式(A−21)〜(A−24)で表される有機カチオンを表し、Ym−はm価のアニオンを表し、n及びmはそれぞれ独立に自然数を表し、1〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1または2であることが特に好ましく、1であることがより特に好ましい。
一般式(A−21)〜(A−24)中、R61〜R63はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。なお、R61〜R63のアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上述した置換基を列挙することができ、シアノ基やビニル基を好ましい例として挙げることができる。
61〜R63のアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。R61〜R63は同一であっても異なっていてもよいが、分子中にR61〜R63で表される置換基を2以上有する場合は、少なくとも2種以上のアルキル基を含むことが好ましく、その場合はR61〜R63のいずれか一方がメチル基を表し、もう一方がエチル基、プロピル基およびブチル基のいずれかを表すことが好ましい。
一般式(9)における[Y] m−としては、ハロゲンアニオン(Cl,Br、F、I)、BF 、PF 、イミドアニオン[N(SOCF 、N(COCF)(SOCF、N(CN) など]、カルバニオン[C(CN) など]、R21OSO 、R21SO 、FeCl 、CoCl 2−などが挙げられる。
21はそれぞれ独立にアルキル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1又は2のアルキル基であることがより好ましい。さらにR21はアルキル基の置換基として、フッ素が好ましく、トリフルオロアルキル基であることがより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
一般式(1)で表される含窒素有機化合物の塩を以下の具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
<含窒素有機化合物(2)>
本発明で用いられる含窒素有機化合物は、下記の一般式(2−2)で表されるものであってもよい。
一般式(2−2)中、Q〜Qはそれぞれ独立にヘテロ原子又は炭素原子を表し、Q〜Qのうち少なくとも1つは窒素原子であり、b1〜b3はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換の芳香族基、又は置換もしくは無置換の含窒素芳香族基を表し、b1〜b3の少なくともいずれかは置換または無置換の含窒素芳香族基であり、含窒素芳香族基の少なくとも1つにおいて、結合部位に対して3位及び4位の環骨格構成原子のいずれか一方又は両方は窒素原子である。Q〜Qを含む非縮合複素芳香族環におけるヘテロ原子数は、b1〜b3の含窒素芳香族基1つ当たりにおけるヘテロ原子数と同じであるか又は多い。なお、b1〜b3の結合部位とは、b1〜b3と、Q〜Qを含む非縮合複素芳香族環の間の連結基との結合部位のことをいう。
一般式(2−2)において、Q〜Qはそれぞれ独立にヘテロ原子又は炭素原子を表し、Q〜Qのうち少なくとも1つは窒素原子を表す。Q〜Qはそれぞれ独立に窒素原子、硫黄原子、又は炭素原子であることが好ましく、窒素原子又は炭素原子であることが特に好ましく、いずれか1つは窒素原子である。なお、Q〜Qにおける原子はイオン化していても良い。一般式(2−2)において、Q〜Qのうち少なくとも1つは窒素原子であることが好ましく、Q〜Qの全てが窒素原子であることがより好ましい。
一般式(2−2)におけるb1〜b3は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の芳香族基、又は置換もしくは無置換の含窒素芳香族基を表し、b1〜b3の少なくともいずれかは、置換または無置換の含窒素芳香族基を表す。ここで、含窒素芳香族基とは、窒素原子を芳香族基の構成原子として有する基をいう。一般式(2−2)においては、b1〜b3の全てが置換または無置換の含窒素芳香族基であることが好ましい。また、含窒素芳香族基は、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基及又はイミダゾリル基であることが好ましく、ピリジル基またはピリミジル基であることがより好ましい。
本発明では、Q〜Qの全てが窒素原子である場合、b1〜b3において、結合部位に対して2位の環骨格構成原子は窒素原子ではないことが好ましい。なお、b1において2位の環骨格構成原子が窒素原子である場合、QおよびQは炭素原子であることが好ましく、b2において2位の環骨格構成原子が窒素原子である場合、QおよびQは炭素原子であることが好ましく、b3において2位の環骨格構成原子が窒素原子である場合、QおよびQは炭素原子であることが好ましい。すなわち、中心の原子団を構成する窒素原子とb1〜b3で表される含窒素芳香族基の窒素原子間の距離が一定以上であることが好ましく、含窒素芳香族基の窒素原子間の距離は4原子以上であることが好ましい。
一般式(2−2)において、Q〜Qを含む非縮合複素芳香族環におけるヘテロ原子数は、b1〜b3の含窒素芳香族基1つ当たりにおけるヘテロ原子数と同じであるか又は多い。ここで、b1〜b3の含窒素芳香族基が複数ある場合は、全ての含窒素芳香族基1つ当たりにおけるヘテロ原子数が上記の条件を満たす。また、Q〜Qを含む非縮合複素芳香族環が2つ以上ある場合、非縮合複素芳香族環におけるヘテロ原子数とは、1つの非縮合複素芳香族環当たりにおけるヘテロ原子数を表す。
一般式(2−2)で表される含窒素有機化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
<含窒素有機化合物(3)>
本発明で用いられる含窒素有機化合物は、下記の一般式(3−1)で表されるものであってもよい。
一般式(3−1)中、L〜Lは、それぞれ独立に連結基、単結合または二重結合を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表し、L〜Lの少なくとも1つは複素芳香族基を有する連結基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−1)中の結合手に沿って記載されている点線(Z〜Zを構成している点線を除く)は、二重結合であってもよいことを示している。
〜Lの少なくとも1つが連結基を表す場合、連結基の具体例としては、例えば、−NR−(Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す)で表される基、−SO−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−ならびにこれらを2つ以上組み合わせて得られる基が挙げられる。中でもL〜Lが表す連結基は、−NR−(Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す)で表される基、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基であることが好ましい。なお、連結基が置換基を有する場合、上述した置換基を挙げることができる。中でも、連結基が有する置換基は、芳香族基又は複素芳香族基であることが好ましい。具体的には、フェニル基、ピリジル基、キナゾリル基、ピリミジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基を例示することができ、フェニル基又はピリジル基であることがより好ましい。
〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表し、環状構造を構成する環として、例えば、芳香族環や複素芳香族環を挙げることができる。芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を挙げることができる。複素芳香族環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を、1〜3個の含む5〜7員環のヘテロ環であることが好ましい。複素芳香族環の具体例としては、ピリジン環、キナゾリン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、フラン環、チオフェン環等を挙げることができる。なお、芳香族環や複素芳香族環は置換基を有していてもよく、置換基としては、上述した置換基を挙げることができる。
〜Zの少なくとも1つが芳香族環を含む場合、芳香族環はベンゼン環であることが好ましい。また、L〜Lのいずれもが複素芳香族基を有さない場合、Z〜Zの少なくとも1つは、複素芳香族環を含む。このような場合であって、Z〜Zの少なくとも1つが芳香族環を含む場合は、ベンゼン環は複素芳香族環と縮合した環として含まれていることが好ましい。
〜Zが有し得る複素芳香族環は、5又は6員の複素芳香族環であることが好ましい。また、複素芳香族環を構成するヘテロ原子は窒素原子であることが好ましい、すなわち、複素芳香族環はピロール環、イミダゾール環、ピリジン環またはピリミジン環であることが好ましい。Z〜Zが表す環状構造は単環構造であってもよく、縮合環構造であってもよい。Z〜Zが表す環状構造が縮合環構造である場合、2〜5つの環が縮合した縮合環構造であることが好ましい。
〜Lのいずれもが複素芳香族基を有さない場合は、Z〜Zは縮合環構造であることが好ましい。この場合、Z〜Zが表す環状構造は、例えば、上述した環を2つ以上縮合させた構造であることが好ましい。例えば、ピロール環とピリジン環、ピロール環とピリミジン環、ピロール環とピリジン環とベンゼン環を縮合させた環構造とすることが好ましい。
〜Lの少なくとも1つは複素芳香族基を有する連結基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。すなわち、含窒素有機化合物中には、複素芳香族環が1つ以上含まれることとなる。なお、L〜Lの少なくとも1つが複素芳香族基を有する場合であっても、Z〜Zの少なくとも1つは、複素芳香族環を含むことが好ましい。
〜Lの少なくとも1つが複素芳香族基を有する連結基である場合、複素芳香族基を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を挙げることができる。複素芳香族基の具体例としては、例えば、ピリジル基、キナゾリル基、ピリミジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。中でも、複素芳香族基を構成するヘテロ原子は窒素原子であることが好ましい。また、複素芳香族基を有する連結基を構成する複素芳香族環は、5又は6員の複素芳香族環であることが好ましく、6員の複素芳香族環であることがより好ましい。具体的には、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基またはイミダゾリル基を例示することができ、ピリジル基をより好ましく例示することができる。
また、L〜Lの少なくとも1つが複素芳香族基を有する連結基である場合、L〜Lのうち2つ以上が複素芳香族基を有する連結基であることがより好ましく、L〜Lのうち3つ以上が複素芳香族基を有する連結基であることがさらに好ましく、L〜Lの全てが複素芳香族基を有する連結基であることが特に好ましい。なお、L〜Lのうち2つが複素芳香族基を有する連結基であり、L〜Lのうちの他の2つが芳香族基を有する連結基であることも好ましい。
〜Lの少なくとも1つが複素芳香族基を有する連結基である場合、ピリジル基又はピリミジル基を好ましい複素芳香族基として挙げることができる。この場合、ピリジル基又はピリミジル基において、窒素原子は環の結合位から見てパラ位にあることが好ましい。このような位置に窒素原子を配置することにより、後述する無機金属塩又は有機金属錯体の金属種(M)との錯体が形成しやすくなる。また、酸素還元反応(ORR)活性部位を形作る置換基の配向を制御することが可能になるため、酸素還元反応(ORR)活性部位を高密度で形成することができ、高い酸素還元反応活性を有することができる。
〜Zの少なくとも1つが複素芳香族環を含む場合、Z〜Zが含む複素芳香族環は、ポルフィリン環を構成する窒素原子を含むヘテロ環であってもよく、それとは別にさらに複素芳香族環を有していてもよい。ヘテロ環として、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾール環、チアゾール環などが挙げられる。
また、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む場合、Z〜Zののうち2つ以上が複素芳香族環を含むことがより好ましく、Z〜Zのうち3つ以上が複素芳香族環を含むことがさらに好ましく、Z〜Zのうち全てが複素芳香族環を含むことが特に好ましい。
含窒素有機化合物中には、複素芳香族環が2つ以上含まれることが好ましく、3つ以上含まれることがより好ましく、4つ以上含まれることがさらに好ましい。このように、含窒素有機化合物に複素芳香族環が一定個数以上含まれることにより、後述する無機金属塩又は有機金属錯体の金属種(M)と複素芳香族環の錯体が形成されやすくなる。これにより、酸素還元反応(ORR)活性部位を高密度で形成することができ、高い酸素還元反応活性を発揮することができる。
さらに、含窒素有機化合物が複素芳香族環を2個数以上有すると、金属種(M)と複素芳香族環が相互作用する際に、複素芳香族環同士が配列・配向するため、酸素還元反応(ORR)活性部位が高密度かつ制御された構造体を形成することができる。これにより、より高い酸素還元反応活性を有する複合体を得ることができる。
一般式(3−1)で表されるように、含窒素有機化合物には窒素を含む金属錯体を含まない。含窒素金属錯体は、精製が困難であり、また、含窒素金属錯体は含窒素配位子と金属錯体の組成比が一定であるため、焼成時に分解した際、含窒素配位子の分解速度と配位金属錯体の気化速度の制御ができず目的とする複合体を得ることが難しいという問題がある。さらに、中心金属を有する複合体は、触媒として用いた時に触媒活性を低下させる。たとえ、含窒素金属錯体と低分子有機化合物とを混ぜ合わせたとしても、含窒素金属錯体結晶が分解し、金属が直接還元を被るため、生成した近接金属同士が凝集結晶化しやすくなる。また、酸洗浄により金属が除去されてしまうため、得られる複合体が不均一になるため求める機能が低減するという不具合が生じる。以上の理由により、本発明では、含窒素金属錯体を含まない含窒素有機化合物が用いられる。
一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(3−2)で表されることが好ましい。
ここで、一般式(3−2)中、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表す。ただし、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−2)中のZ〜Zは、一般式(3−1)におけるZ〜Zと同意であり、好ましい範囲も同様である。
また、一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(3−3)で表されることも好ましい。
ここで、一般式(3−3)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは複素芳香族基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは、複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−3)中のZ〜Zは、一般式(3−1)におけるZ〜Zと同意であり、好ましい範囲も同様である。
〜Rがそれぞれ独立に置換基を表す場合、置換基としては、上述した置換基を挙げることができるが、中でも、芳香族基又は複素芳香族基であることが好ましい。R〜Rの少なくとも1つが芳香族基である場合、アリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。R〜Rの少なくとも1つが複素芳香族基である場合、複素芳香族基としては、一般式(3−1)におけるL〜Lが有し得る複素芳香族基を好ましい例としてあげることができる。
〜Rの少なくとも1つは複素芳香族基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは、複素芳香族環を含む。すなわち、含窒素有機化合物中には、複素芳香族環が1つ以上含まれることとなる。なお、一般式(3−3)においては、R〜Rの少なくとも1つが複素芳香族基であり、かつ、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含むことがより好ましい。このような構造を有する含窒素有機化合物を用いることで、より高い酸素還元反応活性を有する複合体を得ることができる。
〜Rの少なくとも1つが複素芳香族基である場合、複素芳香族基を構成する複素芳香族環は、5又は6員の複素芳香族環であることが好ましく、6員の複素芳香族環であることがより好ましい。また、複素芳香族環を構成するヘテロ原子は窒素原子であることが好ましい。具体的には、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基またはイミダゾリル基を例示することができ、ピリジル基をより好ましく例示することができる。
また、R〜Rの少なくとも1つが複素芳香族基である場合、R〜Rのうち2つ以上が複素芳香族基であることがより好ましく、R〜Rのうち3つ以上が複素芳香族基であることがさらに好ましく、R〜Rの全てが複素芳香族基であることが特に好ましい。なお、R〜Rのうち2つが複素芳香族基であり、R〜Rのうちの他の2つが芳香族基であることも好ましい。
〜Rの少なくとも1つが複素芳香族基である場合、ピリジル基又はピリミジル基を好ましい複素芳香族基として挙げることができる。この場合、ピリジル基又はピリミジル基において、窒素原子は環の結合位から見てパラ位にあることが好ましい。このような位置に窒素原子を配置することにより、後述する無機金属塩又は有機金属錯体の金属種(M)との錯体が形成しやすくなる。また、酸素還元反応(ORR)活性部位を形作る置換基の配向を制御することが可能になるため、酸素還元反応(ORR)活性部位を高密度で形成することができ、高い酸素還元反応活性を有することができる。
また、一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(3−4)で表される化合物であってもよい。
ここで、一般式(3−4)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表す。ただし、R、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−4)中のR、RおよびRは、一般式(3−3)におけるR、RおよびRと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(3−4)中のZ〜Zは、一般式(3−1)におけるZ〜Zと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3−4)においては、Z〜Zの少なくとも1つが複素芳香族環を含む場合であっても、R、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であることが好ましく、R、RおよびRのうち2つ以上が複素芳香族基であることがより好ましく、R、RおよびRの全てが複素芳香族基であることが特に好ましい。
さらに、一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(3−5)で表される化合物であってもよい。
ここで、一般式(3−5)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表す。ただし、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−5)中のRおよびRは、一般式(3−3)におけるRおよびRと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(3−5)中のZ〜Zは、一般式(3−1)におけるZ〜Zと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3−5)においては、Z〜Zの少なくとも1つが複素芳香族環を含む場合であっても、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であることが好ましく、RおよびRが複素芳香族基であることがより好ましい。
さらに、一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(3−6)で表される化合物であってもよい。
ここで、一般式(3−6)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表す。ただし、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。なお、一般式(3−6)中のRおよびRは、一般式(3−3)におけるRおよびRと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(3−6)中のZ〜Zは、一般式(3−1)におけるZ〜Zと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3−6)においては、Z〜Zの少なくとも1つが複素芳香族環を含む場合であっても、RおよびRの少なくとも1つは複素芳香族基であることが好ましく、RおよびRが複素芳香族基であることがより好ましい。
本発明で用いる含窒素有機化合物は金属錯体を除くピリジルポルフィリン、および、金属錯体を除くピリジルポルフィリンの塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(3−1)で表される含窒素有機化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
本発明では、焼成により複合体を得る際、まず、骨格材料が加熱され、結晶性が崩れたものが生成する(Defect化多孔性材料)。このDefect化多孔性材料に無機金属塩又は有機金属錯体が揮散拡散し、無機金属塩又は有機金属錯体が熱分解することで、無機金属(0価)の核が生成する。さらに、この無機金属(0価)の核が成長すると金属クラスターが生成する。そして、金属クラスター上に含窒素有機化合物が揮散し、溶解して、無機金属固溶体を形成後、含窒素カーボンナノチューブが成長する。以上の反応を経て、Defect化多孔性材料から含窒素カーボンナノチューブが伸びた構造の複合体が形成される。含窒素カーボンナノチューブは高い導電性を有するため、複合体は、高い酸素還元反応(ORR)活性を有することができる。
上述した含窒素有機化合物は、π−π相互作用、配位結合、電荷移動相互作用および水素結合より選択される2つ以上の結合又は相互作用により結晶構造を形成していることが好ましい。結晶構造を形成した含窒素有機化合物を用いることにより分子間相互作用を向上させて、複合体を得る際の焼成時の気化を抑制することができる。
ここで言う結晶構造とは結晶中の分子の配列様式・配置様式のことをいう。言い換えると、結晶構造は単位格子の繰り返し構造からなり、分子はこの単位胞内の任意の部位に配置して、配向をしている。また、結晶中において、分子は均一な様体をなしている。すなわち、結晶中の官能基の配置が均一であるため、分子の各相互作用は、単位胞内もしくは単位胞外で同一である。たとえば、積層構造を有する含窒素有機化合物の場合、芳香族環、複素環、縮合多環、縮合複素多環、不飽和基(ニトリル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基)等には相互作用(例えば芳香族環はface−to−faceでπ−π相互作用(π−πスタック))が生じる。これらの環や基における不飽和結合由来の炭素のSP軌道もしくはSP軌道が分子間で規則正しく等間隔で重なることで積層し、積層カラム構造を形成する。
さらにこの積層カラム構造において、隣接する積層カラム間は水素結合またはファンデルワールス相互作用により、分子間距離が規定された均一な構造を有する。このため、結晶内の熱伝達が容易に達成される効果を有する。
本発明に用いる含窒素有機化合物は結晶性を有していることが好ましい。含窒素有機化合物は結晶性を有することにより、化合物は焼成時に配向が制御できることから、均一な炭素材料となるため好ましい。
含窒素有機化合物は、さらに融点が25℃以上であることが好ましい。融点が25℃以上であると、焼成時に耐熱性に寄与する空気層が存在し、温度と蒸気圧の関係から沸騰もしくは突沸することが抑制され、炭素材料を容易に得ることができる。
含窒素有機化合物は、分子量が60〜2000であることが好ましく、100〜1500であることがより好ましく、130〜1000であることが特に好ましい。分子量を上記範囲とすることで、含窒素有機化合物の精製が容易となる。
なお、含窒素有機化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、含窒素有機化合物中の金属含有量は0.001質量%(10質量ppm)以下であることが好ましい。
含窒素有機化合物の窒素含率は、0.1〜55質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、さらに4〜20質量%であることが特に好ましい。上記範囲で窒素原子(N)を含有する化合物を使用することにより、別途窒素源となる化合物を導入する必要がなく、結晶エッジに規則正しく窒素原子と金属が均一に位置して、窒素と金属が相互作用しやすくなる。これにより窒素原子と金属の組成比が、より高い酸素還元反応活性を発揮させ得る組成比となる。
また、含窒素有機化合物は、窒素雰囲気下で400℃におけるΔTGが−95%〜−0.1%である難揮発性化合物であることが好ましい。含窒素有機化合物の上記ΔTGは、−95%〜−1%がより好ましく、−90%〜−5%が特に好ましい。含窒素有機化合物は、焼成時に気化しないで、炭素化する難揮発性化合物であることが好ましい。
ここで、ΔTGは含窒素有機化合物および無機金属塩との混合物のTG−DTA(Thermogravimetry−differential thermal analysis)測定において、窒素を毎分100mL流通下、30℃から1000℃まで毎分10℃で昇温した際、室温(30℃)における質量を基準にした400℃での質量減少率を指す。
本発明では、上記一般式で表される含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種は、前駆体の全質量に対して0.5質量%を超えて含まれることが好ましく、1〜95質量%含まれることがより好ましく、5〜70質量%含まれることがさらに好ましい。含窒素有機化合物を上記範囲内含有させることにより、より高い酸素還元反応活性を有する複合体を生成し得る。
含窒素有機化合物は、上記一般式で表される構造の顔料であることも好ましい。顔料は分子間でπ−π相互作用により、積層カラム構造を形成する。積層カラム間には水素結合又はファンデルワールス相互作用が存在するため、分子間距離が規定された均一な構造を有することができ、結晶内の熱伝達が容易に達成されるという効果を有する。また、結晶性を有し、熱に対してフォノン(量子化された格子振動)することにより振動緩和され耐熱性を有する。そのため分解温度が炭素化温度まで保持され、分解物の気化が低減されて炭素化が達成されるという効果を有する。
中でも、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、オキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料、また染料を金属イオンで顔料化したレーキ顔料等の顔料が好ましく、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、および上記顔料をラテント化したラテント顔料(後述)がより好ましい。これらの顔料を焼成すると、分解生成するベンゾニトリル(Ph−CN)骨格が反応活性種となり、より高い酸素還元反応活性を有する複合体触媒が生成する。また金属種(M)が共存することによりPh−CN…Mの錯体を形成し、さらに高酸素還元反応活性な複合体が生成する。
<金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料>
本発明では、共有結合性有機骨格材料(COF:Covalent organic framework)及び金属有機骨格材料(MOF:Metal−organic framework)から選択される少なくとも一種が用いられる。共有結合性有機骨格材料(COF)及び金属有機骨格材料(MOF)は多孔性骨格材料であり、構造内部には数nmの細孔が無数に存在している。骨格材料は、内部に細孔を有する構造体であればよく、有機骨格材料又は金属有機骨格材料などを好ましく用いることができる。
本発明で用いる骨格材料の細孔径は0.1〜100nmであることが好ましく、0.2〜10nmであることがより好ましい。骨格材料は、細孔径が2nm以下のマイクロポア、2〜50nmのメソポア、50nm以上マクロポアのいずれか1つ以上を有しているものが好ましく、メソポアを有しているものがより好ましい。細孔径をこの範囲とした場合、作用点の数が多くなり、生成した水が排出しやすくなるため好ましい。また、骨格材料の内部空孔に細孔容積を有し、酸素と相互作用しやすくなるため好ましい。
本発明では、共有結合性有機骨格材料(COF)及び金属有機骨格材料(MOF)を添加することにより、これらの材料の細孔の内部で、無機金属塩又は有機金属錯体と含窒素有機化合物とが配位し、細孔から含窒素カーボンナノチューブを成長させることができる。これにより、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が、骨格材料に担持された複合体を形成することができる。
本発明では、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料は、前駆体の全質量に対して5質量%を超えて含まれることが好ましく、10〜95質量%含まれることがより好ましく、20〜70質量%含まれることがさらに好ましい。骨格材料を上記範囲内含有させることにより、より高い酸素還元反応活性を有する複合体を生成し得る。
共有結合性有機骨格材料(COF)は、有機骨格のみを利用した結晶性の多孔性構造を有する材料である。多孔性構造は、共有結合により結合した有機化合物の二次元又は三次元ネットワークから形成されている。共有結合性有機骨格材料(COF)は、少なくとも1つの炭素以外の元素の原子、例えば、水素、酸素、窒素、ケイ素、リン、セレン、フッ素、ホウ素又は硫黄を含むものであることが好ましい。
共有結合性有機骨格材料(COF)としては、特に特定されないが、例えば、Science,2005,310,1166.J.Am.Chem.Soc.,2007,129,12914.,Science,2007,316,268.、J.Am.Chem.Soc.,2009,131,4570.、Chem.Matter,2006,18,5296.,Angew.Chem.,Int.Ed.,2008,47,8826.、米国特許公開US2006/0154807 A1号公報、特表2010−516869号公報に掲載されている共有結合性有機骨格材料(COF)が好適に用いられる。
金属有機骨格材料(MOF)は、金属イオンと有機物の配位結合を利用した多孔性構造を有する材料である。金属有機骨格材料(MOF)においては、少なくとも1種の金属イオンに配位結合した有機化合物が多孔性構造を形成する。金属有機骨格材料(MOF)を構成する金属イオンは周期表のほとんどすべての金属で可能であるが、中でも、Co2+、Ni2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+又はZn2+であることが好ましく、Zn2+であることがより好ましい。金属イオンと配位結合を形成する有機物としては、3−ピリジルトリアジン、4−ピリジルトリアジン、アルキルイミダゾール、ビピリジン、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、又は1,3,5−ベンゼントリカルボン酸であることが好ましく、3−ピリジルトリアジン、4−ピリジルトリアジン、アルキルイミダゾール、又はビピリジンであることがさらに好ましく、3−ピリジルトリアジン、4−ピリジルトリアジン、又はアルキルイミダゾールであることが特に好ましい。中でも、金属有機骨格材料(MOF)は、等網目状金属有機骨格材料(IRMOF)、ゼオライト型イミダゾール骨格材料(ZIF)であることが特に好ましい。
金属イオンは、金属有機骨格材料(MOF)のコアとなり、コアは連結リガンド又は連結部分を用いて連結される。ここで、コアとは、骨格中に見いだされる繰り返し単位(単数または複数)を指す。このような骨格は均一な繰り返しコア構造又は不均一な繰り返しコア構造を含んでもよい。コアは金属または金属クラスターおよび連結部分を含み、互いに連結された複数のコアにより骨格が規定される。なお、ここで、金属クラスターとは、2個以上の金属原子が結合したものである。
連結部分とは、連結クラスターを介して、それぞれ金属または複数の金属を結合する単座または多座化合物を指す。一般に、連結部分は、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアリール基を含む。また、連結部分には、炭素原子の他に窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、ケイ素またはアルミニウムを含んでもよい。
連結クラスターとは、連結部分構造と金属との間、又は連結部分構造と別の連結部分構造との間に結合を形成することができる原子を含む、縮合可能な1個以上の反応種を指す。このような種の例は、ホウ素、酸素、炭素、窒素、およびリン原子からなる群より選択されることが好ましい。連結クラスターは、例えば、−COOH、−CSH、−NO、−SOH、−Si(OH)、−Ge(OH)、−Sn(OH)、−Si(SH)、−Ge(SH)、−Sn(SH)、−POH、−AsOH、−AsOH、−P(SH)、−As(SH)、−CH(RSH)、−C(RSH)、−CH(RNH、−C(RNH、−CH(ROH)、−C(ROH)、−CH(RCN)、−C(RCN)、−CH(SH)、−C(SH)、−CH(NH、−C(NH、−CH(OH)、−C(OH)、−CH(CN)又は−C(CN)を含んでもよい。なお、上記のRは炭素数1〜20のアルキル基、またはアリール基である。
金属有機骨格材料(MOF)としては、例えば、米国特許第5648508号公報、米国特許第7196210号公報、欧州特許公開EP0790253 A2号公報、M.O’Keeffeら、J.Sol.State Chem.,152(2000)、3〜20頁、H.Liら、Nature402,(1999)、276頁、M.Eddaudiら,Topics、in、Catalysis 9,(1999),105〜111頁、B.Chenら,Science 291,(2001),1021〜1023頁、ドイツ特許公開DE10111230 A1号公報、欧州特許公開EP1785428 A1号公報、国際公開WO2007/054581号公報、国際公開WO2005/049892号公報及び国際公開WO2007/023134号公報に記載されている材料を用いることができる。中でも、ZIF−8(Zn(2−MethylImidazole))が好ましい。
金属有機骨格材料(MOF)としては、多孔性構造が無限に拡がらない多面体の構造を有する制限骨格材料を用いてもよい。このような材料は有機化合物を特別に選択することで形成される。例えば、A.C.Sudikら,J.Am.Chem.Soc.127(2005),7110−7118には、このような特定の骨格材料が記載され、特に金属有機多面体(MOP)と呼ばれている。本発明では、このような金属有機多面体(MOP)も好ましく用いられる。
<無機金属塩及び有機金属錯体>
(無機金属塩)
本発明では、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種が用いられる。無機金属塩としては、特に限定はされないが、水酸化物、酸化物、窒化物、亜硫酸化物、硫化物、スルホン化物、カルボニル化物、硝酸化物、亜硝酸化物、ハロゲン化物等を用いることができる。好ましくは対イオンがハロゲンイオン、又は硝酸イオンである。対イオンがハロゲンイオン、硝酸イオン又は硫酸イオンであるハロゲン化物、又は硝酸化物であれば、加熱分解時に生成した炭素表面で炭素と結合し、比表面積を増大させることができるため好ましい。本発明では、無機金属塩がハロゲン化物であることが好ましく、無機金属塩化物であることが特に好ましい。
また、無機金属塩は結晶水を含むことができ、無機金属塩は含水塩であることが好ましい。無機金属塩が結晶水を含むことにより熱伝導率が向上するため、均一に焼成可能になる点で好ましい。結晶水を含む無機金属塩としては、例えば、塩化コバルト(III)含水塩、塩化鉄(III)含水塩、塩化コバルト(II)含水塩、塩化鉄(II)含水塩を好適に使用することができる。
無機金属塩の金属種は、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのうち少なくとも1種類であることが好ましく、FeまたはCoであることがより好ましく、Feであることがさらに好ましい。Fe、Co、Ni、Mn、Crの塩は、炭素触媒の触媒活性を向上させるナノサイズのシェル構造を形成することに優れ、その中でも特に、Co、Feは、ナノサイズのシェル構造を形成することに優れるため好ましい。また、炭素触媒に含有されたCo、Feは、炭素触媒中において触媒の酸素還元反応活性を向上させることができる。遷移金属として最も好ましくはFeである。Fe含有複合体は立上り電位が高く、反応電子数がCoよりも高く、燃料電池の耐久性を比較的向上させることができる。なお、炭素触媒の活性を阻害しない限り、遷移金属以外の元素(例えば、B、アルカリ金属(Na,K,Cs)、アルカリ土類(Mg,Ca,Ba)、鉛、スズ、インジウム、タリウム等)が1種類以上含まれてもよい。
無機金属塩の粒径は、直径0.001〜100μmであることが好ましい。より好ましくは0.01〜10μmである。無機金属塩の粒径をこの範囲内にすることで、含窒素有機化合物と均一に混合させることが可能となり、含窒素有機化合物が分解生成時に錯体を形成しやすくなる。
なお、本発明では、焼成前の有機材料において、含窒素有機化合物と無機金属塩は均一分散させなくてもよい。すなわち、含窒素有機化合物が焼成分解した際に、その分解生成物と無機金属塩等の気化物が接触していれば、酸素還元反応活性を有する活性種が形成すると考えられるため、室温での含窒素有機化合物と無機金属塩との混合状態に複合体の酸素還元反応活性は影響を受けない。
(有機金属錯体)
本発明の複合体の製造方法において、前駆体は無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種を含む。前駆体に有機金属錯体を含有させることにより、高いORR活性が得られることに加えて、高反応電子数を有する複合体を得ることができる。
有機金属錯体としては、基礎錯体工学研究会編、錯体化学−基礎と最新の話題−、講談社サイエンティフィク(1994)に記載されている化合物を例示することができ、具体的には金属イオンに配位子が配位した化合物を好ましく例示することができ、金属アセタート錯体、β−ジケトン金属錯体、及びサレン錯体から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。中でも、金属アセタート錯体またはβ−ジケトン金属錯体がより好ましく、金属アセタート錯体が特に好ましく用いられる。また、有機金属錯体は、上述した金属錯体の誘導体であってもよい。有機金属錯体は、多様な配位子の配位数をとることができ、配位幾何異性体でもよいし、金属イオンの価数が異なってもよい。また、有機金属錯体は、金属−炭素結合を有する有機金属化合物でもよい。
金属イオンとして好ましいものは、Fe、Co、Ni、MnおよびCrのイオンである。配位子として好ましいものは、単座配位子(ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジン(py)、トリフェニルホスフィン、カルボン酸等)、二座配位子(エチレンジアミン(en)、β−ジケトナート(アセチルアセトナート(acac)、ピバロイルメタン(DPM)、ジイソブトキシメタン(DIBM)、イソブトキシピバロイルメタン(IBPM)、テトラメチルオクタジオン(TMOD))、トリフルオロアセチルアセトナート(TFA)、ビピリジン(bpy)、フェナントレン(phen)等)、多座配位子(エチレンジアミンテトラ酢酸イオン(edta))、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン(salen)等)である。
有機金属錯体として用いることができるものとしては、β−ジケトン金属錯体(ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)[Fe(acac)]、ビス(アセチルアセトナト)コバルト(II)[Co(acac)]、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)[Co(acac)])、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(DPM)]、トリス(ジピバロイルメタン)鉄(III)[Fe(DPM)]、トリス(ジピバロイルメタン)コバルト(III)[Co(DPM)]、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)[Fe(DIBM)]、トリス(ジイソブトキシメタン)鉄(III)[Fe(DIBM)]、トリス(ジイソブトキシメタン)コバルト(III)[Co(DIBM)]、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(IBPM)]、トリス(イソブトキシピバロイルメタン)コバルト(III)[Co(IBPM)]、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)[Fe(TMOD)])、トリス(テトラメチルオクタジオン)鉄(III)[Fe(TMOD)]、トリス(テトラメチルオクタジオン)コバルト(III)[Co(TMOD)])、トリス(1,10−フェナントロリナート)鉄(III)塩化物[Fe(phen)]Cl、トリス(1,10−フェナントロリナート)コバルト(III)塩化物[Co(phen)]Cl、N,N’−メチレンビス(サリチリデンアミナト)金属錯体および類縁体(サレン金属錯体)(N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)鉄(II)[Fe(salen)]、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)鉄(III)塩化物[Fe(salen)Cl]、N,N‘−ビス(サリチリデン)−o−フェニレンヂアミノ鉄(II)[Fe(Saloph)]、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)コバルト(II)[Co(salen)]、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)コバルト(III)塩化物[Co(salen)Cl]、N,N’−ビス(サリチリデン)−o−フェニレンヂアミノコバルト(II)[Co(saloph)])、トリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)塩化物[Fe(bpy)]Cl、トリス(2,2’−ビピリジン)コバルト(II)塩化物[Co(bpy)]Cl、鉄フタロシアニン(MPc)及び酢酸鉄[Fe(OAc)]を挙げることができる。
その中でもβ−ジケトン金属錯体(ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)[Fe(acac)])、ビス(ジピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(DPM)]、ビス(ジイソブトキシメタン)鉄(II)[Fe(DIBM)]、ビス(イソブトキシピバロイルメタン)鉄(II)[Fe(IBPM)]、ビス(テトラメチルオクタジオン)鉄(II)[Fe(TMOD)])、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)酸鉄(II)[Fe(salen)]、トリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)塩化物[Fe(bpy)]Cl、鉄フタロシアニン(MPc)、酢酸鉄[Fe(OAc)]、N,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)鉄(II)[Fe(salen)]又はN,N’−エチレンジアミンビス(サリチリデンアミナト)コバルト(II)[Co(salen)]が好ましく、アセチルアセトン鉄(II)錯体であるビス(アセチルアセトナト)鉄(II)[Fe(acac)]、または金属アセタート錯体である酢酸鉄[Fe(OAc)]がより好ましく用いられる。
本発明では、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種は、前駆体の全質量に対して0.1質量%を超えて含まれることが好ましく、0.1〜50質量%含まれることがより好ましく、0.1〜20質量%含まれることがさらに好ましい。無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種を上記範囲内含有させることにより、骨格材料(金属有機骨格材料や共有結合性有機骨格材料等)の反応空間場(細孔内)に無機金属塩又は有機金属錯体が揮散し、熱分解・還元しても、金属ナノクラスターが凝集することなく触媒活性サイトを形成するため、高い酸素還元反応活性を有する複合体を生成しやすくなる。本発明では、骨格材料を併用することにより、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種の添加量を抑制することもできる。具体的には、前駆体の全質量に対して0.1〜50質量%とした場合であっても、高い酸素還元反応活性を有する複合体を、高い収率で生成することができる。無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種の添加量を抑制することで、効率よく還元反応を行うことが可能となり、高い酸素還元反応活性を有する複合体を得ることができる。
なお、酸素還元反応活性(ORR活性)は、実施例にて詳述する方法により電位を求め、これをORR活性値として測定することができる。高出力を得るために、酸素還元する際の電位の値が高いことが好ましく、具体的には、0.5mg/cmの電極塗布量における電流密度値−2mA/cmにおける電位が、0.70V以上が好ましく、0.73V以上がより好ましく、0.80V以上がさらに好ましい。塗布量と電流密度は直線的に増加するが、塗布量が増すと複合体粒子間の抵抗の増加、酸素および水の拡散抵抗の増加等により電流密度が想定した直線から低くなる。オームの法則により、塗布量と電位の関係においても、同様に、塗布量と電位は直線からずれて低くなる。0.5mg/cmにおける電位の値は、0.05mg/cmにおける触媒活性を示す電位と複合体の導電性を加味した値であり、この電位の範囲にすることにより優れた導電性を得ることができるため特に好ましい。
<導電助剤>
本発明では、前駆体に導電助剤を添加して焼成してもよく、複合体に添加してもよい。導電助剤としては、特に限定はされないが、例えば、ノーリット(NORIT社製)、ケッチェンブラック(Lion社製)、バルカン(Cabot社製)、ブラックパール(Cabot社製)、アセチレンブラック(Chevron社製)(いずれも商品名)等のカーボンブラック、黒鉛をはじめ、C60やC70等のフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボン繊維等の炭素材料が挙げられる。
導電助剤の添加率は、前駆体の全体質量に対して、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。導電助剤の添加量を上記範囲内とすることにより、系中で無機金属塩や有機金属錯体から生成する金属の凝集・成長が均一になり、目的とする多孔性の複合体を得ることがきる。
(複合体の製造方法)
本発明は、上述した複合体の製造方法に関するものでもある。具体的に、本発明の複合体の製造方法は、含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種とを含む前駆体を、400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程を含む。本発明では、このような所定温度で所定時間以上一次焼成を行うことにより、骨格材料の結晶性を崩壊させることができる。そしてのような骨格材料から含窒素カーボンナノチューブを成長させ、含窒素カーボンナノチューブを担持することが可能となる。
一次焼成する工程は、前駆体を不活性雰囲気下で室温から所定温度まで昇温することが好ましい。すなわち、一次焼成する工程は、毎分1〜500℃で昇温する昇温工程を含むことが好ましい。本発明では、このような所定の昇温速度で昇温を行うことにより、骨格材料の結晶崩壊箇所数や、結晶表面からの崩壊する深さを好ましい範囲とすることができる。また、400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程により、骨格材料の結晶崩壊の程度(細孔径)を好ましい範囲とすることができる。これらより、骨格材料から所望のサイズの含窒素カーボンナノチューブを成長させ、担持することが可能となる。
一次焼成する工程の後には、900℃以上で二次焼成する工程を含むことが好ましい。本発明では、二次工程よりも比較的低温で焼成する一次焼成する工程と、900℃以上の比較的高温で焼成する二次焼成工程を含むことにより、結晶性が崩壊した骨格材料から含窒素カーボンナノチューブを好ましい長さまで成長させることができる。
二次焼成する工程は、前駆体を不活性雰囲気下で一次焼成温度から所定温度まで昇温することが好ましい。すなわち、二次焼成する工程は、毎分1〜500℃で昇温する昇温工程を含むことが好ましい。
具体的には、本発明の好ましい複合体の製造方法は、下記の工程を含む。
(1)含窒素有機化合物と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種を混合して前駆体を調製する工程と、
(2)前駆体を不活性雰囲気下で室温から炭素化温度まで毎分1〜500℃で昇温する昇温工程と、
(3)400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程と、
(3−2)900℃以上で二次焼成する工程と、
(4)二次焼成温度から室温まで冷却する冷却工程を含んでいることが好ましい。
(1)の前駆体を調製する工程の後には、(1−2)前駆体を粉砕する工程をさらに含むことが好ましい。また、(2)〜(4)の前駆体を焼成する工程の後(炭素化処理後に、複合体を室温まで冷却した後)には、(5)二次粉砕する工程を設けることが好ましい。さらに、本発明では、二次焼成する工程の後であって、二次粉砕する工程の後に、(7)再焼成する工程を設けることが好ましい。
さらに、本発明の複合体の製造方法においては、二次焼成する工程の後であって、再焼成する工程の前に下記の工程を含むことが好ましい。
(6)焼成された複合体を酸で洗浄する工程(酸洗浄工程)及び乾燥工程を含むことが好ましい。上述した(7)の再焼成する工程は、酸洗浄工程の後に、酸洗浄された複合体を再焼成する工程であることが好ましい。
以下、本発明の複合体の製造方法について、以上の(1)〜(7)の工程を順に説明する。
(1)前駆体の調製工程
前駆体の調製工程では、含窒素有機化合物と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種を混合して前駆体を調製する。含窒素有機化合物は、上述した構造を有する含窒素有機化合物であることが好ましい。
(1−2)前駆体を粉砕する工程
複合体の製造工程において調製された前駆体はその後一次焼成されるが、一次焼成する工程の前に前駆体を粉砕する工程をさらに含むことが好ましい。
焼成工程の前に前駆体を粉砕する工程を含む場合、粉砕方法としては、当業者に公知のいずれの方法でも行うことができ、例えば、メノウ粉砕、機械粉砕等を用いて粉砕することができる。中でも、機械粉砕の方法は好ましく用いられる。機械粉砕方法では、カッティングミル(Cutting Mill)を回転させることによって粉砕が行われる。すなわち、機械粉砕方法では、前駆体にせん断力が加えられることにより粉砕が行われる。このような機械粉砕方法を用いることにより、前駆体の比容積を高めることができ、複合体の酸素還元反応活性(ORR活性)をより高めることができる。
機械粉砕には、例えば、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTMを用いることができる。粉砕条件に関して特に限定されないが、回転刃の回転数が80〜30000rpmで混合することが好ましく、300〜25000rpmで混合することがより好ましく、1300〜20000rpmで混合することがさらに好ましい。回転方法は、連続回転、断続回転、および連続と断続回転の組合せで行うことができる。粉砕時間は0.1秒〜15分間であることが好ましく、粉砕回数は少なくとも1回以上であることが好ましい。
断続粉砕において、回転刃の停止時間は粉砕時間の0.1〜100倍であることが好ましく、1〜50倍であることがより好ましく、2〜30倍であることがさらに好ましい。たとえば、回転数が10000rpm以上、粉砕時間が10秒以下、回転刃の停止時間が0.1倍以上、粉砕回数が2回以上の場合、前駆体混合物の熱による分解が低下し、前駆体混合物を微細化できることに加え、混合を均一にすることができるため、より効果的に酸素還元反応活性を高めることができる。
連続粉砕による粉砕時間が30秒以上の場合、前駆体混合物が発熱し、骨格材料の細孔内に、含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種が揮散するため、より効果的に酸素還元反応活性を高めることができる。
(2)昇温工程、(3)一次焼成する工程、(3−2)900℃以上で二次焼成する工程および(4)冷却工程
本発明の製造方法においては、含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種とを含む前駆体を400〜1000℃まで昇温し、30分〜100時間加熱処理を行う(一次焼成)。一次焼成では、加熱時間は、30分〜50時間であることが好ましい。その後、一次焼成温度から900℃以上まで再び昇温させることが好ましい(二次焼成)。
上記の昇温処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気とは、窒素ガスや希ガス雰囲気下などのガス雰囲気をいう。なお、酸素が含まれていたとしても、被処理物を燃焼させない程度まで酸素量を制限した雰囲気であればよい。不活性雰囲気は、閉鎖系又は新たなガスを流通させる流通系のいずれであってもよく、好ましくは流通系である。流通系とする場合には、内径36mmφ当たり0.01〜2.0リットル/分のガスを流通させることが好ましく、内径36mmφ当たり0.05〜1.0リットル/分のガスを流通させることがより好ましく、内径36mmφ当たり0.1〜0.5リットル/分のガスを流通させることが特に好ましい。
上記の昇温処理で使用する加熱装置は、特に限定されないが、管状炉(カンタル線炉、イメージング炉)、マッフル炉、真空ガス置換炉、回転炉(ロータリーキルン)、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、多段炉、トンネル炉、流動焼成炉等を用いることが好ましく、管状炉(カンタル線炉、イメージング炉)、マッフル炉、回転炉(ロータリーキルン)、流動焼成炉を用いることがより好ましく、管状炉(カンタル線炉、イメージング炉)、マッフル炉を用いることが特に好ましい。
昇温処理においては、前駆体を炭化装置等に挿入した後に常温から所定温度まで昇温してもよいし、あるいは、所定温度の炭化装置等へ前駆体を挿入することで昇温してもよい。好ましくは、前駆体を常温から所定温度まで昇温するのがよい。所定温度まで昇温する場合には、昇温速度を一定にすることが好ましい。より具体的には、昇温速度は毎分1〜500℃で昇温することが好ましく、毎分1〜100℃で昇温することがより好ましく、毎分1〜20℃で昇温することがさらに好ましい。
一次焼成する工程の焼成温度は、400〜1000℃であることが好ましく、400〜950℃であることがより好ましく、500〜900℃であることがさらに好ましく、600〜900℃であることが特に好ましい。また、一次焼成する工程における焼成時間は、30分〜100時間であることが好ましく、30分〜50時間であることが好ましく、1〜30時間であることがさらに好ましい。なお、この焼成時間は、所望の焼成時間まで昇温した後、加熱処理を行った時間である。
(予備炭化物)
細孔を形成した予備炭化物を得るために、含窒素有機化合物と、共有結合性有機骨格材料又は金属有機骨格材料と、無機金属塩又は有機金属錯体とを含む有機材料の前段の処理は、比較的低温で行うことが好ましい。また、このような低温処理においては、一定温度を保持してもよい。これにより、熱に安定な構造だけを保持し、不安定な不純物成分、溶媒等を除去できる。
比較的低温で行う昇温処理は、含窒素有機化合物と無機金属塩等とを含む有機材料を100〜1500℃まで昇温することが好ましく、150〜800℃まで昇温することがより好ましく、200〜500℃まで昇温することがさらに好ましい。これにより、均一な予備炭化物が得られる。
上述した一次焼成する工程と、二次焼成する工程は連続して行うことが好ましい。これにより、一次焼成の余熱を利用することができ、有機材料の分解反応と炭素化反応を連続して行うことができ、分解生成物と金属とが相互作用して、金属をより活性が高い状態で安定化することができる。なお、金属としては、鉄イオンを、2価の状態で含むものを用いることが好ましい。その結果、高い酸素還元性能を有する複合体を製造することができる。
二次焼成する工程も、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、不活性雰囲気の好ましい条件は、上述した条件と同様である。
二次焼成する工程の焼成温度は、含窒素有機化合物が熱分解及び炭素化する温度であれば特に制限されないが、温度の上限は2000℃であることが好ましい。すなわち、二次焼成温度は900〜2000℃であることが好ましく、950〜1500℃であることがより好ましい。
また、二次焼成する工程の焼成時間は、1秒〜100時間であり、好ましくは1分〜50時間であり、より好ましくは5分〜10時間である。二次焼成工程の焼成時間を上記範囲内とすることにより、酸素還元反応活性を高めることができる。
二次焼成する工程の焼成温度は、一次焼成する工程の焼成温度よりも高いことが好ましい。具体的には、二次焼成する工程の焼成温度は、一次焼成する工程の焼成温度よりも100℃以上高いことが好ましく、150℃以上高いことがより好ましく、200℃以上高いことがさらに好ましい。二次焼成する工程の焼成温度と、一次焼成する工程の焼成温度の温度差を上記範囲とすることにより、所望の構造を有する複合体を得ることができる。
本発明では、一次焼成工程を設けた後に上記条件の二次焼成工程を設けることによって、結晶性の一部が崩壊した骨格材料の細孔から含窒素カーボンナノチューブを成長させることができる。これにより、所定の直径を有する含窒素カーボンナノチューブを含む複合体が得られる。
また、900℃以上で、1秒〜100時間保持することにより、共有結合性有機骨格材料または金属有機骨格材料の細孔外に存在する含窒素有機化合物、含窒素有機化合物の互変異性体、含窒素有機化合物の塩及び含窒素有機化合物の水和物及び無機金属塩及び有機金属錯体の内、炭素化反応に用いられなかった不要物を揮散させることができる。さらに保持時間を上記範囲とすることにより、前駆体混合物の分解生成物を除去することができ、より効果的に酸素還元反応活性を高めることができる。
二次焼成する工程の後には、さらなる焼成工程を設けてもよい。なお、二次焼成する工程の後にさらなる焼成工程を設けない場合は、二次焼成する工程の後には、二次焼成温度から室温まで冷却する冷却工程を設けることが好ましい。
(5)粉砕処理
二次焼成する工程の後であって、焼成された前駆体を室温まで冷却した後には、粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理は当業者に公知のいずれの方法でも行うことができ、例えば、ボールミル(Ball Mill)、メノウ粉砕、機械粉砕等を用いて粉砕することができる。
(6)酸洗浄工程
本発明の複合体の製造方法は、焼成工程の後に、焼成された前駆体を酸で洗浄する酸洗浄工程を含んでもよい。焼成された前駆体の表面上の金属を酸洗浄することにより、ORR活性を向上させることができる。この酸洗浄処理により、最適な多孔性を有する多孔性複合体を得ることができると予想される。
酸洗浄処理においては、pH7以下の強酸又は弱酸を含む、任意の水性ブロンステッド(プロトン)酸を酸洗浄工程内で用いることができる。さらに、無機酸(鉱酸)又は有機酸を用いることができる。好適な酸の例としては、HCI、HBr、HI、HSO、HSO、HNO、HClO、[HSO、[HSO、[HO]、H[C]、HCOH、HCIO、HBrO、HBrO、HIO、HIO、FSOH、CFSOH、CFCOH、CHCOH、B(OH)、など(これらの任意の組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。また、特表2010−524195号公報に記載の方法を本発明でも用いることができる。
(7)再焼成工程
本発明の複合体の製造方法は、焼成工程の後に、焼成された前駆体を粉砕する工程と再焼成する工程をさらに含むことが好ましい。より好ましくは酸洗浄工程の後に、酸洗浄された複合体を再焼成する工程を含む。このような再焼成工程により、複合体を電極に塗布したときの塗布量の増加に伴って電位を向上させることができ、ORR活性を向上させることができる。また、再焼成工程を設けることにより、共有結合性有機骨格材料又は金属有機骨格材料が分解し、金属が炭素材料から揮散して、脱離するため、多孔化し、比表面積を増大することができ、より効果的に酸素還元反応活性を高めることができる。
再焼成する工程は炭素の黒鉛化を促進する目的で、焼成工程以上の高温で行う必要があるため、再焼成工程の焼成温度は500〜2000℃であることが好ましく、600〜1500℃であることがより好ましく、900〜1500℃であることがさらに好ましい。また、再焼成工程の焼成温度は最初の焼成工程(一次焼成工程及び二次焼成工程)における焼成温度よりも高い温度であることが好ましい。
焼成の際に複合体中の窒素原子の含有割合を高く保持しながら炭素の黒鉛化を進行させる観点から、再焼成工程は加圧状態で行ってもよい。具体的には、ガス排出口を水でトラップして背圧がかかる状態で焼成してもよい。この場合の圧力は、0.01〜5MPa、好ましくは0.05〜1MPa、より好ましくは0.08〜0.3MPa、特に好ましくは、0.09〜0.15MPaである。
再焼成する工程の方法は、特に限定されないが、好ましくは管状炉、回転炉(ロータリーキルン)、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、多段炉、真空ガス置換炉、トンネル炉、流動焼成炉等を用い、より好ましくは回転炉(ロータリーキルン)、真空ガス置換炉、真空ガス置換回転炉(ロータリーキルン)、トンネル炉、流動焼成炉を用いる方法を挙げることができる。特に好ましくは真空ガス置換回転炉(真空ガス置換式ロータリーキルン)を用いる方法である。
再焼成する工程の前には、脱気及び窒素置換する工程をさらに含むことが好ましい。このような工程を設けることで、酸素濃度を低減させることができる。脱気及び窒素置換する工程では、真空ポンプで脱気した後、窒素ガス置換することが好ましい。特に、真空ポンプで脱気した後、窒素ガス置換する操作を複数回繰り返すことが好ましい。この際、脱気に用いる装置は、脱気が可能な装置であれば特に限定されないが、真空ガス置換炉、真空ガス置換回転炉(ロータリーキルン)を用いることが好ましい。真空脱気時の圧力は特に限定されないが、4×10Pa以下が好ましく、4×10Pa以下がより好ましく、2×10Pa以下が特に好ましい。
再焼成する工程では、複合体の性能を均一化させる目的で炭素材料を流動させることが好ましい。この際用いられる装置は、炭素材料を流動させることが可能な装置あれば特に限定されないが、回転炉(ロータリーキルン)、真空ガス置換回転炉(ロータリーキルン)、流動焼成炉を用いることが好ましい。
回転炉(ロータリーキルン)、真空ガス置換回転炉(ロータリーキルン)を用いる場合、焼成時、試料管を回転させるが、回転速度、速度変化等は特に限定されない。回転速度は好ましくは10rpm以下、より好ましくは5rpm以下である。回転速度をこの範囲にすることにより、管壁と炭素材料間で擦りが生じて複合体の微細化が進み、多孔化するため、より効果的に酸素還元反応活性を高めることができる。
本発明の複合体の製造方法においては、賦活剤の存在下で焼成処理(炭素化処理)を行うことが好ましい(賦活工程)。賦活剤の存在下、高温で焼成処理することにより、複合体の細孔が発達して表面積が増大し、複合体の表面における金属の露出度が向上することにより、触媒としての性能が向上する。なお、炭化物の表面積は、N吸着量により測定することができる。
使用できる賦活剤としては、特に制限されないが、例えば、二酸化炭素、アンモニアガス、水蒸気、空気、酸素ガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、メタンガス、アルカリ金属水酸化物、塩化亜鉛、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができ、さらに好ましくは、二酸化炭素、アンモニアガス、水蒸気、空気、酸素ガスからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
気体賦活剤は、不活性ガスで希釈することが好ましく、希釈する不活性ガスとしては、窒素ガス、及び希ガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス及びネオンガス)が挙げられる。
気体賦活剤は、炭素化処理の雰囲気中に2〜80モル%、好ましくは10〜60モル%含有させればよい。気体賦活剤を上記範囲内となるように含有させることにより、十分な賦活効果が得られる。また、アルカリ金属水酸化物等の固体賦活剤は、固体の状態で被炭化物と混合してもよく、あるいは、水等の溶媒で溶解又は希釈した後、被炭化物を含浸するか、あるいはスラリー状にして被炭化物に練り込んでもよい。液体賦活剤は、水等で希釈した後、被炭化物を含浸するかあるいは被炭化物に練り込めばよい。
焼成処理後には、複合体に窒素原子を導入することもできる。このとき、窒素原子を導入する方法としては、液相ドープ法、気相ドープ法、又は、気相−液相ドープ法を用いて行うことができる。例えば、複合体に窒素源であるアンモニア雰囲気下で200〜1200℃、5〜180分保持することにより、熱処理して、複合体の表面に窒素原子を導入することができる。
<複合体の用途>
本発明の複合体の用途は、構造材料、電極材料、ろ過材料、触媒材料など特に限定されるものではないが、キャパシタやリチウム二次電池などの蓄電装置の電極材料として用いることが好ましく、高い酸素還元反応活性を有する燃料電池や亜鉛空気電池、リチウム空気電池などの炭素触媒として用いることがより好ましい。また、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備えた電極膜接合体において、上記触媒を触媒層に含むことができる。さらに、上記電極膜接合体は、燃料電池に備えることができる。
燃料電池触媒は、複合体の乾燥後の塗布量が0.01mg/cm以上であることが好ましく、0.02〜100mg/cmであることがより好ましく、0.05〜10mg/cmであることが特に好ましい。
複合体を塗布する際に用いる溶媒としては、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒を適宜選択して使用することができる。例えば蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)等一般的な極性溶媒を単独又は複数混合して使用することができる。また、燃料電池の電極触媒を作製する際に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。
<燃料電池>
図1に本発明の複合体から成る炭素触媒(燃料電池触媒)を用いた燃料電池10の概略構成図を示す。炭素触媒はアノード電極及びカソード電極に適用されている。
燃料電池10は、固体高分子電解質14を挟むように、対向配置されたセパレータ12、アノード電極触媒(燃料極)13、カソード電極触媒(酸化剤極)15及びセパレータ16とから構成される。固体高分子電解質14としては、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽イオン交換樹脂膜が用いられる。また、炭素触媒をアノード電極触媒13及びカソード電極触媒15として、固体高分子電解質14の双方に接触させることにより、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15に炭素触媒を備えた燃料電池10が構成される。上述の炭素触媒を固体高分子電解質の双方の面に形成し、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15を電極反応層側で固体高分子電解質14の両主面にホットプレスにより密着することにより、MEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化させる。
従来の燃料電池では、集電体としての機能も有する多孔質のシート(例えば、カーボンペーパー)からなるガス拡散層を、セパレータとアノード及カソード電極触媒との間に介在させていた。これに対して図1の燃料電池10では、比表面積が大きく、さらに、気体の拡散性が高い炭素触媒がアノード及びカソード電極触媒として用いることができる。上述の炭素触媒を電極として使用することにより、ガス拡散層が無い場合にも炭素触媒にガス拡散層の作用を持たせ、アノード及びカソード電極触媒13、15とガス拡散層とを一体化した燃料電池を構成することができるため、ガス拡散層を省略することによる燃料電池の小型化や、コストの削減が可能となる。
上記セパレータ12、16は、アノード及びカソード電極触媒層13、15を支持すると共に燃料ガスHや酸化剤ガスO等の反応ガスの供給・排出を行う。そして、アノード及びカソード電極触媒13、15にそれぞれ反応ガスが供給されると、両電極に備えられた炭素触媒と固体高分子電解質14との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電力が発生する。
上記電気化学反応において、下記の反応が起こる。
カソード側:O+4H+4e→2H
アノード側:H→2H+2e
アノード側で生成されたHイオンは固体高分子電解質14中をカソード側に向かって移動し、e(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。一方、カソード側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、アノード側から移動してきたHイオン及びeとが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
(蓄電装置)
次に、本発明の複合体から成る炭素触媒を電極材に適用した蓄電装置について説明する。図2に複合体から成る炭素触媒を用いた、蓄電容量に優れた電気二重層キャパシタ20の概略構成図を示す。
図2に示した電気二重層キャパシタ20は、セパレータ23を介して、分極性電極である第1の電極21及び第2の電極22が対向し、外装蓋24aと外装ケース24bの中に収容されている。また、第1の電極21及び第2の電極22は、それぞれ集電体25を介して、外装蓋24aと外装ケース24bに接続されている。また、セパレータ23には、電解液が含浸されている。そして、ガスケット26を介して電気的に絶縁させた状態で、外装蓋24aと外装ケース24bとをかしめて密封させて電気二重層キャパシタ20が構成されている。
図2の電気二重層キャパシタ20において、上述の複合体から成る炭素触媒を第1の電極21及び第2の電極22に適用することができる。そして、電極材に炭素触媒が適用された電気二重層キャパシタを構成することができる。上述の炭素触媒は、ナノシェル炭素が集合した繊維状の構造を有し、さらに、繊維径がナノメートル単位であるため比表面積が大きく、キャパシタにおいて電荷が蓄積する電極界面が大きい。さらに、上述の炭素触媒は、電解液に対して電気化学的に不活性であり、適度な電気導電性を有する。このため、キャパシタの電極として適用することにより、電極の単位体積あたりの静電容量を向上させることができる。
また、上述のキャパシタと同様に、例えば、リチウムイオン二次電池の負極材等のように、炭素材料から構成される電極材として上述の炭素触媒を適用することができる。そして、炭素触媒の比表面積が大きいことにより、蓄電容量の大きな二次電池を構成することができる。
<環境触媒>
次に、本発明の複合体を、白金等の貴金属を含む環境触媒の代替品として使用する例について説明する。
汚染空気に含まれる汚染物質を(主にガス状物質)等を分解処理により除去するための排ガス浄化用触媒として、白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物されて構成された触媒材料による環境触媒が用いられている。これらの白金等の貴金属を含む排ガス浄化用触媒の代替品として、本発明の複合体から成る炭素触媒を使用することができる。上述の炭素触媒は、酸素還元反応触媒作用が付与されているため、汚染物質等の被処理物質の分解機能を有する。このため、上述の炭素触媒を用いて環境触媒を構成することにより、白金等の高価な貴金属類を使用する必要がないため、低コストの環境触媒を提供することができる。また、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの被処理物質を分解する処理面積を大きくすることができ、単位体積あたりの分解機能が優れた環境触媒を構成できる。
なお、上述の炭素触媒を担体として、従来の環境触媒に使用されている白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物を担持させることにより、より分解機能等の触媒作用に優れた環境触媒を構成することができる。なお、上述の炭素触媒を備える環境触媒は、上述の排ガス浄化用触媒だけでなく、水処理用の浄化触媒として用いることもできる。
また、本発明の複合体は、広く化学反応用の触媒として使用することができ、中でも白金触媒の代替品として使用することができる。つまり、白金等の貴金属を含む化学工業用の一般的なプロセス触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。このため、上述の炭素触媒によれば、白金等の高価な貴金属類を使用することなく、低コストの化学反応プロセス触媒を提供することができる。さらに、上述の炭素触媒は、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの化学反応効率に優れた化学反応プロセス触媒を構成することができる。
このような化学反応用の炭素触媒は、例えば、水素化反応用触媒、脱水素反応用触媒、酸化反応用触媒、重合反応用触媒、改質反応用触媒、水蒸気改質用触媒等に適用することができる。さらに具体的には、「触媒調製(講談社)白崎高保、藤堂尚之共著、1975年」等の触媒に関する文献を参照し、各々の化学反応に炭素触媒を適用することが可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(1E)>
(ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の調製)
2−メチルイミダゾール(2−mim)(Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200) 9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準)) 0.47gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物(1A)を得た。
分子式:C、分子量:82.10
元素分析(計算値):C,58.51;H,7.37;N,34.12
分子式:C10Zn、分子量:227.57
元素分析(計算値):C,42.22;H,4.43;N,24.62;Zn,28.73
分子式:C1014Fe、分子量:254.061
元素分析(計算値):C,47.27;H,5.55;Fe,21.98;O,25.19
(焼成・粉砕・酸洗浄処理)
上述のZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物(1A)2.067gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、30分間室温で流通させた。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から700℃まで毎分5℃昇温し、700℃で1時間保持し、さらに700℃から1000℃まで毎分5℃で昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素前駆体(1B)を得た。得られた炭素前駆体(1B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放冷し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素前駆体(1E)を0.621g得た。
<複合体の評価方法>
1.BET(Brunauer−Emmett−Teller)法による比表面積測定
試料前処理装置(日本ベル社製、BELPREP−flow)を用いて、複合体(炭素材料(1E))を200℃で、3時間、真空下で乾燥した。その後、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−miniII(商品名))を用いて、複合体の比表面積を簡易測定条件で測定した。
比表面積は、装置備え付けの解析プログラムを用いて、BET法により求めた。その結果を、下記表1に記載した。
2.複合体塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性
(複合体塗付電極の作製)
実施例1の複合体25mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)220mgと、溶媒としての水2.4mL及び2−プロパノール(IPA)1.6mLを加え、7mmφのアタッチメントを接続した超音波ホモジナイザー(日精社製、US−150T)で30分間分散させた。回転リングディスク電極(北斗電工社製HR2−RD1−Pt8/GC5)を用い、複合体分散液を複合体が0.50mg/cmになるようにカーボン電極上に塗布し、室温で乾燥させて、複合体塗付電極を得た。
(複合体塗付電極の酸素還元反応(ORR)活性測定)
Automatic Polarization System(北斗電工(株)社製、HZ−3000)に回転電極装置(北斗電工(株)社製、HR−201)を接続し、作用極には得られた複合体塗付電極を用い、対極と参照極にはそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE(saturated calomel electrode))を用いて以下の手順により測定した。
A.複合体塗付電極のクリーニングのため、20℃で、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/sで、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、20℃で、アルゴンを30分以上バブリングした0.1M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転速度1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
C.酸素還元反応活性測定のため、酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜−0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元反応活性として採用した。得られたボルタモグラム(電圧−電流密度曲線)から、電流密度−2.00mA/cmの時の電圧(V vs.RHE(reversible hydrogen electrode))を求め、これをORR活性値とした。
得られた結果を下記表1に記載した。
3.SEM(Scanning Electron Microscope)による含窒素カーボンナノチューブの最大径及び長さの測定
日立ハイテクノロジーズ社製、S5500型FE-SEM装置を用いて、複合体(炭素材料(1E))をカーボンテープに貼り付けて、真空脱気した後、減圧下、加速電圧2kVの条件で観察した。
含窒素カーボンナノチューブの直径(A)の測定方法はSEM写真(×300,000倍)を撮影し、含窒素カーボンナノチューブの外径をノギスで計測し、5本の含窒素カーボンナノチューブにおいて、各々異なる3箇所の直径を測定した際の平均値を含窒素カーボンナノチューブの直径(A)とした。
含窒素カーボンナノチューブの長さの測定方法はSEM写真(×20,000倍、×100,000倍)を撮影し、含窒素カーボンナノチューブの先端から終端までの直径の中央部を線で結び、キルビメータでその線の長さをすることで測定した。
(実施例2)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(2E)>
(焼成・粉砕・水洗浄処理 1回目)
上述のZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物(1A)2.283gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、30分間室温で流通させた。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から700℃まで毎分5℃昇温し、700℃で10時間保持し、さらに700℃から1000℃まで毎分5℃で昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素前駆体(2B)を得た。得られた炭素前駆体(2B)をメノウ乳鉢で粉砕し、水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放冷し、そのまま一晩放置して、未酸洗浄炭素前駆体(2C)を0.676g得た。得られた未酸洗浄の炭素前駆体(2E)を実施例2の複合体とした。
(実施例3)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(3E)>
(酸洗浄処理)
上述の炭素前駆体(2C)0.628gをメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放冷し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素前駆体(3E)を0.617g得た。得られた酸洗浄済み炭素前駆体(3E)を実施例3の複合体とした。
(実施例4)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(4E)>
(焼成・粉砕・水洗浄処理、2回目焼成、真空ガス置換炉)
炭素前駆体(3E)0.442gを石英ボートに測り取り、真空ガス置換炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、1分間室温で流通させた。次に、真空ポンプで管内が1.9×10Paとなるまで排気し、窒素置換を3度繰返した。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から1000℃まで毎分5℃昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、未酸洗浄の炭素材料(4D)を得た。炭素材料(4D)をメノウ乳鉢で粉砕し、水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、未酸洗浄の炭素材料(4E)を0.381g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(4E)を実施例4の複合体とした。
(実施例41)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(41E)>
(酸洗浄処理)
上述の炭素材料(4E)を、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済みの炭素材料(41E)を0.115g得た。得られた酸洗浄済みの炭素材料(41E)を実施例41の複合体とした。
(実施例5)
<ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物の炭素材料合成(5E)>
((3−Py)−TAzの調製)
New J.Chem.,2006,30,1276−1281.を参考に、(3−Py)−TAzを調製した。3−シアノピリジン10g、18−クラウン−6 10g、KOH 225mg、デカリン10mLを混合し、200℃で5時間攪拌した。室温まで空冷後、反応物を濾過し、ピリジンで煮沸洗浄した。得られた固体を1mol/Lの塩酸に溶解し、アンモニア水によって固体を析出させ、濾過後、水で洗浄乾燥させ、(3−Py)−TAzを収量4.1gで得た。
分子式:C1812、分子量:312.33
元素分析(計算値):C, 69.22, H, 3.87, N, 26.91
(ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物の調製)
上述の(3−Py)−TAz 1.00g、ZIF−8(商品名 Basolite Z1200、BASF社製) 9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準))0.47gを、ワーリング社製X−TREME MX1200XTM容器に添加し、グローボックス内で窒素置換の後、10000rpm、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)を得た。
(焼成・粉砕・酸洗浄処理 1回目)
上述のZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)
2.116gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、30分間室温で流通させた。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から700℃まで毎分5℃昇温し、700℃で10時間保持し、さらに700℃から1000℃まで毎分5℃で昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素前駆体(5B)を得た。得られた炭素前駆体(5B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素前駆体(5C)を0.594g得た。
(焼成・粉砕・水洗浄処理、2回目焼成、真空ガス置換炉)
炭素前駆体(5C)0.247gを石英ボートに測り取り、真空ガス置換炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、1分間室温で流通させた。次に、真空ポンプで管内が1.9×10Paとなるまで排気し、窒素置換を3度繰返した。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から1000℃まで毎分5℃昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、未酸洗浄の炭素材料(5D)を得た。炭素材料(5D)をメノウ乳鉢で粉砕し、水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、未酸洗浄の炭素材料(5E)を0.221g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(5E)を実施例5の複合体とした。
(実施例6)
<ZIF−8、Fe(acac)添加(4−Py)−TAz混合物の炭素材料合成(6E)>
((4−Py)−TAzの調製)
New J.Chem.,2006,30,1276−1281.を参考に、(4−Py)−TAzを調製した。3−シアノピリジン10g、18−クラウン−6 10g、KOH 225mg、デカリン10mLを混合し、200℃で5時間攪拌した。室温まで空冷後、反応物を濾過し、ピリジンで煮沸洗浄した。得られた固体を1mol/Lの塩酸に溶解し、アンモニア水によって固体を析出させ、濾過後、水で洗浄乾燥させ、(4−Py)−TAzを収量4.1gで得た。
分子式:C1812、分子量:312.33
元素分析(計算値):C, 69.22, H, 3.87, N, 26.91
(ZIF−8、Fe(acac)添加(4−Py)−TAz混合物の調製)
上述の(4−Py)−TAz 1.00g、ZIF−8(商品名 Basolite Z1200、BASF社製) 9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準))0.47gを、ワーリング社製X−TREME MX1200XTM容器に添加し、グローボックス内で窒素置換の後、10000rpm、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加(4−Py)−TAz混合物(6A)を得た。
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(acac)添加(4−Py)−TAz混合物(6A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(6E)を0.189g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(6E)を実施例6の複合体とした。
(実施例7)
<ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の炭素材料合成(7E)>
(ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物の調製)
2−メチルイミダゾール(2−mim)(Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200) 9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準)) 0.65gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物(7A)を得た。
分子式:C1521Fe、分子量:353.17
元素分析(計算値):C,51.01;H,5.99;Fe,15.81;O,27.18
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(acac)添加2−mim混合物(7A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(7E)を0.435g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(7E)を実施例7の複合体とした。
(実施例8)
<ZIF−8、Fe(acac)添加DCPy混合物の炭素材料合成(8E)>
(ZIF−8、Fe(acac)添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準)) 0.47gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加DCPy混合物(8A)を得た。
分子式:C、分子量:129.119
元素分析(計算値):C,65.11;H,2.34;N,32.54
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(acac)添加DCPy混合物(8A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(8E)を0.397g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(8E)を実施例8の複合体とした。
(実施例9)
<ZIF−8、Fe(acac)添加Phlm混合物の炭素材料合成(9E)>
(ZIF−8、Fe(acac)添加Phlm混合物の調製)
ベンズイミダゾール(関東化学社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準)) 0.47gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加Phlm混合物(9A)を得た。
分子式:C、分子量:118.1360
元素分析(計算値): C, 71.17; H, 5.12; N, 23.71
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(acac)添加Phlm混合物(9A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(9E)を0.441g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(9E)を実施例9の複合体とした。
(実施例10)
<ZIF−8、FeCl・4HO添加2−mim混合物の炭素材料合成(10E)>
(ZIF−8、FeCl・4HO添加2−mim混合物の調製)
2−メチルイミダゾール(2−mim)(Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200) 9.00g、FeCl・4HO(和光純薬工業社製、純度99.9%以上) 0.37gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、FeCl・4HO添加2−mim混合物(10A)を得た。
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、FeCl・4HO添加2−mim混合物(10A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(10E)を0.114g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(10E)を実施例10の複合体とした。
(実施例11)
<ZIF−8、Fe(salen)添加2−mim混合物の炭素材料合成(11E)>
(ZIF−8、Fe(salen)添加2−mim混合物の調製)
2−メチルイミダゾール(2−mim)(Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200) 9.00g、N,N’−エチレンビス(サリチリデンアミナト)鉄(II)(Fe(salen))(東京化成工業社製)0.596gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(salen)添加2−mim混合物(11A)を得た。
分子式:C1614Fe、分子量:322.14
元素分析(計算値):C,59.65;H,4.38;Fe,17.34;N,8.70;O,9.93
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(salen)添加2−mim混合物(11A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(11E)を0.137g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(11E)を実施例11の複合体とした。
(実施例12)
<ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPy混合物の炭素材料合成(12E)>
(ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPy混合物の調製)
3,4−ジシアノピリジン(DCPy、Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、FeCl・4HO(和光純薬工業社製、純度99.9%以上) 0.37gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPy混合物(12A)を得た。
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、FeCl・4HO添加DCPy混合物(12A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(12E)を0.614g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(12E)を実施例12の複合体とした。
(実施例13)
<ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPN混合物の炭素材料合成(13E)>
(ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPN混合物の調製)
3,4−ジクロロフタロニトリル(DCPN、Aldrich社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、FeCl・4HO(和光純薬工業社製、純度99.9%以上) 0.37gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、FeCl・4HO添加DCPN混合物(13A)を得た。
分子式:CCl、分子量:197.02
元素分析(計算値):C,48.77;H,1.02;Cl,35.99;N,14.22
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、FeCl・4HO添加DCPN混合物(13A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(13E)を0.191g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(13E)を実施例13の複合体とした。
(実施例14)
<ZIF−8、Fe(acac)添加Ph−Por混合物の炭素材料合成(14E)>
(ZIF−8、Fe(acac)添加Ph−Por混合物の調製)
Ph−Por(Aldrich社製) 1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(acac)(Aldrich社製、純度99.95%以上(残存金属量基準)) 0.47gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(acac)添加Ph−Por混合物(14A)を得た。
分子式:C4430、分子量:614.74
元素分析(計算値):C,85.97;H,4.92;N,9.11
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(acac)添加Ph−Por混合物(14A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(14E)を0.171g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(14E)を実施例14の複合体とした。
(実施例15)
<ZIF−8、Fe(OAc)添加Ph−Por混合物の炭素材料合成(15E)>
(ZIF−8、Fe(OAc)添加Ph−Por混合物の調製)
Ph−Por(Aldrich社製) 1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(OAc)(Aldrich社製、酢酸鉄(II)、純度99.995%以上(残存金属量基準))0.32gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(OAc)添加Ph−Por混合物(15A)を得た。
分子式:CFe、分子量:173.93
元素分析(計算値):C,27.62;H,3.48;Fe,32.11;O,36.79
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8、Fe(OAc)添加Ph−Por混合物(15A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(15E)を0.128g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(15E)を実施例15の複合体とした。
(実施例16)
<ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物の炭素材料合成(16E)>
((4−Py)−Porの調製)
Chemistry Letters,2007,36,848−849.を参考にして、(4−Py)−Porを調製した。
6.4gの4−ピリジルアルデヒド(和光純薬工業社製)と、4.0gの2−ヒドロキシ安息香酸(和光純薬工業社製)を0.4リットルのキシレンに添加した(キシレンA)。加熱還流下、4.0gのピロール(関東化学社製)を0.1リットルのキシレンに溶解し(キシレンB)、得られた溶液(キシレンB)を1時間かけてキシレンAに滴下した。得られた溶液を窒素気流下で、3時間加熱還流した後、キシレンを減圧留去した。その後加熱洗浄するため、残渣の固形物を0.3リットルの酢酸エチルで加熱還流、濾別を行った後、0.03リットルのメタノールで加熱還流し濾別を行った。さらにこの加熱洗浄操作をもう一度繰返し、乾燥して3.95gの(4−Py)−Porを得た(群青(ultramarine)色の粉末)。
分子式:C4026、分子量:618.69
元素分析(計算値):C,77.65;H,4.24;N,18.11
(ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物の調製)
上述の(4−Py)−Por 1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(OAc)(Aldrich社製、酢酸鉄(II)、純度99.995%以上(残存金属量基準))0.32gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物(16A)を得た。
(焼成・粉砕・酸洗浄処理 1回目)
上述のZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物(16A) 1.259gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、30分間室温で流通させた。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から800℃まで毎分5℃昇温し、800℃で10時間保持し、さらに800℃から1000℃まで毎分5℃で昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、炭素前駆体(16B)を得た。得られた炭素前駆体(16B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素前駆体(16C)を0.326g得た。
(焼成・粉砕・水洗浄処理、2回目焼成、真空ガス置換炉)
炭素前駆体(16C)0.179gを石英ボートに測り取り、真空ガス置換炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素流量を毎分200mLとし、1分間室温で流通させた。次に、真空ポンプで管内が1.9×10Paとなるまで排気し、窒素置換を3度繰返した。その後、窒素の流量を毎分20mLに下げて、30℃から1000℃まで毎分5℃昇温し、1000℃で1時間保持した。その後、3時間かけて室温まで冷却し、未酸洗浄の炭素材料(16D)を得た。炭素材料(16D)をメノウ乳鉢で粉砕し、水で洗浄後、濾過・風乾した。得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、未酸洗浄の炭素材料(16E)を0.165g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(16E)を実施例16の複合体とした。
(実施例17)
<ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)Ph−Por混合物の炭素材料合成(17E)>
((Pyrrole)(4−Py)CHの調製)
J.Org.Chem.2000,65,2249−2252.に記載の方法で、(Pyrrole)(4−Py)CHを調製した。
2.14gの4−ピリジルアルデヒドを20mLのピロールに加え、85℃で15時間加熱した。その後、ピロールを減圧留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、(Pyrrole)(4−Py)CHを2.23g得た。
((4−Py)Ph−Porの調製)
J.Org.Chem.2001,66,4973−4988.に記載の方法を参考に、(4−Py)Ph−Porを調製した。
1.1gの(Pyrrole)(4−Py)CHと、0.53gのベンズアルデヒドを500mLの塩化メチレン/エタノール混合溶液(95:5)に溶解した。得られた溶液に、窒素雰囲気下で1.4gのTFAを2時間かけて添加し、24時間室温で反応させた。その後、1.7gの2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)を添加して、さらに3時間攪拌した。混合物をろ過した後、クロロホルムで洗浄、乾燥した。カラムクロマトグラフィーで精製し、(4−Py)Ph−Porを調製した。
分子式:C4228、分子量:616.71
元素分析(計算値):C,81.80;H,4.58;N,13.63
(ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)Ph−Por混合物の調製)
上述の(4−Py)Ph−Por 1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(OAc)(Aldrich社製、酢酸鉄(II)、純度99.995%以上(残存金属量基準))0.32gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)Ph−Por混合物(17A)を得た。
ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物(16A)をZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)Ph−Por混合物(17A)に代えた以外は、実施例16と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(17E)を0.528g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(17E)を実施例17の複合体とした。
(実施例18)
<ZIF−8、FeCl・4HO添加HAzPc混合物の炭素材料合成(18E)>
(HAzPcの調製)
Synthetic Communication.2004,34,3373−3380.に記載の方法を参考にして、3,4−ジシアノピリジンと、1,8−ヂアザビシクロ[5.4.0]ウンデー7−エン(DBU)をオクタノールに溶解し、185℃で2時間反応し、HAzPcを調製した。
分子式:C281412、分子量:518.49
元素分析(計算値):C,64.86;H,2.72;N,32.42
(ZIF−8、FeCl・4HO添加HAzPc混合物の調製)
上述のHAzPc 1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、FeCl・4HO(和光純薬工業社製、純度99.9%以上) 0.37gを、ワーリング社製、X−TREME MX1200XTM容器に添加し、窒素置換した後、10000rpmで、40秒間混合し、ZIF−8、FeCl・4HO添加HAzPc混合物(18A)を得た。
ZIF−8、Fe(OAc)添加(4−Py)−Por混合物(16A)をZIF−8、FeCl・4HO添加HAzPc混合物(18A)に代えた以外は、実施例16と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(18E)を0.171g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(18E)を実施例18の複合体とした。
(比較例1)
<ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz Ball Mill粉砕混合物の酸洗浄の炭素材料合成(C1−E)>
(ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz Ball Mill粉砕混合物の調製)
(2−Py)−TAz(東京化成工業社製)0.10g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)0.90g、Fe(OAc)(Aldrich社製、酢酸鉄(II)、純度99.99%以上(残存金属量基準))32mg、SUS(stainless steel)304鋼球20個をジルコニア製45ml容器(フリッチュ製)に入れ、真空脱気し、窒素置換後、オバーポットで密閉した。遊星型ボールミル クラッシクラインP−7(フリッチュ製)を用いて、400rpmで3時間粉砕し、金属メッシュでSUS304鋼球を除き、ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz Ball Mill粉砕混合物(前駆体)(C1−A)を得た。
分子式:C1812、分子量:312.33
元素分析(計算値):C, 69.22, H, 3.87, N, 26.91
(焼成・粉砕・酸洗浄処理)
ZIF8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz Ball Mill粉砕混合物(C1-A)0.852gを石英ボートに測り取り、管状炉内に挿入された4.0cmφ(内径3.6cmφ)の石英管の中央に設置し、窒素を毎分200mL、30分間室温で流通させた。
30℃から1050℃まで毎分500℃昇温、1050℃で1時間保持した。その後、5分間で950℃まで降温し、NHガスに切替え、950℃で15分間焼成した。
その後、30分間で室温まで冷却し、炭素材料(C1-B)を得た。得られた炭素材料(C1-B)をメノウ乳鉢で粉砕し、濃塩酸洗浄・遠心ろ過・上澄み液の除去を着色がなくなるまで繰返した。水で洗浄後、濾過・風乾した。さらに得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、酸洗浄済み炭素材料(C1-E)を0.244g得た。得られた酸洗浄済み炭素材料(C1-E)を、比較例1の複合体とした。
(比較例2)
<ZIF8、Fe(acac)添加混合物の未酸洗浄の炭素材料合成(C2-E)>
上述のZIF8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz Ball Mill粉砕混合物(C1-A)をZIF−8、Fe(acac)添加混合物に代えた以外は、比較例1と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(C2−E)を0.419g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(C2−E)を、比較例2の複合体とした。
(比較例3)
<ZIF8の炭素材料合成(C3-E)>
(ZIF8粉砕品の調製)
ZIF8 10.00g(商品名 Basolite Z1200、BASF社製)を、ワーリング社製X−TREME MX1200XTM容器に添加し、グローボックス内で窒素置換の後、10000rpm、40秒間混合し、ZIF−8粉砕品(前駆体)(C3−A)を得た。
ZIF−8、Fe(acac)添加(3−Py)−TAz混合物(5A)をZIF−8粉砕品(C3−A)に代えた以外は、実施例5と同様にして、焼成・粉砕・洗浄処理を行い、未酸洗浄の炭素材料(C3−E)を0.305g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(C3−E)を比較例3の炭素材料とした。
(比較例4)
<ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz機械粉砕混合物の未酸洗浄の炭素材料合成(C4−E)>
(ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz機械粉砕混合物の調製)
(2−Py)−TAz(東京化成工業社製)1.00g、ZIF−8(BASF社製、Basolite Z1200)9.00g、Fe(OAc)(Aldrich社製、酢酸鉄(II)、純度99.99%以上(残存金属量基準))0.32gを、ワーリング社製X−TREME MX1200XTM容器に添加し、グローボックス内で窒素置換の後、10000rpm、40秒間混合し、ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz機械粉砕混合物(前駆体)(C4−A)を得た。
(水洗浄処理)
ZIF−8、Fe(OAc)添加(2−Py)−TAz混合物で、Ball Mill品(C1−A)を機械粉砕品(C4−A)に代えた以外は、比較例1と同様にして、焼成・粉砕を行い、水で洗浄後、濾過・風乾した。さらに得られた炭素材料を110℃で3時間真空乾燥し、室温まで放置し、そのまま一晩放置して、未酸洗浄の炭素材料(C4−E)を0.275g得た。得られた未酸洗浄の炭素材料(C4−E)を比較例4の複合体とした。
以下の表1において、「焼成後の酸洗浄」は、焼成工程後の炭素材料を酸洗浄する工程の有無を示す。また、実施例2〜18及び41、比較例1〜4におけるBET法による比表面積の算出、複合体塗付電極の作製・酸素還元反応(ORR)活性測定、及び含窒素カーボンナノチューブの最大径及び長さの測定は、実施例2〜18及び41、比較例1〜4の炭素材料を実施例1の炭素材料に代えて用いた以外は、実施例1と同様にして測定した。
表1より、実施例の複合体は、触媒性能を示すORR電圧が十分に高いことがわかった。一方、比較例の複合体は、ORR電圧が低く、触媒として性能が劣るものであった。
図3は、実施例8で得られた複合体を加速電圧2kVで、×20,000倍、×100,000倍、×300,000倍の条件で観察したSEM写真である。図3の各々のSEM写真からわかるように、含窒素カーボンナノチューブが、骨格材料の周辺に観測されており、含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部が骨格材料に担持されていることがわかる。
(燃料電池発電性能評価)
(1)触媒インクの調製
(1)−1 カソード用触媒インクの調製
各実施例の複合体0.2gと、0.44gの20質量%ナフィオン(登録商標)溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、WAKO 番号321−87423)、0.15mLの水(イオン交換水)、及び0.95mLの1−プロパノールを、振倒機で90分間分散し、カソード用非白金触媒インクを得た。
(1)−2 アノード用触媒インクの調製
50質量%白金が担持された白金担持カーボン(田中貴金属工業(株)社製、TEC10V50E)0.5gをガラス容器に秤取り、0.8mLの水を加えた後、セプタムシールでガラス容器を封管し、容器内を窒素置換した。上述した5質量%ナフィオン4.3mLと1−プロパノール1mLをガラス容器内に注入し、超音波を2.5時間照射することでアノード用触媒インクを得た。
(2)転写用触媒塗布膜の作製
(2)−1 カソード用触媒膜の調製
(1)−1で調製したカソード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、150μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、30.4mg(1.21mg/cm)であった。
(2)−2 アノード用触媒膜の調製
(1)−2で調製したアノード用触媒インクをテフロン(登録商標)シートベース上に、200μmクリアランスのアプリケータで塗布し、24時間かけてゆっくり乾燥させた。乾燥後、5cm×5cmサイズの正方形にカットした。この塗布膜の重量からベース重量を差し引いた塗布物重量は、21.5mg(0.86mg/cm)であった。
(3)転写用プロトン伝導膜の調製
ナフィオン膜(NR211、デュポン社製)を8cm×8cmサイズの正方形にカットしたものを、1mol/LのCsCl水溶液に10時間浸漬し、イオン交換水で水洗した後、乾燥し、転写用プロトン伝導膜を得た。
(4)電極複合膜の調製
10cm×10cmサイズの正方形にカットした2枚のポリイミド膜(ユーピレックス75:宇部興産社製)の間に、(2)−1で調製した触媒膜、(3)で調製したプロトン伝導膜、(2)−2で調製した触媒膜の順に重ね合わせた。この際、触媒膜がプロトン伝導膜の中央で、塗布面がプトロン伝導膜に接する向きとした。この重ね合わせたシートを210℃、15MPaで10分間プレスした。2枚のポリイミド膜から、熱圧着された膜を取り出し、カソード塗布膜とアノード塗布膜のベースであるテフロン(登録商標)シートを剥離することにより、プロトン伝導膜の両面に触媒層が転写された電極複合膜を得た。この電極複合膜を0.5mol/Lの硫酸水溶液に10時間浸漬した後、イオン交換水で水洗し、乾燥後、目的の電極複合膜を得た。
(5)評価用燃料電池の組立て
(4)で得た電極複合膜を、5cm×5cmサイズの正方形にカットした2枚のカーボンクロス(ガス拡散層ELAT BASF社製)で挟み、200μm厚みのガスケット(テプロン製)を使用して、JARI標準セル(エフシー開発(株)社製)に組み込み、触媒有効面積25cmの燃料電池セルを得た。
(6)発電性能評価
この燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気を供給した。水素及び空気の加湿は、水を貯めたバブラーに各ガスを通すことで行った。水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は1000ml/分、空気のガス流量は2500ml/分とし、常圧下で測定した。燃料電池セルの電流値を0Aから14.5Aまで、30秒毎に変化させ、各電流での安定した電圧を計測することにより、電流−電圧曲線を得た。これより、燃料電池が機能していることが確認できた。
10 燃料電池
12 セパレータ
13 アノード電極触媒
14 固体高分子電解質
15 カソード電極触媒
16 セパレータ
20 電気二重層キャパシタ
21 第1の電極
22 第2の電極
23 セパレータ
24a 外装蓋、
24b 外装ケース
25 集電体
26 ガスケット

Claims (17)

  1. 金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、含窒素カーボンナノチューブとを含み、
    前記含窒素カーボンナノチューブの少なくとも一部は、前記骨格材料に担持され、
    前記含窒素カーボンナノチューブの直径をAとして、前記骨格材料の理論細孔径をBとした場合、A>Bである複合体。
  2. 前記含窒素カーボンナノチューブの直径が10nm以上である請求項1に記載の複合体。
  3. 前記含窒素カーボンナノチューブの長さが80nm以上である請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記骨格材料は、ゼオライト型イミダゾール骨格材料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 含窒素有機化合物、前記含窒素有機化合物の互変異性体、前記含窒素有機化合物の塩及び前記含窒素有機化合物の水和物から選択される少なくとも一種と、
    金属有機骨格材料及び共有結合性有機骨格材料から選択される少なくとも一種の骨格材料と、
    無機金属塩及び有機金属錯体から選択される少なくとも一種とを含む前駆体を、
    400〜1000℃で30分〜100時間一次焼成する工程を含む複合体の製造方法。
  6. 前記一次焼成する工程の後に、900℃以上で二次焼成する工程を含む請求項5に記載の複合体の製造方法。
  7. 前記二次焼成する工程の後に、二次粉砕する工程と、再焼成する工程とをさらに含む請求項6に記載の複合体の製造方法。
  8. 前記再焼成する工程は、900〜1500℃で焼成する工程である請求項7に記載の複合体の製造方法。
  9. 前記再焼成する工程の前に、脱気及び窒素置換する工程をさらに含む請求項7又は8に記載の複合体の製造方法。
  10. 前記二次粉砕する工程の後に、酸洗浄工程及び乾燥工程をさらに含む請求項7に記載の複合体の製造方法。
  11. 前記一次焼成する工程の前に、前記前駆体を粉砕する工程をさらに含む請求項5に記載の複合体の製造方法。
  12. 前記含窒素有機化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である請求項5〜11のいずれか1項に記載の複合体の製造方法;
    一般式(1)中、Qは、少なくとも1つの5〜7員環の芳香族環又は5〜7員環の複素芳香族環から構成される原子団を表し、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、少なくとも1つのRは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される置換基を表す;nは0〜4の整数を表し、Qが含窒素複素芳香族環を含まない場合は、nは1〜4の整数を表す;
    一般式(2)中、*はQへの結合部を表す;
    一般式(3)〜(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環を構成してもよい;*はQへの結合部を表す。
  13. 前記含窒素有機化合物は、下記一般式(3−1)で表される化合物である請求項5〜11のいずれか1項に記載の複合体の製造方法;
    一般式(3−1)中、L〜Lは、それぞれ独立に連結基、単結合または二重結合を表し、Z〜Zは、それぞれ独立に環状構造を表し、L〜Lの少なくとも1つは複素芳香族基を有する連結基であるか、Z〜Zの少なくとも1つは複素芳香族環を含む。
  14. 前記有機金属錯体は、金属アセタート錯体またはβ−ジケトン金属錯体である請求項5〜13のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  15. 前記無機金属塩の金属種が、Feである請求項5〜14のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  16. 請求項5〜15のいずれか1項に記載の方法で製造された複合体。
  17. 請求項1〜4及び請求項16のいずれか1項に記載の複合体を用いた燃料電池触媒。
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